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今年の累計:38(1)[10] 本 ( )は試写会
[ ]は邦画
1−3月期:12(0)[3]本 、4−6月期:13(0)[5]本、7−9月期:13(1)[2]本、10−12月期:0(0)[0]本  
7月:3(0)[0]本、8月:4(0)[1]本、9月:6(1)[1]本  
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 アントマン  

ポール・ラッド、マイケル・ダグラス、エバンジェリン・リリー、マイケル・ペーニャ。

1989年、ハンク・ピム博士(マイケル・ダグラス)は、自分の発明したピム粒子を
勝手にコピーしようとしたとして会議中のハワード・スタークらを罵る。
また亡き妻のことを持ち出したミッチェル・カーソンを殴りつけてSHIELDSを辞める。

時は経って、現在。
スコット・ラング(ポール・ラッド)は刑期を終えて出所。
車で迎えに来たのは、コソ泥のルイス(マイケル・ペーニャ)。
当分そこに住むことになる。

スコットは娘へのプレゼントを買い、誕生日パーティに行く。
娘のキャシーはパパのプレゼントを喜んでくれたが、妻のマギー(ジュディ・グレア)は激怒し、
養育費を払わない限り、キャシーに合わせないと言い放つ。
また、妻と再婚予定でスコットを捕まえた刑事のパクストン(ボビー・カナベル)はスコットを追い返す。

ハンク・ピム博士は久しぶりに自身が設立したピム・テクノロジーの新製品発表会に赴く。
社長のダレン・クロス(コーリー・ストール)は秘書でピム博士の娘の
ホープ・バン・ダイン(エバンジェリン・リリー)を従え、ピム粒子を利用して
イエロージャケットと呼ぶ戦闘服を縮小し、ミニマム戦士によって戦闘を激変させるとプレゼン。
居並ぶ軍関係者は絶賛するが、ピム博士は危険だ、と反対する。

社内会議の席でもダレン社長に反対する者がいるが、トイレでピム粒子をかけられ肉片になってしまう。
まだ、生物を生きたまま縮小する事は出来てなかったのだ。

スコットはB&R31アイスクリーム店に就職するが、前科者であることがばれ首になる。
金が必要なスコットはついにルイスの空き巣の計画に乗り、とある豪邸に忍び込む。

屋敷に難なく忍び込み、電子ロックや古い金庫を突破したものの、中にあったのはライダースーツ。
警報解除の時間が迫り、スコットはライダースーツを盗んで帰る。

アパートのバスタブでライダースーツに着替え、手の付近のスイッチを押していると、突然体が縮小。
シャワーの水に跳ね飛ばされて排水口から下の階へ流され、地下から路上へと逃げてやっと元に戻る。

スコットはライダースーツを元の家に戻そうと侵入を試みるが、通報を受けたパクストンに逮捕される。
結局足は洗えてないと罵るパクストン。
スコットの弁護士と名乗るピム博士が面会に来て、あのライダースーツ=アントマンスーツをスコットに着させ、
小さくして羽蟻に乗せて警察から脱出させる。

飛行して逃亡中にめまいを起こしたスコットが気付いた時はピム博士の家のベッド。
ピム博士はルイスらにわなを仕掛け、スコットにわざとアントマンスーツを盗ませたと言う。

そして、イエロージャケットを盗み出すとともに、データを全部消去するよう依頼する。
ホープはピム博士の指示でダレンをスパイしていたが、運動能力や格闘技に長け、
イエロージャケットを盗み出すのは自分だと言い張り、博士と対立する。

スコットはホープに訓練を受け、アントマンスーツの使用にも慣れていく。
また、訓練された蟻を意識でコントロールする方法も徐々に身に着けていく。

その間、ダレンは研究を重ね、ついに失敗続きだった生きた物の縮小にも成功する。

スコットはピム博士の指示する場所にイエロージャケットを盗みに向かうが、
なんとそこはアベンジャーズの研究所。

ファルコン(アンソニー・マッキー)が異変に気付いてアントマンを迎え撃つ。
スコットはなんとかファルコンを交わすが、イエロージャケット奪取には失敗、その場を去る。

この間、ピム博士は妻の行方不明について語る。
かつてソ連軍の一部が暴走し、アメリカに核ミサイルを発射。
アントマンとなったピム博士と妻が阻止に向かうが、ミサイルの金属が硬く突破できない。
妻のジャネットはさらに縮小し、原子レベルまで小さくなってミサイル内部に侵入し、
回路破壊に成功したものの、原子の海に埋もれて戻れなくなってしまっていた。
ホープは博士を許し和解する。

一方、ダレンはイエロージャケットをなんとヒドラに売ろうとしていた。
ヒドラのバイヤーはかつてのSHIELDSの仲間、ミッチェル・カーソンだった。
社のイベントに忍び込んだルイスらの力を借り、スコットと蟻軍団は社のサーバールームに潜入、
サーバーを破壊していく。

ヒドラメンバーの大半も撃破されるが、ダレンは自身がイエロージャケットを着こんでアントマンと対峙する。

縮小/復元を繰り返し、イエロージャケットとアントマンの戦いは続く。
一旦はイエロージャケットを倒したかに見えたが、イエロージャケットはキャシーを人質にして、
再びアントマンに戦いを挑む。

アントマンはキャシーを救いだしてパクストンに預け、イエロージャケットと戦う。
イエロージャケットの装甲は固く、アントマンはついに意を決してさらなる縮小を行い、
原子レベルになってイエロージャケットの内部に侵入し倒す。

原子の海を漂うアントマン。
キャシーの声を頼りに現実の世界のサイズに戻ることができる。

スコットはキャシーと再会し、パクストンとも和解する。
ピム博士はスコットが原子の世界から戻ったことで妻の捜索に望みを見出す。

また、ホープ用にアントマンスーツを作っており、それをホープに託した。

スコットは逮捕を免れたものの無職。
ルイスはスコットに新しい仕事があると告げるのだった。

一方のサム・ウィルソン(ファルコン)はスティーブ・ロジャーズ(キャプテン・アメリカ)、
バッキー・バーンズ(ウィンター・ソルジャー)らと会い、トニー・スターク(アイアンマン)には
内緒の作戦に適切な人物がいると語り合うのだった。

思ったより面白かった。軽快。
ホール・ラッドやマイケル・ペーニャのどこか抜けた感じもまずまず好印象。

アントマン誕生の物語としてだけでなく、アベンジャーズとの関連をそこここに示し、
「キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー」へのつながりにも含みを持たせた。
ラストのボーナスシーンはシビルウォーの主要メンバーで、キャストもそのまま。

アベンジャーズとの関連はある程度知っていたが、いきなりハワード・スタークが出たのには驚いた。
しかもキャストはドミニク・クーバーではなくジョン・スラットリー。

ホープのエバンジェリン・リリー、どこかで見たなと思ったらなんと「ホビット」のタウリエル。

ジュディ・グレアのマギーは悪い人ではないがなんとなく嫌味な人物に感じる。
「ジュラシック・ワールド」の兄弟の母カレンもあまり好印象ではなかった。

 

 

   

 キングスマン  

コリン・ファース、サミュエル・L・ジャクソン、タロン・エガートン、マイケル・ケイン、マーク・ストロング

スパイの一団がテロリストを尋問していると、テロリストは隠し持った手榴弾を爆破させようとし、
スパイの一人が覆いかぶさって自分は死に、仲間を助ける。

コード名:ガラハットことハリー(コリン・ファース)は、幼い子を残して死んだ同僚のお悔やみに行くが
未亡人のミシェルには拒否され、その子エグジーに秘密のメダルを託す。

17年後(だったかな)。
雪深い山奥に捕らわれたアーノルド博士(マーク・ハミル)、救出に来たエージェントは敵を殲滅するが、
背後からガゼル(ソフィア・ブーテラ)に一刀両断にされる。
その直後、実業家のバレンタイン(サミュエル・L・ジャクソン)が現れ、アーノルド博士に何かを告げる。

ロンドンの高級テーラー「キングスマン」の奥の部屋では、代表アーサー(マイケル・ケイン)と
ガラハットが出席、他のエージェントはバーチャル参加で会議が行われ、
アーサーは各エージェントに死亡したランスロットの後釜推薦を指示する。

かつて、ハリーがメダルを託したエグジー(タロン・エガートン)の母は荒くれ者のリーダーと再婚、
エグジーはバーで義父の手下と揉め、逃げるふりをして手下の車を乗り回してパトカーに追われ、
狐を避けて衝突し捕まる。

エグジーは万策尽きてメダルの番号に電話し、合言葉を言うと釈放される。
警察署の外で待っていたのはハリーだった。
ハリーがエグジーをバーに連れて行き説教していると、また手下がやってくる。
ハリーはあっという間に6人をのしてしまう。

アパートに帰ったエグジーはまたも義父の手下に追われるが、バルクール宜しく逃げ、
テーラー「キングスマン」にたどり着く。

エグジーはハリーの提案を受け、エージェント候補として選抜試験に臨む。
候補者は男性6名、女性2名、男性はエリート校出身のいけ好かない奴ばかり。

試験官マーリン(マーク・ストロング)は、生き残った一名のみがランスロットとなると告げる。
最初の試験は水攻め。トイレの配管から空気を吸うことに気づいたみんな。
エグジーは部屋の鏡がマジックミラーと見抜き、割って脱出に成功するが、女性一人が溺れ死ぬ。

その頃、ハリーはアーノルド博士に接触し、ランスロット死亡のいきさつを聞こうとするが、
博士の頭が突然爆発、博士は即死する。
調べたところ、耳の後ろにチップが埋め込まれており、これが異常加熱することによって
肉体が破裂する仕組み手だった。

一方、エージェント候補のテストはさらに進み、各自犬を選び育て、訓練するテスト。
スカイダイビングのテストでは時間内に目印に到着すれば合格。
ところが飛び降りた直後、誰かのパラシュートは空だとのアナウンス。
エグジーはみんなで助け合おうと提案し、一人ずつ紐を引くが皆パラシュートが開き、
エグジーとロキシー(ソフィー・クックソン)が残る。
結局ロキシーのパラシュートで着地するが、エグジーのパラシュートも空ではなかったことが分かる。

こうしてテストに落ちたものは帰され、エグジー、ロキシー、チャーリーの3人が残る。
次に女性をナンパして保護するテストが課されるが、逆に睡眠薬を飲まされて全員拉致され、
線路にしばりつけられて「キングスマン」の秘密暴露を要求される。

チャーリーは秘密を喋って落第。エグジーとロキシーが残る。
最後に二人は別々の部屋で銃を渡され、それまで育てた犬を撃てと命令される。
エグジーは拒否、ロキシーは撃って、ロキシーがランスロットとなり、エグジーは帰される。

しかし、ハリーはエグジーにテストの秘密を暴露。
銃は空砲で犬は死んでおらず、テスト途中で死んだ仲間も生きており元気だと言う。

さて、バレンタインはFFFF(Free Call, Free Internet, For Everyone, Forever)と称し、
フリーSIMカードを全世界で配布。大勢が殺到した。
しかし、それはSIMカードを通じて凶悪化電波を発信し、人々を互いに戦わせて人を減らすという
とんでもない計画の準備だった。

計画を察知したハリーは、人種差別主義者の集会で実験が行われることを察知し、現場に乗り込む。
ハリーはSIMカードを持っていなかったが、他人のカードからの電波に誘引されて凶暴化。
教会内はハリーを含めての殺し合いとなり、ハリーだけが生き残る。

教会を出て呆然とするハリーにバレンタインが近づき、射殺してしまう。

ハリーの死にショックを受けてアーサーの元を訪れたエグジー。
しかし、アーサーの耳にも手術の後を見つけたエグジーはアーサーの裏切りを確信。
毒入りブランデーをすり替えてアーサーを倒す。

バレンタインの計画は衛星を通じてSIMカードに信号を送り、全世界で暴動を起こすこと。
そのため、世界の富豪や政治指導者には凶暴化電波を無害化するとしてチップを埋め込んでいた。
チップは自爆機構もあるため誰もバレンタインには逆らえない。

ついにバレンタインの計画実行の時が迫る。
ランスロット(ロキシー)はバルーンで成層圏まで行き、ミサイルで衛星を破壊、
マーリンとエグジーはバレンタインのパーティに乗り込んで阻止する役目だ。

信号発射の時間は刻々と迫る。
チャーリーが裏切ってバレンタインについており、エグジーの正体もばれる。
やがて時間切れで世界中で殺し合いが始まる。

ランスロットが何とか衛星をミサイルで破壊し、一旦は電波が止まるが、
バレンタインは仲間の衛星を借りてネットワークを再構成し、電波を再出する。

バレンタインを倒そうとするエグジーの前にガゼルが立ちはだかり、激しい戦いとなる。
遂にガゼルを倒し、バレンタインも倒したエグジー。
マーリンがチップの自爆機構を起動し、バレンタインに賛同していた者は次々と爆発していく。

役目を終えたエグジーはバレンタインに反対して捕えられていた北欧の首相夫人の牢獄へと行くのだった。

**

多分にイギリス的なジョークと言うかペーソスと言うか。
大体加熱したって頭は爆発しないが、爆発して無頭状態になる所を見せるのがイギリス風か。
「悪の法則」では、グロい殺し方が多く示され、中でもブラピがワイヤーで首を切断されるが、
首なし死体は映されないし、大量出血するシーンまでしか表わされない。

