2006/9-12 鑑賞
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9月:6本(6本)、10月:4本(4本)、11月:4本(1本)、12月:3本(0本)、計17本(11本)  カッコ内は試写会
 
 硫黄島からの手紙 

クリント・イーストウッド監督、渡辺謙、二宮和也、伊原剛志、中村獅童。

硫黄島2部作の後編、日本軍から見た視点で描かれている。

前評判の高さに、アメリカでの公開が早まり12/20になりました。

全編日本語ですが、アカデミーでは外国語映画賞のエントリー資格なし、
ただし、アメリカ映画としての資格はありますので、
何らかの賞にノミネートされることと思います。

ゴールデン・グローブ賞では監督賞と外国語映画賞にノミネートされています。
このほか、現在までに
ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞最優秀作品賞を受賞、
ロサンゼルス映画批評家協会賞最優秀作品賞を受賞、
アメリカ映画協会賞の“今年の作品賞トップ10”に選出されています。



さて、2005年の硫黄島。
硫黄島協会の会員が洞窟の中に埋められた「何か」を発見した。
それがどのようにして埋められ、何だったかは物語の最後に明かされる。

時代は遡り、1944年の硫黄島。
栗林中将(渡辺謙)は小笠原兵団長に赴任(6月8日には)硫黄島に司令部を置き、
硫黄島防衛の指揮を取ることになった。

それまでの帝国陸海軍の反目や体罰主義、海岸線死守作戦などをことごとく否定、
アメリカ軍の上陸を前提とした作戦に切り替えた。

パン屋から徴兵された一兵卒である西郷(二宮和也)らも理不尽な体罰から救われた。

(6月20日前後の)マリアナ海戦での日本軍の敗北を知った栗林中将は、
補給途絶を覚悟し、硫黄島の地下要塞化に取り組んだ。
部隊には、ロサンゼルスオリンピックの馬術で金メダルを取った
西中佐(井原剛志)の戦車部隊もいた。

(12月頃には)硫黄島は連日のように米軍の爆撃を受けるようになる。

(翌年2月13日)日本軍はサイパンを出港したアメリカ軍船団を発見、
(2月19日)アメリカ軍は、ついに硫黄島上陸を開始する。

それから長く苦しい持久戦が始まる。

確かに米軍に多大な損害を与えはしたが、結局は物量共に勝る米軍相手に多勢に無勢、
退却もままならぬまま自決する兵もあり、文字通り弾丸尽き水涸れの状態となる。
(3月17日最後の総攻撃、この日をもって日本の組織的攻撃は終了を遂げた)
そして(3月26日)栗林中将を先頭に最後の突撃が行われ、
36日間にわたる硫黄島の戦いは終わった。

(かっこ内の日付は筆者注)



重く暗い映画。
色を薄めに仕上げた映像が暗さをさらに強調する。
クリント・イーストウッドは明るい映画は撮れんのか。

日本兵を全体主義、軍国主義の亡者としてではなく、
一介の人間として描きだした。

「父親たちの星条旗」ともども従来の戦争ものとは一線を画す。
かといって、「反戦もの」ではない。

まあ、でもよくできていると思います。

随所に「父親たちの星条旗」で使われた映像が重なっていて、
同じ事実を「双方から見た視点」というか、
現実には同時には見れない事実を2本の作品にすることによって
観客に「双方から見せた」といえるでしょう。

淡々と進行する割には、2時間25分もあったとは思えませんでした。

これは「父親たちの星条旗」も同様なので、監督の手法なのだろうが、
一部の人の感想にまるで2、3日の出来事のようだったとあったりするので、
できれば、2005と1944だけではなく、
もう少し日付を入れるか、言わせるかして、時間の流れを見せた方が良かったかも。
 

 

 


 

 トゥモロー・ワールド  

クライブ・オーウェン、ジュリアン・ムーア、マイケル・ケイン。

***

近未来のイギリス。

ニュースが世界でもっとも若い男性、18歳の死亡を告げている。
この国では、いや世界ではもう18年も子供が生まれていないのだ。

町は薄汚れ、ごみが散乱し、排ガスに包まれ、さながらメリーポピンズの世界(注参照

セオ(クライブ・オーウェン)の通勤途上で爆弾テロが起き、職場ではみんなが男性の死を嘆いている。

仕事が嫌になり、さぼって帰るセオ。
イギリス以外の世界各国は退廃、混乱を極め、人々は安寧をもとめてイギリスに不法入国している。
イギリス政府はこれを厳しく取り締まり、強制収用所送りにしている。

