2019/7-9鑑賞
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2019年の累計:34(8)[18] 本 ( )は試写会
[ ]は邦画
1−3月期:13(4)[6]本 、4−6月期:11(4)[7]本、7−9月期:10(0)[5]本、10−12月期:0(0)[0]本  
7月:4(0)[1]本、8月:2(0)[2]本、9月:4(0)[2]本    (本数は同時上映の短編を除く)  
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  アド・アストラ  

ブラッド・ピット、トミー・リー・ジョーンズ、リブ・タイラー、ドナルド・サザーランド、ルース・ネッガ。

父の後を追うように宇宙飛行士になったロイ・クロフォード(ブラッド・ピット)

宇宙服を着て宇宙アンテナで作業中に強力なサージ(宇宙磁気嵐)が起こり、ロイは高高度から墜落する。
何とか途中でパラシュートを開き、命は助かるが入院、見舞いに来た妻、イブ(リブ・タイラー)は不満気だ。
その後イブはロイのもとを去ってしまった。

ロイは、宇宙軍の司令部に呼び出される。
上官はロイの父のクリフォード(トミー・リー・ジョーンズ)が担当していた「リマ計画」について語る。
クリフォードは太陽系外生命体を探して宇宙に旅立ち、海王星の近辺で消息を絶っていた。

最近のサージは、リマ計画で打ち上げられた宇宙船が海王星付近から地球に向かって発射されてもので、
既に死亡していると考えられていたクリフォードが生きていて、サージの原因となっているというのだ。

ロイの極秘任務の指示を受ける。
それはサージの影響を受けなかった火星の地下基地から海王星に向かってメッセージを送りクリフォードの意図を探ること。

まずは、月に向かうロイ。月旅行は特別なものではなくなっており、宇宙空港は観光客でにぎわっている。
ロイにはプルーイット大佐(ドナルド・サザーランド)が同行していたが、大佐の目的の一つはロイの監視。

月には紛争地帯があり、火星へ飛び立つロケット基地へ行くには紛争地帯を超えていかなくてはならず、護衛付きで出発。
しかし、案の定、ロイたちは襲われ、他車は全滅。ロイとプルーイット大佐は辛うじてクレーターに滑り込んで助かる。

しかし、基地についたプルーイット大佐は火星への旅に耐えられなくなっており、ロイに秘かにメモリを渡し、
軍はリマ号をクリフォードもろとも破壊する計画であり、またロイを信用していないと告げる。

メモリに記された動画にはクリフォードからのメッセージがあった。
それは、海王星付近まで来たクリフォードは生命体を見つけられず、帰還を望むクルーたちと衝突し、結果全員死亡。
クリフォードが一人で探査を続けるというものだった。

ロケット、ケフェウス号に乗り込み火星に向かうロイ。
途中で救難信号が入る。助けに行くというクルーに反対するが、ロイは極秘指令のため理由を説明できない。
結局、船長とロイが救難信号を出した宇宙船に進入後、すぐに船長の応答がなくなる。
ロイが見つけた船長は大けがをして意識がなく、凶暴化した実験動物のサルが襲い掛かる。

ロイは何とか船長を連れてケフェウス号に戻るが、船長は死に遺体は宇宙葬に付される。
火星に近づくとまたサージが起こり、ケフェウス号はロイの操縦で辛うじて着陸を果たす。

火星では基地の所長、ヘレン・ラントス(ルース・ネッガ)が出迎えるがすぐに宇宙軍に引き継がれる。
ロイは無音室で、クリフォードに向かって軍の用意したメッセージを読み上げるが、反応はない。
2度目、ロイは軍の用意したメッセージではなく自分の気持ちを語る。
しばらくすると、コントロール室の連中はロイに任務終了を告げる。

ロイは冷静さを欠き、心理テストに不合格、地球帰還を命じられる。
ラントス所長は、ケフェウス号が核爆弾を積んでおり、リマ号を爆破する計画であること、
自分の両親もリマ計画に参加して死亡していたことなどから、秘かにロイの手助けをする。
ラントス所長はケフェウス号の発射台の近くまでロイを送る。
ロイは地下水路を通ってケフェウス号の下部にたどり着き、発射直前の船内に入り込む。
指令室からはロイを始末するよう命令が出るが、乱闘の末乗組員全員が死亡、ロイ一人で海王星に向かう。

ロイは海王星の近くに着き、ついに「リマ」を発見。ロイはリングの近くで宇宙船を自動操縦にして探査船でリマ号に向かう。
探査船はリングの岩(小惑星あるいは宇宙塵、破片)にぶつかって故障、リマへのドッキングに失敗。
ロイは探査船を捨ててリマの船内に入った。

船内には乗組員の遺体が。
ロイはリマ号に残されていた膨大な研究データをコピーしてサージの原因である装置に核爆弾を設置する。
タイマーをセットしようとしたとき、「ロイ」と呼ぶ声が聞こえた。
声の主はクリフォード。
船内の反乱で機械が誤作動しサージが発生するようになってしまったが直しようがなくそのままになっているという。

太陽系外生命体探査の旅を続ける意志は固く家族も子供も捨ててしまったと語るクリフォード。
自分は地球には戻らないので、一緒に探査しようとロイに依頼する。
ロイはそれでも地球に帰ろうと説得、
クリフォードに宇宙服を着させ、核爆弾の時限装置を起動させて船外に出る。

しかし、突然クリフードは暴れ出し、自分を放せと言い出す。
やむなくクリフォードを放したロイ。クリフードは遠く漆黒の闇の中に遠ざかっていく。

ロイはハッチを外して防護板とし、リングの岩を避けながら宇宙船に戻る。
宇宙船をリマ号に背を向け、爆破の衝撃を利用して地球に向かう。

43億キロの旅。
ロイは地球に帰還し、心理テストでも合格する。

一人静かにカウンターに座るロイ。
元妻のイブがドアを開けて入ってくるところで映画は終わる。

ほぼブラッド・ヒットの独演。
もちろん、トミー・リー・ジョーンズや、ドナルド・サザーランド、リブ・タイラーなど錚々たるキャストがそろっているが、
すべてがブラピを際立たせるための役回りに思える。

盛り上がりはあるものの比較的淡々と目的に向かって進む展開。
絡む人物が次々と退場し、孤独になってしまう主人公。

尊敬していて、死んだと思っていた父。
死んだのか、生きているのか、出てくるのか来ないのか、終盤までわからなかったが、唐突に訪れる再会。
しかしそれもまた早々と退場し、またも孤独に。

孤独であるということはすべて一人で判断し決断しなければならないということでもある。
自分にとって最善の判断も他の人たちにとって最悪の結果をもたらすこともある。
結局人は一人で生きていくものなのか、と思わせておいて元鞘っぽい終わり方でわずかに光を見させる。

海王星の近辺に到着して、リングの反対側に行くのはかなり無茶するなと思った。
戻る際に宇宙船と自動的に接近できるシステムでもなければ宇宙船に戻ることは難しいだろうと思った。

惑星は太陽の周りを同じ方向に回転しているが、公転周期が異なるため、その位置関係は常に変わっている。
地球から月に行く場合でさえ、出発点によっては月までの距離はもちろん経路も変わる。

海王星は地球と太陽の距離の30倍ほどの公転半径(約45億km)であり、論理的に近地点と遠地点では
太陽と地球の距離の2倍、約3億kmの差が出る

ただし、公転周期は約165年で、地球から見ればほぼ同じ位置にあるので、地球との距離はもっぱら地球の位置によると考えてよい。
それでもミレニアム・ファルコン号でもあるまいし、帰還にはなるべく省エネで時短を目指す必要があり、詳細な計算は必須。
初期加速に核爆発エネルギーを利用するにしてもタイミングはかなり微妙。
とにかく海王星を離れればいい、というわけにはいかない。

 

 

                

 記憶にございません!   

中井貴一、ディーン・フジオカ、小池栄子、草刈正雄、石田ゆり子、吉田羊、ROLLY、佐藤浩市、木村佳乃、斉藤由貴。

男(中井貴一)は病院のベッドの上で目を覚ます。
なぜここにいるのかはもちろん、自分が誰かもわからない。
ベッドを降り、病院を抜け出していくと道行く人が怪訝な目で見ている。
食堂に入り、TVに総理大臣である自分が映っているのを見る。
手持ちの金がないというと、店主に金は要らないから出てってくれと言われる。

路でうろたえていると、若い警官、大関(田中圭)に連行される。
自分は総理らしいというと、じゃSPにしてくれ、と返される。
しばらくして黒塗りの車が何台もやって来て男を連れ去った。

男の名は黒田啓介、支持率2.3%の嫌われ総理。演説中に投げられた石に当たって入院していたというのだ。
秘書官の井坂(ディーン・フジオカ)は番場(小池栄子)に首相の記憶喪失を秘密にするように指示。
井坂はこの機を利用して政治を思い通りに動かそうと考えていた。

番場は、黒田総理を公邸に送る。
黒田は最初に出会った女性(斉藤由貴)を妻だと思いハグをするが、彼女は料理人の寿賀だった。
次いで出てきた妻の聡子(石田ゆり子)は、ハグしようとする黒田を怖いと言って避ける。
一人息子の篤彦(濱田達臣)は黒田の態度が気に入らない。

翌日の官邸で、転んだ女性記者を気遣うところを見せみんなにびっくりされるが、TVのニュースでは、
キャスター(有働由紀子)に相変わらずこき下ろされる。
閣議で牛尾(飯尾和樹)に「例の件は例の通り進めます」と言われても何のことかわからず、そうしてくれと言うばかり。
内閣を牛耳るのは官房長官の鶴丸(草刈正雄)。もう10年も官房長官を務めている。

妻の聡子は秘書官の井坂と不倫していてそれがばれたのではないかと疑っている。
井坂は首相に対する反発から聡子を誘惑していたが、首相の記憶喪失は隠している。

黒田は対立する野党第一党の党首、山西あかね(吉田羊)にホテルに呼び出される。
山西は与野党合流を模索していたが、突然着替えて黒田に迫る。実は二人は不倫関係にあった。
黒田は焦って部屋から逃げ出す。

黒田に見知らぬ男(忘れているだけ)から電話が入る。
男は「例のもの」の代金を支払えというが黒田には全く記憶がない。

黒田を呼び出した男はフリーライターの古郡(佐藤浩市)、例のもの=写真の代金は3千万円だという。
どこに置いたか何の写真かさっぱりわからず困る黒田、結局は聡子の不倫写真を見つけるが、金の工面には苦労する。

黒田は改めて政治の勉強をするため、小学校時代の教師、柳(山口崇)を呼ぶ。
黒田の態度を見直し始めた周辺、井坂は黒田を助けるため、鶴丸追い落としを画策。
黒田の意見で古郡に鶴丸のスキャンダルを探らせる。

そんななか、アメリカ初の女性日系大統領、スーザン・ナリカワ(木村佳乃)が来日する。
得意のはずの英会話、ゴルフ、手料理は全く覚えておらず、寿賀を黒子にして料理を作ったふりをするなどして何とか乗り切る。

しかし、農業分野の自由化を求められた黒田は断固拒否、ナリカワは激怒して席を立つ。
つるまるは黒田を激しく非難、退陣させようとする。

しかし、共同記者会見で黒田を非難していたナリカワは一転黒田を称賛し、新しい日米関係の始まりと絶賛する。
鶴丸も手のひら返しで黒田を持ち上げるが、黒田は鶴丸に辞めるよう言うので、古郡に聡子の不倫をリークさせる。

しかし、鶴丸は突然飽きたと言って官房長官を辞めてしまう。
本当の理由はゴルフでズルをしているところを古郡に撮られた写真だった。
後任には、聡子の兄で前首相の息子、景虎(ROLLY)を指名した。

聡子はスキャンダルが表に出て公邸を出ていき、井坂は辞表を提出する。
しかし、黒田は井坂を慰留し、井坂はますます黒田の支援に力を入れる。

黒田は大関をSPとして採用し、冒頭の約束を果たす。
冒頭の投石犯、南条(寺島進)が特定されるが、黒田は咎めず、政策の改善を約束する。

また、幼馴染のゼネコン社長、小野田(梶原善)からの献金を返し、トンでも公共事業のK2プロジェクトを中止すると宣言。
小野田はびっくりするが学校時代の友情を思い出し感激する。

黒田は山西に電話して協力を仰ぎ、国会で妻の不倫について質問させ、TVに向かって妻に戻るよう演説する。
聡子は感激して黒田の元に戻り、再会シーンはTV中継される。

これで支持率が上がったかに思えたが、なんと2.8%への微増。
相変わらずニュースではキャスター(有働由紀子)が批判的なコメント。

黒田と聡子が官邸のテラスで観衆に手を振っているところをパチンコで狙うスナイパー(川平慈英)。
新米SPの大関が察知して防御し、テラスから飛び降りてスナイパーを追った。

