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今年の累計:57(3)[16] 本 ( )は試写会
[ ]は邦画
1−3月期:13(0)[2]本 、4−6月期:16(0)[5]本、7−9月期:15(0)[4]本、10−12月期:13(3)[5]本  
10月:6(3)[3]本、11月:4(0)[1]本、12月:3(0)[1]本  
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   ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー  

フェリシティー・ジョーンズ、マッツ・ミケルソン、ディエゴ・ルナ、フォレスト・ウィテカー。

惑星ラ・ムーで暮らす一家。
帝国軍の接近に父、ゲイレン・アーソ(マッツ・ミケルソン)は、娘と妻に逃げるよう指示する。
一旦は逃げた娘のジンだが、気になって戻り、物陰から様子を見る。

父を連れ戻しに来た帝国軍司令のクレニック(ベン・メンデルスゾーン)は抵抗する妻のライラを射殺してゲイレンを拉致する。
ジンは焦って地下の隠れ家に逃げ込んで難を逃れる。
その後、ジンを助け出したのはソウ・ゲレラ(フォレスト・ウィテカー)だった。

時が経ち、大きく成長したジン(フェリシティー・ジョーンズ)は偽名を使っていたが、強制収容所に入れられていた。
そこへカシアン・アンドール(ディエゴ・ルナ)らの反乱軍が現れてジンを脱獄させる。
ジンは反乱軍からも逃げようとしたが、アンドロイドのK−2SOに捕まる。

反乱軍の基地に連れていかれたジンに、司令官のモン・モスマ(ジェネビーブ・オ’ライリー)は、
帝国軍が建設中の究極兵器の完成を阻止するため、同じ反乱軍でありながら反目するソウ・ゲレラと接触し、
ゲイレン・アーソ救出に協力するよう依頼する。
表向きはゲイレン・アーソの救出だが、カシアンにはゲイレンを見つけ次第殺すよう裏指令が与えられていた。
何しろ、その究極兵器の設計者はジンの父のゲイレン・アーソなのだ。

一方、帝国軍の貨物船パイロットのボーディ・ルーク(リズ・アーメッド)は帝国軍を離脱し、
ゲイレン・アーソからの伝言を持って、ソウ・ゲレラの反乱軍に接触し、何とかゲイレンの伝言を伝える。

モン・モスマの命を受けたカシアン・アンドールとK−2SO、ジン・アーソはソウ・ゲレラの本拠地のある
惑星ジェダに向かう。

既にジェダの中心地は帝国軍に支配されており、ジンとアンドールは帝国軍と反乱軍の交戦に巻き込まれる。
盲目の剣士、チラート・イムウェ(ドニー・イェン)とマシンガン、ベイズ・マルバス(ウェン・チャン)に
助けられて難を逃れたジンとアンドールは、反乱軍に連れられ、ジンはソウ・ゲレラと再会を果たす。
恨みつらみの一悶着あって、ソウ・ゲレラは人にボーディの持ってきたホログラムメッセージを見せる。

メッセージの主はゲイレン・アーソで、それによれば、究極の兵器、デス・スターには惑星を破壊するパワーがある。
自分抜きでも開発できると知られないためにわざと協力し、その中心部に欠陥を仕込んでおいた。
そしてその設計図を帝国軍の支配する惑星スカリフのシタデルタワーのデータバンクに入れてあるというのだ。

その頃、クレニックを叱責するターキン提督(顔:ピーター・カッシング、演者:ガイ・ヘンリー)は、
完成間近のデススターの威力を示すよう迫る。
クレニックは、ジェダの中心部に一撃を加えて破壊。
その衝撃がソウ・ゲレラの基地まで迫る。

足が悪く逃げられないというソウ・ゲレラを見捨てて、ジンやアンドール、イムウェ、マルバス、カシアンは逃げ、
寸でのところで機に乗り込んでハイパースペースに脱出した。

ジン、アンドールらはゲイレンを探しに惑星イードゥへ移動するも、悪天候で着陸に失敗して機は大破してしまう。
ジンとアンドールはゲイレンを見つけ、ジンはゲイレンの救出に向かうが、アンドールは狙撃を試みる。

クレニックは情報漏洩の主がゲイレンだと知り、ゲイレンを射殺する。
一方、アンドールの連絡を受けた反乱軍が攻撃を開始し、現場は大混乱となる。

カシアンが帝国軍の輸送機を盗んで脱出し、一行は反乱軍の基地に戻る。

デススターの圧倒的破壊力の前に反乱軍は反抗意欲を失う部隊が続出し、ジンの進言する設計図強奪作戦は却下される。
ジンはアンドール、カシアン、イムウェ、マルバスらに賛同する有志を載せて勝手に輸送機で惑星スカリフに向かう。

その際、管制塔にコードネームを問われたカシアンが咄嗟に「ローグ・ワン」と答えた。
スカリフはシールドで覆われているが、ジンらは帝国軍の輸送機なので入り込めた。

一方、反乱軍のうち、攻撃を是とする部隊はジンらを追ってX−ウィングでスカリフに突入するも、
シールドが閉められて数機しか入り込めない。

マルバスらは爆薬を仕掛けて大勢の攻撃に見せかけるが、多勢に無勢でやられていく。
ついにイムウェもマルバスも倒れる。
カシアンは地上でデータ伝送の準備に入るが発見されて爆死する。

一方、ジンとアンドールはデータバンク内に入り、K−2SOが入り口を死守するが結局やられる。
データの場所を特定したもののクレニックに見つかってアンドールは落下。
ジンはデータを抜き取ってアンテナ棟に向かう。

アンテナ棟でデータを送信しようとしたがクレニックが襲ってきてやられそうになる。
そこへ落下したはずのアンドールが現れてクレニックを倒す。

上空では反乱軍がスターデストロイヤーを衝突墜落させてシールドマシンを破壊し、
シールドが壊れて、データ送信が可能となり、ついに設計図データが反乱軍に渡る。

その頃、ターキン提督はデススターを使ってスカリフを攻撃を指令。
ジンもアンドールも爆発に巻き込まれて死ぬ。

一方、データを受け取った反乱軍は、乗り込んできたダースベーダーにやられながらも、
ギリギリでレイヤ・オーガナ(=レイヤ姫、顔:キャリー・フィッシャー、演者:イングビルド・デイラ)に託され、
それは何かと問う兵士に「希望よ(HOPE)」と答えるところで映画は終わる。

***

2005年の「スター・ウォーズ/エピソード3」と1977年の「スター・ウォーズ/エピソード4」の間の物語で、
時系列的にはエピソード4に直結する。

この後、レイヤ姫はデススターの設計図とオビ・ワン・ケノービへのビデオ・メッセージをR2D2に託す。
R2−D2はC−3POとともに宇宙船を脱出してオビ・ワンのいるタトゥイーンに到着し、
ルーク・スカイウォーカーに引き取られてメッセージが露呈する、と言う展開になる。

「エピソード4」でかの有名な説明字幕が奥に流れていくオープニングの一節、
Rebel spies managed to steal secret plans to the Empire's ultimate wepon,
the Death Star, an armored space station with enough power to destroy an entire planet.

反乱軍のスパイが帝国の究極兵器で惑星全体を破壊するに十分な威力を持つ
武装宇宙ステーション、デス・スターの秘密の設計図を何とか盗み出した。

が、いかにして行われたのかを映画にしたのが本作、と言うことになる。
直接の続きが「エピソード4」なので、新たな「ローグ・ワン」の続編は作りづらい。
さらに言えば、続編の期待を一気に雲散霧消させるためか、主要人物は次々と死んでしまう。

次を考えずに退場してもらえるという点では、思い切った展開も可能で、その意味で潔いストーリーとなっている。
ただ、40年も前の設定につなげるため、多少無理っぽい感じはした。

若かりしレイヤ姫の登場には驚いた。
EP7では、キャリー・フィッシャーが登場したし、本人の顔だけ(CGで)いじったのかと思ったが、
別女優によるモーション・キャプチャーのようだ。
既に1994年に没したピーター・カッシングも当時のままで登場していたし、本人要らんな、と思ったほど。

EP8の公開までの間を「つなぐ」作品としてとらえるのはもったいない出来栄え。
時代とともにSFの映像の進化と物語性の深化にも感じ入るものがある。

EP7が「新しいストーリーの中に旧作の懐かしさを見る」感覚だったのに、
本作は「既知のストーリーの中に新しい物語を見る」感じだった。

 

 

               

 海賊と呼ばれた男   

岡田准一、染谷将太、小林薫、吉岡秀隆、綾瀬はるか、近藤正臣、野間口徹、国村隼、堤真一。

***

昭和20年3月、東京大空襲。
燃料のない日本軍は防空の飛行機も満足に飛ばせず、B29から投下された焼夷弾の餌食になる。

そして、敗戦。
ほとんどが瓦礫となった東銀座。
歌舞伎座の隣、の国岡商店ビルはかろうじて被災を免れていた。

閉店解雇を危惧している店員(社員)を一堂に集めた店主、国岡鐵造(岡田准一)は、店員を前に鼓舞激励し
一人たりとも解雇しないと宣言するのだった。

しかし、GHQは日本の業者に石油販売を禁止しており、国岡商店の存続はまさに風前の灯火だった。
持って2か月と進言する経理部の甲賀(小林薫)を制し、国岡は意を決して石統(石油配給統制会社)に
軍の保有していた石油をまわしてくれるように頼みに行くが、石統の社長、鳥川(国村隼)は国村を追い返す。

若いころ、下関で石油販売を始めた国村だったが、旧態依然とした業界に食い込めず苦労していた。
店をたたむ覚悟の国村にスポンサーの木田(近藤正臣)は、神戸の別宅を売ってまで追加融資をする。

国村は灯油を使っていたポンポン船の焼玉エンジンに軽油を使うことを思いつき、
甲賀、柏井(野間口徹)らとともに当時だぶついていた軽油を直接海上で売り、
店を大きくしていった。

国岡は下関の石油販売業者らから目の敵にされていたが、国岡の意気込みに賛同した
漁船員の長谷部(染谷将太)、下関の石油元売り社員の東雲(吉岡秀隆)らが入店した。

国岡は兄の万亀男(光石研)の勧めでユキ(綾瀬はるか)と結婚する。
周囲から祝福された二人だが、仕事一筋の国岡は家を顧みず仕事を精を出す。

長谷部を重用する国岡は、満鉄(満州鉄道)に乗り込み、当時石油メジャーの機械油しか使わなかった
満鉄に極低温でも固化しない機械油を売り込み、テストに成功するが、石油メジャーの圧力に屈した
満鉄本社に不採用となる。(実際には採用されている)

その頃、あまりにも家庭を顧みない国岡にユキは国岡不在のうちに実家に帰ってしまう。

陸軍の南方での石油調達に関し、陸軍から意見を求められ、石統の計画をはるかに下回る人員で計画を立て、
直ちに採用されるが、その後、軍に出向していた長谷部が移動中に撃墜されて戦死してしまう。

**

戦後、東雲らが復員して国岡商店の店員は増えるが相変わらず石油が扱えない。
GHQは輸入を解禁する代わりに旧日本軍の石油タンクの底にたまった(ヘドロのような)石油を使い切るよう指示。
困り果てた石統は国岡に丸投げする。

国岡は石統に良いように利用されていると知りながら、東雲らに石油の取り出しを指示、見事やってのける。
しかし、石統は国岡商店を排除する条項を入れた石油取引業法案を策定し、GHQに出そうと考えていた。
GHQの通訳をしていた武知(鈴木亮平)は、国岡商店への入店を希望し、合わせて石統の目論見をつぶすよう画策。
こうして、国岡商店は石油販売の認可を得ることに成功する。

国岡は石油タンカー、日承丸(実際は日章丸)を建造し、アメリカとの直接石油取引を始める。
順調に推移していた国岡商店のビジネスだが、石油メジャーの一つが提携を申し入れてくる。
しかし、提携とは名ばかりで、その実は乗っ取りに近いものだった。

国岡は断固としてこれを拒否するが、石油メジャーは連携して国岡をつぶそうと圧力をかけ、
これによってアメリカの石油企業は国岡との取引を止めてしまい、ついに輸入先が無くなる。

国岡は、石油企業の国有化によって英国本国と対立しているイランに目をつけ、周囲の反対をよそに
イランとの直接取引を模索する。

国岡は日承丸船長、盛田(堤真一)にのみ、イランのアバダン行きを打診、森田は一もニもなく承諾する。
日承丸はイランの大歓迎を受け、石油を満載して帰路に就く。
途中、イギリスによって封鎖されているマラッカ海峡を避けて、スマトラ島を南下、スンダ海峡を通過した。
難所は無事に過ぎたもののタンカーの航路を阻もうとするイギリス海軍フリゲート艦と正面衝突の危機に遭遇するも、
毅然とした態度で対応して衝突を回避、無事に川崎港に着き、石油の輸入に成功する。

