2009/4-6鑑賞
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この期間に鑑賞した映画の本数  
4月:11(9)[4]本、5月:3(0)[0]本、6月:7(5)[5]本、計:21(14)[ 9]本 。 ( )は試写会
[ ]は邦画
今年の累計:38(24)[12]本  
1-3月期:17(10)[3]本 、4-6月期:21(14)[9]本、7-9月期:0(0)[0]本、10-12月期:0(0)[0]本  
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 ウィッチマウンテン−地図から消された山−  

ドウェイン・ジョンソン、アナソフィア・ロブ、アレキサンダー・ルドウィッグ、カーラ・グギーノ、キアラン・ハインズ。

***

オープニングタイトルは、UFOやエイリアン、EBE(イービー、宇宙人のこと)のニュースや写真が使われる。

そして、地球の近くにUFOが接近、ラスベガス近くの荒れ地に墜落する。
ヘンリー・パーク(キアラン・ハインズ)の指揮の下、政府の調査隊が派遣され、人型の2つの生命体が逃走したとわかる。

当時、ラスベガスではUFOのコンベンションが行われていた。
ふざけたコスチュームで、会場の「プラネット・ハリウッド」ホテルに集結する人々。
ジャック・プルーノ(ドウェイン・ジョンソン)もそんな客や科学者のフリードマン博士(カーラ・グギーノ)を運ぶ運転手の一人だった。

突然、プルーノの車に乗り込んできた子供、サラ(アナソフィア・ロブ)とセス(アレキサンダー・ルドウィッグ)。
焦るプルーノを余所に、大金を手に行く先を指示する。

政府の調査隊は、逃げ出したEBEがサラとセスであることを突き止め(名前まではわかっていない)プルーノを追う。
追手を自分を付け狙うやくざと勘違いしたプルーノは、何とかこれを排除し、目的地に向かう。

目的地は一軒家。プルーノは子供を放っておけないと後を追う。
二人は冷蔵庫の裏から地下へ入り、怪しげな機械を手に入れる。
そこへ、強力な腕力と破壊兵器を持った人物が襲いかかるが、なんとか難を逃れる。

プルーノは二人に宇宙人だと告白されるが信じない。
超能力を示されてやっと信じるが、UFOが襲ってくる。
これも何とかかわすが、二人は乗ってきたUFOに乗って帰らないと地球が危ない、という。

フリードマン博士に協力を求めるべくラスベガスに戻る一行。
政府の追手も交わして、フリードマン博士に会い、友人のはハーラン博士から、UFOの秘匿場所と思われる軍の基地を聞く。
そしてついに、軍の基地に到着するが、待ち伏せにあい、サラとセスは拉致されてしまう。

プルーノとフリードマン博士は手を引いたふりをして逃走し、廃棄口から基地内に潜入し、サラとセスを探す。

そのころ、基地に潜入する敵あり。
先ほどの破壊者がサラとセスを葬りに来たのだった。
政府軍はプルーノの攻撃だと勘違いするが、強力な破壊力の前になすすべがない。

そうこうするうちにサラとセスはUFOを発見して奪還し、破壊者も撃破して逃亡する。

サラとセスは、プルーノとフリードマン博士を残し、UFOで帰還する。
めでたし、めでたし。

エンドロールでは後日談。
この体験を本にして発表したプルーノとフリードマン。
そうすることでかえって身の安全を確保できると考えたからだ。

この本の成功で、プルーノはあこがれの69年製ムスタングに、
フリードマン博士と途中で仲間になった犬のジャンクヤードと乗って出かけるのだった。

**

甘々の脚本、ストーリーですが、さすがディズニーと言っていいでしょうか。
次から次へとハラハラドキドキ。
二人の超能力も弱い敵には効果絶大で、強い敵には役立たない。

ある意味良くも悪くもディズニー映画です。
政府の組織って何?とか、本当に帰還すれば丸く収まるの?とか、
サラとセスが嘘をついている可能性は?などなど
映画で強く触れられていない部分は、アナソフィア・ロブに免じてそのまま受け入れてください。

**

この映画、主演は、ドウェイン・ジョンソンだが、個人的には、アナソフィア・ロブに尽きる。
今回はあまりにこにこした表情は見られず、必死とか怯えた演技が主体だが、
最後の感動的シーンでは物哀しげな表情がよかった。

アレキサンダー・ルドウィッグは、大コケ映画「光の六つのしるし」の主人公。

カーラ・グギーノは「ナイト・ミュージアム」での博物館の受付嬢。

 
 

 剱岳 点の記   

浅野忠信、香川照之、松田龍平、仲村トオル、宮崎あおい、国村準、夏八木勲、役所広司。

***

「点の記」とは、地図測量の基準点である「三角点」の設置の「記録」のことである。

明治39年、陸軍測量部は、日本地図最後の空白地点、剣岳を登頂し測量することを考えていた。

おりしもその前年に発足した日本山岳会が、初登頂を計画していることを知り、「民間のお遊び」に負けては軍の恥とばかり、
測量手、柴崎芳太郎(浅野忠信)にその任を命じる。

柴崎は、新婚の妻、葉津よ(はつよ、宮崎あおい)の心配を余所に登頂の準備を始める。
先輩測量手、古田盛作(役所広司)の意見を聞き、案内人に宇治長次郎(香川照之)を選ぶ。

まず最初は3週間ほどかけて下見。
立山から剱岳の周りを回り、登頂ルートを探る。

柴崎は、途中で同じく下見に来ていた日本山岳会の小島烏水(こじまうすい、仲村トオル)らとも遭遇。
柴崎には「遊び」で剣岳を目指す小島らの心情は理解できなかった。

沢、雪渓、岩場。

しかし、どのルートも単独踏破はともかく、到底測量機材を運んでの踏破は無理と思われた。
立山連峰の冬は早い。
荒れ始めた山から行者(夏八木勲)を助けて下山した柴崎は、「雪を背負って登り、雪を背負って降りよ」との言葉を聞く。

陸軍に提出した柴崎の下見報告書は、剱岳登頂に否定的だったが、陸軍測量部参謀本部の中佐、矢口誠一郎(国村準)はそれを許さず、
すでに世間の関心が陸軍対山岳会の初登頂合戦になっているとして、何が何でも初登頂を指令する。

翌年4月、測量士の木山竹吉(モロ師岡)測量助手の生田信(いくたのぶ、松田龍平)、案内人3名を追加した一行7人は、
測量機材、三角点設置機材とともに再び山を目指す。

ベースは立山。
観光客でにぎわう温泉宿の主人、岡田佐吉(石橋蓮司)は立山信仰の都合上、
人足は協力しないものの資材や宿泊の協力は惜しまなかった。

いろいろなルートを試し、三角点を設置しながら測量を始める一行。
長次郎を信頼し、決して無理はしない柴崎だったが、生田は剣岳山頂を目指すため、案内人たちには批判的だった。

途中で雪崩に遭うなど、行程は難航を極める

柴崎は、焦る生田に急かされ、生田に無理をさせる。
滑落した生田を連れていったんは下山。立山で体勢を立て直して再び山を目指す。

遅れて入山した日本山岳会の一行5人。
先に山頂を制覇すると豪語したものの、測量部一行と同様、剱岳山頂は遠かった。
やがて、三角点の設置と測量を行っている現場に遭遇した小島烏水は「地図作り」のために山に登る柴崎らに尊敬の念を抱く。

再び剱岳を目指す一行。
柴崎は生田と長次郎とでルートの確認を行うが、猛烈な風雨にあい、テントも立てられず遭難一歩手前。
先に下山していた案内人に助けられ、命を取り留める。

日本山岳会も一人が滑落したり、古傷を痛めて脱落、4人で山頂を目指す。

いろいろと心の葛藤のあった一行のそれぞれだったが、今は剱岳山頂を目指すことで一致、
行者の言葉をもとに、絶対無理と思われていた雪渓ルートで頂を目指す。

険しい道のりだったが、ついに一行は山頂にあと少しのところまで来る。
長次郎は、初登頂の栄誉を柴崎に譲ろうとするが、柴崎は仲間である長次郎の案内なくしては登れないとこれを断る。
かくして、一行はついに山頂に立ち、感激の余韻に浸る間もなく、四等三角点を設営する。

こうして剱岳がついに初めて制覇された、と思われたその時、岩陰に行者の錫杖の金具と鉄剣を発見。
それは、すでに何百年も前に行者が修行の場として剱岳登頂に成功していたことを物語っていた。

日本山岳会には勝ったものの、初登頂ではなかった事は陸軍測量部を落胆させ、大久保徳昭少将(笹野高史)は、
三角点が標石のない四等三角点であったことを以て、この偉業を無視するように決定した。

しかし、ニュースは富山日報の紙面を飾り万人の知るところとなる。

何日かのち、設置した三角点をもとに測量を行う柴崎ら。
その計測儀の先には、遅れて登頂した小島ら、日本山岳会の姿があった。
小島烏水は手旗信号で柴崎らの偉業を讃えた。
生田らも小島たちの登頂を讃え、剱岳開山を祝うのだった。

**

もうこの映画はフィクションではない、いわばドキュメンタリーだ。
ドキュメンタリーが言いすぎであるなら、再現フィルムと呼んでもいい。

徹底した現地撮影、実写主義で、雪崩すら本当。
さすがに流されるシーンはスタントだが、雪に埋もれた場面の松田隆平はほとんど失神状態だったそうだ。

荷物の中身は軽くしてあるだろうが、当時の装備で実際に山を登っており、浅野忠信や香川照之は凍傷になりかけたらしい

とにかく過酷。大自然の雄大さと過酷さと人。
ゆっくりとした動きやせりふ回しもくどいわけではなく、厳しい自然の前ではああなるんでしょうね。

**

不勉強でよく知らなかったが、三角点には「一等三角点」「二等三角点」「三等三角点」「四等三角点」があり、
それぞれが規格が決まっている。

基本的には三角点には標石が埋められていて、その下には盤石も埋めてあるとのこと。
これは「ばんせき」と読むのか「ばんじゃく」と呼ぶのかは知らないが、
標石が崩れたりしないよう固定するものであろうから、文字通り盤石の支えを果たしているのだろう。

Wikiによれば、四等三角点にも柱石(標石)が定められているようだが、当時は標石のない四等三角点もあったようだ。

当時の測量では剱岳山頂は2998メートルとされたようだが、2004年に改めて三等三角点が設置され、
GPS測量により剱岳は2999メートルとなったとのこと。(三角点の標高は2997メートル)

 

 

 MW−ムウ−   

玉木宏、山田孝之、石田ゆり子、石橋凌、林康文、鶴見辰吾、品川徹、風間トオル。

原作、手塚治虫

***

16年前、沖の真船島。
そこではおぞましい光景が繰り広げられていた。
おびただしい数の死体とそれを運ぶ防護服の男たち。

残った島民も、防護服の男たちに射殺されていった。そして焼き払い。
そんな中を隠れおおせ、島を脱出できたのはわずかに2人の少年だった。

16年後、バンコク。
一人の男が、カバンを抱え、街中をかけていき、広場の公衆電話にたどりつく。

周りには警戒中の私服警官。
警察署ではバンコク警察の威信をかけた警戒態勢が敷かれていた。
日本から応援に駆け付けた沢木刑事(石橋凌)と部下の橘(林康文)も手持無沙汰だ。
しかし、沢木は何となく違和感を感じていた。

走っていた男は建設会社幹部岡崎(中村育二)、その娘を狙った身代金要求の営利誘拐だった。
鳴り響く電話。
声色を変えた犯人は、岡崎の問いかけに答えず、次の場所を指定するのだった。
電話はただちに逆探知されたが、それは東京からの発信だった。

次の場所はビルの屋上。
そこに置かれた携帯は、またも次の場所を指定するのだった。

次の場所への移動に使われる囮、沢木はそれを見破って岡崎を追う。
とあるホテルの最上階。
犯人は、身代金のバッグをランドリーシュートに投じるよう命じる。
洗濯室に集結する警官たち。
バッグを受け取って逃げる男を逮捕するもバッグの中身は新聞紙。

そのころ、ロビー警戒中の沢木の横を通った白づくめのひげ男を怪しいとにらんだ沢木が追う。
カーチェイス、走り、追う沢木はついにバイクに乗り換えた男に急接近。
射撃でバイクを転倒させるが、男が残したジュラルミンのアタッシュは空だった。

話はバンコク警察に戻り、LA新日本銀行のエリート行員、結城美智雄(玉木宏)
身代金の1億円を用意したのは結城だった。結城は札の番号を警察に渡し、捜査に協力する。

雨の中、倉庫についた岡崎の前に結城が姿を見せた。ついで、岡崎の娘も。
実は誘拐は狂言で1億円をもらって逃げるというのだ。しかし、結城は銃を岡崎に向ける。
止める娘に、結城は銃を放った。
うろたえる岡崎、岡崎が何かに気づいた瞬間、結城は岡崎に向って銃を放った。

舞台は東京。
東京中央新聞の牧野京子(石田ゆり子)は、岡崎の誘拐殺人を企業スキャンダル記事にしようとしていたが、
同僚の三田(風間トオル)によって阻止される。
諦めきれない牧野は、別のバラバラ殺人事件との共通点、沖の真船島の調査を続けることにした。
16年前の島民離島、その真相に迫る記事を連載していた新聞記者の数年前の事故死、
疑問を持つ牧野は、部下の溝畑(山本裕典)と調査を続け、大臣の望月靖男(品川徹)との接点にたどりつく。

とある養護施設併設の教会。賀来裕太郎神父(山田孝之)を結城が訪れた。

この時点で賀来は結城の犯罪を知っていた。いや、むしろ犯罪に加担しており、止めたいと思っていた。

毒ガスの後遺症で時々意識混濁に陥る結城。
東京駅地下で意識を失った結城は直前にかけた電話で、賀来に助けられた。

賀来は結城の犯罪を阻止するため、岡崎事件の真相を告白するため橘に会おうとする。
しかし、そのことを知った結城は、先回りして橘を拉致した。賀来が橘を救出しようとしたら死ぬように細工して。

結城は、行内での評判も高く、山下本部長(半海一晃)も一目置く存在だった。
政府与党の望月大臣とも懇意で、秘書の松尾(鶴見辰吾)からの献金要求の無理難題に窮していた。

結城は、岡崎の隠し口座に1億円があり、それを政治献金に使えばいいと提案、山下はそれに乗る。
しかし、それは結城の罠だった。
結城は、多くの企業の預金をかすめ取り、山下の口座に振り込んだのだ。
世間的には本部長の巨額横領事件として発表された。
そして、山下を拉致、毒ガス兵器であるMWのありかを吐かせようとした。
ついにMWが沖の真船島にあることを突き止める。

一方、牧野は沖の真船島の調査からついにはMWの存在を知り、事件関係者が危ないとみて結城と賀来を訪ねる。
そして、彼らが加害者側であることを知らず、沖の真船島へ同行するのだった。

水と中和するというMW。
結城はため池に隠されたMWを発見するがボンベはすべて空。
しかも、米軍に検知され、急襲したヘリに追われ賀来は崖から墜落、牧野は射殺される。

結城は牧野が持っていた「記者の遺した手帳」からMWのサンプルが米軍東京基地に残されていることを知る。
賀来は生き延び、警察に自首する。

当初から結城が怪しいとにらんでいた沢木は、結城のアジトを発見していたが、その行方はつかめずにいた。
結城は賀来神父の代役として、MWのサンプルが保管されている米軍東京基地へ潜入、
まんまとMWのボンベを強奪、軍用機で逃走する。

追う賀来も同乗。飛行機の中での乱闘となる。
結局、ボンベを奪った賀来が東京湾に身を投じ、軍用機は撃墜され、事件は終わりとなったかと思えた。

暫くして、沖の真船島事件のもみ消し張本人の望月が党総裁に選ばれたとのニュースが流れる。
ジャンボビジョンを見つめる沢木に一本の電話がかかってくる。
その就任会見場で何かが起こるとの予告だ。
はたして空調から怪しい煙が、、。
実は何でもないものだったが、それは結城からの警告だったのだ

