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今年の累計:25(0)[8] 本 ( )は試写会
[ ]は邦画
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4月:5(0)[2]本、5月:4(0)[2]本、6月:4(0)[1]本  
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 トゥモローランド  

ジョージ・クルーニー、ブリット・ロバートソン、ラフィー・キャシディ、ヒュー・ローリー

冒頭、フランク(ジョージ・クルーニー)とケイシー(ブリット・ロバートソン)が、
誰かに説明しているシーンから始まる。

フランクの回顧。
1964年、ニューヨーク国際博覧会発明コンテストの会場に少年、フランク(トーマス・ロビンソン)は、
大きい荷物を持って現れる。

フランクが持ってきたものはジェットパック。
水素は危ないので液体ヘリウムを使っているというが、審査員のニックス(ヒュー・ローリー)は、
まともに動かないと言って取り合わない。

フランクが失意で会場を後にすると、少女、アテナ(ラフィー・キャシディ)がやってきて、
「T」のピンバッヂを渡し、ついて来て、という。

アテナやニックスらは、イッツ・ア・スモールワールドに入っていったので
フランクも空いた船に乗って後を追うと、内部で別の場所に誘導される。

そこには、小さい建物のようなものがあり、そこに入ると装置が起動して、
フランクは未来都市にワープしてしまう。
自慢のジェットパックで未来都市を飛行するフランクは、ニックスやアテナと再会する。

ケイシーの回顧。
最初は天文に興味を持っていた幼少の頃。
ついで17歳になった頃。
深夜、バイクを駆ってNASAの施設の近くへ行き、ラジコンヘリを飛ばして監視室のモニターを停止させ、
中に入り込んで、クレーンなどの制御盤を壊していく。

家では弟のネイト(ピアース・ギャグノン)は姉の所業を分かっているが、
NASAの所員で施設解体を行っている父のエディ(ティム・マクグロウ)にはばれていない。

しかし、何度目かの侵入はついにばれ、ケイシーは逮捕されてしまう。
軽い処分で釈放される時に私物を返却されるが、見慣れないピンバッヂが紛れ込んでいた。

ケイシーがそれを触ると、全く見たことのない景色が広がり、歩くと壁に激突。
周りの誰かがそれを触っても何も起こらず、ケイシーが触ると再び見知らぬ世界。

家でそれを触り、遠くに見える建物に近づこうとすると階段から転げ落ちる。
周りに何もない原野に行き、再びピンバッヂに触り、遠くの世界に近づく。

そこは未来世界。
空中を浮遊して進む車や列車。
宇宙基地に向かうとロケットの乗員席に呼ばれる。
しかし、そこに近づこうとしたとき、ピンバッチの電池が切れ、現実に引き戻された。

携帯が水没してダメになったので、PCでピンバッチの事を調べると、
1964年の博覧会記念バッチでそれを買い取る店の情報があった。

ケイシーがその店に向かった後、あの少女アテナが訪ねてくる。
アテナはネイトにケイシーの行く先を聞くと慌てて後を追う。

ケイシーが買取店でバッチの事を聞こうとすると、誰からもらったとしつこく聞かれる。
怪しいと思い逃げようとすると、店主夫婦が攻撃してくる。

ヤバい、その時、店に飛び込んできたのはアテナ。
店主夫婦と銃撃戦の末、二人を倒して、外に逃げると店主夫婦は爆発、店は粉々になる。
アテナは車を奪ってケイシーを連れて逃げるが、店主夫婦もアテナもロボットだったことが分かる

その後にNSAらしきエージェント(これもロボット?)が現れ、警察官を抹殺し、アテナを追う。

アテナは傷を修復し、ケイシーにフランクに会え、と言ってケイシーを置き去りにする。
ケイシーはその場から近いフランクの家に行く。
一旦は追い返されるもののフランクを騙してうまく家に入る。
そこは何かの監視装置で一杯だった。

フランクは人類はいずれ近いうちに破滅する、と説明するが、
一瞬、滅亡確率が100%から99.9995%程度に下がり、フランクは一瞬ハッとする。

しかし、警報が鳴り、エージェントらが侵入してきたのが分かる。
フランクは防御を張り、応戦するが最後はバスタブカプセルで脱出する。
尚も逃げようとすると、アテナが車で来て一緒に逃げる。

ここでケイシーはフランクとアテナの言い争いから大体の事情を知る。

別の隠れ家に着いた一行は、ワープ装置でエッフェル塔の上に移送。
エッフェル塔の秘密の装置を作動、追っ手をギリギリで逃れてロケットに乗って脱出。
ロケットは逆転してワープ、トゥモーランドに着く。

しかし、そこはケイシーが見た世界とは違って荒廃していた。
現れたニックスはタキオンを利用した未来透視装置(モニター)を見せる。
そこには間もなく破滅する地球が見えていた。

ニックスはケイシーらを地球に追い返すと言う。
しかし、ケイシーはフランクとの会話の中から、モニターの映像こそが人類への刷り込みとなって、
その未来に人を誘導しているのだと気づき、モニターを破壊しようと考える。

ニックスがそれを阻止しようとして乱闘となるが、結局ニックスは倒される。
しかし、その過程でアテナは致命的なダメージを受け、フランクに見とれられながら機能停止する。
フランクはアテナの自爆装置を利用してモニターの破壊に成功する。

フランクとケイシーはトゥモローランドと地球とのワープ路を開通させ、
ケイシーは父を呼び寄せて、トゥモローランドの再生に協力させる。

そして、新たに「T」のピンバッヂを大量生産し、アテナと同じ年代のロボットに託し、
未来を修復する人々をリクルートしてこさせるのだった。

**

日本語版予告に完全に騙されました。
ウォルト・ディズニーは出てきませんし、本編の展開とは関係ありません。
ディズニーランドは出てきますが、トゥモローランドへの秘密の入り口があるだけの設定で、
特に重要な意味合いはありません。

英語版予告はもっとSFアドベンチャーっぽくなっいます。
先に見とけばよかった。(英語版はティーザーしか見てなかった)

人類にとって悲劇的な未来を一旦は夢破れたおっさんが勇敢な少女に触発されて一緒に戦い、
希望を取り戻す物語でした。

ピンバッヂに、ピン(留め具)はついておらず、どっちかと言うとメダルに近い感じのバッヂで、
台詞ではpinだが、発音は「ペン」に聞こえる。

ピンバッヂはトゥモローランドを見せるだけで行けているわけではない。
トゥモローランドに誘引するモチベーションにはなってもラストのようにテレポートはできない。

ブリット・ロバートソンは本作では設定年齢相応に見えるが、1990年生まれで撮影時は23、4歳。
TVの出演が多いようで、映画も多く出ているようだが、見た記憶がないのでおそらく初見。

ラフィー・キャシディは2002年生まれ、撮影時は11、2歳。
また出たスーパー子役って感じです。
「ダーク・シャドウ」ではエバ・グリーンの小さい時、
「スノー・ホワイト」ではクリステン・スチュワートの小さい時を演じているが、
いずれも全く記憶にない。

映画化されたのになかなか公開されなかったらしい「モリー・ムーンの世界でいちばん不思議な物語」
(「モリー・ムーン」シリーズ小説の第1巻の映画化」)の主人公、モリー・ムーンを演じている。

 

 

              

  予告犯   

生田斗真、鈴木亮平、浜田岳、荒川良々、戸田恵梨香、小日向文世。

新聞紙のマスクをかぶり、ネットカフェから犯罪予告をするハンドル名「シンブンシ」
右手を突出し「明日の予告を教えてやる」と。

警視庁サイバー犯罪対策課の吉野絵里香(戸田恵梨香)は、この投稿動画を見ていた。
対策課の市川(坂口健太郎)はPITBOYと言うネットカフェチェーンからの投稿であると気づく。

食中毒事件を起こし、火を通してやると予告された食品会社は翌日実際に火事になり、TVで中継される。
サイバー犯罪対策課では現場には予告と同じ風体の新聞紙男がいることに気づいた。

この時点ではマスコミはまだ予告犯について気付いていない。

サイバー犯罪対策課で調べたところ、過去にも2件の予告と制裁がされていた。
飲食店でゴキブリ天を作り、店を休業に追い込んだ男には、制裁としてゴキブリ天を食わせる動画。
レイプ被害者を自業自得と罵った男には、拉致してケツにバイブを突っ込む動画。

配信はPITBOYのある店から行われていたが、OTPトークンによってハッキングは不可能ということだった。
しかし、配信当時、発信元であるはずのPCはずっと空き部屋だった。
つまり、セキュリティは破られ、最終発信元は踏み台に利用されていたのだ。

徐々にネットでも話題になり始めた頃、4番目の予告が行われる。
それはある企業で採用面接に来た32歳の男性を罵ったツィートを流した男。
シンブンシは制裁を生中継するという。

そして翌日。
面接をした男を椅子にしばりつけ、口にはガムテープ。
金属バットで殴りつけるシンブンシ。音声はなく、ただ殴り続けるのみ。
途中でガムテープをはがされた男は「死んでしまう」と助けを乞う。
吉野らは発信元を特定、現場に急行するが、そこも偽装。
映像はすぐ近くから無線で飛ばしていた。
発見された現場には確かに被害者はいたが、凶器はプラ製のおもちゃのバットだった。

この時、帰署する吉野の覆面パトカーは、現場近くを歩く青年(生田斗真)とすれ違う。
その男こそ新聞紙マスクを外したシンブンシだった。

対策課では、過去の動画を解析、ゴキブリ天の男とプラバットの男が別人であると特定。
さらにケツバイブも別人で、犯人グループが複数だと断定した。

明らかに過去4件とは違う品川駅での殺人予告が行われる。
大勢の警官が待機する中、新聞紙を被り、ナイフを振り回す男が登場し、あっさり確保される。
シンブンシを真似、有名になりたかった模倣犯だった。

メディアがシンブンシを取り上げると、民政党の衆院議員、設楽木匡志(小日向文世)が
TVでネット規制(匿名禁止)を法制化すると宣言した。

「シンブンシ」はこれを抹殺すると予告したため、公安部が捜査に参入。
公安部の所属で吉野の大学の同級生、横柄な態度が嫌味な北村(田中圭)は吉野のチームに資料を要求、
市川や岡本(宅間孝行)の反感を買う。

翌日、設楽木は特保のドリンクの発表イベントに出席することになっており、
現場は多数の警官で厳重警戒となった。

シンブンシのチームは主犯格で予告を行うゲイツ(生田斗真)、屈強な体格で関西弁のカンサイ(鈴木亮平)、
少し腹の出たメタボ(荒川良々)、無口で人付き合いの悪いメガネのノビタ(浜田岳)。

ノビタはバイクで道路を横断しようとしてトラックにぶつかりそうになり転倒する。
トラックの運転手が罵声を浴びせると、メタボが「目撃した」と叫んで運転手に詰め寄る。
そこにカンサイが「俺も見たが運転手は悪くない」と乱入、言い争いになる。
その間にゲイツがトラックの後ろから近づき、荷物をひと箱入れ替えてしまう。

ゲイツが現場を離れると、残りの3人もごまかしながらその場を去る。
そのトラックは特保ドリンクの配送トラックだった。

イベント会場では、厳戒態勢の中、設楽木が登壇。
ドリンクが配られ、全員で飲もうとふたを開けたその時、何本かのボトルから液が大量に噴出。
会場はパニックになり、設楽木は公安に守られて退場する。

ネットでは抹殺失敗と煽られるが、その少し後、設楽木抹殺のカウントダウン動画が投稿される。
それは設楽木の事務所で大勢の運動員たちが複数のIDを使い、
設楽木のネット規制に「賛成」の投票をしている様子だった。
自作自演の世論操作で設楽木は議員辞職を余儀なくされる。

ゲイツの姿はネットカフェの防犯カメラに映っていた。
申込書の名前はネルソン・カトー・リカルテ、となっていた。

ゲイツは、またもネットに登場するが今度は犯行予告ではなく、
法で裁かれない犯罪への非難、その被害者救済の宣言だった。

犯行現場はすぐに特定され、吉野らが急行する。
そしてそのPCの部屋のドアを開けた途端、新聞紙を被った男がパーティションを乗り越えて逃げる。
窓から外へ、屋上から非常階段を伝って逃げた男を刑事らが追う。
そしてついに確保。

しかし、その直前、吉野はすれ違った男に防犯カメラの画像を感じ、その男を追った。
果たしてそれはゲイツだった。
散々追い回した挙句、結局吉野はゲイツに逃げられてしまった。

確保されたシンブンシはPITBOYの店員、青山祐一(窪田正孝)だった。
それまで、青山とゲイツには面識がなかった。
青山はPITBOY各店舗への手配書でゲイツに気づいていたが、吉野には青山が身代わりになる理由が分からない。
青山は吉野に「あんたには判らない」とゲイツと同じ言葉を吐いた。

ゲイツ、こと奥田宏明は数年前、IT会社で派遣社員として働いていた。
3年派遣で働けば正社員として採用すると言う約束だったが、社長の栗原(滝藤賢一)は、
奥田に無理な仕事を押し付けた挙句、その約束を反故にした。
優しくしてくれたと思った正社員の全員がバカにしていることを知った奥田は倒れ、入院する羽目に。

