2008/9-12 鑑賞
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この期間に鑑賞した映画の本数  
9月:7(5)本、10月:8(5)本、11月:4(3)本、12月:5(3)本、計:24(16)本 、邦画[8]本。 ( )は試写会
今年の累計 [ ]は邦画
1-4月期:19(12)[2]本、5-8月期:29(24)[9]本、9-12月期:24(16)[8]本、年計:72(52)[19]本  
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 アンダーカヴァー  

ホアキン・フェニックス、マーク・ウォルバーグ、ロバート・デュバル、エバ・メンデス 

***

1988年、ニューヨーク、ブライトン地区。
ロバート・グリーン(ホアキン・フェニックス)は、ロシア人マフィア、マラット・バセーエフがオーナーの
ナイトクラブ「エル・カリブ」のマネジャーだった。
彼の父(ロバート・デュバル)は警視、兄、ジョセフ・グリジンスキー(マーク・ウォルバーグ)も警察官。

ある夜、ロバート(ボビー)は、ジョセフの昇進祝いに呼ばれ、兄と父から「エル・カリブ」の常連で、
マラットの甥のバディム・ニジンスキーを麻薬取締法違反で逮捕する予定であると聞かされる。

果たして、次の火曜日、「エル・カリブ」に捜査が入り、ロシアン・マフィアの下っ端と、ボビーが逮捕されるが、
ニジンスキーは逮捕できなかった。

ニジンスキーは、報復のためにジョセフを襲い、ジョセフは瀕死の重傷を負う。

ニジンスキーは、ボビーが警察一家であることも知らず、ジョセフに続いて警視も狙うとボビーに告げ、
麻薬取り引きを手伝わないかと持ちかける。

マラットを慕うボビーだが、ニジンスキーとマラットの関係は薄いと見て、
ジョセフの仇打ちで、ニジンスキー逮捕に手を貸すことにする。

麻薬工場潜入に成功したボビーの協力で、ニジンスキー逮捕にこぎつけるが、ボビーも重傷を負う。

ボピーは裁判での証言に備えて、保護プログラムの傘下に入るが、ニジンスキーは仮病を使い脱獄に成功、
ボピーや恋人のアマダ(エバ・メンデス)への報復を開始、ついに父が凶弾に倒れる。

***

警察も人殺しもなんとも思わないロシア人マフィアにぎりぎりのところで対決していく警察官たち。
高名なおやじ、エリートの兄、ひねくれ者で道を踏み外した弟。
表面上はいがみ合いながらも、家族の絆は強かった。

***

全体に暗い。
勧善懲悪ではあるが、悪をやっつけて痛快、爽快といった展開ではない。

スプラッター映画ではないが、殺戮や血しぶきはリアリティがあるし、
カーチェイスも派手なだけのあり得ない展開ではなく、シブい演出だ。

原題は「We own the night」

 

 

 キツネと私の12か月    

「皇帝ペンギン」のリュック・ジャケ監督最新作。

登場人物は、10歳の少女リラ、ただ一人。
いや、最後に大人になったリラとその小さい息子が出てくるので、実質は3人か。

リラのママやパパも出てくるが遠景やら声だけやらで、ハッキリとはしない。

相手役は、キツネのティトゥ、その子供たち、人間ではないので登場動物というところか。

そして、森の動物たち、オオカミ、フクロウ、ヤマネコ、トナカイ、ヒグマ、ネズミ、、、、、。

***

舞台はフランス南部の山間地。
10歳の少女リラは、ある日、学校帰りに森の中でキツネを見かける。
キツネは狩りに夢中でリラに気付かない。
リラはキツネに近づくが、気が付いたキツネは森の中に逃げていく。

それからキツネを懐かせようとするリラの毎日が始まる。

そこからはフランス山間部の自然と、動物たちがドキュメント風に展開される。
冬になり、リラは雪の中で転落して足を骨折する。

キツネたちは、冬の間もえさ探しに余念がないが、
自分たちもヤマネコ(ヨーロッパオオヤマネコ)やオオカミに追われたりする。

春になり、キツネの恋の季節、リラの足も直り、再びキツネを探す。
リラは巣穴を見つけるが、キツネは子ぎつねを連れて巣穴を引っ越してしまう。

やがて、夏休みになり、リラのやるパンや鶏肉などのおかげで、徐々にキツネの警戒も薄れる。
ある日、キツネの後をついていったリラは鍾乳洞に紛れ込み、
そこからなんとか出られたものの一夜を森で過ごす。

その一件の後、リラはキツネを懐かせることに成功し、ティトゥと名づける。
リラはティトゥを徐々に自分の家に近づけ、スカーフで首輪をし、ひもで縛ろうとする。

そして、ついにティトゥを自分の部屋に引き入れるが、ティトゥは嫌がって暴れ、悲劇が訪れる。

***

ドキュメント仕立て。
フランス南部の自然、季節や風景や動物たちの紹介映画とでもいおうか。
それに少女とキツネのふれあいを絡めて見せた、と言うところか。

教訓は「手に取るな、やはり野に置け蓮華草」

 

 

 K−20 怪人二十面相・伝     

江戸川乱歩による「怪人二十面相」の映画化ではなく、
怪人二十面相の真相に迫る小説である北村想の「怪人二十面相・伝」の映画化。

金城武、松たか子、仲村トオル、國村隼、高島礼子、鹿賀丈史、要潤、増岡徹。

***

昭和16年12月、日本と米英との講和条約が結ばれ、第2次世界大戦が回避されたもう一つの世界。
首都東京は帝都と呼ばれ、貧富の格差が拡大、階層の固定化が進行していた社会。
そこには富裕層から金品を強奪し、貧困層に分け与える「怪人二十面相」と言う盗賊が存在していた。

怪人二十面相と対峙するのは名探偵明智小五郎。
小林芳雄(=小林少年、本郷奏多)を引き連れて事件現場に急行。
浪越警部(増岡徹)とともに捜査に当たる。

今回怪人二十面相が狙っているのはニコラ・ステラの発明である無線送電装置。
まずは模型が盗まれてしまった。

小林少年の調査によれば、この無線送電装置は、兵器としての流用が可能。
模型でも殺傷能力はあるくらいで、規模によれば核爆発並みの威力も出せるらしい。

一方、サーカス団の曲芸師、遠藤平吉は貧しい出で、団長の南部(小日向文世)らとともに暮らしていた。
そこへ、雑誌社の男性(加賀丈史)が現れ、多額の現金を餌に、
平吉に非公開の羽柴財閥の娘葉子(松たか子)と明智小五郎の婚約式の写真撮影を依頼する。

当日は、怪人二十面相が婚約式の会場に飾られた「バベルの塔」の模写を狙うとの予告が入っていた。

羽柴ビルの最上階で行われる婚約式、屋上から隠し撮りしようとする遠藤平吉は、
怪人二十面相と間違われて逮捕され、拷問の上、留置場に。
そこで初めて雑誌社の男性こそが二十面相で、平吉は嵌められたと知るのだった。

留置場から警務局による移送途中、サーカスで一緒だった源治(國村隼)らの策略で脱走に成功するも、
彼らを拒絶してサーカスに戻ろうとする平吉。
しかし、サーカス小屋は焼失、飼っていた鳩もすべて焼死。
平吉はシンスケ(今井悠貴)らを助けるため、ある決心をする。

そして平吉はそのトレーニング中、葉子からステラの装置のありかを聞き出そうとする二十面相と出会い、
葉子と知り合いになる。

葉子からステラの装置の危険性と二十面相が狙っていることを聞き、
平吉は葉子に協力してステラの装置の発見と破壊を目指すのだった。

***

日本映画もここまでやるぞって感じで、よく出来ていて感情移入もしやすい。

各俳優がとにかくうまい。
仲村トオルの憎々しさもいいし、本郷奏多(小林少年)もなかなかのものだ。

プププッとなるシーンも結構あり、感動させる、泣かせるシーンもしつこくなく、
適度な緩急となっている。

仕掛けも大掛かりで、ヤマカシ風のアクションもあり、見せ場には事欠かない。

鑑賞中、頭に浮かんだ映画は、「WWW(ワイルド・ワイルド・ウェスト)」と「スパイダーマン」。

 

 

 WALL・E ウォーリー    

ディズニー、PIXARの3DCGアニメ。

薄汚れて、廃棄物に覆われた地球。
地球に取り残されたごみ処理ロボット、WALL・Eは、毎日毎日ごみをキューブ状に圧縮しては積んでいく。
また、ゴミの中から珍しいものを見つけては自分のバッグにしまい、トレーラーに持って帰る。

街には、数多くのWALL・Eがいたようだが、今はみんな壊れてしまったのか、たった一人ぼっち。
夜はトレーラーでミュージカルのビデオを見て人恋しい様子を見せる。

ある日、ロケットがやってきて、おどろくWALL・Eをよそに、ピカピカのロボットを置いて去っていく。
そのピカピカのロボットは、優雅に飛び回り、あちこち調べて回る。
蔭から様子を見るWALL・Eの気配にレーザーガンを照射する気の強いところも見せる。

ロボットの後を付いて回るうちに、危険のないことを認知してもらい、そのロボットがイブだと知る。
WALL・Eは、毎夕刻に訪れる砂嵐からイブを守るためトレーラーに連れて行き、
次々と自分の宝物を見せる。

そして、古い皮靴に移し替えた一本の草を見せた時、イブの様子が激変、停止する。
何日かのち、ロケットが再びやってきて、動かないイブを取り込んで出発。
焦るWALL・Eは、ロケットにつかまってイブとともに大空へ。