その後、国岡商店は唯一の民族系石油会社として繁栄をつづけた。
90歳を過ぎた国岡鐵造の下に一人の女性、小川(黒木華)が訪ねてくる。
小川の大叔母で国岡の元妻、ユキが亡くなり遺品のスクラップブックを持ってきたのだった。
国岡と離縁後は独身を守り身寄り無くなくなったというユキに想いを馳せる国岡。

国岡は、若き日の思い出を胸に、95歳で亡くなる。

**

百田直樹原作、山崎貴監督脚本、岡田准一主演、と「永遠のO」と同じ組み合わせである。

国岡鐵蔵は出光興産社長、出光佐三がモデル。
国岡商店は「出光商会」がモデル。

日章丸事件は1953年に実際に起きた事件で、世界に衝撃を与えたらしい。
経済封鎖で困窮していたイランを救ったとされ、今でもイランは日本に好意的であるようだ。

航海は実際には映画で扱われたほどあっさりしたものではなく、出光が用意周到に準備し、
隠密裏に行動したものの、イラン到着で全世界にばれ、帰路は本当に大変だったようだ。
その後、日本政府をも巻き込んで大揉めに揉め、イギリスに裁判まで起こされたらしいが、
結局は出光勝訴に終わったらしい。

満鉄で石油メジャーの機械油が固化し、出光興産の機械油をテストしたのも本当の話で、
実際には満鉄に採用され、表彰状までもらっているらしい。

出光佐三本人はいわゆる古いタイプの人間で、「社員は家族同然」は良いとしても、
男尊女卑、モーレツ社員の典型だったようだ。

現在の神戸大学の前身、神戸高等商業の卒業生で零細企業に入り、25歳で起業。
日田重太郎(映画では木田章太郎)に資金を出してもらって出光商会を設立した。

 

 

              

   ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅     

エディ・レッドメイン、キャサリン・ウォーターストン、アリソン・スドル、コリン・ファレル、ダン・フォグラー。

冒頭、新聞記事を使って時代背景が語られる。
(当時)史上最悪の魔法使いと言われたグリンデルバルドが暗躍し、そして姿をくらましていた。
アメリカでは、多くの法律で魔法使いの行動を制限しており、魔法動物の所持、飼育も禁止されていた。

そんな1920年代の1926年、12月。
後にホグワーツ魔法学校での教科書となる「幻の動物とその生息地」(Fantastic Beasts & Where to Find Them)の著者、
ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)が魔法動物の入ったトランクをもってアメリカにやってくる。

ニューヨークでは得体のしれない何かが町を破壊する事件が起き、魔法省のグレイブス(コリン・ファレル)が捜査していた。

ニュートはたまたま銀行の前で魔法使い排斥運動をしているメリー・ルー(サマンサ・モートン)と
それを監視する魔法省のティナ・ゴールドシュタイン(キャサリン・ウォーターストン)に遭遇。
その時にニュートのトランクから光物好きでカモノハシに似たニフラーが逃げ出してしまう。

ニュートは銀行にはいりニフラーを探して融資を断られたジェイコブ・コワルスキー(ダン・フォグラー)の隣に座り、
魔法動物の卵を置き忘れる。

ニュートは卵がかえりそうになって焦るジェイコブを魔法で引っ張り、ニフラーを探して金庫室に入り大騒動となる。

外に出たニュートはジェイコブの記憶を消し損ね、逃げられてしまう。
ニュートはそれを見たティナに逮捕され、魔法省に連れていかれるが、
大臣のセラフィーナ・ピックエリー(カルメン・イジョゴ)はティナを職務外として叱責する。

グレイブスがニュートのトランクを確認すると、中身はジェイコブスのパンだった。
一方のジェイコブスはそうとは知らずにトランクを開け、魔法動物を何匹か逃がし、アパートを破壊される。

一方、魔法排斥運動をしていたメリー・ルーは養子たちと新聞社に行くが、父の社長(ジョン・ボイト)と
兄のショウ上院議員(ジョシュ・コウドリー)に罵倒されて追い返される。
グレイブスは養子の一人、グリーデンス(エズラ・ミラー)に魔力を持つ子供を探せと命令されている。

ニュートはジェイコブを見つけて、アパートを修復してトランクを取り返す。
ティナはやむなく、ジェイコブとニュートを自分の女性専用アパートに連れていく。
そこには妹で心を読むクイーニー(アリソン・スドル)が同居していた。
ノー・マジ(マグルの米語)を見るのは初めてのクイーニーはジェイコブに興味津々。

その夜、ニュートはジェイコブをトランクの中に連れていく。
そこは巨大な空間が広がっており、ニュートが各地で保護した魔法動物が飼われていた。
ニュートはそれらの魔法動物を保護飼育するとともに、元いた生息地に返す仕事をしていた。
ジェイコブは魔法動物の魅力に感動するが、小屋で黒い塊のオブスキュラスを見つける。

ニュートによれば、オブスキュラスは魔法使いのストレスが生むもので、それが憑りついたオプスキュリアルは
幼くして死ぬことが多く、8歳以上の子供は見たことがないそうだ。

同じころ、ショウ議員の政治パーティを黒いものが襲い、父の目の前でショウ議員が死ぬ。

ニュートはニフラーを追って宝石店を破壊してニフラーは捕まえたものの逮捕される。

このほかにトランクから逃げ出した動物には、伸縮自在の翼のあるヘビ様のオカミー、
巨大なサイに似たエルンペント、小さいハチドリのようなスイーピング・イーブル等がいる。

ティナはニュートを再び魔法省に連行し、ショウが死んだことを知らされる。
ニュートは魔法動物ではなくオブスキュラスの仕業だというが、
ピックエリーはニュートを信じず、グレイブスは二人に死刑を宣告する。

ニュートとティナは処刑場に連れていかれるが、木の枝のようなボウトラックルがニュートの手錠を外し、
ニュートが反撃して脱走し、二人を追ってきたジェイコブスとクイーニーと合流して逃げる。

一方メリー・ルーの家では杖を隠し持っていた末っ子のモデスティが、メリー・ルーに見つかって杖を折られ、
かばおうとしたグリーデンスをベルトで打とうとして、オブスキュラスを襲われて死ぬ。

ニュートら4人は情報屋のゴブリン、ナーラック(ロン・パールマン)に最後の一匹で姿を消せるデミガイズの行き先を聞くが、
ピックエリーらもやってきて全員が逃げる。

一方、グレイブスはオブスキュリアルがモデスティだと分かって、グリーデンスを罵るが、
実はグリーデンスこそがオブスキュリアルで、怒りまくったグリーデンスはオブスキュラスと化して町を破壊しまくる。

ニュートが落ち着かせようとし、グリーデンスが小さかった頃を知っているティナがなだめて
グリーデンスは何とか静まりかけたが、グレイブスがやってきて再び暴れ、ピックエリーらがグリーデンスを破壊してしまう。

グレイブスは魔法省の対応や魔法禁止法がオブスキュラスを生む原因だと怒りまくり、ピックエリーらに反撃しようとするが、
ニュートが後ろから捕縛して、正体を現せと唱えると、グレイブスはたちまちグリンデルバルド(ジョニー・デップ)になった。

魔法使いたちが破壊された街を修復し、ニュートがアリゾナで放すはずの超大型猛禽類のサンダーバードに忘却剤を渡して放し、
サンダーバードが雷雨を起こして薬を撒き、人々はすべてを忘れてしまう。

ジェイコブスも雨に打たれてすべてを忘れ、事件は一件落着した。
再び缶詰工場に出勤するジェイコブスに不意にニュートが前を横切ってぶつかる。
怪訝がるジェイコブスのトランクは入れ替わり、中には純金のオカミーの卵の殻。
これを担保にジェイコブスは念願のパン屋を開き、記憶から消えたはずの魔法動物に似たパンを作って大繁盛。
客として突然現れたクイーニーに惹かれるのだった。 

一方のニュートは本が完成したら渡しに来ると約束してティナと別れ、イギリスに帰っていくのだった。

**

ハリーポッターの70年ほど前の物語。
5部作の1作目。
2作目は2018年の公開がアナウンスされている。

登場はしないがダンブルドアのことがセリフで出てくる。
アルバス・ダンブルドアは1881年生まれで、ニュートン・アルテミス・フィド・スキャマンダーは1897年生まれとされる。
この物語の時は、ニュートは20代半ば、ダンブルドアは40代になる。

一方、本作ではダンブルドアより1,2歳年下の旧友でボルデモートが登場するまで最悪の魔法使いとされた
ゲラート・グリンデルバルドが重要な役回りとなっている。

次回作では双方が登場すると言われる。

なお、ニュートとティナは後に結婚するらしい。

CGや演出もずいぶんとド派手にはなっているがハリポタに比べるとかなり大人向きに振ってある。
ハリポタで育った人たちがダニエル・ラドクリフやエマ・ワトソンと同様に年を経て紡ぐ物語、と言ったところか。

ハリポタが世界観から、魔法の習熟までを少しずつ積み重ねてみせていかなければならなかったのに比べると、
その世界を前提したところから入れるので、回りくどい説明も少なくて済むし、大人的な展開にも理解がしやすい。

とはいえ、いろいろな魔法動物が 次々と登場し、それぞれの見せ場があるので展開順や前後の関連を記憶しておくのは大変。
TV放映時などに何種かカットされてもわからないかも。

別の有名俳優に雰囲気がよく似ているキャストが多い。
クイーニー(アリソン・スドル)は、キーラ・ナイトレイ風。
グリンデル(エズラ・ミラー)は、キリアン・マーフィー風。
いずれも違うのは分かるが、雰囲気が似ている。

そして何より、セラフィーナ・ビックエリー(カルメン・イジョゴ)はアンジェラ・バセットだと思っていた。

ナーラックの顔はCGだが、どこからどう見てもロン・パールマンそのもの。

最後にジョニー・デップが登場するとは知らなかったので面食らった。
ジョニデの続投はうれしい限りだが、その分他の出演作に影響が出ると思うとちょっとどうかなとも。

 

 

              

 疾風ロンド   

阿部寛、柄本明、大倉忠義、大島優子、ムロツヨシ、堀部圭亮、でんでん、生瀬勝久、田中要次、野間口徹。

**

一人の男がスキー場の滑走コース外を滑り、1本の木の根元にジュラルミンケースから取り出したガラス瓶を埋める。
そしてその木にくぎを打ち、テディベアのぬいぐるみをひっかけて去る。

泰鵬大学医科学研究所の主任研究員の栗林和幸(阿部寛)は、反抗期の中学生の息子、秀人(濱田龍臣)と二人暮らし。
亡き妻の遺影に愚痴を言う毎日だ。

その日、研究所で病原菌の管理をしていた栗林は、最も毒性の強いK−55が無くなっているのに気づく。
焦って所長の東郷正臣(柄本明)に報告に行くと、そこには元研究員の葛原克也(戸次重幸)から脅迫メールが届いていた。
葛原克也は、研究中に耐性の強い炭疽菌を作り出すことに成功、究極の生物兵器を作ったと喜ぶが、首になってしまい、
逆恨みして炭疽菌を盗み、その場所を示す写真とともに3億円の要求を送ってよこしたのだ。
金を払えば、大まかな場所とテディベアに仕込んだ発信機の受信機を渡すという。

東郷所長と栗林が警察に言う言わないで揉めていると、警察から連絡が入り、葛原が交通事故で死んだという。
二人は身寄りのない葛原の身元確認に行き、遺品の中から受信機を見つける。

ガラス瓶は気温10度を超えると破損するようになっており、春=雪解けまで待つことはできない。
東郷所長は栗林に責任を押し付け、発信機の電池の切れる金曜までの4日間にK−55を見つけるよう指示した。

一方、首になった葛原を研究所内に入れた研究員の折口真奈美(堀内敬子)は葛原に騙されたと弁明したが、
実は、この計画を知っており、葛原亡き後K−55をせしめようと狙っていた。

栗林はスノボをやる中学生の息子、秀人(濱田龍臣)に、スキーウェアを餌に写真の場所を特定させようとする。
秀人はスキー用品店の店主、山野(でんでん)らに相談し、そこが野沢温泉スキー場であると突き止めるが、
いかんせん日本最大級のスキー場、広大な敷地をくまなく調べるのはかなり難しい。

しかも、栗林にとっては久々のスキーで、しかも技量は初心者クラスであり、コース外をてきぱきと調べるのは難しい。
ゲレンデで親子連れ(父:堀部圭亮)とぶつかりそうになったり、大変。

一方、秀人は地元中学生の山崎育美(久保田紗友)とぶつかりそうになったことから仲良くなり一緒に滑る。
育美のクラスメート、高野裕紀(望月歩)や川端(前田旺志郎)とも会うが一緒には滑らない。

