スリーデイズ
ラッセル・クロウ、エリザベス・バンクス、ブライアン・デネヒー。
**
冒頭、男(ラッセル・クロウ)が車を疾走させている。
どうやら後部座席には怪我をした男がいるようで「苦しい、息ができない」と呻いている。
やがて、後部座席の男は声を出さなくなり、運転していた男は車をゆっくりと走らせる。
3年前(THE LAST THREE YEARS)
一人の女性がレストランに入っていく。
待っていたのは女性(ララ:エリザベス・バンクス)の夫(ジョン・ブレナン:ラッセル・クロウ)と、
ジョンの弟、ミック(マイケル・ビュイエ)とその彼女。
上司が男か女かで揉めた挙句、女同士の口げんかになり、気まずい雰囲気で別れる。
翌朝、朝食の支度をするジョンとララ。
昨日、女性の上司と口げんかしたと愚痴るララ。
そこへ、警察が乗り込んできて、泣き叫ぶ息子のルークの目の前で、ララを殺人容疑で逮捕。
ララは上司と口げんかした挙句、駐車場で消火器で上司を撲殺、そのまま逃げた、と言う容疑だった。
凶器の消火器にララの指紋、現場から車で去るララを目撃した同僚の証言、ララのコートに被害者の血、
駐車場で(犯人と思われる)女とぶつかったと言うララの供述もむなしく有罪となる。
ララは有罪となって郡の刑務所に収監され、2年経った今もジョンがルークを連れて面会に行く日々だった。
3か月前(the last three months)
ジョンは控訴/上告を求め手を尽くすが、弁護士すらララの無実を信じておらず熱心に対応してくれない。
結局、上告は棄却され、それを告げに行ったジョンの姿を見たララは絶望のあまりリストカットに至る。
病院に見舞いに行ったジョンは面会謝絶を押し切って妻に会い、必ず救い出すと心に誓う。
それからは非合法な手段を使ってでもララを奪還するための行動に出る。
7回も脱獄したことを本にしたデーモン・ペニントン(リーアム・ニーソン)に会って話を聞き、
綿密な計画を練ることにした。
ベニントンによれば、脱獄はさほど難しくない。
刑務所内、その周辺、出入りする人、車、わずかな変化、キーになる事象を見つけ出せ、
ヒントはそこにある。
しかし、問題はそのあと。
どうやって逃げるか、どこへ行くか、そのために何を用意しておくか。
ピッツバーグなど主要都市では、15分で市内の主要道路の封鎖、35分で空港の封鎖、
駅、空港、主要ターミナルに、特徴、似顔絵、写真が配布され、検問が行われる。
アメリカ人観光客のこない海外へ逃げるためのパスポート、ID、クレジットカードが必要。
銃や機材なども必要、最低3年は暮らせるだけの金、、、、、全てに金がかかる。
銃は簡単に手に入ったものの、偽造パスポートはなかなか手に入らない。
違法ドラッグの売人に声をかけるが、相手にしてもらえない。
そのうち、あるバーへ行けと声をかけられるが、それは騙し。
タコ殴りされた挙句、金を奪われてしまう。
それを見ていた別の男が、偽造を高額でもちかけてくる。
渋々応じ、後日約束の場所に出かけるが、男は約束の時間に現れない。
近くの車が去った後、男が現れID/パスポートは手に入れるが、
「近くの車にいたのは刑事、あんたは必死過ぎて失敗する。」と言い残して去る。
ジョンはバンプキーを作って、刑務所内のエレベーターで試すが失敗、危うく逮捕されそうになる。
しかし、その後も観察の結果、刑務所での健康診断カルテを運ぶ病院の車に目をつけ、
ララの持病である糖尿病悪化偽装を思いつき、車に侵入してカルテを撮影し偽造する。
一方、生活では実の両親もララの無罪を信じておらず、ルークを預けるのを止め、
一人で公園に連れて行く中で、娘を連れてくるニコル(オリビア・ワイルド)と知り合い、
娘の誕生パーティに誘われ、つい、妻が入獄中だと明かしてしまう。
3日前(The Last Three Days)
そして準備に余念がないある日の面会で、ララはある書類をジョンに見せる。
それは、3日後に、より警備が厳しい長期囚の収監される監獄への移送の通知だった。
余裕は3日。
ジョンは資金繰りのために売り払う予定の家の入金を急がせるが、それは無理だった。
ジョンはついに銃を手に一気に大金を手に入れる算段を考える。
銀行強盗?