その後、アルバイトなどで食いつないでハローワークに通い詰めたものの、
職歴の空白を責められ、求人にはありつけず、途方に暮れてしまう。

そんなとき、タコ部屋の仕事に誘ってくれたのは、葛西智彦(鈴木亮平)。
産廃の違法投棄処理(埋設)が仕事だったが、他に寺原慎一(荒川良々)、木村浩一(浜田岳)、
それに、フィリピン人のネルソン・カトー・リカルテ(福山康平)と一緒だった。

ネルソンが以前働いていたネットカフェで拾ってお守りにしていると言うトークンを見た奥田は
6ケタの数字が出る確率を計算して皆にびっくりされ、ビル・ゲイツにちなみ、ゲイツと呼ばれる。

奥田は他の4人をカンサイ(葛西)、メタボ(寺原)、ヒョロ(ネルソン)、ノビタ(木村)と名づけ、
5人は結束する。

しかし、労働はきつく、雇い主の石田(仲野茂)は休むことも助けることも許さない。
やがて、ヒョロが倒れ、体がかゆいと言いだす。
ノビタは自分の父の死の前の症状と似ていることから腎不全だと推測。
果たしてヒョロは日本への渡航費用のために腎臓を一つ売っており、負担がかかり過ぎていた。

間もなくヒョロは死ぬが、石田はよくあることと言って意に介さないどころか、
早く埋めろとシャベルを投げつけた。

メタボは怒り、石田をシャベルで殴りつけた。
続いてゲイツ、カンサイ、ノビタも石田を殴り、石田は死ぬ。
4人はタコ部屋に火をつけ、ヒョロを丘の上に埋めた。

そして、4人は予告犯として犯行を始めたのだ。
市川はシンブンシに私刑制裁ではない別の目的があるかもしれないと思い始める。
ノビタは常連のラーメン屋の娘、楓(小松菜奈)からもらったボロ傘を大事に持っていた。
そして警察にシンブンシの本当の目的を話そうとするが、ゲイツに止められ、スマホを取り上げられる。

4人がそれぞれの本名でネットカフェに行ったことが公安に突き止められ、
偽名として使用したヒョロの事もばれ、その父である加藤(本田博太郎)は過激派の賛同者で黒幕と目される。

吉野は、青山やゲイツの言葉が気になり、IT会社、職安、日雇い斡旋会社などを追っていく。

ゲイツは最後の予告と称し、シンブンシを名乗る4人組を公開処刑すると言う。
つまり、公開自殺。

公安は、加藤の所在を突き止め現場の工場へ急行する。

一方の吉野も岡本、市川とパトカーを走らせる。

ネットでは、シンブンシの4人が揃い、青酸自殺をすると言う。
被り物を取った4人は、青酸カプセルを飲み倒れる。

自殺現場はヒョロが死んだタコ部屋の焼け跡だった。
吉野はゲイツを確認するがすでに死んでいる。
しかし、岡本と市川は、カンサイもメタボもノビタも生きていると言う。

吉野がゲイツの持っているスマホを見ると、吉野宛ての動画が残っていた。
向こうの丘にヒョロが眠っていること。
日本人の父を捜しに来たヒョロ、あまりにも少ない情報に警察を動かすため予告犯を演出したこと。
お父さんに会いたいと言っていたヒョロの願いを叶えてほしいこと、が語られていた。

そして、ヒョロの動画も。

さらには、ゲイツが残り3人を脅して自分の思い通りにしていることを示す動画もあった。
しかし、それはメタボの誕生日ドッキリを全てが自分の犯行に見えるよううまく仕組んだものだった。

ゲイツこと奥田はすべての罪を背負って自らの命を絶ったのだった。
その遺志に気づいた3人は、奥田の思惑通りの証言をするのだった。

**

イベントのタイミングに合わせ、新製品のパッケージを事前に手配するなど、
「そうはうまく運ばない」点は勿論あるが、許容範囲。

時系列に沿わない展開で、観客に予告犯の全容を知らせないで進み、
徐々に予告犯の主犯(生田斗真)の意識や計画を明らかにしていく。

ネット中継ではニコ動(ニコ生)風にコメントが流れ、ツィッター風の感想のタイムラインも流れる。

なお、筆者はどちらもやらないので、現実のそれらとどの程度類似/相違しているかには全く知見がない。

同様にネットカフェ、およびそのセキュリティについては全く知見がないので、
現実にどのような対策が取られているのかは気になるところだ。

仲間も警察もみんなゲイツ(生田斗真)にしてやられたわけだが、良いとこもっていきすぎかもね。

もう少し模倣犯が多く出ても良いのかと思った。
原作は知らないが、模倣犯続出では映画としてはまとまりが付かないのかも。

戸田恵梨香が最後に産廃業者のタコ部屋に行ったのは、論理的結論?それとも動物的勘?

新聞から新聞名、日付、版、発行地域などが判るはずだが、それは手掛かりにはならなかったのか、全く触れられなかった。



世の中理不尽なことが多い。
滝藤健一の所業は激怒ものだが、IT業界にはあれに近い無理難題を押し付ける上役や顧客は山ほどいる。
とはいえ、あんな嫌な同僚ばかりではないと思うが、倒れるまで突っ走れ、では身が持たない。

職安(ハローワーク)もあそこまでテキトーではないと思うが、IT系求人には
会社の所属社員数の何倍もの求人があるような、どうかと思うものも多いのでよく吟味されたし。

 

 

             

 

 チャッピー 

デブ・パテル、ヒュー・ジャックマン、シガニー・ウィーバー、シャルトー・コプリー。

近未来の南ア、ヨハネスブルグ。
多発する凶悪犯罪に対抗すべく、警察はAI搭載警官ロボットを導入し、大いに効果を上げていた。
警察からの追加注文に開発会社の社長、ミシェル・ブラッドリー(シガニー・ウィーバー)は
上機嫌で社内に報告、開発者のディオン・ウィルソン(デブ・パテル)も嬉しそうだ。
しかし、遠隔操縦で大型の警察ロボットを開発しているビンセント・ムーア(ヒュー・ジャックマン)は
AIに不信感を抱いており、非常に不満。

ディオンの開発したロボットは、凶悪犯に立ち向かうことで度々壊され、工場に運ばれては修理された。
中でも22号は度々被害に遭っていた。

修理された22号は警察とともに麻薬取引現場を急襲。
運び屋のニンジャ(ニンジャ)と、ヨーランディ(ヨーランディ)、そして
ヤンキー(アメリカとも呼ばれる:ホセ・パブロ・カンティーヨ)を追い詰めたが、
組織に逆襲され、22号は大破、一味は逃げてしまう。
一味のボスのヒッポはニンジャの失態だと責め、ダメになった麻薬の代金を払うよう指示する。

一方、修理工場に運ばれた22号は、バッテリー回路の損傷が修復不能で、廃棄処分となる。

ビンセントは警察に対して大型警護ロボットのデモンストレーションをするが、
現状の警官ロボットで十分、ビンセントのロボットは機能過剰だとして採用されない。

ディオンはすべての判断をロボットに委ねることができることができるより進化したAI完成させ、
警官ロボットに搭載することを進言したが、ミシェルにあっさり却下される。

ディオンは廃棄待ちの22号、さらにプログラム更新用のマスターキー(ドングル)を
勝手に持ち出して自宅へ戻ろうとする。

ヨーランディは警官ロボットはリモコンで停止できるはずだと考え、
TVで見たディオンを誘拐しリモコンを入手しようと考える。

当然そんなものはなく、ディオンは殺されそうになるが、ディオンの車から22号が見つかり、
結局ディオンは22号を組み立て、自身のAIプログラムをインストールする。

起動直後の22号は無知で怯え、何もできない。
ヨーランディがハッピー・チャッピーと呼んだことから、22号は「チャッピー」を自分のことと思い込む。

ディオンは知識を教えないといけないと言っていったん帰る。
翌日から、ヨーランディは自分を「ママ」と呼ばせ、いろんなことを教える。
ニンジャの居ない隙にやってきたディオンは自分を「メーカー」だとして、悪いことはいけないと教える。

ヤンキーとともにチャッピーをギャング仲間にしようと教育する。
ニンジャとヤンキーはチャッピーをスラム街に放置する。
警官だと攻撃され、反撃しないチャッピーは腕をもがれ、アンテナを壊され、ニンジャのアジトに戻る。
ヤンキーが他のロボットのパーツを利用してチャッピーを直し、右耳と左腕のオレンジのチャッピーの姿になる。

ニンジャは自分を「パパ」と呼ばせ、関係のない車を盗まれたから奪い返せと言って強奪させる。
麻薬の代金を支払うために現金輸送車を襲う、そのための武器や爆弾を買うための金を工面するためだった。

ニンジャはチャッピーを連れ、闘犬の行われているビルに行き、爆弾を手配する。
そして、死んだ犬を見ているチャッピーにチャッピーの体はもうすぐ死に、生きるには新しい体が必要で、
そのために金を手に入れなければいけないからと、現金輸送車強奪に加担させる。

チャッピーを見に来たディオンは、悪事をしないよう言うが、もうすぐ死ぬ(バッテリーが切れる)ことを
黙っていたディオンを信じない。

ディオンがマスターキーを持ち出したことは会社にばれるがごまかす。
一方で、ムーアもマスターキーが無くなっていることに気づく。

ニンジャはチャッピーを使って現金輸送車の強奪に成功。
ニンジャは新しい体は買えないと白状し、チャッピーは騙されたと気づく。

ムーアはロボット強盗のニュースからチャッピーの居場所を突き止め、マスターキーを奪い返す。
それは、自分のロボットを制御するためではなく、稼働している警官ロボットを停止するためだった。
制御コンピュータにマスターキーを装着、停止命令を出すと警官ロボットは次々と停止、
街中に犯罪者が跋扈し始める。

遂には、ムーアのロボット出動の許可が下りる。

ディオンは停止したチャッピーを会社に運び制御コンピュータからマスターキーを抜いてチャッピーを再稼働、
ムーアのロボットコントロールヘルメットを持ち去る。
チャッピーは、自分が死ぬ前に意識をコンピュータに移すことを考え、自分でコンピュータを組み立てて、
ムーアのヘルメットを利用して意識のコピーに成功する。

ムーアは別のヘルメットを装着し、大型警護ロボットを操作、チャッピーが稼働していることにも気づき、
抹殺しようとする。

その頃、ボスのヒッポは金を取りにニンジャのアジトに来るがチャッピーもよこせと言いだす。
そこへ、ムーアのロボットが到着。
ギャングどもに攻撃を開始する。

大半のギャングがやられ、ヤンキーはバラバラにされ、ニンジャも、ディオンも撃たれる。
ムーアのロボットがニンジャを狙うと盾となったヨーランディが撃たれて死ぬ。

ニンジャの反撃がロボットのカメラを破壊、目を失ったムーアはコントロールができなくなり、
ロボットはチャッピーの攻撃を受けて破壊されるが、チャッピーの持っていたヘルメットも壊れてしまう。

チャッピーは瀕死のディオンを車に乗せて会社に行き、事務所に乗り込んでムーアを叩きのめす。
そしてラボでティオンの意識をヘルメットを通じて1体だけ残っていた警官ロボットに移植。
ディオンはロボットとしてよみがえる。

逆にチャッピーはバッテリーが切れかかり、焦るディオンはプロトロボットを見つけてチャッピーを移植する。

警察はロボットの配備を止め、会社は警官ロボットの契約を解除される。
チャッピーとディオンのロボットは姿をくらますが、後に別のロボットを作り、
チャッピーがコピーしていたヨーランディの意識を移植して復活させる。

少し思っていた展開と違った。
もう少しSF的な価値観と「ベイマックス」とか「ロボコップ」的なものを想像していたが、
どちらかと言うと「第9地区」的世界観。
AIの捉え方が欧米人(と言うかこの映画)と、我々では違うのかもしれない。

チャッピーはシャルトー・コプリーのモーション・キャプチャー。
ゴレムやシーザーとは一味違う人っぽさがまたリアルである。

ニンジャとヨーランディは南アフリカ出身のディ・アントワード(Die Antwoord)と言う
ラップグループのメンバーで、本格映画出演は初。
本作のエンド・クレジットの曲もディ・アントワード。

 ロボットの力が超人的なものであることは間違いないにしても、
どこまでのパワーのものを設計するかは開発者の考え次第。

2、3人分の力が必要と考えてもおかしくないが、10人力は必要だろうか。
実際に制圧用のロボットが開発されるとしたら議論のある所だろう。

「マスターキー」は、業界では俗に「ドングル」と呼ばれる。
コピー防止、正規品の確認などに利用され、映画のように改変防止には役立つが、
故障や紛失の際はデメリットもあり、個人的にはあまり好きではない。

ドングルを利用して全機停止ができるにしても、全機起動ができない仕組みは仕様上まずくないか。
また、ドングルが一個だけでは運用上問題が多いので最低でも予備機があるはずで、
あそこまで厳重に管理しているように見えて簡単に持ち出せるのもなんだかな。