そんな中、森を調べようとコース外に出る栗林を見つめる男の姿があった。
男は研究員の折口の弟で栄治(ムロツヨシ)、正体を隠して栗林への接近を試みる。
栗林は雪中の穴に埋まってしまい、レスキューの根津昇平(大倉忠義)に救助される。

根津には知り合いのアスリート・スノーボーダー、瀬利千晶(大島優子)がいるが、
千晶は最近不調で競技への熱意を失いかけている。

2日目。
栗林は下手なりに自力で探すべく、コース外に出ようとして失敗、またも根津に救助される。
しかも、栗林は足首を捻挫してしまい、これ以上捜索ができない。

千晶は下手なのにコース外に出ようとする栗林を怪しみ、警察に通報しようとする。
栗林は咄嗟に、研究所からワクチンが盗まれ、金曜までに患者に投与しないといけない。
ワクチンは無認可なので警察には言えないが患者の命がかかっている、とごまかし、根津が協力を申し出る。

3日目。
根津と千晶はゲレンデをくまなく探す。
栄治も二人の後をつける。

時々、受信機が反応するが、それは森の方向ではなく、ゲレンデの真ん中だったり、ホテルの前だったり。
ほとんどは受信機に反応のないまま、時間だけが過ぎていく。

4日目。
初日に栗林にぶつかりそうになった親子連れは同じホテルだった。
幼い娘、みはるちゃんがスキーが気に入り、帰りの予定を半日遅らせて午前中は滑る、なんて話をする。

一方ゲレンデ内レストラン「かっこう」には、育美に連れられて秀人が毎日顔を出していた。
「かっこう」は育美と同じ中学の裕紀の母親、由美子(麻生祐未)、兄の誠也(志尊淳)が切り盛りしているが、
妹がつい最近インフルエンザをこじらせて病死、由美子は体調不良となっており、
インフルをうつした中学校の生徒に復讐するのではないかと噂になっているらしかった。

そんな中、根津と千晶はまたもゲレンデで受信機の反応を見た。
栗林はみはるちゃんがテディベアを持っているようだと気づき、根津と千晶に探してもらう。
ゲレンデ内の食堂は一足違い、ホテルも引き払った後で、行く先(住所)はホテルのフロント(野間口徹)に
教えてもらえないが、方言を思い出し、名古屋方面へのバスで帰ったと推測し、根津はバスを追う。

そして、猛スピードでバスを先回りしバスを止めることに成功。
バスには確かにみはるちゃん親子が乗っていたが、テディベアはゲレンデでぶつかった地元中学生にお詫びで貰ったとのこと。

根津からの連絡を受け、育美がラインでその中学生の情報を探すと、それは川端だった。
育美は川端を「かっこう」に呼び出す。
しかし、栗林から東郷への報告は、全て折口に盗聴されており、すぐ栄治に連絡されていた。
栄治は「かっこう」の前で川端を待ち伏せし、栗林に成りすまして川端に案内させる。

川端が騙されたことで愕然とする栗林らだったが、一緒にいた裕紀が場所を知っており、直ちに探しに行く。
そして、現場で裕紀が瓶を見つけ、容器に確保したところで、栄治が川端を脅しつつ登場し、
容器の入ったバッグを奪われてしまう。

しかし、気づいた千晶が後を追い、何とか栄治を倒してバッグを奪還、「かっこう」へ持ち帰る。
安堵する栗林だったが、容器のロックが外れて瓶が落下、割れて粉末が飛び散った。
咄嗟に「生物兵器だ、息をするな」と叫ぶ栗林。しかし、中身は炭疽菌ではなく粉末の胡椒。
瓶も「かっこう」のピクルスの瓶。つまり、裕紀が瓶をすり替えていたのだ。
怒る根津らだったが、とにかく、瓶の確保が先。

裕紀が学校の生徒に復讐しようとしていると考えた一行は裕紀を探し、瓶を取り返す。
裕紀と母のわだかまりも解ける。

連絡を受けた東郷は容器を取りに行かせ、栗林は容器を渡して、無事一件落着。
と思いきや、東郷から折口が帰ってこないと連絡が入る。
東郷は折口が犯行に絡んでいるとは知らず取りに行かせていた。
折口は容器を持ち逃げし、栄治と外国に逃げるつもりだ。

栗林は隠ぺいすべきでないとの秀人の意見を受けて、すべて公表することにする。
それを聞いた秀人は、窓の外に隠していた炭疽菌を取り出してみせた。

これで本当に一件落着。
秀人と栗林のわだかまりも解け、栗林は事件の顛末の記者会見を開くニュースレターを東郷に渡し
激怒する東郷をよそに悠然と去っていく。

さて、逃亡を図った折口姉弟は、出国審査で引っかかって逮捕され、持ち出そうとした容器には、
秀人が入れたフランクフルト・ソーセージが入っていた。

**

原作、東野圭吾。
東野圭吾ってこういう軽妙なコメディ作品も書くんですね、知らなかった。

随所に笑えるシーン満載で、ほろりとさせるシーンもあるがその組み込み方はうまい。
劇中のスノボ、スキーはスタントだとは思うが皆うまい。
スノーボーダー、スキーヤーと併走するシーンは手持ちやGoProでは無理っぽい。
ドローン撮影じゃないでしょうか。

最後にフランクフルトを発見する危険物処理班に生瀬勝久。ゲレンデ食堂の店員に中村靖日。
バス停の係員に田中要次。名古屋方面行バスの運転手は菅原大吉。ホテルフロントは野間口徹。
スキー用品店店主にでんでん、など、ちょっとした役に良い俳優を無駄遣いと言うか贅沢に配置。

高野裕紀の望月歩は「ソロモンの偽証」の柏木、「真田十勇士」では幸村の息子、大助。
栗林秀人の濱田達臣は、小さいころからよくTVで見た子役出身、ずいぶんと大きくなった。
阿部寛が190cmとデカいので、共演者も目立たないが結構背が高い。
望月歩、171cm、濱田達臣、174cm、志尊淳と大倉忠義は178cm。
その分、大島優子(152cm)、久保田紗友(154cm)の小ささが目立った。

 

 

             

 ジャック・リーチャー:NEVER GO BACK

トム・クルーズ、コビー・スマルダース、パトリック・ホイジンガー、ホルト・マッカラニー。

**

冒頭はカフェの外に男4人が倒れているシーン。
到着した保安官は助手とともに店内にいた男、ジャック・リーチャー(トム・クルーズ)を逮捕する。
しかし、リーチャーは「電話が鳴り保安官が不法移民拉致誘拐の罪で逮捕される」と予言し、その通りになる。

保安官を逮捕したのは軍のMPのターナー少佐(コビー・スマルダース)の部下で、
ターナーは電話でリーチャーに感謝し、そのうち食事でもと言葉を交わす。

いつものようにヒッチハイクを繰り返し、DCに着いたリーチャーはMP本部にターナー少佐を訪ねる。
受付にはいつも電話を取り次いでくれていたリーチ軍曹(マダリン・ホーチャー)に案内されて、
部屋に行くとそこにはモーガン大佐(ホルト・マッカラニー)がいてターナー少佐は逮捕されたという。

リーチャーはすぐに退席、機転を利かせてリーチ軍曹から弁護士の名前を聞き出す。
弁護士のムーアクロフト大佐(ロバート・カトリーニ)はあまり熱心とは言えず、またターナー自身が
リーチャーに会いたくないと言っているとのこと。

その理由の一つにリーチャーの身に覚えのない養育費の未払いがあるという。
リーチャーはムーアクロフトを罵って去るが、ムーアクロフトは翻意してリーチャーを追い、
ターナーに関連する資料をリーチャーに渡す。

リーチャーを追う2人組の男がいた。
気づいたリーチャーは警告を発し、男らがパラソース社の社員であると知る。

一方、リーチャーとムーアクロフトを見ていたもう一人のザ・ハンター(パトリック・ホイジンガー)と
呼ばれる男はムーアクロフトを拷問してついには殺してしまう。

リーチャーは、養育費の対象とされるサマンサ(ダニカ・ヤロシュ)に接触するが、
サマンサが娘かどうかの確証は得られない。

翌日、再びMP本部を訪れたリーチャーはムーアクロフト殺害容疑で逮捕されてしまう。
ターナーをよく知るというエスピン(オルディス・ホッジ)に連行されてターナーと同じ収容所に着く。

リーチャーを弁護するのはサリバン中尉(ジェシカ・ストロープ)でリーチャーを犯人と決めつけている。
リーチャーはサリバンをうまく部屋から出したすきに車の鍵と金を盗み、エスピンを呼んで独房へ行く。
その際、後をつけていた2人組を垣間見たリーチャーは、エスピンを殴り倒して独房に押し込め、
制服を着てターナーの独房へ行き、2人組や兵を殴り倒してターナーを連行するふりをして連れ出す。

サリバンの車がわからないので、キーで開錠して追手を引き付け、トラックで逃げる。

ターナー少佐によれば、彼女の指示でアフガンで軍の不正を調査していた2人の部下が射殺されたという。
その際報告のメールが来ていたはずだが、逮捕され見れていないというので、モーガン大佐の家に行き、
大佐のPCからデータを抜いて逃げる。

ザ・ハンターがモーガン大佐の家に現れ、リーチャーの指紋の付いた電話機でモーガン大佐を殴り殺す。

ターナーがネットカフェでデータを見ると、パラソース社は武器を横流ししていたようだ。
また、データの中にリーチャーやサマンサの写真もあった。
ターナーはさらにMPのデータにアクセスしようとして失敗、MPに居場所もばれて逃げる。

リーチャーはリーチ軍曹に電話してパラソース社やターナーの部下に関する調査を依頼する。
リーチ軍曹は引き受けるが、モーガン大佐が殺され、リーチャーが容疑者だと告げる。

リーチャーとターナーはサマンサの家に行くが、里親両親は殺されていた。
リーチャーは隠れていたサマンサを見つけ連れ出す。
ターナーの知り合いの学校に身を寄せるが、サマンサがメールしたのを見つけたリーチャーは、
携帯を捨ててその場所を離れる。

リーチ軍曹からの情報によれば、ターナーの部下殺害を目撃したプルドムという退役軍人がいること、
また、パラソース社は民間軍事会社で軍との契約が切れているのに、最近業績が良いらしいとのこと。

プルドムに接触するため、サマンサが盗んだクレジットカードを使ってニューオーリンズに移動する。
機内でパラソース社の男がつけてきているのを見つけたリーチャーは2人を次々と倒し、ケータイを取る。
そして、ザ・ハンターに電話して待ち伏せに気づき逃げる。

ホテルに現金払いで滞在し、リーチャーはプルドムの妻に接触、次いでターナーと一緒にプルドムに会い、
パラソース社が武器の返還数をごまかして横流ししていたとの証言を得る。

ターナーはエスピンに連絡してプルドムを引き渡すが連行する直前、プルドムは狙撃されて死に、
エスピンも負傷する。

リーチャーとターナーは反撃し、パラソース社の刺客を倒す。
その頃、ホテルに残されたサマンサは盗んだクレジットカードでルームサービスを頼んで居場所がばれ、
パラソース社の責任者のハークネス将軍(ロバート・ネッパー)から、ザ・ハンターに指令が行く。

その頃、武器の到着を抑えたターナー。
抵抗するパラソース社に空であるはずの武器容器を開けるよう命令。
騒ぎに気付いたハークネス将軍が出てきて容器を開けさせる。
予想に反し、どれも武器(グレネード・ランチャー)が入っている。
ガセネタ? 愕然とするターナーに何かがおかしいと考えるリーチャーがランチャーを振ると
中から次々とアヘンの袋が出てきた。

パラソース社は武器の横流しではなく、武器輸送に紛れてアヘンの密輸をしていた。
ハークネス将軍は逮捕され、事件は一件落着。

と思いきや、ザ・ハンターがサマンサのいるホテルに到着し、気づいたサマンサは逃げる。
ザ・ハンターからの電話を受けたリーチャーとターナーは、ホテルに向かいザ・ハンターと格闘になる。
激しい戦いの末、ついにリーチャーがザ・ハンターを倒す。

ターナー少佐は疑いが晴れてMPに復帰。

リーチャーはカフェでサマンサと待ち合わせる。
サマンサはさっきのウェイトレスがママだと告げ、ママもリーチャーも反応がなかったから
お互い顔見知りではない証拠だから、リーチャーはパパではない、と告げる。

寂しくなる、とサマンサと別れるリーチャー。
ヒッチハイクをしているとサマンサが仕込んだ携帯から「まだ寂しくない?」と
メールが来たところで物語は終わる。

**

前作では冷静沈着、わずかな手掛かりで的確な推理をして敵を追い詰めていく。
そして時には非情冷酷な面も持ち合わせる。
今作は前作よりはそれらは薄まり、娘(?)に弱いウェットな面を強く見せる。