その後、父を馬鹿にしていた篤彦が将来総理を目指すと宣言して黒田を喜ばせる。

番場が黒田の小学校時代の作文を見つけた。
そこには、本当は明るいのに話下手な自分が突然性格を変えるにはボールでも当たって記憶喪失のふりをするしかないとあった。

ひょっとして記憶が戻っていたのでは、訝しがる番場に黒田は機密だといってごまかすのだった。

黒田の記憶が戻っていたのが一体いつだったのかは観客に想像させる結末。

きれいにまとまって破綻なく笑いどころも満載で、監督には失礼だが久々によくできた邦画を見た感じ。

ROLLYにはびっくり。
最初から声でROLLYだと分かってはいたが、顔は見違えた。
さりげなくギターを弾くシーンを入れるなどは憎い演出。

 

 

               

 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド  

ブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオ、マーゴット・ロビー、エミール・ハーシュ、アル・パチーノ。

リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)はかつてTVの人気西部劇「バウンティ・ロー」(「賞金(稼ぎ)の掟」)の
主役で一世を風靡した俳優だが、最近はいい役に恵まれない。

スタントダブルのクリフ・ブース(ブラッド・ピット)をドライバーとして撮影所に通う毎日。
リックが落ち目になるとともに、クリフの出番も少なくなっている。

リックとクリフは大物プロデューサーのマービン・シュワルツ(アル・パチーノ)と会う。
今のままじゃゲスト出演しては殺される悪役ばかりで名声は地に落ちる、いっそマカロニ・ウェスタンに出てはどうかと誘う。
真実を指摘されがっかりするリックだが、マカロニ・ウエスタンに出る気はなかった。

ハリウッドの高級住宅街の自宅に戻ると、すぐ隣にロマン・ポランスキー監督とその妻、シャロン・テート(マーゴット・ロビー)が
家に帰るのが見れた。
最近越してきたポランスキー監督夫妻。リックは何とか映画に出してもらえないかと期待しているが接点はない。

クリフはリックにプロデューサーに自分の出番を頼んでほしいというが、クリフを嫌っているランディ(カート・ラッセル)が
プロデューサーだから難しいという。

クリフはかつて撮影所でブルース・リー(マイク・モー)とトラブルになり、ランディのかみさんの車を激しく傷つけ、
役を棒に振ったことがあった。

リックは、クリフに風で倒れたTVアンテナを直しておくよう頼み撮影に入る。
リックは敵役。監督はヒッピーのようないでたちを要望し、リックはしぶしぶ応じる。

そのころ町ではヒッピーがたむろしていた。
グループの中の若い美女と何度か遭遇するクリフだったが、彼女をヒッチハイクに乗せることはなかった。

家に戻りTVアンテナを直していると、1台のワンボックスが家の前に止まった。
道に迷ったというその男こそがチャールズ・マンソン(=チャーリー、デーモン・ヘリマン)だった。

町では一人歩くシャロン・テートが自身の出ている映画を見ようとしていた。
この映画に出てるの、と言って支配人に取り次いでもらい、ただで映画館に入れてもらい、記念撮影をし、
自分の出演シーンでは観客の反応を楽しそうに見ていた。

リックはTV西部劇でやはり悪役だった。
相手役は若手のジェームズ・ステーシー(ティモシー・オリファント)。
撮影待ちの時間に、落ちぶれた役者の小説を読んで身につまされて涙し、共演する子役のトゥルーディ(ジュリア・バターズ)に
慰められる有様。

撮影では何度も練習していたはずのセリフが飛んでしまい、撮影はこなしたものの自己嫌悪に陥る。
その後、気を入れなおして臨んだ撮影では見事な演技を披露し、アドリブもドンピシャで監督が絶賛。
トゥルーディもリックに賛辞を贈る。

そのころ、またもヒッピーの女プッシー(マーガレット・クオーリー)に出会ったクリフは彼女を乗せ、家まで送ることにした。
家は「スポーン・ムービー・ランチ」(スポーン映画牧場)かつて「バウンティ・ロー」の撮影で行ったことがある場所だった。
道は知ってる、クリフは牧場の入り口に車を止め、女と一緒に中に入っていく。
大勢の女と少しの男。
体験乗馬を生業としているようだった。

馬に乗った一人の男テックス(オースチン・バトラー)がクリフに挨拶に来るが、特に何もなかった。

当初は愛想良くクリフを迎えた女たちだが、ここのオーナーはジョージ・スポーンだったはずだ、というと態度が変わった。
ジョージに挨拶するというクリフに寝ているとか疲れているとか言って会わせないようにする。

それでもクリフがジョージの家に入るとほかの女を家から出したリーダー格のスウィーキー(ダコタ・ファニング)が対応。
ジョージは奥の部屋で寝ているという。
奥に行くと確かにジョージ(ブルース・ダーン)は寝ており、起こすとぼけているのかクリフのことは覚えていなかった。
ジョージがいいように騙されているのではないかとのクリフにジョージはそんなことはないという。

家を出るとみんなは憎悪の目でクリフを見た。
車のタイヤにはキセルが刺さっておりパンクしていた。
クリフは車から道具を出すと、そばの男に直せと命令。嫌がる男をぶちのめし、無理やり直させた。

一人の女がテックスを呼びに行くが、テックスが戻った時にはクリフが去った後だった。

それから半年、リックはつマカロニ・ウェスタンに出るためイタリアに飛んでいた。
何本かのマカロニ・ウェスタンを撮り、かなりの成果を上げ、若い妻フランチェスカ・カプッチ(ロレンツァ・イッソ)と
帰国する。
妻は時差ボケで床に就き、リックはプールでセリフを覚えているところだった。

くりふは飼い犬のボクサーにせがまれてサンボに出るが、以前プッシーから買ったLSD入りのたばこを吸う。

そのころ、ハリウッドセレブの豚野郎どもをぶち殺すと息巻くヒッピーの4人組がボロ車でリックの家の前に来る。
家の前は私有地の道路になっているのでリックは激怒して車を追い返す。
公共の道路に車を止めた4人は銃やナイフを持って再び道を歩いていく。
一人の女がナイフを忘れたと言って車に戻り、おじけづいたのかそのまま逃げてしまう。

残された3人は迷わずリックの家に向かう。
表から男と女、裏口から女が押し入る。

音楽に目を覚ましたフランチェスカが下りてきて3人に気づくがナイフで脅されて動けない。

全く動じずに対応するクリフ。LSDが効いてきて動きがおぼつかない。
3人を前に見たことあるぞとか名前は何だっけ、とか言って男が馬のやつだと気づく。
馬のやつ、テックスが銃を構えたところ、クリフが舌打ちすると、ポクサーは勢いよくテックスの手にかみつき、
テックスは銃を落とす。
さらに手が折れるほどかみついたボクサーはクリフの舌打ちでテックスの股間にかみつく。

クリフは一人の女に足を刺されるが、反撃し、頭をつかんで暖炉、テーブルなどに勢いよく打ち付ける。
フランチェスカは自分を押さえていた女を突き飛ばして逃げる。

ボクサーはテックスから離れてフランチェスカにそばにいた女にかみつく。
女はナイフを落とすが、落ちていた銃を拾って庭に逃げる。
プールにいたリックはそこで初めて暴漢に気づき、プールから飛び出して倉庫に向かい、
以前撮影で使った火炎放射器を持ち出して女に向かって放射する。女は断末魔で空に向かって銃を撃ち焼け死ぬ。

近所が通報したのか、警察がやってきたが、暴漢3人は死亡。クリフは脚を刺されており、救急搬送される。
隣の家の門扉の向こうからシャロン・テートの友人、セブリング(エミール・ハーシュ)が顔を出し、
騒動のいきさつを聞き、ゲートを開けてリックを家に招き入れる。

こうして騒動は収まった。

ダコタ・ファニングは全く気付かなかった。
今でもあれがダコタ・ファニングだったとは信じられないぐらいだ。
また見る機会があれば今度は先入観を持ってじっくり見てみたい。

テックスのオースチン・バトラーは一瞬アダム・ドライバーかと思った。

ブラピもディカプリオもすごくよかった。
初共演は意外だが、お互いの持ち味がよく出ていて、シナジー効果的なものが出ていたように思う。

ブラッド・ピットはこの後「アド・アストラ」に出ているが、そのあとの公開予定映画がない。
「ワールド・ウォーZ」の続編はどうなった。

レオナルド・ディカプリオは実は長編は2016年の「レヴェナント」以来で、次回作の予定はいくつかあるようだが、
公開予定時期がはっきりしているものはない。

クエンティン・タランティーノも「スタートレック」の噂はあるようだが、次回監督作ははっきりしない。

そのクエンティン・タランティーノ監督作だということをすっかり忘れてしまっていて、ラスト13分云々の宣伝文句もあって、
途中からどういう風にシャロン・テートがやられるのかばっかりが気になってしまった。

自分自身に「イングロリアス・バスターズ」での結末を考えてみれば、一筋縄ではいかないのがわかるだろ、と言いたいところだった。

説明がなく時系列が入れ子になったり、脈絡なく場面が切り替わるので、分かりにくいといえばわかりにくい。
また、気を持たせた挙句何も起こらないというこのシーンいるのか、も監督の得意技。

タランティーノ作品をまともに見たのは(もちろん「キルビル」は2作とも見たが)「イングロリアス・バスターズ」からかも。
「ジャンゴ」「ヘイトフル・エイト」は面白かった。
有名な俳優を惜しげもなく無駄に使ったり、思わぬ展開があったりと先を読ませない。
この映画は途中がわかりにくい点ではいまいちだが、それぞれのエピソードは面白かった。

 

 

                   

 引っ越し大名   

星野源、高橋一生、高畑充希、松重豊、濱田岳、小沢征悦、富田靖子、及川光博、西村まさ彦、向井理。

江戸時代前期(1642〜1695)に実在し、生涯7度の国替え(藩主としては5回)を経験し、
引っ越し大名とあだ名された松平直炬(なおのり)の物語。

越前大野藩=>出羽山形藩=>播磨姫路藩(先代が国替え中に死去、藩主となる)=>越後村上藩=>再び、播磨姫路藩、
となってからのお話。

松平直矩(及川光博)は1682年、突如、姫路藩から豊後肥田藩への国替えを命じられる。
同時に15万石から7万石へ減封となる。

藩主の直矩にはお国替えになった心当たりがなくはなかった。
最近江戸城で幕府納戸役の柳沢吉保(向井理)とトラブルになり反感を買ったから、と思われた。
柳沢吉保が、将軍、徳川綱吉にあることないこと吹き込んだからだろう。

先代からの度重なるお国替えで藩財政がひっ迫しているうえに減封とあっては、引っ越し費用の捻出さえ難しい。
さらにそれまで引っ越しの段取り一切を仕切っていた武士が亡くなってしまっていた。

重臣たちは引っ越し段取りの役回りを誰にするか相談するが、誰もそんな難題に手を上げない。
指名されそうになった鷹村源右衛門(高橋一生)は友人で書庫番の片桐春之介(星野源)の名前を挙げる。

片桐春之介は、人付き合いが苦手で書庫にこもりっきりで、かたつむりと揶揄されている人物。
しかし、本を読み漁っているのだからそれなりの知識があるだろうと指名されることになった。

早速呼び出された片桐春之介に対し、家老の本村三右衛門(松重豊)は「引っ越し奉行を命ずる」と宣言し、
嫌がる春之介に「できないのなら腹を切れ」と迫り、春之介は否応なく受けることになった。

実家では母、波津(富田靖子)が息子が奉行になったことで大喜び。
しかし春之介は何から手を付けていいのかさっぱりわからない。

前回の費用はわかったものの藩の金庫では1万数千両も不足する。

考えあぐねた春之介に源右衛門は、前回の引っ越しを取り仕切った武士の娘がいると教える。
資料が残っているはずだというのだ。

春之介が町はずれの家を訪ねると、最初は愛想がよかった娘のお蘭(高畑充希)も春之介が来た理由を聞いて激怒する、
かつてお国替えを見事に成し遂げた父は、下士(下級武士)であったため評価されず上士(上級武士)に手柄を横取りされ、
失意のうちに病で亡くなっていたからだった。

事情を知った春之介は、その墓に参り、墓石を丁寧に洗いながら、かつての非礼を詫びるのだった。
それをちょうど墓参に来たお蘭とその息子、音松は物陰から眺めていた。

三右衛門は春之介に進捗を尋ねるが、回答からは進んでいるように見えなかった。
激怒した三右衛門は春之介にその場で腹を切るよう申し渡す。
源右衛門は介錯の用意までする。