***

手塚作品は好きだが「MW」は未読。
映画ということもあって当然だが、細かい点ではかなり変えてあるらしい。

まずまず面白くセリフ回しなどは小気味いいが、いかんせん全体に長い。
バンコクのシーンももっと端折れるだろうし、全部をクライマックスにしようとしすぎ。

あのカメラワークは多用しすぎ。必要なシーンはもちろんあるけど、使い過ぎは安売り。

またあの爆破シーンはおかしい、飛行物の爆破ではない。
CG作成チームは、もっとよく調べるべきだった。

 

 

 守護天使   

カンニング竹山、佐々木蔵之介、與真司郎(あたえしんじろう)、忽那汐里(くつなしおり)、寺島しのぶ、
佐野史郎、大杉連、池内博之、バナナマン日村、柄本佑。

***

須賀啓一は、安サラリーマン。
暴力妻の勝子(寺島しのぶ)を拝み倒して500円をもらって出勤する。

気持ちだけはヒーローで、ウルトラマンのストラップをしている。
仕事は引きこもりの生活相談など。
今日も佐々木大和(與真司郎)を訪問するが、けんもほろろの情けない仕打ちを受ける。

そんなある日、電車の中で見かけた性格のやさしい女子高生。
スクールバッグには天使のストラップ。
一旦は見失うものの、その姿を見ようと下車駅で後を追うが、転んだ挙句、なけなしの500円玉を落としてしまう。

なんてみじめ、しかしその時、件の女子高生が500円とスポーツ新聞(網棚から取ったもの)を拾ってくれたのだ。
その子はとてもかわいい、見かけも天使のような美少女(名前は後で判明するが宮野涼子、忽那汐里)だった。

汚い世の中からあの子を守りたい。
勝手に思い込んだ須賀は、幼馴染のチンピラ村岡昌志(佐々木蔵之介)に相談するがバカにされるだけ。
そこへ、大和がやってくる。
引きこもりから抜け出したことを喜ぶ須賀だったが、持ってきたのはとんでもないニュースだった。
彼女が淫乱女子高生ブログを書いているらしいというのだ。
そして、彼女を拉致しようと相談する裏サイトの書き込みも。

これはだれかが書いた偽ブログだ、彼女に危険を知らせたい!
何とか近づこうとする須賀だったが、逆に彼女にも彼女の学校からも変態と疑われる。

裏サイトの書き込みはエスカレート。
プロデューサーと名乗る男がブッチャー(バナナマン日村)とハーベスト(柄本佑)を募って計画を実行に移すらしい。

須賀は村岡に協力を求めるが金を要求され、軍資金を得ようと鬼嫁の財布を狙ってばれてしまう。
帰る家もなくなり、雀荘に寝泊まりし、「勝手に守り続ける」須賀。
危険を知らせる手紙を大和の手を借りて何とか渡すことには成功したが、ブッチャーとハーベストの計画までは阻止できない。

彼女(宮野涼子)のいる名門お嬢様高校から大和の在籍する落ちこぼれ高校に転校してきた渡辺麻美(波瑠)がいた。
最初は情報を得るために渡辺に近づく大和だが、どうも偽ブログ主の疑いもある。

周辺を探るため、宮野涼子を探る大和と須賀。
しかし、かえって宮野涼子を怯えさせ、須賀から逃げようとして涼子はついに一味に拉致されてしまう。

大和は渡辺麻美が怪しいとにらみ、須賀、村岡と一緒に詰問する。
しかし、実は村岡麻美と宮野涼子は友達だった。
渡辺麻美もまた、須賀や大和らが怪しいとみて警戒していたのだった。

渡辺麻美は、あの名門校の教師牧瀬(池内博之)が怪しいといい、乗り込んでいく3人。
一時は証拠が見つからず勘違いかと思われたが、やはり牧瀬が一味、プロデューサーだった。

しかし、牧瀬は実行犯のブッチャーとハーベストの行動は把握していなかった。

そのころ、ブッチャーとハーベストは、とあるマンションの一室に涼子を監禁していた。
2人が買い物に出掛けた隙に、以前もらった手紙にある連絡先に救いの電話をする。
それは、須賀の携帯だった。
しかし、それはすぐにハーベストにばれ、電話は途絶えた。

ブッチャーはただの変態、ハーベストは異常なバラバラ殺人犯だった。
ハーベストの異常さに気付いたブッチャーは、隙を見て涼子を逃がそうとするが、あっさりバレ、捕まる。
ハーベストはブッチャーをも切り刻もうとした。

村岡はマージャン仲間の豊川(大杉連)の協力を得て、一味の隠れ家を見つけ出す。

何とか部屋に乗り込んで、ハーベストとの大立ち回り。
ついにはハーベストを倒すが、彼はマンションのベランダから飛び降りてしまう。

失神していた涼子も気がつくが、須賀を変態の一味だと思い、飛びのいてリダイヤル。
助けを求める電話は須賀の胸元で鳴り響き、涼子は須賀が救い主であったことを知る。

その時、飛び込んできた機動隊により須賀は捕まってしまう。

疑いが晴れ、お手柄サラリーマンとなった須賀。
しかし、マスコミは須賀に対してストーカー・サラリーマンとの疑いを向ける。
そこへマスコミを押しのけて須賀を救いに来た女性は、何と須賀の鬼嫁だったのだ。

***

とんでもどたばたコメディのように思わせて、よく練られた脚本。
物語冒頭からあちこちにちりばめられた布石が最後まで効果的。

「ますらお」出版のエピソードなどもきちんと布石になっていて、無駄がない。

普通に考えるとちょっとおかしい中年サラリーマンとその仲間だが、
より狂気の殺人犯を対比させることで、正義の味方っぽく見せるところはうまい。
殺人犯の柄本佑は、柄本明の息子。

 

 

 真夏のオリオン  

玉木宏、北川景子、堂珍嘉邦、吉田栄作、益岡徹、吹越満、平岡祐太

**

ある雨の日、倉本いずみ(北川景子)は、ある楽譜を携えて、海の見える丘の公園に、鈴木(鈴木瑞穂)を訪ねる。
その楽譜は、いずみの祖母が書いたもので、元アメリカ海軍駆逐艦長が祖父から手に入れて、持っていたものらしい。

鈴木は、祖父が艦長だった潜水艦の乗組員で、連絡の取れる唯一の人物だった。
なぜこの楽譜が60年余も大事に保管されていたのか、どういういきさつがあったのか、
問いかけるいずみに、鈴木はゆっくりと話を始めるのだった。

第2次大戦末期の、昭和20年8月2日。
鈴木(太賀=当時)は、潜水艦イ77では最年少の乗組員だった。
艦長はいずみの祖父の倉本孝行(玉木宏)、航海長の中津弘(吹越満)、水雷長の田村俊雄(益岡徹)らを従えて指揮を執っていた。
鈴木は、新任の軍医、坪田(平岡祐太)に館内を案内していた。

倉本艦長は、同期で潜水艦イ81の艦長、有沢義彦(堂珍嘉邦)とともに、グアムからの米艦隊補給船団の進行を阻止するため、
沖縄南東海域へ展開していた。

いずみの祖母で、楽譜を書いた有沢志津子(北川景子=二役)は、有沢義彦の妹、倉本を慕い、お守りにと楽譜を渡していた。

鈴木は、ハーモニカを得意としていた。
有沢艦長はその楽譜を鈴木に吹くように命じ、乗組員一同が懐かしさを感じた。
添えられていたイタリア語のメモは、軍医の坪田によって訳された。
真夏のオリオン、愛する人のもとへ。そして愛する人が安全に戻れるよう道しるべとなれ。的な(正確には忘れました)

イ77、イ81以下5隻の潜水艦は、補給船団の進路上でこれを迎え撃つ作戦。

米海軍は、その待ち伏せを突破して進行。
イ81の有沢艦長は船団を発見して攻撃を仕掛けるも、
米海軍駆逐艦DE766パーシバルのマイク・スチュアート艦長との頭脳戦に敗れ、撃沈される。

イ77の倉本艦長は、敵タンカー2隻を魚雷で撃破するが、イ77を追撃していたDE766が攻撃をやめ、
乗員救助に専念するところを見てお互いの人となりを知ることとなる。

イ77は、イ81の撃沈現場近くで敵船団を迎え撃つことにした。
そこには、瀕死の乗員を乗せたまま海底に沈むイ81がいた。
有沢は、工具でパイプを叩き、モールスとすることで、現状を伝えようとしていた。

倉本は敵に発見されることも顧みずそれに応答、有沢の最後に接することとなる。
有沢の残したメッセージから敵艦長の癖を知った倉本。

ここにイ77とDE766の1対1の戦いの幕が切って落とされる。

互いに相手の作戦、行動を読みながら自分の手を変えていく。

爆雷と魚雷、互いの攻撃をかわしつつ、神経戦、頭脳戦を繰り広げる。

潜航したまま機関停止し無音状態での我慢比べ。
これはもう圧倒的に潜水艦が不利。時間とともに酸素が減り、二酸化炭素濃度が上がる。

出撃を嘆願する人間魚雷「回天」の乗組員。
倉本はそこからヒントを得て、酸素を補給。1隻の「回天」は無駄にしたが、乗組員は助かる。

やがて、ちょっとしたミスから潜水艦の位置がばれ、再び爆雷攻撃を受けたイ77は海底に沈没する。

このとき、水雷員、森が魚雷によって圧死、機関長桑田伸作(吉田栄作)も部下の多くに怪我人を出す。
倉本は森の遺体と油、小物類で沈没を偽装することにした。そして、あの楽譜も瓶に入れて射出。
しかし、この作戦は敵艦長に見破られてしまう。

倉本は機関の故障修理を急がせ、最後の魚雷を使った起死回生の攻撃に出る。

それは、「回天」2隻を無人で同時発射し、並走させることで潜水艦と誤認させるというものだった。

イ77は機関が修理終わり、浮上は可能なもののベントが壊れ、2度と潜航できない状態だった。
また、回転搭載のため機銃装備等はすべて外しており、つまり、いったん浮上すれば、それはすなわち死を意味した。

はたして、「回天」によるおとり作戦は成功し、DE766の背後に浮上したイ77は最後の魚雷をこれに命中させる。
しかし、撃沈には至らず、DE766はただちに消火救助活動と反撃態勢に入る。

再び潜航することのできない、丸腰のイ77。
海上戦においては、撃沈を待つだけである。

DE766のスチュアート艦長も倉本艦長の人となりを知り、離艦までの時間猶予を与えることとした。
ところが、乗組員は艦長の離艦命令を無視してデッキで死を待つ状態であった。

その時、DE766上は異常な興奮状態になる。
同時に艦隊司令部からイ77に届いた打電は、「戦争終結、日本敗北」であった。

「もう日本は終わりだ、体当たりして玉砕する」と叫ぶ回天搭乗員の遠山(黄川田将也)に
倉本は「終わりではない、これから始まるのだ」と諭すのだった。

***

イ77そのものは、架空の潜水艦だが、重巡洋艦「インディアナポリス」を撃沈したイ58がモデル。
同艦の橋本以行艦長は、インディアナポリス撃沈の際、搭載していた回天を使わなかったことでも有名らしい。

イ58は、全長108.7m、水中排水量3700t、兵員約90名の大日本帝国海軍の潜水艦である。
戦時を生き残り、呉で終戦を迎えた。

一方、DE766パーシバルのモデルとなったスレーターは、全長93.3m、排水量1600t、乗員220名の駆逐艦。

最大速度もイ58の約18kt(ノット)に対し、21ktと大差ない。

一方、実際にイ58に撃沈された「インディアナポリス」は、全長186m、満載時排水量13,000t超、
最大速力30kt超、乗員約900名、艦載機2機も積んだの大型艦船だ。

重巡対潜水艦では対比がよくないため、駆逐艦対潜水艦のまさしくタイマン勝負としたらしい。

**

実際に潜水艦や駆逐艦の乗員、遺族らへのインタビューをもとに人物設定をしており、
当然ながら潜水艦内部の造作や乗員の様子、戦闘における状況なども参考にしたろうから、
それほど現実とはずれていまい。

しかし、頭脳戦でお互いがお互いを読み、そのさらに上を行く、いわゆる「裏の裏を読む」感じがどうも伝わってこない。

いくつもの選択肢の中から、お互いの行動を予測して行動する、相手も引っかかったふりをしてさらに裏をかくみたいな感じがない。
なんとなく山勘であてずっぽう的な感じだ。
もちろんそんなことはなく、よく考えてはいるんだろうけど、演出のテンポのせいなのか伝わらない。

そのため、お互いをただ憎むだけでなく、海の男として、軍人として尊敬の念を以て戦いに挑む、感じもない。

米海軍の描かれ方が、艦長と副長と水測士(ソナー担当者)+その他大勢で、セットもなんかテキトー感漂う。
海上行動は実艦艇を使っていたらしいので実に残念。

イ77と2隻を俯瞰で撮るシーンもイ77のCGはなんかチンケだ。

潜水艦は浮上潜航に伴う前後の傾斜も表現するとよかった。
頭から緩やかに海底に突っ込んでいくところとか、急速潜航、急速浮上する所の緊迫感が感じられない。

潜水艦駆逐艦とも海上航行時はいくら穏やかでももう少し揺れるでしょ。
結局のところ、臨場感と緊迫感に欠け、展開のゆったりとしたメロドラマになってしまった。

 

 

 築城せよ!    