 

 

     

 誘拐の掟  A walk among the tombstones 

リーアム・ニーソン。

オープニングは拉致されたと思われる女性のシーン。

続いて場面は変わり、パトカーの中で言い争う二人の刑事。
一人(リーアム・ニーソン)が降りて、近くのカフェに行き、
コーヒーとショットグラスのアルコールを手に席に着き、アルコールを煽っていると、
突然二人組が店に乱入、言い争いの後店主を射殺。

刑事はすぐに応戦。
逃げようとする二人を射殺、更に一人を追って足を撃ち、やってきた警官に引き継ぐ。
男の名前はマット・スカッダー。

数年後、マットは小ざっぱりとし、無認可の私立探偵となっていた。
カフェで食事をしていると、断酒会で一緒だったと言うピーター(ボイド・ホルブルック)が来て、
弟のケニーのトラブルを助けてくれ、という。

一旦は断るマットだが、店の外で落胆するピーターを見かねて弟の家まで行く。
豪勢な家。
ケニー(ダン・スチーブンス)の婚約者が誘拐され身代金を払ったのに殺害されてしまったと言う。
ケニーの依頼は犯人を捕まえることだが、マットはケニーが麻薬などの裏稼業で稼いでいるため、
警察を頼れないと見抜く。

ここでも一旦は断るマットだが、ケニーの話を聞いて仕事を引き受ける。
犯人との交渉で金(40万ドル)を払ったケニー。
人質解放のために散々振り回された挙句、車に詰め込まれていたのはバラバラにされ、
多数のビニル袋に詰められた彼女の死体だった。

マットは、似た様な手口の事件を調べるうち、TJと名乗る黒人少年と知り合いになる。
TJはマットを小ばかにしながらも、近くの墓地の池に別のバラバラ死体が遺棄された事件を教える。

マットは、その墓地に行き、管理人のルーガンに接触する。
ルーガンが詳しいことは教えないので、マットは後をつけ、ケニーの向かいに住んでいることを知る。

マットはルーガンが外出した隙にアパートの屋上に行き、そこからケニーの部屋が見えることを確認。
ハト小屋の傍の物置にケニーの部屋を盗撮した写真を見つける。

マットに気づいたルーガンは屋上に行き、マットを脅そうとするが諭され、誘拐に加担したと白状。
しかし、犯人の詳しいことはしゃべらないまま、屋上から飛び降りて死んでしまう。

犯人はDEA(麻薬取締局)のエージェントを名乗っていたらしい。
マットは調べを進めるうち、怪しいバンの存在に気づくが、それは色や企業名が様々なものだった。
マットは自分を付ける怪しい男に気づき、逆襲するが、それは本物のDEAのエージェントだった。
そして、墓地で遺棄された死体はDEAの女性エージェントだったことが分かる。

DEAはマットが大したことを知らないと判断して解放する。
マットはDEAのリストが漏れ、犯人がそれを利用してケニーら麻薬犯罪の容疑者を襲っていたと知る。
身代金の出所を警察に言えないと踏んでの犯行だ。
マットはケニーに事件から降りると告げようとする。

その頃、犯人の二人組はロシアンマフィアの妻を狙っていたが、
目星を付けた女性は看護婦で妻は寝たきり植物状態だった。

一旦、犯行を諦めかけたその時、家から美少女、ルシア(ダニエル・ローズ・ラッセル)が出てきた。
犯人の狙いは一瞬で変更された。

マットがケニーの家に断りに行くと、ケニーはおらずピーターがいた。
ケニーの友達のユーリ(セバスチャン・ロッシェ)が同じような目に遭っている、と言うのだ。

マットはユーリの家に急ぐ。
既に犯人から接触があり、100万ドルの要求があったと言う。
マットは無条件の譲歩は娘が死ぬだけ、と言い、自分が交渉にあたると言う。

犯人からの電話。
マットはルシアが生きていることを確かめると、彼女が死ねば交渉は決裂、
傷つけずに返せば金は払うことで交渉を進める。

身代金が足りないため、ユーリーの持つ偽札とケニーの現金を組み合わせて100万ドルを設える。
マットはTJに連絡してアパートの部屋から銃などを持ってこさせる。
マットはTJ自身もユーリーの家に来たことを叱り、帰そうとする。

やがて交渉の場にユーリーとマットが到着、ケニーやピーターが物陰に隠れる。
犯人も現れ、ルシアと現金の交換。
ルシアは指を何本か切り落とされていた。

ルシアはユーリーの元に戻ったが、現金の確認で犯人の一人が偽札に気づく。
銃撃戦となり、ピーターは死亡。
犯人は逃走するが、マットの銃弾が犯人の防弾チョッキの隙間から脇腹をかすめていた。
犯人の車に気づいていたTJが、車に隠れて犯人の家まで行き、マットに連絡。
ケニーらが急行する。

犯人の一人、撃たれた方はレイ(デビッド・ハーバー)
もう一人のアルバート(アダム・デビッド・トンプソン)は治療せず、れいを絞殺してしまう。

先に現場に着いたケニーはアルバートの返り討ちに遭い惨殺される。
マットはケニーとレイの死体を乗り越え、アルバートと対決し、ついに倒す。

アパートに戻り、眠るTJの傍で体を休めるマットであった。

**

大きくは最近のリーアム・ニーソンによくあるキャラクター設定だが、
アルコール依存症からは脱却していて、過去の反省の上に行動している点が異なる。
行動も単なる「暴走親父」ではなく、思慮深い乱暴ぶりを発揮、心理戦の様相も見せる。

こじゃれたアパートに住み、小生意気な黒人少年の存在など、味付けはかなり異なる。

アルコールに溺れ貧困にあえぎ、周囲や友人にもバカにされ、味方がなく一人ボロボロになりながら奮闘する役よりも
過去の反省の上に節制しつつも勘と経験を活かして一歩先を行く今作のような役回りの方が似合っていると言うか、
個人的にはこちらの方が好き。

ケニーの兄のピーター役のボイド・ホルブルックは「ラン・オールナイト」では、エド・ハリスの息子ダニー役。
2作連続でリーアム・ニーソンとの共演。
ただし、日本公開は「ラン・オールナイト」「誘拐の掟」の順だが、全米ではその逆で、その間に
リーアム・ニーソンは「96時間/レクイエム」ボイド・ホルブルックは「ゴーン・ガール」に出演している。

ローレンス・ブロックによるマット・スカダー・シリーズは長短合わせて20作以上が出版されている。
本作の原題は「A walk among the tombstones」、直訳すれば「墓石の中の散歩」だが「墓場を行く」が良いか。
同名小説の邦題は「獣たちの墓場」となっている。

尚、原作でのマット・スカダーはやはり当初は酒をかっ食らってぶっ倒れるような人物らしく、
本作辺りから酒が抜けてきているらしい。

 

 

             

 メイズ・ランナー  

「メイズ・ランナー」「スコーチ・トライアル」「デス・キュア」の3部作の1作目。

ディラン・オブライエン、アムル・アメーン、ウィル・ポールター、トーマス・ブロディ・サングスター。

冒頭、一人の少年(ディラン・オブライエン)が貨物用と思われるエレベーターに乗せられている。
エレベータの行きついた先は若い男たちが大勢いる巨大な塀に囲まれた地域。
少年はパニックって走り、そして倒れ、檻のようになところに入れられる。
少年(後にトーマスと判明)には名前すら記憶がなかった。

次の日、檻から出た少年は男たちのリーダーのアルビー(アムル・アメーン)、
副リーダーのニュート(トーマス・ブロディ・サングスター)、ひとつ前にこの空地(グレード)に来たチャックらに
ここでの様子の説明を受ける。

周りの塀の外は迷路になっていて、毎日朝、迷路の扉が開き、夕方に閉まる。
ランナーと呼ばれる2人の足の速い男が迷路の構造を探りに行くが、毎日のようにパターンが変わり、
3年経っても出口が見つけられていない。

もし、扉が閉まるまでに帰還できなければ、向こうに潜むグリーバーに殺されてしまう、らしい。

トーマスの乗せられていたエレベータには毎月新入りと必要な物資が乗せられてくる。
荷物をすべて取り出せばエレベーターは戻るが、人が乗っていると動かない。

当初、グレードは無秩序で争いもあり、大勢が死んだ。
いまはアルビーが作ったルールに則って平穏に暮らしている。

その夜、トーマスの歓迎会らしきものが行われ、トーマスはグルーブの一番の力持ち
ギャリー(ウィル・ポールター)と格闘し、投げられたショックで名前を思い出す。

トーマスはみんなが現状を受け入れていることが不満だったが、一応従う。
森の中に肥料を取りに行けと指示され、嫌々森に行くと突然男か襲ってくる。

「お前のせいだ」と言いつつ、トーマスを襲う男はベン。
辛うじて逃げたトーマス。
ベンはランナーの一人でグリーバーに刺されたらしい。
グリーバーに刺された場合、精神に異常をきたし治療方法がないと言う。
翌日ベンは、壁の向こう、迷路に追放となった。

昼は潜んでいるはずのグリーバー。ベンが昼間に刺されたことは皆に衝撃を与えた。

翌日、アルビーがもう一人のランナー、ミンホ(キーホン・リー)とともに捜索に出ることになった。
しかし、夕刻になってもミンホとアルビーは戻らない。
扉が閉まり始めたとき、その向こうにぐったりしたアルビーを引っ張って戻ろうとするミンホが。

扉が閉まるのに、皆はミンホにアルビーを見捨てるよう声をかけるが、ミンホはあきらめない。
そんな状況にトーマスは意を決して扉の向こうに走り込み、ギリギリで中に入ることに成功した。

アルビーはグリーバーに刺され瀕死の状態。
遂に夜になり、アルビーを見捨てられないミンホとトーマスは壁に絡んだつたを利用して、
アルビーを壁の途中に釣り上げて固定しようとする。

その時、一部の迷路が開き、グリーバーが現れ、ミンホは逃げてしまう。
トーマスは頑張ったもののアルビーを支えきれず転んで、つたと壁の間に入り込んだ。
そのおかげてアルビーも引っかかったままになり、トーマスの目の前を機械の脚が通り過ぎて行った。

グリーバーが行き過ぎると、トーマスは逃走をし始め、ミンホと出会う。
二人でアルビーを連れて逃げようとするが、グリーバーに見つかり、トーマスとミンホと別に逃げる。
その間も迷路の壁は動き、行く手を阻まれながら、トーマスは追い詰められていく。

しかし、トーマスは動く壁を逆利用してグリーバーを動きかけた壁におびき寄せて押しつぶしてしまう。

翌朝、扉が開き、ミンホとトーマスはアルビーを連れて帰還する。
ギャリーはトーマスがルールを破ったと激怒し処罰を迫る。

副リーダーのニュートの裁決は、1日の禁固、翌日からトーマスをランナーとする、というもの。
ミンホはトーマスを森の隠れ家に連れて行き、この3年間に解析した迷路の模型を見せる。
ミンホによれば、既に迷路の全容は分かっており、壁の動くパターンもわかっていると言う。
しかし、すべてのルートを調べても出口はなかった、つまりここから出るすべはなく、
アルビーは皆に希望を持たせるため嘘をついているのだと言う。

翌日、トーマスはランナーとしてミンホとともに迷路に入り、圧殺したグリーバーの死体から
円筒形の機械を取り出す。機械には「7」のライトがついており、赤ランプも点いていた。
迷路を回るトーマスとミンホ。突然機械が異音を発し、その音が大きくなる方向に進んでいくと、
ミンホも今まで見たことがない場所へと進んでいった。
そして、行き止まり、かと思いきや、機械のライトがグリーンになり、壁が開いた。
二人はそれ以上は進まず、一旦グレードに戻る。

グレードで議論していると、毎月1回のはずのエレベータが起動し、女の子を乗せてくる。
女の子は一瞬目が覚めトーマスを見て「トーマス」と叫んで再び失神する。

彼女の手には「これで最後」と書かれたメモが。

その後、女の子は目覚めたが、見晴らし台に登って他の人間を寄せ付けない。
トーマスは自分を知っているはずだとして、見晴らし台に登り、話を聞く。
ここはどこ、あなたは誰、女の子の問いにみんな記憶がない、名前は2、3日で思い出す、
と言うと、名前は覚えており、テレサ(カヤ・スコデラリオ)だと言う。
とりあえず落ち着いたテレサはアルビーの看護に着く。

状況を説明するトーマスにテレサは2つのアンプルを見せる。
ひょっとして治療薬?
危ないといぶかる仲間を説得して注射をしようとするがアルビーが暴れる。
しかし、テレサが隙をついて注射、アルビーは失神する。

その夕方、いつも閉まるはずの扉は閉まらず、逆に4つの扉がすべて開き、
グリーバーが入ってくる。

グリーバーは次々と人を襲い、刺し、拉致し、殺していく。
家に隠れても壊し、触手を伸ばす。
そんな中、アルビーが目覚め「トーマスは奴らのお気に入りだったのに」と言いだす。
詳しい話をする間もなくアルビーはグリーバーに拉致られる。