やがて、ロケットは大型の母船AXIOMに到着。
WALL・Eは、イブを探してロケット内に潜入するが、そこには驚愕の世界が待っていた。

***

非常によく出来た作品。
ロボットの動きや「表情」で感情の起伏を表現し、それが十分こちらにも伝わってくる。
ストーリーは他愛もないと言えばそうだが、よくぞここまでの表現力を持たせたと感服。

そのまま、ロボットだけの世界でも面白かったが、後半出てくる人間とロボットの絡みも面白いし、
メリハリがあってよかった。

ビデオの中の人間だけがCGではないのも面白かった。

いろいろ書きたいことはあるのだが、予告以上のことは伏せておこう。
あっ、例によって吹き替え版では、全部ではないけどいろいろな表示が日本語になっている。

もうひとつだけ。
ウォーリーは「700年もの間、たった一人ぼっちで働き続けた」わけではない。
「700年間働き続けて、たった一人ぼっちになってしまった」のが正しい。

 

 

 トロピック・サンダー   

ベン・スティラー、ジャック・ブラック、ロバート・ダウニーJr、ブランドン・T・ジャクソン、
スティーブ・クーガン、トム・クルーズ、マシュー・マコノヒー。

***

映画に先立って、お下劣ワードの炭酸飲料のCMが流れる。
歌とダンスは、アルパ・チーノ(ブランドン・T・ジャクソン)。
次いで、映画の予告篇(特報版)が流れる。

タグ・スピードマン(ベン・スティラー)主演のアクション・ヒーローもの。
ジェフ・ポートニー(ジャック・ブラック)主演のオナラ満開、お下劣コメディ。
カーク・ラザラス(ロバート・ダウニーJr)と、トビー・マクガイアの神父の背徳もの。

そして、いよいよ、本編に入る。

ベトナム戦争で捕虜になり両手首を失いながらも救出されたフォーリーフ・タイバック(ニック・ノルト)、
彼自身が書いた伝記の映画化の撮影現場。

ベテラン俳優のわがままに監督のコックバーン(スティーブ・クーガン)は、手を焼いていた。
プロデューサーのグロスマン(トム・クルーズ)は激怒し、製作費をストップすると言い出す。

コックバーンは一計を案じ、前述の4人+ケビン・サンダスキー(ジェイ・バルチェル)を
東南アジアのジャングルに連れていく。
ジャングルにカメラと火薬などを仕掛け、ここで実録風に撮影するというのだ。

「では、史上最高の戦争映画を作ろう」と、カメラを片手に一歩踏み出したコックバーン。
その瞬間、地雷を踏んで、哀ればらばらに。

これはただ事ではないと焦る4人に、スピードマンは皆をびびらせるための監督の仕掛けだと告げる。
実はそこは、東南アジアの黄金の三角地帯、麻薬シンジケートの支配する地域だった。
何も知らずに、シンジケートの攻撃に空包で応戦する5人。

ジャングルの奥は、麻薬精製工場。
果たして5人は無事に、帰還できるだろうか。

***

スプラッタがメインではないが、グロいシーンがいくつか出てくる。

タグ・スピードマンのエージェント、リック・ぺックにマシュー・マコノヒー。
このほかにも、ジョン・ボイト、ジェイソン・ベイトマン、ミッキー・ルーニーなどが出ているし、
大勢の俳優がノンクレジットでカメオ出演。

トム・クルーズはパッと見、ポール・ジアマッティ。
すんげえ嫌なやつの役で、なかなか存在感があった。

 

 

 252 生存者あり    

伊藤英明、内野聖陽、香椎由宇、山田孝之、木村祐一、山本太郎、杉本哲太、MINJI、桜井幸子

***

地下鉄新橋駅構内、一心不乱に鉄パイプで鉄骨を叩き続ける男たち。木村祐一、山田孝之、伊藤英明。
・・ ・・・・・ ・・(2・5・2)
手の皮は剥け、握力は限界、絶望感が広がる。

物語は、2日ほど前に遡る。
その前に起こった地震のせいで、小笠原近海の海底からメタンハイドレードが噴出(注)、
海水温の異常な上昇とそれに伴う大暴風雨、超巨大台風が予測されていた。

篠原祐司(伊藤英明)は、BMW中古ディーラーに勤める元レスキュー隊員。
娘のしおり(大森絢音)と妻由美(桜井幸子)と銀座で会う約束をしていた。
夕方4時過ぎ、突然の雹(ヒョウ)で、歩行者が次々と倒れる。

予報官の海野(香椎由宇)の予測を超えて台風は大型化し、雹に続いて高潮が津波となって湾岸地域に。
真っ先に標的となったのは、お台場のフジテレビ。
続いて波は、新橋汐留地区に襲いかかる。

新橋駅地下にいた由美としおりは混乱で生き別れる。
駅は津波に呑まれ、次々と天井が崩落、水が怒涛となって駅構内に流れ込む。
新橋に着いた祐司もろとも大勢の人を流していく。

波が引いたあと、地下に生き残ったのは、祐司と斜に構えた重村(山田孝之)、
しおりを助け、大けがをした韓国女性キム(MINJI)、それに訳ありの関西人藤井(木村祐一)の5人。

祐司はレスキュー時代の経験を生かして、旧新橋駅ホームへ退避する。

崩落した新橋駅を捜索するのは、祐司の兄で隊長の静馬(内野聖陽)以下、隊員宮内(山本太郎)ほか。

暴風と大量の水で、崩壊寸前の旧新橋駅。
祐司たちの叩く、2・5・2のコードは、レスキュー隊に届くだろうか。
暴風雨の中、救出に避ける時間は台風の目が新橋を通過するわずか18分。
レスキュー隊は祐司たちを見つけることができるだろうか。

***

それぞれの人物設定がよく考えられている。
若手、先輩、ベテラン、上司の葛藤がよく表現されていて、演技もうまいので引き込まれる。

ただ、お涙ちょうだいのシーンは長い。
特に後半は、みなさん、ここは泣くところですよ、感動してください、と言わんばかりで、
全体のテンポを狂わせているのが惜しい。

それらのシーンは必要だったとは思うが、スローにしてあれだけしつこくする必要があったのか。
それに、最後は、みんな見てないで誰か手を貸してやれよ、おかしいだろ。

エンドロールも、その後の展開を流すのはいいとして、本編のシーンを入れる必要はあったのか。

 

 

 空へ −救いの翼−    

高山侑子、木村佳乃、三浦友和、中村雅俊、金子賢

***

冒頭は、どしゃ降りの神津島。
到底、ヘリなんか飛べないはずの悪天候の中を自衛隊の救難ヘリが飛んできて、病人を搬送していく。

母を見送る幼女は、成長して、女性初の空自、救難ヘリパイロットになっていた。
しかし、川島遥風(=はるか、高山侑子)はまだコーパイ(副操縦士)の訓練中。
今日も救難訓練で、ヘリを空中ワイヤーに引っ掛けそうになり、隊長の菊田2佐(三浦友和)や
飛行班長の鷹栖3佐(木村佳乃)にお目玉を食らうだけでなく、救難員からもブーイング。

その後は同僚と2台のヘリでいろいろな救難活動をこなす。
あるとき、同僚のヘリが風にあおられて、救難員が大けがをする。
それぞれが自分のせいだと落ち込むパイロット、整備員、救助員。

そんなみんなを慰めてくれたのが、戦闘機乗りの横須賀1尉(金子賢)で、
後に、遥風の親友で整備士の勝沼(鈴木聖奈)と婚約する。

ある日、貨物船火災に2台のヘリで出動、無事貨物船の乗組員を救助するが、
遥風のヘリのパイロット織田1尉(井坂俊哉)は右目を負傷する。
直後に、F−15横須賀1尉遭難の連絡が入る。

ヘリのパイロットは負傷、しかも低温で横須賀1尉救出の許容時間は限られるうえに、
現場海域は遠く、燃料の残量はぎりぎり。
遥風、菊田隊長は厳しい決断を迫られる。

***

せっかく空自全面協力の映画なのに、 これじゃできの悪いリクルート・ビデオ。

みんなアマちゃんで軟弱だし、ちょっとのことでぐじぐじいじけちゃって、
「お前なんか、辞めちまえ!」と言いたくなりました。

危機感の煽り方も弱く、ハラハラドキドキ感が薄い。
音楽もありきたりで、ここはドキドキシーン、ここは感動シーン、と押しつけがましい感がぷんぷん。

奇異に感じたのは、声だけのスナックのママ、顔を出さない親父さん。 とにかく不自然だった。

 

 

 

 ハッピー・フライト   

羽田発ホノルル行、全日空1980便、ボーイング747。

機長昇格試験の完了間近の副操縦士鈴木和博(田辺誠一)と、
国際線初搭乗の新米CA斉藤悦子(綾瀬はるか)を中心とした群像劇。

***

冒頭は、機長役の鈴木(田辺誠一)が離陸直後、速度計の異常に続いての異常で速度の低下、
いろいろと操作し、機体の立て直しを図るものの、高度を落とし、ついには海水面に激突!
と、フライト・シミュレーターでの失敗のシーンから。

一方、新米CAの斉藤悦子(綾瀬はるか)は、初国際線搭乗のCA仲間と空港に向かうところ。
斉藤の乗る便は、厳しいことで有名な山崎麗子チーフパーサー(寺島しのぶ)。
いきなりの遅刻でお目玉を食らうし、怖い先輩(吹石一恵)にも睨まれる。