これが前作の良さが出ていないとみるか、これもありとみるか。
ハードボイルド・ホームズ的な前作に比べ、よくあるアクションものになったとみるか。

娘のために無茶苦茶するリーアム・ニーソンの「96時間」との類似を指摘する人もいるが、
娘に振り回されるという点でケビン・コスナーの「ラスト・ミッション」を思い起こした。

また、完全無敵ではなく、敵も強い。
前作のジェイ・コートニーもしぶとかったが、今作のパトリック・ホイジンガーはそれを上回る。

コビー・スマルダースは「アベンジャーズ」のニック・フューリーの秘書のマリア・ヒル。
173cmの正統派美人で、吉田羊や江口ともみのような整った顔立ち。
劇中のセリフにもあったが、実年齢も34。

娘役のダニカ・タロシュは初見で全く知らない。
実年齢は20歳でTVで活躍する女優のようだ。

リー・チャイルドの原作は2016年までに21作が出ている。
前作は9作目(原題:One Shot、訳題:アウトロー)の映画化。
今作は18作目(原題:Never Go Back、訳題:ネバー・ゴー・バック)に当たる。
まだ、原作はたくさんあり、続編は可能だが、全米の興収から見て微妙なところではある。

 

 

            

  スター・トレック:BEYOND    

クリス・パイン、ザッカリー・クイント、カール・アーバン、ゾーイ・サルダナ、ジョン・チョウ、イドリス・エルバ。

**

宇宙船、エンタープライズ号の艦長、ジェイムズ・タイベリアス・カーク(クリス・パイン)は、
単身和平交渉特使としてある星の会議に出席していた。
敵対関係にある星からの和平の贈り物として預かったものを見せるが、会議の出席者(異星人)たちは
それを危険なものとみなし、カーク艦長を攻撃してくる。

手に負えないと思ったカークはエンタープライズ号に転送されて戻る。

今の任務は5年の任期で、既に3年が経過し、そろそろ飽きが来ている。
カークが一人で密造酒を飲んでいると、船医のマッコイ(カール・アーバン)が時代物のウィスキーを持ってくる。
カークはあと2日で誕生日だが、生まれた日に父親(クリス・ヘムズワース、未出演)が死んでおり、
当日に祝う気にはならないので、マッコイが気を利かせて早めに祝福する。

エンタープライズ号は惑星連邦の宇宙基地であるヨークタウンに到着する。
直前にスポック副艦長(ザッカリー・クイント)は、(オリジナルの)スポック(レナード・ニモイ)の訃報を
受け取っていた。

操縦士のスールー(ジョン・チョウ)は、家族との再会を喜ぶ。
(相手は男性と小さい娘、スールーはゲイで男性はパートナーの設定らしい)

ウフーラ通信士(ゾーイ・サルダナ)は、スポック副艦長のプレゼントである彼の母の形見の
ネックレスを返そうとするが、スポックはバルカン星人の流儀に反するとして受け取らない。

カーク艦長はヨークタウン総督のパリス(ショーレ・アグダシュルー)と面会、艦長退任を申し出る。
カークの推薦する後任はスポック副艦長だが、当のスポックは艦隊を辞めて(オリジナルの)スポックの後を継ぎ、
バルカン星の大使になりたいと考えている。
カークとスポックはお互いに考えを伝えきれないでいた。

そんな中、カララ(リディア・ウィルソン)が救援依頼を申し出てくる。
彼女によれば、宇宙船が故障して惑星に不時着しているというのだ。

カークは救出を引き受け、早速当該星雲に向かう。

不時着地域周辺は小惑星群に覆われていたが、エンタープライズ号は無事にすり抜けて惑星に接近する。

ところが小型の攻撃機が大挙して襲来、エンタープライズ号に攻撃を仕掛ける。
なぜか、シールドもワープ装置も起動できず、武器も効かない。
攻撃機は艦壁を突き破り、武装兵が乗り込んできて戦闘となる。
そうこうするうちに艦は大破し、カークは総員退艦を指令する。
緊急脱出ポッドで次々と脱出する乗員たちだが、多くは敵攻撃機にとらえられてしまう。

推力保持のため艦の円盤部を切り離す必要がありカークが手動で切り離しに向かう。
しかし敵の首領との戦いとなり思うように操作できない。
敵の首領の狙いは冒頭の「和平の贈り物として預かったもの」(=生物兵器、アプロナス)だった。
カークはチェコフ副操縦士(アントン・イェルチン)と逃走し、カララとともに脱出ポッドで逃げる。

カークが戦っているうちにウフーラが手動で円盤部の切り離しに成功したものの、ウフーラは敵に捕らわれる。

惑星に落下した各ポッド。
モンゴメリー・スコット機関士=スコッティ(サイモン・ペグ)は、ぎりぎりで助かったものの宇宙人に囲まれる。
そこにジェイラー(ソフィア・ブテラ)という女戦士が現れ宇宙人を撃退。

スコットが機関士だと知ると、ジェイラーは自分の家だという宇宙船の修理に協力するよう頼む。
ジェイラーの家とは1世紀以上前に行方不明になっていた宇宙艦船のフランクリン号だった。
スコットはフランクリン号の修理を進める。

スポックとマッコイは敵戦闘機を強奪してそれに乗って不時着したが、スポックの腹には鉄片が刺さっていた。
なんとか鉄片を抜き、応急処置で止血はしたが、スポックのけがは重い。

マッコイは通信を試みたが失敗、逆に敵に所在がばれ囲まれる。
すると、スポックが転送されて消滅、つづいてマッコイも転送され、フランクリン号に入る。
実は転送装置が不完全で1体ずつしか転送できなかったとスコットが説明する。
マッコイはフランクリン号の医療装置でスポックを治療する。

さて、カークとチェコフ、カララも惑星に不時着。
カークはカララが敵の待ち伏せを知りながら艦が不時着したと嘘をついた、となじる。
カララは艦の乗組員が敵に捕虜になっており、やむなく嘘をついたと白状する。

カークはカララを許し、チェコフとともに円盤部の捜索に向かう。
一部でも機能が残っていれば乗員の救出に役立つかもしれない。

なんとか円盤部を見つけ、内部に入る。
カークは「アプロナス」の隠し場所にカララを連れていくが、カララは突然裏切る。
もともと敵の先兵で首領のクラルの命令で「アプロナス」を探していたらしい。

しかし、カークはカララの嘘を見抜いており、そこに「アプロナス」はなかった。
カララの連絡でクラルの手下が到着。
カークとチェコフは艦内を逃げ、エンジンを始動して艦の円盤部を動かそうとする。
艦下部の推力エンジンが作動し、円盤部は裏返ってカララは下敷きになって死ぬ。

カークとチェコフは間一髪脱出し、またさまようことになった。

一方、他の乗組員とともに捕まっていたウフーラ。
クラルは乗組員の生命力を吸い取って若返り、顔の外観の凸凹が減るところを見せる。

そして大勢の乗組員の前にいって「アプロナス」を出すように脅す。
乗組員を助けるため、シル大尉(メリッサ・ロックスバーグ)が「アプロナス」を渡す。

クラルは「アブロナス」を始動させ、シルがばらばらに分解されて消えてしまうところを見せる。
アブロナスは生命体にとりつき分解してしまう兵器だった。

クラルは戦闘機隊を率いてヨークタウンに向かう。
アブロナスを使ってヨークタウンを壊滅させる気だ。

徘徊していたカークとチェコフはジェイラーの仕掛けた罠に捕まってしまう。
二人がスコットの仲間とわかったジェイラーは彼らを解放してフランクリン号に入れる。

そこでみんなで作戦を練り、敵基地に侵入して乗員を助けることにした。
敵基地の所在はスポックがウフーラに渡していたネックレスを検知して判明した。

フランクリン号に残されていた旧式のバイクとジェイラーのホログラム装置を使って、
カークがおとりになっている間にジェイラーやスポックが敵を倒し仲間を助けていく。

乗員は少しずつフランクリン号に転送され、最後にジェイラーとカークが残される。
ジェイラーは敵の一人と格闘中。
カークがギリギリでジェイラーを助けてフランクリン号に転送された。

レギュラーメンバーが戻ったフランクリン号はスールーの操縦で離陸し、ヨークタウンに向かう。
敵戦闘機隊は連携してヨークタウンを攻撃、外壁を破壊し始める。

フランクリン号がクラルの艦隊を攻めるが、あまりにも数が多く壊滅させられない。
敵がたがいに交信しつつ連携を取っていることに気づいたカークらは
通信を混乱させるため、ジェイラーが持っていたラジカセ(風音響機器)で、
ロックをVHF帯で(たしか57.7MHz)発信する。
敵艦隊は通信が邪魔されて互いの位置がわからなくなり、衝突自爆していく。

ほとんどは自爆したが、クラルの機を含む3機がヨークタウン内に入る。

スポックとマッコイが確保していた敵機で追う。
フランクリン号も下方から追う。

そして敵の直前に一気に浮上して衝突させ、敵機を突っ込ませて停止させる。

クラルは姿を変えて人間に紛れ込む。

逃げ惑う人々のビデオを繰り返し見ていたウフーラは、その中の一人(イドリス・エルバ)が、
フランクリン号の乗組員だと気づく。

その男こそフランクリン号の元艦長、バルサザール・エジソンだった。
しかし、エジソン艦長はフランクリン号とともに消息を絶ち、死んでしまっているはずだった。

エジソン艦長が時を経て変化を起こしクラルとなったのだった。
クラルはヨークタウンを壊滅させるため、換気システムの中枢に起動したアブロナスを投入するつもりだ。

カークは、ヨークタウンのコア付近にある換気システムの中枢に向かい、
人間の姿からまた少しずつ変化し始めていたクラルとタイマンの対決となる。

クラルはフランクリン号で遭難し、救難信号を出したが救助は来ず、恨みを抱き、
異星人のテクノロジーで命を長らえ、復讐の機会を待っていたという、完全な逆恨み。

クラルとアブロナスを宇宙に放出しようとするカークだが、クラルがアブロナスを起動してしまう。
アブロナスの破壊機構がクラル自身を包み、カークが開けた扉からアブロナスとともに宇宙空間に放り出される。

クラルはアプロナスによって分解されてしまう。
カークも宇宙空間に放り出されそうになるが、ぎりぎりで間に合ったスポックがカークを助ける。

こうして事件は解決し、艦長退任と副総督への就任を打診されたカークだが、エンタープライズ号への乗艦を捨てきれず、
退任の申請はあきらめる。
マッコイとゆっくり飲もうと考えていたカークは、サプライズ誕生パーティを開催されて感激する。

一方スポックも大使への転身はあきらめて艦隊に残る決意をする。
ウフーラとの仲も元通りになる。
家としていたフランクリン号を失ったジェイラーは、宇宙艦隊への入隊を打診され新たな居場所を見つける。
全てが丸く収まり、めでたしめでたし。

今作で破壊されつくしたエンタープライズ号だが、最新艦として建造され直し、新たな探索へと旅立っていく。
「宇宙、それは最後のフロンティア」

**

勧善懲悪のわかりやすい展開。
敵は大軍団だが、ほとんどは雑魚キャラのクローン兵のようなもので、敵の主要キャラは3人だけ。
雑魚キャラのほとんどは、カークらのかき回し作戦で自滅させられるろくな死に方ではない。
いや、むしろ「ロック」な死に方かも。

最後にオリジナルのスタートレックメンバーの集合写真が出てくる。
設定上はクリス・パイン版スタートレックはパラレルワールドなので、オリジナルとクリス・パイン版で
同姓同名同役職の別人がいてもおかしくはないが、本作との関係について一切の説明がないので、
オールドファンには懐かしい顔ぶれと思うだけでなく、時系列の前後関係がどうなっているんだと混乱させる。

見ている間は気にならなかったが、最後にアプロナスが起動したままになっているのはまずくはないのか。
タイマー機構でもついていて自動的に停止するのならいいけど。

白塗りに黒いストライプのジェイラーは、ソフィア・プテラ。
アルジェリア生まれのフランス国籍のモデル出身。
濃い眉で、ブレントン・スウェイツ(「キング・オブ・エジプト」「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊」)を
女性にしたような風貌。165cmではあるが、小さい頃は新体操の選手でもあったバランスのとれた美人である。

アブロナスを隠し持っていたエビ頭のシルはメリッサ・ロックスバーグ。
メーキャップはとてもおぞましいが、リリー・コリンズに似たカナダ生まれの美人。

ジャスティン・リン監督の趣味なのか、プロデューサーのJJエイブラムスの趣味かは知らんが、
美人を似ても似つかぬメイクにするるのが好きらしい。

 

 

            

