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  運び屋   

クリント・イーストウッド、ブラッドリー・クーパー、マイケル・ペーニャ、ローレンス・フィッシュバーン、
ダイアン・ウィスト、アリソン・イーストウッド、タイッサ・ファーミガ、アンディ・ガルシア。

2005年。
園芸家のアール・ストーン(クリント・イーストウッド)はデイリリー育成の名人。
品評会でも最優秀賞を取り表彰される。
ちょうどその日、娘のアイリス(アリソン・イーストウッド)の結婚式だったが、
母親のメアリー(ダイアン・ウィスト)にどうせ来ないと言われる。

12年後。
妻や子供は去り、ネットビジネスになじめないアールの園芸場はつぶれた。
借金が返せず、家と農園は差し押さえられた。

アールは結婚前のパーティをしていた孫のジニー(タイッサ・ファーミガ)の家を訪れるが、
やってきたメアリーとアイリスと口論になり、さみしそうに帰る。

すると、パーティに来ていた一人がアールに運転するだけの簡単な仕事があると言って名刺を渡す。

アールが連絡した先はメキシコ国境にほど近いテキサス州のタイヤ屋だった。
シャッターの中で胡散臭そうなメキシコ人っぽい男たちに囲まれ、携帯を渡されると、
電話には絶対出ろ、荷物は絶対見るな、指定のモテルに行き、キーをダッシュボードに入れて車を離れろ。
1時間経って戻るとキーと金がダッシュボードに入っている、と言われる。

その通りにしたアールがダッシュボードを開けると封筒には大金が。
男が近づき、またやりたければここに連絡しろという。
一回だけの約束だと言うアールに、男はもしもの時のためだ、とメモを押し付ける。
アールは長年使い続けたおんぼろトラックを黒のSUVに買い替え、家も取り返した。

これっきりと思っていたが、行きつけの退役軍人会館が金がなくて閉鎖すると聞き、また仕事を受ける。
アールは荷物が麻薬であることに気づくが、次々と仕事を受ける。

そのころDEA(麻薬取締局)のベイツ捜査官(ブラッドリー・クーパー)はシカゴ支局で、
トレビノ捜査官(マイケル・ペーニャ)と組んで麻薬の運搬の捜査を始めていた。
内部通報などから、大量に麻薬を運ぶ「伝説の運び屋」がいることがわかるが、その正体は一向にわからず捜査は難航する。

果たしてアールの行く末は・・・。

**

派手な場面はほとんどなく物語は淡々と進む。
イーストウッド流と言った感じ。

実話に基づく新聞記事をベースに映画化したもの。
アール・ストーンは、レオ・シャープと言う実在の人物をベースにしている。
レオ・シャープは2年間にわたって運び屋を務め、87歳で逮捕され3年間服役し92歳で死亡したらしい。
映画と違い、有罪に「私にとっては死刑と同じだ」と落胆したらしい。

「差別」がまだまだ残っていることをさりげなく示している。
アールが黒人に対し「ニグロ(ニガー)」と言って「今はそう言わない」と言われるシーン。
アールには差別意識がないのにそういう用語を普通に使っていることがわかる。

また、イリノイ州だと思うが、カフェでサンドイッチを食べるシーン。
アールはここでも言葉は忘れたがヒスパニックを差別する用語を使う。
ただアール自身に差別意識はなく、むしろ地域の人が差別的な目でじろじろと見ており、(おそらく警察に通報したことで)
ヒスパニックと言うだけで、警官が職質する。

このシーンはアールの対応の説明シーンと言うだけでなく人種差別を示している。
ことさらこれを強調していないのは、序盤でアールがそもそも日常的に深い意味もなく、ヒスパニックの使用人らと
ひどい言葉を交わしあっていることを示して、旅先でもアールは特に意識せず普段通りの行動をと見せているからで、実は深い。

モデルとなったレオ・シャープはミシガン州デトロイト在住で出発地ははっきりしないが、デトロイトまで麻薬を運んでいたらしい。
映画ではアール・ストーンの居住地ははっきりしないが、南部テキサス州エルパソからイリノイ州シカゴまでの運搬だった

レオ・シャープがアール・ストーンのようにヒスパニックを雇い、スペイン語で悪口三昧だったとは思えないので、
意識して盛り込まれたものだと思われる。

分かりにくいのが、アメリカ流の仕事と家庭との関係に対する考え方。
品評会を娘の結婚式より優先するのは行き過ぎだとは思うが、園芸が趣味で家が傾いたのならまだしも
ユリの栽培で生計を立てているのに、かみさんや子供は全く理解しないのだろうか。

旦那の仕事を承知で結婚したのではとも、娘の用事より仕事が優先とも思っていないが、
仕事を全否定するような発言はどうなのか。

娘役のアイリスはアリソン・イーストウッド、クリント・イーストウッドの実の娘。

孫娘役のタイッサ・ファーミガはベラ・ファーミガの妹だが、ベラとは年の差は21歳。
スチル写真の中にはベラ・ファーミガの面影が見えるものがある。

原題は「The Mule」。
かかとのない靴のミュールと同じスペルだが。俗語で「運び屋」のこと。
その意味で邦題はピッタリそのまま。
変な修飾語をつけなかったワーナージャパンには拍手。

アールが呼ばれていた「タタ」(el tata)は、「父ちゃん」。英語でいえばダディ。
連中が「父ちゃん」ではおかしいが、「爺さん」は言い過ぎ。
「とっつぁん」「おやっさん」「おやじ」てなところか。

 

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