鈴木和博は、機長昇格試験最後のOJTフライトだった。
簡単にOKをくれることで有名な小日向文世(役名失念)が風邪で、急きょ原田(時任三郎)に変更となり、
波乱含みで物語がスタートする。

1本のフライトには、操縦士とCAがいればいいわけではない。
清掃、給油、そして整備。

空港周辺の鳥を追い払うバード・パトロール(ベンガル)。

チェックイン、ゲート業務などを行うグラウンドスタッフ(田山涼成、田畑智子)。

いよいよ飛ぶ段になれば、飛行機の誘導、離着陸の許可を与える管制官。
運行状況監視、天候チェックやフライトプランを決めるディスパッチャー(岸辺一徳、肘井美佳)
これらの人々が協力してフライトを支えている。

中には、空港オタク、飛行機マニアも空港やその周辺に数多くいて、彼らの存在も大きな意味を持ってくる。

そして、ご推察の通りの飛行機嫌い、わがまま言い邦題し放題の乗客に振り回されながら、CAの奮闘は続く。

右側のピトー管(空気圧で速度を測る装置)に故障を抱えながら、何とか時間どおりにテイクオフ。
離陸直後に機体前方左側面にカモメのバード・ストライクを受けるが、特に支障なし。

機内ではいろいろドタバタがあったが、フライトはおおむね順調に推移。
しかし、離陸2時間ほどで速度計がダウンし、関連する計器も異常を示し、機は突然の緊急事態に。

ホノルルまでの半分より羽田に近い位置。
引き返しを決断するが、羽田近辺は台風の接近で暴風雨状態。

果たして、無事に帰着できるだろうか。

***

大したひねりはないが、テンポ良く進行し、次々と異常事態、緊急事態と、思わぬ展開をするので、
最初から最後まで飽きずに見れる。

しかも、機内の様子は実機を使っており、整備場や空港内も変な違和感がなく、現実味たっぷりだった。

乗客に笹野高史。綾瀬はるかの父親役で柄本明、空港内で焦る乗客に竹中直人など、多数出演。
竹中直人は「20世紀少年」より短い出演。

 

 

 バンク・ジョブ   

ジェイソン・ステイサム、サフロン・バロウズ、スティーヴン・キャンベル・ムーア、
ダニエル・メイズ、 リチャード・リンターン 。

***

チラシやネットでは、銀行強盗によって暴かれそうになった「秘密」を隠しているが、
映画では冒頭のシーンでそれが明らかにされている。

1970年ころのカリブ海かどっか(字幕を見ませんでした)。
海で戯れ、ベッドでの情交の男女。
その中の一人は、王室のマーガレット王女だった。

これを蔭から盗み撮りする男がいた。

その後、この写真をタネにイギリス当局を脅し、逮捕を免れているマイケル・マリックは、
マルコムXを気取り、マイケルXと自称する黒人活動家だが、実はヤクの売人で暗黒街の顔役。

エロビデオやストリップバーを経営して、悪徳警官に賄賂を贈って逮捕を免れている、ボーゲル。
賄賂の明細を元帳に克明に記録していた。

政府高官やセレブを客として娼館を営み、その痴態を盗撮しているオーナーのソニア・バーン。

これらの悪役をまず覚えていてほしい。

これら悪役から賄賂を受け取っている悪徳警官が警察内部に大勢いるが、清廉潔白な警官ももちろんいる。

対するイギリス当局は、情報局のMI5とMI6。
あらゆる手段を講じ、秘密裏にマイケルXの持つ写真を奪い取り、葬り去ることを画策している。

さて、物語の背景が明らかになったところで、映画の本筋に入ろう。

***

テリー・レザー(ジェイソン・ステイサム)は、中古車ディーラーのオーナー。
店は苦しく、悪徳高利貸しからの借金が返済できないでいた。

そんなある日、テリーの元カノのマルティーヌ(サフロン・バロウズ)が、一獲千金のネタを持ち込む。
ロイズ銀行が、セキュリティ装置の更新のため、一週間ほど警報が停まるので、これを襲おうと言うのだ。

狙いは貸金庫で、表に出せない金や貴金属がたんまりあると言う。

テリーは昔の仲間、ケビン(スティーヴン・キャンベル・ムーア)、デイブ(ダニエル・メイズ)、
ガイ・シンガー「少佐」(ジェームズ・フォークナー)、バンバス(アルキ・デビッド)を誘って、
ロイズ銀行の近くの売りに出ている店を借り、地下トンネルを掘る。

表の見張り役はテリーの店の従業員のエディ。

マルティーヌに銀行を襲うよう仕向けたティム(リチャード・リンターン)は、MI5の人間で、
マイケルXの持つ写真を手に入れることが目的だった。

いろいろ危機迫るシーンはあったが、テリー一味は貸金庫への潜入に成功し、
大金と貴金属と大量の書類を強奪するが、同時にマーガレット王女の痴態写真も見てしまう。

強奪はやがてばれ、貸金庫に秘密を隠していた、マイケルX、ボーゲル、ソニアらは慌てる。

ほどなく正体のばれたディブはボーゲルに捕まり拷問され、少佐とバンバスは消される。

銀行強盗で警察に追われ、元帳と写真でボーゲルと悪徳警官とMI5から追われる。

エディも捕まり、八方塞がりのテリー達に果たして難局を切り抜けるすべはあるのだろうか。

また、イギリス王室のスキャンダルは、暴露されてしまうのだろうか。

***

銀行強盗ものとしては、複雑な背景になっている。
狙いが貸金庫の中身なので、現金もさることながら、秘密書類を隠し持っている悪役の利害が絡む。

関係者によると「9割は事実」だそうだが、なかなかおもしろかった。
ミック・ジャガーが出ている(らしい)

 

 

 ジョージアの日記 ゆーうつでキラキラな毎日    

***

舞台は、イギリス、ブライトン。
ロンドンから、ほぼ真南に75キロくらいの海岸のリゾート。
ヌーディスト・ビーチがあり、パブやクラブも多く、ゲイ、レズが集まる街としても有名だそうです。
ポップな街だけど、やっぱりロンドンには憧れをもっている。
この設定は、後々笑いのツボとして効いてきますので、覚えておいて損はないでしょう。

そんな街の14歳と多感な年頃のジョージア・ニコルソン。
自分の容姿にはちょっとコンプレックスを持っているけど、かっこいい男の子との恋愛を夢見てる。

***

冒頭は、緑の玉に入って赤い帽子をかぶったジョージアが、パパの送迎を断って歩いているところから始まる。

仮想パーティに「赤ピーマンの入ったオリーブ」の衣装で参加するところだった。
親友4人でオードブルの仮装の約束が、あとの3人は裏切って普通の仮装、怒り狂うジョージア。

そんな親友はノッポでスリムで能天気なジャズ(エレノア・クムリンソン、実年齢15歳)、
小さくてKY発言の黒髪のインド系、エレン(マンジーヴェン・グレウォル、ほんとの14歳)、
4人で唯一彼氏のいる金髪のベビーフェイス、ロージー(ジョージア・ヘンショウ、彼女も14歳)。
怒りは翌日には治まり、キスの10段階を考えたり、今日も4人で恋の妄想中。

ジョージアの悩みは、ちょっとでかい鼻と彼氏のいないこと。
それに、荒くれペルシャ猫のアンガスと何を考えているかわからない妹のリビー(エヴァ・ドリュー)。

14歳の誕生日のクラブを借り切って、盛大なパーティをすることを考えている。
何とかそれまでに彼氏を捕まえたい。
パパとママはラブラブだけど、お堅い頭で全然わかってくれない。

そんな日、2卵生の双子の転校生、トムとロビーに出会う。
スポーツ万能のトム(ショーン・ボーク)、バンドのベーシスト、ロビー(アーロン・ジョンソン)。
ロンドンから引っ越してきて、母親の有機野菜の店を手伝う。

ジャズはトム、ジョージアはロビーを狙うが、ライバルは2つ上の巨乳のリンジー(キンバリー・ニクソン)。
何とか策略を巡らして、リンジーをやりこめてお近づきになろうとする。

ところがパパが、ニュージランドに転勤になり、単身赴任。
留守中に居間改装に来たかっこいい大工のジェム(スティーブ・ジョーンズ)、
ママが入れあげて、妹のリビー(エヴァ・ドリュー)、ペルシャ猫のアンガスも放ったらかし。

家庭不和が心配になるし、恋の大作戦も裏目に出て、ついにジョージアは八方塞がり。
ニュージランドへの引っ越しも考え始める。

***

一説によれば、もう一つの「ブリジット・ジョーンズの日記」だそうですが、14歳にしてはおませです。

原題は、「angus, thongs and the perfect snogging」
「アンガス、ひもパン、そして完璧なキス」(意訳)

イギリス訛りが気になるセリフ回しですが、ジャズの語りは唇が読めそうでした。

 

 