  インフェルノ   

 トム・ハンクス、フェリシティー・ジョーンズ、ベン・フォスター、イルファン・カーン。

 ** 

冒頭は一人の男性(ベン・フォスター)を数人の男性が追うシーン。

追い詰められた男はバディア・フィオレンティーナ教会の尖塔に登り、後がなくなる。
追ってきた男たちの一人、ブシャール(オマール・シー)が問い詰めると男は答えず、尖塔から身を投げて死ぬ。

 *

まるで地獄絵図のような光景。病気、火事、流れる死体。
悪夢にうなされていたロバート・ラングドン(トム・ハンクス)は病室で目が覚める。

主治医の若い女医のシエナ(フェリシティー・ジョーンズ)は、ラングドンは銃撃を受けて、
頭を銃弾がかすめ転んでけがをしたため、病院に担ぎ込まれたというが、ラングドンには記憶がない。
ラングドンの記憶ではボストンにいるはずが病院はイタリアのフィレンツェ、日付も2日経っていた。

混乱するラングドンだが、病室の外で婦人警察官が突然男性医師を射殺、病室に近づく。
シエナは咄嗟にラングドンを連れて逃げ、タクシーで自宅に連れていく。
意識もうろうとするラングドンに着替えるよう促したシエナは男性の服を貸す。

ラングドンはシエナが服を取りに行った隙にPCでメールをチェック。
イニャッツィオから「予定通り会えなかったが心配ないか、盗んだものはパラダイス25」とのメッセージを読む。
シエナの友人の物という服に着替えるラングドンだが、病院から持ち出した自分のジャケットのポケットに
バイオハザードマークの筒を見つける。

ラングドンの指で開く指紋認証の付いたその筒の中には人骨で包まれた超小型プロジエクターがあり、
投射するとボッチチェリの地獄階層図が現れた。 

その右端に「真実は死者の目を通してのみ見える。ゾブリスト」と書きこまれていた。
地獄階層図にはさらにオリジナルにはないアルファベットがいくつも書かれていた。 

ゾブリスト(ベン・フォスター)は人口爆発に警鐘を鳴らし、事を起こすべきだと訴える大富豪で
3日ほど前に墜落死した人物だった。

ラングドンはアメリカ領事館に連絡、助けを呼ぶが、念のためシエラのアパートではなく、近くのホテルを伝える。
一方、ゾブリストを追っていたブシャールの一味はラングドンのメール開封を検知、シエナのアパートに急行する。
ほどなく、ラングドンが知らせたホテルの前に現れたのは、病院で襲ってきた婦人警官。
遅れてブシャールの一味も数台の車でアパートに接近する。 

シエナは、ラングドンを連れて逃げる。
遅れてやってきたWHOのシンスキー(シセ・バベット・クヌッセン)はブシャールを叱責する。

一方、偽婦人警官はバエンサ(アナ・ウラル)でどこかに連絡し、ラングドンを追う。
バエンサが連絡したのは、貨物船に偽装した謎の集団の船。
シムズ総裁(イルファン・カーン)は、事態の報告を受けると、ラングドンの殺害を指示し、
契約に反して依頼者のゾブリストのビデオメッセージを見るという。

メッセージには、人口削減のために開発した感染力の強い致死性のウィルスを拡散するとあり、
その時刻は12時間後、シムズは驚き、それを阻止するため自ら乗り出すという。 

その頃、シエナはカードで借りられるレンタカーを使って逃走。
地獄階層図に掛かれていたアルファベットはアナグラムで「CERCA TRAVO」
イタリア語で「SEEK and FIND」と推測された。
ラングドンはベッキオ宮殿に向かうが、ブシャールにレンタカーを使っていることがばれ、
道路が封鎖されていたため、車を捨ててウフィツィ美術館の塀を乗り越えて中に入る。

美術建築にも詳しいラングドンは、バザーリの回廊を経てベッキオ宮殿に入る。
ジョルジョ・バザーリの「マルチャーノ・デラ・キアーノの戦い」の絵に
CERCA TRAVOが書かれているのを確認、ほかにヒントを探していると
学芸員のマルタが近づいてきて、昨日もイニャッチィオと一緒に来たのに、という。

マルタの案内で二人が熱心に見ていたというダンテのデスマスクを見に行くがなくなっていた。
防犯カメラで確認すると、なんと盗んだのはラングドンとイニャッチィオだった。
ラングドンは裏口から逃げるが、追っていたブシャールが出口を1カ所にして固めている。

ラングドンは秘密通路から屋根裏に抜け、地下に降りる通路を伝って逃げる。
バエンサも宮殿に入り、屋根裏の物音に気付いてラングドンを襲う。
しかし、シエナの逆襲に遭って転倒、天井を突き破って墜落死する。 

ラングドンは秘密通路を使って地下から外に逃げ、パラダイス25のヒントから
イニャッチィオが勤めている(いた)サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(ドォーモ)に向かう。
そして工事中の大聖堂に入り、洗礼台の水槽の中にダンテのデスマスクを見つける。 

それは白く塗られており、塗料をはがすと裏面にゾブリストの謎の文言が書かれていた。
ラングドンはベネチア(ベニス)のサンマルコ広場の大聖堂がその場所だとにらむ。

ついに追いついたブシャールは、自分がWHOの職員でハーバード大でラングドンに会った、と告げる。
そしてシンスキーがウィルスを横流ししようとしているので先に確保したいと言う。
ラングドンはブシャールを信用しベネチアに向かうと告げる。
ブシャールはジュネーブ行きを偽装し、列車でベネチアに向かう。 

空港に急行したシンスキーにシムズが現れ、ジュネーブ行きは偽装だと教える。
そして、自分たちの組織がゾブリストの依頼を受けて2年にわたりWHOを妨害していたこと、
ゾブリストの本当の計画を知り、WHOに協力すると申し出る。
いぶかしがるシンスキーだが、ラングドンの助けが必要なためシムズの協力を受け入れる。

ラングドンは列車内で少し記憶が戻り、ハーバード大で会ったのはブシャールでなく女性だと思い出し、
ブシャールを殴り倒して途中下車する。

ベネチアのサンマルコ大聖堂で3頭の馬の像の下で調べていたラングドンは、
場所がここではなく、トルコのイスタンブール、アナソフィア大聖堂の水道にあると気づく。
そしてブシャールが追ってきたのに気づき、地下の秘密通路を通って外に逃げようとする。
あと一歩で外に出られるところまで行きつき、先にシエナを出すと、シエナはラングドンを置いて逃げる。

実はシエナはゾブリストのシンパで恋人だった。
もともと二人で謎解き物探しゲーム(SEEK and FIND)をよくやっており、
今回のウィルス拡散をゾブリストが単独行動で行う代わりにシエナにもヒントを残していたが、
ゾブリストが死んでしまい、シエナはラングドンを利用して謎を解いていたのだ。 

焦るラングドンだが、ブシャールが追い付きラングドンを拉致する。
ウィルスを横流ししようとしていたのはブシャールだった。
場所を吐かせようとするブシャールだが、突然現れたシムズにあっさり殺されてしまう。
シムズは自分が命令してラングドンを拉致し、記憶をかく乱する注射をしたこと。

元々の依頼人だったゾブリストが死んで、シエナが依頼を引き継ぎ、ラングドンのけがを偽装し、
病院での出来事も偽装だったと告げる。そもそも病院自体も偽装だったのだ。
シムズはラングドンを解放し、シンスキーの下に連れていく。
ラングドンは記憶が戻り、ハーバード大に訪ねてきたのは旧知のシンスキーで
バイオハザードケース入りのプロジェクターを託されたことを思い出す。

そして、シンスキーやシムズらとともにWHO専用機でイスタンブールに向かう。
一方、逃げたシエナハムゾブリストのシンパと合流し、ウィルスの袋を破裂させるため、
爆弾をもってアナソフィア大聖堂に向かう。爆弾は携帯で起爆するようになっていた。 

ラングドンらも大聖堂に到着。水道はすでに別の場所に移転されていたが、
地下の貯水池は残っており、ちょうどその日は地下でオーケストラコンサートが行われる日だった。
つまり、ゾブリストは世界各地から大勢の人が集まるコンサートの日をウィルス拡散決行の日に選んでいた。

地下貯水池の中に沈められたウィルスの袋を探すWHOやシンスキー。
シエナと仲間を発見したシムズ、ラングドンも追う。
シムズはシエナの仲間を倒していくが少し油断したすきに刺されて死ぬ。

シエナは爆弾を水の中に投げ捨て、携帯で起爆しようとするが、
シンスキーの指示で携帯ジャマーが作動しており、起爆は失敗する。
シンスキーはウィルスの袋を発見、自ら飛び込んで確保、
生物兵器処理班の密封箱に入れるが、シエナの仲間が阻止しようと襲ってくる。

ラングドンとの格闘の末、シエナの仲間は射殺される。
シエナが手動で爆弾を起爆させ、その圧力でウィルスの袋は破裂する。
しかし、密封箱がウィルスの漏れを防ぐことに成功、拡散は阻止された。
こうして事件は収束を見たが、シンスキーはウィルスの解析と対策のためWHOに戻り、
ラングドンはハーバード大に戻るので、二人はまた別れ別れになった。

** 

謎解きが面白く、宗教じみてもいないし、容器に閉じ込められた反物質が盗まれるとか、
瀕死の被害者がわざわざ全裸になって衣服を隠しダビンチの「ウィトルウィウス的人体図」を模して死ぬなど、
突拍子もない設定に比べるとまとも。

逆に言うと、コンクラーベの教皇候補が次々と殺害されるとか、
キリストの末裔が存在するなどの物議を醸す設定はないのでその意味での騒ぎは起こりそうもない。
だからと言ってこじんまりとまとまっている感はなく、十分面白かった。

しかしながら、全米での興行成績はいまいちで、この分ではシリーズの続編製作が危ぶまれる。

最初に思ったのは、ウィルス入りの袋は爆弾で破裂させなくても、水溶性の容器などに入れて
時間が経てば勝手に撒き散らせるものにしたらいいんじゃないか、ということだった。
実際、原作ではそうなっているらしい。
さらに原作ではラングドン一行が現場に着いた時はすでにウィルスは飛散しており、
ソブリングの言葉はウィルス拡散決行ではなく、拡散し発症する時を示しているらしい。
シエナが翻意し、WHOに協力してワクチン製造に協力することで収束するとのことのようだ。 

ただ、それだと映画的にはきれいに終われないので、結末を変えたのではないだろうか。
元より原作は原作、映画は映画であり、原作をなぞるのが映画の役割ではないので、
登場人物が端折られていたり、設定が変わったりしているのも、当然と言えば当然。 

** 

こういう類の映画では名所めぐり的な展開になるのはある意味常道だが、
謎解きサスペンスがうまく機能しており、知識のない自分にも十分楽しめた。
その点「王妃の館」のような何のための名所めぐりかさっぱり要領を得ない映画とは格段の差。

プロジェクターは字幕では「ポインタ」となっていたが、鑑賞中はそれが何を指すのかよく理解できなかった。
一説によれば「ファラデー・ポンインタ」というらしいが、「ファラデー・ポンインタ」「ポンインタ」とも
何かは分からなかった。 

 

 

           

 ボクの妻と結婚してください     

織田裕二、吉田羊、高島礼子、原田泰造、大杉漣

**

TV放送作家の三村修二(織田裕二)は超多忙。
ある日、体調不良で訪れた病院で検査の結果、医師からすい臓ガンのステージ4b、
治療は絶望的で、余命半年、もって1年と告げられる。

突然の宣告に茫然自失の修二だが、仕事場で秘密にするのはもちろん、
妻の彩子(吉田羊)や小学生の息子陽一郎(入江海翔)にすら伏せて一人悩む。

自分が死んだあと、家族はどうなるのか、思い悩んだ末、ある突飛なことを思いつく。
それは、自分の生きているうちに妻にふさわしい再婚相手を選んでおくこと。

思い立ったら後に引けない修二は、局で婚活に励んでいるという片岡喜子(森カンナ)について、
取材を口実に婚活パーティに行くが、あまり効果が期待できなかった。

残された時間は少なく、本格的に再婚相手を探すため、貯まっていた番組の企画書を全部作って
仕事を辞める、と申し出た。
当然担当Pは引き留めるが、編成局長の荒城伊知郎(大杉漣)はあっさり承諾する。

修二は、旧知の結婚相談所を経営する知多かおり(高島礼子)を訪ね、
「妻の結婚相手を探してほしい」と申し出る。

突飛な申し出に知多は困惑するが、修二はガンや余命のことを正直に話し、知多は承諾する。
何日か後、IT会社社長で未婚の伊東正蔵(原田泰造)が条件にピタリはまり、
知多は修二を社員の「鈴木」と偽らせて、伊東と面会する。

しかし、伊東は婚活会社への登録は自分の意志ではなく、当面結婚する気はない、と告げる。
諦めきれない修二は、何度も伊東のもとを訪れ、結婚の良さを語る。
また、結婚相手の候補者である妻(もちろん内緒)の三村彩子の人柄などを訴える。