「キングスマン」の組織は不可思議。
金の出所についての説明はあったが非政府組織で独自行動をとり、政府の庇護もないとすれば、
ある意味彼ら自身がテロリスト集団だ。

傭兵のような位置づけにしたほうが良かったかも。

クレジットに、マーク・ハミルの名前を見てびっくり。
それがアーノルド博士だったと知ってまたびっくり。
太った中年オヤジで、博士然とはしているが到底ルーク・スカイウォーカーに見えない。
デブッチョになったカーク船長(ウィリアム・シャトナー)と同じ感じか。

主演のタロン・エガートンは初見。
TVには出ているが、本格映画は2本目で主役は初。

 

 

         

  カリフォルニア・ダウン  

ドゥエイン・ジョンソン、カーラ・グギーノ、アレクサンドラ・ダダリオ、ポール・ジアマッティ。

カリフォルニアの崖っぷちを走る車。
運転する若い女性は、よそ見をしたり携帯に気を取られたりして、対向車とぶつかるのか、
と思いきや、突然起こった地震と落石で。車はガードレールを突き破って崖の途中に引っかかる。
女性は怪我はしたものの命は助かり救助を呼ぶ。

ロサンゼルス消防局の救難ヘリが接近。
TV局のアナウンサー、セレナ(アーチー・パンジャビ)とカメラクルーも取材で同行。
チーフパイロットのレイモンド・ゲインズ(レイ:ドゥエイン・ジョンソン)は、
アクロバティックな操縦で車に接近し、仲間が降下するが救助中に車に挟まれて動けなくなる。
レイは自ら降下し、女性を助け仲間も助かる。

一方、カリフォルニア工科大のヘイズ博士(ポール・ジアマッティ)は、
同僚のパク博士(ウィル・ユン・リー)と地震予知に関する研究を進めており、
地磁気の変動から地震を予知できる仮説を立て、フーバーダムに観測に行く。

フーバーダムの地下通路で観測していたパク博士は、当初想定を上回る地磁気の上昇を観測し、
ダムの上にいるヘイズ博士に連絡した直後、巨大地震が発生、フーバーダムは崩壊。
パク博士は地下から脱出するも、逃げ遅れた女の子を助けて自身はダムの崩壊とともに流されてしまう。

レイは大学に入る娘から荷物を送ってほしいとの連絡を受け、家に戻るが
届いていた郵便物には妻との離婚承諾書があった。

レイが荷物を届けた先はダニエル・リディック(ユアン・グリフィズ)の豪邸。
フーバーダム決壊の連絡を受けたレイは、娘のブレイク(アレクサンドラ・ダダリオ)を
大学へ送っていくのを断念し、ダニエルに託す。
その際、妻のエマ(カーラ・グギーノ)がダニエルと同居する予定であると知ってがっくりし、
離婚承諾書はすぐにサインして送ると言って去る。

ダニエルはブレイクをサンフランシスコまで自家用機で送り、
自社での一仕事を済ませるため、自分の会社に連れて行く。

ヘイズ博士はセレナのインタビューを受けて、地震予知について語っているとき、
研究員が新たな地磁気の上昇を伝えてくる。
それは、フーバーダム近くの未知の断層がラスベガスからサンアンドレアス断層につながっていることを示していた。
そして、その断層に沿って次々と地震が発生し、ロサンゼルスは大地震に襲われる。

その頃、ダニエルの姉と会っていたエマはレイから掛かってきた電話に出ているときに地震に遭遇。
ビルは崩壊し、多くの人が逃げ遅れて墜落死する。
レイはエマにビルの屋上に上がるよう指示、ヘリで救助に向かう。

ビル崩落まで余裕のない中、レイはエマの救出に成功し、ブレイクからの電話に出て救助に向かう。
ブレイクは程なくベンとオーリーに助けられるが、レイはエマとともにブレイクの救出に向かう。

その頃、ヘイズ博士のチームはより大きな地磁気の変動を検知していた。
つまり、ロサンゼルスを襲った地震はそれで終わりではなく、より大きい地震が起こり、
サンフランシスコを襲うことになると考えられた。

ダニエルを待つ間、ブレイクはたまたま就職の面接に来ていたベンとその弟オーリーに会う。
一仕事終えたダニエルはブレイクを連れて駐車場から出ようとする。

しかし、ヘイズ博士の予知通りサンフランシスコを大地震が襲い、ダニエルの本社ビルも地震に見舞われる。

ダニエルは車を急いで出すよう指示するが、駐車場の床面が崩落し、車は壁に激突、運転手は死亡、
ブレイクは椅子に足を挟まれる。

ダニエルは救助を呼びに上階へ行くが再び地震が起こり、恐怖に駆られて逃げてしまう。
その時、ダニエルの話を聞いていたベンはオーリーとともに地下に向かう。

ブレイク、ベン、オーリーはビルを脱出できたが、携帯ではレイと連絡がつかない。
ブレイクは電気店でアナログ電話を使い、レイと連絡に成功、目標の高いビルを目指す。

救助/救難に関してはブレイクの知識の方が上。
ベンとオーリーはブレイクに従い、多くの人とは反対方向に進む。

レイのヘリはガス欠になるが、オート・ローテーションを利用して軟着陸を試み、
結果、テール・ローターを失って最後はショッピングモールに突っ込む。

そこでは略奪が起こっており、レイとエマは盗難車を奪い取ってロサンゼルスに向かう。
途中、断層が大きくずれて地面が割れ、断崖のようになっているところで立ち往生するが、
居合わせた老人夫婦が飛行機を持っていることを知り、車と交換し、飛行機でロサンゼルスへ行く。

飛行場が損壊しており着陸できないため、レイは飛行機を捨て、エマをタンデムでスカイダイビングし、
AT&Tパーク(MLBジャイアンツの本拠地球場)に降り立つ。

道路が使えないと見たレイは、モーターボートを使って目標のビルに向かうが、
岸壁で水位が大きく下がるのを見て津波を直感し、湾外へ逃げる。

レイとエマは目の前に大きく立ちはだかる水の壁をぎりぎり乗り越えて津波を回避するが、
多くの船は津波に巻き込まれる。

一方、ブレイクら3人は当初目的としていたビルが火災で近づけないため、別のビルを探し、
結局、リディックの建設中の高層ビルに向かう。

なんとかリディックのビルまでたどり着いた3人だが、津波の影響で水位が上がるとともに、
ビル自体が崩壊し始め、上階へと逃げる。

3人の目の前をレイとエマのボートが行き過ぎる。
オーリーがたまたま持っていたレーザーポインターで合図を送るとエマが気付き、3人のビルに向かう。

しかし、ビルはさらに崩壊して3人の居た階は水没、ブレイクは逃げ遅れて取り残される。
レイは水に飛び込んでブレイクを見つけるが、ブレイクはついに水没する。

エマがボートでガラスを突き破ってベンとオーリーを助け、レイとブレイクも引き上げる。
ブレイクは心肺停止状態だったが、レイの必死の蘇生術でついに息を吹き返す。

やがて高台に軍をはじめとする救護隊が避難所を作り、逃げ延びた人々が集まっていた。
壊滅状態となったロサンゼルス一帯。
宇宙から見るとカリフォルニアはサンアンドレアス断層で分断され、アメリカ大陸から切り離されていた。

**

サンアンドレアス断層は複雑な構造をしているらしいが、ごく簡単に言うと
太平洋プレートと北米プレートのぶつかり合う横ずれ断層である。
太平洋プレートが北に、北米プレートが南にずれることでサンフランシスコ(北米プレート側)と
ロサンゼルス(太平洋プレート側)は年間数mmずつ近づいていると言われる。

劇中何度も出てくる数字はマグニチュードのことだろう。
ヘイズ博士が「1違えばエネルギーが10倍違う」と言うが間違い。
マグニチュードは「2違えば1000倍違う」のであり、1違えば約32倍違う。
0.1で約1.4倍、0.2ごとに倍々となる。

最初の大地震は8.1だったと思うが、最後の巨大地震9.6とは150倍以上の差となる。
尚、もしマグニチュード9.6の地震が起こったとすれば歴史上最大の可能性が高い。

また本作の地震はプレート境界型地震であり、横ずれではあるがTVなどでよく説明される
プレート沈み込みによるプレート境界型地震に近い。

地震の発生メカニズムにはいろいろあり、2015年5月に日本全国を揺らし、
遠く離れた神奈川県や埼玉県で震度5を記録した「小笠原沖地震」(震源の深さ682km)などの
深発地震と、プレート境界型地震では全く異なる。

海洋を震源とする地震で津波が起こることはみんなよく知っているし、1波だけで終わらないこともよく知っている。
本作の地震ではどのような経緯でどんな津波が起こるのかはよくわからない。
しかし、ああいう津波にはならないのではないかと思う。

いずれにしても、荒唐無稽な原因と結果の「2012」よりははるかに科学的。
当初キャッチコピーを「カリフォルニアが沈む」と聞いていて、実際チラシにもそうあったが、
横ずれ断層なのに沈みはしないと思っていたが、プレートが沈むわけではなかったし、
チラシにもしっかり「横ずれした」とあったのであながち間違いでもない。

自動ホバリング・ボタンは現実にはないらしい。
ただ、それも含めて、それぞれのシチュエーションでそれぞれの人の活躍や行動や判断があるだろうことを、
劇中ではレイ一家を代表者として様々なシーンで登場させているだけだと思った。

 

 

        

 

  天空の蜂   

本木雅弘、江口洋介、綾野剛、仲間由紀恵、柄本明。

物語は1995年。
錦工業という自衛隊に大型ヘリ、通称ビッグBを納入する会社での納入式の日。
開発責任者の湯原一彰(江口洋介)は妻の篤子と息子の高彦を連れて見学に来る。

妻、篤子(石橋けい)は何かにつけ湯原に反発する。
高彦(田口翔大)は、一彰が離婚を考えていることを立ち聞きしてショックを受け、
一緒に来ていた友人と勝手に格納庫へ行き、ビッグBに乗り込んでしまう。

その頃、格納庫が見えるビルの一室で何者かがリモコンでビッグBを操作し、
エンジンを起動、格納庫から出す。

高彦らはびっくりしてビッグBから逃れようとし、一彰も助けようとするが、
友人は脱出したものの高彦は取り残される。
持っていた飲料の缶をゲートに挟み、テールゲートが開いたまま、ビッグBは飛び去る。

ビッグBは稼働中の高速増殖原型炉「新陽」の上空800mでホバリングする。

やがて、マスコミなどに声明文が届く。
「全ての原発のタービン棟を破壊せよ。要求が受け入れられない場合、
8時間後の燃料切れとともにビッグBは原子炉建屋に墜落する。 天空の蜂」

関係者が新陽事務所に集結し、対策を練る。
原子炉の設計者である三島(本木雅弘)もその一人。
三島は湯原を父親失格と罵り、反感を持ちながらも対応に知恵を出す。

一方で警察は犯人探しに注力する。
現地で奔走する今枝(佐藤二朗)、関係者の捜査に尽力する高坂(手塚とおる)と野村(松島花)、
地道な捜査で容疑者をあぶりだしていく室伏(柄本明)と関根(落合モトキ)。

警察庁は幹部、芦田(竹中直人)を通じ、高彦の救出を犯人に要請。
天空の蜂は全原発停止を条件に救出を認める。
政府は原発停止を決断し、要求通り停止作業をTV中継する。

自衛隊ヘリは決死の救出作戦を敢行。
上条(永瀬匡)が、ビッグBに接近するも高彦はビッグBから落下。
上条が追って確保し、パラシュートで帰還に成功する。

しかし、天空の蜂は再び全原発の停止を要求し、政府はそれを飲む。
一方、新陽では停止するなとの天空の蜂の要求を無視して停止する手段を検討。
所長の中塚(国村隼)と社長の筒井(石橋蓮司)は言い争いをしながら対応を進めていく。

やがて、原発の清掃員が白血病で死んだ案件で、労災認定を求める運動に参加していた
元自衛官の雑賀(さいが、本名佐竹、綾野剛)が、浮かび上がってくる。
室伏は雑賀の居場所を突き止め急行するが、自衛隊の特殊作戦部隊も現場に急行する。
雑賀はアパートを爆破し、止める関根を刺して逃げるが、追い詰められてトラックに飛び込み死ぬ。
同時に雑賀の持っていたリモコンも破壊されてしまう。

高坂はビッグBに何らかの改造が加えられていることから、開発社である錦工業に協力者がいるとみて、
操作を進め、総務課の赤嶺淳子(仲間由紀恵)に疑いを深める。

錦工業に侵入し、開発中のビッグBに改造を加えたのは雑賀ではなく、三島だった。
三島は原発勤務を理由に息子がいじめに遭った末に飛び降り自殺し、
それを救えなかったことを負い目に思っていた。

三島は原発政策に疑問を感じていた雑賀(佐竹)と協力して原発政策に注目を集めようと考えていた。
赤嶺は三島と愛人関係にあり、事件後国外に逃亡する予定だったが、妊娠で搭乗を断念していた。
湯原は三島の態度に異変を感じて犯人一味であることを確信、結局三島は逮捕される。

バラバラになったリモコンを復元しようとしていた湯原はリモコンが純な機能しか持たないことに
気付き、ビッグBの燃料枯渇後も若干の操作が可能だと考える。

湯原は燃料枯渇の期限が迫り、所長の中塚は新陽緊急停止と撤収を宣言。
作業員は原発内建屋に退避する。

原発周辺の海水温をモニターしていたビッグBは新陽の停止を感知してエンジンを停止。
しかも三島はローターが自然回転して軟着陸するのを妨害するため、ローター基部を爆破させ、
ヘリでビッグB直下にホバリングしリモコン操作をしていた湯原にビッグBが墜落してくる。