 レッド・クリフ Part1  

ジョン・ウー監督が三国志を描いた作品。

諸葛亮(孔明)に金城武、甘興(甘寧をモデルにした架空の人物)に中村獅童 が出ている。

これだけ有名な物語であるにもかかわらず、ハッキリ言って私自身は三国志についてはよく知らない。

聞くところによれば、正史(公認歴史書)としての「三国志」(三国志正史)と、
歴史小説としての「三国志演義」があるそうだ。

この映画では、「三国志演義」を元に、208年に曹操に対して劉備、孫権連合軍が戦った
「赤壁の戦い」をメインに置いている。

***

冒頭はおそらく日本版だけのアニメーションで、「赤壁の戦い」に至るまでの展開で、
曹操軍の侵攻や、劉備軍の敗退などの背景を説明して、本編に入る。

非常にざっくりと言うと、魏の曹操軍に追い立てられて敗走した蜀の劉備軍は、
諸葛孔明の戦略に則って、呉の孫権と同盟を結び、長江の要所「赤壁」で曹操を迎え撃つ。

80万の兵力と2千の船舶で戦いに挑んだ曹操は、水軍攻撃と見せかけ、
騎馬兵の攻撃を仕掛けるが、諸葛亮の策略にはまり騎馬兵は敗退する。

曹操は陸からの攻撃を捨て、赤壁の対岸に陣を構え、機が熟すのを待つ。

2時間半にも及ぶPart1はここまででおしまい。
赤壁の戦いの本編は、Part2赤壁:決戦天下(’09/4公開)に持ち越された。

***

さて、「三国志演義」によれば、赤壁の戦いでは、
既に、Part1でそれをにおわせるセリフが語られているが、
呉の周瑜と蜀の諸葛亮が協力はしながらも反目することになっている。

周瑜は、諸葛の反対を押し切って、蔡瑁を謀殺する。
その後、周瑜は曹操軍に火計を仕掛けることにした。

周瑜は諸葛亮にも難題を仕掛けるが、諸葛はこれをうまくこなし、
また水軍の機動力を削ぐなど(連環の計)の策略をした。

曹操と、諸葛、周瑜による情報合戦ののち、策略に長けた蜀・呉連合軍が火計を成功させる。

劉備は諸葛の言に従って、曹操の逃走を黙認し、呉を牽制。
一旦は曹操に奪われた荊州をめぐって、今度は呉と蜀の覇権争いとなる。

 

 

 ハンサム★スーツ   

塚地武雅、谷原章介、北川景子、大島美幸(森三中)、ブラザー・トム、本庄まなみ、伊武雅刀、ほか。

**

大木琢郎(塚地武雅)は、希代のブサイク。
大衆食堂、こころ屋のオーナーシェフ(と言うとかっこいいが)、母の遺した定食屋を継ぎ、
母の代からの店員、米さん(ブラザー・トム)とともに店を切り盛りしている。
料理はうまいが、33年この方もてた、ためしがない。
みんなからは豚郎と呼ばれ、電車でぶつかると気味悪がられ、
女子高生には「見るな、ブサイク」とののしられるような毎日。

そんなある日、スレンダー美人の星野寛子(北川景子)が店員のバイトに応募してくる。
もちろん、即採用。
寛子に一目ぼれした琢郎は、しばらくしてついに告白するが、
「私のどこが好きですか。」と聞く寛子に「可愛いから」と答え、振られてしまう。

落ち込む琢郎に、見知らぬ男が「人生を変えるスーツ」を買いに来いという。

ちょうど親友の久恵(本庄まなみ)と真介(池内博之)の結婚式に着ていくスーツが必要と、
「洋服の青山」に買いに行く。
出てきた店長白木(中条きよし)が、進めたのは奇妙な着ぐるみのハンサム・スーツ。
しかし、それは着用すれば、超ハンサムになれる魔法の服だった。

光山杏仁(谷原章介)と名前を変え、ハンサム気分を味わうことにした琢郎。
ハンサムになった途端、周りの女性の見る目が変わり、有頂天になる。
プロダクション社長の神山(伊武雅刀)にスカウトされ、モデルとしての人気もウナギ上り。

一方、店には寛子の後釜として、橋野本江(大島美幸)が入ってくる。
ブスだが、切り盛りがうまく性格の良い本江、琢郎は本江に気心を許し、大切に思うようになる。

最初に手に入れたハンサム・スーツは試着用で水に濡れるとふやけてしまうものだった。
モデル仲間の來香(佐田真由美)とベッドインしかけては、水でだめになる。

再び訪れた「洋服の青山」で、白木店長が持ち出してきたのは、
二度と脱ぐことのできない「パーフェクト・ハンサムスーツ」だった。

***

面白かった。
テーマはありきたりと言えばありきたりだが、結構深い。

最後は、想定した2つの落ちのうちの一つだったが、後ろの席からは、
「XXだったんだ。」「そう来たか。」などの声が聞こえてきた。

残念なことに、主催者とのお約束で公開前には公表できない部分がいくつもありました。

石田純一、ジモーラモ、鈴木拓の出演シーンでは会場大爆笑。
書いていけない、5行のうち、1行目、4行目でも大爆笑。
その他、森三中の黒沢かずこの登場シーンも笑える。

 

 

 イーグル・アイ 

イーグル・アイとは何か。
それは物語の中盤で明らかになる。

問題はなぜ、この二人、ジェリー・ショー(シャイア・ラブーフ)と
レイチェル・ホロマン(ミシェル・モナハン)が選ばれたかだ。

それがこの物語の肝となる。

**

冒頭は、最近の軍関係のシーンでよく出てくる衛星からの画像。
中東のどこかだろう、米軍が追っているテロリストの首謀者と思しき男性の乗った車列を発見。
軍は攻撃許可を求めるが、コンピューターの分析は、ネガティブ。
男たちは、どこかのアジトに集結、もしくは葬儀のために集まっているようでもある。
コンピューターの分析は、確率は上がったものの依然としてネガティブ。

モニターの前で、攻撃を躊躇する国防長官(マイケル・チクリス)に大統領から連絡が入る。
国防長官の意見はNo Go、しかし、大統領はGoの指示を出す。

無人攻撃機(おそらくはMQ−9)が、攻撃に入り、葬儀の列にミサイルが直撃した。

場面は変わって、どこかの控室。
ジェリー・ショー(シャイア・ラブーフ)はポーカーで小銭を稼ぐが、
預金も底をつき、家賃もろくに払えない、コピーセンターの貧乏店員。

大家に家賃をせっつかれていると、双子の兄、イーサンが死んだとの連絡が入る。
優秀で軍に勤めていた兄、放浪癖のある弟、葬儀に出ての帰り、
父がくれた千ドルの小切手を換金しようとすると、残高は75万1千ドルになっていた。

アパートでは大家が大量の荷物が届いていると言う。
それは、大量の硝酸アンモニウム、機関銃、拳銃、パスポート、、、、
そして、突然、電話から女性の声。
「FBIがアパートに30秒で到着する、直ちに逃げなさい。」
「何の事だ」反論するジェリーに電話は続く「あと25秒」「あと17秒」
ジェリーは、窓を破って突入してきたFBIに逮捕される。

トーマス・モーガン捜査官(ビリー・ボブ・ソーントン)は、ジェリーをテロ犯とにらみ詰問する。
おりしもアメリカ国内では、小規模なテロが頻発していた。
そこへ、空軍のテロ対策捜査官ペレス(ロザリオ・ドーソン)が乗り込んできて、
イーサンとジェリーとの関係を探ろうとする。

別室で電話をかけることを許されたジェリー、電話しようとするとまた例の女性の声が割り込む。
「逃げるように言ったでしょ。方法を考えた、床に伏せなさい。あと4秒ある。」
「なにを言ってんだ」「あと2秒。」クレーンのアームが壁をぶち壊して部屋に飛び込んできた。
びっくりするジェリーの前に電光掲示板が表示する。「飛べ、ジェリー・ショー」
電光掲示板の指示通り電車に乗ると、寝ている隣の男に電話がかかる。
「3つ先の駅まで行きなさい。」
従わずに、反対方向の電車に乗ったジェリー。電車は急停車し、逆走する。
「乗り換えろとは言わなかった」なおも無視するが、周りの客に電話がかかる。
「ドアの所に立つ黒い服、ジェリー・ショーはテロリストだ」と。

バツイチのレイチェル(ミシェル・モナハン)は、トランペットを吹く小さい息子サムを駅まで送っていく。
サムの入っている子どもの楽団がワシントンDCで演奏するためだ。

その夜、久々にバーで親友と飲んでいると、サムから電話。
しかし、出たのは別の声。「レイチェル・モナハン、マクドナルドの店の窓を見て。」
そこには無邪気に遊ぶサムの顔が。「助けたければ、店には戻らずに、この先にあるBMWに乗って」
ミシェルは、すぐ警察に電話したが、携帯は強烈な雑音を出して切れ、またかかってくる。
「従わなければ、息子は死ぬ。」

こうして出会った二人は、正体不明の電話の主に急かされて逃げることに。
追ってくるFBIをかわして一旦は逃げおおせるが、指示に従うしかない二人。
モーガン捜査官は二人を追い詰めていく、そして。
電話の主の正体は、そしてそいつは、二人に何をさせようとしているのか。

イーグル・アイの正体と、イーサン・ショーが死んだ訳、ジェリーとレイチェルがなぜ選ばれたのか。
すべてが氷解したとき、物語は衝撃のラストへ。

***

さすが、盛り上げ方はスピルバーグ流。
よくよく考えれば、不可解な点は多々あって、あれだけ用意された爆薬や銃器は使われないのに
なぜアパートに送られたのか、とか。
レイチェルの役回りは分かるが、あそこはレイチェルでなくてもよかった、とか。
しかし、展開の早さがじっくり考えている暇を与えないし、
最後はジェットコースター・ムービーと化して、息をもつかせないところはさすが。