そうこうするうち、伊東は修二の熱心さにほだされ、彩子と会ってみたいという気になってくる。
ただ、彩子は現在結婚しているので、何とか離婚しなければ再婚できない。
修二は離婚届を用意し、知多に証人(セリフでは保証人)になってもらう。

修二は番組で旧知の清瀬モモ(佐藤ありさ)に頼み込んで恋人を装い、
彩子が陽一郎の授業参観に行った帰りにわざと見られるように仕組む。

修二が深夜に帰宅した際、彩子は修二の浮気を問いただし、口論となる。
修二は「別れてくれ」と言い、離婚届を置いて家を出て行ってしまう。

修二が外出した後、彩子は怒り狂って修二の荷物をぶちまけるが、中にあった手帳に
すい臓ガンで余命いくばくもないこと、妻や子に新たな夫で父を見つけることなどが
書かれていることを見つける。

一旦は何も持たずに家を出たものの、衣類などを取りに帰った修二は、彩子が手帳を見たことに気づき、
もうすぐ死ぬ、と独白した直後に失神して病院に救急搬送される。

幸い体調はすぐに回復したものの、「清瀬モモとの不倫密会」が大きく週刊誌で取り上げられ、
修二は謝罪に奔走する。その際、荒城には病気のことがばれる。

また、伊東から知多の会社に怒りの電話が入っており、修二は知多に謝罪に行く。
当然ながら相手にしない伊東に修二はガンのことを告白し再考を嘆願するが断られる。

暫くして、伊東から知多に彩子と会うとの電話が入り、関係は修復。
夫と妻、そして未来の再婚相手という奇妙な三角関係が始まる。
当初は必ず3人で会っていたが、修二の体調悪化に伴い、彩子と伊藤の2人で会うようになる。

そんなある日、在宅療養を行っていた修二は、突然「頼みがある」と言い出し、
伊東と彩子の結婚式(予行)が行われることになった。

教会結婚式場で、列席者0、神父(牧師)立ち合いなしのリハーサル形式で、
新郎伊東の下に修二が彩子の手を引いて(引かれて)バージンロードを歩き、
いろいろと語り、最後に「ボクの妻と結婚してください」と頼み、伊東は承諾する。

やがて、修二は他界。
彩子は伊東に修二のとんでもない企画に付き合ってくれたことに感謝する。
つまり、伊東が付き合いや結婚を承諾したのは芝居で、修二の最後の企画を(嘘でもいいから)
実現させてやりたいと彩子が伊東に頼んだものだったということ。

こうして彩子は再婚せず、陽一郎と二人で暮らしていくのだった。

**

観客女性陣、号泣。
かなり早い段階からすすり泣きが聞こえていた。
何処が泣きどころかはっきりとはわからなかったが、泣かそうという意図は垣間見えた。

病気を意識してのメーキャップなのか、織田裕二はややくたびれて見えた。
逆に式のシーンは元気に見えた。もう少し暗いメーキャップが良かったのでは。

織田裕二の役は放送作家だが、TV局の社員なのか、制作会社の社員なのか、フリーなのかよくわからなかった。
「社員が辞める」にしてはずいぶん簡単に事が運んだが、TV局の人事ってあんなもんか。

大杉漣は事情を察していたにしてもあれはどうなのか。
また、週刊誌報道された女性タレントとの後始末は事務所がカンカンでしたではすまないだろう。
週刊誌にも病気のことがばれない限り、各誌記者、パパラッチの追及はあるだろうし、
なぜ辞めた、なども追われることになるだろう。

仮に病気のことがばれた場合、よほどのことがないと記事の差し止めは難しく、
「悲劇の放送作家、妻の再婚相手を探して不倫を偽装」なんて報道されたら、不倫疑惑は晴れても
その後の計画はおじゃんだし、そもそもその内容は格好のネタになる。

予告を見た段階では「妻の再婚相手を探す」という、とんでもない番組を始めるのかと思っていた。
でもそれじゃ、番組の私物化だし、いくらなんでも企画が通らないだろう。

自分はまもなく死んでしまうけど、妻はまだ若いし子供も小さい。
死んだ後、いつまでも自分のことだけにとらわれないで、再婚してほしい、という気持ちは理解できても、
存命中に相手を見つけること、妻がその相手と打ち解けていくのを見ることで安心して死ねるとの考えは理解できない。
そこが受け入れられるかどうかで映画の評価が決まるのかもしれない。

手術、放射線、投薬などの治療が難しいとしても、緩和治療はできるはず、というかするはず。
点滴をしているシーンはあったが、末期のすい臓がんであんなに安らかに死ぬものなのか。
悲惨さを訴える映画ではないのでそこは重要ではないのは十分理解するが、死ぬシーンは要らない。

 

 

               

 

 湯を沸かすほどの熱い恋    

宮沢りえ、杉咲花、オダギリジョー、松坂桃李、駿田太郎

**

栃木で「幸の湯」を営む幸野家。
主人が1年ほど前にフラット出たまま帰らず、休業中。

妻の幸野双葉(宮沢りえ)は中2の娘、安澄(杉咲花)と事実上の二人暮らし。
あすみが学校でいじめを受けていることを学校は全く分かっていないし解決しようともしていないが、
双葉はそれをなじるでもなく怒るでもなくただ安澄に跳ね返せと激励する。

双葉は家計を支えるためにパン屋で働いていたが、仕事中に突然倒れ病院で検査を受ける。

医師の診断は膵臓ガンから全身に転移したステージ4の末期がんで、手術、抗がん剤や放射線による治療などの
効果が期待できないで、今後は緩和ケアのみが有効な余命2,3か月と宣告されてしまう。

双葉は病気のことは安澄には隠し、夫一浩(オダギリジョー)の捜査を探偵の滝本(駿河太郎)に依頼、
その所在はあっさりと判明し、すぐ近くの町にいることがわかる。

双葉はパン屋を辞めて風呂屋の再会を決意、一浩を訪ね、病気を告白する。
一浩は、浮気相手の娘鮎子(伊東蒼)を連れて帰宅、ぎくしゃくした親子関係の4人家族が始まる。

何とか銭湯は再開し、安澄と双葉が番台を勤めるようになる。

暫くして、体操の時間中に安澄の制服が隠される事件が起こる。
体操服で登校した安澄は意を決して、教室で制服を返してと嘆願して倒れ、いじめグループは制服を返す。

5月のある日、双葉は鮎子が番台の金を持ち出しているところを目撃、密かに金をためているのを知る。
暫くして鮎子がいなくなり、鮎子の実母が次の誕生日までに迎えに来ると書き置いていたことから、
元の部屋に行ったのではないかと見た双葉が迎えに行き、以来鮎子も双葉になつくようになる。

ガンの進行とともに末端の麻痺がおこるようになった双葉。
銭湯を一浩に任せて、車で箱根に旅行に行くことを決意、安澄と鮎子を連れて旅に出る。

途中道の駅であてのないヒッチハイクをしていた向井拓海(松坂桃李)を乗せた双葉は、拓海を叱責し
北海道最北端に行くという目的を指示して分かれる。

箱根の海岸沿いのレストランでタカアシガニをたらふく食べる双葉と安澄と鮎子。
子どもを先に車に戻した双葉は聾唖の女店員をひっぱたく。
そして車に戻って、今の店員が毎年タカアシガニを送ってくれる「坂巻君江」(篠原ゆき子)で、
双葉は再婚で、君江こそが赤ん坊のあずみを捨てて逃げた実の母だと告げる。
双葉は動揺する安澄を残してその場を一時去る。

鮎子は安澄に気づいて近寄り、安澄は手話で会話する。
手話はいつか役に立つからと双葉が安澄に習わせたものだった。

夕方、双葉は安澄を迎えに来るが、双葉はついに倒れ、病院に担ぎ込まれる。
一浩も駆けつけ、双葉の病気はみんなの知るところとなる。

末期がんの双葉はホスピスの渡良瀬ケアセンターに入院する。
何度も出てきた保育園に幼児を預けたまま立ち去る親子のシーンは鮎子の回想ではなく、
実は二葉自身の思い出だった。
死んだら母があの世で待っていると自分を言い聞かせる双葉だが、探偵の滝本が訪ね、
母が生きていると告げる。

急に会いたくなった双葉は滝本とともに母を訪ねるが、母のはずの女性はそんな娘はいないと言って取り合わず、
双葉は玄関先の置物を投げつけて逃げる。

君江は度々雪野家を訪れ、安澄とのわだかまりはなくなる。
双葉に諭されて北海道を旅行していた拓海が事情を知らないまま雪野家を訪ね、住み込みで働くことになった。

結婚前の約束を何も果たさないと叱られていた一浩は、せめて約束のピラミッドを見せようと、
3段の人間ピラミッドをケアセンターの庭で作り、双葉に見せる。
感動した双葉は死にたくないと思いつつこの世を去る。

葬儀の日。
銭湯で行われた告別式。
出棺までは通常通り行われたが、いったん幸の湯を出た霊柩車は幸の湯に戻り、
違法と知りつつ、双葉を風呂屋の窯で火葬する。

**

全編にわたって女性陣の泣きが見せ所であり、実にうまい。
女性客は泣きっぱなし。
笑いどころもある。

子役がすごい。
鮎子の伊東蒼、滝本(駿河太郎)の娘役(遥)など、偉そうに言わせてもらえば、
日本映画界の子役もずいぶんレベルが上がった。
杉咲花は、現在19歳だが、見た目はまだ中学生でも十分通じる。

男性陣が情けないで女性陣が頑張るのは最近のトレンドではあるが、それにしても双葉は頑張り過ぎ。
末期時はモルヒネも効かないほど辛いらしいが、あまり見ていて気持ちいいものではない。

劇中でもまずい、違法と言いつつ行われた火葬。
煙は赤にはならないにせよ、火葬はすぐばれるので後日談が実は気になる。

 

 

          

  

  グッドモーニングショー  

中井貴一、長澤まさみ、志田未来、吉田羊、時任三郎、松重豊、濱田岳、林遣都

午前3時、目覚ましで起きる隅田真吾(中井貴一)は某局の朝のワイドショーのMC。

元女子アナの妻、明美(吉田羊)と大学生の息子がまだ起きていて、息子は出来婚で結婚するという。
説教しようとすると、息子は真吾に朝からはしゃいるだけのくせに、と吐き捨てる。

迎えのタクシーに乗り局に向かう途中、サブキャスターの小川圭子(長澤まさみ)から電話が入り、
二人の関係を生放送中に暴露すると脅される。

局では、朝の「グッドモーニングショー」の構成が議論されていた。
汚職疑惑の政治ネタをトップニュースにと主張する報道担当の松岡宏二(林遣都)、
芸能ニュースを推す新垣英莉(木南晴夏)はどちらも譲らない。
澄田真吾の推しでトップは芸能ニュースに決まり、番組構成が確定。
報道部に嫌味を言われながらのVの借用やテロップ発注など準備が刻々と進んでいく。

番組プロデューサーの石山聡(時任三郎)からは次の番組改編でMCの交代予定を告げられる。
ここで、澄田真吾はかつて夜の報道番組のキャスターをしていて、土砂災害の現場からの中継の際、
笑いながら顔に泥を塗るシーンが放送され、大批判を浴びて降板したことが語られる。
それ以来、澄田は現場中継がトラウマになっていた。

いよいよ、放送開始まで15分。
ここで突然共同通信から緊急ニュースが飛び込んできた。
大崎のカフェに銃を持った立てこもり事件が発生したのだ。

カメラマンの府川(大東俊介)が機材をもってバイクで現場に駆け付ける。
事件を受け、番組構成は大幅に変更。
トップニュースは当然ながら立てこもり事件、芸能ニュースは吹っ飛び、続いてグルメリポートも吹っ飛ぶ。

担当ディレクターはてんやわんやの中、番組が始まった。
ようやく現場に着いた府川は早速中継を始めるが、規制線が張られ送れるのは固定画像のみ。
他局では、発砲音の動画(視聴者提供)が流されたりする。
銃や爆弾といった情報も飛び交う。

警視庁特殊班の黒岩(松重豊)が府川に対し、犯人の要求が同局の「澄田を呼べ」だとして協力を要請される。
府川は直ちに番組に連絡。
CM中に番組Pの石山に現場行き要請されるも澄田は拒否、情報局長も現場行きを反対する。

ここまで度々、生放送中に澄田との仲を暴露しそうになる小川に手を焼いた澄田は、
CM明けに現場に向かうと宣言し、後を小川圭子とアシスタントキャスターの三木沙也(志田未来)に託し、
現場に向かう。

バイクのタンデム(2ケツ、二人乗り)で現場に着いた澄田は、暫く規制線の外で中継していたが、
黒岩に呼ばれ、爆弾と散弾銃の対応のためと、防爆服を着せられてしまう。
府川は澄田に超小型自撮りカメラと隠しカメラを装着させ、澄田はいやいや、カフェに向かう。