そのころ、馬を飛ばして家老の屋敷に向かったお蘭。
門番に事情を説明して中に入り、まさに切腹させられようとしている春之介のいる場所で荷物の書類を広げ、
段取りはできており、すべて春之介とすり合わせが終わっていると宣言、春之介は切腹を免れる。

勘定奉行の佐島竜五郎の春之介に対する態度に疑義を感じていた勘定頭の中西監物(濱田岳)は、秘かに調べた資料を春之介に渡す。
そこには城下の商家などで借金ができる家と金額が掛かれていた。
引っ越し費用不足分の1万何千両を工面するための資料だった。

春之介はさっそく中西監物とともに不足分の半分に当たる8千両を借りられそうな廻船問屋の和泉屋を訪ねる。
しかし、頼みの主人はすでに隠居、跡を継いだ新吉は借金を踏み倒されることを嫌がり体よく断る。
引き下がれない春之介は土間に土下座して頼み、新吉は折れる。
姫路の酒を日田で売るために和泉屋を使うことも条件にした。

春之介は残りの借金を止めると言い出し、費用削減の手を打つ。
引っ越し人足を雇うのを止め、藩士が人足の風体に化けて自ら荷物を運ぶ。
「見切り御免状」を手に、藩士の荷物を半減させ、見切ったものはすべて売り払い、金で藩士に戻す。

しかし、半分以下の減封とあっては藩士の首切りに手を付けざるを得なかった。
石高が元に戻れば必ず武士に戻すと約束し、大勢の藩士に首を言い渡し、山奥の未開拓地の開墾を依頼。
春之介の意をくんで首切り対象のリーダー役に応じてくれた山里一郎太(小沢征悦)のような武士もいたが、
泣くもの(ピエール瀧)、死んでやるというもの(飯尾和樹)まで出たが押し切った。

自分は捨てないのかとの非難には4日間書庫にこもって書物を読破。
読んだ本はすべて覚え、燃やして捨てる暴挙に出た。

こうして、何とか準備が整っていよいよ出発となった。
しかし秘かに引っ越しが失敗することを望んでいる者がいた。
それは次席家老の藤原修蔵(西村まさ彦)。幕府隠密と密会し城主直矩の失脚を狙っていた。

引っ越しの一行は旅立ったが、お国替えでは大切な城の引き渡しが残っていた。
城の正確な図面、城下の測量とその資料、その他諸々の資料をそろえて姫路に入る福島藩へ無事に引き継いだ。

春之介には心残りがあった。それはお蘭。
藩士だった夫が亡くなり、一平民となっていたお蘭を日田には連れていけない。
お蘭はとっさに自分と春之介が夫婦になれば息子の音吉ともども日田に行けると言い出し、そのまま夫婦になってしまう。

一行に追いついた春之介とお蘭、音吉。してやられたと悔しがる源右衛門。

一行が海岸の漁村を通っていた時、突然漁民たちが武器を取って襲い掛かってきた。
隠密の田中(和田聰宏)とその仲間だった。

藩主の直炬は伝家の巨大槍を源右衛門に託し、源右衛門はここぞとばかり活躍し敵を蹴散らす。
そしてついに隠密の頭田中を討ち倒した。

裏切者がいる、江戸留守居役の中田小兵衛(山内圭哉)が早馬で駆け付け注進。
陰謀がばれた藤原修蔵は逃げようとしたが、隠密田中の最後っ屁、手裏剣の餌食となって絶命した。

無事着いた日田藩は天守もない陣屋づくりの城構え。
がっかりしつつも藩政にいそしむ人々。

そんな中でも春之介は姫路に残してきた人たちに便りを欠かさなかった。
しかし、またもお国替えの指令、今度は山形藩だが加増はなし。

そして姫路を出てから実に15年、白川藩へのお国替えとともに元の15万石への加増が成った。
春之介は姫路に残した藩士たち(帰農者たち)に藩士への復帰を知らせに行く。
山里一郎太は大いに喜んだが、農家を続けるとして戻らないものもいた。

お蘭との間にできた子も元服し、国家老に取り立てられた春之介。
白川藩に藩士に戻った武士たちが登城。
春之介は志半ばで(藩士に戻れず)亡くなった者の名を刻んだ碑と、武士を捨てた人たちの太刀を直矩に見せるのだった。

題材としては面白いし、おそらく原作(未読)はもう少し面白いのだろうが、なんとなく盛り上がりに欠ける。
設定や展開が唐突すぎて現実味がなく上滑りしている。

例えば直矩(及川光博)が姫路から日田へ国替えを命じられたのは、柳沢(向井理)とのトラブルなんかではなく、
越後騒動での不手際が原因。
いくら何でも、あの程度で「将軍の逆鱗に触れてお国替え」はあまりにもあり得ない。
向井理を出すための無理やりエピソードではなかったか。

そもそも姫路から越後に国替えになったのも、山形藩から姫路への国替えの際、父の直基がなくなってしまい、
跡を継いだ直矩がわずか5歳で姫路藩主となったため、荷が重いとして移動させられたもの。
その後姫路に復帰してからが本作の出だし。
確かに度重なる国替えで藩の財政は危機に瀕したようだが、国替えにはそれなりの理由があり将軍の単なる思い付きではない。

松重豊がすぐ腹を切れというのも上滑り。
誰も手を上げないから星野源に押し付けたのに死なせてしまっては後釜に困るだけ。
さらに期限が迫ってから切腹させて引っ越しが失敗したら、腹を切るのは国家老の自分自身だ。

家財を売り払う「見切り」はいいとしても、大切な書物を燃やしてしまうのはどういうことだ。
本当に捨てなければならないとしても兵法書などは売れるはず。
そもそも書籍類は春之介の所有物ではなく藩のもの。
捨てることで精神的なダメージはあっても経済的ダメージはなく、ましてや燃やしてしまえば藩財政の足しにもならない。

また次男が元服したエピソードを入れるためか、15万石に戻るのは姫路を出てから15年となっているが実際は10年だった。
なお、元服は厳密には年齢が決まってはいなかったが、江戸時代では概ね数え15歳ごろ(満14歳ごろ)だったようだから、
10年では都合が悪いのだろう。

せっかく型破りな髪形で本編を乗り切ったのに最後の最後、月代を剃った普通の髷姿はどうなのか。
おそらくは年を重ねたことを表すのに適当な髪形がなかったのだろうが、違和感しかなかった。

藩士たる父が死んで、こぶつき出戻り娘が冷や飯を食わされるのはあり得ない話ではないが、
ああもあっさりと夫婦になることが叶うのか。武士の婚姻にはそれなりの許認可が必要で段取りを端折りすぎ。

西村まさ彦(雅彦から改名)の単独犯説も信じられない。
いくら何でも家臣の何名かはいるだろうし、なぜ誰も西村まさ彦に加勢しないのか。
また、隠密と結託して主人を裏切るような輩が、お家騒動の後に旗本に取り立てられるものなのだろうか。
江戸幕府と直接のつながりが示唆されていたとも思えない。
仮に幕府とつながりがあったとしたら和田聰宏が西村まさ彦を狙ったのも意味不明。

思い起こせば「最後の忠臣蔵」で大石内蔵助は瀬尾孫右衛門に対して、隠し子の可音(かね)の将来を託す際に、
「私は浅野家の家臣だから討ち入るが、お前は大石家の家臣だから討ち入らずに私の命令を聞くように」と指示している。
事程左様に武士の、あるいは武家の主従関係はかなり厳密なはずだ。

つまり、全般に時代考証はさほど重要視せず、現代風の成り行き、展開としていることに少し無理がある。
現代風で行くならそれで構わないが、もう少しやりようがあったのではないか。

個人的には映画は映画、小説は小説と考えている。
原作と映画の違いを論じるのはあまり意味がないと思っているし、いろいろ書いては見たものの
史実とどう違うかを強調するのはどうかと思うが、本作の感想で「実際にあった些細な理由での理不尽な国替え」と、
書いている人が意外と多く、ちょっと違うよなと思った次第。

全く話は変わるが、ピエール瀧が出ていることに驚いた。
個人的には出演に問題はないと考えているが、「麻雀放浪記」であれほど話題になったのに、今作ではスルー。
メディアの心変わりの速さには感心する。
なお、蛇足だが「居眠り磐音」では奥田英二による撮り直しが行われている。

 

 

                  

 

 ダンスウイズミー   

三吉彩花、やしろ優、三浦貴大、ムロツヨシ、宝田明、chay

大手商社に勤める鈴木静香(三吉彩花)は、湾岸エリアの高層マンションに住んでいる。
会社には若手女子社員のあこがれの村上亮介(三浦貴大)がいて、新プロジェクトを担当している。
噂では、プロジェクトの課員が一人辞めるので後任を探しているらしい。
みんな虎視眈々とその座を狙っているが、村上ばよほど気に入った人物でないと入れないとも噂されている。

ある日の昼休み。
帰り際、出遅れた静香は課長に声を掛けられ、仕事を頼まれる。
それはなんと、村上の新プロジェクトの資料を整理してプレゼン用にすることだった。
村上に月曜までに・・と急がされ、持ち帰り仕事になってしまった。

ところが、実家の姉から電話で、都内で同窓会があり、両親も出かけてしまうので娘(静香の姪、奈々)を預かってほしい、
というものだった。
急ぎの仕事があるから、と断る静香を無視して姉が押しかけて姪っ子の奈々を無理やりおいて行ってしまった。
奈々の面倒はほとんど見ないで仕事を進めた静香。
何とか1日で資料は完成し、村上に送信。
手の空いた静香は奈々をお詫びに翌日遊園地に行こうと誘った。
村上からは資料のお礼と月曜10時の会議に同席するよう返信が来た。

翌日の遊園地で、奈々は突然怪しい掘立小屋のマーチン上田(宝田明)の催眠術を受けると言い出した。
今度、学芸会でミュージカルをやることになり、奈々がその主役をやるので催眠術で自信をつけたいという。
静香には小学校のミュージカルで苦い思い出があった。
クラスでミュージカルの主役に選ばれたものの、緊張のあまり、本番の舞台でゲロゲロ〜とやってしまったのだ。

奈々と一緒に催眠術の小屋に入った静香。
そこでは先客が催眠術を掛けられ苦手な玉ねぎをおいしいと言って頬張り、お礼だと言って既定の500円より、
多額の金を置いて出て行った。

見たところ、胡散臭い指輪やDVDなどを高額で売りつけているようだった。
全く催眠術師を信用していない静香。
マーチン上田は、奈々に明日からあなたはミュージカルスター。音楽が聞こえると歌いだし踊りだす、と術を掛ける。

家に帰ると、姉が奈々を連れ戻しに来た。
姉は実家はそれほど遠くないから時々顔を出すようにと言い残して帰っていった。

月曜朝、町中に流れる音楽の数々。静香はそれらにいちいち反応してしまい、自分が催眠術にかかっていることに気づく。
同僚女性がびっくりした様子で見る中、会議室に駆け込んだ静香。
村上の思い切ったイメチェンを訴えるプレゼンに対し、お歴々の反応はいまいちというかむしろ悪い。

焦る村上がイメージソングを掛けたその瞬間、静香の体は勝手に反応。
歌いだし、踊りだし、テーブルの上を駆け抜け、紙吹雪と同僚社員が合わせて踊る。

音楽が終わると現実に戻り、会議室からこちらを見る幹部連中、紙屑まみれになって唖然とする社員たち。
静香はいたたまれなくなって会社から駆け出してしまう。
これは催眠術を解く必要がある。
催眠療法専門の医師を訪ねると、最初は高をくくっていた医師も静香の症状を見て精密検査を行い、
催眠を掛けた人でないと解けないと言われてしまう。

慌てて、遊園地にマーチン上田を訪ねると、そこには強面の男性が3人いて「お前もか」という。
3人は借金取りだった。遊園地の管理人が小屋を開けると中はもぬけの殻。

がっかりして帰ろうとする静香は玉ねぎを食べていた女性、斎藤千絵(やしろ優)とばったり。
千絵は「さくら」で、給料ももらっていないという。

二人は、その足で近くの渡辺興信所に行き、渡辺義雄(ムロツヨシ)にマーチン上田の捜索を依頼するが、
あまりの高額に千絵は下りてしまい、静香が一人で費用負担することになった。

夜、静香の自宅前で待っていた村上は静香を絶賛。突然のダンスのおかけでプレゼンは成功、プロジェクトの認可が下りたという。
村上は自分のプロジェクトへの参画を要請したが、静香は理由を言わず一週間待ってもらう。
お礼に食事をおごるという村上、静香は音楽のない静かなところを条件に申し出を受ける。

行った場所は高級フレンチ。
食事中、村上に電話が入り中座する。と、客の誕生日祝いのサプライズで突然「ハッピーバースデー」が流れ、
静香は踊りだしてしまう。

その後、なんと生バンド演奏が始まり、静香は再び踊りだし、歌いだし、シャンデリアにぶら下がっての大暴れ。
現実には、食器もテーブルもぐちゃぐちゃ、シャンデリアも落下して壊れてしまっていた。