やがてグリーバーは去り、多くの仲間が命を落とした。

アルビーはどうやらテレサの薬で回復するとともに記憶がよみがえったらしい。
記憶を取り戻そうと考えるトーマスはギャリーの激しい叱責の中、
戦いの中でもぎ取ったグリーバーの「針」を自分に突き立てた。

檻の中で目覚めたトーマス。どうやらテレサの薬で助かったらしい。
いままで断片的に甦っていた記憶が戻り、トーマス自身がテレサとともに
皆をこの実験場に送り込んだ側だと言うことを思い出した。

トーマスが気絶している間にリーダーはギャリーになり、翌日、ギャリーは
トーマスを壁の向こうに追放しようとする。

しかし、トーマスはあらかじめニュートやチャック、テレサらとともに反抗し、
大半の仲間を募って、ギャリーと何人かを残し、迷路脱出に挑む。

本来いないはずのグリーバーが大勢襲ってくる。
何人かの仲間を失いながらもトーマスらは、例の扉に到達。
中に入ると、パスワード入力が表示され、8ケタの数字を要求される。
恐らくは迷路の変更されるパターンだと思ったトーマスはミンホにその数字を聞く。

果たして、扉は開き、グリーバー側の扉は閉まり、一行は通路へと進む。
通路は人が入ったことで照明がつき、歩いていくと「EXIT」と書かれた扉があった。

果たしてその先は何かの研究室。
死体が転がり、銃撃戦の後のようだ。
ディスプレイには所長らしき女性が写り、あなた方がこれを見ていると言うことは
迷路を脱出したことだと説明を始める。

地球は太陽フレアによって壊滅状態となり、更に致死性の高いウイルスが蔓延、
人類は存亡の危機に瀕し、その中でウィルス耐性が高ストレス下で起こると考えられたため、
耐性能力を持てそうな人々を迷路に送り込んだと言うのだ。
女性の背後では何者かが侵入し、研究員を射殺していく。
女性は銃を取り出し、自分の頭を撃って倒れる。

どうしようか迷っていると、突然ギャリーが現れ、迷路に帰ろうと言い始める。
トーマスが止めようとしたとき、ギャリーの銃が火を噴くが外れ、
同時にニュートが投げた槍がギャリーを倒す。

安心したのもつかの間、チャックが倒れる。
ギャリーの弾はチャックに当たっていた。
その時、外部から武装集団が乱入し、トーマスら全員を連れて行く。
武装集団はトーマスらをヘリに乗せ、もう安心だ、と言いながらどこかへ連れて行く。

周りには砂漠が広がり、トーマスらが閉じ込められていた迷路とグレードが見えていた。

これで一件落着かと思いきや、女性(パトリシア・クラークソン)は、
血糊をぬぐいながら席に着き、うまく行った、思ったより少なかったが、
これから第2フェーズ開始、と宣言して映画は終わる。

「メイズ・ランナー」「スコーチ・トライアル」「デス・キュア」の3部作の1作目。
当初から3部作とアナウンスされており、見て初めて続くことに気づく訳ではない点は、
他の連作物に比べて好感度高い。

設定は穴だらけだし、数字上の矛盾も多いが、テンポよく話が進み、違和感を突っ込んでいる暇がない。
それでもなおラスト近くのギャリーは意外性は高いが唐突すぎる。

本作だけの世界観で3部はきついと思っていたが、大きい世界観の一部であり、
全体の設定を暴露したかに見せかけて実は裏があった終わり方になっていて、
次どうなるのかな、みたいな期待感はあった。

2作目は、当初、2016/5/22の公開予定だったが、好評に気を良くしたのか、
2015/10公開に前倒しとなった。

全米では本作が2014/9/19、2作目が2015/9/18、3作目は2017/2/17の公開となっている。

 

 

            

 ラン・オールナイト  

リーアム・ニーソン、ヨエル・キナマン、エド・ハリス、ニック・ノルティ。

**

冒頭は林の中でジミー・コンロン(リーアム・ニーソン)が倒れているシーン。

その16時間前。

ジミーは、バーの地下に行き、ボスの息子のダニー(ボイド・ホルブルック)に前借りを頼む。
ダニーはサンタクロースの着ぐるみ役をすれば金を出すと言ってジミーは渋る。

ジミーの息子はマイク(ヨエル・キナマン)。
ボクシング・ジムで体を鍛えながら子供たちにもボクシングを教えているが、
マフィアの殺し屋だった父とは疎遠で毛嫌いしている。
妻のガブリエラ(ジェネシス・ロドリゲス)との間には2人の娘がいる。

妻の実家のクリスマスパーティには向かわず、リムジンの運転手をしてアルバニア人マフィアの送迎をする。
その行く先は、ダニーの父でボスのショーン・マグワイア(エド・ハリス)の事務所。
アルバニア人マフィアはショーンに麻薬取引を見逃す代わりに分け前を払うと申し出るが、
ショーンは麻薬取引は辞めたと言って断り、クリスマス・パーティに行ってしまう。

アルバニア人マフィアは怒り、ダニーに貸した金を返す用意をしておけと言って去る。

ショーンのクリスマス・パーティのサンタクロースはジミーだった。
しかし、酔って管を撒き、挙句怪我をして部屋に戻ったジミー。
ショーンとは古くからの付き合いで、その殺し屋を担ってきた。

ジミーはサンタ役を辞めてカフェに入ると、彼を長年追っているジョン・ハーディング刑事(ヴィンセント・ドノフリオ)が、
入ってきて、過去の殺人を白状しろと迫るが、ジミーは白を切る。

その頃、マイクはアルバニア人マフィアを乗せてリムジンをダニーの事務所に連れて行く。

アルバニア人マフィアが戻るのを外で待っているとジムに来ている子供、レッグスが乗せてくれと言ってくる。
レッグスは初めて乗るリムジンに大興奮。

ダニーの事務所ではアルバニア人マフィアに返す金だと言って人生ゲームの札束を渡し、一人を射殺、
もう一人も撃って、逃げるところを追い、マイクの目の前で射殺、レッグスはその様子をケータイ動画に撮る。

マイクは逃げ出そうとするもダニーに見つかり、車から引きずり出されて殺されそうになり、
寸での所で逃げる。

マイクは家に戻っておじさん宅にいるガブリエラに電話し、家に戻らないよう伝える。
そこに事件を知ったジミーがやってきて、マイクに逃げるよう指示するが、マイクは拒否しジミーを追い返す。

入れ替わりにダニーが仲間とやってきて、マイクに銃を向ける。
銃声一発!
倒れたのはダニーだった。
気付いたマイクがダニーを撃ったのだ。

マイクはジミーを逃がし、警察に電話。
ジミーはショーンにダニーを殺したと報告する。
程なくして警官2人が到着し、マイクの話を聞かずに逮捕して連行。
パトカーから署に殺人犯が銃を持って逃走中と報告する。

外で見ていたジミーは後をつけ、パトカーが別の車と合流するのを見て妨害、
パトカーを追跡してぶつけ、事故らせてマイクを救出する。
その際、マイクを制して警官2人を射殺する。

ジミーは、今晩一晩だけ逃げおおせれば明日は自首するからとマイクを説き伏せ、逃亡させる。
ジミーは地下鉄構内でショーンの部下に襲われるが、殴り殺して難を逃れる。
ジミーはショーンに会い、ダニーを殺したことを報告し、息子に手出しをするなと言うが、
ショーンは、自分と同じ悲しみを与えると言ってマイク、ジミーの順に殺すと宣言する。

ショーンは名うての殺し屋プライス(コモン)を雇い、マイク、ジミーの順に殺すよう依頼する。
マイクはおじさん宅に行き、妻らとともに隠れる。
そこに警官を装った2人組が来るが、隠れて難を逃れる。

ジミーもそこに着き、湖畔の別荘に逃げるよう指示する。
皆は車で移動するが、マイクはレッグスが動画を撮っていたことを思い出して残り、
ジミーにレッグスを探すのを手伝わせる。

レッグスのアパートに着き、各部屋を探していると、住民に警察に通報されてしまう。
プライスも情報を入手してそのアパートに向かう。

急行した警察は、住民を全員避難させてジミーらを捜索するが、プライスもジミーを狙う。
慌てて逃げた住民の放置したフライパンから火が出て、アパートが火事になる。
ジミーはプライスに見つかり、格闘になって倒し、混乱の隙に逃げる。

ジミーは、ショーンに電話し、もう止めにしようと提言するがショーンは聞き入れない。
ジミーは改めて対決を宣言し、ショーンのバーに乗り込んで次々と部下を倒す。

ショーンは裏口から逃げ、ジミーが追う。
操車場での対決はジミーの勝ち。
ジミーに撃たれたショーンはジミーの腕の中で死ぬ。

その頃、マイクが探していると聞いたレッグスが動画を持って出頭してくる。
ハーディング刑事にダニーが殺害しているシーンを見せ、マイクの無実を証言する。

ジミーは湖畔の別荘に行き、初めてガブリエラと2人の孫と会う。
警察に連絡し自首の準備をするジミー。
逮捕されるところを見せまいと、マイクと家族は岸辺に行く。

家の中で遠くからマイクたちを眺めるジミー。
しかし、背後からプライスがジミーに一発浴びせる。

銃声を聞いたマイクは、ガブリエラらを逃がし、自分は別荘に戻りプライスを狙う。
腕前はプライスの方が上。
劣勢のマイクにジミーは倉庫からM73を取り出してプライスを攻撃するが、撃たれて倒れる。

プライスは徐々にマイクを追い詰める。
遂に弾切れ。
背後から迫るプライス。
最後の力を振り絞ったジミーはプライスの頭に一撃放ち、射殺する。
ジミーは倒れ、駆け寄ったマイクに抱えられて死ぬ。

ハーディング刑事らが現場に急行し、ジミーが残したメモを拾う。
それはジミーが、昨夜、妻マーガレットを見舞った際にメモったこれまでの殺人の記録だった。

マイクが指導するレッグスが試合に勝った。
帰宅した家では妻がクッキーを焼いている。
マイクはスーツを着込み、父との思い出の写真を見ながら仕事に出かける。

このところ、リーアム・ニーソンの役回り、キャラクターが固定化してきているようだ。

元の職業やら今置かれている立場は違うが、周りから疎まれ、過去を引きずりながら飲んだくれている。
最後に一花ではないが、ろうそくの最後のように激しく燃え上がり燃え尽きる、そんな役。

以前はそれでも死ぬまではなかったが、このところは死んでしまう役も多い。
続編は作らせないぞと言う意味合いか。

その他の要素でもストーリーに新鮮味はない。
親父に反発していながらも親父を超えられない息子とか、
過去の親子断絶が物語が展開していく中で、子が親を理解していくとか、
ありきたりと言えばありきたり。

新兵器も特殊能力もなく、肉体の限界で勝負する昔気質のアナログ親父。

これからもがんばってください。

息子役のヨエル・キナマンはスウェーデン出身。
名前のスペルはJOELだが、Jは英語のYの発音なのでヨエル。
ロボコップ(2014、アレックス・マーフィ)だったとは思いもよらなかった。
「デンジャラス・ラン」ではライアン・レイノルズがデンゼル・ワシントンを連れて行く隠れ家の管理人。

 

 

            

  龍三と七人の子分たち   

藤達也、近藤正臣、中尾彬、品川徹、樋浦勉、伊藤幸純、吉沢健、小野寺昭、ビートたけし。

龍三(藤達也)は元やくざの親分。
今は息子(勝村正信)一家と同居しているが、何かにつけうっとうしがられている。
息子が家族旅行に出かけた間に昔の兄弟分のマサ(近藤正臣)と飲みに行く約束をした。
そこに、息子を騙るオレオレ詐欺の電話がかかってきた。
まんまと引っかかった龍三は、金目のものをかき集めて受け子の田村(山崎樹範)に会いに行く。
しかし、田村は龍三と現れたマサにビビって逃げてしまう。

龍三とマサは定食屋で賭けをしながら一杯やり、昔の仲間に会いたいと言いだす。
連絡のついたはばかりのモキチ(中尾彬)らと年賀状を頼りに仲間に集合を掛ける。

上野公園の西郷像の下に集まったのは、そのほかにステッキのイチゾウ(樋浦勉)、
五寸釘のヒデ(伊東幸純)、カミソリのタカ(吉沢健)、早打ちマック(品川徹)。

散々盛り上がった7人は、もう一度、組を興したいと考え、前科を採点して龍三を組長、
マサを若頭に「一龍会」を結成する。

息子の留守に家で飲んだくれていた7人は仕事で急に帰ってきた息子に追い出されてしまう。
7人は行くところがなく、マサの住む団地に移動する。
途中で身障者を装い無理な取り立てをする徳永(下條アトム)に遭遇、
徳永に協力して金をとりたてようとするが、あこぎなやり口に嫌気がさして辞めてしまう。