ある日、セオは何者かに拉致され、ジュリアン(ジュリアン・ムーア)のもとに連れて行かれる。
ジュリアンはかつてセオと行動を共にした活動家。今も反政府活動をしている。

ジュリアンはある不法入国者の女性を安全に国外へ連れ出すのに「通行証」を手に入れるようセオに頼む。
一旦は断るが、金に目がくらんで通行証を手にいれることに。

そして、その女性、若い黒人女性を連れ、車で移動中、群衆に襲われ、あっと驚く事態が起こる。

(えっ、こんなところでこんな風になっていいの?)

活動家のアジトに戻ったセオはその女性の秘密と、襲撃の真実を知り、逃亡を決意する。

***

近未来が舞台とはいえ、何時あってもおかしくない「今」を描いているようにも思える。

その意味では、「Vフォー・ヴェンデッタ」よりも真実味があるし、
イーオン・フラックス」「ウルトラヴァイオレット」と似たようなテーマながら、はるかに迫真的。

不法入国者の逮捕、強制収用所送りは、ナチのホロコーストの模様を彷彿とさせる。

戦闘シーンは圧巻。まるで戦場の同行カメラマンの撮った映像のようだ。
変な宗教的教訓もなく、淡々と事実を切り取ったような表現方法は緊迫感があった。

爆破シーンなどはどうやって撮っているのか、人が死ぬシーンはあまりにも現実味があって空恐ろしい。

あの長髪のまるでジョン・レノンのような風体はマイケル・ケイン。
声でわかっちゃうが、見た目は別人。

反政府活動家の中心人物の一人、ルークは「キンキー・ブーツ」のキウェテル・イジョホー。


メリー・ポピンズの舞台は、20世紀初頭のロンドン。
煙突掃除屋が出てくるシーンを思い起こしてみると、町中が煙突の煙で覆われていることがわかる。
実際にこのころのロンドンでは煤煙による死者まで出るほど空気が汚れていた。
ロンドンは産業革命以降の大気汚染や都市問題など近代の社会問題の発端の地でもある。

 

 


 

 007/カジノ・ロワイヤル  

前作、ピアーズ・ブロスナンの「ダイ・アナザー・デイ」から4年を経て、
6代目ジェームス・ボンド、ダニエル・クレイグによるシリーズ第21作目。

ダニエル・クレイグは金髪碧眼で、ボンドに選ばれた時には、非難轟々。
「あんな奴はボンドではない」など、総スカンだったらしいが、
ふたを開けてみると、絶賛の嵐で、早くもロジャー・ムーアの7作を超えて、
シリーズ最多のボンドになるとまで言われている。

最近は「ビギンズ」ばやりだが、この映画も007の原点に戻り、
00(ダブル・オー)になったばかりのジェームス・ボンドが、
ぎりぎりの攻防を繰り広げるというもの。

***

冒頭はモノクロで、
ダニエル・クレイグが2つの暗殺をこなして00(ダブル・オー)に昇進。

初仕事は爆弾テロリストを確保し、依頼者を探りだすというもの。

しかし、この爆弾テロリストに逃げられ、大使館の中まで追いかけて、
挙句、犯人は射殺し大使館を爆破して脱出する。

この時の写真(防犯カメラ)が報道され、M(ジュディ・デンチ)は激怒するが、
ボンドは爆弾テロリストのケータイから解き明かした「ELLIPSIS」の謎を追う。

敵役は、ル・シッフル(マッツ・ミケルセン)数学的能力に優れ、
どこからでも金を集めて投資する。

反政府勢力などから金を集め、有力な会社の株を空売りし、その後テロを仕掛けて株を暴落させる、
という非合法手段で金をもうけている。

ボンドはバハマのギャングに目をつけその女に近づき、マイアミでの爆破テロを嗅ぎつけて、阻止する。

しかし、このために、ル・シッフルは、1億ドルの損をし、これを回収するため、
カジノ・ロワイヤルで青天井のポーカー勝負に出る。

MI6は最もポーカーの強いボンドをこのカジノ・ロワイヤルに送り込む、
財務省のヴェスパー・リンド(エヴァ・グリーン)をお目付け役にして。

ポーカーに負けると、イギリス政府がテロリストに金を渡す羽目になる。
はたして、ボンドは勝負に勝てるのか。

***

意外とよかった、ダニエル・クレイグ。

今までの、華麗に仕事をこなす不死身のボンドではなく、相手に逃げられるわ、殴られるわ、
騙されて、毒を盛られたり、けがもするし、本当に死にかけるなど、何度もひどい目に合う。