府川は、黒岩が犯人を「ニシタニソウタ」と呼んだことを局に連絡。
館山修平(梶原善)は早速ネットを調べ、ニシタニソウタが、西谷颯太28歳であることを突き止める。
直ちに犯人の名前は放送され、澄田カメラも放送に乗る。

店内からは一人の女性が解放されるが、依然として10人前後が人質になっている。
店内には椅子や机でバリケードが築かれ、その向こうに犯人西谷(濱田岳)が猟銃を構えていた。
澄田が来たことでさらに2人が解放される。

自分が呼ばれた理由がわからない澄田は西谷に問いかけるが要領を得ない。
やがて、このカフェが2年前に火災を起こしていたとわかり、澄田はそのニュースを伝えていたことを思い出す。

西谷は、澄田が上から目線でコメントしていることに怒っており、TVに向かって土下座しての謝罪を要求。
澄田は店の外に出ていろいろと思いのたけを語り、西谷に急かされながらついには膝を落とす。

しかし、報道部が番組を仕切ると乗り込んできて、番組が「報道特別番組」に切り替わってしまう。
スタジオからの放送に変わった途端、視聴者からの苦情が殺到し、またワイドショーに戻ることに。

局では館山がさらに検索を進め、西谷がそこで働いていたこと、その前後に不満を垂れていたことなどがわかる。
店長もその後に店を辞めていたことがわかり、澄田は西谷が店長に会いに来たがおらず澄田に矛先が移ったと見た。
しかし、説得に応じない西谷は銃を放ち、弾は澄田をかすめる。

西谷は店がいわゆるブラックで澄田に訴えようとしたが無視され、腹いせに澄田と小川の写真を撮ったとばらし、
小川との2ショット写真をばらまく。

スタジオでは、小川が澄田と付き合っていると暴露して退席させられ、三木がメインとなる。
西谷は澄田の泥塗り放送をなじるが、当時、その場にいたという小川が真実を語り、澄田を擁護する。

SWATの突入班が店舗奥に待機、指令を待つ。
西谷は自暴自棄となって爆弾の時限スイッチを入れ、散弾銃を自分の喉元に突きつける。
澄田は誰も死んでほしくないと思っていると語り、小川の機転でリアルタイムの視聴者アンケートが実施される。

その結果は、死ね69%、死ぬな31%。
結果を無線で聞いた澄田は「嘘をつけ」のポーズをして、石山は咄嗟に数字を逆転させて放送する。
西谷はがっくりし、力が抜けた瞬間、特殊班が突入して西谷は確保される。
爆弾は液体窒素で凍結されて起爆装置が停止する。
ギリギリ放送時間内に事件は解決。人質は全員無事解放されて放送は終わる。

悪態をつきながらも連行される西谷。
澄田は西谷が訴えようとしたという封書を確保、警察の事情聴取のち局に戻る。

澄田をねぎらう石山。
朝のMC交代は既定路線だが、それでも澄田はワイドショーが好き、と言ってみせる。

帰宅後、小川との仲を妻に謝罪。
息子は父を見直したらしいと聞いてほっとする澄田だった。

**

TV局が制作に直接絡んでいるため、おそらくスタジオや副調整室(サブコン)、器材などは本物だろう。
原稿だけでなく、ホワイトボード、カンペなどで次々と変わる情報、指示を受けながら進むところも臨場感たっぷり。

生放送でハプニングが起こりどう展開するか、誰も予想できない中、キャストはもちろん、スタッフも右往左往。
その中でもプロデューサー、ディレクター、MCが当事者と第三者の両面で「番組」に関わっていく。

設定も展開も全く違うが犯人とMCのセリフ劇的なところも併せ、「マネーモンスター」と似た感覚。
ただ、何度も突入のチャンスがありながら、最後まで説得に力を注ぐのは、アメリカとはだいぶ違う。

TVの番組作り、生放送番組の舞台裏、という面ではかなり興味深いし面白い。
報道部と情報部の軋轢や反目などもどこまで本当かはわからないが、対立があることは想像に難くない。

ただ、見終わった後に何か残るとかと言われると、みんな大変なんだね、ぐらいしか。

小川(長澤まさみ)と澄田(中井貴一)の関係については最後までいまいちはっきりしなかった。

 

 

          

 

  ジェイソン・ボーン 

マット・デーモン、トミー・リー・ジョーンズ、アリシア・ビカンダー、バンサン・カッスル、ジュリア・スタイルズ

**

ジェイソン・ボーン(マット・デーモン)は、前作のラストで川に飛び込み行方不明となっていたが、
その後、地下格闘技の世界に身を置いていた。

その頃、ニッキー・パーソンズ(ジュリア・スタイルズ)は、CIAを離れ、
アイスランドのハッカーグルーブのアジトに出入りしていたが、CIAの極秘ファイルにアクセスし、
CIAの新たな作戦「アイアンハンド」を知り、その作戦とジェイソン・ボーンの情報をダウンロードする。

CIAの本部では、不正アクセスを感知し、直ちに探索にはいる。
指揮を執る若手やり手エージェントのヘザー・リー(アリシア・ビカンダー)は、ハッキング場所を特定し
地区の電源停止と現地エージェントの急襲を指令。

直前にデータを抜き取ったニッキーは、PCに放火して逃げ確保を免れる。
クレイグ・ジェファーズ(アト・エサンドー)は長官のロバート・デューイ(トミー・リー・ジョーンズ)に
スノーデン級の情報流出だと告げる。
流出した情報にはデューイの進める「アイアンハンド」があった。
IT企業のディープドリーム社が完全な秘匿性のあるSNSを開発したと喧伝していたが、
それこそがアイアンハンドの中核で、秘匿どころかCIAに情報を垂れ流すシステムだった。

リーは、ハッキング犯をニッキーだと特定、所在を探し、アテネに移動したと知る。
デューイはニッキー殺害を指令し、リーに現場指揮をとらせると言いつつ、
ローマ滞在中のアセット(バンサン・カッスル)に出動を指令、アセットは拉致被害者を射殺して移動開始する。

その頃、アテネの地下格闘技場のボーンはニッキーが来ていることに気づいたボーンは、ニッキーの残したメモを見て後を追う。
CIAはニッキーとボーンが接触したことを知って、現地部隊を出動させる。

おりしも、アテネはデモで大混乱。
ニッキーと接触したボーンは相手を巻くため、いったん別れボーンを追ったエージェントは次々と倒されてしまう。
一方、現場に到着したアセットもボーンを追う。

ボーンは白バイを奪って逃走、アセットはリーから交通規制の情報を得ながら車で追うが、
ボーンが階段を使ったため、車を捨て、行動を予測し先回りして待ち伏せ、狙撃する。

ニッキーは撃たれ、ボーンに鍵を渡して死ぬ。

鍵はコインロッカーの物でメモリスティックとニッキーの手帳が入っていた。
ボーンは手帳を頼りにベルリンに移動、ニッキーに情報を流したディソールト(フィンツェンス・キーフェル)に会い、
暗号を解読させ、トレッドストーンは父の発案した作戦だったこと、自分は作戦に志願する前から監視されていたことを知る。

リーは、ボーンの所在を特定し、そばにあるスマホをコントロールしてPCに入り込み、データを消してしまう。
そして電話を掛け、ボーンにCIAに戻れと語るが、ボーンはデューイが電話に出ると切ってしまう。
デューイは部隊を急襲させるが、リーがSMSで知らせ、ボーンは逃げる。

ボーンの復帰を模索するリーに対し、デューイ長官はボーン殺害に固執、リーは長官に不信を抱く。
国家情報長官(DNI)のエドウィン・ラッセル(スコット・シェファード)はリーにボーン懐柔を指示する。

ボーンは、自分を監視していたマルコム・スミスに会うためロンドンに飛び、スミスを呼び出す。
火災報知機を誤作動させ、混乱しているうちにスミスに接触、ボーンの父がトレッドストーン作戦を暴露し、
ボーンを解放するつもりだったため、CIAに殺されたと語る。
ボーンは父の車が爆破した時に現場近くにいた男こそアセットだったと思い出す。

ボーンを追ってロンドンに到着したアセットと現地エージェントがボーンを追う。
アセットは味方のはずの現地エージェントも倒してビルの屋上でボーンとスミスを攻撃。
ボーンはビルから落ちるが助かり、駆け付けたリーの車で逃げる。
リーはデューイ長官が共通の敵だとボーンを説得する。

ボーンはリーと別れ、デューイが向かうラスベガスに行くため、偽パスポートでアメリカに入る。
その際、リーがCIAのデータを操作して偽パスポートの認証を与える。
アセットもボーンを追ってラスベガスに向かう。

一方、ラスベガスの講演で、ディープドリーム社社長のアーロン・カルーア(リズ・アーメド)は
CIAとの関係を暴露すると息巻いたため、デューイはアセットに殺害を指示、待機させる。

ボーンは偽IDで会場に入り、リーと接触、追尾装置などを仕込む。
リーは自分のことは知らずにデューイに追尾装置をつける。

まさにカルーアが暴露しようとしたとき、アセットがカルーアを狙っていることに気づいたボーンが銃を発射。
カルーアの狙撃は急所を外れる。

ボーンは混乱に乗じて逃げると見せて、デューイ長官の部屋に侵入し対峙する。
問答の末、乱入したアセットに撃たれてボーンは負傷。
その隙にボーンを狙ったデューイは駆け付けたリーが射殺してしまう。

ボーンはアセットを追い、アセットはSWATの装甲車で渋滞を弾き飛ばしながら逃げ、
ついにはカジノに突っ込んで止まる。
アセットはさらに逃げ、地下道でついにボーンに追いつかれて格闘となり、首を折られて死ぬ。

カルーアは軽傷で済み、退院するがCIAとの関係については口を閉ざす。
リーはラッセル情報長官に対してボーンをCIAに戻す自信があり、もし失敗すれば殺すと約束し、
OKを得る。

帰宅途中のリーにボーンは接触し、リーはCIAに戻るよう説得する。
ボーンは返事もあいまいにその場を立ち去るが、車に戻ったリーは、ボイスレコーダーに気づく。
そこには、リーとラッセル情報長官の会話が残っていた。

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ボーン・シリーズとしては5作目だが、ジェイソン・ボーンとしては4作目。
 

ラドラムの原作小説は3作のみで、2001年のラドラム死後、シリーズはラストベーダーに引き継がれ、
現在まで続いている。

小説の「ボーン・レガシー」は、ラストベーダー版の1作目で、トータル4作目。
引退していたジェイソン・ボーン(デビッド・ウェブ)は大学で教鞭をとっていたが、狙撃事件に巻き込まれ、
新たな敵と対峙する、というもので、アーロン・クロスが主人公の映画版とは全く違う。

実は当初は「ボーン・レガシー」にマット・デーモンの出演が予定されていたが、ポール・グリーングラスが不参加となり、
マット・デーモンも降板、タイトルだけが残ったようだ。

最近のスパイものは世界各地を股に飛び回ることが多い。
ご当地を増やすことで効果を期待する営業戦略かと勘繰りたくもなるが、そう簡単に各国を行き来できるのか。
エージェント時代のパスポートが国家により不正に供与された「本物」だったと考えても不思議ではないが、
今となってはそれらは無効になっているだろうし、各国の連携により偽造検出技術も精緻になっているだろう。

アメリカ入国にはCIAの支援があったが、その他の国の入出国が全く問題なくできるとも思えないがどうなのか。

また、ネットに接続されていないPCでニッキーの持っていたUSBメモリを開いただけで、居場所が特定できるものなのか。
スマホをハッキングすることは可能と思われるが、そこからスタンドアローンのはずのPCに入り込めるのか。

国際的なハッカーであるディソールトが大した防御もせず、やすやすと自宅のスマホやPCに入り込まれてしまうのも納得できない。

派手だしいろんな場所で過去に未来に情報が錯綜する。
謎解きはそれほど複雑ではないが、当初、それ以前のしがらみもあって人間関係は複雑。
ただ、前シリーズで重要人物だったパメラ・ランディの姿はない。

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現在のところ、続編のアナウンスはないが、前宣伝では「新シリーズ」と続編の期待が高まる。
全米では1億6千万ドルにとどまるものの、全世界で4億ドル超のアルティメイタムに次ぐ稼ぎとなっている。

派手さ(破壊度)がますますエスカレートしており、トレッドストーン、ブラックブライアーですら
新聞記者に嗅ぎつかれてしまうのに、これだけ派手な破壊、殺りくに加担した人物が
民間に全く情報漏れがないとは思えない。
シリーズとして継続していくのであれば、そのあたりも考えてほしいものだ。

ボーンもますますスーパーマン化し、腹に銃弾を受けたのに平気で相手を追うなど無理が多い。
最近の傾向としてエンターテインメント性とリアリティのバランスがエンタメに寄り過ぎていないか。