7人はシマを仕切ると称してみかじめ料を取り立てに行くが、小金で体よく追い払われてしまう。

マサの団地に北条(矢島健一)が来て浄水器を取り付け、羽毛布団を売りつけようとするが、
龍三らを見てビビり逃げかえる。

龍三らは組結成の挨拶に昔世話になった組に行くが先代は亡くなっており、
息子の新社長(辰巳琢郎)はやくざとは一切付き合わないと言いつつ、
浄水器と羽毛布団を売りつけようとする。

7人は徳永の組織の京浜連合に挨拶に行くが代表の西(安田顕)は、
警察を呼び、刑事の村上(ビートたけし)は、暴対法を盾に龍三らを追い返す。

龍三らは、息子の車で近辺を回っていて、たまたま息子の会社の前で抗議デモに遭遇。
デモ隊の中に神風のヤス(小野寺昭)を見つけ仲間に引き込み、
車を街宣車に偽装して再び、息子の会社前に行く。

そこに徳永がやって来て、デモを撤収させるから金をよこせと言う。
一連の詐欺事件、違法な取り立て、押し売り、デモの処理などは京浜連合の仕業だった。

龍三は徳永を追い返し、逆に会社から金をせしめる。
皆はその金で一発当てようと競馬に行くものの、すべて外してすっからかん。

一行はモキチの孫娘(清水富美加)のいるバーに行き、龍三はママ(萬田久子)のマンションに行く。
そこに西らがやってきて、龍三は慌てて逃げかえる。

西は一龍会をつぶすために部下にモキチの孫娘を浚ってくるよう指示。
部下は、そのことをモキチに相談。
怒り狂ったモキチは、西を刺そうと京浜連合のビルに乗り込むが見つかって殴り殺される。

マサの団地でモキチの葬儀をしていた一行。
霊柩車をかっぱらってモキチを連れて京浜連合に殴り込みをかけることにした。
ヤスがイチゾウと軽飛行機でビルに突っ込み、それを合図に残りが殴り込む作戦。

しかし、飛行機に乗って舞い上がったヤスは横須賀方面へ転進。
あろうことか米軍空母に着艦してしまう。

龍三らは仕方なく、モキチを車いすに乗せて、そのまま突入し、西らと対峙する。
龍三らのいかれっぷりに怖れをなした西は逃亡。
龍三らは霊柩車で追おうとするも車は片づけられており、来合わせた路線バスを乗っ取って西を追う。

市場に西を追い詰めた龍三らは、西の手下を斬るが、やってきた村上をはじめとする警察に逮捕される。
西他、京浜連合の連中も逮捕され一件落着。

マサはこの騒ぎでポイントを稼いだため、次は俺が組長だと叫ぶが、
龍三は出所する頃には皆もう死んでる!とやり返す。

**

バカをまじめにやることによる面白さに加え、老人あるある満載。
セリフ回しのあちこち行くところもなかなか。
とは言いつつ、決して年寄りをバカにした映画ではないし、
一龍会の岡持ちなどの小ネタにも手抜かりがない。

オレオレ詐欺や悪徳商法等をすべて「京浜連合」の仕業にしたことで話が散漫にならず
「一龍会」との対立構造もシンプルになって判りやすく、テンポも良かった。

ビートたけしの部分がやや軽かったように思う。
ここは監督自らが出張るのではなく、松重豊、小日向文世などの「アウトレイジ」メンバーを
出したほうが面白かった気もしなくもない。

京浜連合のビルの受付嬢は一瞬、紗綾かと思ったが誰かは不明。
また、龍三の息子(勝村正信)の妻役は一瞬、池谷のぶえ(「ソロモンの偽証」の浅井松子の母)かと思ったがこれも不明。

 

 

           

 

 寄生獣 完結編   

染谷将太、橋本愛、深津絵里、ピエール瀧、浅野忠信、北村一輝、国村隼。

冒頭、前作(前編)のダイジェスト版が流される。
但し、説明台詞は一切なく前作を見た者がざっくり思い出せれば良い作りになっている。

警視庁では、平間(国村隼)や山岸(豊原 功補)が、寄生生物を見分ける能力を持つ浦上(新井浩文)を使い、
寄生生物か人間かを見分けていた。
浦上は、泉新一(染谷将太)に一瞬反応を見せるが、勘違いだったと語る。

三木(ピエール瀧)はやくざ事務所に乗り込んで数名のやくざを瞬殺。
翌日、東福山市役所を訪れた田宮良子(深津絵里)は市長の広川(北村一輝)らに
三木の行動を軽率だと罵る一方、泉新一は寄生生物にとっての希望だとして排除に反対する。

田宮涼子はジャーナリストの倉森(大森南朋)を使って泉新一の様子を探らせていた。
倉森は新一の存在を明かすべきと考えていたが、田宮にほだされて思いとどまる。

三木は田宮の意思に反して新一を襲う。
5人に追われていると感じたミギー(声:阿部サダオヲ)だが、その実体は三木一人。
脳と手足にそれぞれ別に寄生し、5倍の攻撃力で新一を襲う。
脳が他の4体を十分に統率しきれていないのを知ったミギーと新一は反撃して三木の首を落とす。
新一はとどめを刺そうとしたが、人が来たため諦めて逃げた。
その結果、三木は後藤(浅野忠信)が脳をコントロールした5体集合体としてよみがえった。

倉森の存在に気付いた新一は倉森を捕まえ、田宮こそ寄生生物だと明かし、
市役所全体が寄生生物に牛耳られていると話す。

広川は田宮を排除し、新一も殺そうと考える。
倉森も殺そうと考えるが、倉森本人がたまたま買い物に出かけていた時に家を襲い、
倉森の娘を殺してしまう。

人間の怖さを知らないと罵る田宮を殺そうとした草野(岩井秀人)ら広川の側近は
田宮を襲うがあっさり反撃にあった命を落とす。

山岸率いるSATは東福山市役所の寄生生物抹殺作戦に出る。
猟銃を持った男が逃げ込んだとの嘘の情報で市役所内の人を集め、
寄生生物をスキャナで検知しては殺していった。

市役所内に残っている者は、浦上を使って仕分けし抹殺していく。
広川市長も追い詰めて射殺するが、広川は人間だったので浦上にあざ笑われる。

その頃、倉森は田宮の赤ん坊を拉致し、田宮を東福山公園に呼び出す。
新一を心配して探していた村野里美(橋本愛)は田宮に出会い、新一の電話番号を聞く。

新一は里美からの電話を無視していたが、非通知の呼び出しに応じると
それは田宮であり、渡したいものがあるので公園に来いと伝える。

公園では、自暴自棄となった倉森が田宮の赤ん坊を抱え、田宮と対峙していた。
新一や平間、辻(山中崇)らの見る中、倉森が赤ん坊を投げ捨てようとし、
田宮が変化して倉森を刺殺、赤ん坊を取り返した。

警官が一斉射撃するが、田宮は逃げず、新一に赤ん坊を託して死ぬ。
里美も現場に駆けつけ、新一と再会。
平間は改めて新一に事情聴取を申し出るが、そこにSAT全滅の報が入る。

市役所に駆けつけた一行の前に、後藤は山岸の首を投げつける。
警察は後藤を銃撃するが反撃されて平間はあっさり死ぬ。

一方、新一は逃げ、後藤が追う。
コントロールが三木から後藤に替わったため、統率も取れ最強の敵となった後藤。
ミギーの脳波で位置がばれるため、ミギーを切り離してミギーだけで後藤と対峙し、
その隙に新一が背後から襲う作戦。

しかし、作戦はあえなく失敗。
新一はなすすべなくただ逃げるのみ。
放射性廃棄物のごみ処理場に逃げ込んで隠れると、そこに里美がやってくる。
右腕を半分無くした新一と会い、その晩二人は結ばれる。
翌朝、微睡の中起きた新一、手の先に「目」が出現。
ミギーの細胞の一部が覚醒したためで、後藤に位置がばれると思った新一は一人で逃げる。
果たして、後藤がやってきて新一を追う。

新一はゴミ焼却炉に逃げ込み、後藤が追ってくる。
ほぼやられっぱなしの新一だが、咄嗟に掴んだ鉄筋で後藤の腹を刺す。
後藤は鉄筋を引き抜いて新一に襲いかかり、寸でのところでミギーが覚醒して助ける。
実は切り刻まれたはずのミギーが後藤の体に融合していたのだ。

一方の後藤は新一の刺した鉄筋に付着していた放射性のゴミのせいで5体が反乱を起こし、
ついには爆裂してしまう。

それでもなお、細胞を集めて体を元に戻そうとする後藤。
新一は、自戒の念にさいなまれながら、後藤の体を火の中に投じる。

やがて、新一にもミギーとの別れがやってきた。
ミギーは度重なる激しい動きに耐えられなくなり、変化も言動も難しくなったと言うのだ。
そして、いつその姿を現すかはわからないと言い、右手に戻ってしまった。

その後、寄生生物は鳴りを潜めた。
抹殺されてしまったのか、密かに生きているのか、田宮が望んだように人間との共存を果たしたのか、
その実態ははっきりしない。

平和な日々が戻ってきたある日。デート中の新一と里美。
浦上が突然現れて里美を襲いビルの屋上に連れて行く。
追う新一に対し、浦上は「人は何故人を殺すのか。化け物の意見を聞かせてくれ。」と迫る。
里美が抗い、浦上は里美をビルから突き落とす。

咄嗟に浦上を殴り倒し、走り寄る新一の手の先から里美の手がこぼれる。
涙にくれる新一にミギーの幻想が甦ると、新一の右手は里美をしっかりとつかんでいた。

里美を引き上げた新一だが、ミギーは戻ってこなかった。
生きる事を実感する新一と里美の姿で物語は終わる。

**

原作物は原作が有名(あるいはマニアック)であればあるほど、原作との差が取りざたされることが多い。
その意味で本作でも、あそこが違う、あれがないのは変などの意見を持つ人もいるだろう。

ただ、原作と映画はメディアが違うだけでなく、ある意味別物。
使える時間の長さも違うので、ある程度整理されるのはやむを得ない。
新一の父や、加奈は(当然ながら光夫も)出てこないし、宇田も登場しないが、
そのことが物語の本質を失ってはいないし、展開にもさほど違和感はない。

いい意味で適当に端折られており、スピーディな展開でありながら、物語が上滑りしていない。
また、スピーディさが突込みどころをうまく隠蔽しつつ、緩急がうまくついている。
前後編にはなったが、全体としてよくまとめたと言う印象。

里美とのシーンでは多少、そんなことしとる場合か、と思わないこともなかったが、
省けない部分ではあったと思う。

国村隼(もともと大阪育ち)の関西弁は完璧で違和感は皆無だが、
何故、大阪弁である必要があったのかはよく理解できなかった。

 

 

      

 王妃の館   

水谷豊、田中麗奈、吹石一恵、緒方直人、安達祐実、安田成美。

パリに向かう一行。
ツアコンは朝霞麗子(田中麗奈)、客は人気小説家の北白川右京(水谷豊)、OL桜井香(吹石一恵)、
成金実業家の金沢貫一(小縣直人)とその愛人ミチル(安達祐実)。

白いリムジンで王妃の館(シャトー・ドウ・ラ・レーヌ)と呼ばれる高級ホテルに乗り付ける。
10日間のツアー代金は150万円。

一行が市内観光に出かけるや否や、ホテルのスタッフ一同は各部屋を清掃整理し始める。

程なくしてワンボックスで同じホテルに乗り付けた別の一行。
こちらは自分で荷物を運ぶ格安ツアーで29万8千円。
ツアコンは戸川光男(尾上寛之)、客は元詐欺師の怪しい男丹野二八(石橋蓮司)、
警官の近藤誠(青木崇高)と同室になるのはオカマバーのスター、クレヨン(中村倫也)、
文芸編集者の香取良男(山中崇史)と助手の早見リツ子(野口かおる)。
この組は、日中はホテルで過ごし、夜7時から市内観光に出かけると言う。

ホテルと旅行会社が結託して2組は同じ部屋をシェアし(勿論ツアー客には内緒)
豪華ツアーをポジツアー、格安ツアーをネガツアーと称しお互いが顔を合わせないよう仕組まれている。

初日は戸川がネガツアーを徹夜で連れまわしたが、そんな無理が続くわけもなく、
2日目からはツアー客を言いくるめて屋根裏部屋に泊まらせたりするものの、
やがて観光地でもギリギリの擦れ違いとなったりして、ついには部屋で鉢合わせ。

さて、北白川右京がこのツアーに参加したのは新作のアイデアを得るためで、
時々「降りてくる」アイデアを一気に書き上げては、観光を続けていた。

その物語は17世紀のルイ14世(石丸幹二)と愛人ディアナ(安田成美)
その息子プチルイこと太陽の子(山田瑛瑠)の別れと再会の物語。
宮廷シェフ(水谷豊、二役)が間を取り持つ役で、ルイ14世が息子を迎えに来るが、
結局プチルイは町に残ると言うお話。

この物語のハッピーエンドに合わせてツアー客も旅行会社を許し、めでたしめでたし。

**

何か乗れなかったな。
旅行中にとんでもない事件が起こるとか、謎解きサスペンスがあるとか期待していたが、
何もなく、ドタバタもふっきれていないし、すれ違いのばれそうでばれないドキドキ感もない。