しかし、結末はやや不満、私的には、死んだ方がよかった、あるいは失敗する結末もありかな、と。

**

国防長官のマイケル・チクリスは、「ファンタスティック・フォー」の岩男。
ロザリオ・ドーソンは「レント」「プルート・ナッシュ」「アレキサンダー」などに出ているが、
私の見たのは「MIB2」だけ。

非常に面白かったが、何となく見たことがある設定だな、と思ったのは私だけでしょうか。

 

 

 ゲットスマート  

1960年代に一世を風靡したTVシリーズでとんまなんだか、冴えているんだか分からない、
「コントロール」のエージェント、マックス・スマートが、宿敵「カオス、ケイオス」との戦いで、
偶然にも次々と手柄を立ててしまう物語の映画化。

主人公、マックスウェル・スマートにスティーブ・カレル、
相棒のエージェント99には、アン・ハザウェイ、チーフは、アラン・アーキン。

**

まず、善悪の構図を明確にしておこう。
国際犯罪組織「KAOS(カオス、ケイオス)」はCHAOS(混沌、無秩序)のもじり。
アメリカに本部を置く「CONTROL」と対峙している。

CONTROLの本部はスミソニアン自然史博物館(「ナイト・ミュージアム」の舞台になった博物館)の
地下にあり、厳重に出入りが管理されている。

マックスウェル・スマート、通称マックス(スティーブ・カレル)は、有能な分析官で、
多くの情報を分析し、チーフ(アラン・アーキン)をはじめとするエージェントたちに提供している。

仲間には、武器開発チームのブルース(マシ・オカ)、ロイド(ネイト・トーレンス)らがいるが、
マックスはエージェントになるため、体を鍛え、昇進試験に挑んでいる。

ある日、そのCONTROL本部の中央制御室が何者かに破壊され、
全世界に配置されているエージェントの素性がKAOSに漏れてしまい、
各地で招待のばれたエージェントたちが次々に暗殺される事態となった。

エージェント23(ドゥウェイン・ジョンソン、かつてのザ・ロック)ら、は正体がばれているため、
整形手術で顔を変えたエージェント99(アン・ハザウェイ)と、
全くの新人、エージェント86ことマックスのコンビでモスクワのKAOS本部への潜入を試みる。

何事にも冷静沈着、一生懸命だが、やることなすことトラブルを巻き起こすマックスと、
それをカバーしながら窮地を逃れるエージェント99のコンビは、ついにKAOSの主要人物、
シーグフリード(テレンス・スタンプ)、シュターカー(ケン・ダビシャン)に接近、
その核ミサイル工場の潜入に成功するが、、、。

***

このほかに、木の幹に隠れ手動でゲートを操作する、エージェント13は、ビル・マーレー、
大統領には、ジェームズ・カーンなど、主役級が大勢でている。

**

ストーリーはそれほどひねってあると言うわけではないが、展開の面白さ、テンポの良さは秀逸。
アクションだけでなく、せりふでも笑わせるし、細かい動きにも笑いどころがいっぱいだ。
ダンス・シーンもまずまずでしたし、マシ・オカらも面白かったですね。

飛行機からの落下、爆発するビルの屋上での格闘、セスナ機と車のカーチェイス、車上のバトル、
スパイ映画としてのアクションも面白い。

***

スティーブ・カレルが見せる太っていたころの自分は、本人の特殊(デブ)メイクだが、
アン・ハザウェイが整形前の顔だとして見せる写真ははっきりしなかったが、
ひょっとして、1995年のTVシリーズでエージェント66だったエレイン・ヘンドリックス か?

 

 

 ブリュレ   

鬱屈した双子の物語。
演じるのは実際の一卵性双生児、中村美香と中村梨香。

**

能代市の田舎町。
バスに乗った女子高生、骨壺と思しき白い布に来るんだ箱を持っている。
途中から乗ってきた男子学生(平林鯛一)が「定期忘れてた」と言って渡す。
定期には奥田日名子とあった。

実は彼女は水那子、日名子の双子の妹だ。
父が火事で死んだあと、ばらばらに育てられていたが、
水那子を見ていた祖母が死んだので、日名子に会いに来たと言う。

日名子を見ているのは、奥田洋菓子店を営む叔父(小田豊)

ここで、タイトルのブリュレが洋菓子の「クレム・ド・ブリュレ」のことだとわかる。
ブリュレは燃やすんじゃなく、焦がすこと。
水那子は日名子と一緒にケーキ作りを手伝う。

水那子は隠し事をしていた、薬を常用し、不審火のスクラップをしていること。

しばらくして、祖母から叔父に電話がかかってきた。
祖母が死んだのは嘘で、水那子は入院先の病院を抜け出してきたとのこと。

叔父に責められて一旦は家を出るが、日名子が気になって家に戻る。
案の定、日名子は店に火を付けていた。

水那子がスクラップしていた事件もすべて日名子の放火だった。
店は燃え、日名子と水那子は鹿児島のかつて一緒に遊んだ思い出の地への逃避行を始める。

やがて、水那子が脳腫瘍に侵されていて、次の春が迎えられないことが分かる。
骨折したキックボクサー(瀬戸口剛) との出会い、二人を連れ戻そうとする同級生(平林鯛一)が絡み、
物語はロード・ムービーの様相を呈してくる。


(写真提供:シネトレ)

***

全体に一本調子で、緩急がない。
美香・梨香、もとい、日名子・水那子はあれで良いにしても、
山本(山元?)も池澤も同じテンションなのはちょっといただけない。

迫りくる死期、表面には出で来ないが追う警察、二人を助けようとする友、
せっかく出会うことができた双子が、また運命によって引裂かれようとしている、
残された時間の中で、苦しみ、もがき、新たな道は開けるのか、
そういう展開のはずがやや弱い気がする。

ずっと見ている間、テーマは一体何なんだろうと考えていた。
鑑賞後に聞いた監督の談をかいつまんで言うと、
双子が双子であることの存在感に打たれたと言うことだろう。

双子は二人で一人、お互いの存在が自分自身の存在として跳ね返ってくる。
そんな双子がもし、離れ離れになったらどうなるのか。
説明は難しいが「双子ありき」ということ。

だからこそ、もう少し撮りようがあったのではないかと思う。
双子が互いを惹きあうことは分かるが、展開がいつも同じ調子なのは見ていてだれる。

それから、別にご当地映画にする必要はないが、逃避行の中で今どこにいるのかが、
もう少し観客に分かりやすいとよかった。

 

 

 P.S.アイラヴユー  

ヒラリー・スワンク、ジェラルド・バトラー、キャシー・ベイツ。

**

冒頭は地下鉄の出口からでてくるホリー(ヒラリー・スワンク)。
明らかに機嫌が悪い、後を追うジェリー(ジェラルド・バトラー)は取り付く島がない。

ホリーはさっきまでいた母親の店でのジェリーの発言に怒り狂っていた。
しかし、それは、犬も食わない何とやら、あっさり仲直りする二人でした。

場面は突然変わって、ママ、パトリシア(キャシー・ベイツ)の店。
ジェリーはあっさり脳腫瘍で死んだことになっていて、ママの店でお別れ会がおこなわれていた。

ホリーは、気丈にふるまってはいるものの、夫を亡くした悲しみからその後はアパートに引きこもり、
3週間もの間、散らかしっぱなしだった。

そこへ、ママ、妹のキアラ(ネリー・マッカイ)、親友のデニース(リサ・クドロー)、
シャロン(ジーナ・ガーション)、その旦那でジェリーの友ジョンがやってくる。
その日は、ホリーの30歳の誕生日だった。

サプライズ・パーティの予定は、ホリーの部屋の掃除になった。
そこへ宅配で、バースディ・ケーキとテレコが送られてくる。
テレコには、亡きジェリーからのサプライズ・メッセージが入っていた。

ジェリーの言葉通り、みんなで遊びに出掛けるジェリー。
翌日にはテープの予言どおり、ジェリーから手紙が届く。

手紙には「灯りを買おう」とか、「ディスコへ行こう」とか、いろいろな提案が書いてあった。

ある日届いた手紙では、デニース、シャロンと3人でのアイルランドへの旅が計画が告げられる。
そこは、ジェリーの故郷であるとともに、ホリーとジェリーが大学生の時に出会った場所でもあった。

ジェリーの両親を訪ね、ジェリーと出会った国立公園や、バーを訪ねる。
旅では、シャロンの妊娠とデニースの婚約も明らかになる。
行きずりの恋のつもりのウィリアム(ジェフリー・ディーン・モーガン)もジェリーの親友だったり。
楽しい時間ではあったが、ジェリーのことを思い起こすものばかりだった。

帰国して、再び引きこもっているように見えるホリーに転機が訪れる。

***

ジェリー(ジェラルド・バトラー)が、病気と分かってから、どのくらいの時間があったのかは分かりません。
本当にどこまで自分が死んだあとのことができたのかは、分かりません。
それはまた映画の中の秘密になっています。

ジェラルド・バトラーは開始早々死んでしまいますが、回想シーンや、
ヒラリー・スワンクの想像の中で、何度も登場します。
これも一つの布石と言うか、意味を持っています。

折にふれ、亡き夫からの手紙が届く、それは嬉しくもあるが、亡き夫の呪縛ではないのか、
そう考えさせるシーンは出てきます。
また、果たしてそれでいいのか、そしてその答も映画の中にあります。

**

原作はベストセラー小説。作者は当時弱冠21歳。

 

 

