ザ・インターネット
サンドラ・ブロック、ダイアン・ベーカー、ジェレミー・ノーザン
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アンジェラ・ベネット(サンドラ・ブロック)は自宅でプログラムのバグ取り、ウィルスソフトの解析などを行うコンピュータ・エンジニア。
近所づきあいはほとんどしない、唯一の肉親である母はアルツハイマーで療養施設に入っているが娘のこともわからない。
顧客のデール(レイ・マッキノン)から食事に誘われても先約があると断り、宅配ピザを取るような性格。
フリーのエンジニアを止めてデールのいるカシードラル社に就職しないかと誘われている。
アンジェラは今日もESCキーを押すとファイルの中身を破壊するウィルスと格闘していた。
そのデイルからFDが宅配便で送られてきたので、ついでにそのウィルスをデイルに送るよう託し、
デイルのFDを開くと、政府の機密情報にアクセスできるソフトだった。
すぐにデールから電話があり、電話で言えない話があるから会いたいと言うが、アンジェラは旅行に出かけるからダメと断る。
デールはアンジェラが旅行に出る前に着くからと、会う約束を取り付ける。
しかし、その夜、自家用機でLAに向かったデールは、空港に着く直前、計器の異常で建造物に激突して死ぬ。
何も知らないアンジェラは訝しく思いながらも旅行に出る。
旅先で、アンジェラは、ジャック・デブリン(ジェレミー・ノーザン)というコンピュータ・エンジニアと偶然知り合いになり、
ジャックのクルーザーで懇意になるが、ジャックはアンジェラの体だけでなくFDをも奪おうとする。
這う這うの体でジャックを倒し、ゴムボートで逃げ出したアンジェラだが操縦を誤って岩礁に乗り上げる。
漁師に助けられ、3日ほど眠っていてアンジェラ。
気が付いてホテルに戻るが既にチェックアウトしているという。
着替えも荷物もなく、途方に暮れて大使館へ行くと係りの女性が、アンジェラを「ラス・マルクス」と呼び、
仮の渡航証明を出すという。
ラス・マルクスとして帰国したアンジェラ。
デーブに連絡を取ろうとするが、死亡したと告げられ、アンジェラ・ベネットと告げるとアンジェラはすでに社内にいるという。
自宅に戻るとそこは売出し中で、がらんどうだった。
警察を呼ぶもアンジェラ・ベネットと信じてもらえない。
挙句、ラス・マルクスは犯罪歴があって手配中ということになり、逮捕されそうになる。
それは例のジャックがラス・マルクスのデータを改ざんしたものだった。
その場を逃れたアンジェラは、なじみの精神科医アラン(デニス・ミラー)に助けを求める。
アランはFBIの知人に連絡すると話し、協力を約束する。
しかし、途中で持病の発作で倒れたアラン。
入院先の病院で、何者かにデータを改ざんされ、投与された薬剤がもとで死んでしまう。
アランのBMWで逃走するアンジェラ。
しかし、その車は盗難車として手配されており、アンジェラはついに警察に逮捕されてしまう。
アンジェラは、デールの送ってきたFDに陰謀があると読む。
つまり、ゲートキーパーなるセキュリティシステムを売るために、政府機関や金融、交通などのシステムをハッキングし、
ゲートキーパーを導入しているところだけがハッキングを免れるように仕組んでいたのだ。
また、ゲートキーパーは不正アクセスソフトによって、ひそかに種々のデータの改ざんを可能にする機能も備えていた。
留置場で弁護士はアンジェラの話を全く信じない。
唯一の懇意だったアランは死亡、母も自分がわからない。
万事休す、と思ったところへ、FBI捜査官がやってきてアンジェラを救い出す。
これで助かったと思ったアンジェラ、しかし、捜査官はアランの知らない話を語りだし、ジャックの一味だと分かる。
アンジェラは、捜査官をかわして逃げ、カシードラル社に乗り込んでいく。
そこにはアンジェラに成りすました偽のアンジェラ・バネットがいるはず。
空いた端末からうまく入り込み、アンジェラ・バネットを特定。
偽の火災報知を流して社員を退避させ、アンジェラの席でデールに送ったウィルスのFDを発見、
さらにはゲートキーパーの不正アクセスソフトをコピーする。
そして、セキュリティの展示会のカシードラル社のデモ端末から、不正アクセスソフトをメールでFBIに送りつける。
しかし、追ってきたジャックと偽のアンジェラ・バネット=本物のラス・マルクス(ウェンディ・ガゼール)につかまる。
二人はデモ端末でアンジェラのメール送信を阻止すべくESCキーを押した途端、ファイルの中身は消えてしまった。
そう、アンジェラがデールに送ったFD=さっき取り返したものを仕込んでいたのだ。
展示会の裏手で逃げるアンジェラと追うジャックとラス。
ラスはジャックに誤射されて息絶え、ジャックもついにアンジェラに倒される。
アンジェラの通報がもとになり、ゲートキーパーの会社の社長は逮捕される。
アンジェラは身分を隠して母のいる療養所の職員としてコンピューターとは無縁の世界に住むのだった。
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1995年(日本公開は1996年)当時、日本では個人のインターネット利用率はせいぜい数%。
映画が当時のアメリカ社会の実情を表しているとすれば、ネットの利用法としてそれはそれですごかったと思うが、
操作コマンドはtelnetであり、回線はモデム接続であり、ブラウザはネットスケープ・ナビゲーターの時代。
インターネット・エクスプローラーがバージョン3となってやっとまともに使えるようになった頃。
一般には、ネットを通じて直接データを改ざんするなんて思いもよらなかったというか受け入れられなかったのではないか。
興収は5千万ドルと当時としてはまずまずだと思うが、ユーザの評価は意外と低い。
今見てもなかなか面白いというか、今見ると逆に現実味のある展開で、得体のしれないそら恐ろしさというよりも、
あり得る怖さの感が強い。
いつだったか、つい最近だが、警察の犯罪者DNAデータベースに合致して逮捕された男が、
余りにも強硬に無実を訴えたため、再検査を行ったらデータベースの情報とは違っており、
どうやらデータベースの誤登録で、全く関係ない別人=真犯人の情報が入っていたとのことだった。
どこでどう間違ったかわからず、当然真犯人も闇の中。
このケースは改ざんではないが、データが間違っていた場合の恐ろしさを感じさせる。
ただ、今回の映画では直接登場する敵役が少なく、相手の組織としての「悪度」はややしょぼいし、
善人側にももう少しコンピュータに詳しい強力な助っ人がいた方が面白かった、と思うのは今の時代だからかもしれない。
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