片岡愛之助、海老瀬はな、江守徹、阿藤快、藤田朋子、津村鷹志、ふせえり

お城ブーム、名古屋城築城400周年などに沸く愛知県。
愛知工業大学(AIT)の工学部建築学科、井原ナツキ(海老瀬はな)は、おやじから電話で呼び出しを食らい、
佐々木先生(藤田朋子)のクラスを抜け出した。

行先は猿投(さなげ)公園の城址発掘現場。
城の模型を愛でながら、現場指揮をとる岩手教授(津村鷹志)と棟梁でナツキの父、井原勘助(阿藤快)
ナツキは父に反発しながらも作業を手伝う。

現場では発掘品の甲冑3対が飾られていた。ただし、鎧兜の組み合わせは間違って。

さて、猿投町町役場、豆腐屋のさえない息子で小役人の石橋(片岡愛之助)は、上司の二本松(ふせえり)に急かされ、
工場の完成模型を持って発掘現場に出向いた。

翌日は、工場の建設説明会が行われる予定だった。

その夜、発掘現場の井戸跡に怪しい人影を発見した岩手。
応援の石橋と勘助が怪しい男、ホームレスのゴン(木津誠之)を退去させようともみ合って井戸に落ちて行方不明になる。

翌日、各方面を探し回って現場に遅れた岩手と、町長の馬場虎兵衛(江守徹)。
関係者が見たものは、紅白の垂れ幕とセールの幟(のぼり)など商店街から持ち出されたものだった。

そしてその垂れ幕の中にいたのは、甲冑に身を包んだ石橋=>恩大寺隼人将、勘兵衛=>勘鉄斎、ゴン=>権太夫だった。

3人はいぶかる群衆に対して城を築くことを説き、町長を追い払ってしまう。

岩手教授を味方にまずは石垣を整備するところから始めるが、霊水を飲んだ権太夫が苦しんだ末、ゴンに戻ってしまい、
亡霊に付き合っていたと知った職人連中は逃げてしまう。

途方に暮れる恩大寺隼人将と勘鉄斎。
しかし、隼人将はゴンの作った段ボールハウスを見て、ダンボールで城を作ることを言い出す。

長持ちしない段ボールの城をなぜ作るのか、隼人将は、その秘密をナツキに明かす。
400年前、完成寸前の城攻めに逢い、家臣で馬場町長の先祖の家老の裏切りによって城は落ち、
遂に完成することはなかった。

井戸の中で霊魂となって時を待ち、そして蘇った。城を完成させ、成仏することが願いだ、と。
そしてその期限は、次の満月までで、翌日から3日しかない。

次の日から、ナツキの設計により、ナツキを棟梁として段ボール城つくりが始まった。

到底集められないと思っていた数の段ボール、民衆を訪ね歩く隼人将の心に打たれた住民が段ボールを持ち寄り、
佐々木先生も構造実習として生徒を作業員に駆り出し、城造りは進んでいく。

泥に汚れた甲冑も甲冑士、熱田伸道(本人)により、修復されることとなった。

一方、ことが大きくなるのを避けたい町長だったが、ここへ来て武者祭りに便乗、
「城を壊す祭り」を計画して、観光客に壊させることを思いついた。

いよいよ城完成の夜、隼人将は馬場町長を招いて宴を催す。
裃に身を包んだ隼人将、ウェディングドレス姿のナツキ。

しかし、町長は隼人将の和解の申し出を断り、「城壊し祭り」を強行する。
城を壊そうとする武者コスプレの観光客とそれを阻止しようとする学生、職人、住民。

そんな中、城完成の証であるしゃちほこを持って大屋根に上った隼人将とナツキ。
町長も城壊しを止めさせ、それを見守るのだった。

そして、その瞬間、
城は一気に崩れ、瓦礫、ではなく廃段ボールの山となった。

経緯はともかく、城壊しは町活性化としては大成功。
町長は工場建設を一時白紙にして、正気に戻った情けない石橋らと後片付けをするのだった。

**

うーん、よくぞ作りました。
段ボールの城。
最初はCGかなんかでやるのかな、と思ってましたが、実際に作ったようですね。

奇想天外ですが、なかなかの感動作に仕上がりました。

「GOEMON」のときもそうでしたが、歌舞伎役者に武将を演じさせると一味違います。
うだつの上がらない小役人のときはちょっとわざとらしかったですが、
所作がきちんとしているからでしょうか、御大将としての風格は十分でした。

そうそう、バーのマダム、佐々木秀実ですよね。

 

 

 ターミネーター4  

クリスチャン・ベイル、サム・ワーシントン、アントン・イェルチン、ムーン・ブラッドグッド、ブライス・ハワード

**

2003年、死刑執行を待つ死刑囚マーカス・ライト(サム・ワーシントン)を
セレナ・コーガン博士(ヘレナ・ボナム・カーター)訪ねてきて、献体を依頼する。
最初は渋っていたマーカスだったが、OKしてサインし、死刑執行に向かう。

21世紀の早い時期に、スカイネットが設立され、機械が人間を敵視し人間の排除を試みる。
そして、審判の日「Judgment Day」(=最後の審判の日)が起こった、との説明が入る。

時代は2018年に。

ジョン・コナー(クリスチャン・ベイル)とその仲間たち、レジステンスはスカイネットの基地のひとつを攻撃した。
データを盗み出す作戦だ。

警備のロボットを撃破して地下基地に入るジョン・コナーたち。
敵の攻撃はあまり受けずにマシン室潜入に成功、コンピュータにリンクしてデータの抜出には成功するが、
脱出に外へ出てみたところ、敵の攻撃で要員は全滅、ジョン・コナーも寸でのところで敵を回避して救援を待つ。

何とかヘリで救出されたジョン・コナー。
自軍基地に戻るのではなく、潜水艦の反乱軍司令本部を目指す。

彼らが去った後、基地からは一人の男が出てきた。男は死刑になったはずのマーカス・ライトだった。
死亡した反乱軍(=レジスタンス)の衣服を借用して街を目指す。

反乱軍司令本部のリーダーは、アッシュダウン将軍(マイケル・アイアンサイド)
ジョン・コナーの乗艦で位置がばれるのを恐れていた。
ジョン・コナーの送ったデータには、スカイネット軍のロボットの指令を停止させるコードがあったといい、
それが有効に機能するかどうかをジョン・コナーの部隊が敵にテストすることとなった。
その結果を待って、4日後に総攻撃することとなった。

なぜ、4日後なのか。
司令部のロセンコ将軍(イワン・グベーラ)は、スカイネットが主要者を抹殺するのは週末までだからと答え、
ジョン・コナーが抹殺リストの2番目に書かれていると言う。
「1番は?」「カイル・リースだ。」
(カイル・リースは未来から1984年に送り込まれ、サラ・コナーと結ばれる、つまり、ジョン・コナーの父)

マーカスは、破壊された町並みにショックを受けながらも人影を探す。
やっと見かけた人影に声をかけるが、それは、ターミネーター=戦闘ロボットだった。
マーカスは若者カイル・リース(アントン・イェルチン)と唖者(発声障害)の少女スター(ジャダグレース)に助けられる。

マーカスは、カイル・リースのアジトでラジオを修理し、レジスタンスの放送を受信する。
カイルはそこで初めてジョン・コナーの声を聞く。

翌日、マーカスは動かせる車を発見、修理してエンジンを始動。
同時に動き出したカーステレオから流れる音楽にスカイネットが反応、小型探査機がやってきて、カイルの存在がばれる。

マーカスとカイルはレジスタンス本部を探し、途中のコンビニ併設スタンドに立ち寄る。
しかし、そこに巨大ターミネーターが出現、スタンドから逃げる連中を抹殺、やさしい老婆を拉致。
マーカスは、タンクローリーを奪って巨大ロボットを爆破するが、そこから分離したモト・ターミネーターに襲われる。

何とか撃破したものの、カイルとスターは敵に拉致され、トランスポーターでスカイネット本部に連れ去られる。
マーカスは川に落下、カイルたちを見失う。

救援にきた反乱軍の飛行機も撃墜され、1機のパイロット、ブレア(ムーン・ブラッドグッド)は脱出、
マーカスと出会い、途中ならず者を撃退し、コナーの基地に向かう。

例のコードが敵ロボットの機能停止に役立つことを確認したコナー。
司令部ではそれを受け、一斉攻撃に合わせて、コードを強力発信する準備を進める。

マーカスは、ブレアとともにコナーの基地に入るが、マーカスが磁気地雷に感知され爆破される。
基地に運ばれたマーカス。
ケイト・コナー(ブライス・ダラス・ハワード)の治療を受けるが、体は機械だった。

ターミネーターの一味としてとらえられたマーカスをまったく信用しないコナーと、機械の体でも人間だと主張するブレア。
ブレアは、マーカスを逃がす。
コナーはマーカスを追うが、カイルを探すというマーカスを信じて、見逃す。

いよいよ一斉攻撃前夜、総攻撃をかけるという司令部と、カイル他の捕虜を助け出すまで待てと言うコナーが対立。
コナーは解任されるが、レジスタンスには総攻撃しないようにとの指令を出す。

マーカスは機械と認識され、簡単にスカイネット基地に潜入、カイルの位置を確認、コナーを基地に引き入れる。
コナーは、捕虜を脱出させるが、カイルだけは見つからない。

マーカスは、機械のからだを修復してもらい、スカイネットから驚愕の事実を明かされる。

マーカスがあらかじめ、カイル・リースとジョン・コナーを探し出し、この基地に連れてくるようにプログラムされていたというのだ。
何度もターミネーターを送り込みながら、ジョン・コナーもサラ・コナーもカイル・リースも抹殺に失敗したスカイネットが、
やっとコナーとカイルを罠にはめられたという。

いよいよ総攻撃。
潜水艦からも機能停止コードの電波を一斉発信。
しかし、スカイネットの言うようにこれは罠だった。
コードはフェイクで、機能停止しないタイプの攻撃機が発信源である潜水艦を検知し、爆破してしまうのだった。

コナーはカイルを逃がし、核電池に爆薬を仕掛けるが、のちに20世紀に送り込まれるのと同型のT−800と戦いになる。
マーカスも加勢し、何とかT−800を破壊、脱出はするがコナーは瀕死の重傷となる。

マーカスが自分の心臓を提供し、ジョン・コナーは一命を取り留めるが、スカイネットとの戦いはまだ終わらない。

****

最初から最後まですごい迫力で、うるさいったらありゃしないくらいの銃撃戦、そして爆発。
迫真度、リアリティ、スター・トレックより上。

人物描写や葛藤もきちんと描かれており、若干説明不足の部分はあるが、真実味があった。
違う結末のエンディングが合っても良かったかもしれないが、
すでに3作分の契約がなされているとあってはそうもいかなかったのか。

*

ジョン・コナーよりも、マーカス・ライトに焦点が当たっている。
予告でのシーンも顔はあまり映らないが、マーカスのアクション・シーンのほうが多い。

***

ジョン・コナーは、さえない若者(ニック・スタール)が、10年程で随分立派(クリスチャン・ベール)に、
ケイト・コナーも、長身面長のそれなり(クレア・デーンズ)だったのに、丸顔美人(ブライス・ハワード)に。

マーカス・ライトのサム・ワーシントンは、TVでも活躍している俳優らしいが、全く分からず。

ブライス・ダラス・ハワードはロン・ハワードの娘で、「スパイダーマン3」「レディ・イン・ザ・ウォーター」など。
「スパイダーマン3」のときはプラチナブロンドで面長の清楚な美人だと思ったのは、髪形のせいだったようだ。

カイル・リースのアントン・イェルチンは、副操縦士チェコフ。
アッシュダウン将軍の(マイケル・アイアンサイド)どっかで見たと思ったら、「トータル・リコール」のシュワちゃんを追う男。

なお、若かりしシュワちゃんが、顔だけ出演。

 

 

 スター・トレック 

クリス・パイン、ザカリー・クイント、カール・アーバン、ゾーイ・サルダナ、サイモン・ペグ、ジョン・チョウ。

そのほか、エリック・バナ、レオナルド・ニモイ、タイラー・ペリー、ウィノナ・ライダーなどなど。

***

2233年、USSケルビン(NCC0514)は宇宙船救難に向かうが、そこには、宇宙船ナラダ号の待ち伏せがあった。
ナラダ艦長のネロ(エリック・バナ)は、ケルビン号を攻撃して反撃不能にした後、艦長のロバウを交渉に呼びつける。
ロバウは後を副艦長のジョージ・カークに託し、交渉に向かうが、それは罠で、艦長はたちまち殺害され、
ケルビン号は一斉攻撃を受ける。
カークは艦長として乗組員や妊娠中の妻らを退避させ、自らも脱出しようとしたが、自動操縦が破壊され、
カークは敵艦と衝突の寸前まで、操縦桿を握り続ける。

このとき生まれた子供が、ジェームズ・タイベリアス・カークであった。

次いで、10年ほどのちのアイオワ州。
ジェームズ・T・カークは、ワルガキ(ジミー・ベネット)に成長。
一方、バルカン星では、成績優秀ながらも母親が地球人アマンダ(ウィノナ・ライダー)であることをからかわれ、
感情を抑えされない少年スポック(ジェイコブ・コーガン)がいた。

さらに何年かのち、スポック(ザカリー・クイント)は、優秀な成績で卒業、
上級学校への進学を拒否して宇宙連邦艦隊へ入隊する。
同じ時期、ジェームズ・カーク(クリス・パイン)は、酒場でウフーラ(ゾーイ・サルダナ)にちょっかいを出し、
連邦艦隊の乗組員といざこざを起こす。
そこで、父親のことを知るパイク艦長(ブルース・グリーンウッド)から、艦隊への入隊を勧められる。
艦隊に入ることになったカークは、文句たれビビり屋のマッコイ(カール・アーバン)と出会う。

さらに3年後、コバヤシマルのテスト(艦長シミュレーション・テスト)に落ち続けるカークは、
シミュレーションプログラムを操作してテストをクリアしたことで謹慎処分となる。
おりしも、バルカン星からの救難信号が連邦に届き、艦隊は総出動となるが、カークは残される。
見かねたマッコイがカークを一時的に病気にし、主治医としてエンタープライズ号に乗せる。

こうして、艦長パイク、副長スポック、主操縦士のスールー(ジョン・チョウ)、
操縦士のチェコフ(アントン・イェルチン)を始め、物語の主要人物が、エンタープライズ号に集結する。

いよいよ全艦発進。
次々とワープに入る艦艇。
ところが、エンタープライズ号だけは、スールーのオペちょんでワープ起動に失敗する。
ここは新人故のミス、軽く笑い的なエピソードも絡めて、と思いきや、重要な布石であった。

症状から回復したカークは、前日のウフーラの会話を思い出し、
今回の救難信号はロミュラン人の罠だと感じ、艦長に進言に走る。
(ここで通信士はウフーラが担当することとなり、レギュラースタッフの布陣に一歩近づく)

ワープから抜けたエンタープライズ号を待ち受けていたのは、先発の7艇の残骸。
スールーの失敗で出遅れたエンタープライズ号はナラダ号の待ち伏せ攻撃を受けたものの破壊は免れた。

ナラダ号艦長のネロは、エンタープライズにスポックが乗っていることを知り、
攻撃を停止、パイク艦長の搭乗を要求した。
このとき、医師長が死亡、マッコイが後任となる(これでまた一歩、レギュラーの布陣に近づく)

パイク艦長は、ナラダ号に乗り込む途中、カーク、スールー、他1名をバルカン星に穴を開けるナラダ号の磁気ドリル
−実はこのドリルの強力磁気によって、エンタープライズ号の転送やワープができなくなっていた−を、
破壊させる任務につける。

カークとスールーは磁気ドリルの操作部にうまく着陸し(1名は死亡)敵監視員2名を撃破し、磁気ドリルも破壊。
転送もうまくいって、カークとスールーは助かる。

しかし、ドリルの穴は既にバルカン星のコアに到達。
ナラダ号乗組員は赤色物質(Red matter)−赤い直径1メートルほどの球体からほんの1滴ほど取り出したもの−を
バルカン星のコアに投入。
するとバルカン星中心にブラックホールが出現、みるみるバルカン星に重力崩壊が起こる。
スポックは、星に残る重鎮や母を救出に向かうが、寸でのところで母を失う。
バルカン星はブラックホールに飲み込まれ消滅する。

エンタープライズはナラダ号からの脱出に成功するが、パイク艦長は捕虜になったまま。
ネロはパイクから、地球のシールドを破るための暗号周波数を聞き出そうとする。

一方、カークは次は地球が危ないと進言するが、代理艦長のスポックは連合艦隊司令部への合流を主張、
カークともめて、カークは艇外へ射出される。

そこは氷の星、デルタ・ベガ。
脱出艇から出たカークは、肉食獣らしき怪物から逃れ、洞窟で年老いたスポック(レオナルド・ニモイ)と出会う。
そして、ネロとのいきさつを話しするのだった。
物語は25年前、いや129年後、超新星爆発に巻き込まれそうになったロミュランを救うため、
スポックは一人宇宙船クラゲ号に乗り「赤色物質」を運んだが、間に合わずロミュランは破壊された。

それ以上の破壊を防ぐため、スポックは赤色物質を超新星に投下したが、
そのため、ナラダ号とともにブラックホールに飲み込まれた。
25年前、ナラダ号はホワイトホールから飛び出し、25年もの間、
復讐の準備をし、スポックの出現を待っていた。

はたして、スポックは、25年後、彼の時間ではほんの数秒後、
ホワイトホールから飛び出してネロに捕獲され、デルタ・ベガに追いやられた。
そして、先ほどのバルカン星の崩壊を目撃させられたのだった。

スポックとカークは、デルタ・ベガにある連合艦隊基地に行き、スコット(サイモン・ペグ)に会う。
そしてスコットが「将来発明する」転送の新公式を教え、ワープ中のエンタープライズに乗り込む。