元詐欺師も別に特異な行動をとるわけでもなく、警官とドラッグクイーンも中途半端。
「LIFE!」で感じたキャストよいしょ映画っぽく思えました。

良いよね。ルーブル美術館もベルサイユ宮殿も行ってみたいし、豪華料理も食ってみたい。
せっかくルーブルやベルサイユに行ったのに創作に直接つながった気がしない。

格安ツアーは小説では19万8千円らしい。
映画では29万8千円に変えてあったと思ったが聞き間違いか。

高い方だとしても、150万円に30万円の上乗せ。
しかも原価は掛かるわけで、粗利半分としても15万円。
全員から15万円ふんだくったとしても75万円。
たったそれだけで会社が潰れる潰れないの大事なのか。

わずか75万円のために無茶苦茶無理するくらいなら、豪華ツアー代金1割水増ししたほうがずっとまし。

屋根裏部屋があるんだったら、別にダブル・ブッキングじゃなく、最初から豪華ホテルの格安室でツアー組みゃあ良い。

直近の決済とか、利息の支払い期限とかで金が必要で、(150万+オプションの50万)×4人+(30万)×5人
として合計950万円をそれに充当するとすればあり得る話だが、だとすれば、
前金で金を支払いに使い込んじゃっていてもおかしくない。
とすれば、当面は凌げているわけで、ツアーがうまくいくかどうかは二の次。
デタラメがばれて後で金返せとなってから考えりゃいいわけで、あそこまでせっぱ詰るのは腑に落ちない。
どう考えても、設定に無理がある。

 

 

      

 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 

マイケル・キートン、エドワード・ノートン、ナオミ・ワッツ、エマ・ストーン。

NY、ブロードウェイ。
楽屋で浮遊し瞑想しているのは、かつて映画のスーパーヒーロー、バードマンを演じた
リーガン・トムソン(マイケル・キートン)。

花を買いに行っていた娘のサム(エマ・ストーン)から電話が入り、気に入った花がないと伝えられる。
とにかく匂いの良いものでバラじゃないものと、リーガンは指示するが、
そこにリハーサルの呼び出しアナウンスが入る。

リーガンの弁護士でマネジャーで舞台のプロデューサーでもある親友のジェイク(ザック・ガリフィアナキス)と、
キャストのラルフが大根で芝居をダメにしていると口論になる。

実際、台所での4人のシーンのリハーサルでラルフのへぼぶりにリーガンは切れそうになる。
突然照明が落下、ラルフを直撃して大けがを負わせる。

プレミア公開直前の今、いかに大根とはいえ、ラルフのけがは致命的だ。
共演の女優レスリー(ナオミ・ワッツ)が舞台俳優のマイク・シャイナー(エドワード・ノートン)を紹介、
早速マイクが劇場に駆けつける。

リーガンはマイクを入れてリハーサルに臨む。
多少乱暴で上から目線ながら、リーガンはマイクの才能に歓喜し、ジェイクにマイクと契約するよう促す。
金がない、と渋るジェイクだが、リーガンは別荘を売って金を作ると言いだす。

サムがマイクを楽屋へ連れて行くと、サムはその場で着替えはじめる。
そこへレスリーがやってきてサムがいるのに気付かず、サムはヤク中で危ないと悪口を言う。

共演のローラ(アンドレア・ライズボロー)が妊娠したかもしれないと言いに来る。
リーガンは喜んだふりをするが、ウソがばればれ。
リーガンの不安はますます増大する。

いよいよプレミア初日。
台所で4人が話しているシーンではマイクはほんもののジンを飲んで酔ってしまっている。
リーガンはジンを水と取り換えるが、マイクは水に怒り芝居はめちゃくちゃになる。

楽屋に戻ったリーガンに、別れた妻シルビア(エイミー・ライアン)が心配してやってくる。
リーガンはシルビアにサムに譲るはずだった別荘を売ると言ってシルビアにを激怒させる。
最終的には好きにして、と言って楽屋を出る。

リーガンはマイクを首にすると言いだすが、ジェイクはマイクの名前で切符が売れていると言って断る。

リーガンとマイクは言い争いを続ける。
近くのバーで、マイクはハリウッドの俳優に舞台のことは分からない、と罵る。
リーガンは、舞台の原作であるカーバーとのいきさつを語り、本当の評価は初日だと言うが、
マイクは売れるかどうかは批評家の評価で決まると言って指差した先には
著名批評家のタビサ(リンジー・ダンカン)がいた。

マイクはさらにいくらハリウッドで有名でもブロードウェイで知る者はいないと罵るが、
近くにいた女性がリーガンに一緒に写真を撮ってほしいとせがみ、
マイクはシャッターを押すよう言われる。

プレミア2日目。
ラストのレスリーとマイクの浮気現場にリーガンが乗り込んでくるシーン。
マイクは興奮したと言ってレスリーに本番を迫る。
レスリーが拒否して暴れているときにリーガンが乱入するシーンとなる。
マイクは股間を大きく膨らませ、観衆の笑いを誘う。
リーガンは銃で自決する最後のシーンまで演じきる。
レスリーはリーガンにマイクのことを謝るも、リーガンはレスリーの芝居をべた褒めする。

一緒にいたローラは褒められたことは一度もないと嘆き、レスリーと慰め合う。

一方、マイクはおもちゃの銃が見え見えで全く迫力がないとリーガンをなじる。
マイクが屋上に行くとサムがいて、少し語り合う。

翌日、新聞にマイクのことが大きく取り上げられるが、リーガンはベタ記事。
リーガンは楽屋で大荒れして、ジェイクになだめられる。

ラストシーン直前にマイクとサムがいちゃついているのを見たリーガンは、
気を落ち着かせようと裸にガウンのまま、外に出てタバコを吸うが、
うっかりして扉を閉め、締め出されてしまう。

さらに悪いことにガウンが扉に挟まれ、身動きが取れなくなる。
出番が迫っていることに焦るリーガンは、ガウンを脱ぎ捨てパンツ一丁で
舞台裏から劇場正面に戻っていく。

しかし、すぐに見つかり「バードマンだ」と大勢に囲まれ、動画に撮られる始末。
劇場正面から入ったリーガンは裸のまま、指鉄砲で客席から舞台に入り
(銃は小道具係がすぐに差し入れ)芝居を続けて何とか終わらせる。

パンイチで劇場周囲を駆けまわったことはYOUTUBEで人気コンテンツとなり、
TVニュースでも大きく取り上げられる。

夜、再びバーで寂しく飲んでいるリーガン。
タビサが飲み物を注文したので、知り合いだから自分が払うと言ってリーガンが持っていく。
芝居にかける意気込みを語りかけるリーガンに何の興味もないと言ってのけるタビサ。

芝居を見ないでよく書けるなと罵ると、舞台をなめているハリウッドスターは大嫌いだ
どうしようもないほどこき下ろしてやる、と言い返される。

酔っぱらってリーガンは町を彷徨い、どこかの家の階段で寝てしまう。
翌朝、目が覚めたリーガンはバードマンの亡霊(妄想)に追われ、
スターとしての自分に酔いしれる。
ビルの屋上から飛び降り、町を回って劇場に戻る。
(後からタクシーの運転手が金を払えと追いかけてくる)

リーガンはサムがまたマリファナを吸っていたことに気づく。
リーガンはサムに説教するが、サムは逆に過去の栄光にしがみついていると罵る。

リーガンが楽屋に戻るとローラが妊娠していなかったと告げに来る。
続いて出番直前にシルビアが楽屋にやってきた。
リーガンは浮気がばれた日のことを告白する。
実はその後入水自殺しようと海に入ったが、海月に思いっきり刺されて気を取り直したのだと。

シルビアが去ると、リーガンは本物の銃を取り出し、舞台に向かう。
そして、マイクとレスリーのベッドシーンに乱入し、最後のセリフを語った後、
本物の銃で自分を撃つ。

観客は総立ちで拍手を送り、前列で芝居を見ていたタビサはこっそりと舞台を後にする。

病室。
弾はリーガンの鼻を拭き飛ばし、命拾いをしていた。
ジェイクがタビサも芝居を大絶賛した記事が載った新聞を持ってきて、
リーガンが生きていたことに喜び笑う。

病室で独りになったリーガンは包帯を取り、窓から身を乗り出す。
サムが再び病室にもとってきた時、そこにはリーガンの姿はなかった。

**

劇中劇となった舞台劇は、レイモンド・カーバーの「愛について語るときに我々の語ること」

リーガン(マイケル・キートン)を追い詰めていくのは、過去の栄光だけではなく、
マイク(エドワード・ノートン)の所業だけではなく、サム(エマ・ストーン)や
ローラ(アンドレア・ライズボロー)との軋轢、
更には怪我で芝居を降りたラルフ(ジェレミー・シェイモス)との補償交渉、
こき下ろすと断言された批評家タビサ(リンジー・ダンカン)など、周りの全てに及ぶ。

遂には死を覚悟したものの、それすらも失敗に終わる。
しかし、そこでやっと多くのしがらみから解放される。
果たして最後はどうなったのかは観客に委ねられた。

冒頭の楽屋でのサムの電話の後から、舞台で銃をぶっ放すまでのほとんどのシーンを
長回し(ロングテイク、ノーカット)のように見せる演出と言うか撮影方法で、
それはそれでインパクトのある手法ではあろうが、見ている分にはだらだらと続く印象。

意識したのは舞台っぽさか、テクニック自慢か。

同じロングテイクが売りだった「トゥモローワールド」のように主要な部分を
ロングテイクにする(見せる)方がよかったように思う。

さらには事前にロングテイク風の撮り方だと知っていたので、実際にはどこで
カットが入ったのか気にしながらの鑑賞となってしまい、やや興味を削がれた。
余計な情報は入れないほうが良かった。

 

 

     

 ソロモンの偽証 後篇・裁判    

藤野涼子、余貴美子、尾野真千子、小日向文世、黒木華、佐々木蔵之介、夏川結衣、松重豊

本来なら子供たちの名前を挙げるべきなんだろうけど、前田航基以外はよく知らない。

後篇。
冒頭5〜10分ほどで前篇のダイジェストが流れ、主要部分のおさらいができる。

さて、中原涼子こと元藤野涼子(尾野真千子)は上野校長(余貴美子)に物語の続きを語ります。

夏休みに入り、城東第3中学元2年A組の面々は学校内裁判の準備を進める。

検事を務める藤野涼子(藤野涼子)と倉田まり子( 西畑澪花)、向坂行夫(若林時英)は勿論、
判事の井上康夫(西村成忠)、弁護人の神原和彦(板垣瑞生)、野田健一(前田航基)も真剣だが、
他の面々は書記や陪審員役の生徒も含め、いまいち熱心さに欠ける様子。

それぞれが積極的に捜査を重ねていく。

そんな中、三宅樹里(石井杏奈)の母、未来(永作博美)は、TV局の茂木悦男(田中壮太郎)に電話し、
告発状を書いたのは自分で、裁判を止めさせるよう言うが、つい「うちの樹里が」と言ってしまう。

茂木は藤野に接触し、三宅樹里が告発状を書いたらしいと言い、裁判のことを聞こうとするが、
藤野は森内先生(黒木華)が茂木のせいで学校を辞めたことを根に持っていて、話をすることを断る。

神原は大出俊次(清水尋也)に裁判に出席するよう説得を続ける。
頑強に拒絶していた大出だが、自宅火災が自作自演による放火だと分かり父が逮捕され、
母を安心させるためとして出廷を承諾する。

藤野らは柏木の両親に依頼し、柏木の家の通話記録を手に入れる。
事件の日、つまり1990年12月24日の夜、柏木宅には両親の知らない4本の電話があった。
藤野らはその電話の主を調べるが、いずれも公衆電話であり、電話を掛けたものは見つからない。
唯一の目撃者である電気店店主(津川雅彦)も大出やその取り巻きに見覚えはない(覚えてない)と言う。

交通事故死した浅井松子(富田望生)の追悼演奏会が行われることになった。
松子の父、洋平(塚地武雄)は裁判に反対するが、母、敏江(池谷のぶえ)は夫をなだめる。

藤野らは三宅樹里の家を訪れ、裁判への出廷を要請する。
母、未来は激しく反対し追い返す。
しかし、樹里は藤野を呼び出し、裁判に出る、裁判でホントのことを言うと告げる。

藤野涼子は大出の家の放火犯が当日の夜、大出俊次に会ったと証言してくれるよう父(佐々木蔵之介)に頼む。
当然無理だが、思い余って涼子は家を飛び出し、追う父の目の前で車に轢かれそうになり、
かつて三宅樹里と浅井松子が大出にいじめられているのを見ながらやり過ごし、柏木に罵られたことを話す。

裁判の最終リハーサルの日、藤野は神原に電話の主が不明だと告げると、
神原は柏木が自分で掛けたとの説を語る、しかし、それは電気店店主によって否定される。

いよいよ裁判当日。
法廷に模された体育館は生徒や先生方、保護者などで一杯になった。
しかし、参加者は皆、浮ついた態度で「裁判」に参加する態度ではない。
思い余った浅井洋平が「裁判をさせてやってくれ」と叫び、ようやく静かになる。