必至でリモコンを押し続ける湯原。
ギリギリで新陽は原発を反れて海中に落下爆発する。

ただし、三島は本当に原発を破壊し日本を放射能汚染に晒そうとしたのではなく、
新陽は原発で最も危ない使用済み核燃料が少ないこと、使用済み核燃料プールが地下にあること、
原子炉格納容器が格段に頑強なことなどから、ビッグB墜落による損傷がないだろうとみていた。
しかも、大量と言われた爆破物も比較的少なめにしてあった。

三島の思惑がどうだったかはともかく、事件は終結し、人々は安堵に包まれた。

20年後、成人した高彦(向井理)は自衛隊ヘリパイロットとして、
東日本大震災の最大出動に活躍していた。

**

原発に対する個人的な考えはここでは述べない。
ただ、三島が原発の負の面を感じながらも原発を信じざるを得ない葛藤は良く出ていた。

「穴」とまでは言わないが、そういうことでいいのか、と思う点はいくつかある。
冒頭のビッグB離陸について、高々飲料の缶程度で大きなテールゲートが閉まらなくなるのか、
ゲートが半開きのまま離陸できていいのか、そもそも再開閉すれば缶は外れるのではないか。

プログラム改造と入れ替えはいいとして、ケーブルが露出した状態でばれなかったのか。
試作機とはいえ最終飛行試験もしていたはずで、前日格納庫に収めてからケーブルを接続しないとばれる。
納入式直前に会場に誰もいないのも不自然。中にはまだ人がいないとしても格納庫の警備もいない。

つまり、そもそもああいうやり方ではビッグBを乗っ取ることはできず、
もう少し緻密な作戦行動が必要だった。人も足りない。

最後にもうひとつ気になった点。
モールス符号があっていたかどうかは確認できなかったが、字幕は間違い。
和文モールスに濁音文字はなく、「濁音」は「清音+濁点」になる。
つまり、意味は「下がれ」であっても、送るモールスは「サガレ」ではなく「サカ゛レ」

また、キックでトン・ツー(トン=短点、ツー=長点、モールスの意味でもある)が表わせるのが不思議。
キックでは「短点+間隔」と「長点」との区別がつかない。
長点はキックではなく靴を擦る方が分かりやすいと思うが、このあたりはCW運用をしている人に聞いて見たい。

仮にキックで表すなら、モールスではなく「252」のような数字符合が良いとも思ったが、
252は「要救助者」を示す東京消防庁の符丁で、全国的に通用するものではないそうだ。

 

 

  

 草原の実験   

ロシア映画。台詞がない。
日本語字幕がないが、ロシア語が全く読めないため、設定や状況の細かいところは全く不明。
以下の内容は映像からの推測。

場所はカザフスタンらしい。

トラックの荷台に羊を枕に眠る男。
名前がないとこの後書くのに不便なので「親父」(キャストは多分、ダニーラ・ラッソマーヒン)と呼ぶことにする。

一眠りすると親父はトラックを駆って、草原の中の一軒家に帰り、羊を柵に入れる。
家では「娘」(エリーナ・アン)が待っていて、静かに時が流れる。

電気もガスも水道もない草原の真っただ中。
灯りはランプ、水は井戸、炊事は薪。

太陽を遮るものはなく草は生えているが乾燥しており、昼間は暑く夜は寒い。

翌日、親父はトラックに乗って出かけていく。
途中まで娘が運転、道路(轍)の分岐点で運転を替わり、娘は歩いて帰る。

途中、馬に乗った若者(以下「幼馴染み」とする)が、娘を乗せて一軒家に連れ帰る。
幼馴染みは娘から水を一杯もらい、のどを潤して去る。
娘の楽しみは、木の葉で作った自作の絵本。

ある日、翼のもげた飛行機がやってくる。
パイロットはそれを車代わりにしているようだ。

親父はそのあたりを一周させてもらって上機嫌。
パイロットと何かの取引をしてラジオを手に入れた。
車とコードをつなぎ、暫しラジオを楽しむ。

翌日も娘は親父を途中まで送り、幼馴染みの馬に乗せてもらって帰る。
日中、親父のいない間、娘は屋根の上で双眼鏡で周囲を見ている。

ある日、オーバーヒートした車が近くで止まり、一人の「若者」が水を貰いに来る。
娘は当初隠れているが、出てきて井戸の鍵を開けて水を汲んでやる。
若者は喜んで帰り際に娘の写真を撮る。

その夜、真っ暗の中、若者は手回し映写機の明かりで娘を呼び出し、
撮った写真をポジフィルムにしたものを投影し、娘を喜ばせ、真っ暗な中歩いて去る。

翌日、若者はトラックの荷台に隠れていて、親父を送るときに娘をびっくりさせる。

若者と幼馴染みが偶然鉢合わせする。
娘を巡って二人は喧嘩するが娘に水を掛けられて喧嘩は終わる。

娘がいつものように外を双眼鏡で見ていると、軍関係のトラックがたくさん通過するのが見えた。

その夜、防護服を着た男たちが家に来て親父を呼び出す。
男たちはガイガーカウンターでトラックを調べ、大きな反応のあった木箱を取り出す。
また、親父を丸裸にしてやはりガイガーカウンターで調べると大きく反応した。
男たちは家の中も調べるが反応はなく、娘にも気づかず帰る。
雨の中、寒さに震えながら裸で立ち尽くす親父を娘は家に入れる。

ある日、日没前に帰ってくるはずの親父が日が落ちてから帰ってくる。
酔ったかのようにふらふらとしており、娘は心配する。

翌日も調子が出ない親父。
娘が猟銃をぶっ放すと幼馴染みがやってきて父を見ると、医者を連れてくる。
ジープで来た医者は親父を調べてそのまま連れて行ってしまう。

一人ぼっちになった娘。
暫く後、親父は突然帰ってた来たが、スーツに着替えると、
家の傍にベッドを持ち出して座り、そのまま死んでしまう。

娘は親父を埋め、本当の独りぼっちになってしまう。

娘はカバンに最低限のものを詰め、親父のトラックで出発する。
途中いつもの分岐点辺りでガス欠となり、歩いて進むと、道は鉄条網で行き止まり。
娘は歩いて家に戻ると、バイクがあり、幼馴染みとその親戚が来ていた。

幼馴染みは娘に求婚する。
翌日、娘は三つ編みを解き、髪を切ってショートカットにする。
幼馴染みが来ると若者が現れ、二人はバイクで草原に出て対決する。

勝負は若者の勝ち。
幼馴染みは負けて泣く。
若者は娘の家に入り、暫くは若い二人の楽しい日々が過ぎる。

そんなある日、草原の向こうにとてつもない光が輝く。
一瞬ののち、真っ赤に燃える巨大なキノコ雲が立ち上り、やがて強烈な爆風がよぎる。
辺り一面をなぎ倒し、親父の遺体は振動で墓穴から飛び出して後、
若い2人や一軒家とともに砂塵と化す。

原題は「Испытание」英字表記だと「Ispytanie」
意味は「Test」で、同作の英語タイトルは「The Test」となっている。

実験は実験でも核実験。

カザフスタンのセミパラチンスク核実験場の悲劇に触発されて作った映画らしい。
「セミパラチンスク」と言えば聞いたことのある人もいるのではないか。
1949年から核実験が行われ、住民への告知も避難も行われなかったと言う。
一説にはこの地域を選定するにあたって推奨者が無人地区だと嘘をついたとの話もあるようだ。

とはいえ、実験開始後は住民がいることは分かっており、当然ながら健康被害も多発したようだが、
当時のソビエト当局によって長い間隠蔽されていたらしい。

本作では敢えて台詞を無くすことで、当時に対する非難などの政治的発言を控えつつ、
時を積み重ね平和に暮らす住民が一瞬にしてその生活を奪われることの理不尽さを表している。

 

 

      

  クーデター  

オーウェン・ウィルソン、ピアーズ・ブロスナン。

**

東南アジアのある国。
高級ホテルで水道事業を巡り、首相とアメリカの水道企業社長が懇談している。
社長はほどなく首相と握手して去り、暫くすると奥の方で銃声があり、
ホテルマンが駆けつけると首相は倒れ、何人かの男たちがその周りに立っていた。

その17時間前。
ジャック・ドワイヤー(オーウェン・ウィルソン)は妻アニー、
ルーシーとビーズの幼い娘2人とともに彼の国に向かっていた。

ビーズが大事なクマのぬいぐるみを落とし、後席のハモンド(ピアーズ・ブロスナン)と知り合う。

ジャックは自前の会社をつぶし、水事業会社に管理職として転職。
現地に赴任するところだが、冒頭の事件のことは何も知らない。

空港に迎えの車は来ておらず、先ほどのハモンドがインチキタクシーが多いから、と、
自分の迎え、自称ケニー・ロジャースの車でホテルに向かう。

ホテルに会社からの伝言は届いておらず会社とは連絡がつかない。
電気がつかない部屋があり、携帯もTVもネットもつながらない。
娘の前では気丈に振る舞っていた妻アニーもあまりのひどさにトイレにこもって泣くばかり。

シャックは翌朝、何もわからないままフロントで聞いた近くの新聞店に行くが、
英字新聞は3日前のものしかない。

古新聞を手にホテルに戻ろうとすると警官隊と武装した民衆の対峙に出くわす。
争いが勃発し、間もなく警官隊は民衆に圧倒される。

ジャックはとにかく逃げる。
ホテルにたどり着いたものの武装した男たちがフロントに乱入して、ホテルマンたちを攻撃し始めた。

部屋に戻ると妻と下の娘ビーズはいたが、ルーシーがホテルのプールに行ったと言う。
焦ってプールに行きルーシーを引っ張り出す。
プールサイドにも暴徒が押し掛け、ジャックはルーシーと非常階段で部屋に向かう。
途中、暴徒に襲われるが飛び出してきたハモンドに助けられ、屋上へ行け、と言われる。

部屋ではアニーがソファなどでバリケードを作り、暴漢の侵入を防ぐ。
周りの部屋からは悲鳴が聞こえる。外国人が惨殺されているようだ。

ルーシーと部屋に戻ったジャックは嫌がるアニーを説得し、屋上へ向かうが暴徒に発見される。
銃撃を交わしながら、何とか屋上にたどり着き、既に逃げていた外国人らにドアを開けてもらい、
すぐさまドアをロックする。屋上には外国人宿泊者、現地人を含むホテルマンが大勢いた。

ホテルの前では暴徒が何かを叫んでいる。
現地語の分かるフランス人によれば「外国人は皆殺しだ、水には血を。」と言っているとのこと。
水事業会社に対する反発であることは確実だ。

やがてヘリの音が聞こえてきた。
救助が来た。
皆がそう思って手を振るが、ヘリから見えたのは暴徒のグループと自動小銃だった。

機銃掃射により、多くの人が倒れる。
逃げる人を追って屋上の反対側に回り込んだヘリはワイヤーに絡まって墜落炎上する。

間もなく屋上のドアが破られ暴徒が乱入し、生き残った人を撃ち始める。
ジャックは、隣のビルに妻を飛び移らせ、子供たちを投げる。
その後自分も飛び、あちこち傷つきながら何とか逃げられた。

暴徒の一人はジャックの顔が印刷された水事業会社のポスターを持っており、ジャックを狙っている。
ビルの屋上から柱を伝って階下に降りる。そこはIT会社だった。
外では戦車がビルを狙っている。砲撃を受け、ビルは損傷、多くの従業員が倒れる。
ジャックは咄嗟に瓦礫の下に家族を隔し、死体で塞いで敵の目をごまかす。

敵が去ったと思って瓦礫から出ると一人残っていて騒がれる。
ジャックはその男を殴り殺して、アニーはびっくりする。

部屋にあった地図を手掛かりにアメリカ大使館を目指そうと考える。
死体から服をはぎ取って現地人風に化け、倒した男の持っていた鍵からバイクを探り当てる。

暗くなるのを待って4人で1台のバイクに乗り、アメリカ大使館に向かう。
途中、暴徒の一群に出会うも引き返すには遅すぎ、ばれそうになりながらもやり過ごす。

アメリカ大使館はバリケードに囲まれていた。
静かすぎると訝しがるアニー。
様子を見に入ったジャックが見た物は、警備員の死体と大使館から出てくる暴徒たち。
大使館はほどなく爆破され、ジャックは戻り家族で逃げる。

途中民家に入ると家主が庭に匿ってくれるが、結局は入ってきた暴徒に見つかる。
妻も見つかり、ルーシーも捕まっていよいよ射殺される、というとき、
ハモンドとケニー・ロジャースが現れて暴徒を射殺し、娼館の屋上に4人を連れて行く。

ハモンドはエージェントだと言う。
国のインフラ整備にかこつけて、多額の借款を押し付け、返済不能になるとインフラを乗っ取り、
国を押えると言う。
水事業関連でのこの仕組みがばれ、政府がひっくり返された。
自分にはジャック一家を安全に帰す責任があると言い、川を下ってベトナムへ行けと指示する。

深夜、物音で目が覚めたジャックは、ハモンドとロジャースに狙撃兵がいると知らされる。
程なく狙撃を受けてロジャースは死亡、ハモンドも怪我をする。
ジャックと家族は逃げるが、ハモンドは追撃のトラックを倒しつつ自身も死ぬ。