 ウォンテッド 

ジェームズ・マカボイ、アンジェリーナ・ジョリー、モーガン・フリーマン。

**

ウィズリー・ギブソン(ジェームズ・マカボイ)はうだつの上がらないサラリーマン。
自分の名前をググっても、ヒット0件の無名な存在。
メタボな女上司の嫌味なプレッシャーにストレスを感じ、安アパートで彼女と同棲しているが、
同僚の手の早い男と浮気されても面と向かって文句が言えない。

場面は一転して、ニヒルな男(デビッド・オハラ)がエレベーターでインド人女性のいる事務所に入ってくる。
彼は弾丸を取り出し、その女性に調べさせようとするが、彼女は痕跡がなく追跡できないと言う。

彼女の額のビンディが突然光り出す。
しかし、それは光っているのではなく、向かいのビルの屋上から額を狙う銃の照準のレーザー光だった。

彼女は撃たれ、男は逃げたと思いきや、廊下を一気に走り、窓を突き破って向かいのビルまでジャンプ。
窓に飛び込むと屋上に駆け上って狙撃者一味を一瞬で倒してしまう。

狙撃者の一人のポケットのケータイが鳴り、男がそれを取ると、電話の主は彼らが囮だと言い、
特殊な弾で超遠方からその男を狙撃、射殺する。

翌日、いつものように精神安定剤を買いにドラッグストアによったウィズリーに、
美女、フォックス(アンジェリーナ・ジョリー)が近づいて、こう言うのだった。
「あんたのお父さんを知っている」
「父は、僕が生まれて7日目に僕を捨てて出ていったんだ。」
「あんたのお父さんは優秀な暗殺者だった、でも昨日、ビルの屋上で撃ち殺された、この男に。」
彼女は銃を取り出し、近くにいた男、クロス(トーマス・クレッチマン)を撃つが失敗、銃撃戦となる。

ウィズリーは店から逃げ出すが、男は追ってくる。
追いつかれそうになったとき、美女の運転する車に救われる。
カー・チェイスと銃撃戦。

2人は逃げ切り、ウィズリーは古びた紡績工場に連れられていく。

そこではボス、スローン(モーガン・フリーマン)が、ウィズリーに暗殺者になるように言う。
蠅の羽を撃つことを指示されたウィズリーは恐怖の中それをやってのけるが、直後にそこから逃走する。

翌日、ウィズリーは会社でまた女上司の嫌味にさらされ、ついにブチ切れ、言いたいことを言ってその場を去る。
外にはフォックスがいて、意気揚々と昨日の紡績工場まで連れてこられたウィズリーだったが、
それから、文字通りの地獄の特訓が始まる。

***

もう少し真面目なアクション映画かと思っていたが、映像は「マトリックス」暗殺者版風。
要は現実にはあり得ない展開だが、なかなかの迫力。
かなりスプラッタで、血だらけのシーン満載。
超身体能力を持った者同士の戦いなので、相手の撃った弾にこちらの弾丸をぶつけて避けるなんて技も。

原作はコミックらしい。
それをエンドクレジットで初めて知ったが、納得。

後半はどんでん返しがあるが、ストーリーはそれほど難解ではなく、先読みができる。
やや子供だまし的な面はあるが、原作がコミックだからね。

主人公が暗殺者としての技術を磨いていくシーンは、スポ根ものなどと同じような感情を持たせるが、
ジェームズ・マカボイが、いつもニヤついている演出はいただけない。

原題の「WANTED」は手配写真に書く常套句で日本語風にいえば「指名手配」
最初のドラッグストアでの銃撃戦が新聞に載り、自分の写真にWANTEDと見出しされる。

 

 

 アメリカン・ティーン  

物語は、インディアナ州の小さい町の高校が舞台。
映画関係に進みたいハンナ、バスケットで奨学生を目指すコリン、名門ノートルダム大志望のミーガン、
スポーツ万能のミッチ、内気でちょっと変人のジェイク、、、、

ハンナは失恋して登校拒否になり、留年仕掛けぎりぎりで再登校し始め、ミッチと良い仲になったり、
カリフォルニアの大学に進んで映画関係の仕事に就きたいと思っている。

コリンはバスケットのエースだが、家はそれほど裕福ではなく、奨学金をもらえなければ大学は難しい。
何とか大学からのスカウトを期待するもののシーズン後半にスランプに陥る。

ミーガンは一家そろってノートルダム大に進む裕福で優秀な家にいるが、学校ではタカビーで、
ノートルダム大へ行かねばならないことにプレッシャーも感じている。

ミッチはいいやつだが、余り物事を深く考えないで高校生活を楽しんでいる。

ジェイクは自分に自信がなく、彼女がほしいくせに思いやりに欠けてすぐに嫌われてしまう。

そんなごく普通の、それぞれの事情を抱えた高校生たちが、3年生のほぼ1年間を通じて、
恋し、失恋し、喧嘩し、悪戯し、叱られ、喜び、悲しみ、怖れ、泣き、笑い、いじめ、いじめられ、
傲慢だったり、謙虚だったり、悪乗りしたり、意地悪だったり、優しかったり、いじけたり、、。

先生もでてくるし、親もでてくるし、都合の悪いことも、そんなことしていいのかと言うことまで、
記録され、編集され、時にはイメージ映像を通して、卒業までの生活が記録される。

***

本当にドキュメンタリーらしいけど、どうも話ができすぎている感がぬぐえない。
もっと多くの生徒の多くの事象を撮影して、うまく展開した話だけ編集したのかもしれない。

この映画の中の高校生活が全て事実だとすると、フィクションのアメリカ映画の中に描かれてきた高校生活は、
ベースとしてはそれほど現実と違っていないようだ。
しかし、だから何なのって気もします。

 

 

 

 宮廷画家ゴヤは見た  

原題、GOYA'S GHOSTS。

ナタリー・ポートマン、ハビエル・バルデム、ステラン・スカルスガルド。

時代背景は、18世紀末頃のスペイン。
少し歴史をおさらいすると、
ゴヤ、フランシスコ・デ・ゴヤ(1746〜1828)は、1786年にカルロス3世、
1789年にはカルロス4世の宮廷画家となったが、1792年に病により聴力を失う。

一方、1789年にはフランス革命が起き、1793年にはカルロス4世の盟友ルイ16世が処刑されている。
1807年、ナポレオンがスペインに進攻、1808年にはカルロス4世は退位、
多少の紆余曲折はあったが、ナポレオンの兄のジョゼフ・ボナパルトがホセ1世として即位した。

ホセ1世は異端審問の廃止、封建制の廃止などで近代化を進めたが、教会からは反発を受けた。
また、駐留フランス軍による圧政もあり、民衆の支持を失う。

その後、スペイン、ポルトガル、イギリスの連合軍が、1808年に反攻、一旦はフランス軍を撤退させる。
ゴヤもこのときフランスに亡命している。

しかし、ナポレオンがフランス軍を率いてスペインに進攻、1809年にはスペイン軍が壊滅、イギリス軍は撤退。
イギリスはなおもスペインに再侵攻、フランスもまた再侵攻など、スペインを舞台にした戦争は続く。

1812年、ナポレオンがロシア進攻で敗退し、フランス軍はスペインからも撤退を余儀なくされた。
いわゆる半島戦争は1814年に終結したが、スペインはその後も1850年ころまで内戦が続いた。

**

さて、1790年ごろ、教会ではゴヤ(ステラン・スカルスガルド)の画集を異端かどうか議論していた。
ゴヤは宮廷画家として著名であったことから、異端審問にはかけられなかったが、
ロレンツォ神父(ハビエル・バルデム)は一般人への異端審問の強化を唱える。

ロレンツォ神父と同時期にゴヤに肖像画を書いてもらっていたイネス・ビルバトゥア(ナタリー・ポートマン)は、
居酒屋で豚肉を食べなかったという理由で、隠れユダヤ教徒の疑いで異端審問にかけられる。
拷問による自白強要の末、イネスはユダヤ教徒であると告白し、獄中に囚われの身となる。

イネスの父トーマスは、異端審問が拷問であり、嘘の告白を強要するものだとして、
ロレンツォを拷問に掛け「私はチンパンジーとオランウータンのあいの子である」との告白書にサインさせる。

脅迫と金の力でイネスを釈放させようとしたトーマスがロレンツォに託した工作は失敗に終わり、
トーマスは告白書を暴露するが、イネスは釈放されず、ロレンツォを逃亡させるだけになってしまった。

時代はフランス革命を経て15年の後、フランス軍がスペインに進攻、
フランス軍は、ナポレオンの兄、ジョゼフを即位させ、スペインの解放を進めるとした。
その先導は、フランスに逃れていたロレンツォその人であり、異端審問は廃止、カソリックの司教は投獄。
異端者は監獄から解放され、イネスも釈放されるが既に精神を病んでおり、
フランス軍進攻の間に一家は皆殺し、全資産は略奪されていた。
やむなく、イネスはゴアを訪ねる。
その変り果てた風貌に驚くゴアだったが、イネスの告白は更にゴアを驚かせるに十分だった。

**

映画自体は散漫であまり何を言いたいのかよく分からなかった。
キャッチコピーのいう「それは、立ち入り禁止の、愛」に至っては、勘違いしているとしか思えない。

ナタリー・ポートマンを物語の中心に置くとしたら、テーマは「スペインの異端審問」であろう。
何の罪もない一市民が、異端審問の「被害」に遭い、救われることなく時代の波に翻弄される。
禁断の愛とか、危険な愛ではなく、異端審問の非道さを明らかにする、と言うことではないのか。