判事役の井上(以下、井上判事)はこれは模擬裁判であり、実際に誰かを裁くものではないことを宣言。
裁判は5日間にわたって開かれることとなった。

証人は事件を担当した佐々木刑事(田畑智子)、そして元校長の津崎(小日向文世)。
元担任の森内らが証言台に立つ。

本件は、柏木の転落死が他殺で大出が犯人かどうか、が争われているわけだが、
裁判では嫌疑とは直接関係ないこと(例えば、元校長の須崎が本心から生徒のことを思っていたとか)
もあらわになってくるわけだが、大出が犯人かどうかまでは判然としない。

三宅樹里が証言台に立つ。
藤野は当然三宅自身が告発状を書いたと証言するものと思っていたが、
三宅は事件を見たのは浅井松子であり、告発状を書いたのも松子、自分は投函に付き合っただけと証言、
弁護側の反対尋問を拒否して立ち去る。

3日目、大出の家の放火の実行犯の弁護士が大出のアリバイを証言する。
放火実行犯が前日、つまりクリスマスイブの深夜大出宅で本人を見たと言うのだった。

4日目には、大出が証言台に立ち、ふてぶてしい態度で対応するが、
神原に次第に追い詰められ、過去のいじめの数々を暴露される。
三宅樹里は自分に対するいじめを告発するものと感じ、思い余って失神する。

保健室に運ばれた三宅は藤野に松子が死んだ日のことを語る。
松子は、あの夜三宅の家に行く途中事故に遭ったのではなく、三宅樹里に会い、
樹里が実際には事件を見ていないのに告発状を書いたことを知って、ショックを受け、
泣きながら家に走って帰ろうとし、三宅の見ている前で事故に遭ったのだった。

真実を語り泣き崩れる樹里に母は藤野を罵り追い出してしまう。

最終日。
本来ならこれで結審し、陪審員が評決を下す段取りの所、検察側から新たな証人の申請が出る。
しかも、藤野は申請2名のうち、一人はまだ名前が明かせないと言う。

最初の証人は電気店店主。
例の4通の電話の最後の公衆電話近くの店。
藤野らが見せた写真に心当たりはなかったはずの店主は、電話をかけていた生徒はここにいると言い、
神原を指差したのだった。

最後の証人は神原。
井上は怒るが、藤野のため最後までやるとして神原を証言台に立たせる。
神原は柏木と電話をした経緯について語りはじめる。

あの日、柏木は神原を呼び出し罵っていた。
父が母を殴り殺し、監獄で自殺したと言う不幸を背負いながら、養父母に引き取られ、
自分が落ちた東都大学付属中学に合格し幸せに暮らしている。

柏木は今は幸せと言う神原の言葉が本当か確かめるとして、神原と両親の思い出の場所を巡らせ、
悲しい不幸を思い出させようと考えた。

しかし、それは逆効果だった。
神原はそれまで封印していた両親との思い出を思い出し、悲しい出来事だけでなく、
楽しかったことも思い出したのだった。

電気店からの最後の電話で神原が失意に落ちなかったことに柏木は激怒し、
深夜学校に呼び出したのだ。
絶対無理だと言っていた神原だったが結局は柏木の言うとおり、学校の屋上に行った。
思い出の場所めぐりが楽しかったと言う神原に対し、柏木は激しく罵り、
神原は友達じゃなかったんだと嘆く。

帰ろうとする神原に対し、柏木はフェンスを乗り越えて「帰るなら死ぬ」と言ってのける。
神原は「死ぬなら死ねば」と言ってその場を去り、実際に柏木は死んだ。

神原は自分が柏木を死なせた、自分が殺人犯だと告白、大出は怒り狂うが取り押さえられる。

審理はそれで終わり、陪審員は別室で評決を決める。
いよいよ判決。
井上の指示により、陪審委員長が読み上げた評決は大出は無罪。

閉廷を宣言しようとする井上に対し、神原は自分の判決はどうするのかと迫る。
ここは誰も裁かないし、ましてや神原を裁く場ではないと井上は答え、
藤野も神原一人が悪いわけじゃない、と語る。

裁判は終わり、大出は神原に食って掛かるように見えたが、実は握手をして別れ迎えに来た母と帰る。

中原涼子の語りは終わり、上野校長はそれ以来いじめも自殺もなくなった理由が分かった、と伝える。
その後について、中原は私たちは友達になりましたと答えるのだった。

結局は当初の警察の見込み通り、柏木は自殺だった。
それも神原に対するいわれのない独りよがりの逆恨みが原因だった。

小説では真相は神原の証言のみであり、読者はそれが本当かどうか疑念を持ちつつ終わる、
と言うことのようだが、映画では断定的に描かれているように感じた。

前作で陸橋の上で三宅と浅井が大出に虐められているのを見た藤野が柏木に罵られるが、
時系列を勘違いして、あれは藤野の妄想(柏木は亡霊)だと思っていた。

しかし、実際に生きていた柏木に罵られていたもので、三宅が告発状を書くに至った、
大出の虐めの一部を紹介するシーンだった。
「なぜ、助けに行かないの。」は死んだ自分を助けてくれなかった同級生に対する告発で
虐められて殺された、あるいは虐めを苦にして自殺した、柏木自身の助けを求める声に
気付かなかったのか、気付いても無視していたのか、と問い詰めるシーンだと思っていた。

しかし、柏木が生きていて藤野を罵っていたとなると随分印象が違う。
長身で乱暴者、問題児の虐めシーンに遭遇した上、三宅をかばって自身も痛めつけられている浅井を見て、
恐怖で身がすくんだとしてもやむを得ない。
せいぜいできたとして誰かの助けを呼ぶくらいだろう。
藤野を罵る暇があるなら、柏木こそ助けに行けば良いじゃないか、と思ったのは私だけか。

いずれにせよ、柏木がひねくれた優越感の裏返しの劣等感の持ち主で、上から目線の嫌な奴、
善人ぶって人を偽善者と決めつける「本物の偽善者」であることは間違いない。

神原が早く真実を述べなかったことが浅井松子の死とどれだけ関連があるかは何とも言えないが、
少なくとも柏木を追い詰めたわけではない。

自分より劣ると思っていた神原が自分が落ちた中学に合格した腹いせかもしれないが、
結局は自分で自分を追い込んだのだ。

三宅樹里も裁かれない。
彼女も屈折した感情の持ち主で劣等感の裏返しで、見下した人間に傲慢な態度を取る。
もとより学校内裁判の原告でも被告でもないが、松子の死の真実を両親が知ったとしたら、
到底許せないだろうし、藤野に知られてしまった以上、学校には居られない。

生徒たちの言動はいかにも中学生らしい。
真面目なのか不真面目なのか、一生懸命なのかいい加減なのか捉えづらい点がリアル。
いい大人が中学生の役を演じているのではない本物の中学生のリアリティがあった。

中心的役割の生徒たちはみんなうまかった。
中でも今までエキストラ程度の経験しかなかったと言う藤野涼子の演技も見事だった。
しかし、本作ではかなり偏ったというか、一部の感情しか引き出されていないこと、
藤野涼子と言う芸名が本当に彼女のためになるのか、今後の活躍に期待したい。

前作同様、井上が「裁判長ではなく判事」と同級生をたしなめるシーンがある。
前作の感想でも書いたが、「判事」は職位であり、裁判官の中で一定の要件を満たした人を判事と言う。
裁判官と判事は、警察官と刑事、教師と教頭、のような包含関係にある。
また裁判で裁判官が複数いる(合議審)場合にその代表を裁判長と呼ぶのであり、
裁判官が一人(単独審)の場合に裁判長と言うのは正確には誤用である。

 

 

    

 ジュピター    

ミラ・クーニス、チャニング・テイタム、ショーン・ビーン、エディ・レッドメイン。

宇宙族と人間族というか、人間対宇宙人と言うか、まずは物語の構図を明示しておく。

宇宙の支配者でアブラサクス家の長男バーレム(エディ・レッドメイン)
その妹にカリク(タペンス・ミドルトン)、弟にタイタス(ダグラス・ブース)

カリクもタイタスもそれぞれの支配地域を持っているが、ともに地球を狙っている。
ただ、地球は価値が高く、バーレムは譲ろうとしない。

彼らの祖先が地球に人類をもたらしたので、彼らが人類と同じ外見をしているのは道理となっている。

バーレム、カリク、タイタスの亡き母で先代の女王と全く同一のDNAを持つ女性が地球にいることが分かる。
先代女王の遺言か、この王族の習わしかはわからないが、この女性が現在の長男を乗り越えて
無条件に王位継承優先権を持つことになるため、バーレムはこの女性を抹殺しようと考えている。

ロシア人の夫婦。
夫は天体観測を趣味としていたが、ある時強盗に入られ、天体望遠鏡を盗まれるのを阻止しようとして射殺されてしまう。
妊娠中だった妻は一族とともに密出国し、船内で女の子を産み、アメリカに密入国する。
女の子は夫の望んでいたジュピターと名付けられる。
アメリカで成長したジュピター(ミラ・クーニス)は一家でホテルの清掃等で暮らしているが、
一向に楽にならない毎日の生活には辟易している。

ある日、ジュピターはネットでかつて父が持っていたものと同じタイプの天体望遠鏡を見つけ、
給料の前借りを頼むが断られ、家族に勧められて卵子の提供で金を工面しようと考える。

ここから物語は一気に展開する。

ある日、ジュピターの家に宇宙人が襲来し、同居するキャサリンが襲われる。
ジュピターは宇宙人の写真を撮るがなぜかすっかり忘れてしまう。

病院で手術台に乗せられたジュピターは検査されると、窒息死させられそうになる。
そこにフライングブーツをはいた男(チャニング・テイタム)が乱入、医師や看護師らと銃撃戦になる。
医師や看護師らは宇宙人でその正体を現し、結局は男に撃退され、ジュピターは助けられる。

意識を取り戻したジュピターだが、男はケイン・ワイズと名乗り、ジュピターを連れて帰るよう命令されていると言う。
とりあえず納得したジュピターをトラクタービームで宇宙船につれて上がろうとするケインを
攻撃型宇宙船が襲い、シカゴの町を破壊しながらの追撃戦となる。

ケインはすべての敵を撃破するが、ジュピターを宇宙船へ連れて行くことに失敗したため、
仲間とされるスティンガー・アピーニ(ショーン・ビーン)に家に向かう。

尚、破壊されたビル群は瞬く間に修復され、人々の記憶は改ざんされ何事もなかったことにされる。

スティンガーの家は養蜂家を装っていた。
スティンガーは激しく激怒してケインを叩きのめすが、ジュピターを蜂が取り囲むのを見てひざまずく。
蜂は女王のDNAを感知するようにプログラムされていると言うのだ。

かつて王族に歯向かったため、羽をもぎ取られていたケインとスティンガーだが、
ジュピターが王位を継承し、地球を支配するための手続きを行うと言う。

そこにまた病院にいた宇宙人らが襲ってきて、ジュピターは逃げきれないが、
最初のシーンでケインを襲った別のグループ(ペ・ドナら)が宇宙人を倒し、ジュピターを浚っていく。

ケインはかろうじて宇宙船にしがみつく。
行き先はカリクの城。

カリクはジュピターに亡き母の彫像を見せるとそれはジュピターに瓜二つだった。
カリクは見かけ40歳くらいだったが、14000歳だと言い、母は9万歳で亡くなったと言う。
そして、ジュピターの目の前で細胞再生風呂に入り、20代の若さに甦った。

カリクの城にスティンガーらが到着。
カインと合流し、ジュピターをカリクから引き離し、首都星に連れて行く。
そこでジュピターはたらいまわしに遭いながら、なんとか前女王の権利継承を果たす。
こうして地球はジュピターの物となった。

スティンガーはジュピターを拉致してタイタスの元に連れて行く。
ケインは後を追うが、見つかって宇宙空間に放出されてしまう。
ケインは何とか非常用の宇宙服で助かり、その後、酸素欠乏になるが、味方の艦に助けられる。

タイタスはジュピターに大量のガラス瓶を見せる。
1本の瓶に人間100人のエキスが詰まっていると言う。
そしてそれが王族の若返りの秘密であることをばらす。

タイタスはジュピターと結婚すれば人間をエキスにするのを止めさせると言い求婚する。

スティンガーは逮捕され、カインにタイタスの計画を喋る。
それによれば結婚した後、ジュピターを殺し自分が権利を相続すると言うのだ。
カインはスティンガーとともにタイタスの迎撃を突破してタイタスの艦に突っ込み、
ギリギリでジュピターとタイタスの結婚の成立を阻止する。

ジュピターはカインと地球に戻るが、カインに免罪符を渡すものの仲違いしてしまう。

一方、バレムはジュピターが生きていることを知り、ジュピターの家族を拉致する。
地球に戻ったジュピターは拉致された家族を救うため、バレムの部下と木星の基地に向かう。