支配人は壊れたものを弁償してくれれば、警察沙汰にはしない、というので、静香は応じるしかなかった。
村上には突然具合が悪くなったと伝言して。

静香は家具をすべて売り払ってがらんとした部屋にいた。
興信所の渡辺から電話が入り「マーチン上田らしき人物を発見した」と言い、写真を送ってきた。
渡辺が場所は別料金というので、金はないと電話を切り、送られてきた写真をよく見ると新潟で講演とあった。

一方、チラシ配りをしていた千絵は街頭ビジョンでぼかしの入った踊って暴れる女性の姿を見て静香だと気づく。
静香は無一文になって千絵の車でマーチン上田を探そうと提案。
千絵はガソリン代ぐらいは出せというので、実家に戻って奈々の貯金箱を借りる。

金のことで千絵と静香が揉め、ミニバンの走路を妨害し、怒ったミニバンと口げんかになるが何とか逃げる。

目的地の新潟のスーパーに着くが、マーチン上田の講演は終わった後、次は弘前。
がっかりする二人に弱り目に祟り目。逃げた際の衝撃でオイルパンが傷つきオイル漏れで動かない。
そこへ、ミニバンの連中がやってきて千絵と静香を連れて行ってしまう。

タコ殴りにされるかと心配する二人。
そこにライバルの一団がやってきてバトル開始。
なんとそのバトルはミニバンの特製オーディオの大音響を利用したダンスバトル。
踊りだした静香と千絵。ダンスバトルに割って入り、双方から絶賛され無事に抜け出せる。
修理工場に行き、拠金箱を開けると中身は小銭ばかり。工場の社長に呆れられる。

途方に暮れて近くの公園に行くと、弾き語りでCDを売っている女性、山本洋子(chay)と遭遇。
全く客が集まらずしょぼくれている洋子に、静香が参戦。千絵とトリオで歌いだすとたちまち大人気。
あっという間に修理代は集まった。

洋子は秋田でライブがあるので乗せていってくれという。
もともと電車賃を稼ぐだけの予定だったので、金は全部静香と千絵に上げるという。
弘前も秋田の大して変わらない(かなり違うけど)と金を稼ぎながら秋田に向かう。

洋子は静香と千絵に秋田のライブに一緒に出るよう依頼。貸衣装を借りてスタンバる二人。
洋子についていった先は結婚披露宴。
サプライズで歌のプレゼント、と言われて出たステージは何やらいわくありげ。
「ウエディングベル」をうたいつつ、洋子は次第に取り乱し、ついにはステージから新郎新婦に向かって走り出す。
逃げ出す新郎新婦。大混乱の披露宴会場。
千絵と静香も逃げ出す。

やっとの思いで着いた弘前の旅館。一足違いで講演が終わったところだった。
東京から追っかけが来ていたという旅館の中居。その追っかけとは渡辺だった。
ポスターが残っていないか聞くとすべて捨てたという。
千絵は回収されたばかりのごみを追って清掃車を追い、飛び乗って何とかポスターを探し出し、次は札幌だと知る。

フェリーで函館に向かう途中、カラオケで盛り上がる千絵と静香。
ナンパされた千絵は稼いだ金を持って飲みに行き、ナンパ男に騙されて金と車を持ち逃げされてしまう。

千絵をののしる静香。
ヒッチハイクで札幌に行こうとしたが止まった車は渡辺のものだった。

一方、途方に暮れる千絵。コンビニでうろうろしていると、フェリーで盛り上がった韓国人旅行グループに遭遇。
一緒に札幌へ行こうとバスに乗せられてしまう。

函館北斗駅で渡辺は3人の借金取りが報酬をもらい、マーチン上田の居場所を教える。
静香は渡辺をののしりつつも、札幌まで同乗する。

そのころ、千絵の車を持ち逃げした男が異音に気づいてトランクを開けると、飛び出した洋子が男をキック。
男が昏倒する隙に車に乗って逃げる。

マーチン上田の講演会場。
金がない静香に対し、借金取りが同業だと思って入場券を買ってくれる。
一方渡辺は小銭がなく、結局マーチン上田のグッズを買って金を崩し、入場券を買って入る。

マーチン上田は弘前で捕まえた女性をさくらに玉ねぎネタをやるが失敗。
やじる借金取りにビビるマーチン上田。
千絵が催眠術を申し出て玉ねぎネタをやると同時に小声で静香の催眠術のことを知らせる。

マーチン上田は静香を指名してミュージカルスターの催眠を仕掛ける。
借金取りも同じ催眠にかけられ、ダンスを踊りだす。「曲が終われば元通り」と言ってマーチン上田は姿をくらます。

果たして音楽が終わり我に返った借金取りはマーチン上田を追う。
静香の催眠は無事に解けていた。

会場の外には千絵の車と持ち逃げされていた金が置かれており、二人は東京に戻る。
千絵と別れて会社に戻った静香。
静香を見て安堵する村上だったが、静香は急に考えを変え、会社を捨てて千絵が開業するダンススタジオに向かった。

しばらくして、奈々の学芸会に集まった家族と静香と千絵。
奈々のミュージカルに合わせてみんなが歌い踊る。そして静香は子供のころの自分をステージに連れ出し歌い踊るのだった。

いわゆるミュージカル映画ではない。
突然歌いだし踊りだすミュージカルの特性を「催眠術にかかっての思い込み」にかこつけて見せているだけ。

ターゲットを追い、徐々に近づいてついには追いつく、ミュージカル風ロードムービーと言ったところか。

我に返って、ダンスシーンの中身はすべて妄想だったと分かるのは斬新。
弁償や警察の検問などの現実とダンスの違和感をうまくバランスしている。

全体として展開に破綻なく、笑えるシーン満載でロードムービーにしては各地のエピソードが印象に残った。
ロードムービーではエピソードを詰め込むあまりなぜそこに行くのか、とともにそこで何が起こったのかの記憶が飛ぶことが多い。

全く疑問がないわけではなく、二人の貸衣装はいつ返したんだ、は気になったし、
chayがどうやって札幌で三吉彩花、やしろ優の居場所を知ったかは疑問だった。

三吉彩花はモデル出身だけあってたっばもあり、スタイルはいい。やせぎすに見えないところもいい。
TVでは「メレンゲの気持ち」に出ていたころから注目していた。「ブシメシ」での和服は良く似合っていた。

やしろ優が三吉彩花の対比としてキャスティングされたのは間違いないが、すっぴん風メイクもなかなか良かった。

chayのエピソードは意外性があって面白かった。
「芝居ができない」との触れ込みだったらしいが、なかなかどうして、登場シーンや披露宴会場での豹変ぶりは良かった。

 

 

              

  天気の子    

醍醐虎汰朗、森七奈、小栗旬、本田翼、倍賞千恵子、神木隆之介、上白石萌音、平泉成。

冒頭は、長雨の中、病院で母を見守る少女。
窓の外に一筋の光が見え、少女は光を求めて差し込む先を目指す。
その先にあったのは廃ビルの屋上の神社。
少女が強く願いつつ、鳥居をくぐると少女の体は宙に浮き、大空高く舞い上がった。

高校生1年生の森嶋帆高(声:醍醐虎汰朗)は、伊豆諸島の島からフェリーで東京に向かっていた。
理由は家出。
帆高は身分証のない高校生でもバイトできるところをネットで探していた。

豪雨の予報とともに船内に入るようアナウンスがあり、ほとんどの人は船内に。
突然、バケツをひっくり返したような雨で船は大きく揺れ、船内に入りそびれた帆高は押し流されて落水しそうになる。
助けてくれたのは胡散臭い男。
命の恩人へのお礼にと食事をおごらせ、何かあったらと名刺を渡した男。
そこにはK&A 須賀圭介(声:小栗旬)とあった。

帆高は東京に着き、雨の中、ネカフェに泊まり、バイトを探し始めるが、身分証もない高校生には全く見つからず。
ファーストフードで飢えをしのぐ毎日。

そろそろ手持ちの金も少なくなってきたとき、ビルの入り口で寝てしまった帆高。
ビルに勤める金髪男に蹴とばされて追い出され、ごみ箱をひっくり返す。
ごみを元に戻していて見つけた紙包み。とりあえずカバンに入れて持ち歩く。

その日、ファーストフード店で中身を見るとそれは拳銃。
ビビる帆高に事情を知らない店員の女性がハンバーガーを内緒でおごってくれた。

ついに金が尽き、当てがなくなった帆高はK&Aを訪ねることにした。
移動中のパスの中で明らかに小学生と思われる「凪」と呼ばれる男児がモテモテで、帆高はまたも「東京こえー」と思う。

K&Aは古いビルの半地下。恐る恐る入る帆高。事務所には若い女性が眠っていた。
女性は夏美(声:本田翼)、帆高は須賀の愛人ではないかと思うが実は姪。
須賀が戻ってきて帆高は住み込みのバイトとして雇われ、とりあえず「食、住」は確保できた。

須賀の仕事はオカルト系雑誌「ムー」などの記事を書くライター。
噂や都市伝説を取材して記事にしている。

帆高は事務所の雑用のほか、夏美のバイクに同乗して取材に向かう。
話題は最近噂の「100%晴れ女」。都市伝説としては格好のネタだ。

ある日、帆高は以前蹴飛ばされた金髪野郎ともう一人が若い女性を怪しい事務所に連れ込もうとしているのを見る。
女性は帆高にハンバーガーをおごってくれたあの子。
とっさに帆高は女性の手を引いて逃げだす。
しかし、すぐに追いつかれ倒される。
帆高はカバンから拳銃を取り出し構える。
おもちゃだと高をくくる金髪男。
帆高がたまらず引き金を引くと乾いた音とともに弾丸が発射され街路灯に当たった。

男たちがひるむすきに帆高は女性の手を引いて廃ビルに逃げ込む。
激しく叱責する女性。バイトを首になって仕事を探していたともいう。

拳銃を隅に投げ捨てがっくりする帆高。
女性は陽菜(声:森七奈)18歳、と名乗り、帆高を屋上の神社に連れて行く。
そして、「今から晴れるよ」と言って祈ると本当に晴れ間が広がった。
ついにみつけた「100%晴れ女」。
「100%晴れ女」は実在した。

帆高は「晴れ」を商売にすることを思いつく。
帆高は陽菜の家に行き、場所時間に限りはあるが「1回5千円で晴れにする」サイトを立ち上げ公開した。
そこへ帰ってきたのは凪(声:吉柳咲良)、あのバスのモテモテ少年だった。

程なく、翌日のお台場でのフリマを晴れにしてほしいとの依頼が入る。
てるてる坊主の着ぐるみを凪に着せ、てるてる坊主を吊るした傘をもって陽菜と会場に行った帆高。

半信半疑の中、見事晴れ間を呼んだ。
イベント主催者は大喜びで、数万円のご祝儀をくれた。

晴れビジネスは順調に推移した。
結婚式、運動会、遠足、人々は長雨の中、晴れを願った。
陽菜も自分の存在意義を晴れビジネスの中に見出していた。

しかし、部分的な「晴れ」がマスメディアの知るところとなり、対応しきれなくなった帆高と陽菜はあと2件で、
晴れビジネスを止めることにした。

1件は旦那の初盆を晴れさせてほしいという立花富美(声:倍賞千恵子)
陽菜の母も初盆だと知ると一緒に送り火をするのだった。

富美の孫の龍(声:神木隆之介)がやってきて二人に礼を言った。
陽菜の誕生日が近いことを知り、帆高にプレゼントをするように言った。

女子との付き合いのない帆高。どうしていいかわからず凪に相談する始末。
凪の勧めで指輪をプレゼントすることにし、ルミネで悩んだ末、指輪を購入。
対応してくれた女店員(声:上白石萌音)のお墨付きだ。

夏美と帆高が神社の神主に取材したところ、「天気」を操るのではなく、天気に願いを届ける巫女が存在し、
それが人柱となって願いをかなえるのだ、という。
そして人柱になることでが天気の調和を取り戻すのだという。

最後の依頼は、久々に再会する娘との時間を貼れにしてほしいというもの。
依頼者は須賀だった。
娘は妻の母、つまり祖母と暮らしていたが、体が弱く悪天では会わせてもらえないのだった。
喜ぶ須賀と娘。
夏美は、陽菜に神主のインタビュー映像を見せる。

人柱には陽菜もうすうす感づいていた。

翌日、陽菜のアパートに警察が来た。
警察は防犯カメラの映像から帆高が銃を拾ったことを知っていた。
警察は陽菜に帆高のことを聞き、凪との子供だけの生活も許されないと言って帰った。