艦隊との合流を中断し、エンタープライズを地球に向かわせるためには、スポックを艦長から解任しなければならない。
カークは、スポックを挑発、理性を失わせて自ら艦長職を降ろさせる。
艦長不在となったエンタープライズ? いや、パイク艦長の指令はカークが副官だった。
こうして、カーク艦長(臨時代理、通称はカーク船長)が誕生する。

ナラダ号はすでに地球に到達、磁気ドリルで地球に穴をあけ始めていた。

カークはナラダ号へ乗り込み、パイクの救出と地球破壊停止を試みることにし、スポックとともに転送させる。
カークがロシュラン人やネロを引き付けている間に、スポックはクラゲ号でナラダ号を脱出し、磁気ドリルを破壊する。

怒るネロはワープするクラゲ号を追う。
クラゲ号を駆るスポックは反転し、ナラダ号へ突っ込んでいく。
圧倒的に武力に勝るナラダ号だが、追撃してきたエンタープライズの援護もあって、突入に成功。
赤色物質の爆発で、ナラダ号はブラックホールに飲み込まれ始める。

カーク、パイク、スポックは転送でエンタープライズに戻り、降伏を拒否したナラダ号を撃破して、
ブラックホールを回避、地球に帰還する。

今回の功績で、提督(タイラー・ペリー)より叙勲され、正式にエンタープライズ号の艦長となったカーク。
車椅子のパイクにも祝福される。
新艦長として例の黄色いユニフォームに身を包みエンタープライズ号に乗ったカーク。
乗船許可を求め、副官へ立候補してきたスポック、機関長にスコットを擁し、新たな航海の旅に出るのだった。

***

オリジナルの最初のシリーズ、USSエンタープライズ号(NCC1701)の、レギュラースタッフ誕生の物語。
艦長ジェームズ・カーク(ウィリアム・シャトナー=クリス・パイン)
バルカン人の副長スポック(レオナルド・ニモイ=ザカリー・クリント)
船医のマッコイ(デフォレスト・ケリー=カール・アーバン)
操縦士、スールー(ジョージ・タケイ=ジョン・チョウ)
通信士、ウフーラ(ニシェル・ニコラス=ゾーイ・サルダナ)
機関長、スコット(ジェームズ・ドゥーハン=サイモン・ペグ)

なお、スールーは日本のTVシリーズではミスター・カトーとなっていた。

また、私はゾーイ・サルダナと、ズーイ・デシャネルを言い間違えるし、
まったく似てないのに、ロザリオ・ドーソンと間違えることも多い。

***

オリジナルに敬意を表し、それでいてオリジナリティを出そうとした作品。
特にラストの「宇宙、それは人類に残された最後のフロンティアである、、、」をニモイが語るところは痺れた。

ところで、レオナルド・ニモイが出てくるのは知らなかったので、正直驚いた。
もし、ウィリアム・シャトナーがあの巨体で出てきたらどうしようかと思ってしまった。

ヤング・カークのジム・ベケットは「ホステージ」の弟、「ポセイドン」でも逃げる一行の一人。
「ファイヤーウォール」「エバン・オールマイティ」でも末っ子だった。1996/2生まれ。

サイモン・ペグは日本でも有名だとは思うが、ジョン・チョウは「ハロルドとクマール」シリーズのハロルド。
最後にカーク船長を表彰する大男、主演映画は日本未公開ばかりだが、タイラー・ペリーじゃないか。
コメディ出演者が多いと思えるのは偶然か。

***

いろいろなお決まりごとについて物理的原理はどうなのかなどを言っていても始まらないが、一言だけ。

あれだけ広い艦内移動のほとんどが徒歩なのはなぜなのか。
縦の移動はエレベーターがあるが、横の移動はどんなに急いでも走るだけってのは少し情けない。

 

 

 天使と悪魔 

トム・ハンクス、ユアン・マクレガー、アィエレット・ゾラー、ステラン・スカルスガルド、
ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、アーミン・ミューラー=スタール

***

ローマ教皇が死んだ場合、教皇の侍従長、あるいは秘書長であるカメルレンゴ(役職名)は、
ただちに教皇がつけていた「漁夫の指輪」を外し、これを打ち壊す。

そして、枢機卿団による会合を経て、教皇の葬儀が行われ、9日間の喪に服した後、教皇選挙である「コンクラーベ」が行われる。
この際、投票は密室で行われ、その結果新教皇が決まらないときは黒い煙、決まった時は白い煙が煙突より排される。

そして、選挙は新教皇が決まるまで続けられる。

さて、場面はヨーロッパのCERN(セルン、欧州原子核研究機構)のハドロン加速器の実験施設。
ここで、ビットリア・ベトラ(アィエレット・ゾラー)のチームは、反物質をかなり多く生成し、
強力電磁石のカプセルに閉じ込めることに成功した。

しかし、それもつかの間、研究者は殺され、反物質カプセルの一つが盗み去られた。

一方、ハーバード大のロバート・ラングドン教授(トム・ハンクス)は、バチカンの使者の訪問を受ける。
コンクラーベに参加する枢機卿のうち4名が何者かによって誘拐され、殺害予告が送られてきたというのだ。
しかも、反教会の急先鋒だった秘密結社イルミナティの復活を示唆する文字とともに。

ただちに、バチカンへ飛ぶラングドン。
バチカンの警護は、ローマ警察のオリベッティ(ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ)ではなく、
リヒター隊長(ステラン・スカルスガルド)の指揮するスイス警護隊の役割。

前作でカソリックの反感を買っているラングドン教授は当然ながらスイス警護隊の嫌悪の対象だ。

誘拐犯からの脅迫ビデオに込められたキーワード。

誘拐された4人は次期教皇の有力候補だった。
科学を信仰し、教会の破滅をもくろむ「イルミナティ」は、四大元素である「土、空気、火、水」を意味する場所で、
その4人の枢機卿を一時間ごとに殺していき、最後にバチカンを光で破壊するという。

ビットリアは、それが反物質を意味し、その量がバチカンを吹っ飛ばすに十分であるとして、ラングドンとともに捜査に加わる。
しかも、カプセルの電池は12時までしか持たないのだ。

謎を解くため、ラングドン教授はバチカンの資料室(アーカイブ)への入室許可を願い出るが、リヒターはあっさり拒絶する。
ラングドンは、バチカンの規則に則り、カメルレンゴであるパトリック・マッケナ(ユアン・マクレガー)から許可を取り、
ガリレオの記録から、最初の教会を割り出す。

殺害予告時刻である、午後8時。
教会の地下から最初の犠牲者が発見された。
胸には、土(Earth)の対称文字が焼き印され、口には土を詰められていた。

空気の意味するところはなにか。ラングドンは次の教会を推理し突き止めるが、詳細な場所は分からない。
時刻は9時、サン・ピエトロ広場で2人目の犠牲者が発見される。

胸には空気(Air)の焼印。
とっさにビットリオが人工呼吸を試みるも、穴が開いた肺から噴き出した血がラングドンの顔にかかる。
被害者は旅行者が事件に巻き込まれたとして報道される。

一方、コンクラーベは、主席枢機卿であるシュトラウス(アーミン・ミューラー=スタール)の指揮の下、続けられていた。
反物質の爆破による危機回避のため、コンクラーベの中断と市民の退避を懇願するカメルレンゴの意見を無視して。

誘拐された枢機卿を待つあまり、新教皇選びはうまくいかない。
シュトラウスは、主席枢機卿を降りれば自分に票が集まるだろうとしてそのようにする。

時間が過ぎていく中、ラングドンは再びバチカン資料室に行き、3つ目の教会を突き止める。
ぎりぎりの時間でそこに乗り込んだとき、3人目の枢機卿がまさに火あぶりにされるところだった。
胸に火(Fire)の焼印をされ、宙づりにされた枢機卿を助けようとしたとき、
暗殺者(ニコライ・リー・カース)がオリベッティを含む警官を次々と射殺、枢機卿は焼け死ぬ。

ラングドンはその場を何とか逃れて助かる。

一方、カメルレンゴは教皇の死因に疑問を持ち、ビットリアとともにその遺体を確認。
教皇は薬殺であったことが判明する。

土、空気、火、の現場から、4つ目がナヴォナ広場の噴水と見たラングドンは、警官とともに広場に急行するが、
暗殺者と出くわし、警官は射殺され、枢機卿は重りをつけて噴水に沈められる。
なんとか、この枢機卿は助けることができた。

ラングドンはビットリアとともに、5番目、つまり反物質のありかを追う。

そして、ついに暗殺者と遭遇。
2人が丸腰で殺害依頼を受けてないからと見逃して逃げた暗殺者だったが、逃走用の車に仕掛けられた爆弾で爆死する。

カメルレンゴが危ない。
バチカンに戻るラングドンとビットリア。
ラングドンは、胸に5番目の焼印を押され、リヒターに撃たれようとしていたカメルレンゴを助けることに成功した。
残るは反物質。

カメルレンゴの焼印から、反物質の場所を特定した一行はその場所へ急ぐ。
はたして、反物質カプセルは見つかるが、場所が寒く、バッテリー交換には危険が伴うとしてビットリアは退避を勧告する。
その時、カプセルを持って走りだしたカメルレンゴは、ヘリコプターで上空へ舞い上がり、自爆寸前、脱出する。

ついに電池が切れ、大爆発。
もうほとんど核爆発だが、反物質の対消滅では放射性物質(いわゆる死の灰)は出ない。

カメルレンゴは危機一髪のところで、けがをしながらも難を逃れる。

コンクラーベは、この快挙に一気に若輩ではあるが、カメルレンゴを教皇にとの声が広がり、
投票ではなく「発声による決定」に傾きかける。

これで1件落着かと思われた事件だったが、リヒターが持っていた何かの鍵は、
教皇執務室の監視カメラのコントローラのカギだった。
そこには、ついさっきのカメルレンゴとリヒターのやり取りが録画されていた。

それは、カメルレンゴが反物質実験に異を唱え、教皇の姿勢を非難してこれを殺し、
イルミナティの復活を偽装して4人の枢機卿を殺そうとしたという事実だった。

あの焼印も自作自演だったのだ。
すべてがばれたカメルレンゴは焼身自殺し、今度こそ事件は解決した。

新しい枢機卿は、溺れかけたあの枢機卿だった。
ラングドンと教会は和解し、教会はガリレオの古文書をラングドンに貸す。
死後はバチカンに戻すよう伝えて。

***

殺害予告時刻とバッテリー切れと言う、タイムリミットを設定することで前作に比べ、緊迫感が増した。

また、前作では「ダ・ビンチ」は謎解きにほとんど関係しなかったが、ガリレオはそれよりは関係があり、
彫刻家であり、建築家でもあるベルニーニは予告で名前すら出なかったので、取っ付きが悪かった。

イルミナティはどういう組織なのか、徐々に内部犯行を匂わせていきながら、黒幕は一体誰なのかが最後まで分からない。

主席枢機卿、スイス警護隊隊長、そしてカメルレンゴと怪しい人物が複数いて、誰が何のために何故イルミナティと組んだのか、
イルミナティの真の目的は何か、ドキドキハラハラの2時間でした。
ただ展開が速いので、人物の名前や役職名、場所の名前は覚えきれなかった。

**

ローマ警察のピエルフランチェスコ・ファヴィーノは、「ナルニア第2章」でグロゼール将軍。

主席枢機卿のアーミン・ミューラー=スタールは、「ザ・バンク 堕ちた巨像」で、暗殺者に指示を出す老銀行家。

リヒター隊長のステラン・スカルスガルドは、「パイレーツ・オブ・カリビアン」の親父ビル・ターナー、
あの顔じゅう貝殻のフライング・ダッチマンの船員でした。

**

CERN(セルン)は加速器の研究施設として世界最大級で、日本のつくば市のKEK(高エネルギー加速器機構)、
アメリカのフェルミ研究所(Fermi、フェルミは物理学者)と並ぶ世界3大加速器研究施設である。

ハドロンとは重粒子のこと。
えっ、分かんない? まあ映画の本筋にはあまり関係ありませんから。
反物質は物質と出会うと「対消滅」と言って、莫大なエネルギーを出して消滅することが分かればいいです。

 

 

 バンコック・デンジャラス 

ニコラス・ケイジ、チャーリー・ヤン(楊采妮)、シャクリット・ヤムナム。

**

ジョー(ニコラス・ケイジ)は、冷徹な暗殺者。
綿密な計画を立て、一般人には興味を持たず、痕跡を完璧に消し、契約は必ず果たす。

プラハでは、教会の鐘楼から警察の取り調べ室のターゲットを鐘の音に合わせてライフルで狙撃。
手下も麻薬中毒に見せかけて殺すなど、非情に徹する。

そんなジョーもそろそろ衰えを感じる時期になった。
そしてバンコックでの4つの殺人を最後に引退することにした。

バンコックには、休暇(字幕では「観光です」)で入り、郊外の一軒家を借りる。
町中の様子を探りながら、チンピラのコン(シャクリット・ヤムナム)が観光客の財布を盗むのを見て手下に使おうとする。
最初はお互いに嫌なやつだと思いながらも、コンはジョーのパシリとなる。

4件とも依頼主は同じ、やくざのスラット(と言いながらも恰幅はいい)
やり取りは、ガールズ・バーの踊り子オーム(パンワード・ヘマニー)を介し、カバンを使って行われる。

最初の殺人は、主要地点間の移動時間、信号のパターン時間を計り、バイクで現場に向かう。
ターゲットの車を交差点の信号待ちで襲い、機関銃を乱射、信号の変化に合わせて逃走する。
しかし、最後に物売りの少女の竿で肩に切り傷を負う。

傷薬を買おうと寄った薬局には、とても親切な聾唖の美女フォン(チャーリー・ヤン)がいた。
彼女のおかげで適切な薬を買えたジョーは感謝し、後日彼女を食事に誘うことになる。

2人目は、ペントマウスにプールを持つような親玉。
事故に見せかけて、おぼれさせた。

この前後、コンがチンピラとのいざこざからカバンを壊し、中身を見てしまう。
いつもなら、あっさり殺して別の手下を調達するところを、どういうわけかそれを許し、弟子にして武術や射撃を伝授する。
(セリフで「なぜかわからないけど」と自分でも言っている)

3番目は、運河の船での射殺。
観光客を装い、ターゲットを狙うが、物売りの船に阻まれて相手にばれる。
逃げるターゲット、追うジョーとコン。
途中、エンジンが故障、ジョーはバイクを強奪してターゲットを追い、ついに射殺する。

一方、仕事の合間にジョーはフォンと懇意になり、コンはオームと仲良くなるが、
ジョーはフォンとのデートの最中に2人の暴漢に襲われるが、とっさに逆襲して射殺してしまう。
フォンの背中に飛び散る血。

フォンはジョーの恐ろしい面を見て逃げてしまう。

最後のターゲットは、政治家。
政治家の暗殺は逃げるのが難しくなるため、避けていたジョーだったが最後の仕事としてこれを引き受ける。
しかし、ターゲットは悪を倒すとして庶民の人望の厚い、良い政治家だった。

一旦はコンを弟子にしたジョーだが、コン殺害のためのヘロインを用意して、政治家の殺害に向かう。
しかし、フォンの恐怖、コンの言葉にためらいが出てタイミングを逃し、警備陣にも見つかるが、すんでのところで逃走。
国外逃亡を図ろうとするが、ジョーに正体がばれたと思いこんだスラットがコンとオームを拉致し、部下にジョーを始末させようとする。

自分に危害が加えられようとしたこととコンがさらわれたことに腹を立てたジョーは、
単身スラットのアジトに乗り込んで部下を皆殺しにするが、自身も傷つく。

コンとオームは助け、スラットを拉致したものの、傷は深く、警察に囲まれ逃げ場を失ったジョーはスラットを道連れに自決する。

***

チャーリー・ヤンは台湾の女優。「香港国際警察」でジャッキー・チェンの恋人ホーリー。

1999年のタイ映画「レイン」(英題:Bangkok Dangerous)の監督によるセルフ・リメイク。

つくづく映画は脚本ですね。
どうにもこうにも、詰めが甘いし、ジョーの設定も甘い。

大体、あれほど長い期間1か所にとどまって4件も殺人を犯そうなんてのが暗殺者にあるまじき行為で、
証拠残しまくりなのに犯行現場のあんなに近くに住んでてどうすんだ。
あんなスカスカの計画で成功率99%(チラシ)とか100%(予告)とは到底思えない。