**

物語は、イギリス、スペイン、ポルトガル連合軍の進攻に加え、スペイン民衆の蜂起により、フランス軍を撃退し、
ロレンツォを処世するところで終わっている。
先にも書いたように、このとき、国王派と思われた多くの人はスペインを捨てフランスに逃げており、
ゴアもその一人だった。

「異端審問」はそもそもキリスト教徒の中で誤った信仰を持つものを糾弾するものだった。
当初教会には処罰する権限がなかったことから大した実効はなかったようだが、
政治的権力者が異端者の処罰に加担するようになり、変質していった。
当時の異端審問では、今日考えられているほどには死刑になる者は少なかったとされる。

スペインの異端審問は、また少し変わっていて、ユダヤ教やイスラム教から改宗したキリスト教徒を
異端として裁くことが主眼だったとされている。
これは、異教徒による混乱を防ぐとの名目で、裕福な改宗者の資産没収が目的でもあったようだ。
他の地方の異端審問よりは格段に多くの審問対象者、処刑者を出したが、徐々に減少し、
18世紀末当時は、あまり機能していなかったようだ。

映画ではそのあたりが表現されていて「もっと厳密に異端審問をしなければならない」と考えたとされている。
魔女狩りを含めて死刑宣告を受けたものは少なく、魔女とされたものは精神異常者として釈放されたとされる。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

しかし、それがすなわち、異端審問の非情性を否定し、平穏な生活を約束するものとはとても思えない。
この映画のように、自白強要の拷問は当然のように行われたであろうし、
動物以下の扱いの監獄、監禁するだけの精神病院、劣悪な環境に長期間閉じ込められることによって、
肉体的にも精神的にも破綻をきたしたり、獄死するものも少なくなかったと思われるからだ。

 

 

 ブーリン家の姉妹  

16世紀初頭のイングランド王家にまつわる歴史絵巻。

エリック・バナ、ナタリー・ポートマン、スカーレット・ヨハンソン。

**

物語の序盤は、ブーリン家と当時のイングランド王ヘンリー8世の紹介。
ここでおさらいをしておこう。

ブーリン家は、ノーフォークの農家出身で3〜4代で貴族に上り詰めた、いわば成り上がり貴族。
この物語の主人公は、トーマス・ブーリンとエリザベス・ハワードの間に生まれたメアリーとアンの姉妹である。
一家にはもう一人、ジョージと言う息子がいた。

1520年、メアリー(スカーレット・ヨハンソン)は、裕福なウィリアム・ケアリー(キャリーとも)と結婚、
1524年には長女キャサリンを出産している。(キャサリンは映画に出てこない)

一方、ヘンリー8世は、チューダー朝ヘンリー7世の息子で、1501年に兄アーサーの死によって皇太子となり、
1509年、ヘンリー7世の死を受けて王位についた。
そして、元アーサーの妻であったキャサリン・オブ・アラゴンと結婚した。

キャサリン・オブ・アラゴンは、1516年メアリー(後のメアリー1世)を産むが、
死産が多く、いわゆるお世継である男児を産むことはできなかった。

お世継を産ませるために娘を利用する、当時としてはごく当たり前の状況で、
トーマスはヘンリー8世のブーリン家への来訪に合わせ、
アン(ナタリー・ポートマン)を王に見染めさせようとする。

しかし、ヘンリー8世が落馬、治療に当たったメアリーに一目惚れしたヘンリー8世は、
ブーリン一家を宮廷につかえさせ、当然のようにメアリーに手を出す。

アンは、親の許しを得ずにヘンリー・パーシーと結婚するが、
メアリーとヘンリー8世の関係に悪影響が出ると思った父(と叔父)に別れさせられ、
フランス宮廷に追いやられる。

メアリーが妊娠、ヘンリー8世のブーリン家への関心をつなぎとめるため、
トーマスはフランスからアンを呼び戻す。
アンはわずかの間に手練手管を身につけており、ヘンリー8世を翻弄する。

ヘンリー8世はアンに心変わり、メアリーと決別する。
時に1525年、メアリー・ブーリンが男児、ヘンリー・ブーリンを産む直前であった。

ヘンリー8世はアンと結婚するためにキャサリン・オブ・アラゴンとの離婚をローマ教皇に申請、
却下されると激怒してローマ教会と断絶、1533年イギリス国教会を設立して自ら長となり、
キャサリン・オブ・アラゴンと離婚し、アンと結婚する。

かくして、アンは王妃となった。

1534年、アンは長女を出産、エリザベス(後のエリザベス1世)と名づける。
アンはその後も男児を産むことはできず、ヘンリー8世がジェーン・シーモアに心移りしたため、
嫉妬し、保身のあまり、異常とも思える行動をとる。

そしてついに王への反逆の名目で捕らえられ、斬首刑の宣告を受ける。
メアリーは、宮廷を離れ田舎に逃げていたが、アンの救命のために、ヘンリー8世に嘆願に行くのだった。

果たして、アンの運命は。

**

ナタリー・ポートマンの演技はみごとで、前半は傲慢さと知性、そして後半は恐怖と狂気を見事に表している。
映画全体としては、戦略家で切れるが意地の悪い姉のアンと心やさしい素直な妹のメアリーの対比になっている。

***

アン・ブーリンの結末は歴史教科書の教えるとおりである。
このあと、メアリーはノーフォークに戻り、元家臣だったスタッフォード(エディ・レッドメイン)と再婚。

映画では、メアリーがエリザベスを育て、ヘンリー8世の世継問題は杞憂に終わったとしているが、
これは史実と間違っている。

少し歴史をひも解いてみよう。

ヘンリー8世は、アン・ブーリンを1536年に処刑した後、ジェーン・シーモアと結婚。
1537年、ジェーン・シーモアは男児、エドワードを出産して死んでしまった。

ついで、ヘンリー8世は、1540年、アン・オブ・クレーヴズと結婚したが、
当時のお見合い写真の役割をしていた肖像画は修正されすぎだと怒り狂い、
肖像画を描かせた大臣を処世してしまったほどだった。
(なお、画家は、王のお気に入りだったため死刑は免れたそうだ)

その結果、わずか半年で離婚、同じ年にアン・ブーリンのいとこであるキャサリン・ハワードと結婚した。
しかし2年と持たず、1542年には夫人の不倫疑惑の疑念に駆られてキャサリンを処刑してしまう。

1543年、最後の妻、キャサリン・パーと結婚。
キャサリン・パーはキャサリン・オブ・アラゴンの子、メアリー・チューダーと、
アン・ブーリンの子、エリザベスを擁護し、復権させた。

1547年、ヘンリー8世がし去すると、エドワード6世が即位したが、病弱で1553年に15歳で死んでしまう。

このあと、ヘンリー8世の妹のメアリー・チューダーの孫のジェーン・グレイが即位するが、在位わずか10日。
キャサリン・オブ・アラゴンの娘のメアリー・チューダーがメアリー1世として即位する。

メアリー1世は母の血を継いで熱心なカソリックであり、
プロテスタントの指導者を粛清、ブラディ・マリー(血まみれのマリー、メアリー)と呼ばれた。

後のスペイン王、フェリペ2世と結婚するが、1558年病死。
ここではじめてエリザベス1世の出番となるが、既にヘンリー8世の死後11年が過ぎていた。

映画では、アンが姉、メアリーが妹となっているが、近年の学説ではメアリーが姉、アンが妹とされている。
また、第1子を兄のジョージとする説と、メアリーが第1子とする説があるようだ。

その他にも文献ではアンとメアリーの経歴が逆になっている部分も多々あり、
当時の記録が曖昧であったことのほか、ブーリン家が旧家ではなかったことを示しているとも言われる。

なお、ヘンリー8世は、梅毒患者であり、エドワード6世も先天性梅毒に侵されていたそうだ。
妻が死産を繰り返したのも梅毒のせいであったと推察される。

 

 

 デス・レース  

ジエイソン・ステイサム、ジョアン・アレン、イアン・マクシェーン、タイリース・ギブソン。

**

近未来のアメリカ。
凶悪犯だけを収容する特別な刑務所、ターミナル・アイランド。
そこで、釈放をかけて行われる死のレース「デス・レース」

冒頭は、そのデス・レースの模様が説明なしに展開し、仮面の男が事故を起こして吹っ飛ぶ。

場面は変わって、製鉄所。
そこで働く、ジェンセン・エイムス(ジェイソン・ステイサム)だったが、製鉄所は閉鎖。
最後の給料をもらって、妻と子の待つ我が家へ。

しかし、我が家に暴漢が侵入。
妻は殺され、エイムスが犯人に仕立てられ、半年後にはターミナル・アイランド送りになる。

そこで、冷酷な女所長へネシーから、かつてのNASCARレーサーの経験を生かして、
デス・レース・ドライバーになることを持ちかけられる。

実は、冒頭の仮面の男は、事故で死んでしまい替え玉が要るというのだ。
デス・レースは5回優勝すると刑務所から自由放免となるが、
仮面の男、フランケンシュタイン(=フランク)は4回優勝しており、
エイムスが仮面の男として、あと1回優勝すれば、5回優勝したことにするという。

へネシーは、デス・レースの考案者で、レースをネット放送し、その視聴料で莫大な利益を上げていた。
エイムスは所長の申し出を受け、コーチ(イアン・マクシェーン)のチームに整備員の名目で加入、
仮面をかぶってフランクとしてレースに出ることになった。

レースは所内3周を1ステージとして3ステージで1つのレース。
レース中の殺人は罪には問われない。

使うのは装甲や武装、防御装置を施した特別のレース・カー。
但し、武装や防御は刑務所側がオン/オフのコントロールをできるようになっていて、
それを使った脱走は不可能と言う設定。

かくして命を賭けた死のレースが開始される。

***

ストーリは、たいしたひねりもなく、大きなどんでん返しもなく展開する。
レースシーンは迫力満点で、ほとんどの部分が実写らしいが、
カメラワークがあまりにも激しいので、かえってすごさがよく分からなかったりする。

ナビゲーターとして、女性受刑者がやってくるが、大したナビはしない。
お色気担当のはずだが、きれいなスタイルのいい姉ちゃんと言うだけで、セクシー・ショットもない。
途中で所長の秘密をばらす役割だが、かなり早い段階でバレバレになっているので驚きはない。

ジェイソン・ステイサムのナビは、JLOのモデルでTVにも出ているナタリー・マルチネス。
助手席に座った彼女の左ほほには、縦に10センチほど、ごく浅い傷がある。
もともとある傷のようだが、メーキャップで消せる程度だと思ったので、ちょっと気になった。

写真を見比べればわかるが、最初の写真のジェイソン・ステイサムは左右が逆。

写真提供:Universal Studios.(©2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.)