凪は須賀に連れられて帰ってきたが、須賀は警察が来て誘拐を疑われたのでもう関わりたくないといった。
帆高は事務所に戻らず陽菜のアパートに戻った。

陽菜と凪は逃げる荷造りをしていた。
帆高は3人で逃げようとアパートを出るが、警官に見つかり捕まりそうになる。

陽菜が助けを願うと、近くに止めてあったトラックに落雷があり炎上する。
警官は帆高を放って車の方に向かい、帆高は凪と陽菜とともに逃げる。

雨はますます激しくなり、電車も止まる。
当てのない3人は、ラブホテルに入る。

陽菜は人柱の話をし、徐々に透けていく自分の体を見せた。
0時になり、帆高は陽菜に渡しそびれていた指輪を渡す。
陽菜は喜んだが、天気が良くなってほしいかと帆高に尋ね、帆高は良くなってほしいと答える。
朝起きると陽菜の姿は消えていた。

外は久しぶりの晴れ。
それまでの長雨が嘘のような晴天ぶり。

陽菜が人柱になったと思う帆高はもう一度陽菜に会いたいと願う。
しかし、警察が突入してきて逮捕されてしまう。
刑事から、陽菜が15歳だと聞かされる。
空から帆高が渡した指輪が落ちてきて、空に召されたと確信するが、あの廃ビルの神社に行けば何とかなると思い、
隙を見て逃げる。
夏美がやってきて帆高をバイクに載せて逃げる。

町は至る所で浸水しており、バイクも行き場を失う。
電車の止まっている線路に入って廃ビルを目指す帆高。

やっと廃ビルにたどり着いたものの、屋上に向かう階段は雨で崩れていた。
それでも向かおうとする帆高に現れた須賀が止めに入る。

帆高はここで投げ捨てていた拳銃を見つけて拾い、なおも先へ行こうとする。
2人の刑事が現れ、帆高を阻止しようとするが、気が変わった須賀が1人を倒し、さらに立ちはだかる刑事を凪が阻止。
帆高は一気に屋上へ向かう。
そして、陽菜に会いたいと願いつつ鳥居をくぐると、空高く吸い上げられていく。

空の上で、帆高は陽菜に会うことができた。
地上に戻ろう、もう晴れ女も巫女もいいんだ、晴れなくたって構わない。

帆高の思いが天に通じ、二人は神社の前に戻ることができた。

帆高は逮捕され、3年間の保護観察処分となって島に戻される。
その間、ずっと雨は降り続き、東京は排水が間に合わず水浸しとなる。

帆高は高校を卒業し、大学に進学するために東京に移り住む。
晴れ女の仕事は止めたのに、あのサイトには立花富美の依頼が入っていた。

帆高はもう晴れ女はできないと立花富美のアパートを訪ねる。
以前行った自宅は水に漬かって住めなくなっていた。

自分たちのせいと言う帆高に、もともと海だった場所だと慰める。
K&Aはこの3年の間にずいぶん大きくなり、須賀も立派になっていた。
須賀は帆高を慰め、陽菜に会いに行けと言う。

帆高が陽菜のアパートに向かう坂の上、そこには陽菜の姿があった。

駆け寄る帆高。
祈るも晴れにする力のない陽菜も帆高に気が付いて、二人はしっかりと抱き合うのだった。

理屈、理論は全くないが、この際この映画には必要ない。
結末には賛否あるらしいが、違和感はなかったし、これで良いと思えた。

それはともかく、なんとなく不思議な感覚の映画だった。
夢か現か幻か。
こういう展開の映画はあまり見たことがない感じだった。

主人公が異世界に紛れ込んでしまう映画は山ほどあるし、現実の世界が破壊されてしまう展開も数多い、
異世界と現世を行き来する映画も多いが、いずれとも違う。
「新感覚」と言うほどではないにしても、今までにない映画の感じだった。

「雨」がこれだけ降り続く映画も珍しいからかもしれない。

雨を前提として晴れるためには辻褄合わせ、帳尻合わせが必要と言うのはすんなり入るものの、
限定的な「晴れ」の代わりに局地的な「どか雨」が起こっているんだから、それでゼロサムだろうと
思ったのは私だけか。

とはいえ、やはり映画は意外性。
TVドラマのようにある程度思った通りに展開するものと違って、先が読めないほうが面白い。
ヒント程度は必要だけどね。

展開では、ご都合映画では端折られがちな警察の動きも、まずまず納得がいく程度に描かれていた。
ただ、刑事がバディシステム(2人一組)で動くのはいいけど、平泉成はちょっと現役の刑事としてはちょっときつい。
声が年を取りすぎている。

「踊る」の和久さん役のいかりや長介は72歳没だが、なくなる前年公開の「2」でもあまり激しい動きのない役だった。
体をおもんぱかってと言うより、第1線の捜査からは外れている感があって、その方がリアリティがあった。

また須賀は小栗旬の見た目とあまりにも違うので少し違和感があった。
神木隆之介や上白石萌音は、特徴ある声が気にならないと言うか、鑑賞時は全く気付かなかった。
特徴ある声も善しあしというところか。

雨が局地的に何年も降り続くのかどうかはさておき、確かに東京は海抜0メートル以下の地帯が散在する。
堤防と閘門によって排水し、域内の水位を下げているので、仮に排水が完全に行われなかったとしたら、
東京湾の水位より低い、城東地区(墨田区、江東区、江戸川区)の大半は水没する。

また、満潮時の潮位によっては、荒川区、台東区、中央区の大半、大田区や品川区の海岸側も水没する。
江戸城が海岸近くに建てられた海城で、城東地区はほぼ埋め立てで作られているので当然といえば当然。

埋め立て地は地盤が固まるまで100年は掛かると言われ、その間徐々に収縮沈下を起こす。
江戸時代の埋め立て直後には海面より高かった地域も今は0メートル地帯になってしまったということだ。

通常の豪雨や高波であれば、対策が取られているし、さらに強化しつつあるので、そうやすやすと水没することはない。
しかし、直下型の大地震や超巨大台風の直撃、さらには3年間にわかって降り続く豪雨であれば、浸水は免れまい。

ただ、浸水があったからと言ってこの地域の人たちがすべて家を失い、避難するのかと言うとそうでもない。
例えば、江東区では70%以上の住民が集合住宅に住んでおり、高層住宅も多い。
通常のマンションでは1階当たり3m、オフィスビルでは4mの地上高がある。
1階に住居を置かない集合住宅も多い。

人、物の往来、移動や日頃の買い物には不便するだろうし、地下の機械室などは完全に使い物にならなくなるだろうから、
影響がないわけではないが、水上都市的な生活になってしまうとしても全員が家を失うわけではない。

 

 

             

 

 アルキメデスの大戦   

菅田将暉、柄本佑、舘ひろし、国村隼、橋爪功、田中泯、浜辺美波、笑福亭鶴瓶。

1945年4月。
鹿児島県沖を行く戦艦大和に襲い来る無数の米軍機。

対空射撃で応戦するも多勢に無勢。
次々と落とされる爆弾と魚雷。

甲板の兵士は吹き飛び、やがて船腹に多数被弾し穴を生じた大和は徐々に傾き、兵士を海に落としつつ、ついには転覆。
そして大爆発を起こし、海中に沈み3000名の戦死者を出した。
(史実では2740名が戦死、約270名が救助)

話は12年ほどさかのぼる。

日本帝国海軍の新型艦製造にかかる会議が海軍省で行われようとしていた。

これからの主力は航空機であるとして、藤岡喜男造船少将の設計する大型の航空母艦を支持する山本五十六少将(舘ひろし)と、
その上司の永野修身中将(国村隼)。

一方、対立するのは平山忠道造船中将(田中泯)が設計する巨大戦艦を推すのは嶋田繁太郎少将(橋爪功)。
海軍大臣の大角岑生(おおすみみねお、小林克也)も50サンチ砲を抱え全長300mという巨大戦艦の模型に魅入られようとしていた。

しかも、山本らの推す航空母艦の建造費見積もりは1億6千万円。
嶋田の推す戦艦の見積もりは9千万円とあって、航空母艦は劣勢を強いられた。

一旦は戦艦で意見を集約されそうになるも山本の激しい反発で結論は持ち越しとなった。

その夜、料亭で対策を話し合う、永野、山本、藤岡。
藤岡設計の航空母艦より、大型で複雑な構造のはずの巨大戦艦の建造費が安いのは解せない。
経費をごまかしているとすれば、欺瞞であり、帝国海軍、ひいては国家に対する詐欺行為だと息巻く。

話を切り上げ、憂さ晴らしのために芸者を呼ぶようと女将に指示するが、あいにく独り占めされているという。

その芸者を独占し、豪遊していたのは何と帝大生の櫂直(かいただし、菅田将暉)。
山本が、芸者衆の一部を回してくれと頼みに行くと、櫂は軍人が大嫌いだからと言って断る。

櫂は、尾崎財閥の家庭教師を首になり、帝大も退学させられ、今までにもらった家庭教師代を散財しているのだという。

数学、ことさら数字に美を見出す櫂は、家庭教師相手の尾崎鏡子(浜辺美波)の寸法を測ろうとして尾崎財閥のドン、
鏡子の父の反感を買い、帝大にあることないこと吹き込まれていた。

さらに、以前尾崎の紹介で嶋田少将と面会した時、戦艦の主砲命中率が静水海域で10%程度と聞き。
実戦では役に立たない金の無駄遣いだとこき下ろし、嶋田に激怒されたことがあった。

暫くして山本は櫂の下宿を訪ね、戦艦の費用の欺瞞を正さないかと依頼する。
櫂は程なく留学のため。アメリカに出発するから無理、と断る。
すると、山本はアメリカと戦争になる、と言い出す。
圧倒的な国力の差、誰がどう見ても勝てる戦争ではないという櫂だが、山本は巨大戦艦ができれば、
海軍、政府、そして国民までもが強大な軍事力の幻想を抱き、アメリカと戦争になる。
それを阻止するために櫂の力が要る、と諭す。

櫂はアメリカ行きの客船に一旦は乗船するが、見送りの人々の中に鏡子の姿を見て下船する。
自分のせいで、帝大を首になったと謝罪する鏡子。

櫂は鏡子が戦火にさらされる幻影を見て、山本に協力することを決意する。

山本のもとを訪れた櫂。
山本は喜んで応じ、櫂を経理部門監査担当の少佐に任命し、運転手の田中(柄本佑)を櫂の部下として
補佐するよう指示した。

櫂は軍隊の規律などに全く疎いため、上官に対する礼儀を欠きそうになり田中にいろいろ諭される。

見積もりの秘密を暴こうとして、天才数学者を任用した話は嶋田/平山陣営にも伝わったが、
平山は既に手を打ってあるという。

次回の検討会議までわずか2週間。
その間に戦艦の建造費を見積もることは事実上不可能で、さらに平山は一切の設計資料を極秘扱いとして、
櫂が見られないように画策していた。

資料がなければ何もできない。
わずか数ページの資料では戦艦の構造を推し量ることができないし、構造がわかっても
工賃や部材費の単価表がなければ、見積もりを積算することはできない。

困り果てた櫂は本物の戦艦を見たいと言い出し、横須賀に向かう途中、停泊中の戦艦長門に乗りたいと言い出す。
あきれる田中だったが、山本のとりなしで艦長の宇野積蔵(小日向文世)に連絡がつき、長門に乗ることができた。

田中にうまく宇野艦長を艦長室から引っ張り出してもらい、その間に艦長室の極秘資料を盗み見てぎりぎりでばれずに済む。
櫂は、長門のあちこちの寸法を測り始め、図面がないなら測るしかないという。

当初はあきれていた田中も歩測でできるだけ櫂に協力して計測した数字を渡すのだった。

海軍省に戻った櫂は、平山案の戦艦の図面を書き起こしにかかる。
わずか二日で、その構造までも解き明かした図面を完成させ、田中は驚愕する。

図面から部材の量はわかったものの、単価表がなければ計算ができない。
様々な在京の造船会社を当たるが、どこも海軍に口封じされていて一切の資料を見せてもらえない。
櫂は尾崎鏡子なら何か知っているかもしれないと、鏡子に聞くが尾崎は家に仕事を持ち込まないタイプで、
家に資料はない、という。

しかし、かつて尾崎の協力会社で喧嘩別れした大阪の大里造船なら協力してくれるかもしれないという。
櫂はわらをもつかむ思いで大阪に向かい、大里造船を訪ねる。
社長の大里清(笑福亭鶴瓶)は、けんもほろろに断り、戦争になると脅す櫂に関係ないと切り捨てる。
櫂は何とか資料が見たいと粘るが大里は無視し続ける。
櫂もついにあきらめて、帰京しようかと立ち上がったとき、鏡子がやってきて、大里を説得。
ほだされた大里は過去の膨大な資料を見せることにした。