川沿いに到着し、小舟を持ち主から腕時計と靴と交換で手に入れる。
しかし、暴徒に見つかりやられそうになるが、アニーが敵を倒し、ボートに乗り込むことができた。
肩を撃たれてけがをしているジャックだが、アニーとともに必死でボートを漕ぐ。

暴徒の一群がジャックらの船を発見し、川沿いを追ってくる。
ベトナム国境が近づいてきたが、ベトナムの国境警備隊に来るな、と突き放される。
警告を無視して進み、国境を超えることができた。

ベトナム軍は暴徒の一軍にこれ以降の攻撃は戦争行為とみなすと警告し、
ジャック一家は無事に救助される。

何とか逃げ延びたジャックは病院の一室で家族が無事だったことに安堵するのだった。

クーデター(政変)の理由やいきさつや、主義主張もわからず、ターゲットにされ、
とにかく逃げるしかないと言うパニックもの。
ただ、「敵は全国民」のコピーは煽りすぎ。
元々政府対市民の対立で市民側が暴徒と化しているし、ホテル従業員などは殺られる側だ。
一般市民の中にも助けてくれる人はいる。

どこの国と明示はされないが、ベトナムと川で国境を接していることの設定からカンボジア。
ただし、あのような国境線があるかどうかは判らない。
撮影はタイ(チェンマイ)で行われたようだ。

時々字幕は出ていたが、ジャック一家は現地語が全く分からない設定。
逃げる時にも話し言葉はもとより、字も読めないもどかしさが加わる。

原題は「No Escape」だが、もともとのタイトルは「Coup」だったようだ。
Coup d'Etat(クーデター:仏)からの派生語だから「クーデター」はそれに近い。

不便なホテルでしくしく泣いていた妻は、夫の殺人にびっくりしつつも、最後は自分も敵を殴り殺す。
自分や家族の緊急事態に、きれいごとは言っていられないのと同時に、母そして妻は強しということ。

無頼漢に対しては武器を持たなければ攻撃されないなどと寝ぼけたことを言っている場合ではないのだ。

ビルの間を投げるのは無理。
高低差がどのくらいあるかにもよるが、投げられるのはせいぜい1mだろう。
あのような場面に遭遇しても真似しないほうが賢明だ。

ピアーズ・ブロスナンが責任を感じて助けてくれるのはいいが、後々を考えると
一介の民間人に事情をベラベラ喋るかね、と言う気はした。

最後はチューリッヒ保険(参考:「インポッシブル」2013年公開)が頭によぎった。

 

 

         

 日本のいちばん長い日  

役所広司、本木雅弘、山崎努、堤真一、松坂桃李、中村育二、キムラ緑子、松山ケンイチ、戸田恵梨香、他

昭和20年(1945年)8月14日から15日にかけて、陸軍の戦争継続派が
終戦の詔書の放送(いわゆる玉音放送)を阻止しようとして、皇居内に侵入した「宮城事件」の顛末を描く。

物語は戦局の悪化した1945年4月に始まる。
日本本土は既に何度も米軍機による空襲を受け、都市は壊滅状態にあった。

時の重臣会議は鈴木貫太郎(山崎努)を首相に指名。
鈴木貫太郎は一旦は固辞するものの、昭和天皇(本木雅弘)に説得されこれを受ける。

鈴木貫太郎は元々海軍軍令部長から侍従長となり、昭和天皇の信任は厚かったが
二二六事件で襲撃され、瀕死となった人物。

この決定に対し、陸軍大将の東条英機(中嶋しゅう)は、海軍出身の首相では陸軍が反目すると述べて、顰蹙を買う。
当時陸軍と海軍は犬猿の仲で「陸主海従」「海主陸従」と牽制しあっていた。

鈴木貫太郎は陸軍大臣に阿南惟幾(役所広司)を指名する。
阿南惟幾は陸軍内部にも信任が厚く、反対はなかった。

戦局はさらに悪化、誰もが敗戦を覚悟するようになっても、陸軍は本土決戦を主張していた。

そんな中、7月にポツダム宣言が出される。
鈴木首相らの戦争終結派と陸軍を中心とした戦争継続派は互いに譲らず結論が出ないまま、会議は踊る。

さらに、8月6日、広島に原爆が投下される。
9日にはソ連が日ソ中立条約を破棄して日本に対し攻撃を開始する。

9日の閣議では、ポツダム宣言受諾条件として、陸軍が天皇の地位の保全(いわゆる国体護持)に加え、
いくつかの条件を提示、紛糾する中、内閣書記官長、迫水久常書記官長(堤真一)に長崎への原爆投下の報告が届く。

鈴木貫太郎は昭和天皇の判断を仰ぐ(いわゆる「聖断」)
昭和天皇は外務大臣の意見(天皇の地位保全のみを条件とする)に賛成し、ポツダム宣言受諾が事実上決定した。

陸軍内部では徹底抗戦を主張する畑中健二少佐(松坂桃李)ら若手将校が本土決戦の作戦を立てており、
東条英機の煽りもあって血気盛んに阿南大臣に決起を求めるも事態の推移を見守るよう諭される。
尚も詰め寄る若手将校らに対し、阿南は不服な者は俺を斬れと一喝した。

米国は日本の打診を受け、天皇は連合軍最高司令官に"subject to"すると回答。
外務省は「制限下に置かれる」と訳したが、陸軍は「隷属する」と訳し猛反発する。

8月12日、畑中健二らはクーデターを決意。
陸相、東部軍司令、近衛師団長らの賛同を得るため画策する。
一方で閣議が開かれ、殆どの閣僚はポツダム宣言受諾に賛成するが、阿南陸相は会議の趨勢は受諾反対(戦争継続)であると、
畑中少佐らに嘘の連絡をしてクーデターを阻止する。

8月14日、最高戦争指導会議は戦争継続派と戦争終結派で折り合いがつかず、
鈴木首相は再び聖断を仰ぐと、昭和天皇は戦争終結を指示、必要とあれば自らが国民に語りかけると述べ、
NHKによる「終戦の詔書」録音の準備が進められる。

畑中健二はクーデターの賛同を得るため田中静壹東部軍司令(木場勝己)に面会を求めるが、一喝され引き下がる。

閣議では詔書案の文言を議論したが、文言の違いを巡って紛糾。予定の録音時刻がどんどん遅れていく。
結局、午後11時過ぎに昭和天皇自らの肉声による録音が開始された。
このことは畑中少佐らにも伝わるところとなり、クーデター一派は翌日の玉音放送阻止へ行動を開始する。

井田正孝中佐(大場泰正)らは森赳近衛師団長(高橋耕次郎)の説得に向かう。
森赳師団長は話をはぐらかし、明治神宮へ参拝して決断すると回答するが、
遅れてやってきた畑中健二は時間稼ぎだとして森師団長を射殺してしまう。
更に師団長印を勝手に押し、クーデターに賛同が得られたと偽装し、近衛連隊に展開を指令する。
井田正孝は畑中健二の行動に驚くが、阿南陸相の説得に向かうとの理由でその場を離れる。

皇居に侵入した一派はNHK職員らを拉致監禁する。
一派は皇居内に入り詔書の録音盤を探すが見つけられない。
この時、録音盤はNHK職員でも政府役人でもなく、侍従に預けられていた。

畑中らは放送会館へ向かうが、ここでも録音盤は見つからない。
午前5時に戦争継続の決起放送をさせるよう要求するが、女性職員(戸田恵梨香)が空襲警報中だとして拒否、
更にブレーカーを落として放送を妨害する。

そのころ、高島辰彦東部軍管区参謀長(奥田達士)が皇居警備の芳賀豊次郎近衛師団第二連隊長(安藤彰則)との連絡に成功、
決起命令が偽装だとばれる。

更に田中東部軍司令が自ら皇居前に赴き、集結していた近衛歩兵第一連隊に偽命令であることを伝えた。

鈴木貫太郎首相を襲撃するため官邸に向かった佐々木武雄横浜警備隊長(松山ケンイチ)は、
鈴木首相、迫水書記官長を探すが見つけられず、官邸に火を放って立ち去る。

官舎に戻った阿南陸相は、反乱失敗を告げに来た井田中佐らと酒を酌み交わした後、早朝に自刃切腹して果てる。

この後、クーデターは急速に鎮圧され、椎崎二郎中佐(田島俊弥)、畑中少佐らは拳銃自殺して果てる。

その後、録音盤は無事に放送会館に届けられ、正午玉音放送が行われた。

1967年、阿南陸相に三船敏郎、鈴木首相を笠智衆、米内海相に山村聡の配役で一度映画化されている。

当時の原作は1965年、大宅壮一編として発表された「日本のいちばん長い日」。
実は当時の文芸春秋社社員だった半藤一利(はんとうかずとし)が、当時を知る人らの
座談会をもとに書いたもので、営業上の理由から大宅壮一編となった。

その後、半藤一利による「決定版 日本のいちばん長い日」が1995年に出され、本作はそれが原作となっている。

登場人物は基本実在、展開はほぼ史実通りのさしづめ再現フィルムである。

劇中、何度も「精神論は言うな」的な発言があり、無根拠な日本勝利への楽観論がでてくる。
戦地ではまさに刀折れ矢尽き、補給もないまま餓死病死、死屍累々の中、玉砕していると言うのに、
前線の状況も知らず、明治時代のポンコツ兵器や竹やりで二千万特攻すれば勝利するなど笑止千万。

現場を知らないと言うか、現実を無視したと言うか、戦争の初期段階ならまだしも敗戦濃厚となっても、
いや、敗戦濃厚だからこそ現実が見えなくなってしまっているのかもしれない。

現実を見ず戦争継続を唱える一派も一派だが、「勤皇には二種類ある」などの妄言で青年将校を煽る
東条英機にも多大なる責任あり。

事実だからしょうがないとはいえ、役所広司はまた切腹か、と思ってしまった。
「最後の忠臣蔵」でも切腹。
「蜩の記」では切腹シーンは出てこないが、役目を終え清々しく切腹の場に向かうところで終わる。

山崎努は見事な曲者ぶり。
笠智衆はどうだったんだろう、のほほんとした棒読み風の台詞ではあの雰囲気は出まい。
また別の鈴木貫太郎像だったのかもしれない。

 

 

 

 ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション 

トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、サイモン・ペグ、レベッカ・ファーガソン

冒頭はベラルーシ、ミンスクの飛行場。
生物兵器の弾頭を積んだ輸送機が今にも飛び立とうとしている。

IMF本部にいるウィリアム・ブラント(ジェレミー・レナー)が監視する中、
ルーサー(ビン・レームス)とベンジー(サイモン・ペグ)が、出発を阻止しようとするが果たせず、
イーサン・ハント(トム・クルーズ)が滑走路脇から主翼に飛び乗り、ドアにしがみつく。

ルーサーが衛星をハッキングし、ベンジーが操作して後部ゲートとサイドドアを開け、イーサンは機内に入り込む。
後部ゲートの開放に気づいた乗組員の一人が確認にするのをしり目に、イーサンは生物兵器とともに脱出する。

イーサンはロンドンに移動。
閉店直後のレコード店に入り、店員の女性と言葉を交わすと指令の入ったレコードを受け取り、視聴室に入る。
レコードの音声はミンスクでの行動の成果とそれを操る組織の追及を指摘し、その組織こそ我々だ、と語る。
プレイヤーから白煙が出てイーサンは視聴室に閉じ込められる。

薄れいく意識の中、店員の女性を射殺するメガネの男(ショーン・ハリス)が目に入るがイーサンは倒れる。

その頃、アメリカでは政府の聴聞会にCIA長官のハンリー(アレックス・ボールドウィン)は、
ハンリーは前作でのクレムリンの爆破など、IMFの活躍を「暴走と自作自演」と決めつけ、
IMFの解体とCIAへの組み込みを要求。

ブラントは長官の許可なく発言できない(長官(トム・ウィルキンソン)は前作で死亡しており空席)と述べ、
聴聞会はIMFをCIA傘下に配備することを決定してしまう。

その頃、捕らわれの身となっていたイーサンにイルサ・ファウスト(レベッカ・ファーガソン)が尋問しようとしていた。
そこへ屈強な男たちが入って拷問すると言う。
一人はボーン・ドクター=ヤニク・フィンテル(イェンス・ハルテン)で死亡とされていた元エージェントだ。

イルサの合図でイーサンはヤニクに蹴りを入れ、ヤニクは頭を打って失神。
その間にイルサは残りの男と格闘、イーサンも加担してヤニク以外を射殺、イルサと逃げる。
しかし、イルサはイーサンだけを逃がして自分は仲間の元に戻る。

銃弾の雨の中、逃げ延びたイーサンはブラントに救出要請をするが、IMFはCIAの傘下になっており、
エージェントは全員解雇になってしまったとして要請を拒否する。
銃創からの出血に耐えながらイーサンはどこかへ消えていく。

半年後。
CIAはバハマにイーサンが潜伏しているとの情報を得、武装部隊を送り込む。
イーサンがいると思われる部屋に部隊が突入するが、無人。
その頃、イーサンはパリのアジトから遠隔で様子を見ていた。
本部でブラントは突入した部屋の壁に大勢の元エージェントの写真が貼られているのに気が付く。

CIA本部。
ベンジーは毎週の嘘発見器検査に呼び出される。
今回の元エージェントの写真はベンジーの疑惑を増すものだが、嘘発見器の反応は0。
ベンジーがイーサンの居場所を知っている証拠は全くない。
席に戻ったベンジーに届いていたメールの中にウィーンでのオペラのコンサートの招待券があった。
ストレスを解消しようとベンジーは喜んでウィーンに向かう。