カインやスティンガー、戦艦もその後を追うが引き離され、シールドに阻まれて木星に入れない。
バレムは家族の命と引き換えに王位放棄とバレムへの継承を迫り、ジュピターは承諾する。

王位継承手続きが進み、あと少しと言うとき、ジュピターはバレムが人間を収穫するつもりだと分かり
手続きを中断する。

カインらの乗った戦艦は木製のシールドのわずかな隙間を見つけ突入。
その衝撃で木星の基地のバランスが崩れ崩壊し始める。

バレムは、亡き母を殺したのは自分だと白状し、同じようにジュピターも殺そうとする。
しかし、木星基地の瓦解とともになんだかんだあって、バレムは墜落死、ジュピターは助かる。

ジュピターの家族は記憶を消されて地球に戻り、また以前の生活が戻ってくる。
家族はジュピターに天体望遠鏡をプレゼントし、喜ばせるが事件のことは全く覚えていない。

ジュピターは羽を取り戻したカインとシカゴの空中デートをするのだった。

**

CGはすごいし、宇宙船などのメカの造形もすごい。
ただ、宇宙人はありきたりで、どこかのSFやファンタジーで見たようなものばかり。

人物設定も物語も時代錯誤的で中身は薄っぺらく、映像はすごいが、ストーリは安っぽい。

ミラ・クーニスを始めてみたのはなんだっけかな。
「マックス・ペイン」の時はもう知っていた気がするが、それ以前の出演作は見ていない。
「ブラック・スワン」は良かったが、それ以外は何となく際物扱いの気がしなくもない。

 

 

   

 イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密 

ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マーク・ストロング、マシュー・グッド

1951年、1939年、1927年が並行に進行する編集。
粗筋を単純化するため、映画の展開とは関係なく、時系列を分かりやすく記述する。

まずは1951年(史実では1952年)から。
マンチェスター大学の数学教授であるアラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)の家に強盗が入った。
通報を受けて捜査に訪れたノック刑事(ロリー・キニア)に対し、チューリングは何も盗まれていないと強弁、
刑事らを追い返してしまう。

不審に思ったノック刑事は捜査を続けるが、出てきたのはチューリングが同性愛者である証拠だった。
事件の直前にチューリングと同性愛だった若者が強盗を働いたのだった。
チューリングは逮捕され(当時、同性愛は違法)ノック刑事の尋問を受けることになる。
単なる同性愛事件とは違う何かを感じたノック刑事は、チューリングの論文に関連し、
「機械は思考するか?」(Can machines think?)と問い、
チューリングは驚愕の事実を語りはじめる。

1927年、寄宿舎生活をしていたチューリング(アレックス・ローサー)はいじめられっだった。
チューリングを助けてくれたのは同級生のクリストファー・モルコム(ジャック・バノン)。
チューリングは唯一の友人であるクリストファーといつも行動を共にしていた。
チューリングはクリストファーが読んでいた「暗号」の本に興味を惹かれ、暗号文でやり取りをするようになっていた。

最終学年の1930年、2週間の休暇の後、始業を控えて学生が寄宿舎に戻ってくる中、クリストファーは戻ってこなかった。
暗号文で好きだと告発しようと考えていたチューリングはがっかりするが、程なく校長に呼ばれる。
校長はクリストファーが結核で亡くなったと伝えるが、チューリングは平静を装うのだった。

1939年、ドイツとイギリスは戦争に突入する。
アラン・チューリングはブレッチリー・パークを訪れ、デニストン中佐(チャールズ・ダンス)と面接する。
チューリングが気に入らないデニストンは、追い返そうとするが、チューリングの「エニグマ」の言葉で採用を決める。

採用されたのはチューリングの他、チェスの世界チャンピオン、ヒュー・アレクサンダー(マシュー・グッド)、
ジョン・ケアンクロス(アレン・リーチ)ら5人。

当時まだ知られていなかったMI6のスチュアート・ミンギス(マーク・ストロング)がサポート役だ。

エニグマは当時解読不可能と言われた暗号/暗号器で、平文を暗号化し、暗号を再びエニグマに入れると復号されるものだった。
イギリス軍は毎日膨大な数のドイツ軍の暗号を傍受していたがまったく復号できていなかった。

イギリス軍にはポーランド軍が捕獲したエニグマが1台あったが、復号には複数のローターの組み合わせと順序が必要で、
しかもそれは毎日午前0時に変更される運用となっていた。

毎日最初の暗号傍受の午前6時からその日の深夜0時までにローターの組み合わせと順序を解明しなければ、
その日の解読作業は無駄になってしまう。

ローターの組み合わせ順序を総当たりで解読するには到底人手も時間も足りなかった。
ある程度の推測で正しい組み合わせ順序を見つけるしかなかったが、
チューリングは人手での解読は不可能と考え、他のメンバーと協力せず、一人で解読器の設計にかかりきりになる。

他のメンバーとの協調を重視するデニストン中佐はチューリングを首にしようとするが、
チューリングは自分のやり方が唯一の解決法であるとしてチャーチルに直訴する手紙を書き、
自分がリーダーとして解読器の製作を続けられるようにした。

そして、チームのうち2人を首にし、新聞に難解なクロスワードパズルを載せて要員を募集する。
そして応募してきた人員に自身でも8分かかる暗号解読を6分で解かせるテストを行うが、
唯一の女性であるジョーン・クラーク(キーラ・ナイトレイ)が5分54秒で解いてしまう。

チューリングはジョーンを表向きは通信傍受係と同じ職場に着かせ、解読器製造を進める。
やがて、解読器は完成するが、その解読作業は遅く、所定の時刻までにローターの解析はできなかった。

ヒューらも解読器の高速化のアイデアを出すが、成果が上がらなかった。
そのうち、メンバーの中にソ連のスパイがいる疑惑が生じ、デニストン中佐はチューリングを疑がった。

官憲の捜査で全く怪しいものは見つからなかった。
ヒューは見つかった暗号がいわゆるビール(BEALE)暗号で、聖書の一説がキーになっていると見抜き、
チューリングにしては簡単すぎると断言するのだった。

やがて、ジョーンの両親から退職して帰郷し結婚しろとの連絡が入る。
暗号解読にジョーンが欠かせないと考えたチューリングはジョーンに求婚し、二人は婚約した。

その後も暗号のローター解析は時間までに終わらない。
業を煮やしたデニストン中佐はチューリングの機械を停止し、首を宣言するが、
駆けつけたヒューらがチューリングを首にするなら自分たちも辞めると言って1か月の猶予を取り付ける。

しかし、期限が近づいてもなかなか作業は進まない。
ある日、バーでみんなで飲んでいるとき、チューリングはケアンクロスに婚約を後悔していると語る。
それは自分が同性愛だからで、ケアンクロスは知っていたが秘密にしておくべきだと語る。
ヒューんがナンパしたジョーンの同僚の女性が、自分が傍受している電信兵には恋人がいると言いだした。
その電信兵は必ずCILLYで始まる暗号を打つ、というのだ。

必ず現れる文字列、それこそが平文推定の鍵。
彼女が毎朝6時に受診していた暗号文は気象通報、そして文の最後はハイル・ヒットラー。
推定されたクリブ(平文のサンプル)に沿って解読器を動かすと、暫くのち機械は停止し、
ローターの組み合わせ順序を導き出した。

直ちにエニグマに暗号文を入れると見事に復号された。
次々と復号される暗号文はドイツ軍Uボートの位置を暴き出した。
そしてその先にいるイギリスの輸送船団を狙っていることも判明した。

直ちに軍に連絡を! 焦るヒューらは、解読されたことを知らせるべきではないとするチューリングと喧嘩になる。
軍に連絡すれば、ドイツ軍にエニグマの解読がばれるからだ。
兄が船団の護衛船にいるから助けて、と懇願するピーター・ヒルトン(マシュー・ビアード)も無視して。
混乱の中、チューリングはケアンクロスの机にあった聖書に折込があり、ヒューの言っていた一節だったことを知る。
つまり、ソ連のスパイはケアンクロスだったが、ケアンクロスは味方だと言い、同性愛をネタをチューリングを脅す。

チューリングはジョーンとともにミンギスに会い、エニグマの解読をデニストン中佐にも秘密にするよう依頼、
ミンギスは承諾する。
この後、暗号は解読されつづけるが、軍に知らせるものを選別し、ドイツ軍に解読がばれないよう工作する。

ある日、チューリングが家に戻るとミンギスがいて、ジョーンを軍刑務所に送ったと言う。
家にドイツ軍の暗号があったのが証拠で、ジョーンはソ連のスパイだと言う。
チューリングは焦ってその暗号は以前自分が持ち出したものでケアンクロスがスパイだと暴露するが
ミンギスは「知っている」と答える。
元々ソ連のスパイだと知っていて仲間に入れ、ケアンクロスの流す情報を操作していたと語る。
ジョーンは買い物に行っただけ、暗号文は自分が廃棄すると言って持ち帰る。

チューリングはこのままではジョーンに危機が迫ると考え、婚約破棄を伝える。
同性愛者なのは知っていたと言うジョーンに、チューリングはジョーンを利用しただけと告げ、婚約は破棄される。

チューリングらの活躍で連合軍側の作戦は多くの成果を上げ、戦争の終結は2年早まったと言われる。
終戦に際し、ヒンギスの指示ですべての書類は焼却され、メンバー全員は一切を秘密にして別れる。

舞台は1951年に戻る。
ノック刑事はチューリングの全ての告白を聞き驚愕するが、そのことは伏せられ、
結局チューリングは同性愛で有罪となり、入獄ではなく科学的去勢(ホルモン投与)を選択する。

久しぶりにチューリングの元を訪れたジョーンは、やつれたチューリングに驚くが、
クリストファーと名付けたチューリングマシンを手放さないためには受け入れざるを得なかったと嘆く。

物語はここで終わる。
1年後(史実では1954年)チューリングは青酸自殺し、その生涯を終える。

チューリングマシンは後のコンピューターの礎となったが、
チューリングの業績はその後も長く極秘事項とされていた。
その後、イギリス政府によって2009年に同性愛告発に対する謝罪が行われ、
2013年、正式にチューリングに恩赦が与えられた。

***

当時、イギリスでは同性愛が法的に禁止されており、違反者に対しては
性欲を抑えるためと称して女性ホルモン投与が行われていたらしい。

チューリングの功績は戦時中の機密が解除される以前から評価されており、
1966年からはコンピューターのノーベル賞と言われるチューリング賞はその名に由来する。

MI6は、イギリスの対外工作情報機関であり、ジェームス・ボンドの所属機関である。
(007の原作者のイアン・フレミングもMI6に関わっていたとされる)
MI6はWW2中によく知られるようになったらしいが、1939年当時、
まだ知られていなかったのかどうかはよくわからない。

チューリング、チューリング・マシンがコンピューターの開発に大きな役割を果たしたことは言うまでもないが、
業界人の間で一般に知られている最初のコンピューターはENIAC(エニアック)であり、
現在のほとんどのコンピューターの構造であるプログラム内蔵型(ストアドプログラム方式)の
コンピューターはノイマン型コンピューターといわれる。

このノイマンとはマンハッタン計画にも大きくかかわったフォン・ノイマンである。

映画のタイトルでもある「イミテーション・ゲーム」(模倣ゲーム)とは、
もともとはABCの3人で構成されるゲームで、Aを男性、Bを女性、Cを質問者として、
CはA、Bと文字でのみ会話し、どちらが女性かを見分けるテストである。
AもBもCに自分が女性であると思わせるように回答する、というものである。

チューリングは「機会は思考できるか」(Can machines think?)と言う問題に対し、
Aを機械で置き換えたテストを考えた。

Aを機械、Bを人間とし、Cが質問者としてA、Bそれぞれと会話し、どちらが人間か判断する、というもの。
もし人か機械かを見分けられないとすれば、それは機械が思考していると考えて構わないのではないか。

ただ、この推論には当然ながら反対もあって、様々な反論がなされている。
会話については思考(知的解釈)による回答ではなく、単純なキーワード抽出とデータベースとのマッチングで
それらしい回答を作り出すこともできる(人工無能、人工無脳、あるいは会話ボット)と言われている。

エニグマは、非常に単純に言えば、換字式の暗号である。

ただし、換字用のローターが複数枚使用されており、その組み合わせと初期位置によって換字のパターンが変わる。

さらに1文字ごとにローターが回転してパターンが変わるため換字のパターンは膨大となる。

当初、3ローターのエニグマが使われていたが、1932年にはポーランドによって解読され、
ドイツ軍は5ローターのエニグマに切り替えた。
1939年にはチューリングらによってそのエニグマも解読される。
チューリングの機械はボンブ、またはチューリング・ボンブと呼ばれる。

映画ではその後について詳しく述べられていないが、ドイツ軍はさらに複雑なローレンツ暗号機を採用した。
しかしこれもコロッサスと呼ぶ解読器によって破られている。

ただ、ボンブもコロッサスも暗号文から平文を解読するものではなく、暗号機のキー
(ローターの組み合わせ、順序や初期位置など)を判別するもので、ワイヤードロジックによる
専用機であるため、今の概念ではコンピューターとは呼ばれない。

 

 

 

 

 

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