オール・ユー・ニード・イズ・キル
トム・クルーズ、エミリー・ブラント、ビル・パクストン、ブレンダン・グリーソン。
*
近未来。
ヨーロッパらに落下した隕石、と思ったものは宇宙からの侵略者だった。
ギタイと呼ばれるその侵略者(群)はめっぽう強く、ヨーロッパの主要都市は次々と制圧されていった。
人類はパワードスーツを開発、これによりフランス、ヴェルダンの戦いで大勝利を収めることができた。
その中心は、リタ・ヴラタスキ軍曹(エミリー・ブラント)。
ウィリアム・ケイジ少佐(トム・クルーズ)は軍の広報担当で、
パワードスーツで人類の勝利は間違いない、と宣伝して回っている。
しかし、人類は劣勢を強いられ、敵勢力はイギリスにまで及ぼうとしていた。
そんなある日、ケイジ少佐はロンドンの作戦本部にブリガム将軍(ブレンダン・グリーソン)を訪ねる。
一通り説明を聞いた将軍はケイジに前線行きを命じる。
戦闘経験どころか、戦闘訓練の経験もないケイジは拒否するが、
将軍はアメリカ軍のOKも貰っているとして聞き入れない。
逃げようとしたケイジはスタンガンであっさり捕まり、ヒースロー空港の軍施設に送り込まれる。
そこで軍曹に怒鳴られ、強面のファレル曹長(ビル・パクストン)に連れられ、J分隊(Squad)に配属される。
しかし、将校の服装にもかかわらずケイジ初年兵(Private)は妄想癖のある脱走兵と紹介されてしまう。
その日は慣れない基礎訓練(PT=フィジカル・トレーニング)に明け暮れる。
翌朝9時、セーフティの解除の仕方もわからないままパワードスーツに身を包み、
オスプレイの発展形のような輸送ヘリでフランスに向かって一斉発進。
敵の裏をかく作戦のはずが、待ち伏せにあい、攻撃を受ける。
降下30秒前。ケイジの乗る機は攻撃を受け大破。
何とか脱出して降下はできるが、仲間は次々と戦死。
当初はギタイの攻撃をかわしていたケイジもひときわ大きいギタイに見つかり絶体絶命。
咄嗟に近くにあった仲間から地雷をもぎ取って自爆。ギタイとともに爆死。
次の瞬間、目が覚めたのはヒースロー空港の一角。
軍曹に怒鳴られ、ファレル曹長に連れられてJ分隊に連れて行かれる。
ケイジは自分の体験を話し、明日みんな死ぬと言うが無視され、口をふさがれての出撃となる。
降下30秒前。ケイジの乗る機は攻撃を受け大破。
何とか脱出して降下はできるが、最初に死んだ仲間を助けようとして一緒に死ぬ。
次の瞬間、目が覚めたのはヒースロー空港の一角。
軍曹に怒鳴られ、ファレル曹長に連れられてJ分隊に連れて行かれる。
翌日朝9時。またも出撃。
降下30秒前。ケイジの乗る機は攻撃を受け大破。
何とか脱出して降下はできるが、最初に死んだ仲間を助けたが、自分は死ぬ。
次の瞬間、目が覚めたのはヒースロー空港の一角。
軍曹に怒鳴られ、ファレル曹長に連れられてJ分隊に連れて行かれる。
翌日朝9時。またも出撃。
降下30秒前。ケイジの乗る機は攻撃を受け大破。
何とか脱出して降下はできるが、最初に死んだ仲間を助けたものの、直後に自分が死ぬ。
次の瞬間、目が覚めたのはヒースロー空港の一角。
軍曹に怒鳴られ、ファレル曹長に連れられてJ分隊に連れて行かれる。
翌日朝9時。またも出撃。
降下30秒前。ケイジの乗る機は攻撃を受け大破するが、何とか脱出して降下。
こうして同じことの繰り返し。
何度目かにあの伝説のリタ・ヴラタスキと遭遇。
しかし、リタは目の前で戦死。
その後、何度目かにリタを助け、先へ進もうとするが、リタは何かを察知。
「What happen to you, happened to me. Find me when you wake up.」と言い残して爆死。
次の瞬間、目が覚めたのはヒースロー空港の一角。
軍曹に怒鳴られ、ファレル曹長に連れられてJ分隊に連れて行かれる。
ケイジはPTの最中、わざと愚痴をこぼして、罰の腕立て50回をし、