で、ボロボロになりながら都合よく助かるシーンでも、ちゃんと助かる理由があって、
それがどんでん返しの伏線になっている。

新兵器に頼るのではなく、生身の強さがすごくよく表現されていて、
冒頭の爆弾テロリストとの追いかけシーンはヤマカシ真っ青、
「マックス!鳥人死闘篇」なんか目じゃないってくらいすごい。

エヴァ・グリーンの「目」の演技もすごく良かったですね。

 

 


 

 プラダを着た悪魔 

メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ。

アン・ハサウェイは、お姫様的役が多かった。
子供っぽかったんだけどもう24、173センチあります。

メリル・ストリープは、2度もアカデミーを取った大女優。
「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」では、
湖の畔の崖っぷちの家に住む潔癖症のおばさんを演じていた。
アン・ハサウェイと比べると小さく見えなくもないが、実は168センチもある。

***

ニューヨーク。
大学を出たばかりでジャーナリスト志望のアンドレア(アン・ハサウェイ)は、
ファッション誌「ランウェイ」(ファッションショーでモデルが歩く花道のこと)
の面接にやってくる。
ファッション界に大きな影響力を持つ辣腕編集長ミランダ(メリル・ストリープ)
のセカンド・アシスタントだ。
しかし、ファッションには興味がなく編集長のミランダを知らないのはもとより、
「ランウェイ」だって読んだことがない始末。

ミランダにこき下ろされて、採用をあきらめていたところ、
何が気にいられたのか、採用されてしまう。

おもな仕事は電話を受けることとコーヒーの調達(のはず)。
しかし、そこから地獄のような毎日、悪魔からの命令が矢のように下される。
てんてこ舞いで、自分なりに頑張ってはいるがうまくいかない。

むちゃくちゃな命令に答えることができず、
「いつもは、痩せたかわいい子を雇うのよ。
 でも彼女らは頭が悪い(stupid)から、
 今度は、頭の良い太った子を(smart fat girl)雇ったのに、
 バカな痩せた子(silly skinny girl)よりもがっかりしたわ。」

愕然とするがファッション・ディレクターのナイジェル(スタンリー・トゥッチ)
に諭され、自分磨きに精を出す。

徐々にファッション界に染まっていき、洗練されてくるが、
同棲中の彼や友達からは離れていく。

ミランダからようやくアンドレアと呼ばれ、信頼されるようになってくるが、
とんでもないぽかをやって、手痛いしっぺ返しを食らう。

ここで1年頑張れば、どこへ行っても通用する、そう思って我慢してきたけど、
「もう辞めてやる!」

はたして、アンディは一人前のジャーナリストになることができるのでしょうか。

***

原作があることは知ってました。

初めて書いた小説で、モデルは「Vogue」の編集長と自分自身(らしい)
「ここまで書いていいのか」なんて聞いてましたので、
メリル・ストリープはよっぽどやな役かと思ってましたが、そうでもなかったです。

あれくらいじゃないと、トップには立てんでしょ。
むしろよくやっていると思いますよ。

それよりアン・ハサウェイのケツのまくり方はよくない。
辞めるのは良いにしてもやり方があるでしょう。
これは原作者、または脚本家に対する批判です。

メリル・ストリープはうまい!さすがです。

のっけから長〜いセリフをよどみなくしゃべりまくり、
目線の動きも見事でセリフの最後に「Who's that?(あれ誰?)」

物静かに嫌味を言う語り口、口癖の「That's all」も良い。
(字幕は確か「以上よ」だったけど「それだけよ」の方が良かった?)