最初の殺人の際に同じ型のバイクを3台用意するが、犯行に使ったものは処分し、残りを偽装に使うのかと思いきやコンにやってるし、
目撃者の子供はケガまでさせられたのにほっとくし、一般人には関心を持たないのがルールとか言っときながらナンパしてるし、
ともかく非情冷徹の世界をまたにかけた暗殺者にしては緩すぎる。

バンコクでの4件の暗殺と、ニコラス・ケイジ、それにタイ人の若者との師弟関係、
美女とのロマンスを絡めるところに無理があったと思わざるを得ない。

 

 

 バーン・アフター・リーディング 

ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、ジョン・マルコビッチ、ティルダ・スウィントン、フランシス・マクドーマンド。

**

コーエン兄弟が送る、予測不可能なクライム・コメディ。

最初にこれを書いてしまうとどうなのかな、とも思うが、人物関係を整理しておこう。

主要な登場人物が少ない割には、話が複雑だから。

まずは、ジョージ・クルーニー夫妻。
旦那が財務省の警護官のハリー(ジョージ・クルーニー)で奥さんは絵本作家のサンディ(エリザベス・マーベル)。
ともに柔和な性格で一見理想的な夫婦。

つづいて、ジョン・マルコビッチ夫妻。
旦那はCIA分析官のオズボーン・コックス(ジョン・マルコビッチ)で、奥さんは医師のケイティ(ティルダ・スウィントン)

最後に、スポーツジムのトレーナー、チャド(ブラッド・ピット)、女性事務員リンダ(フランシス・マクドーマンド)
マネジャーのテッド(リチャード・ジェンキンス)

このほかに、J.K.シモンズ、デビッド・ラッシュなど。

**

オズボーン・コックス、愛称オジーはCIAの分析官。
ある日、突然分析官の職をはずされ、異動を通告される。

頭に来たオズボーンは異動を蹴り、退職してしまう。
妻のケイティに告白しようとするが、その夜のパーティのことで頭がいっぱいのケイティは聞く耳を持たない。

パーティに来た連中の中に、ハリーとサンディのファラー夫妻がいた。
ハリーはケイティと不倫中だが、オズボーンにばれてるんじゃないかと、はらはらドキドキしている。
何かにつけ、自分のことを監視する車の存在を感じていて、気味悪がっている。

オズボーンが退職したことに腹を立て、いよいよ本気で離婚を準備し始めたケイティ。
離婚の相談相手の弁護士にオズボーンの財産をすべて把握せよ、と言われ、旦那のPCを探ることに。

オズボーンは辞めた腹いせにCIAの暴露本を書くつもりで、PCに自伝の下書きを入れていた。
ケイティはオズボーンの留守中にそれをCD−Rにコピーする。

一方、体形の崩れや脂肪のたるみが気になるリンダ。
何とか全身美容整形で若返りを狙っているが、手術代の5万ドルにはとても手が届かない。
今日も出会い系サイトで、婚活のつもりか、男漁りに余念がない。

同じジムのトレーナー、チャドは単なる筋肉バカ。客に手を出すでもなく、体造りに励んでいる。

さて、ジムのトイレに落ちていたCD−R。
(後々明らかになるが、弁護士の女秘書がジムで紛失した)
中身を見たチャドとリンダはCIAの極秘情報だと思い、返却の「謝礼」を手に入れることを思いつく。
そして、持ち主がオズボーン・コックスであることと、その電話番号を調べ上げ、謝礼を要求する電話をかける。

突然の意味不明な電話に怒りまくるオズボーン、切れたオズボーンに逆切れするリンダ。
そして、チャドにオズボーンとの交渉をさせる。
オズボーンはチャドの要求を蹴り、去っていくが、様子を見ていたリンダが車をぶつけて仕返し。
その足でロシア大使館にCDを売り込みに行く。

さて、妻のサンディが絵本のキャンペーンでヨーロッパに出かけることになり、ハリーは出会い系でリンダに会う。
映画、食事、SEX、とお決まりのコース。
ハリーは結婚していることは言うが、離婚調整中だと嘘をつく。

ハリーがいたく気に入ったリンダは、ますます美容整形に執心する。
ハリーは、リンダと本気で付き合う気はなく、ケイティの家に入り浸っていた。

リンダはそんなことは知らず、チャドにオズボーンの家、つまりケイティとハリーが逢瀬を重ねる家から新たな情報を盗めと指示する。
チャドはケイティとハリーが家から出たことを確認して、地下室から家に入り込む。

ハリーは出かけたのではなく、ランニングのために途中までケイティに送らせていた。

ここから事態は急展開する。

チャドが玄関から逃げようとしたその時、ランニングからハリーが帰ってきた。
逃げ場を失ってチャドは2階のワードローブに隠れる。
ハリーは、2階に上がりシャワーを浴び、スーツに着替えようとワードローブを開ける。
そこには逃げるタイミングを失ったチャド。
とっさの判断でハリーは銃を発射。
弾丸はチャドの眉間をぶち抜き、チャドは即死する。

死体を始末して何事もなかったかのようにふるまうハリー。
とはいえ心は動揺、ケイティの冷たい言動に頭にきて、ケイティの元を去る。
そして、ついに彼を監視する怪しい車の男を捕まえて問い詰めたところ、なんと妻のサンディが離婚準備のために雇った探偵だった。

一方で、チャドが行方不明になったことを心配するリンダは、ジムのマネジャーのテッドにチャドを取り返すため情報を盗めと指示する。

さて、追突された車を見たケイティは怒り狂い、オズボーンを追い出し、家の鍵も変えてしまっていた。
オズボーンは仕方なく、クルーザーで暮らしていたが、酒が切れ、手斧を持って我が家に帰還、鍵をぶっ壊して中に入る。
めぼしいものを物色中、地下室で何やら物音。
そこにはテッドがいた。ジムのバカ仲間と罵って撃ち、外へ逃げるテッドに手斧で殴りかかる。

妻の愛も愛人も失ったハリー。
性懲りもなく、リンダと密会するが、チャドの行った先がオズボーンの家だと聞いて、リンダも組織の回し者だと思って逃げていく。

関係者の言動はこれでおしまい。
しかし、CIAは最初から関係者のほとんどの行動を把握していた。

ハリーがチャドを殺したことも。
テッドがオズボーンに殴り殺され、オズボーンが警官に撃たれて脳死になったことも。

ハリーは、ベネズエラに逃げようとして一旦拘束されたが、そのままベネズエラに。
リンダは、美容整形手術代と引き換えに事件を忘れることになった。
そして事件はCIAによって葬り去られてしまった。

**

とにかく面白い。

かっこつけていながら、下半身ゆるゆるのハリー。
銃を撃ったことがないのが自慢だったのに、突然の事態におろおろするみっともなさが見事。
予告編通りのバカ丸出しのチャドも、軽薄感満載で結局文字通りの墓穴を掘る。

ディルダ・スウィントンも見かけどおりの冷たい女で、マルコビッチの高圧的態度も筋が通っている。

結局、素人がやばい情報に手を出せば、痛い目に会うということなのだが、
途中何回か出てくるCIAの幹部(J.K.シモンズ)の対応も面白かった。

 

 

 バビロンA.D. 

ヴィン・ディーゼル、ミシェル・ヨー、シャーロット・ランプリング、ランバート・ウィルソン

**

近未来、暴力が渦巻く世界。
東欧の一角で傭兵として働くトゥロープ(ヴィン・ディーゼル)
武装集団に襲われ、ボスのゴルスキーの元へ連れて行かれる。
ゴルスキーの狙いは、トゥロープにある女性をNYへ連れて行かせること。

嫌も応もなく引き受けさせられたトゥロープはその女性を迎えに修道院へ行く。
キリスト教の1宗派、ノーライト派の修道院ではオーロラ(メラニー・シエリー)が待っていた。
同行は修道女のレベッカ(ミシェル・ヨー)、オーロラの治療のためにアメリカに行くという。

まずは、鉄道の駅まで行く。
人込みをかき分け、ホームへ行こうとするとオーロラは突然狂ったように逃げ出す。
「人ごみを怖がってる」と言うレベッカ、「そっちへ行くと死ぬ」と言うオーロラ。
はたして、爆弾が炸裂し、回避したトゥロープらは、何とか列車に乗り込む。

国境の町で、トゥロープは手配師を探す。
その間、ずっと一行をつけていたヤマカシ軍団が、オーロラをさらおうとするが、トゥロープが阻止する。
国境の川(凍結中)を超えるには、潜水艦で向こう岸まで行く必要がある。
違法入国の手助けをする潜水艦には時間がない。
乗り損ねた人々を容赦なく突き落とす乗組員に怒りをあらわにし、オーロラは潜水艦に異常を起こす。

向こう岸では用意されたスノー・モービルで国境越えを狙うが、無人攻撃機に襲われる。
何とか撃退はするがトゥロープはけがをし、それを助けたオーロラとの間に信頼感が生まれる。

カナダからアメリカへは飛行機を使い、特に問題もなくニューヨークに着く。
隠れ家のアパートの前には、ノーライト派、そしてゴルスキーの手の者がオーロラの引き渡しを待っている。

「渡されると私は死ぬ」オーロラの言葉にトゥロープは両軍団と対決し、銃撃戦の中でレベッカは死ぬ。

トゥロープには生体ICタグが埋め込まれており、死なない限り、追尾兵器の的となる。
オーロラは、謎の言葉を残してトゥロープを射殺する。

場面は変わって、ある博士(ランバート・ウィルソン)の研究室。
トゥロープを蘇生させ、欠損した足や手をメカで置き換えた。

博士は、オーロラの父であると告白。
同時にオーロラは人工的に誕生させた生命であるとも告げる。
先のヤマカシの一味は博士の部下だった。
記憶再現装置を使って、オーロラがトゥロープに告げた言葉を探る。

博士の妻は、ノーライト派の教主。
オーロラを救世主として利用するつもりで探し、そしてニューヨークに呼び寄せた。
つまり、オーロラをめぐって夫妻の取り合いが行われていたのだ。
博士は妻に射殺され、ノーライトの一派はトゥロープがオーロラの行方を知っているとみて追う。

トゥロープは追っ手を撃破し、トゥロープの故郷でオーロラを見つける。
処女懐妊していたオーロラは、双子の姉妹を生んで絶命。

トゥロープはオーロラの遺言通り、父として姉妹を育てるのだった。
おしまい。

**

えーっ? これでおしまいなの? 
ラスボス対決はないの?
教団はどうなったの?

オーロラが死んですべてパー、トゥロープも捨て置かれ、自由に生きていくことになった、のかよ!
それにしても、こんな終わり方でいいのかよ。

また、キャラ設定がいまいちはっきりせず、成長していく様子も不透明。
ストーリー展開もやや必然性に欠けるし、全体に説明不足。

いろんな意味で中途半端でした。

***

聞くところによると、予算オーバーのため、監督降板、スタジオがむりくり完成させたとの噂が。
本当かどうかは分からないが妙に納得。

**

教主のシャーロット・ランプリングは、「ある公爵夫人の生涯」で、キーラ・ナイトレイの母、レディ・スペンサーだった。
その旦那役の博士、ランバート・ウィルソンは、「マトリックス」シリーズのメロビンジアンだ。

修道女でオーロラの護衛のミシェル・ヨーは、香港映画のアクション・スター、この映画でもアクションを披露。
「007トゥモロー・ネバー・ダイ」の中国エージェントでハリウッド・デビュー。
「SAYURI」の豆葉、「サンシャイン2057」「ハムナプトラ3」にも出演している。

 

 

 消されたヘッドライン   

ラッセル・クロウ、ベン・アフレック、レイチェル・マクアダムス、ヘレン・ミレン、ロビン・ライト=ペン。

**

ある雨の夜。平和な街中を突然走って逃げる男。
物陰に隠れ、追っ手を巻いたと思ったが、何者かに撃たれて倒れる。狙撃者は近づきとどめを刺す。

そこへ通りかかったピザの配達自転車も背後から2発、撃たれて倒れる。

翌日その事件現場。
現場に着いたワシントン・グローブの記者、カル・マカフリー(スペルは、McCaffrey、ラッセル・クロウ)は、
なんとか情報を手に入れようと、ベル刑事(ハリー・レミックス)に探りを入れる。

たまたまその近くを通りかかった一人の女性。なにかあるぞ、と観客に思わせつつ、通勤のため地下鉄構内へ。
列車が入ってくる瞬間、場面は暗転し、スティーブン・コリンズ議員(ベン・アフレック)が議会に入ってくる。
これから軍需企業のポイントコープが戦争代行で不当利得を上げているという疑惑の公聴会に出るところだったが、
先ほどの女性、ソニア・ベイカーで地下鉄でホームから落ちて死んだと聞かされる。

公聴会冒頭、秘書でこのポイントコープについて調査していたソニア・ベイカーの死を悼む言葉を述べたコリンズは不覚にも涙する。
日本と違って涙することが恥とされるアメリカにおいて公衆の面前で流した涙は憶測を呼ぶ。

メディアはこぞってコリンズ議員とソニアの不倫疑惑を書き立てる。
ワシントン・グローブのWeb版担当、デラ・フライ(レイチェル・マクアダムス)も同様だった。

例の射殺事件は、麻薬売人のトラブルとみられていた。
マカフリーは被害者の携帯の発信記録から、ソニア・ベイカーに行き着いたマカフリーは、二つの事件の接点を嗅ぎとる。

マカフリーは当初デラと反発しあいながらも、ソニアの事故について調べさせる。
若い女がマカフリーに近づき、射殺された男はひったくりで、カバンを持ち主に買い戻させることで稼いでいた、と告げる。
そして、殺される前にひったくったカバンから出てきたソニアの写真を売りつけた。
ソニアへの電話はこの女からの警告だったのだ。

コリンズの追うポイントコープ社の疑惑、それを調べていた秘書のソニア、ソニアをストーキングする謎の男に殺されたひったくり。
事件がつながると見たマカフリーは、編集長のキャメロン(ヘレン・ミレン)を説得し、デラと組んで事件を追うことにした。

重症だったピザ配達人の意識回復を受けて、病院に行ったデラだが、彼女の目の前で患者は外部から狙撃され死亡する。

一方、ソニアの過去を洗うと、借金まみれの悪い噂ばかりが出てくる。
ソニアとコリンズで3Pをしたとか、ソニアの借金をコリンズが肩代わりしたと証言する女まで出てきて、泥仕合の様相になる。

地下鉄の監視カメラのビデオに病院ですれ違った男を見つけたデラ。
そいつが殺人犯とにらんだマカフリーは、ポイントコープ社の元社員からその男の情報を得ようとする。
ポイントコープ社の狙いはアメリカ国内だった。

国防省からの入札の大半をポイントコープの関連会社が落札、このままではアメリカの軍事自体が1企業に支配されることになりかねない。
コリンズとソニアを使ってこの事実を突き止め、公聴会を通じてポイントコープを追い詰めることにあった。

ポイントコープの元社員は、殺人犯と思しき男の友人の家を教える。
取材に行ったマカフリーの前に現れたのは、殺人犯本人だった。
男はマカフリーを襲おうとし、何とか逃れたマカフリーだが、男は行方をくらます。

PR会社の社長のドミニク・フォイ(ジェイソン・ベイトマン)とソニアが関係があることを探り当てたデラ、
マカフリーは、ドミニクを脅し、驚愕の事実を吐き出させる。

それは、ソニアがもともとポイントコープ社のスパイだった事。
ポイントコープがソニアの4万ドルもの借金を支払ってやり、毎月26K$の給料を支払い、コリンズの動向を報告させていたこと。
しかし、ソニアはコリンズに惚れ、スパイを辞めたいと言い出し、そして、たぶん殺された、ということ。