走行するトラックの下に転がり込んで抜けようとして轢死する。
次の瞬間、目が覚めたのはヒースロー空港の一角。
軍曹に怒鳴られ、ファレル曹長に連れられてJ分隊に連れて行かれる。
ケイジはPTの最中、わざと愚痴をこぼして、罰の腕立て50回をし、
走行するトラックの下に転がり込んで抜けだす。
そして訓練施設に入り、ギタイの模擬訓練場でリタを見つける。
「何の用? 何を見てんの。」「君が見つけるように言ったんだ。」
リタは状況を察し、ケイジを武器係のカーター(ノア・テイラー)の所に連れて行く。
リタはケイジを「ヴェルダンの前の私」と紹介し、カーターは「指を何本立てているか」と聞く。
意味の分からないケイジ。「と言うことは、ここは初めてだと言うこと」
「明日、死ぬ前に青いギタイをやっつけた?」「ああ。」
カーターとリタはこれまでの推測を話す。
ギタイは実は大元のオメガと呼ぶ本体と、アルファと呼んでいる61万8千体に一つの特別な個体、
それに普通の個体からなっていること。
普通の個体はいくら倒してもだめ、アルファはオメガと連動しており、
倒すと記憶経験を引き継いでタイムループする。
つまり、前回倒された状況を記憶しており、それに対処して回避、攻撃するので、
倒されても倒されてもやり直しができる。
アルファを倒した時、その体液を浴びたことでオメガと連動するようになりタイムループする。
ループによって経験値が増せば戦闘能力も増大。
それでリタはヴェルダンの戦いでも大勝利を収めることができた。
しかし、リタは負傷したものの死なずに大量の輸血を受けたことによってループ能力を消失。
その後は劣勢を強いられていると言うのだ。
ケイジがオメガと連動することでオメガの居場所を知ることができれば、オメガをつぶすことができる。
こうしてループしながら、ケイジとリタの訓練が始まった。
訓練で負傷してリタによる強制リセットも繰り返され、ケイジはどんどん強くなっていく。
こうしてループするうちにケイジはオメガの幻影を見る。
それはドイツのどこかの山に中、ダム施設の奥にあった。
カーターは何とかしてその場所を特定する。
あるループの時、ケイジは訓練に嫌気がさしてロンドン市街へ向かう。
パブでのんびりしていると、大群のギタイが、川から侵攻、一般人を殺戮していく。
ケイジも死ぬが、水際作戦の裏をかくのが、ギタイの作戦だったと分かる。
次の瞬間、目が覚めたのはヒースロー空港の一角。
軍曹に怒鳴られ、ファレル曹長に連れられてJ分隊に連れて行かれる。
翌日朝9時。またも出撃。
新兵のはずのケイジは戦場で目覚ましい活躍を見せ、リタとともに内陸へ向かおうとする。
しかし、あっさりリタは死に、ケイジも戦死。
次の瞬間、目が覚めたのはヒースロー空港の一角。
翌日朝9時。またも出撃。
ケイジはリタとともに内陸へ向かおうとするが、またもリタは死に、ケイジも戦死。
こうして少しずつ先へ進むがなかなか海岸線を突破できない。
もっと正確に敵の位置を、もっと詳しく敵の動きを、何歩進めばいいか、などなど。
そしてついに海岸線を突破、車でドイツへ向かう。
ガス欠で農家の納屋に入り、コーヒーブレイク。
ヘリで行こうと言うリタに対し、ガソリンを抜いて車で行こうと言うケイジ。
訝しがるリタ「How many times we've been here? How many times? 」
ケイジはどうやってもリタはここで死ぬ、と言うがリタは聞かずヘリを飛ばそうとして
ギタイに襲われ死亡、ケイジも死ぬ。
次のループ。
PTを抜け出したケイジはリタを見つけるが「何の用?」に答えずそこを去る。
そしてひとりで海岸線を突破、ヘリを駆ってダムまで行きつく。
いよいよオメガに近づいた時、ギタイが迫ってくる。
普通の個体の他、アルファも近づいてくるが、なかなか攻撃してこない。
察したケイジは溺死。ループしてリタとカーターの元に戻る。
ドイツの幻影は罠。オメガはケイジがループしていることを察知し、