正装して地下鉄を降りたベンジーに見知らぬ若者が封筒を渡して去る。
中身は通信装置が組み込まれたメガネ。
相手はイーサン。驚くベンジーにイーサンはコンサート会場でメモの男女を探すよう指示する。

コンサート会場にはオーストリア首相も来ていた。
解錠キーで電気室に入ったベンジーは監視カメラをハッキングして男女を探す。

イーサンも会場を探っていた。
ロンドンで見た女、イルサが舞台裏に入ったので後を追う。

ベンジーも怪しい動きをする男を発見し、イーサンに連絡する。
警備員の一人も舞台操作室に向かう。

怪しい男は楽団員に化けておりフルートに偽装した銃を持っていた。
イルサも舞台装置に隠れ、銃を用意していた。

警備員に化けた男も銃を用意、それぞれが銃の発射音がオペラに紛れる瞬間を待っていた。
イーサンはフルートの男の後を追い、舞台装置の上で狙撃を阻止しようとして格闘となる。
やっとのことで男を落とし、首相を見るとイルサ、警備員の男がともにオーストリア首相を狙っている。

狙撃のタイミングが迫る。
両方を同時に阻止する手立てはない。
イーサンは咄嗟にオーストリア首相の肩を狙う。

弾は肩をかすめて首相は倒れ、イルサの弾は外れる。
ベンジーは舞台操作室に行き、警備員の男と格闘になる。
イルサが撃って警備員は倒れ、ベンジーは脱出する。

警察が会場を封鎖、イーサンはイルサを連れて屋根伝いに道路まで行き、降下する。
首相はイーサンの目論見通り軽傷だったが、病院へ向かおうとする車が爆破されて夫人とともに爆死。
あっけにとられるイーサンの前にベンジーが車を回し、イーサンとイルサを乗せて逃げる。

後ろからヤニクらの車が追う。
イーサンがイルサとやり取りしたのち、イルサは自分から車を飛び下りた。

イーサンはベンジーにCIAに戻るよう説得するが、ベンジーは拒否、イーサンと行動を共にする。
イルサの持っていたリップスティックにはモロッコのデジタルセキュリティボックスの設計図があった。
イーサンとベンジーはイルサを追ってモロッコに向かう。

その頃、ブラントはCIAへの参入を拒んで引退したルーサーと会い、協力を依頼する。
渋るルーサーだが、CIAがイーサンを抹殺しようとしていることを聞いてイーサンを追う。

モロッコでイルサと会ったイーサンらはシンジケートの首謀者でロンドンで見た男は、
ソロモン・レーンで、シンジケートの極秘情報がセキュリティボックスにあると言う。

ただし、何重にも防御されたセキュリティを突破するにはID情報のカードを差し替える必要があり、
それは水中に収められている。
冷却水取り込み口から侵入し、脱出までの余裕時間はわずか3分。

イーサンはレーンとともに空から侵入し、水中への冷却水の取り込み口近くまで来る。
水流による水圧を防ぐため、イーサンの突入と同時に水を止めるのがイルサの役目。

一方ベンジーは、正面から突入、順調に金庫室に近づいていく。

IDカード差し替え直前まで来たイーサン。
しかし、敵に水の停止を気づかれ、再起動されてしまい、水流に押し流される。
イルサの水停止操作も効かず、イーサンはぎりぎりでカード差し替えに成功したものの、
ハッチ開放が間に合わず、失神。
そこにイルサが突入してきてイーサンを連れてハッチを開放し脱出する。

その間にベンジーは、機密情報をコピーして持ち出すことに成功する。
失神したイーサンはイルサがAEDで復活させていた。
まだふらふらのイーサン、駆け付けたベンジーにイルサはAEDでショックを与えてメモリーを持ち去る。

イルサは仲間の所に行くが、突然バイクを蹴散らして逃げる。
イルサを6台のバイクが追う。

イーサンとベンジーも後を追う。
イーサンを追ってきたブラントとルーサーも後を追うがジープのスピードでは到底追いつけない。

イーサンのBMWがバイクに追いつくと、6台は二手に分かれ、車を3台、バイクを3台が追う。

イーサンのBMWはモロッコの狭い街並みをブッ飛ばし、2台を撃破。
1台は交わしきれず、バックで逃げ、後ろ向きにジャンプし、縦に回転して止まる。

ひっくり返ったイーサンとベンジーにバイクの男が迫る。
銃を構えたその時、ブラントのジープが男を跳ね飛ばす。

すぐ近くをイルサと3台のバイクが通る。
イーサンは追ってきた男のバイクに乗って後を追う。
高速道路でのバイクチェイス。
次々とバイクを撃破してイルサに迫るイーサン。
しかし、立ちはだかるイルサを除けようとして転倒。イルサは去る。

イーサンとベンジー、ブラント、ルーサーが合流する。
ベンジーはぬかりなくコピーを取っていた。
シンジケートの実在を暴くため、ファイルを開こうとするが3重の鍵が必要だと分かる。
それは虹彩、掌紋、特定の文言を読む音声でいずれもイギリス首相のもの。

その頃、イルサはMI6長官のアトリー(サイモン・マクバーニー)にメモリーを渡し、
任務解除を申し出るが、アトリーは拒否する。
アトリーはイルサに対して、レーンにメモリを渡しレーンの指示に従うよう指示する。

やむなく、イルサはメモリをレーンに渡すが、中身は空だった。
レーンはイルサにイーサンとの接触を指示する。

ルーサーがイルサの居場所を突き止め、4人で包囲する。
イルサはメモリが空だったとイーサンをなじるが、ベンジーは本物だったと告げる。
そう、イルサはアトリーに嵌められたのだ。データを消去したのはアトリーだった。

その時、どさくさに紛れてベンジーが拉致され、イーサンとブラントが後を追うが、
その隙にイルサも姿を消す。

イーサンにレーンから電話が入り、12時までに暗号を解いたファイルを渡さないとベンジーは死ぬという。
イーサンは渡すことを承諾し、イギリス首相の誘拐を決意。
ブラントはハンリーCIA長官にイーサンを見つけたと連絡、イギリスに呼ぶ。

その頃、イギリス首相はオークション会場に到着していた。
ハンリーも会場に着き、ブラントから事情を聴く。
その時、アトリーMI6長官が通りかかり、ハンリーは緊急事態であると告げる。

別室に呼ばれたイギリス首相(トム・ホランダー)にハンリーは事の次第を説明する。
首相はシンジケートがアトリーの提案で却下したものだったと告げる。
アトリーが独断でシンジケートを創設、リーダーだったレーンが裏切っていたと言うわけだ。

突然アトリーが首相を撃つ。
撃たれたのは自白剤。アトリーはイーサンが化けていた。

そのころ、本物のアトリーが到着し、首相に呼ばれたと別室に入っていく。
そこであっさり自白剤を撃たれ、シンジケートの真実をベラベラ喋ってしまう。
ハンリーはシンジケートの実際を聞いて、イーサンの無実を知る。
「アトリーが首相を撃ち、ハンリーが助けた」首相の記憶にはしっかりそう刻み込まれた。

朦朧とする首相の虹彩、掌紋を採取、そして秘密の言葉を喋らせ、ルーサーがファイルを開けた。
そこにあった物はシンジケートの組織詳細ではなく、巨額な秘密活動資金の詳細だった。

ルーサーはデータをレーンに渡せないと言うが、イーサンはメモリを壊してしまう。

レーンの指示場所に行くと、体に爆弾を巻いたベンジーとイルサがいた。
ベンジーのアイカメラを通じてイーサンはレーンに5千万ドルの所在とアクセスコードを示す。

その内容は正しく、レーンの口座に5千万ドルが振り込まれる。
イーサンはすべての口座とアクセスコードを記憶しており、自分を殺せばデータが消失すると言う。

レーンはぎりぎりでベンジーの爆弾を解除して解放、その場にいる配下にイルサを殺し、イーサンを確保するよう指示する。
イルサはイーサンを盾に応戦し、逃げる。
ヤニクがイルサを追い、タイマンになるがイルサが勝つ。

レーンはイーサンを追い、ついに追いつめる。
しかし、それはイーサンの罠だった。
逆にレーンは捕らわれ、ロンドンでイーサンが嵌められたように麻酔ガスの洗礼を受ける。

アメリカ本国。
政府の聴聞会でハンリーはIMFの復活を進言する。
IMF解体はシンジケートを暴くための偽装工作だったと言うのだ。
真否を問われたブラントはIMF長官の許可なく回答できないと答える。

ハンリーの進言通りIMFは再び組織され、ハンリーが長官に任命されて映画は終わる。

監督とヒロインが毎回変わる珍しいシリーズもの。
今回は監督がクリストファー・マッカリー、ヒロインはレベッカ・ファーガソン。
マギーQやポーラ・パットンなど味方の女性陣も入れ替わる。
一回出ると懲りるのかも。

息もつかせぬアクションの連続。
これでもかこれでもかの危険なスタント。
予告でも有名になった軍用輸送機のハッチにしがみつくシーンすら「掴み」にすぎない。
バイクチェイスのシーンも危険極まりない。
スタントマンは完全装備だろうからいいとして、トム・クルーズはヘルメットすらしていない。

そのうちホントに死ぬぞ、少なくともジャッキー・チェンのような大けがをするかも。

細かく見ていくと矛盾や粗は多い。

例えば、ベンジーは地下鉄でオペラ会場近くまで行き、事件の時も隠れていたのに
どうやって封鎖された会場から出て車を調達してきたのか。

セキュリティボックスの構造や仕掛けは(変だけど)あれでいいとして、
どうやって件のIDカードが108番だと知りえたのか。
データも簡単に偽造できているし。
(実際には水圧で開けられないはずだが)ハッチを内側から解放してそのままでいいのか。
イルサはその場にPCなどを置き去りにしてきてよかったのか。
この時もベンジーはあっさり合流している。

そもそもIMFは解体されたのではなく、CIAの配下に移っただけ。
CIAへの編入を拒否した者は解雇だが、組織そのものは残っている。
CIA長官がIMF長官になったとしても、元々兼任だし、兼任でなければ降格だ。

それらを全部、あっち行ってしまえと思わせるほどめまぐるしい展開で矛盾を感じている暇はない。
常人には絶対できない、スーパーアクション、スーパースタント。

もともと「スパイ大作戦」は緻密な計算の上に執行する作戦が、偶然に撹乱されるものの、
まるで偶然うまく行ったような展開になるお話だし、敵との心理戦、騙し合いも常套手段なので
違和感なく楽しむことができる。

果たして続編はあるか。

 

 

 ジュラシック・ワールド    

クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、ニック・ロビンソン、タイ・シンプキンズ。

まず人物相関について書いておく。

物語のキーとなるのは、ザック(兄:ニック・ロビンソン)とグレイ(弟:タイ・シンプキンズ)の兄弟。
二人の両親(母カレン:ジュディ・グレア、父スコット:アンディ・バックレー)はさほど重要な役ではない。

カレンの妹で、ジュラシック・ワールドのディレクターはクレア(ブライス・ダラス・ハワード)。

ワールドの飼育係でベロキラプトルの訓練を試みているオーウェン(クリス・プラット)は
肉体派で、知能派のクレアと何かにつけ対立している。

ハモンドからパークを引き継いだオーナーのサイモン・マスラニ(イルファン・カーン)、
多国籍企業の社長でもある大金持ち。

ハモンドの会社だったインジェン社のセキュリティ部門責任者のビック・ホスキンス(ビンセント・ドノフリオ)、
ワールドのセキュリティにも関与している。

ウー博士(BD・ウォン)「ジュラシック・パーク」でも、DNA復元に寄与した人物。
遺伝子組み換え組み合わせ技術を発展させ、様々な恐竜の創造を実現する。

さて物語はザックとグレイの兄弟が両親に見送られてジュラシック・ワールドへ出かけるところから始まる。
ジュラシック・パークの跡地であるイスラ・ヌブラル島に新しく作られたジュラシック・ワールド。

兄弟を待っていたのは叔母のクレアではなく秘書のザラ(ケイティ・マクグラス)
VIPパスやスイートルームなどを手配、ワールド内の案内をしてくれる。

クレアは責任者として投資家に経営状況を説明、数年に1度新しい恐竜を作りだし、
最新の恐竜はインドミナス・レックスで、近々公開の予定だ。

クレアは忙しい業務の傍ら、一旦はザックとグレイに会うが食事の約束をしてまた仕事に戻る。
次に会うのはオーナーのサイモン・マスラニ(イルファン・カーン)。
マスラニ自らまだ仮免のへりを操縦してクレアらとインドミナス・レックスを視察に行く。

2頭誕生したインドミナス・レックスは生き残った一頭がもう一頭を食ってしまい今は一頭のみ。
更に思ったより大きくなり、コンクリート壁の増強をしているところだった。

マスラニはクレアに対し、トレーナーのオーウェンに壁を見せて補強についての意見を求めるよう指示する。
その頃オーウェンはベロキラプトルのトレーニングで、個体識別と指示に従うようしつけていたが、
まだ手懐けたというには程遠い。

それを見ていたインジェン社のホスキンスはベロキラプトルを兵器として利用することを考えていた。
ベロキラプトルの餌係が誤って柵内に落下。
オーウェンは柵に入ってベロキラプトルをあやしつつ、係員を出し、ギリギリで逃げ出す。

ザックとグレイの兄弟はザラの目を盗んで別れ、水棲恐竜モササウルスのショウを見たり、
勝手な行動に出てしまう。

クレアは嫌々オーウェンに会いに行く。
途中、姉のカレンから電話があり、息子たちと一緒にいないことをなじられる。
ちょうどカレンとスコットは離婚調停中のようだった。