マカフリーは裏を取るために、コリンズを呼び、ドミニクのインタビューを見せる。
コリンズはそこでソニアが実はポイントコープのスパイだったが、コリンズに惚れて妊娠し、殺されたと知る。

新聞記事のために他人の感情を無視したと怒るコリンズ、マカフリーにはとりつく島もなかった。
事件の全容が見えたマカフリーは、ソニアを紹介したというファーガス上院議員にもアプローチするが、証拠がない。

裏の取れない記事は載せられないと怒りまくるキャメロンのところへ、コリンズが夫人(ロビン・ライト=ペン)を連れてやってくる。
そして、マカフリーの思っていた通りの事実を告白する。

証言をもとに記事を作成、印刷に回して1件落着、と安堵を見せるマカフリーとデラ。
ねぎらいの言葉をかけようとデラとコリンズの夫人アンの話をしようとして、ある事に気づく。
それは、夫人がソニアのサラリー2万6千ドルを知っていたこと。
ドニミクから聞いた話ではあったが、コリンズには知らせていない話だった。

もともとコリンズはそのことを知っていた?
殺人犯のシャツとおなじ模様を着ていたコリンズのかつての戦友、ビンガムが事件に関連すると見たマカフリーはコリンズに問いただしに行く。

はたして、コリンズは、ソニアがポイントコープのスパイであることをソニア自身から告白されて知っていた。
そしてかつて戦場でその命を救ったことのあるビンガムに監視させていたことを暴露する。
コリンズは監視するだけのつもりだったが、ビンガムは、ソニアを駅で突き落とした。

そして事件に偶然関与したピザ配達人、ひったくりとその愛人の3人も殺していた。
ビンガムはコリンズを崇拝するあまり、その障害となるものを排除しようとしていたのだ。

見逃してくれと頼むコリンズ、警察を呼んでいたマカフリーは危機一発でビンガムの銃を逃れた。
コリンズは逮捕され、マカフリーはコリンズ逮捕の記事を書きあげるのだった。
ポイントコープ社は事件関与を否定しているとの注釈つきで。

**

殺人犯の存在は最初から明らかになっていて、ソニアの死ととひったくり射殺事件のつながりがあることはわかるが、
取り巻く人々の関係は最後までどんでん返しが続いて、ぼんやりしているとトリックを見逃してしまう。

肝心のところで分からなくならないように、途中の写真やセリフにも気を配ってみておいて欲しい。

目的は正しかったかもしれないが、手段を誤ると正しいことも正しくなくなってしまう。
そして本当の巨悪はのうのうと生き延びていく、という落ち。
その点では、「ザ・バンク 堕ちた巨像」に通じるものがあるかもしれない。

**

ラッセル・クロウ、1964/4/7生まれ、ベン・アフレック、1972/8/15生まれ。
この二人が大学の同級生であり、ルームメイトであるというのは若干無理がある。
また、ロビン・ライト=ペンも同級生という設定。
1966/4/8生まれで、見た目もラッセル・クロウより若干若いが、それほど違和感はない。
なお、彼女は、ショーン・ペンのカミさんである。

エンドロールでは、マカフリーの記事が印刷所に届き、電子写植されて版下となり、新聞に印刷されて配送に回されるところまでが映し出される。
真新しい新聞が流れてくるところはよくニュース映像などでも見るが、その全体工程が見れたのは面白かった。

 

 

 ビバリーヒルズ・チワワ   

有名な役者さん、というか、私が知っていたのは、ジェイミー・リー・カーティスだけ。

まず最初に言っておく必要があるのは「犬」「犬語」についての設定。
犬は動物に通じる言葉をしゃべるが、人間にはワンワンとしか聞こえない。
しかし、犬は人間の言葉が普通にわかっている。
ということは、、、、犬語にも英語やスペイン語があるということになります。

***

カリフォルニア州、ビバリーヒルズ。
ルイ・ビトンのバッグに入って、化粧品会社の社長、ヴィヴ(ジェイミー・リー・カーチス)に連れられて美容院にきたのは、
チワワのクロエ(Chloe、発音は、クローイに近い、白い犬だけど。声はドリュー・バリモア)。

ヴィヴはクロエを猫っ可愛がり(犬だけど)で洋服を着せ、靴をはかせ、帽子をかぶらせて、首にはダイヤのネックレス(の首輪)
突然の商用でヨーロッパへ10日出かけることになり、犬が預けられず困っていた。
丁度そこへ姪っ子のレイチェル(パイパー・ペラーボ)が来たので、彼女にクロエを無理やり預けてヨーロッパに行ってしまう。

クロエは友達のビキニ、デルタ、セバスチャンとともにプールサイドで日課をこなす。
ちょうど作業していた造園師、サム(マロノ・カルドナ)の飼い犬パピ(チワワのミックス、声:ジョージ・ロペス))のアタックも軽くかわす。

一方、犬の世話を頼まれたレイチェルは、家にいても面白くないので、クロエを連れて、友達2人と3人で車でメキシコへ。
ホテルに着いたはいいけどレイチェルは遊ぶことで頭がいっぱい。クロエの世話もそこそこに遊びに行ってしまう。

クロエは、頭にきて、おいしいものでも食べようかと、ホテルから抜け出すが、とたんに悪漢にさらわれてしまう。

クロエをさらったのは違法闘犬場を営むバスケス(ホセ・マリア・ヤスピク)。
ドーベルマン・ピンシャーのディアブロとクロエを戦わせようというのだ。
当然、チワワに勝てるわけもなく、あわや、というとき、一緒に捕まっていたジャーマン・シェパードのデルガド(声:アンディ・ガルシア)が、
檻を破って、クロエを助け、他の犬と一緒に闘犬場を逃げ出すことに成功した。

ホテルに戻ってクロエがいないことに気づいたレイチェルは必死で探すが、見つからない。
警察に届けたが、顔写真が必要だといわれ、写真をビバリーヒルズからファックスしてもらう。

しかし、それが造園師のサムにばれ、パピもクロエの一大事と助けに向かう。

クロエが金になると気付いたバスケスは、ディアブロに後を追わせる。

デルガドはクロエを助ける約束をするが、クロエはドブネズミのマニエルに騙されて鑑札のついたダイヤのネックレスを取られてしまう。
かくして2匹は手掛かりを亡くしたまま、列車(の貨物車)に飛び乗ってアメリカを目指す。
しかし、途中でばれ、列車から飛び降り、荒野を歩いて故郷を目指す。

途中、2匹はチワワ(地名)で、コヨーテに襲われるが、チワワの一群に助けられる。
列車でのトラブルは、警察を通じて、レイチェルとサムの耳にも入り、二人もクロエを追う。

レイチェルの作った手配写真に気づいた2匹は、その下で警官に合図をして無事保護される。
警察署にはレイチェルも駆けつけ、これでめでたしめでたしとなるはずだったが、
用足しに外へ出たクロエは、ディアブロに見つかり、さらわれてしまう。

追うデルガド、レイチェル達もそれに続く。
ディアブロのGPSをもとに追ってきたバスケス一味との対決があって、無事クロエは救出、バスケス一味は逮捕される。

あとは、ヴィヴの帰ってくる前にビバリーヒルズの家に戻り、クロエをきれいにして待つだけ。
ぎりぎり間に合って、ヴィヴには騒動はばれずにすんで、本当のめでたしめでたし。

**

これぞディスニー映画。
お子様にも安心して見せられるし、ちょっと感動的なストーリーも入れておいて少し深みを持たせているし、小ネタで大人も笑わせる。

**

レイチェル役のパイパー・ペラーボ。
どっかで見た顔で、「バック・トゥ・ザ・ヒューチャー」(2、3)のジェニファー(エリザベス・シュー)にも似ているが、当然別人。
「プレステージ」で最初に水槽マジックで脱出に失敗する助手の女性。

ジェイミー・リー・カーチスは、トニー・カーチスの娘で「トゥルー・ライズ」でシュワちゃんの妻、
「フォーチュン・クッキー」でリンジー・ローハンの母。

また、野生チワワ軍団のリーダー、モンテの声をテノール歌手のプラシド・ドミンゴが演じている。

 

 

 ザ・バンク 堕ちた巨像 

原題は「The International」

クライブ・オーウェン、ナオミ・ワッツ。後の俳優はよく知らない。

***

ベルリン中央駅の駅前駐車場で、検察局の捜査官が一人の男と会っていた。
捜査官は、男が本物の内部告発者だと確信するが、男と別れた直後に変死する。

死体に小さい傷を見つけたインターポールのルイス・サリンジャー(クライブ・オーウェン)は、殺人と断定、
アメリカ検察局のエレノア・ホイットマン(ナオミ・ワッツ)を呼び出し、ドイツ警察当局とかけあう。

国際的な大銀行であるIBBCは不正取引で巨額の利益を上げており、反対勢力の殺人にまで手を染めている。
また、アメリカ国内でマネー・ロンダリングを行っていて、2年前からアメリカの検察とインターポールが共同捜査していた。

今回、ミサイル制御装置を大量に買い、紛争国に輸出する不正取引の情報を得て、捜査官が内部告発者と接触していたのだ。
ドイツ警察当局は、秘密捜査に不快感を示し、二人の国外退去を命ずる。

帰国したサリンジャーは内部告発者の身元を調査、捜査官死亡直後に事故死したアンドレ・クレマンだと断定、
IBBCの頭取スカーセンの証言の不備を突いて逮捕に結びつけようとする。

しかし、弁護士のホワイトと警察幹部は、証言の不備を暫定報告書の誤植として、最終報告に不備のないことを示す。
サリンジャーの思惑は、盗聴によってIBBCに筒抜けだった。

一方、ホイットマンは、クレマンの妻に接近「ウンベルトに聞け」との情報を得る。

ウンベルトとは、ウンベルト・カルビーニ、イタリアの軍需産業の社長であり、政治家で、次期イタリア首相候補でもある。
彼によれば、件のミサイル制御装置を作れるのは世界でも2社だけ。
付き合いの長いクレマンを介してIBBCと取引の予定であったが、クレマンの死で取引を中止、IBBCには怒りを持っていた。

ホイットマンの接近に、情報を話すことを約束したカルビーニだったが、その前の演説中に銃殺されてしまう。

狙撃犯は警察により、ただちに発見され射殺されるが、現場の弾痕からもう一人の狙撃者の存在を推測したサリンジャーは、
またも現地警察により国外退去となる。

しかし、イタリア警察で得た情報と空港での情報から、男がニューヨークにいるところを発見し尾行する。
IBBCもインターポールの接近を知り、男にサリンジャーの殺害を依頼しておいてサリンジャーともども殺そうとする。
結果、男はIBBCの殺人チームにより殺され、サリンジャーは手掛かりを失う。

一方で、男にサリンジャー殺害を依頼したウェクスラーを逮捕、スカーセン逮捕への協力を依頼する。
ウェクスラーは贖罪意識に目覚め、サリンジャーの超法規的対応を条件に情報提供を行う。

サリンジャーは、IBBC壊滅のために超法規的動きに出ることを決断、ホイットマンと決別して単独行動をとる。

スカーセンはカルビーニの息子たちと話をつけ、取引を継続しようとするが、
サリンジャーはカルビーニ暗殺はスカーセンの策略だと息子たちに告げ、取引は決裂、取引に出向いていたホワイトは消される。

スカーセンは、イスタンブールにあるもう1社の軍事企業に接近、
サリンジャーはウェクスラーと結託してミサイル制御装置取引の会話を録音しようとするが失敗。

しかし、ウェクスラーも何者かに殺され、焦ったスカーセンは、サリンジャーが犯人だと思ってイスタンブールの街を逃げ惑う。
そして、ついに、スカーセンとサリンジャーが対峙。
サリンジャーはスカーセンを撃とうとするが、「代わりはいくらでもいる」の言葉に躊躇する。
その時、背後から、スカーセンを撃つ男が、、それは、カルビーニの雇った暗殺者だった。

そして、一時期IBBCは混乱に陥るが、代わった社長により事業は継続され、より大きい利益を上げていくのだった。

***

社会派ドラマとサスペンスを混ぜて、アクションタッチで仕上げた、というところか。
若干設定の矛盾というか説明不足がないわけでもないが、アメリカ、ドイツ、イタリア、トルコと行きつ戻りつしながら、
国際金融機関の悪事を暴こうとする。

ただ、いくら裏で不正な活動をする組織ではあっても、それらを必要とする組織、団体、国家がある限り、
生き延びてはびこっていくことに変わりはない。
ある意味、「007慰めの報酬」のグリーンの組織のような感じ。
そういえば、「カジノ・ロワイヤル」のル・シッフルも投資銀行のようなことをしてましたっけ、やり口は非合法ですが。

 

 

 GOEMON   

江口洋介、大沢たかお、ゴリ、広末涼子、奥田瑛二、中村橋之助、要潤、チェ・ホンマン、伊武雅刀、平幹二朗、、、うー、書き切らん。

***

1582年の本能寺の変の後、豊臣秀吉の天下となってしばらくののこと。
町は活気にあふれていたが、貧富の差は拡大し、弱い者はさらに弱い立場にあった。

秀吉配下の石田三成(要潤)は、明智光秀(紀里谷和明)の蓄財を回収すべく、
紀伊国屋文左衛門(六平直政)の屋敷に立ち寄った。

そのころ、文左衛門の蔵は、石川五右衛門(江口洋介)に襲われていた。
五右衛門は、小判のほか、不思議な文字の書かれた青い箱も盗んで、逃げる。
後々、この箱が物語に重要であることがわかる。

五右衛門は群衆の中に金をばらまき、三成の追手を逃れる。
途中、青い箱の中が空だと思い、捨ててしまうが、子供のスリ小平太(深沢嵐)がそれを拾う。

実は三成は、金ではなく、この箱を探していたが、五右衛門に盗まれてしまったので、
霧隠才蔵(大沢たかお)に命じて、紀伊国屋の一家を皆殺しにする。

翌日、部下の猿飛佐助(ゴリ)が五右衛門を訪ねてきて、紀伊国屋の惨劇と箱の話を告げる。
箱を拾った小平太は、三成の部下の又八(玉山鉄二)に襲われ、母(鶴田真由)を失う。
五右衛門は又八を斬り、小平太を連れ、箱を取り返す。

「箱」が見つからないと知った豊臣秀吉(奥田瑛二)は、激しく三成を叱咤し、なんとしても取り返すよう命令する。

命を受けた才蔵は、五右衛門を追うが、謎の人物に邪魔をされて五右衛門を逃がす。

箱を調べていた五右衛門は偶然その箱に隠された木簡を見つけ、それに書かれた地図を頼りに、謎の連判状を発見する。
その時、五右衛門らをつけていた人物こそ、才蔵との戦いに割って入った服部半蔵(寺島進)だった。

半蔵は徳川家康(伊武雅刀)の部下で、五右衛門と才蔵を織田信長(中村橋之助)から預り、忍者に育て上げた人物だった。
二人は互いに切磋琢磨し、抜群の能力を発揮したが、信長亡きあと、ばらばらになっていた。

連判状は、光秀の謀反は秀吉との共謀だったことを示していた。
連判状を半蔵に譲った五右衛門は怒りにまかせて秀吉を暗殺する。
五右衛門は逃げる途中、浅井茶々(広末涼子)と再会する。
秀吉は、茶々を側室にしようとして呼び寄せていた。

五右衛門はかつて信長から子供のころの茶々(福田麻由子)の護衛を命じられていたことがある。
そこへ、暗殺したはずの秀吉が現れる。さっき殺したのは、影武者だった。

秀吉は、天下統一の先に朝鮮出兵、明征服を考えていた。
茶々はそれを諌めようとするが、千利休(平幹二朗)に止められる。
茶々に代わって、秀吉に進言した千利休は打ち首となる。