おびき出して血を抜きループを止める罠だった。
カーターはかつてアルファからオメガの位置を探るトランスポンダーを開発したが、
ブリガム将軍に否定され、装置を取り上げられてしまったと言う。
リタとケイジは作戦本部に乗り込み、ブリガム将軍を説得してトランスポンダーを奪取する。
しかし、将軍は二人を逮捕しようとし、二人は車で逃げる。
リタはトランスポンダーをケイジに突き刺し、ケイジはオメガがルーブル美術館の
ルーブルピラミッドの地下にあると察知する。
車は衝突して大破。
ケイジはストレッチャーに固定され輸血されていた。
ケイジはループ能力を失ったことを感じた。
リタは無事だったが、ケイジをリセットしようとするリタにループ能力を失ったことを告げる。
その後、病院を抜け出して隊に戻る。
二人でルーブルまで進行するのは無理、仲間が要る。
ケイジはJ分隊の仲間に事情を説明する。
最初は疑っていた分隊の兵もリタ・ヴラタスキの登場で協力に同意する。
翌朝未明。
総攻撃の前に離脱したJ分隊はオスプレイ発展形でルーブル美術館を目指す。
ルーブル美術館に近づくと機は攻撃を受けて分隊員は次々と戦死。
ついにはルーブルピラミッド直前で墜落。数名を残すのみとなった。
もう飛ぶことはできないが、何とか予備動力で前進はできる。
残りの隊員が盾になっている間にリタが操縦して機をピラミッドまで進める。
館内に入るとギタイが襲ってくる。
何とか交わしてオメガに近づくが、アルファが邪魔。
リタが囮になってアルファをおびき寄せ、その間にケイジが手榴弾を投げ込む作戦。
何とか隙をついてケイジがオメガに近づくが、リタはアルファに刺殺されてしまう。
ケイジはやっとオメガのいる水中に入ることができた。
あと少し、その時、背後から伸びたアルファの触手がケイジを貫く。
しかし、ケイジの手からは安全ピンを抜かれた手榴弾が沈んでいった。
次の瞬間、手榴弾は破裂、ケイジはオメガの青い血流に包まれながら沈み、
最後に大爆発があってギタイは壊滅する。
次の瞬間、目が覚めたのはロンドンに向かうヘリの中。
映画冒頭シーンの繰り返し。
違うのはブリガム将軍が謎の大爆破とギタイの壊滅を広報しているシーンだった。
ケイジは少佐としての正当な扱いを受け、ヒースロー空港の基地を訪ねると、
ギタイ模擬訓練場にリタの姿を見ることができた。
「何の用? 何を見てんの。」
リタの言葉に思わず笑みのこぼれるケイジであった。
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戦闘シーンはかなり迫力があった。
パワード・スーツも現実味があった。
CGではなく、実際に(パワードかどうかは別として)作ったものを装着していたらしい。
かなり重く、慣れないと動きもままならないものだったようだ。
若干、時系列の矛盾もあるが、ループをうまく利用。
繰り返しもしつこくなく、編集の妙。
ヘタレが強くなる展開では訓練のシーンがとかく冗長になりがちだが、
実戦での経験を重ねていくところや、訓練場での展開も小気味よく、
徐々に快活になっていくところがだらけずに見れる。
アメリカでも話題になっているようで、リタはどうして自分がループを抜けたことが分かったのか。
死んでみなければわからないはず、と思ったのは私だけではないようだ。
途中ケイジが発言していたように、ループできなくなったと「感じる」ことができたとして辻褄を合わせている。
最後大き目のループをしたのはいいとして、気付いたのはフランスへの攻撃前日。
あそこに戻るのが一番すっきりするのは分かるが、オメガを倒したのは
翌朝の作戦行動直前のはずで、戻ったタイミングではオメガはまだ死んでいないはず。
このあたりの辻褄はどう合わせているのか。
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