クレアはオーウェンに会い、インドミナス・レックスの檻に連れて行く。
オーウェンは社会性の無さを危険だと指摘したが、肝心のインドミナス・レックスの姿が見えない。
壁に大きいひっかき傷があるのを見たオーウェンらはインドミナス・レックスが逃げたと思い、
檻の中に入って確認する。

コントロールセンターにインドミナス・レックスの体に埋めたGPS装置の位置を確認させると、
まだ檻の中におり、引っ掻き傷は囮だと分かる。

オーウェンらは急いで逃げるが、一人はその場で食われ、ゲート閉鎖はぎりぎり間に合わず壊され、
もう一人が外で食われる。

オーウェンは車の下の隠れ、パイプを切って油(ガソリン?)まみれとなり、臭いをごまかして難を逃れる。

マスラニは部隊の出動させ、インドミナス・レックスを麻酔銃などで捕獲するよう指示する。
オーウェンは部隊を撤収させるよう言うが、クレアに拒否されコントロール室から追いだされる。

部隊がインドミナス・レックスのGPSを発見、レックス自身が皮膚を裂いて取り出したと推察される。
また、周りの植物に擬態していたため気付かないうちに急襲され、部隊の隊員は次々とやられてしまう。

インドミナス・レックスのDNAを設計したウー博士はすべてマスラニの指示通りの物を作っただけ。
ここに自然のものは一つもない、と言い放つ。

コントロールセンターでは、急遽全アトラクションを中止とし、すべての観客をアトラクションから戻す。
しかし、丁度球体の乗り物に乗っていた兄弟は戻れとの指示を無視して先へ進む。

このころようやく、兄弟がザラと一緒にいないことに気づいたクレアはオーウェンと一緒に探しに出る。

兄弟は隔離エリアに入り、アンキロサウルスなどを見て楽しんでいたが、インドミナス・レックスに遭遇。
一旦はレックスの関心から逃れたが、クレアのかけた電話の音に気付いたレックスが襲う。
強化プラスチックは簡単に壊れ、兄弟はぎりぎりで乗物から脱出するも、レックスに追われて
崖から川へ飛び込みやっと逃げおおせる。

オーウェンとクレアは兄弟の後を追い、壊れた球体を発見、焦るが、
逃げたことに気づき後を追う。

途中オーウェンは瀕死のアパトサウルスを発見、何頭ものアパトサウルスが殺すためだけに殺されていた。

マスラニはインドミナス・レックスの殺害を決心し、ヘリに機関銃を乗せて出発する。
レックスを発見して攻撃するが交わされ、反撃されてコントロールを失い、
翼竜の檻に激突して墜落炎上し、壊れた檻から翼竜がパーク内に逃げ出してしまう。

兄弟はかつてのジュラシック・パークのセンターに入り、ジープを発見、
部隊の乗っていた車のバッテリーを利用して作動させ、ジープで逃げる。

オーウェンとクレアもジュラシック・パークのセンターに到着、兄弟が逃げたことを知ってホッとする。

兄弟はジープでエリアに戻ろうとするが翼竜が追ってくる。
係員はのんびりそれを見ていて翼竜たちに気づくのが遅れ、襲われる。

パーク内の観客も次々と翼竜に襲われ、持ち上げられたり落とされたり噛まれたりと散々。
ザラも巻き添えでやられてしまう。

クレアとオーウェンはやっと兄弟に会うことができ、4人で逃げる。
翼竜は人間側の武器で倒すことができたのと、飛んで行くからかやがて襲撃は収まる。

ホスキンズは密かにインジェン社の武装部隊を島に呼び、インドミナス・レックスの捕獲を計画する。
夜になり、オーウェンはベロキラプトルを使おうとするホスキンズを殴りつけるが、他に方法がなく、
ベロキラプトルにインドミナス・レックスを捜索させ、インジェン社の部隊とともに後を追う。

ベロキラプトルはインドミナス・レックスを発見するが襲わず、会話し
レックスに従って逆に人間を襲い、オーウェンらは逃げる。

ホスキンスはウー博士に資料などを持たせて脱出させる。
研究室にやってきたクレアとオーウェンはみんな逃げたことを知り愕然とするが、
ホスキンスを見つけ、口論となっているときにラプトルが入ってくる。

ホスキンズはオーウェンのまねをしてラプトルをなだめようとするがあっさり食われ、
4人(オーウェン、クレア、ザック、グレイ)は逃げる。

逃げ回っているうちにラプトルに囲まれ、インドミナス・レックスもやってくる。

オーウェンの指示で再びオーウェンに従うようになったラプトルはインドミナス・レックスに襲いかかる。
しかし、次々とやられてしまう。

グレイはもっと歯がいる、とつぶやき、気付いたクレアは決死の覚悟でティラノサウルスを檻から出し、
誘導してインドミナス・レックスと対決させる。

両雄の戦いはインドミナス・レックス優勢だが、生き残ったラプトルも加勢して互角の戦い。
暴れるうちにプールに近づいて、最後はモササウルスが水中から飛び出して
インドミナス・レックスに噛みつき水中に引きずり込んでしとめる。

ティラノサウルスはそのままどこかへ去り、残ったベロキラプトルもどこかへ去っていく。

翌朝、救助の船が到着し、観客は救出される。
騒ぎを聞いて駆け付けたカレンとスコットは、救護所の大勢の中に兄弟を見つけて安堵。
クレアとオーウェンも親密になり一件落着。

しかし、島では勝ち誇ったティラノサウルスの咆哮が響き渡るのだった。

**

迫力満点。
相手が恐竜だけに、行動の先が読めず、人々はやられるばっかり。
オーウェン(クリス・プラット)の調教は猛獣使いのそれを思わせる。

第1作「ジュラシック・パーク」へのオマージュ満載の作品。

ティラノの登場や恐竜の造形もその一つで、ベロキラプトルを小さくしたり、
羽を大量につけては第1作の否定につながる。
設定ではT−レックスは、第1作の個体が生き延びていたことになっているようだ。

モササウルスは初登場。
12m〜18mぐらいでマッコウクジラ位の大きさ。

ティラノサウルスやインドミナス・レックスは全長12〜3mかそれ以上とされるが、
体長の半分程度は尾であり、モササウルスより小さい設定は合っている。

劇中でウー博士が言っているように「ここに自然(=ナチュラル)なものは一つもない」のであって、
恐竜のサイズ、外観、行動様式、その他が考古学的な知見と異なっているのは先刻承知ということのようだ。

何度も言われているように実際にはベロキラプトルはもっと小さく、全長2m程度で、
尾が体長の半分以上を占めており、推定体重15kgと中型犬程度しかない。

小説の「ジュラシック・パーク」では全長3〜4mほどのディノニクスがモデルで、
映画のベロキラプトルはさらに大型で5〜7mのユタラプトルをモデルにしていると言われる。

また、翼竜は飛ぶためにさらに軽くなっているので、翼長7〜9mのプテラノドンでさえ、
推定体重は15~20kg程度。

小型のディモルフォドンに至っては全長は長い(尾が非常に長い)ものの翼長はトビ程度しかない。
人を襲ったり、持ち物を奪うことはできても到底持ち上げることは不可能。

また小型から中型の恐竜に羽毛があったことはよく知られており、ベロキラプトルはもとより、
ディノニクス、ユタラプトルにも羽があったと考えられている(但し、空は飛べない)

クリス・プラットは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のピーター・クイル。

ブライス・ダラス・ハワード(1981生)は久々にかわいい役。
「スパイダーマン3」(2007)のグエン・ステーシーでは、プラチナ・ブロンドの美しさに魅了されたが、
「ターミネーター4}(2009)のケイト・コナーではどうした、と思うほどおばはんになっていた。
「ヘルプ」(2011)では、黒人差別のシンボル的存在の嫌な役だった。

続編が予定されており、2017/6/22全米公開とアナウンスされている。
オーナーも死んだし、あれだけの被害を出してどうつなげていくのかは気になる所である。

 

 

   ミニオンズ    

真田広之、天海祐希、設楽統、日村勇紀、笑福亭鶴瓶。

有史以前、生命誕生の頃から存在したミニオンの祖先。
代替わり、進化しながら「悪くて強いもの」を追い求めていた。

しかし、見つけた「悪くて強いもの」はミニオンらの希望に応えることなく滅びていった。
ミニオンたちが求める生物の頂点に立つような「悪くて強いもの」は現れず、
やがてミニオンたちは、氷穴の中に閉じこもり暮らすようになったが、
従うべき「悪くて強いもの」がいないせいで彼らの活力は失われていった。

一計を案じたケビンは有志を募り、スチュアート、ボブとともに「悪くて強いもの」を探す旅に出た。
3人(3匹? 3体? 3個?)は海を越え、遂にニューヨークにたどり着いた。

そして3人は、ショッピングモールに入り、迷っているうちに閉店。
家具売り場で居心地良く寝ようとして、TVで「ビラン・フェス」(悪党大会)の案内を見る。
そして、取り上げられた悪党の中の悪党、スカーレット・オーバーキル(声:天海祐希)。
彼女こそ自分たちのリーダーにふさわしいと会場のオーランドに向かうことに。

とはいえ、オーランドがどこかもわからないのでも見よう見まねでヒッチハイクすることに。
止まった車はウォルター・ネルソン(設楽統)と、その妻と息子と娘。

一見穏やかな一家だが、途中で銀行を襲うような大悪党。
パトカーに追われるがミニオンが放ったバズーカ砲が炸裂して撃破。

一家に見直されて一緒にオーランドのビラン・フェスに行くことに。
湖のほとりの秘密の小屋から入った会場。

大勢の見守る中、スカーレット・オーバーキルが登場。
自身の持つ大粒のルビーを盗った者を助手に採用するというのだ。
大勢がスカーレットに挑みつぶされる中、混乱に紛れてボブがルビーを手に入れた。

こうして3人はスカーレットの助手となり、彼女のアジトに行く。
アジトには旦那で発明家のハーブがおり、ミニオンたちに新兵器を渡す。

スカーレットはミニオンたちにエリザベス女王の王冠を盗むよう指示、
失敗すれば命はないことも伝える。

その頃、氷穴の残りのミニオンたちはイエティをボスとして暮らしていたが、
例によってドジでイエティのボスを殺してしまい、残りのイエティに追われ、
ロンドンに向かって逃亡する。

ミニオンたちはバッキンガム宮殿の宝物殿に入り込み衛視を混乱させ、
あと一歩で王冠に手が届くところまで来たが、王冠は移動しエリザベス女王の頭上に。

後を追うミニオンたちは女王の馬車に入り込み、警察に追われる。
混乱の中、ボブがアーサー王の剣を引き抜いてしまう。
次期国王となり、王冠を手にしたボブ。

しかし、スカーレットは激怒し、ハーブとともにミニオンらに仕返しに来る。
ボブは元々王位に着く気はなく、法改正してスカーレットに王位を譲ることに。

スカーレットは3人を地下牢に幽閉し、ハーブが拷問するが全く効かない。

戴冠式でハーブがいなくなった隙に3人は地下牢を脱出、地下道を通って戴冠式場に紛れ込む。
なんだかんだで戴冠式はめちゃくちゃとなり、スカーレットは式に同席していたビランどもに
3人を捕まえるよう命令。
ケビンは逃げおおせたが、スチュアートとボブは捕まる。

ケビンは2人を救うための新兵器を探りにハーブの研究所に入り、
いろいろ触ってはいけないものを触って巨大化。
大きい姿のままで2人を助けに行く。

ちょうどロンドンに到着して残りのミニオンたちも到着する。

スチュアートとボブは助かるが、ケビンはスカーレットと対決し、遂には爆発してしまう。
しかし、死んでおらずオーバーオールのパラシュートで降下し助かる。

王位はエリザベス女王に戻り、ケビン、スチュアート、ボブは女王から栄誉を授かる。
その時、群衆に紛れ込んでいたスカーレットとハーブが王冠を奪取して逃げる。

追うケビンたち。
追いつけない、と思ったその時、二人を氷の中に閉じ込めたのは若きグルーのフリーズ光線銃。
まんまと王冠をせしめて逃げていく。
羨望で見つめるミニオンたち。
ボブは女王からもらった小さい王冠をスカーレットに持たせ、みんなでグルーの後を追う。

**

全体に喋り多すぎ、くどい。

ミニオンズの言語は時々日本語ライクな言葉が混ざるスペイン語風でデタラメ語らしい。
が、なんとなくわかるからすごい。

天海祐希、台詞多い。
バナナマンは違和感なし。しかもエンドロールまで全く気付かなかった。

イギリスが舞台、ということでキンクスやらビートルズやらドノバンやらの音楽もたくさん。
「リボリューション」出たっけ、と思ったらエンドロールの後でした。

しかし、女王をああいう扱いでいいのかね。

「怪盗グルーの月泥棒」の感想では、ミニオンを「ネファリオ博士がバナナから作った」となっていた。
私の勘違いか、それとも設定が変わったのか。

ある粗筋サイトではミニオンズたちが南極の氷穴に住んでいたと書いているが、
言及がなかったように思うし、少なくとも北半球のどこかではないのか。
だとすればアイスランド、カナダ北東部、辺りだと思われる。

 

 

        