しかし、それは直前で思いとどまる。
以前ドラッグを買った売人を見張り、薬の元売りの家を突き止める。
次の日、再びルークを両親に預け、ジョンは行動に出る。
夜、雨の中、ジョンは銃を手に元売りの家で待ち伏せ、売人の到着とともに家に押し入る。
犬と用心棒を物置に押し込み、元売りに金を要求するが相手もジョンを見透かして応じない。
ジョンは家に火をつけると脅すが、上に子供がいると聞いて一瞬ひるむ。
しかし、それは嘘で元売りは2階に逃げ、売人を盾に2階に上がったジョンに銃を撃ち、
弾は売人に当たり、ジョンは応射して元売りを射殺する。
部屋に子供はおらず金庫にはおびただしい金が入っていた。
ジョンはそれを盗み、助けてと懇願する売人を連れて逃げようとするが、
物置を破って出てきた用心棒と犬に追われ、車をぶつけて逃げる。
ここで冒頭の時間に戻る。
呻く男は売人、やがて死に絶え、バス停のベンチに遺棄される。
ジョンは、ルークを連れ戻し両親に別れを告げる。
家に戻って支度をし、計画図や写真などをごみ箱に捨て、ついに脱獄を仕掛ける。
翌朝、病院の電話回線を切断して、病院車に侵入、用意しておいたララの偽造カルテを本物とすり替える。
その後、ルークをニコルの娘の誕生パーティに預けて、病院前で待機する。
やがて、カルテを見た医師は、ララの容体急変と思い、電話が通じないため、
直接刑務所に行ってララを病院へ搬送させる。
その頃、警察では麻薬元売りの殺害と放火の捜査をしていた。
現場には、車のライトの破片が落ちており、それが手掛かりだった。
車の種類はプリウス、そこから絞り込んで、収監中のララ・ブレナン、
そして旦那のジョンと調べ上げられた。
しかし、家はもぬけの殻、壁に何かを剥がした後を見た捜査官は脱獄計画を察知、
ララが刑務所から病院に搬送されていると知って病院に向かう。
ジョンは、病室に押し入り、警備員を縛り上げて、渋るララを説き伏せて脱走させる。
その頃、捜査官たちは病院に到着、逃げようとしているジョンと遭遇するが、寸でのところで逃す。
プリウスのある地下駐車場に向かうと見せ掛けて外ににげた二人はデモ隊に紛れ込んで地下鉄に向かう。
捜査官はすぐに気が付き、追うがぎりぎりで二人の乗った電車を逃す。
警察は次の駅に急行、捜査官は地下トンネルを走って追う。
ジョンは、途中で非常ブレーキを引いて電車を停めて降り、
あらかじめ破っておいた金網を潜り抜けて、駐車場に止めておいた別の車で逃げる。
少々荒っぽい運転で15分の壁は何とかすり抜けたジョンだったが、
ニコルの家にはルークはいなかった。
動物園パーティと知って、迎えに行くが、次の区切りの35分は刻々と迫る。
ルークををあきらめ、このまま脱出するというジョンにララは身を挺して止め、
ついに35分が過ぎてしまった。
ジョンは時間をあきらめ、ララとともに動物園にルークを迎えに行く。
ニコルは一瞬ララの姿を見る。
捜査官は高速の検問で夫婦と子供の車を止めさせるが、ジョンは老夫婦を拾って検問を逃れる。
一方、ジョンの家のごみから脱獄計画資料の断片を見つけた捜査官らは、
州外から海外への脱出を読み取り、出国審査でのチェックを指示するが、
ジョンらはぎりぎりですり抜ける。
そして計画書に貼られた写真からタヒチへの逃亡を感知し、
タヒチ便全乗客のチェックを指示するが、そこにジョンらはいなかった。
ジョンらの行先はベネズエラ。
発見されたごみは囮のために用意されたものだった。
ベネズエラでララは再びルークを抱きしめた。
その頃ピッツバーグではララの事件を担当した刑事が、
本当はララは無実だったのではないかとの疑念を持ち、
実家ではジョンの父(ブライアン・デネヒー)がベネズエラの地図に思いを馳せていた。
***
まずまず面白かつた。
中盤までは、ラッセル・クロウの思惑はことごとく外れ、仕掛けは失敗し追い詰められていくが、
最後に畳み掛けて伏線を回収しつつ、捜査官との駆け引きが繰り広げられる。
どうやって網を潜り抜けていくのか、偶然やラッキーではなく、
計算された囮情報で時間を稼ぎ、捜査の裏をかくところが面白い。
**
ジョンの父、ブライアン・デネヒーは、「ランボー」の保安官。
寡黙なオヤジながら、息子(ラッセル・クロウ)の決意を察するところなど好演。
マイケル・ビュイエは、「ミステリー・アラスカ」でもラッセル・クロウと共演しているが、
どことなく兄弟っぽい感じが出ていた。
3歳児のルークの出番はとても少ないのに双子を使っているようだ。
*
邦題を原題に合わせて「ネクスト・スリーデイズ」とする必要はないと思うが、
字幕で「The Last Three XXXX」と出すこととの語呂合わせと言うか、
合わせ方は邦題からは思いつかない。
|