櫂は激安の建造費の秘密を暴くため、と大里に言うが、大里は高額費用の艦を安値で受け、
安い艦を高値受注して帳尻を合わせるのが尾崎財閥のやり口で、自分はそれが嫌で止めたと暴露する。

これでようやく積算ができると喜んだのもつかの間。
山本から田中に電報が入り、検討会議が一週間早くなったというのだ。

実質時間切れに、全員が万事休すと思ったが、櫂は使われた鉄の量と建造費にはある法則があるのではないかと推測。
資料から必要な数字をメモして計算を始め、ついに鉄の量から建造費を割り出す方程式を編み出した。

そして、自分の作った大和の設計図を細切れにして分担して鉄の量を計算することにし東京に戻る列車に乗った。

列車の中では夜を徹して櫂、田中、鏡子が鉄の量を計算する。
しかし、全部の数字は積み上がらない。

そうこうするうち、検討会議が始まってしまった。
大角海軍大臣は財政ひっ迫の折り、少しでも安い建造費の間を推したいと申し出る。

永野は航空母艦の建造費を1億6千万から1億5千万に減額すると申し出るが、嶋田に一笑に付される。
会議の結論が戦艦に決まりかけた時、山本は戦艦の建造費には間違いがあると言い出す。
あと少しで鉄の量が計算できるので、櫂は時間稼ぎに数式を持ち出す。

そして、鉄の量と建造費の関係をグラフに示して説明し、自身の計算式を提示。
今までの艦の製造費を言い当てると宣言。

挑発に乗った嶋田は過去の資料を持ってこさせ、櫂に計算をさせると、結果はピタリ。
一艘では偶然もある、と言う嶋田。何艘か計算してみたがいずれもピタリ。

ついに、鉄の総量が計算でき、田中から櫂に数字が渡された。
計算が行われ、その結果は1億8千万円。

これを9千万円で尾崎造船に受注させ、同時に巡洋艦数艘を高値で発注することで帳尻を合わせているのではないか、
と追及する櫂。山本も大いなる欺瞞だと言ってのける。

ここまで沈黙を保っていた平山造船中将は建造費は問題ではないと言い放つ。
正確な建造費を発表すれば、日本が巨大戦艦を作ろうとしていることが諸外国にばれてしまう。
安い船を作ると発表することで諸外国の警戒心を抑えることができると力説。

嶋田は絶賛、大角大臣は感激し、山本、永野らは一言も反駁できず、戦艦で決まってしまう。

しかし、掲示されていた戦艦の図面を見た櫂は、この船には重大な欠陥があると言い出す。
台風時の想定される波高に対し、船首付近の形状が美しくないというのだ。

そして、自分はそれも考慮したと言い、細切れにした自分の設計図をつなぎ合わせて見せた。
平山は櫂の設計図に感服し、自身の設計の欠点を認め、責任を取るとして戦艦の設計案を取り下げて退出してしまう。

こうして会議は航空母艦の逆転勝利となったが、勝ったはずの櫂は何か満たされないものを感じた。

別室で永野と歓談する山本はこれでアメリカを叩けると言ってのける。
永野は山本に非戦派ではなかったのかと言うと、戦争はしたくないがいずれ避けられないだろうと言うのだった。

後日、平山は櫂を呼び出し、巨大戦艦の特大模型を見せる。
美しい戦艦の姿に見入る櫂だが、こんなものがあれば日本は戦争に勝てると幻影を抱いてしまうと言う。

平山は戦艦があろうがなかろうが、いずれ日本はアメリカと戦争し、必ず負ける、と言い放つ。
しかし、負け方を知らない日本は滅亡するまで戦い抜くだろう。
その日本人に、心のよりどころを与え、沈没することによって戦意を失わせ、破滅するまで闘うことを
阻止するためにこの船が必要なのだ、と言い、そのためにこの船を「大和」と名付けるのだという。
そして、櫂に方程式の提供を呼び掛ける。

数年後、完成した大和の船上に櫂の姿があった。
山本連合艦隊司令官の観閲を受け、下船した櫂は出航する大和を見送り、涙するのだった。

**

冒頭の大和撃沈シーンは見事だった。
史実さもありなんと思わせるに十分。

ラストの大和航行シーンも含め、VFXは見事だった。
「釣キチ三平」や「カムイ外伝」のCG、VFXの悪印象が強かっただけに、10年の歳月はまさに隔世の感あり。

いくら有能でも全長220m超、全幅35m、4万トンにもなろうかと言う巨大艦をたかが数mの巻き尺で図ることは不可能。
パイプや鋼板のサイズを測ったところで、表面に見える物だけで構造を推し量ることは困難。

まして大和から初めて採用された構造や素材について、在来艦の巻き尺で測れる数字からは何もわからないはずだ。

そもそも細かい積算をせずに鉄の総量と計算式一発で金額がはじき出せるとは思わないが、
仮にそれがはじき出せたとして、建造費がわかるだけで、平山はなぜそんなものを欲しがったのか理解に苦しむ。

また、金額がいつの間にか建造費から発注額に変わっているのもおかしい。
建造費の積算を発注先に丸投げしているのだろうか。

戦艦推進派が、尾崎造船と言う癒着企業と結託しているのであれば、空母推進派はなぜ同様の企業を持ってないのか。
企業の出した見積もりが正規の建造費として認定される仕組みであれば裏取引の有無にかかわらず、
安値で請ける企業を持ってない時点で空母推進派の負けは決まったようなものだ。

原作では、平山は櫂の卓越した先進技術を盛り込んだ設計情報を入手すべく画策するようだ。
そのために櫂を懐柔するのであれば、それは十分納得がいく。

原作者は、国立競技場建て替えに伴うごたごたから本作につながるヒントを得たらしい。
大和の建造計画が金で揉めたかもしれないという発想は面白いものの、現実には金額の問題ではなく、
巨艦主義か、航空主力主義かの論争だったと思われる。

第二次大戦以降の巨大戦艦の役割は戦艦対戦艦の撃ち合いによる海戦を制することではなく、
いわゆる艦砲射撃により上陸部隊を支援、あるいは沿岸地域の敵を撃破することが主目的になった。
しかし、これは制海権を掌握し、攻撃地点の射程範囲まで航行できることが前提。

制海制空権を持たず、航空機による攻撃を受ける場合、巨艦は大きな的になるだけ。

ただし、大きな的になるのは航空母艦も同じ。
空母自体の防御力は逆に戦艦などよりも劣るため、空母を主力とした艦隊、
すなわち空母と巡洋艦、駆逐艦、潜水艦などを連携した攻撃群を編成して運用される。

帝国海軍においては、真珠湾奇襲攻撃でアメリカ軍艦隊を航空機によって破壊したにもかかわらず、
空母はあくまでもわき役と考え続け、巨艦主義からの脱却はならなかったようだ。

また、大和は単独の艦ではなく、大和級、あるいは大和型として、2番艦、武蔵も造られているし、
3番艦、4番艦の建造計画もあったようだから、一つの艦だけの価格がどうこうという問題ではない。

そもそも戦艦は単独行動をとるものではなく、駆逐艦や巡洋艦、空母などと旗艦たる戦艦を含む艦隊で行動する。
艦隊をどう編成するのか、在来艦と併せ何を何艘作るのか、が肝要。

空母を作るのであれば、当然艦載機や陸上の航空基地も問題になってくる。
単艦当たりの建造費の問題ではなく、海軍の軍事費全般にかかる配分の問題。

大和を沈めることで戦意を削ぎ、逆に国家滅亡を防ぐとの考えは一見まともだが、それを自国軍の中枢が意図していたとしたら、
それはそれで悲惨だ。

鑑賞時には全く別の感想を抱いた。
それはあるTV番組での話。
終戦間近にアメリカ軍による焼夷弾爆撃で多くの人々が焼け死んだが、それは市民に対する無差別攻撃だった。
爆撃はエスカレートし、そのままでは日本全国を焦土化し、日本人を焼き尽くすほどの非人道的作戦であった。
原爆投下は、破滅的な大量破壊兵器を使用することにより、非人道的な無差別爆撃を止めさせるための手段だった。
その効果は予想以上に絶大なもので、悲惨な結果をもたらしたものの軍当局に無差別爆撃を辞めさせるには十分だった。

原爆は戦争の早期終結を目指したものではなかった、むしろアメリカ軍内により非人道的な焼夷弾爆撃を止めさせるためだったという。

じゃ、なぜ原爆を2発も落としたんだ。
軍部内部のせめぎあいと言うか権力争いがあった可能性はあるが、もたらした結果が予想以上に悲惨なものだったのは事実としても、
ウラン型とプルトニウム型原爆の実験に日本を利用しただけで、焼夷弾爆撃を止めさせるためとは到底思えない。

荒唐無稽ともとれるこの説と、日本の軍事力の象徴たる不沈戦艦大和を沈めることで日本軍、日本人に目を覚まさせる的意見に
同じ臭いを感じたのは私だけだろうか。

結局のところ、思っていた内容とかなり違った。
監督が描こうとしていたものはかなり矮小化してしまったのではないかとさえ思う。

戦艦大和がなぜ作られたのか、大和は作られるべきだったのか、乗組員の悲劇、戦争の悲惨さなどには一切関係なく、
今なお人々を魅了するその姿は美しい。

大和ミュージアムには、なんと1/10(全長26.3m)の模型があるそうだ。

現在は戦艦はすべて退役しているが、軍事オタクでなくても戦艦に魅せられるのは、洋の東西を問わないようで、
近代兵器が太刀打ちできない宇宙からの敵を記念館となっている戦艦ミズーリをもう一度動かして撃破する映画がある。
(2012年の「バトルシップ」)

なお、ミズーリは大和より長いが細いので,排水量としては大和のほうが大きい。

 

 

                   

 

 トイストーリー4   

吹き替え 唐沢寿明、所ジョージ、戸田恵子、竜星涼

物語は9年前にさかのぼる。
ある嵐の夜、外に取り残されたおもちゃが、溝に落ちて流されそうになっていた。

2階にいたウッディ(声:唐沢寿明)は、体がばねの犬、スリンキーらの手を借りて窓から飛び降り、おもちゃを助けに行く。
なかなか届かないウッディに手を貸したのはボー・ビープ(声:戸田恵子)
何とかおもちゃは助け上げたものの、お母さんが、部屋に入り、おもちゃたちはおもちゃの振り。
ウッディが外に取り残される。

部屋では、お母さんがランプのボー・ビープを誰かにあげるところだった。
ウッディがいないことに気づいた子供が外を探し、ウッディは無事に部屋に戻ることができた。

時が経ち、アンディがおもちゃたちをボニーに上げてから2年。
ウッディに対するボニーの関心は薄れていた。
時にはウッディの保安官バッヂをカウガールのジェシーにつけるほど。

そんなある日、ボニーが幼稚園のおためし入園に行くことになり、乗り気でないボニーが心配なウッディは、
みんなが止めるのも無視してボニーのリュックに隠れる。

慣れない幼稚園でひとりぼっちのボニー。
見かねたウッディはすきを見て、ごみ箱から先割れスプーンやらなんやらを取り出して机に置く。
それに気づいたボニーは、それらを組み合わせておもちゃを作りフォーキーと名付け、足にしたアイスの棒に
BONNIEと書いた。

家に戻ったボニー。
ウッディはリュックからフォーキーを出し、みんなに紹介する。
フォーキーは自分はゴミだ、捨てられるものなんだ、と言って隙あらばごみ箱に入ろうとしてウッディらに阻止される。

フォーキーはボニーの一番のお気に入り。
家族で旅行に行くことになり、当然ながらウッディやほかのおもちゃとともにフォーキーも連れて行く。

相変わらずフォーキーは自分をゴミだと思い、ついには車の窓から飛び降りてしまう。
焦るおもちゃたち。ウッディがフォーキーを連れ戻すため、車から飛び降りる。

フォーキーを見つけたウッディの説明に徐々に納得しボニーのそばに行きたいと思うようになったフォーキー。
ボニーもフォーキーが見つからず焦りまくるが両親がそのうち見つかるととりなす。

やがてフォーキーとウッディがキャンプ場につくが途中で見たアンティークショップにボー・ピープのランプを見かけたウッディ。
早くボニーのところへ行こうというフォーキーを制し、アンティークショップの中に入る。

そこに現れたのは紳士の人形を従え、乳母車に乗った少女の人形キャビー・ギャビー。
一緒にボー・ビープを探すと言って取り入ろうとするが、実はボイスボックスが壊れており、ウッディのボイスボックスを狙っていた。