  インサイド・ヘッド    

吹替え 竹内結子、大竹しのぶ、伊集院茉衣、佐藤二朗

**

ライリーの誕生から、彼女の頭の中では、ヨロコビ(ジョイ)、カナシミ(サドネス)、
イカリ(アンガー)、ビビリ(フィア)、ムカムカ(ディスガスト)の5つのキャラが
感情を形成し、思い出を作っていた。

中心になるのはヨロコビ(声:竹内結子)
悲しい出来事があったとしても最後はヨロコビが楽しい夢で締めくくる。

思い出がたくさん貯まり、家族、友達、ホッケー、おふざけなどの思い出の島もできる。
中でも特別の思い出は普通の思い出とは別に大事に蓄えられる。

ライリーが11歳の時、パパの仕事の関係で住み慣れたミネソタから
カリフォルニア(サンフランシスコ)に引っ越すことになった。

新しい土地、新しい家、新しい友達、うきうきわくわくのライリー(声:伊集院茉衣)、
しかし、事態は悪い方向に転んでいく。
大渋滞の中、やっと着いた新しい家は坂の途中、住宅密集地の思ってもみないほどの小さい家。
しかも引っ越し荷物は届いていない。
トラックが2日間ほど遅れるらしい。
しかも、まだ落ち着く前にパパは予定外の仕事の電話で呼び出される。

結局、ライリーは寝袋で床に寝る羽目になったが、まだへこたれていない。

新しい学校。
ミネソタとはずいぶん違う児童の様子に不安になるが思い切って新しいクラスに行く。

先生から自己紹介を促され、ヨロコビが楽しい思い出を次々と出していく。
でもカナシミ(声:大竹しのぶ)が楽しい思い出に触って悲しい思い出に変えてしまう。

裏庭ではもう遊べない、友達もいない、家も好きだった、大好きなアイスホッケーもできない。
一旦カナシミに触られた楽しかったはずの思い出はもう悲しいままで、涙があふれる。

ヨロコビはカナシミが大切な思い出を触らないようにしようとして、
大切な思い出をこぼし、カナシミと揉みあって記憶の置き場に吸い込まれてしまう。

感情のコントロールタワーからMCであるヨロコビを失った残りの感情。
ムカムカ(声:小松 由佳)、ビビリ(声:落合 弘治)、イカリ(声:浦山 迅)では
ライリーをコントロールできず、ライリーは一人ぼっちになってしまう。

一方、記憶の置き場に吸い込まれたヨロコビとカナシミ。
おふざけの島から橋を渡ってコントロールタワーに戻ろうとするも、
ライリーの感情は乱れ、おふざけの島は崩れてしまう。

家に帰ってもライリーの機嫌は直らない。
食器も調理道具もない食卓で、不機嫌なままパパを怒らせてしまい、
その後のパパのご機嫌取りにも反応できない。

ヨロコビは脳内マニュアルを読んでいたカナシミの案内で
コントロールタワーに戻る道を探すことにしたが、なかなか戻れない。

そうこうするうちに象のお化けみたいなビンボン(声:佐藤二朗)に出会う。
ビンボンはライリーが子供の頃の空想のお友達で、その涙はキャンディ。
荷車にほうきのロケットエンジンを付けて、ライリーと一緒に月へ飛んで行こうとしたこともある。

ビンボンはコントロールタワーに戻る列車があるといい、その駅まで送ると言う。
駅にたどり着いたものの、列車は出た後。
次の駅に先回りするため、入っちゃいけないところを通り、消されそうになりながら、
なんとか駅に行き、列車に乗り込むことに成功する。

しかし、ライリーが眠ってしまうと列車も停止。
ヨロコビは楽しい思い出でライリーを起こそうとするが、カナシミは怖がらせればいいと言う。
その間に脳内を撹乱したことでビンボンはヨロコビから預かった大切な思い出を持ったまま
逮捕され監禁される。

ヨロコビとカナシミはビンボンを助けに行ってピエロのお化けを起こし、
ライリーを怖がらせて目覚めさせる。

急いで列車に戻り、順調に行くかに見えたが、ライリーの記憶の島はさらに崩れ、
橋を失った列車は記憶の捨て場に崩落。ビンボンは記憶の捨て場に落下。
ヨロコビ、カナシミは辛うじて助かる。

その間、ライリーは地元のアイスホッケーチームのテストでうまくいかず。
コントロールもうまくいかず、ブチ切れてしまった。
ホッケーの島が崩れていく。
孤独なライリーはミネソタの友達とネットでTV電話するが、
チームに新しいメンバーが入り、うまくいっていると聞いて落胆、友達の島も崩壊する。

イカリは、大切な思い出が全部なくなってしまったことが原因だと言い、
ミネソタに戻ろうと言いだす。
ビビリもムカムカも強く反対せず、イカリは家出のランプを
コントロールデスクにセットし起動してしまう。

一方、ヨロコビは思い出を取り出してコントロールタワーに戻すパイプを見つけ、
カナシミを見捨ててそれに入って戻ることにした。
しかし、そのパイプも割れ、ついにヨロコビも思い出捨て場に落ちてしまう。

ビンボンと再会したものの、もうここからは出られないと言う。
捨てられた思い出が一つ一つ消えていく。

ヨロコビが手に取った打ち捨てられた思い出の中に悲しい思い出が残っていた。
ヨロコビが大切な思い出の一つを時系列に見ると、そこにはカナシミが言っていた
大切な試合で大事なシュートを失敗して負けた悲しい思い出の後に、パパとママが寄り添い、
カナシミを共有したチームメートが集まってライリーを励ます思い出がつながっていた。

悲しい思い出があるからこそ喜びがあることに気づいたヨロコビ。
ビンボンの荷車ロケットを掘り出してその勢いで思い出捨て場の崖を飛び越えようとする。
しかし、失敗。
もう一度挑戦、しかしあと少しで失敗。
この時、ビンボンは自分の体が消えかかっていることに気づく。
再度挑戦。
ビンボンは静かに荷車ロケットを降り、ヨロコビは思い出捨て場からの脱出に成功する。
振り返ったヨロコビは思い出捨て場で静かに消えていくビンボンを見る。

一方、荷物のトラックはまだ届かないどころかテキサスに送られたらしい。
ママのクレジットカードを抜いてバスでミネソタに戻ろうとするライリー。
そんなこととは知らないパパとママはライリーを送り出す。

ミネソタ行きの長距離バスに乗ろうとするライリー。

まずいと気づいたイカリ、ムカムカ、ビビリだが、家でのランプは取り外せない。
コントロール盤自体も機能を停止し始める。

ヨロコビは急いでカナシミを探し、見つける。
コントロールタワーに戻る道はもう残っていない。
ヨロコビは妄想の彼氏を大量生産し、それを使って崩れかけている家族の島の
トランポリンへダイブ。
バウンドしたヨロコビとカナシミは見事コントロールタワーの窓にぶつかって、あわや。
ムカムカがイカリを煽って窓を破りヨロコビとカナシミが戻ることができた。

ヨロコビはカナシミに制御を任せ、カナシミは家出ランプを外すことに成功。
制御盤の機能も回復して、ライリーは家出を思いとどまりバスを降りる。

ライリーは失意のまま、パパとママが心配している家に戻る。
カナシミが大切な思い出をカナシミに変え、ライリーはミネソタに戻りたかったと吐露。
パパとママがライリーを慰めて、家出騒動は一件落着。
思い出もカナシミとヨロコビが融合したものが作られ、脳内会議も一件落着。

1年後、アイスホッケーチームになじんだライリー。
思い出も各感情が融合したものに変わっている。
思い出の島も作り直され、新しい思い出の島もできた。
感情コントロール盤もより多くの感情表現ができるようになっている。

思春期、という今までなかった感情も。
間もなくライリーもティーンエイジゃーなのだ。

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PIXAR、さすがです。
子供だましでないのは勿論、子供向けと言うよりは子を持つ親向けという気がした。

これから思春期に向かう少女に精神的に大きなストレスがかかり、不機嫌になり、反抗し、
親もつい叱ってしまう。

そんなどこにでもあるような人生の一シーンの感情の乱れを
脳内の感情のせめぎ合いで怒っていると考え、物語を展開していく発想も面白いし、
多くの記憶が貯められ、捨てられ、忘れられていく仕組みを思い出ボールで表現するのも面白い。

大人にとってもストレスになる引っ越し。
家も学校も友達も大きく変わってしまうこどもにとって、状況は人によって違うとしても
どれだけ精神的重荷になるか、想像に難くない。

物語が素晴らしいのは言うまでもないが、いつも通り細かい気遣いがすごい。
吹替え版の主要な文字、新聞記事や看板や注意書きは日本語。
本編が始まる前の監督のコメントで語る映画のタイトルは邦題の「インサイド・ヘッド」であり、
原題の「インサイド・アウト」ではない。

ただ、この邦題には異論もある。
原題は「インサイドアウト」(=裏表、裏返し)でカナシミとヨロコビは表裏一体ということなので、
「インサイド・ヘッド」(文法的に正しいかどうかは別として「脳内」「頭の中」のことのようだ)では
意味が変わってしまうと言うものだが、そんなの原題をいじってある邦題のほとんどすべてに言えること。

また時として批判の対象となっていた下手すぎる吹替えは、このところ影をひそめ、
本作ではメインキャストを竹内結子と大竹しのぶと言う演技力のある女優をキャスティング。

その他のキャストも声優で鳴らした人。
ビンボンは「マメシバ」の佐藤二朗。
あのシーンはベイマックスを少し思いましたね。
サンフランシスコでもあるし。

ライリー役の伊集院茉依もうまい。
声優は初らしいが、ミュージカル「アニー」のテシー役で舞台も経験。

同時上映の短編は「南の島のラブソング」(原題:LAVA)
多分に3D向き。

ハワイの近くの単独火山島ウク(声:風雅なおと)、島の周りには番(つがい)の鳥、鯨、イルカ、
その他、ペアが多くいるのに自分だけは一人ぼっち。
火を噴きながら、常に相手を待っていた。

そんなウクも長い年月とともに老化し、沈下していった。
殆ど水面下に沈もうとした頃、ウクの歌声を長い間聞いていた若い火山、レレ(声:柿沼寿枝)が出現する。

ウクはレレの歌声に合わせようとするが、年老いて声が出ず、またレレの向いた方向がウクの反対側。
レレはウクの存在に気付かぬまま、ウクは水没していく。

その時奇跡が起こり、ウクは再び力を得て隆起、レレと一体化して新たな火山として甦るのだった。

火山がプレートの移動と沈み込みによって徐々に沈降していくのは科学的事実です。
火山の周りに環状の小島ができるのは沈降に伴い形成される珊瑚礁です。
ポットブルームによって新たな火山が生まれるのも事実ですが、大体はプレートの湧き上がり付近で発生します。

ただ、プレート境界でマグマが形成され火山が生まれる可能性もあり、沈む火山のすぐ近くに
新しい火山ができることも十分あり得ます。

 

 

                  

  ターミネーター/新起動(ジェネシス) 

アーノルド・シュワルツェネガー、ジェイソン・クラーク、エミリア・クラーク、ジェイ・コートニー

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1997年8月29日、スカイネットによって無数の核ミサイルが発射され人類の大半が滅亡。
わずかに生き残った人類はターミネーターを避けて地下に潜入した。

カイル・リースはその後生まれた人間の一人。
子供の頃のある日、下水道に逃げ込んだカイル・リースをターミネーターが追いつめるが、
それを破壊してカイルを助けたのが若き日のジョン・コナーだった。

2029年、ジョン・コナー(ジェイソン・クラーク)率いる反乱軍は
ターミネーターの本部への総攻撃を準備していた。
戦士の中には成人したカイル・リース(ジェイ・コートニー)もいる。

ジョン・コナーとカイル・リースは本部への攻撃ではなく、ロス基地の攻撃部隊の一員。
これにはジョン・コナーの思惑があった。
カイルはうまくロス基地内に侵入できたが、すぐにばれ反撃を受ける。
壮絶な戦いの最中に本部攻撃隊が、スカイネット中枢部を破壊。
連動していたターミネーターや攻撃機が停止、反乱軍の勝利かと思えた。

しかし、ロス基地の地下にはスカイネットの最終兵器である「時空転移装置」
すなわち、タイムマシンがあり、既に作動された後だった。

1984年にターミネーターT−800を送り込み、サラ・コナーを殺害し、
ジョン・コナー誕生そのものを阻止しようと言うのだ。

ジョン・コナーはT−800からサラ・コナーを守る役割をカイル・リースに託し、
タイムマシンを作動させる。
カイル・リースが時空に飲まれる直前、反乱軍に紛れ込んだ何かがジョン・コナーを襲った。

時空の流れの中でジョン・コナーは幼少期の自分を見る。
本来の記憶と違い、平和で両親も生きていて、13歳の誕生日に
タブレット:GENESISを受け取る自分。
そして、サラが手のひらに指を当て「まっすぐに進め、あなたならできる」と言う言葉、
さらには自分自身が言う「ジェネシスがスカイネットだ」「2017年、スカイネットが起動する」。

T−800は1984年に到着し、ヤンキー3人組に近づく。
そこに年を取ったT−800が現れ新旧の乱闘となる。
後方からロケット弾が飛来し、ヤングT−800は破壊される。

一方、1984年に着いたカイル・リースはホームレスから服を奪う。
警官に追われ「今日は何日だ」と聞くと警官(イ・ビョンホン)は、
「1984年5月12日、お前が来る日だ」と答える。警官はT−1000だった。