家康は茶々に連判状を見せ、信長謀殺は秀吉の陰謀だったと知らしめる。
茶々は五右衛門に別れを告げ、秀吉の側室になることを承諾、家康はそのお披露目で秀吉暗殺を計画する。

五右衛門は暗殺直前まで行きながら、これを断念、一方、石田三成も才蔵を使って暗殺に加担するが失敗、才蔵逮捕を命じられる。
三成は才蔵の妻を殺害、子を確保して才蔵をおびき出して逮捕する。
秀吉は口を割らない才蔵を釜ゆでにしようとする。
才蔵は、自分を石川五右衛門だと叫び、釜ゆでになって死ぬ。

五右衛門は遂に怒りが頂点に達し、秀吉の城に乗り込んで、秀吉を倒す。

秀吉亡きあと、石田三成と徳川家康が対峙、双方が戦いを始めた時、五右衛門が信長の武具を装着して割り込み、三成を倒す。
五右衛門は更に、家康に接近するが、五右衛門を見限って真田勢についていた佐助に刺される。

五右衛門はその場を離れるが、ついに力尽き果てる。

***

時代劇というにはあまりにもぶっ飛んだ設定となっている。

歴史絵巻ではなく、五右衛門を現代風にアレンジしたコミックの映画化、と言ったらぴたり来るかもしれない。
最初ヨーロッパの甲冑が出た時はどうなるかと思ったが、よくいえばユニーク、悪く言えば時代考証を無視した設定だが、
全編それを押し通しせば、それもまたありかな、と。

人物名は実在の人物と同じだが、衣装は当然として、その家紋なんかも変えてある。
たとえば豊臣家は本当は五七の桐だが、五三の桐で桐の葉の形が違うとか、徳川家の三つ葉葵も葵の葉の形が違うなどだ。

 

 

 グラン・トリノ   

クリント・イーストウッド以外に、有名な俳優は出ていない、というかあまり知らない役者さんばかりだった。

***

アメリカは割と地域に住んでいる人のレベルが均質だ。
これはグルーピングの問題ではなく、土地利用政策の一つであるゾーニングによるものだと思っている。
日本でも同じような大きさの建売が並んでいることはよくあるが、もう少し広範囲に規制されていると思われる。

これはすなわち住んでいる家がその人の経済レベル、社会階層を示しているわけで、それが暗黙の映画の設定にもなっている。

この映画の主人公、ウォルト・コワルスキーの家は、小さい前庭とテラスのついた木造2階建てで、
裏庭はバーベキューができる広さがあり、車が2台入りそうな大きいガレージもある。
日本から見れば十分大きい家だが、中産階級であることを示しているのだろう。

***

朝鮮戦争で勲章をもらったこともある、ウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)は、郊外の一軒家に住んでいる。
何かにつけ悪態をつき、悪口を言わないとすまないような性格だ。

妻が亡くなり、葬式にきた孫の風体にもしかめっ面をしてみせる。
参列者の家でのもてなしに大勢が来てくれたことも「ハムを食いに来ただけだ」と愚痴って見せるような爺だ。

一方で、息子も孫も祖父を尊敬するそぶりはない。
息子は親父を何にでも文句を言わないとすまないんだと言ってのけ、大学に入る孫娘は、おじいちゃんが死んだらソファをくれと言う。
ストーリーでは後になるが、息子夫婦はウォルトに老人ホームへの入居を勧めにきて追い返されたりもする。

フォードの工場で長年組立工をしていたこともあって、1972年製の「グラン・トリノ」を愛し、
日本車のセールスをしている息子をののしる。

教会の若い牧師は、亡き妻に頼まれたと言ってウォルトに懺悔を勧めるが、ウォルトはこれを無視する。

前述のように一帯は中産階級のアメリカ人が住んでいたところのはずだが、最近はアジア人が転入することが多くなっている。
隣にも、アジア系の一家が越してきた。

仕事もなく、学歴もないアジア人の連中が徒党を組み、同じような黒人連中と対立している。
言い争いになれば、銃を取り出したり、マシンガンを向けるような連中だ。

隣のアジア人の一人息子タオにもそんなチンピラの従兄弟がいる。
庭仕事をするタオを仲間に入れるため、隣の「グラン・トリノ」を盗めという。

その夜、ガレージに不審な灯りを見たウォルトは、銃を手に賊を追い払うが、その時はそれがタオだとまだ知らない。
翌日、連中がタオにもう一度車を盗めとそそのかすが、ウォルトは彼らをおっぱらう。
また、黒人連中にタオの姉、スーが襲われそうになったのを助ける。
このとき、黒人を指ピストルで撃つ真似をし、刃向って来そうになると本当に銃を取り出して追い払う。

これらのことで、近所のアジア人からも尊敬され、隣と次第に打ち解けるようになる。
また、タオが車を盗もうとしたお詫びにと、ウォルトの手伝いをするうち、アメリカ人社会の付き合い方を教えたり、
仕事を世話したりするようになる。

しかし、例の連中はタオに付きまとい、ウォルトが貸した道具を壊し、根性焼きを仕掛ける。
怒ったウォルトは、連中の家へ行き、一人残った仲間をぶちのめし、タオに手を出すなと告げて去る。

しかし、これは連中の暴行の引き金を引いただけだった。
連中はタオの家にマシンガンを乱射し、スーを暴行する。

警察が来ても仕返しを恐れてか、誰も口を割らない。

怒り狂うウォルトだが、はやるタオをなだめ、夕方に仕返しに行こうという。
その間散髪に行き、あれだけ嫌がっていた懺悔に行き、自分から掛けることのなかった息子へ電話し、身支度を整え、
タオに武器を見せるふりをして地下室に閉じ込め、老犬デイジーを隣家に預け、そして、連中の家へ一人で向かう。

スーにタオの居場所を知らせてから、連中の家の前に立ったウォルトは、指ピストルで撃つ真似をした後、
煙草に火をつけると言って懐に手を入れる。

銃だ、と思った連中の一斉射撃を受けたウォルトはその場に倒れ、帰らぬ人となる。
連中は逮捕され、丸腰でライターを取り出そうとして撃たれた様子を見ていた多くの近所の人によって長期刑となるだろう。

ウォルトの葬儀、そして遺言。
息子家族の思惑と違い、家は教会に寄託、グラン・トリノはタオに譲ることになり、
タオはウォルトの愛犬だったディジーとともにグラン・トリノを駆って町を走るのだった。

***

けっしてすっきりするエンディングではない。
それが、クリント・イーストウッド流か。

結末はある意味とても日本的。
従来のハリウッド映画なら、怒りにまかせて連中を皆殺しにしておしまい、てなところだろうが、
最初にタオを追い払った時に、衰えを自覚している。
さらに病気となった自分の死期を悟って、考え抜いた末のやり方だったように思える。

同じ自己犠牲といっても「7つの贈り物」とは違い、多くの日本人に哀しみを与え、共感を得られるだろう。

エンディングに流れる曲は最初クリント・イーストウッドによる歌、そして途中からジェイミー・カラムになる。
尚、曲には、ジェイミー・カラムのほか、クリント・イーストウッドと映画の音楽を担当する息子のカイル・イーストウッドも手も入っている。

グラン・トリノは、Grand Trinoではなく、Gran Trinoだった。

 

 

 おっぱいバレー   

実話をもとにしたらしい小説の映画化。

綾瀬はるか、青木崇高、仲村トオル、石田卓也、市毛良枝。

***

冒頭はそろそろ色気づいたころの中学生たちが、自転車に乗って手のひらに風を受け、疑似「おっぱい」の感触を得ようとしているところ。
時速80キロ以上でないとだめらしいと聞いて、急坂で試し崖から落ちてけがをするが、所期の目的は果たせたと思っている時節。

1979年、北九州は戸畑三中に新任講師、寺嶋美香子(綾瀬はるか)がやってきた。
朝礼の挨拶で高村光太郎の「道程」を連呼、「どうてい」に過剰反応した生徒が鼻血を出す騒ぎに。

そのあと、教頭(光石研)の「バレー部の顧問、やってみませんか。」に軽く二つ返事の寺嶋だった。

同僚の堀内(青木崇高)の心配をよそに、意気揚々と男子バレー部の部室に行く。
男子バレー部は5人、隣の女子バレー部の部室の壁に穴をあけて覗こうとするレベルで、練習などどこ吹く風。

張り切る寺島は、女子バレー部との練習試合を申し入れる。
5人しかいないから試合はできないと断る男子たち、そこへ新入生、城良樹(橘義尋)が入部を希望してきて6人が揃う。
しかし、試合は0−15のぼろ負け、怒り狂い退部する城。
寺島は残った5人を叱咤するが、怖い先輩(石田卓也)にいびられてバレーの練習はしたことがないという。

寺島は、5人にやる気を出させるつもりでやり取りするうち、地区の大会で1勝すれば「おっぱいを見せる」約束をしたことになってしまう。
実は寺島には苦い経験があった。前任の学校で、生徒たちと軽い気持ちでコンサートに一緒に行こうと約束したのだ。
受験を控えた生徒とコンサートに行くなどと、上司にとがめられ、自分が言い出したことではないと言ってしまったのだ。
当然生徒からは総スカン、嘘つき先生として信頼を失っていた。

「なんでもやる」と言ったのに「それはできない」とも言えず、勝っては欲しいがおっぱいは見せられない寺島。
逆に生徒たちはやる気満々、練習に力が入る。

しかし、5人ではどうしようもない。
寺島はキャプテン平田(木村遼希)と城に部に戻ってもらうよう説得に行く。
しかし、城の父、和樹(仲村トオル)は息子の退部を知らなかった。
自身は学生、実業団と数々の活躍を収め、けがで現役引退、息子のバレー部入部を素直に喜ぶ和樹、とても本当のことは言えない。

手分けして城を探すが、ゲーセンに入り浸りバレーに興味はないと言ってのける。
しかし、不良仲間と一緒に蹴飛ばしたバイクが、なんとあの先輩のバイクだった。
駅構内に連れ込まれ、殴られる城。仲間5人は決死の覚悟で先輩に向かっていき、全員ぼこぼこにされるが結束は強まる。
城にもおっぱいの秘密は明かされ、6人一丸となって練習に励む。

そして大会の日、初戦はなんと相手チームの人数がそろわず不戦勝。
念願の1勝だと喜ぶ部員達、不戦勝は駄目だという寺島。
しかし、城がちゃんと勝ってすっきりおっぱいを見ようと提案、全員が賛同し、2回戦の強豪校との対戦に望む。

次戦まで2週間、城の父の会社の同僚も練習指導に駆けつけ、練習に励む。
そんな日、先輩が仕返しにやってきた。やむなく、おっぱいの秘密を明かす6人。
先輩は怒るどころか、感動して6人を許すのだった。
しかし、それを部室のそばで聞いてたしまった幼馴染の女子生徒が、友人に喋ったことから、校内の噂になる。

寺島と部員達は教頭と校長に呼ばれ、事の真偽を問われる。
部員達は自分たちの勝手な想像ですと言うが、寺島は嘘はつけないと正直に話す。

結果は、バレー部への干渉禁止、そして免職へ。
2回戦、代行の堀内を監督にするも、意気消沈したチームは、第1セットを完封負け。
寺島は中学校時代の恩師の墓へ失敗を報告に行き、その妻(市毛良枝)から当時の真相を聞き「自分たちの生徒」のために体育館に走る。

寺島の登場に奮起した部員達は、なんと第2セットを15−7で取り返す。
勝利が見えたか、と思ったその時、相手チームはメンバー総とっかえ、一軍を出してくる。
格段に強いレギュラーの前に、4点取るのがやっと、あっさりと負ける。

失意の寺嶋の前に城の父が現れ、寺嶋の約束を褒めたたえる。
城の父に諭されて、寺嶋はロッカーに全員を励ましに行く。
部員達は、寺嶋の胸に飛び込んでむせび泣くのだった。

首にはなったものの教師は辞めないと言い切る寺島。
学校を去るその日、部員達はおっぱいを見損なったものの、胸の感触に感激したとの手紙をよこしていた。
そして、車窓から見える部員達、激しく手を振り別れを惜しむ。
一生の思い出を胸に。

***

ベタだけど、お笑い一辺倒ではなく、若い教師の成長物語である。
実話が元になっているものの、映画では時代と舞台は変えてあるそうだ。
結局、首になってしまうのだが、今ならどうなんだろう、学校よりもマスコミが騒ぐかな。

***

1970年代のポップスが流れ、当時の面影のある街が舞台。
私をびっくりさせたのは町の風情ではなく、登場する車たち。
ホンダZ、ダルマセリカGT、117クーペははっきり確認したが、後はよくわからなかった。
ギャランFTO、ベレG、ハコスカもあったかな、ギャランGTOも出ていたような気が。
もちろん時代考証はしてあるだろうが、絶対数や比率においてそんなに多い車ではなかったのに、、、、。
普通の車でもグロリアとかクラウンとか、とにかく、30年ほど前の車がどんどん出て来て、
ストーリーを追うと車を見切る暇がなかった。

 

 

 60歳のラブレター   

3組の男女が織りなす愛情劇。

中村雅俊、原田美枝子、イッセー尾形、綾戸智恵、井上順、戸田恵子。

***

3組の熟年男女のドラマ。

大手建設会社の常務を60歳で辞めた橘孝平(中村雅俊)と妻、ちひろ(原田美枝子)、
橘家の近くの鮮魚店、魚松のオヤジ、松山正彦(イッセー尾形)と正江(綾戸智恵)、
正彦が通う病院の担当医、佐伯静雄(井上順)と佐伯が医学用語の監修をする翻訳家、長谷部麗子(戸田恵子)。

佐伯静雄の勤める病院は、橘夫妻の娘マキ(星野真里)も出産のために入院する。

***

冒頭は東京の俯瞰。
首都高を1台のトラックが行く。
降りるタイミングを失い、あちこちをうろうろしている様子。
運転する若者(石田卓也)が何者なのかは後で明かされる。

都内の大手建設会社に勤める橘孝平(中村雅俊)やり手で、社長の妻と結婚し、会社を盛り立ててきた。
常務なので60歳定年ではないはずだが、会社に残ることを拒み、60歳の誕生日で定年退職する。

妻、ちひろ(原田美枝子)は、近所の魚屋、魚松で主人夫妻(イッセー尾形と綾戸智恵)と会話を交わしながら、
退職祝いの鯛の刺身を作ってもらう。

橘家には、娘マキ(星野真理)が大きいおなかを抱え、同棲中の八木沼(内田朝陽)と退職祝いのシャンパンをもってやって来た。

しかし、孝平の向う先は愛妻の住む家ではなく、愛人根本夏美(原沙知絵)の住む高層マンションだった。
やがて遅くなり帰宅する孝平にあきれ果てたマキはそそくさと帰宅する。
追いかけるようにちひろが、孝平と離婚することになったと告げる。
「よかったね」と答えるマキ、孝平の浮気は橘家では半ば公然だった。

孝平は根本の会社の共同経営者となる。
本人の意識するしないにかかわらず、大企業での経験をもとに自分が仕切ろうとする孝平。
しかし自分の意識とは裏腹に社での動きは空回りするのだった。

魚松の正彦は、妻、正江を伴って病院に診察に来ていた。
担当医の佐伯静雄(井上順)は物静かな医師、糖尿の正彦に優しく生活指導をする。

正江とともにウォーキングをこなす正彦。
かつてロックバンドにあこがれ、アマチュアながらバンドを組んでファンも付き、その一人が今の妻だ。
ウォーキングの途中の中古楽器店で、憧れのアコギ、マーチンを見つけるが27万円では手が出ない。