 

 

 20世紀少年   

唐沢寿明、豊川悦司、香川照之、常盤貴子、石塚英彦、宇梶剛士、佐々木蔵之介。
宮迫博之、小日向文世、生瀬勝久、黒木瞳、石橋蓮司、佐野史郎、竜雷太、中村嘉葎雄、ほか。

**

同名コミックの映画化、三部作の第一章。
2015年、1997年〜2001年、1969年が交錯しながら、物語は展開する。

2015年は、今作に出てくるのは「海ほたる刑務所」の特別懲罰房。
そこには、テーマが違法だとしてとらえられた漫画家(森山未来)と正体不明の男が収監されていた。

1997年、信聞は物騒な事件や新種の伝染病らしき変死事件を伝えていた。
冴えないコンビニ店主のケンヂ=遠藤健児(唐沢寿明)の得意先の大学教授が失踪、
その家に空瓶を下げに行き、壁に見覚えのある不思議なマークを見つける。

小学校の同窓会では「ともだち」を教祖とする新興宗教の話題が出る。
そのシンボルマーク、それは敷島家にあったものと同じだったが、
みんなは小学校の頃にケンヂが考えたものだと言う。

1969年当時、ケンヂ達は草っ原に秘密基地を作って遊んでいた。
そこでみんなが集まって書いた「よげんの書」に最近の出来事が酷似しているという。

しばらくして、鼻たれだったドンキー=木戸三郎(生瀬勝久)が自殺したとの報道に、
通夜に集まった旧友で、子供時代のタイムカプセルを掘り出す。
そこには「よげんの書」はなく、その一部と思われるものが入っていた。

もし最近の事件が「よげんの書」通りだとしたら、その内容を知る者は誰だったのか、
ケンヂ、ドンキーの他は、マルオ=丸尾道浩(石塚英彦)、オッチョ=落合長治(豊川悦司)、
ヨシツネ=皆本剛(香川照之)、モンちゃん=子門真明(宇梶剛士)、ケロヨン=福田啓太郎(宮迫博之)、
フクベエ=服部哲也(佐々木蔵之介)、ユキジ=瀬戸口雪路(常盤貴子)、(子ども時代は別キャスト)

徐々にケンヂによみがえる子ども時代の記憶。
サンフランシスコ、ロンドン、大阪、そして飛行場。
惨劇はよみがえる記憶に従って繰り返される。

「ともだち」一味は、失踪したケンヂの姉=遠藤貴理子(黒木瞳)の子カンナをさらおうとして、
失敗するが、コンビニは焼失、焼け跡からケンヂは「よげんの書」を発見する。

「よげんの書」には、20世紀末に「あくのそしき」が、人類を滅ぼすとあった。

***

2009/1公開の第二章に続く。

邦画には珍しくエンド・クレジットが長い。

若干展開が間延びしている部分もあるが、全体としては面白く、後半は逆にちょっと端折ったかなの感。
その他にも見た顔がいっぱい出てくるし、竹中直人なんかはちょっとしか顔を出さないけど非常に面白い。

原作は読んでませんが、多少原作とは変えてあるらしい。

 

 

 コドモのコドモ   

思ったより真面目な作りだった。

当然、現実にはあり得ない設定ではあるが、こう言うケースでは、当然あるであろう、
教師同士の反発、父兄の反発、当事者の世間体などをうまく織り込んで現実味を持たせている。

子どもたちの演技はかなりうまい。

**

舞台は東北、秋田県能代市
持田春菜(甘利はるな) は、小学5年生。
クラスのヒロユキ(川村悠椰)はちょっとおっとりして、いじめられっこ。
春菜とは大の仲良しだ。
特に深い意味もなく、くっつけっこに興じる様な仲。

5年生の新任教師、八木先生(麻生久美子)は東京からの転勤。
生徒の書いた将来の夢の作文から、性教育の必要性を論じる。

八木先生は先生たちの反対を押し切り性教育を実施、当然のように父兄は猛反発、
春菜はくっつけっこのせいで子供ができたかもしれないと、八木先生に打ち明ける。
しかし、八木はからかわれたと思い、春菜をしかり飛ばす。

春菜は誰にも相談できず、おなかが徐々に膨らんでくるが、家族の誰も気がつかない。
親友の真由(大熊彩花)、珠(須藤瞳)とも疎遠になる。
夏祭りの日、悪阻でムカツク春菜は真由と間違えてクラス委員の美香(伊藤梨沙子)に妊娠を告白する。

美香は図書室から妊娠の本を持ち出し、春菜にアドバイスしようとするが、春菜は拒絶。
そして、ついに学芸会の練習のときにクラスのみんなに妊娠がばれてしまう。

クラス全員で妊娠を隠し通し、あと1月で出産と言うとき、おばあちゃん(草村礼子)に妊娠がばれる。
おばあちゃんは、母(宮崎美子)に話してやると言うが、その夜脳卒中で入院してしまう。

家に誰もいなくなった次の日、大きなおなかを抱えて登校途中に春菜に急に腹痛が襲ってきた。

クラスメイトのミツオ(帯金遼大)の父の産婦人科医は不在、春菜の家も誰もいない、
果たして、春菜の運命は、クラスのみんなは、、、、。

***

小学生が妊娠して出産する。それだけと言うか、それが全て。
子供たちだけの団結力が新しい命を支える。
倫理的にどうかなどは、議論の外とし、可能性としてはあり得る最小限の年齢を設定として、
もう一度、妊娠について考えてみよう、と言うことでしょうか。

お伽ばなしではあるけど、「恋空」「14歳の母」などとは違って、
じめじめしたお涙ちょうだいの嫌な大人の駆け引きがなかったのは好感。

子どもたちは大人が思うよりずっとしっかりしていてかつ純粋だ、と言いたかったのでしょうか。

現実のニュースなどを見ると、母親が女子高生の娘の妊娠に気付かない例はあるようですが、
小学生となれば(少なくとも異変には)気づくでしょうし、姉は絶対に気付くはずですが、
そこはまあいいとしましょうか。

**

スナックのママに上野樹里。

姉役の谷村美月は、最近はちょっと女っぽくなったけど、
神木龍之介に激似だと思っているのですが、どうでしょうか。

 

 

 ハンコック   

ウィル・スミス、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・ベイトマン

**

ハンコック(ウィル・スミス)は呑んだくれのスーパーヒーロー。空も飛ぶし、弾丸も跳ね返す。
犯罪では警察の味方をして犯人を捕まえるし、一般市民の危機に際してはわが身も顧みず助けに行く。

しかし、物事の加減を知らず、クズ「Ass hole」(くそったれ)と呼ばれては切れて行きすぎた制裁をしたり、
巻き添え(これこそがコラテラル・ダメージ)で大きな被害を出している。

そのため、人々が彼の超法規的行動をとがめることはあっても称賛することは少ない。

ある日、ハンコックは鉄道事故に巻き込まれそうになった宣伝マン、レイ(ジェイソン・ベイトマン)を助ける。
レイはハンコックの乱暴をやめさせ、ヒーローとして尊敬されるPR策を提案。

それに従い、ハンコックは一旦、監獄=矯正収容所に入る。

その間に犯罪が増えれば、人々もハンコックを必要とするだろうと言うレイの読みだ。

レイの妻、マリー(シャーリーズ・セロン)は、ハンコックをただの乱暴者と決めつけていたが、
息子のアーロンにせがまれて、徐々に心を開いていく(かと、思われた)

レイの思惑通り、ハンコックの入獄で犯罪が増え、人々はハンコックを必要とし、
レイのアドバイスに従って行動したハンコックは人々の称賛を得る。

ハンコックとマリーがちょっといい感じ? と、なりかけたその瞬間、
マリーがとんでもない行動に打って出るのだった。

果たしてそれは、そしてなぜ?

**

エンターテイメントとしてはとても面白かった。
実際にスーパーヒーローがいたら、全部が全部正義の味方で善人ではなく、
こう言うケースもあるだろうと思わせる設定。

Mr.インクレディブルも厄介者扱いされるスーパーヒーローだったが、
さらに自堕落、破天荒。

途中からの急展開はその前と多少つじつまが合わない点もあるけど、
それを忘れるくらいの面白さで、シャーリーズ・セロンのメイクの変化も面白い。

すかっとしてパッと忘れる爽快さ。後を引かない潔さ。
エンドロールに1カット挟む作り方もちょっと変わっていた。

 

 

 

 

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