予告で出たシーンで実際にはないカットが多い。

「Remembering everything doesn't mean you know everything」ってセリフあったか。

 

 

          

 

 コンカッション  

ウィル・スミス、アレック・ボールドウィン、デビッド・モース

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ベネット・オマル(ウィル・スミス)医師は、ナイジェリアからの移民でピッツバーグで監察医をしていた。
裁判で被害者の解剖所見から、被告人の無罪を証明することもある。

ただ、あまりにも丁寧な仕事ぶりのため、勤務先や同僚からは煙たがられている。

一方、アメリカン・フットボールのかつての名センターだったマイク・ウェブスター(デビッド・モース)は、
引退後落ちぶれてホームレスとなって車で暮らしており、元の仲間の説得にも応じず引きこもっていた。
しかし、その実は頭痛と幻聴に悩まされ、自堕落になっていたのだった。

そして、マイク・ウェブスターはついに自殺してしまい、監察医のオマル医師のもとに届けられる。
自殺の原因を探るオマル医師は脳に障害があるのではないかと調べるが、何ら異常は見つからない。

納得できないオマル医師は詳しい分析を行うため、脳の組織固定を指示するが、
同僚や上役は時間と金が掛かるとして拒否したため、オマル医師は自費で賄うことになった。

その頃、オマル医師が通う教会で牧師(神父?)から、最近渡米したばかりのアフリカ系移民女性、
プレマ(ググ・ムバサ・ロー)の世話を頼まれる。

女性にはあまり興味のなかったオマル医師だが、プレマと暮らすうちにだんだんと打ち解けてくる。

マイク・ウェブスターの脳の標本を顕微鏡で調べたオマル医師は脳の変性を見つける。
現役時代の激しい衝突による脳震盪が変性の原因であると考えたオマル医師は、
脳医学の権威であるスチープ・デコスキー博士(エディ・マーサン)を訪ねて持論を展開。
デコスキーは気に入らないと言いつつも、標本を見てオマル医師の理論を指示する。

その後もマイク・ウェブスターと同様の症状で、若くして死んだ元アメリカン・フットボール選手が
オマル医師の所見で同様の脳の変性が見られ、3つの事例が集まる。

さらに若くして認知症のような症状を呈したのち死に至った別のアメリカン・フットボール選手でも
同じ変性が見られ、オマル医師はデコスキーらとの連名で、この症状を慢性外傷性脳症(CTE)として
医学雑誌に論文発表する。

それまで、費用が掛かることに反対していた上司も論文を読んで賛同し、オマル医師を支持する。

しかし、現役時代の激突が原因と名指しされたNFLは、フットボールが原因ではなく、個人的な要因だと決めつける。
オマル医師の下にはアメリカン・フットボール・ファンらからの罵りの電話などが掛かってくるようになる。

一方で、この問題がマスメディアにも取り上げられるようになり、反論していたコミッショナーは辞任。
後任にはやり手のコミッショナーが選ばれる。

NFLのチームドクターだったジュリアン・ベイルズ医師(アレック・ボールドウィン)も当初は反発していたが、
マイク・ウェブスターの死ぬ前を知っていたため、オマル医師に賛同するようになる。

NFLはCTEについてヒアリングをすることになり、オマル医師ではなくベイルズ医師から話を聞くが、
事例が少ない等の理由でフットボールのせいではないと決めつける。

当時の理事の一人で、やはり名プレイヤーだったデイブ・デュアソン(アデウェル・アキヌウエ・アグバジエ)は、
会議後、オマル医師を罵る。

このころまでに、オマルはプレマと結婚し、プレマは妊娠するが、後をつけられたりしたストレスがもとで流産してしまう。
また、上司に不正の疑惑が告発されたりして、オマルは追い詰められていく。
オマルは監察医を辞め、プレマとともにピッツバーグから引っ越し、別の町で医師を続ける。

3年後、デュアソンは幻聴に苦しめられるようになり、オマル医師に検体を提供すると遺し、心臓を撃って自殺する。
オマル医師が検査したところ、デュアソンにも同様の変性が見られ、ついにNFLもCTEを認める。

激しい衝突が脳に障害をもたらすことが一般にも認知されるようになったものの、
アメリカン・フットボールでは相変わらず激しいぶつかり合いが行われているのだった。

いまいち盛り上がりに欠ける展開だった。
元々派手な内容ではなく、一介の医師がそれまで知られてはいたものの、まともに研究すらされていなかった
脳震盪と脳の障害=変性、について勇気をもって明らかにした、ということであり、事実としては重いが
エンタメ性に欠けるのはやむを得ない。

劇中でも言及されていたが、脳の変性だけでなく、タウタンパク質の異常蓄積が見られたとのこと。
これらはアルツハイマー型認知症の原因として知られているそうだ。

繰り返される激しい衝突によって、引退後にパンチドランカーのような症状を呈することは、
選手や関係者の間ではよく知られていたことのようだが、NFLを対立軸として、事実に目をつむり
金儲けを優先する組織として描いている。

劇中のマイク・ウェブスターや、デビッド・デュアソンらは実在した人物でかなり有名だったようだ。
アメリカでのアメリカン・フットボールの人気はすさまじく、脳震盪の後遺症が知られるようになっても
その人気は衰えていない。
ただ、ラグビーや野球でもそうらしいが、脳震盪と診断されると一定期間試合に出られないなどの
措置が取られるらしい。

 

 

               

 メカニック:ワールド・ミッション 

ジエイソン・ステイサム、ジェシカ・アルバ、トミー・リー・ジョーンズ、ミシェル・ヨー。

アーサー・ビショップ(ジエイソン・ステイサム)は、リオでヨット暮らし。
いつものようにレストランで食事をとっていると、見知らぬ女が近づいてきた。
流ちょうなポルトガル語で知らないふりをするアーサーだが、女は仕事を頼むという。
アーサーは電話をすると言って女の写メを撮り、襲い掛かってきた男たちを蹴散らして逃げる。

調べたところ、女はかつてのムショ仲間、クレインの手下とわかる。
女の仲間がアーサーのヨットをあさっていたので、リモコンで爆破して倒す。
アーサーは偽造パスポートを使ってタイへ移動する。

タイのリゾートで管理人のメイ(ミシエル・ヨー)と再会。
暫く身を隠すことにするが、訪れた女、ジーナ(ジェシカ・アルバ)が、
夜ヨットで男に乱暴されているのを見て、メイに言われるまま助けに行く。
そして、男を撲殺してしまい、ヨットを爆破沈没させ、ジーナをかくまう。

ジーナはいかにも怪しい立ち位置だが、アーサーに問い詰められてあっさり正体をばらす。
実は彼女はカンボジヤで貧しい子供たちに勉強を教えていたが、クレインが目をつけて
子どもを誘拐し、アーサーに近づくよう脅しをかけているという。

ジーナの正体を知りながらもジーナとお近づきになるアーサー。
父の形見の時計をジーナに渡すアーサー。

しかし、そんなのほほんとした時間も、クレインの仲間に邪魔され、ジーナはさらわれる。
アーサーは、クレインの下に行き「3つの殺し」を依頼される。
いつものように事故に見せかけろ、という。

最初の殺しはマレーシアの難攻不落の刑務所に服役中のクリル。
周りは断崖で海には鮫。そしてクリルの周りは屈強な仲間(服役者)が一杯。

街中でプラスチック爆弾、タバコなどを調達し、それぞれをガムや起爆装置に加工。
鮫除けクリームも偽装して、喧嘩し刑務所入りとなる。

入所時の荷物検査はクリアーし持ち込みに成功。
刑務所内部でクリルはさながら牢名主。
アーサーはクリルを殺そうと狙っている服役者がいることを知り、
それをうまく阻止してクリルに取り入る。

クリルの招待を受けてその個室に行き、取り巻きのいない隙にクリルを絞め殺す。
そしてプラスチック爆弾で刑務所の壁を破壊、鮫除けクリームを塗って、断崖から飛び込み。
看守らの狙撃を交わしてクレインのボートに助け上げられる。

2人目のターゲットはシドニー在住のエイドリアンという武器商人。
高層マンションの最上階に住み、ビルから突き出した強化ガラス製のプールで泳ぐのが日課だ。

アーサーは近くの階を借りるふりをして、不動産屋に案内させ、鍵のコピーを取る。
一旦帰り、作業員のふりをしてその部屋に潜入し、窓ガラスを外して外壁を最上階へ登っていく。
エイドリアンが、プールに入る時間に合わせてそのプールの下に行き、用意した装置で、
プールのガラスに亀裂を入れ、破壊された穴からエイドリアンは墜落死してしまう。

アーサーがジーナの無事を確認する際、ジーナは機転を利かせて、クレインの居場所がわかるよう細工する。
アーサーは、クレインのヨットを特定して追い、船に乗り込んでクレインの仲間と乱闘になる。

しかし、あえなく失敗して、3人目の殺しを指示される。
3人目は、ブルガリアの要塞ハウスに住む武器商人のマックス・アダムス(トミー・リー・ジョーンズ)。

3人とも武器商人ということで、アーサーはクレインが自分を利用して商売敵を消そうとしていると気づく。
マックスの住む館はまさに要塞。

外部から警備要員を狙撃。
呼ばれたドクターヘリに隠れてヘリポートに行き、あっさりと侵入に成功。
厳重なセキュリティをかいくぐってマックスの部屋に侵入して対峙する。
しかし、アーサーはマックスを殺さず、死んだ偽装をしてクレインを倒す計画を持ち掛ける。

アーサーは、マックスの要塞の地下にある潜水艦基地で、マックスの死を偽装し脱出に成功。
マックスは暫く身を隠す。

クレインはマックスが死んだとのニュースを耳にするが、部下を潜入させ未発見の遺体を確認させる。
アーサーは罠を仕掛けて待ち伏せし、クレインの部下を皆殺しにする。

クレインはヨットで逃げるが、アーサーは追っていき、船に乗り込んで次々とクレインの部下を倒す。
アーサーはジーナを救助して逃げようとするが、負けを悟ったクレインは船の時限爆破装置を起動して逃げようとする。

ジーナは腹を撃たれ傷つく。
アーサーはジーナを脱出ポッドに入れて射出。
自身はクレインとの対決に向かう。
タイマンでの戦い、ついにアーサーはクレインにチェーンを巻きつけて動けなくする。
爆破まで時間がない、逃げても爆破に巻き込まれる。
アーサーはどこかへ逃げていく。

ほどなく爆発が起き、船は大破、クレインも死に、船とともに沈む。
ジーナはそれを海上で見ていた。

マックスはクレインが死んだことで姿を現し、ヨットの引き上げ現場に行く。
生存者ゼロ。

ジーナはカンボジヤの学校に復帰。そこにアーサーが訪ねてくる。そう、死んでいなかった。
マックスが事故船のビデオを確認したところ、非常用の隔壁に囲まれた部屋から
アーサーが出てくるところが写っていた。
マックスが笑い、ビデオを消去したところで映画は終わる。

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殺しを綿密に計画して事故に見せかける孤高の暗殺者。
前作では、恩人の殺害を命じられて応じ、敵討ちを誓うその息子を弟子にして鍛え、
最後は返り討ちにする、というストーリーだった。

今作では孤高のはずが、女を利用した罠に分かっていながらまんまとはまり、殺しを引き受ける。
しかも、事故に見せかけるはずがバレバレの殺人。
コナンが見れば「これは事故なんかじゃない、殺人事件だ」と、あっさり見抜いてしまうような殺し方。
なにより、24時間とか36時間とかのタイムリミットで、移動するだけでも時間がかかるのに、
下調べして計算して計画し、道具や装置を自作して、その上殺しを実行する。
無理でしょ。

前作を越えたいと思うあまり、派手なアクションで、世界を股に殺しを敢行、惚れた女に優しい、なんて
コンセプトにしちゃったもんだから、あちこち飛び回るのは良いとして、綿密緻密なはずの計画もサクサク進む。
さらにモリアーティ教授よろしく、同類項で同等能力の敵役との対峙も中盤まではなんかなあなあだし。

元々エージェントだったときの仲間が大勢いるとか、どこか、政府系でもいいし悪の組織でもいいけど
調べ物や、道具つくりなどにサポートがいるならともかく、単独知能犯なんだからちょっと無理がある。
殺しを3つも欲張らず、的を絞ったほうが良かった。

もっとも、ローンウルフ的なスーパー・ウェポンなら、ジャック・リーチャーもいるしジョン・ウィックもいる。
ジェイソン・ボーンも元エージェントだが、今はローンウルフだ。

せっかくジェイソン・ステイサムを使うなら派手な肉弾戦の立ち回りや、過去の特技を生かした飛び込みなどを
見せたい気は分からないでもないが、要は盛り過ぎ。

 

 

               

 

 

 

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