静雄は、ベン・ケーシーにあこがれて医者を目指した。実直で研究熱心だが、成功したとは言い難い。
時々、翻訳の手伝いなどのアルバイトもしている。

長谷部麗子(戸田恵子)は翻訳家、医療小説の監修に静雄の手を借りている。
今日も喫茶店で仕事中、判らない医学用語に静雄の手を借りていた。
静雄が時間を気にしているのに気づいた麗子は、「奥さんとデートですか。」とからかい、仕事を早めに切り上げた。

実は、静雄は中3の娘、理花(金澤美穂)と2人暮らし、時間を気にしていたのは、娘と妻の墓参りに行くためだった。

社内会議で、頭ごなしに若手の意見を否定する孝平。
自分が話をつけるとばかりに旧知の取引先に話を持っていくが、けんもほろろ、
疲れて帰った社では、若手のプレゼンが採用されたとの報告。
一応は喜んで見せる孝平だが、尚も自分が仕切ろうとする。
夏美に若手に任せるといわれ、ますます居場所を失う。

一人暮らしを持て余すちひろ、今まで就職の経験はないが、思い切って家政婦の仕事を始める。
その勤め先は、なんと長谷部麗子の家。
最初は邪険にされながらも、料理好きのちひろの細やかな気遣いに次第に打ち解けていく。
それまでおしゃれも冒険もしたことのないちひろ、麗子に誘われるままに、おしゃれし、パーティに出かけていく。
そこで出会った推理作家麻生(石黒賢)は、ちひろにアプローチする。

相変わらずウォーキングと病院通いを続ける正彦だが、正江のフォローも厳しく順調に回復する。
しかし、病室を出ようとしてドアにぶつかる正江を見た静雄は、突然正江を診断し始める。
しばらくして脳外科医を呼び、診察の結果、右脳に腫瘍を発見、一刻も早く手術する必要があるという。
見込みは五分五分といわれ、憤慨する正彦をよそに、手術を決断する正江。
手術前に言い残した言葉は「押し入れの戸を直しておいてくれ」だった。

一人暮らしでろくに料理もできない孝平。
入院中のマキの出産の連絡を受けて病院に駆けつける。
そこには八木沼と、元妻ちひろも駆けつけてきた。
八木沼の「マキさんに似てますか。」の問いに「ああ」と答える孝平。
しかし、ちひろは「仕事が忙しく、マキを見に来たのは3週間後だった」とばらす。

ちひろの変貌ぶりに驚く孝平、マキに言われてちひろを送るが、食事をしていないことがばれ、支度をしてもらう。
そこで初めて妻のありがたみが身にしみる孝平。
しかし、取引先が仕事を断ってきたとの連絡が入り、元の会社の圧力だと思い、重役会議に乗り込んでいく。
そこで切った啖呵のおかげで仕事は戻ってくるが、孝平に夏美の会社に居場所はない。

行くあてもなくちひろの家に戻ると、麻生の車に送られてちひろが帰ってくる。
麻生は、ひちろを北海道に誘い、孝平との約束のラベンダーを見に行こうという。
麻生の去った後、孝平はろくでなしだと罵るが、ちひろにろくでなしはお前だと切り返される。

立つ瀬のなくなった孝平は、ひとりで夜の病院に孫の顔を見に行く。

一方で、静雄に惹かれ始めた麗子は、理花と静雄を自宅での食事に招待するが、理花に悪態をつかれる。
一旦は帰る理花、当直で病院へ行った静雄と入れ替わってまた麗子を訪ねる。
父をもてあそばないでと訴える理花に、麗子はそんな余裕はないと開き直るが、もう疲れたので諦めると言う。

正江の手術は成功したが、麻酔ならなかなか覚めない。
正彦は押し入れの戸を直そうとするが壊れていない。
しかし、その奥に真新しいギターケースを発見、中にはあのマーチンと正江からのメッセージ。

孫の顔を見ていた孝平に、トラックの男が訪ねてくる。
30年前、新婚旅行の四国で、道に迷ってたまたま立ち寄った写真館で、記念撮影した写真を約束通り届けに来たという。
そしてその時書かれたちひろの未来の夫への手紙。
手紙を読んだ孝平は初めて妻の心根を知る。

ギターを手に病院へ行き、真夜中の病室でミシェルを一心に弾く正彦。
止めようとする看護婦を制止する当直の静雄。
その姿を見て、感極まった孝平は、八木沼のアパートへ走っていき、カーテンをキャンバスにしてラベンダーの絵を描き始める。

翌朝、亡き妻の墓参りをする静雄に理花が手紙を渡す。
それは、翻訳家である麗子に宛てた静雄の気持ちをつづった英文だった。
その英文に寄せた静雄の気持ちを聞かされ感激の涙を流す麗子。

病室で徹夜でミシェルを歌い続ける正彦、目が覚めた正江は「下手になった」と呟く。

北海道のラベンダー畑は、すでに収穫時期が終わっていた。
孝平は、夏美と決別し、先回りをしてちひろに手紙を渡す。
憤慨して麻生とその場を去るちひろだったが、孝平の書いたカーテン地のラベンダー畑を見て、また戻ってくるのだった。

***

よく練られたストーリーでした。
3組の男女はいずれもハッピーエンド、でも、自分の中では孝平はダメになったほうがよかった。

「前の会社(職場)なら、ああだった、こうだった。」力のあるビジネスマンとしてはありがちで、でも言ってはいけない言葉です。
自分の時代ではなくなって、周りから疎んじられていることに気づかず、まだやる気だけはムンムンなのに空回り。
本当なら辛いところで、それで愛人も元妻も失ったまま、もうとことんダメ、みたいな。そんなエンディングがよかったなぁ。

舞台設定は江東区。
下町で古くからの商店街も多くありながら、新興住宅街もたくさんある。
しかし、それらは多くが超高層高級マンションで、「山の手」の一軒家の高級住宅街はあまりありません。
そこがちょっとだけ違和感ですが、物語の対比としてはよく出来てました。

 

 

 マックス・ペイン   

マーク・ウォルバーグ、ミラ・クニス、ボー・ブリッジス、クリス・"リュダクリス"・ブリッジス、
オルガ・キュリレンコ、アマウリー・ノラスコ。

マックス・ペインは、最大級の痛みではなく(英語的にはその洒落かもしれないが)主人公の名前。

***

冒頭は、氷の浮かぶ川に落ちたマックス・ペイン(マーク・ウォルバーグ)。
もがき、苦しみ、やがて沈んでいく。

場面は一週間前にさかのぼる。
未解決事件係のマックス・ペイン刑事は、自分の妻ミシェル殺しの犯人を追っていた。
かつての情報屋から容疑者に近い人物の情報を得ようとナイトクラブに行き、ナターシャ(オルガ・キュリレンコ)と出会う。
そこに姉のモナ(ミラ・クニス)が乗り込んできて、ナターシャにドラッグをやめるように言うが、
ナターシャはマックス・ペインをだしにして姉を追い払う。

ナターシャはマックスの家に行くが、追い返され、帰る途中に怪しい羽根に襲われ、惨殺される。

翌日、ナターシャの殺害現場にマックスの身分証があった。
元同僚のアレックスは、捜査するうち、ナターシャの腕の刺青と、ミシェル殺しの一味の刺青が同じであることに気づくが、
マックスにそれを告げに行き、何者かに殺されてしまう。

ナターシャとアレックスの殺人犯だと疑われるマックス、内務捜査課のジム・ブラヴーラ(クリス・ブリッジス)もそう疑っている。
かつてのマックスの上司でミシェルの務めていた会社エシール社の役員であるBB(ボー・ブリッジス)は、
ジムにマックスの経験した壮絶な過去、つまりは3人組の強盗に妻子を殺され、2人は射殺したものの1人は逃し、
未解決事件係でいまだにそれを調べていること、エシール社でのミシェルの元上司を疑っていることなどを話す。

はたして、マックスはエシール社に行き、その元上司、ジェイソン・コルビンを襲い、証言を引き出そうとするが、
武装警察官に突入され、ジェイソンは射殺される。
警官を撃ちながら何とか逃れたマックス、一度はマックスをナターシャの敵と考えていたモナを味方にして、犯人探しを続ける。

ジェイソンの持っていた資料にはビデオもあり、バルキュア(バルキュリー=ワルキューレにちなんだ名前)についても語られていた。
それは軍用の戦闘意欲増強剤であり、恐怖心をなくし、闘争心を高めるものであること。
強くなる者もあるが、幻覚に襲われる者もあること、常習性が強いこと、などが語られる
副作用に危機を感じたエシール社は、バルキュアの開発を中止したが、中毒患者に研究者が殺害されるようになったとも語られた。

ビデオにも出て来たジャック・ルピーノ(アマウリー・ノラスコ)がミシェルを殺害したと確信したマックスは、
単身、ジャックのアジトに乗り込み、手下を射殺、ジャックと一騎討ちになる。
あわや、というとき、BBが乗り込んできて、ジャックを射殺、マックスを助けたかにみえたが、
実は事件の黒幕はBB、バルキュアを廃棄せず横流ししていることに気づいたミシェルを殺害させたというのだ。

マックスをドラッグ中毒の自殺に見せかけようとしたBBだが、マックスは逃れて川に飛び込む。

そして、冒頭のシーンにつながる。
意識を失いかけたマックスだが、頭の中のミシェルの声で気づき、何とか這い上がり、自身でバルキュアを飲む。
そして激しい副作用と、強大な攻撃力、エシール社に乗り込んで、傷つきながらついにBBと対決し、これを倒す。

バラヴーラはFBIと組んで署内のBBと通じている連中を排除、マックスを救出する。

物語は一旦ここで終るが、
マックスの傷が癒え、再びいつもの店に顔を出すマックスに、エシール社のニュースを見せるモナ。
そこには、本当の黒幕、女社長が満面の笑みをたたえた写真が載っていた。

***

うーん、どうでしょう。
SF版「フェイク・シティ」
撃ち合いの映像はすごいし、CGも面白い。
「マトリックス張り」の宣伝は伊達じゃないし、幻覚と現実の入り混じった表現も面白い。

それでもなお、安っぽい感じは否めない。
筋書きは端から読めているし、その点も「フェイク・シティ」に通じるものがある。

なお、エンドロールの後にワンシーン。
席をお立ちにならないほうが賢明かと。

 

 

 鴨川ホルモー    

山田孝之、栗山千明、芦名星、浜田岳、荒川良々、石橋蓮司、石田卓也。

第1回沖縄国際映画祭グランプリ「ゴールデン・シーサー賞」受賞作品。

万城目学(まきめまなぶ)原作の青春コメディ小説の映画化。

なお、作者の万城目学は「まきめ」と読むが、「ウルトラQ」の万城目淳は「まんじょうめ」、
「20世紀少年」の「まんじょうめ」は「万丈目」と書く。

***

場所は京都。
二浪して念願の京都大学に入学した阿倍明(山田孝之)、そろそろやる気をなくして五月病。
唯一の友人は帰国子女の高村(浜田岳)。二人で葵祭のバイトの帰り、「君たち、京大生?」と語りかける男女と出会う。
「今度サークルの新歓コンパがあるんで来ませんか。」「何のサークルですか?」「ごく普通の、どこにでもある普通のサークルです。」

場所は三条木屋町の「べろべろばあ」。
店長(石橋蓮司)は、後に明らかになるが、このサークルのOB。
会長の菅原(荒川良々)や先輩の手で、新入生が多く集められ、「普通のサークル」の勧誘が行われた。
集まった中には、大木凡人そっくりの理学部、楠木(栗山千明)
自意識過剰で高慢ちきの法学部、芦屋(石田卓也)
遅れてきて、阿倍がその美しい鼻筋に一目惚れした早良京子(芦名星)

サークルの名前は「京都大学青竜会」、京都の四方に立地する四大学、
すなわち東の京都大学、西の立命館大学、南の龍谷大学、そして、京都産業大学が対抗戦を行うサークルだと聞かされる。

阿倍は乗り気がなく、サークルに入る気はなかったが、コンパの帰りに偶然、早良と再会。
早良がサークルに入る気だと知って、高村を誘ってサークルに入る。

入会直後場だらだら過ごしていた阿倍らだったが、サークルが式神と呼ばれる小鬼を使って行う競技「ホルモー」だと知らされる。
阿倍らは「鬼」の存在は信じないが、「ホルモー」に必要な鬼語の練習には参加する。

やがて青竜会はその本性を現す。

祇園祭の日、菅原らは下級生を伴って、四条烏丸交差点に向かう。
そこでは、「京都大学青竜会」「龍谷大学フェニックス」「立命館大学白虎隊」「京都産業大学玄武組」が対峙し、
「四条烏丸交差点の会」が行われた。

続いて秋には、京大近くの吉田神社での「代替わりの儀式」
女人禁制の「レナウン娘踊り」の厳正なる儀式で、神々の許しを得た阿倍らは第五百代青竜会として練習に励む。
このころには、阿倍らにも鬼の姿が見え、鬼語を駆使してそれらを操ることができるようになる。

四百九十九代の先輩たちによって、第五百代のホルモーは「鴨川ホルモー」と名づけられる。
その初戦、KBSの中継軽トラの見守る中、青竜会と白虎隊の対戦がはじまった。

ネットで戦いを見守る菅原と店長、芦屋の目覚ましい活躍によって10連敗中の京大は優勢に戦いを進めるが、
高村が攻撃を受けてパニくり、おしっこをチビッてしまうほどビビり、ついに降参の掛け声である「ホルモー」と叫ぶ。
高村をかばう阿倍は芦屋と殴り合いになり、サークルから一時遠ざかる。

心配する菅原と楠木に頼まれ、高村を寮に見舞いに行くと、そこにはざんばら髪の高村の姿が。
あのあと、突然月代を剃り、ちょんまげが結いたくなったらしい。

しかし、高村から芦屋と早良が付き合っていると聞かされた阿倍は、ショックでサークルに行けなくなる。
菅原からサークルを抜けると鬼に一生付きまとわれると聞かされた阿倍は第17条の適用を宣言する。

第17条とは、チーム存続の危機に際して、チームを5人ずつの2チームに分割するというものだった。
阿倍は自分を嫌っていると思っていた楠木の働きもあって、チームの分割には成功するが、
その宣言に怒った神々は、京都上空に巨大なオニの黒雲を発し、阿倍らに圧力をかける。

阿倍らは、神々の怒りを鎮めるため、青竜会の2チームで対抗戦を行うと言う。

そしてついに、対抗戦の時。
リベンジに燃える高村、芦屋を倒したい阿倍、早良の自己チューを暴いて叩きのめしたい楠木。
芦屋の暴走に辟易の三好兄弟(斉藤祥太、慶太)、それぞれも思惑を秘めた戦いは始まった。

しかし、高村はあっさり降参。
救護班から攻撃に転じた楠木は早良をとっちめ、阿倍の支援に回る。
楠木の援護で攻勢に転じる阿倍。
全滅寸前の芦屋はなかなか降参しない。
ついに阿倍が芦屋を直接倒して「ホルモー」を宣言させ、オニの黒雲は爆発、雲散霧消するが、
対抗戦は、試合中に敵に触れた阿倍の負けとなる。

このあと、阿倍は芦屋と和解。
時は流れ、阿倍達は3回生に。
「ごく普通のどこにでもあるサークル」の新歓コンペに新入生を誘うのだった。

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物語はものすごくでたらめだが、ものすごく自然で違和感なく、受け入れることができた。
会話も態度も大学生ならかくあらんと思えるものだった。
全ての人が抱腹絶倒とはいかないまでも、笑うこと必至。

コメディ万歳。

***

原作に鬼語はごく一部しか出てこないらしい。

映画では決戦の場で、鬼を操るために数々の鬼語がつかわれている。
ほとんどの鬼語は、助監督の作、そのポーズの振り付けはパパイヤ鈴木(作中にも登場)が担当している。

クライマックスでの栗山千明の「ゲロンチョリー」はすごく印象的でした。

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