アンティークショップのオーナーのおばあさんの孫、ハーモニーが店に来てウッディを見つけ、持ち出してしまい、
フォーキーは店に取り残される。

砂場で置き去りにされたウッディ。
スカンク型の乗り物が現れ、ウッディは助けられる。
中から現れたのはなんとボー・ビープだった。

アンティークショップから逃げ出し、自由になったというボー・ビープ。
ウッディは必死にフォーキーを連れ戻すのを助けてくれるよう頼み、ボー・ビープはしぶしぶ承諾する。

一方そのころ、ウッディを探すためバズ・ライトイヤー(声:所ジョージ)は車を飛び出していくが、
キャンプ場の移動遊園地に引っかかり、射的の景品にされてしまう。

そこには、ぬいぐるみの黄色いひよこのダッキーと青いウサギのバニーが景品にされたまま残っていて、
バズ・ライトイヤーに意地悪をするが逆襲される。
そして持ち主の子供に出会いたいという望みをかなえるため、バズ・ライトイヤーと一緒に抜け出す。

ウッディに説得されたボー・ビープはスカンクカーに乗って遊園地を脱出、アンティークショップに突撃する。
バズ・ライトイヤーとダッキー&バニーもアンティークショップに入り、協力してショウケースのカギを奪う。

フォーキーの奪還は難しく、ウッデイはボー・ビープと言い争いになり、結局一人で探すことになる。
ただ、バズ・ライトイヤーにメリーゴーラウンドのところで落ち合う約束をしてフォーキーを託す。

やがて、ボニー一家はウッデイをあきらめ家に帰ろうとする。
ジェシーらは車をパンクさせたり邪魔をして時間を稼ぐ。

店に戻ったウッデイはついにギャビー・ギャビーにつかまり、ボイスボックスが壊れていたため子供に愛されなかった悲しい過去を聞く。
そしてハーモニーに愛されるため、ウッデイのボイスボックスが欲しいというのだ。

ウッデイはフォーキーを返してもらうことを条件に自分のボイスボックスをギャビー・ギャビーに渡す。

ボイスボックスを移植されたギャビー・ギャビーは声を取り戻し、ハーモニーが来るのを待った。
果たしてハーモニーは店に来てギャビー・ギャビーを見つけるとひもを引いて声を聞くが、
オーナーのおばあさんに上げると言われ、要らない、と戻してしまう。

絶望するギャビー・ギャビー。
ボイスボックスをウッデイに返すと言うが、ウッデイは断り、再び現れたボー・ビープと一緒にギャビー・ギャビーを外に連れ出す。

おもちゃたちはボニーがアンティークショップにリュックを忘れたことを思い出させ、フォーキーは無事にボニーのもとに帰ることができた、
いよいよ、ボニーの車は出発してしまうが、おもちゃたちはウッデイを乗せるため、協力して車を移動遊園地に戻し、
メリーゴーラウンドに行かせる。

メリーゴーラウンドまで行ったウッデイら。
すぐ近くで迷子になって泣きじゃくる女の子のそばに行ったギャピー・ギャビーが声を出すと、
女の子は「あなたも迷子なの」とギャビー・ギャビーを抱きしめ、警備員に話しかけて母親と会うことができた。

メリーゴーラウンドについたボニーの車。
ボー・ビープとの再会を喜ぶ、ジェシーら。
ボー・ビープと別れ、車に戻ろうとするウッデイ。
バズ・ライトイヤーは「ボニーは大丈夫だ」と言いウッデイは保安官バッヂをジェシーに渡し、みんなと別れる決意をする。

そしてボー・ビープと行動を共にすることにしたのだった。

後日、移動遊園地で射的のコーナーに隠れ、次々と持ち主を欲しがっているおもちゃら、景品を子供に渡るように仕向けるウッデイら。

一方、帰宅したボニーのリュックから出てきたのは、バターナイフで作ったおもちゃナイフィー。
一目ぼれのフォーキーは、私はゴミ? と言うナイフィーに僕たちはおもちゃだよ、と諭すのだった。

衝撃の結末。
これで本当の終わり?

保安官であることも、誰かの持ち物であることもやめてしまったウッデイ。
さらに声もなくし、自ら子供にアピールすることもやめてしまった。

1〜3までは、アンディとおもちゃたちの物語で、アンディの最大のお気に入りのウッデイが主人公だった。
「3」では、ウッデイがアンディからボニーに託されるシーンでアンディの思い入れとボニーの愛情が交錯するエンディングで、
物語の終焉を思わせたが、本作ではボニーはあっさりウッデイへの関心が薄れてしまっている。

しかし、相変わらず持ち主であるボニーへの忠誠心を失わないウッデイとあきらめているというか悟っているというか、
他のみんなとの熱の差が葛藤を生み、ついにはウッデイを決断へと向かわせる。

冒頭のおもちゃを助ける時にボー・ビープが誰かにあげられてしまうシーン。
アンディの家なのか、ボニーの家なのか分からなかった。

「9年前」だったと思うが、「3」の公開も9年前。
とすれば、おもちゃたちの持ち主がアンディからボニーに移ったときになる。

ボー・ビープは取り外しができるもののランプについた陶器。
ウッデイらと一緒にボニーのところに行かなくても不自然ではないし、実際「3」では、既に誰かにあげられた後で出ていない。
と言うことはあの家はアンディの家でお母さんはアンディの母。
ウッデイを探しに外に出たのもアンディと言うことになる。

おもちゃがボニーの持ち物になって2年後でエンディングではさらにその1年後らしいから、前作公開時期と時系列が同じであれば、
今から6年前。とすれば、アンディは20か21。
現在まで時間を引っ張れば、次回作が完成するのは早くてもアンディはアラサーと言うことになる。
何らかの理由でウッデイがアンディのもとに帰ることがあるとすれば、持ち主はアンディの子供になってもおかしくない。

果たして続編はあるのだろうか。

 

 

 

   

 

 アラジン 

ウィル・スミス、ナオミ・スコット、メナ・マスード、マーワン・ケンザリ

海を行く小型の帆船(帆掛け船、三角帆のドーニー)に乗った夫婦と子供二人。
父親(ウィル・スミス)は歌で物語を聞かせると言ってアラビアン・ナイトの物語を歌い始める。

場所はアグラバーと言う国。
町から離れた洞窟に若い男を侵入させるのはジャファー(マーワン・ケンザリ)
洞窟の魔物に見限られた男は死んでしまい、ジャファーは洞窟に入るには「ダイヤの原石」たる男が必要だと悟る。

町に住む青年アラジン(メナ・マスード)はコソ泥。
ちょっとしたものを盗んで食べ物に変えたりして暮らしていた。

ある日、貧しい子供がパンを欲しがっているのを見ていた若い美女(ナオミ・スコット)は、パンを取って子供に上げてしまう。
そのまま立ち去ろうとしたので店の主人が金を払えと詰め寄るが美女はお金を持っていない。

そこへアラジンが現れ、妓女の豪華なブレスレットを取って店の主人に渡す。
美女は母の形見だと言って怒るが、実は渡すふりをしてこっそり取り返していた。
気づいた店の主人が警備兵を呼び、二人は逃げ、塔の上のアラジンの隠れ家に逃げ込む。

美女は「ダリア」と名乗り、城で王女の侍女をしていると言った。
窓から外を見て、城に戻ると言う「ダリア」は、ブレスレットを返してもらえず、怒ったまま城に戻る。

実は美女は侍女のダリアではなく、王女のジャスミンだった。
城に戻ったのは、求婚相手の王子がやってきていたから。
母のブレスレットをしないまま、面会に出たジャスミンだったが、王子の間抜けぶりに嫌気がさす。

ジャファーは王、サルタンの腹心で魔法使い。
亡き妻、つまりジャスミンの母の母国で隣国のシラバードが攻めてくるのでその前に攻撃するよう進言。
否定する王に魔法の杖で催眠にかけて承諾させようとするが、ジャスミンにはばまれる。

その夜、まんまと城に忍び込んで王女の部屋までたどり着いたアラジンは、ジャスミンを侍女のダリアだと信じ込み、
ブレスレットを返し、再開の約束に、と髪飾りを奪って部屋を出る。

ジャファーの飼っているオウムが「アラジンがダイヤの原石」だと告げ口したのでジャファーはアラジンを逮捕して
魔法の洞窟に連れていく。

ダリアは実はジャスミンであること。国の法律で王女は王子としか結婚できないことを知らされたアラジン。

「中にあるランプを持ってこい。それ以外の宝物には一切触るな。持ってくればお前を金持ちにしてやる」
言われるままに洞窟に入ったアラジンは、魔法のじゅうたんが岩に挟まれて動けなくなっているのを助けた後、ランプを発見。

無事にランプを手に入れることには成功したが、ついひっかけて落とした宝石に目がくらんだ飼い猿のアブーがそれを手にし、
洞窟の怪人が怒り狂い、洞窟を崩し始める。

あふれ出るマグマ、崩れる岩。あと少しで出口。
ジャファーはランプを渡せば助けると言ってアラジンからランプを受け取り、アラジンを突き落とすと、
岩が崩れて入り口が塞がれてしまった。

しかし、ランプはアブーが取り返していた。
魔法のじゅうたんがランプを見るように言い、アラジンがランプをきれいにしようと擦った途端、
煙とともに青い巨人ジーニー(ウィル・スミス)が現れ、3つの願いをかなえると言う。

試しに洞窟から出してほしいと頼み、無事に外に出たアラジンは今のは願いじゃなかったと言いくるめて、
3つの願いの一つ目ではないことにしてもらう。

アラジンに逆に何が願いか聞いたジーニーは「ランプから解放されて自由になりたい」と答え、
アラジンは3つ目にその願いをかなえてあげると言うが、ジーニーはどうせやらないだろうと考える。

アラジンはジャスミンと釣り合うような王子になりたいと願い、ジーニーはそれをかなえ、アラジンをアリ王子と称し、
お付きの者と豪勢な一行としてアグラバー入りする。

アラジンは王と王女ジャスミンに接見するが、身なりは立派でも中身は元のままのため、失礼しまくりでジャスミンに嫌われる。
夜、アラジンは魔法のじゅうたんでジャスミンを誘い、国を遊覧飛行よろしく飛んで回り、すっかり汚名挽回。

一方で、ジーニーは侍女の目をごまかすうちにすっかりほれ込んでしまう。

ジャスミンはアリ王子がアラジンであると看破するも、アラジンは町の様子を見るため庶民に化けていたと嘘をつく。

ジャファーはアリ王子の正体がアラジンであると分かっており、アラジンを捕らえる。
そして、魔法のランプを持っているかどうか試すと言ってアラジンを椅子に縛り付けたまま海に落としてしまう。

アブーと魔法のじゅうたんが魔法のランプを海に落とし、アラジンには届くものの助けるよう願いを家前に失神してしまう。
焦ったジーニー。禁を破ってアラジンが2つ目の願いで助けてくれと言ったことにして無理やり助ける。

ジャファーは魔法の杖の催眠で王をコントロールし、自分を国王にし、ジャスミンと結婚させるよう指示する。
あわや、と言うときアラジンが現れてジャファーの杖を壊し、王は催眠から覚めてジャファーを逮捕させる。
ジャファーは投獄されたが、オウムのイアーゴが牢のカギを手に入れて脱獄に成功した。

一方、本当の王子になるため、3つ目の願いでジーニーを自由にはできないと言うアラジンに失望したジーニーだったが、
ジャファーが町中でアラジンから魔法のランプを盗むのに成功。

さっそくジーニーを呼び出して王にするよう指示し、王になることができた。
しかし、人望まではなく怒り狂ったジャファーは魔法使いにするよう願い、現れたアラジンを氷の世界に飛ばし、
王とダリアの命と引き換えにジャスミンに結婚を迫る。

氷の世界に飛ばされたアラジンだが、魔法のじゅうたんがアラジンのいるところまで飛んできて助け、急いでアグラバーに戻る。
アラジンはジャファーにいくら強くてもジーニーにはかなわないと煽ると、ジャファーはジーニーより強い宇宙一の魔法使いを願う。

しかしそれは、ジーニー同様ランプの精としての魔法使いになることを意味していた。
ジャファーは自分のランプに吸い込まれてしまう。
そして、ジーニーに遠くの洞窟奥深くに飛ばされご主人の登場を待つ身となった。

アラジンは、ジーニーに3つ目の願いとして「自由にする」ことを願い、自分はコソ泥のままでいいという。
晴れて自由になったジーニーは、ダリアに求婚し、二人で世界を旅することにした。

一方、王は次期国王としてジャスミンを指名し、国王は法律を変えられると進言すると、ジャスミンは
「王女(女王)は王子としか結婚できない」法を廃止、アラジンとの結婚を可能にした。