追われて衣料品店に逃げ込むと、本物の警官が来てカイル・リースは捕まる。
そこにT−1000が襲いかかり、警官の一人は死ぬが、トラックが店に突っ込み、
運転席の女性が助けてくれる。
彼女こそ・サラ・コナー(エミリア・クラーク)で、カイルの知っている1984年はもうないと言う。

T−1000は復活させたヤングT−800とともにサラとカイルとオールドT−800を襲う。
サラとオールドT−800は地下に逃げる。
T−1000に惑わされるが、ヤングT−800を倒し、T−1000は強酸の仕掛けで溶かして破壊する。

戸惑うカイル・リースに対し、サラはT−800は1984年ではなく1973年に来て、
サラの幼少期からずっと彼女を守り続けていた、と説明する。

サラとT−800はタイムマシンを作っており、壊れたT−800のCPUを使って
1979年に行き、審判の日の作動を阻止すると言う。

ジョン・コナーから聞いていた歴史が変わってしまっていることに気づいたカイル・リースは、
自分が時空の中で見た2017年がこの世界のスカイネット稼働時であると力説。
疑うサラの手のひらに指を当て「まっすぐ進め、あなたならできる」と言い、新しい時空を信じさせる。

T−800はT−1000を倒した際に皮膚を失ってタイムマシンには入れない。
カイルとサラは2017年にタイムワープし、高速道路に現れたが、
T−800は現場に間に合わず、二人とも警察に捕まってしまう。

サラ・コナーのデータはなく、カイル・リースは12歳のカイル・リースと指紋が一致。
1984年の衣料品店でカイル・リースに遭遇した警官だったオブライエン(JKシモンズ)は、
尋問させろと迫るが、NSAに引き渡すと言う。

そこにジョン・コナーが現れる。
怪しむサラにジョン・コナーは本人だと証明、一緒に逃げようとするが、
T−800が現れてジョン・コナーを撃つ。

一旦は死んだように見えたジョン・コナーは甦り、スカイネットによって改造され、
ナノマシンでできていることを告白、味方になるよう話す。

サラとカイルは拒否し、ジョンはT−800と格闘になる。
MRIの強力な磁気に捕まったジョンをしり目にみんなは逃げる。

サイバーダイン社の現社長、ダニー・ダイソン(デイオ・オケニイ)は、
全世界のIT機器を連携し統合するジェネシスが間もなく起動すると宣言する。
ジョン・コナーは正体を隠し、サイバーダイン社で働いており、ここでもタイムマシンや
液体金属ロボットを製造していた。

ゴールデン・ゲート・ブリッジ近くのアジトでジェネシスのサーバー爆破を準備していた
T−800とカイルとサラ。

ジョンにばれて襲われスクールバスを奪って逃げる。
橋の上で大乱闘となり、ジョンは海に落下、3人は捕まる。

警察でチャン刑事(サンドリン・ホルト)に化けたジョン・コナーが暴れ、
オブライエン刑事は、3人を解放し逃がす。

追ってきたジョンとヘリでの追走劇となり、ジョンのヘリを落としてサイバーダイン社に乗り込む。
サーバーを破壊しようとするサラとカイルとT−800はジョンと格闘になるが、
T−800とジョンはタイムマシンの中で格闘となり、T−800は吹き飛ばされ、ジョンは破壊される。
と同時にサーバールームは大爆発し、ジェネシスは崩壊する。

サラとカイルはギリギリで地下のシェルターに逃げ込んで助かり、
液体金属で補強されたT−800が救出、一行は脱出する。

カイルは、ヤング・カイルに会い「ジェネシスがスカイネット」「2017年にジェネシスが起動」の
言葉を教えて去る。

しかし、完全に破壊されたはずのジェネシスのコア=スカイネットが生き残っていたシーンが写り映画は終わる。

**

リブート版ではあるが、前シリーズ3作の呪縛からは逃れられず、登場人物はもとより、大きな流れ、
重大イベントの日付まで前シリーズを踏襲している。

ストリー的には「ターミネーター2」の続編の位置づけのようで、時間軸が変わってしまっていて
審判の日以前のジョン・コナーは登場しない。

「3」で生き残り「4」につながったジョン・コナーのパートナー、ケイトは出てこないし、
「4」のサイボーグ、マーカス・ライトも出てこない。

「3」では、スカイネットは分散型システムであり破壊困難だったが、
本作ではまた中央集権型のCSSシステムとなっている。

「オール・ユー・ニード・イス・キル」でもそうだし、「トランセンデンス」でもそうだったが、
映画的にはラスボスを倒して一件落着が判りやすいし作りやすいのだろう。

しかし、一局集中型、一か所で全体をコントロールするシステムは到底未来型のシステムではなく、
自律分散で連携するタイプの複合型ネットワークであるはず。
とすれば、サイバーダイン社を壊してもスカイネット全体にはほとんど影響なく稼働する。

しかしながら、そもそもAIが人類の知能を凌駕するとしても、人類を完全にコントロールしたり
抹殺しようとすることは考えらない。

仮に人類が地球全体から見て負の存在であるとしても、その抹殺は全生態系の破壊を意味する。
徐々に別の存在(この場合AI)に置き換わることはあっても、一気に殲滅することはないだろうが、
それが映画だと言えばその通り。

シュワちゃん以外のキャストは一新されており、主要登場人物の名前と相関は踏襲されている。

もともとがタイムトラベルによるタイムパラドックスを展開に応用した映画で、
今作もそれは維持されているが、過去の自分や未来の自分と遭遇しても、
その時点での矛盾や破綻は発生しない設定となっている。

過去と未来を行き来することで時間軸が変わってしまう、違う未来、違う過去が発生する点は
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などと同じ。

面白いことは面白いが、結局のところ、際立ったオリジナリティがなく凡庸なSFと言った様相で、
実に惜しい。

タイトルの「ジェネシス」はスカイネットの根本となるOSの名前であり、確かに「創世記」の意味はあるが、
リブートを思わせる「新起動」とは無関係でミスリード。
続編があるらしいが、どのような展開になるのか、また果たして本当にあるのかは不明。

ジェイ・コートニーはパッと見、サム・ワーシントンに似ている。
「アウトロー」ではトム・クルーズの敵役の殺し屋、「ダイハード/ラストデイ」ではブルース・ウィリスの息子。

ジェイソン・クラークは「ホワイトハウスダウン」では修理工に化けたテロリスト。
「猿の惑星:創世記」ではマルコム博士。

女性刑事(チャン刑事)のサンダリン・ホルトはイギリス生まれで中国人の父とフランス人の母のハーフ。
178cmの長身でモデル出身。最近はTVが多いようで映画も結構出ているが私は初見。

JKシモンズは無駄遣い。

 

 

       

 アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン    

**

ロバート・ダウニーJr、クリス・ヘムズワース、ジェレミー・レナー、
スカーレット・ヨハンソン、マーク・ラファロ、クリス・エバンス、
エリザベス・オルセン、アーロン・ジョンソン、ポール・ベタニー、
サミュエル・L・ジャクソン、コービー・スマルダース

どこか東欧の国の森の奥の高台にあるヒドラの研究所。
そこにアベンジャーズが大挙して襲いかかる。
目的はロキの杖の確保。

ヒドラ研究所は強力なシールドに覆われていてアベンジャーズは苦戦するが、
何とかシールドを破壊して内部に侵入する。

敵のボス、ストラッカー(トーマス・クレッチマン)は、ロキの杖のパワーを使って
超能力双子姉弟(エリザベス・オルセン、アーロン・ジョンソン)を生み出していた。

二人は過去のいきさつからスターク社を恨んでおり、研究所を出てアベンジャーズに対抗する。
ピエトロ・マキシモフ (=クイックシルバー、アーロン・ジョンソン)は、スピードで翻弄、
ワンダ・マキシモフ(=スカーレット・ウィッチ、エリザベス・オルセン)は幻覚を見せる。

しかし、トニー・スターク(=アイアンマン、ロバート・ダウニーJr)にロキの杖を取らせ、
ストラッカーも逮捕される。

トニー・スタークはブルース・バナー(=ハルク、マーク・ラファロ)を説得して
ロキの杖に隠された人工知能を利用してウルトロン計画を進めようとする。
プログラミングは当初うまくいかないが、突然起動し、ジャービスを破壊して
自身の体を準備し始める。

アベンジャーズの面々が祝勝パーティを開催した後、スクラップのアイアンマンボディを手に入れた
ウルトロンが登場、アイアンマンアーマー軍団にアベンジャーズを攻撃させる。
ウルトロン一派は撃退されるが、ウルトロン自体の意識は既に別の所に移っており、ロキの杖も奪われる。

トニー・スタークとブルース・バナー以外の面々は二人を責める。
トニー・スタークは世界最強の金属、ヴィブラニウムが危ないと悟り、ワカンダに向かう。

ウルトロンはストラッカーを殺し、ピエトロとワンダを唆して、ワカンダに向かい、
ユリシーズ・クロウ(アンディ・サーキス)を脅してヴィブラニウムを手に入れる。

そこにアベンジャーズが現れるが、ピエトロとワンダに翻弄され、次々と戦闘不能に陥る。
さらにブルース・バナーはワンダの幻覚でハルクに変身、ヨハネスブルグで大暴れする。
ハルクはアイアンマンのベロニカによって抑えられるが世間の見方はアベンジャーズに敵対、
一行はクリント・バートン(=ホークアイ、ジェレミー・レナー)の本当の家族の家に隠れる。

ワンダによって見た幻覚を確かめるため、ソー(リーアム・ヘムズワース)は、
セルビグ博士(ステラン・ステルスガルド)の協力を得て、ロキの杖の秘密を知る。

一方、ウルトロンは韓国でチョー博士(クラウディア・キム)を脅して、
ビブラニウムを使った肉体を作らせようとする。

幻覚に翻弄されていたアベンジャーズだがニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)の
助言で気を取り直し、ウルトロンを追う。

ウルトロンは新しい肉体に意識を転移しようとするが、ワンダはウルトロンの意思を読んで
全人類を滅ぼしてそれになり変わろうとしていることを知り、邪魔をする。

アベンジャーズはウルトロンの新しい肉体の入ったクレードルを確保し持ち去る。
トニー・スタークは、ジャービスが死んでおらず、ウルトロンに対抗できるのはジャービスだとして
その意識をクレードルに移そうとする。
ソーが現れてムジョルニア(ミョルニール、トール・ハンマー)でクレードルに電撃を与え、
中から現れたスーパーボディがジャービスの化身、ビジョン(ポール・ベタニー)となる。

ウルトロンは、ビブラニウムで作った核爆弾を利用し、ソコビアの町を空中に舞い上げ落下させることで
隕石衝突で恐竜絶滅のような状態を作ろうとする。

ウルトロンの策略に気づいたピエトロとワンダはアベンジャーズとともにウルトロンのアーマー軍団と戦い。
ソコビアの人々の避難に協力する。

また、ニックフューリーもマリア・ヒル(コービー・スマルダース)に手伝わせて、ヘリキャリアで避難を手伝う。

しかし、その中でウルトロン軍に攻撃を受けたホークアイを助けようとしてクイックシルバーが死ぬ。
スカーレット・ウィッチが切れてウルトロン軍団を撃破するが、ビブラニウム弾が作動して街が落下し始める。

ローズ大佐(=ウォーマシン、ドン・チードル)やサム・ウィルソン(=ファルコン、アンソニー・マッキー)の
手助けもあって、街を粉々にし町は多数の流れ星となってインパクトが減り、地球は助かる。

ウルトロンは最後はビジョンによって抹殺される。
しかし、戦いの終わりでハルクは去り、ホークアイも家に帰る。
ソーは、今回の魔石(インフィニティ・ストーン)の動向を探るためアズガルドに帰る。

アベンジャーズ研究所は再築され、チョー博士やセルビグ博士も加わる。
今回の事件でバラバラになったアベンジャーズは
スティーブ・ロジャース(=キャプテン・アメリカ、クリス・エバンス)と
ナターシャ・ロマノフ(=ブラック・ウィドウ、スカーレット・ヨハンソン)に
新メンバーとしてスカーレット・ウィッチにウォーマシン・ファルコン、それにビジョンを加え
訓練を始める。

一方で新ビランであるソノス(ジョシュ・ブローリン)が魔石を狙っているシーンで映画は終わる。

**

複雑なのか単純なのか。
冒頭から最後まで戦いばっかりの印象。
多少の葛藤や仲間割れなどもあるが基本は勧善懲悪と仲間意識に家族愛でその意味では単純。
敵も味方もコラテラル・ダメージを受ける南ア、ソコビア、韓国の人々にとってはどうでもいいこと。

破壊と殺戮の中から平和は生まれるのか、破壊と殺戮がなければ平和は勝ち取ることができないのか。
アベンジャーズは平和の使者なのか、破壊と殺戮の申し子なのか。
その意味では複雑。

続編は「インフィニティ・ウォーPART1」(2018/5/4)「同PART2」(2019/5/3)
(日付は全米公開予定日)が予定されている。

ビジョンのポール・ベタニーは今までもジャービスの声として出演していた。
エリザベス・オルセンは今回は姉弟だが、「ゴジラ」ではアーロン・ジョンソンの妻。
クイックシルバーが死ぬとは思わなかった。契約上は続編出演の目がありそうだ。
「X−MEN:フューチャー&バスト」ではエバン・ピータースが演じている。
このほか、幻覚のシーンでヘイレイ・アトウェルやイドリス・エルバも出る。

ペッパー・ボッツ(グウィネス・パルトロウ)、ジェーン(ナタリー・ポートマン)は
(劇中の台詞によれば)多忙で出てこない。

 

 

      

 

 

 

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