ハンナ
シアーシャ・ローナン、エリック・バナ、ケイト・ブランシェット。
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フィンランドの森の奥。
一人の少女が弓でヘラジカを射る。
ヘラジカは逃げるがやがて倒れ、少女は「ごめん、心臓を外した」と言ってとどめを刺す。
突然男が少女を襲う。
格闘の末、男は鹿は自分で持って帰れと言って立ち去る。
男はエリック・ヘラー(エリック・バナ)、少女ハンナ(シアーシャ・ローナン)の父だ。
エリックはハンナに百科事典を読み聞かせ、英語、ドイツ語なども教えていた。
ハンナはしきりにもう準備ができたと父に懇願する。
やがて、エリックは隠していた発信機を取りだし、
これを押せばメリッサに連絡が行くが後戻りはできないと言う。
そしてエリックが狩りに出ている間にハンナは発信機のスイッチを押す。
とあるCIAの基地。
発信機の情報は、メリッサ・ウィーグラー(ケイト・ブランシェット)に届けられる。
メリッサは直ちにエリックの確保を命令する。
エリックは、髪を切り、髭を剃り、スーツに着替えて小屋を離れる。
ほどなくしてCIAの部隊が小屋に到着、先に小屋に入った2名はあっさりやられるが、
残りの部隊がハンナを確保する。
ハンナはCIAのアフリカの地下基地に送られる。
そこで尋問を受けるが、メリッサ・ウィーグラーに会いたいと申し出る。
メリッサは自分が会いに行こうとしたが、替わりのエージェントがメリッサに化けてハンナに会う。
ハンナはメリッサに父のことを聞くと泣いて、偽のメリッサにしがみつく。
他のエージェントがハンナに鎮静剤を打とうと部屋に入った瞬間、
ハンナはメリッサと部屋に入ったエージェントを殺害して逃亡を図る。
逃げる途中、検査室で自身の検査結果を見つけたハンナはそれを持って逃げる。
そして、追うエージェントたちを撒いて外に出て、警戒のジープの底に隠れて脱出する。
そこは砂漠の真ん中だった。
たまたま車で旅行に来ていたソフィー(ジェシカ・バーデン)とその弟や家族と会うが、
別れて歩きモロッコの安宿にタダで泊めてもらう。
そこで初めて電気製品やTVを見てカルチャー・ショックを受ける。
メリッサはかつて、ハンナを連れて逃げるエリックと妻(ハンナの母)を襲撃、
ハンナの母を撃ち殺していた。
メリッサは、アイザック(トム・ホランダー)にハンナ探しを依頼、
自身はエリックを探して殺すつもりだった。
メリッサは東ベルリンのハンナの祖母の家に行き、エリックやハンナの消息を聞くが、
祖母は口を割らず、メリッサに射殺される。
アイザックはハンナの後を追い、モロッコの安宿を突き止めるが、ハンナは出た後だった。
ハンナは、ソフィーの両親のキャンピング・カーに忍び込み、そのままスペインに移動する。
一方、エリックは、海を泳いで渡り、ハンナと落ち合う予定のドイツに入る。
海から上がったところを警官に見つかったエリックは二人を殺して逃亡する。
ハンナから連絡場所に届いた絵ハガキには「魔女は死んだ」と記されていた。
アイザックから連絡を受けたスペインのエージェントはハンナの車を発見し後をつける。
ハンナは結局ソフィーに見つかって友達になり、ソフィーの両親にも所在がばれて、
フランスまで乗せてもらうことになった。
しかし、アイザックらに後を追われていることを知り、車が止まった時に逃げ出す。
追うアイザックら。
ハンナはエージェント2人を殺害して海に飛び込んで逃げる。
エリックはベルリンに着き、ハンナと落ち合う場所へ向かおうとするが、
途中で追ってと遭遇、4人を倒して逃走。
その時、メリッサが生きていることを知り、ホテルにいた彼女を襲うが、
エージェントを殺しただけで逃亡される。
アイザックはソフィーの家族を捕え、合流したメリッサが尋問、
ハンナとエリックの落ち合う場所を聞き出すことに成功する。
ハンナはその場所、ベルリンの廃遊園地のグリムの家に着く。
そこでは、管理人に手厚く歓迎されるが、すぐにアイザックやメリッサがやってくる。
ハンナはメリッサが生きていることと、エリックが実の父ではないことを知りショックを受ける。
そして、そこから脱出、ネットカフェで胎児のDNA操作のことを知って疑いを深めるとともに、
祖母の存在を知り会いに行く。
しかし、すでに祖母は殺された後だと知ることに。
その頃、グリムの家に着いたエリックはメリッサらの存在に気づき、
ハンナが祖母の家に行ったらしいことを知る。
そして祖母の家でハンナに会うがハンナは自分の素性を聞き出そうとする。
それは、胎児を遺伝子操作により、スーパー・ソルジャーにするプロジェクトだった。
しかし、プロジェクトはメリッサにより中断され、処分されそうになり、
エリックは母とともにハンナを連れて逃げたのだった。
そこにアイザックらがやってきた。
エリックはハンナを逃がし、アイザックらと対峙する。
そしてアイザックやその部下を倒すが、メリッサに射殺される。
ハンナは再びグリムの家に向かうが、管理人は惨殺された後で、ハンナはまたも逃げる。
追うメリッサ、逃げるハンナ。
やがて二人は対峙し、一瞬のすきをついて隠し持った矢を放つハンナ。
メリッサも腹を射抜かれながら撃ちかえし、ハンナに傷を負わせる。
今度はハンナが追う。
そして、メリッサが転んで倒れ、銃を落としたその時、
銃をつかんで立ちはだかったハンナがこう言った。
「ごめん、心臓を外した。」
***
映画の出来は、脚本>演出>演技とよく言われることですが、
こういうジャンルの映画にしてはやはり脚本が甘いと言わざるを得ない。
演出もどうなんでしょう、何かこじんまりとまとまっている感じ。
せっかく雪のフィンランドから灼熱のモロッコ、スペイン、ドイツと股にかけての
大逃走劇なのにそういう感じが全くしない。
ハンナやエリック、メリッサの凄さは良いとして、ソフィーらの驚愕振りはうまく表現できてない。
アイザックもすぐ人を殺す冷血な役柄なんだろうけど、いかれたオカマにしか見えなかった。
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こういう物語を見るとよく思うんですが、何年も信じていたことを、
敵だと思っていた誰かのたった一言で嘘だと思うもんなんでしょうか。
ましてや、赤ん坊の時から10数年育ててくれた親のこと、母の仇敵のたった一言で
本当は親じゃなかったんだ、ずっと騙されていたんだなんて思えるもんでしょうか。
途中叱られはしてましたが、段々とケイト・ブランシェットの私怨みたいになってる。
もっとCIAの組織を挙げた捜査にはならんもんなんでしょうか。
母の仇を取るためにわざと捕まってその仇をおびき出す作戦は良いとして、
なんで父とすぐに落ち合おうとしていたのかはよくわからないし、
父も逃げるだけでもっと陽動作戦をとるとかしないのはなぜなんでしょう。
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