アラジンは王子と嘘をついたことを詫び、城を後にするが、ジャスミンの髪飾りを返していなかったので、
ジャスミンに呼び止められて、めでたく結ばれることとなった。

おしまい。

いきなり、青くないウィル・スミスが出てきたので「あれ?」って感じだったが、つかみは最高。
物語の展開はアニメ版と基本同じ。

細かい点は相違があるようだが、いまとなっては1992年のアニメ版の「アラジン」にさほどの思い入れもなく、
違いが本作の評価に影響を与えるとは思えない。

「ホール・ニュー・ワールド」はアニメ版で登場し、翌年のアカデミー歌曲賞を受賞している名曲。
本作でもアラジンとジャスミンが魔法のじゅうたんに乗って飛ぶシーンで歌われている。

ジャスミンのナオミ・スコットは、曲も作る歌手でもある。道理で歌もうまい。
インドの血も混じったイギリス人で1993年5月ロンドン生まれ。

マリア・ヒル役のコビー・スマルダースやアメリカの前国連大使だったニッキー・ヘイリーに似た印象。
もちろん、ナオミ・スコットがずっと若く、それぞれ10歳、20歳の差があるが。

長編映画では2017年の「パワーレンジャー」のピンクレンジャー役だった。
次回作は2019年11月公開予定の「チャーリーズ・エンジェル」。
なお、同作はエリザベス・バンクスが脚本、監督、出演。

アラジンのメナ・マスードは初見。1991年9月、エジプトのカイロで生まれ、カナダ育ち。

TVではドラマに多く出ているようだが、長編映画の主役級は少ないようだ。

 

 

                

 

 スパイダーマン ファー・フロム・ホーム 

トム・ホランド、ゼンデイヤ、ジョン・ファブロー、マリサ・トメイ、サミュエル・L・ジャクソン、コビー・スマルダース。

「アベンジャーズ エンド・ゲーム」の後の世界。
サノスとの戦いで、世界から消滅した半分の生命は復活したが、その過程でアベンジャーズは
アイアンマン、ブラック・ウィドウ、キャプテン・アメリカを失った。

また、サノスの指パッチンで一時的に消滅していたグループとそうでないグループに5年の時差が生まれた。

前作では、過去に戻って過去を修正したけど、消滅しなかったグループはタイムラインが進行したまま5年経過、
消滅していたグループは消滅した時点と同じタイミングからいきなり復活したため、5年のずれが生じている。

メキシコのある町、ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)とマリア・ヒル(コビー・スマルダース)は、
顔のある風に襲われたと聞いて訪れると、町は惨憺たるありさま。
突如地面が盛り上がり、土が巨人となって暴れ始める。
さらにマントに金魚鉢ヘルメットの怪人が現れ、緑の光線を出してサンドマンを攻撃した。

スパイダーマンとして町の安全を守るピーター・パーカー(トム・ホランド)もまた、
アイアンマンことトニー・スタークの死を受け入れられないでいた。

それなのに、メディアはスパイダーマンにアイアンマンの跡を継ぐのかとかしましい。
夏休みに学校でヨーロッパへ歴史見学旅行をすることになった。

もちろん、スパイダーマンことピーター・パーカーもその一人。
MJ(ゼンデイヤ)も一緒なので、ピーターはMJへの告白作戦を考えネッド(ジェイコブ・バタロン)に相談したり。

そんなピーターのもとにハッピー・ホーガン(ジョン・ファブロー)が現れ、ニック・フューリーから連絡が入ると言うが、
ピーターはSHIELDSには協力できないとして、着電を無視する。

ピーターはヨーロッパでスパイダーマンにならないために、とスパイダー・スーツも置いていく。
しかし、空港の荷物検査でスーツケースの中にはスパイダーマンスーツが。
メイおばさん(マリサ・トメイ)が忘れものだと思い、気を利かせて入れておいてくれたのだ。

機内でピーターは何とかMJの隣に座ろうと画策するが、結局先生と隣り合わせに座ることになり、
MJは恋敵のブラッドの隣になってしまった。

あおりを食らってベティの隣になったネッドだが、意外にも機内でベティと仲良くなりネッドはご機嫌。

最初の訪問地はイタリアのベニス。
自由行動になると、ピーターは作戦通り、ベネチアン・ガラスのブラック・ダリアを買う。
しかし町中に突然、水が盛り上がって巨人となり大暴れ。
ピーターは応戦しようとするが、相手が水なのでスパイダーウェブも効かない。
そこにメキシコに現れた謎の男が登場。怪物と激戦の末、撃退し消え去る。

メディアは謎の男=ミステリオ、としてもてはやす。

ホテルで翌日のパリ行を楽しみにしているピーターだが、ネットが突然倒れ、ニック・フューリーが登場する。
ニック・フューリーはピーターをスパイダーマンとして隠れ家に連れて行き、例の怪人ミステリオを紹介する。

本名をクエンティン・ベック(ジエイク・ギレンホール)と名乗るマントの男はパラレルワールドの地球833(だっけ?)
から来たと言い、サノスの指パッチンで、パラレルワールドとのパイプが開いてしまったという。
水の怪物は地球833を滅ぼした4体のうちの一つで、最後は炎の怪人でプラハに現れると言う。

ピーターはニック・フューリーからトニー・スタークの遺品を渡されるが、行先はパリなので手伝えないと言って去る。
しかし、ピーター達の行先も旅行社のサービスだとして突然プラハに変わってしまう。

ピーターがバス移動の休憩中に運転手(ニック・フューリーの部下)に指示されて小屋に行くと、
黒いスパイダースーツを持った女性がいて、着替えるよう指示される。
ピーターが着替え中、ブラッドが入ってきて見られてしまう。

バスに戻り移動中にピーターがトニー・スタークの遺品のサングラスをかけるとそれはEDITHという人工知能で、
衛星やドローンをコントロールするものだった。

ピーターがついブラッドがいなくなればみたいなことを言ったので攻撃システムが作動し、ドローンの攻撃を受ける。
みんなにばれないようにドローンを撃退したが、危うくクラスメートを大量殺戮するところだった。

プラハではニック・フューリーが再度協力を求めるがピーターは断り、ニック・フューリーは散々嫌味を言ってピーターをなじる。
ミステリオこと、クエンティン・ベックはピーターをなだめ、ピーターはクエンティン・ベックにほだされる。

プラハではカーニバルの日だったが、屋外は危ないと思ったピーターがイーデスに指示するとみんなはオペラを鑑賞することになった。

ニック・フューリーからの指令がピーターに届き、ピーターは会場を抜け出すが、MJも後を追う。

果たして炎の怪人が現れ、町は大混乱。
ピーターは黒のスパイダースーツで応戦するが相手は強く、ミステリオが活躍して炎の怪人を倒すことができた。
ベティが黒いスパイダーマンだといったのでネッドは咄嗟にナイトモンキーだと言ってごまかす。

ニック・フューリーが現れてまたもピーターを叱責した。
ピーターは意気消沈し、慰めるミステリオと一緒にカフェで休み、本当にEDITHにふさわしいのはミステリオでと思い、
EDITHを渡し、認証までしてしまう。

ピーターが去ると、ミステリオといたカフェは物置の様な状態に変化した。
すべてはホログラムだった。
ミステリオとは全くのでたらめ。かつてトニー・スタークの研究所で働いていて、トニー・スタークに反感を持っていた男。
EDITHを利用して攻撃を仕掛け、自らが倒すマッチポンプによって、ヒーローだと思わせ、世の中を支配しようとしていた。

ホテルに戻ったピーターは、ネッドからパリ行きが中止になると聞き、MJに告白しようとMJを誘って外に出る。
告白するなら今だ、「実は僕は・・・」「スパイダーマンでしょ。」突然のMJの問いに言葉をなくすピーター。
「僕を見つめていたのは正体を探るため?」「そうよ。」がっくりするピーター。
スパイダーマンではないと必至にごまかしていると、MJが今日の現場で拾ったという機械の部品を見せる。
それが何かの拍子に突然怪人を出現させ、ミステリオと戦うシーンが繰り広げられた。

ここにきてピーターはやっとすべてがミステリオことベックの自作自演だったことに気づく。
そしてホテルに戻ろうとし、「そう、僕がスパイダーマンだ。」と告白してしまう。
MJはいつもの冷静さを失い「確信はなかったけど、60%ぐらいだったけど、そうだったんだ」と叫ぶ。

そのころ、次の攻撃準備をしていたベックはホログラムを投影していたドローンの一部が欠落していることに気づいた。
しかも、それをもっとているのがMJ、そしてピーターにもばれたことを知る。

ピーターはナイトモンキーになってニック・フューリーがいるベルリンに向かい、ベックの正体をばらすが、
それはベックの投影したホログラムだった。
応戦するピーター。しかし、ベックはニック・フューリーに撃たれ倒れる。
ニック・フューリーはピーターに誰が知っているか聞くとピーターはMJとネッドと答える。
しかし、それもベックの罠。
ベックのホログラムに翻弄されるピーター。
ついには線路に放り出され、列車にひかれるが、うまく社内に入り込みオランダまで行ってしまう。
携帯電話を借りてハッピー・ホーガンを呼び出し助けに来てもらう。
スーツを持っていなかったピーターはハッピー・ホーガンのジェット機内の研究室で新しいスパイダースーツを作る。

クラスの一行の行き先はロンドン。
ベックは一行がロンドンについたことを知り、ドローンを発射して風の怪物による破壊工作を演出。
ロンドンブリッジを攻撃しつつ、自身が現れて対決する様子を演じる。

新スパイダースーツを着たスパイダーマンことピーター・パーカーは風の怪物の内部に入り、ドローンを破壊していく。
ベックはホログラムを中止ドローンによる町への攻撃を開始する。

MJらクラスメイトを助けに来たハッピー・ホーガンが連絡して、ニック・フューリーは真相に気づき、
自身に近づいていたドローンを撃ち落とす。

ハッピー・ホーガンとMJらは博物館の金庫に逃げ込むが、ドローンが追いかけてきた。

ピーターを倒そうと自らもドーンの攻撃範囲に入るベック。
案の定、ベックは被弾して倒れ、ピーターに追い詰められるが、それもホログラム。
ピーターが横から撃とうとしたベックの攻撃を交わすと、本当に倒れ息絶えるベック。
EDITHを取り返したピーターはドローンの攻撃を即時中止させ、MJらへの攻撃もやむ。

再会を果たしてピーターとMJ。
渡そうとしていたブラック・ダリアはバラバラになってしまったが、MJはピーターを見つめていたのは
正体を探るためではなく好きだったからと告白し、二人は付き合うことになった。

ニューヨークに戻ったピーター。
ピーターはハッピーとメイおばさんの関係を二人に問いただすと、ハッピーは本気、メイおばさんはただの友達と答える。

あきれるピーターは二人を残しスパイダースーツで出かける。
行った先はMJ。ピーターはMJを連れて、空中散歩を楽しむ。
「楽しかったけど、もう二度とはいいわ」というMJ。
ピーターが悦に入っていると、大型ビジョンにJ.ジョナ・ジェイムソン(J.K.シモンズ)が登場し、
ヒーロー、ミステリオの最後の映像を流す。

そこではベックが、最後の言葉として、スパイダーマンにやられた、と告白。
そしてあろうことか、スパイダーマンの正体はピーター・パーカーだ、と明かしてしまったのだ。

車を走らせるニック・フューリーとマリア・ヒル。
しかし、その正体はスクラル人。
正体を現し、宇宙にいる本物のニック・フューリーに電話。
ニック・フューリーはやおら立ち上がって、仕事を始めると言いつつも「俺の靴はどこだ」と叫ぶところで映画は終わる。

**

結構面白かった。
ホログラム何でもありはちょっと行き過ぎ感が無きにしも非ず。

ラストは意外な展開。
まさかここで正体がばらされるとは。
続編はまだアナウンスされていないが、次からどうするのか。

ただ、JJJ(J.ジョナ・ジェイムソン)としてJ.K.シモンズ登場はちょっとうれしかった。

ジェイク・ギレンホールの正体も意外ではあるが、EDITHがなくてもあれぐらいすごい攻撃が仕掛けられるのなら、
もっと別のやりようがあったのに。トニー・スタークへの恨みが強かったにせよやりすぎ。余程ヒーローになりたかったと見える。

予告はよくできていて、ジェイク・ギレンホールが完全にヒーローになっていたし、サンドマンが出るのか、と思わせる点も良かった。
いずれもいい意味でのミスリードで、本編の邪魔になっていない。

冷たい感じのMJ(ゼンデイヤ)がスパイダーマンの正体を知ってうろたえるシーンは可愛かった。
撮影技術なのか、トム・ホランドとの2インチ(5cm)の身長差は全く気にならない。

尚、MJのフルネームは従来のメリー・ジェーン・ワトソンではなく、ミシェル・ジョーンズ。
前作でもミシェルと呼ばれていて、自分で「ミシェル・ジョーンズなのでMJ」と言ったときはええーっ!だった。

トム・ホランドが「インポッシブル」の長男、ルーカス役だったとは思いもよらなかった。