 

 


 

 ライアンを探せ   

ディズニー・アニメ。

原題は「The Wild」
野生の王国と言うような意味合いです。

ストーリー展開はそうですが、「ライアンを探せ」がメインテーマではありませんので、
ピンぼけ邦題と言ってもいいでしょう。

それはともかく、間違いなく安心して子供にも見せられる映画。

動物の毛の質感や、水、人工物、映像はすべてにおいて非常によくできている。

当たり前だが、キリンって毛が生えてんのね、とか、ワニには毛はないことがよくわかる。

***

細かい説明はなかったけど、ニューヨーク、セントラル・パークの動物園。

動物園に住む雄ライオンのサムソンとその子ライアン。
野生の王国でたくましく生きてきた自分を(自慢じゃないけど)示し、息子にもそうなってほしいと願っている。

閉園後は、いつものように動物天国だが、野生には程遠い自分に嫌気がさすライアン。

ちょっとした行き違いから、アフリカ行きのコンテナに紛れ込んでしまう。

息子をつれ戻すために追いかけるサムソン。
助けようとリスのべにー、コアラのナイジェル、キリンのブリジット(メス)、それにニシキヘビのラリーも
ついていく。

コンテナを追い、港へ、そして船に乗ってアフリカへ。

ところが着いた島は、とんでもないことになっていて、
サムソンには誰にも明かしていない秘密があって、
はたして野生の王国でサムソンたちは息子のライアンを無事に探し出し助けることができるのか。

***

セントラル・パークの動物園。

園から出てしまった友達を助けるために、仲間の動物たちが追いかけ、アフリカまで行くが、
野生の王国には程遠い生活をしていた彼らには多くの災難が降りかかる。

そしてついに、野生=本来の力を取り戻す、と言う物語。

友情と親子愛の差はあれど、「マダガスカル」と同系統のアニメと言える。

こちらはセリフにも毒もなく、適当にはらはらする場面もあって、ご家族連れにはぴったりと言えるでしょう。

CGも素晴らしく、動物そのものも素晴らしいけど、「水」はもう完璧です。
かつてのハリウッドのような大型プールなんかもういらん、海すらCGで十分と思えます。

サムソンの声はキーファー・サザーランド。吹き替えは忘れました。

オリエンタルラジオが出てることは宣伝されてますが、どの声かはすぐわかります。

 

 


 

 ワールド・トレード・センター 

ニコラス・ケイジ主演。
2001/9/11、ワールド・トレード・センターで起こった大惨事の奇跡の救出劇。

どこまでが実写でどこからが作られたものかわからないほど。

**

2001/9/11。
ニューヨーク近郊に住む港湾警察の警官、
ジョン・マクローリン(ニコラス・ケイジ)は、
いつものように早朝3:29に目覚め、シャワーを浴び、
妻と子供たちの寝ている姿を見て車で出勤。

徐々に明けていくニューヨーク。
そのシンボルである双子ビル、ワールド・トレード・センターが映し出される。

港湾局に勤める何人かの警官の朝もいつもの通り、
ウィル・ヒメノ(マイケル・ペーニャ)もその一人だった。

朝、署で配置の通達を聞きいつものようにパトロールに出かけていく。
8:45頃、巨大な機影が頭上を横切ると、間もなく爆発音と震動が。

わけもわからないまま署に呼び戻され、救助に向かうことに。
原因も状況もはっきりしないまま、2機目の激突の情報も入ってくる。

現場についても情報が錯綜する中、
ジョン・マクローリン以下数名がビルに入っていく。
救助に向かう途中、北棟と南棟の間の地下通路でビルの崩落によって、
ジョン・マクローリン、ウィル・ヒメノ、
ドミニク・ペズーロ(ジェイ・ヘルナンデス)は生き埋めになる。

かろうじて動けるドミニクも2度目の崩落で圧死。
ジョンとウィルは重傷を負い身動きのできないまま地下に取り残されてしまう。

このあとは事件に接した人々の動きや家族の一喜一憂の様子、
何かに突き動かされるように救助に向かった人々が描かれる。

そして、奇跡の救出までのドラマが展開していく。

**

おなじ9.11事件を扱った映画としては「ユナイテッド93」がある。
いずれも事実に基づいて作られた映画である。

ユナイテッド93便は、墜落と共に乗客乗員がテロリストも含めて全員死亡、
機内の様子は管制官とのやり取り、乗客がかけた電話から推測するしかない。
しかし、この様子を徹底してドキュメンタリータッチに仕上げた。

ワールド・トレード・センターは事件現場でビルの崩落と共に生き埋めになり、
奇跡的に生還した警察官を描いている。
本人はもとより家族、関係者も生き残っており、事実関係はより明らかだ。

もちろん、観客は事件の全貌を知っているわけだが、
あえて事件の背景や世の中の動きは大きく扱わず、
当事者に注視して、人間ドラマとして描いて見せた。

***

監督はオリバー・ストーン。
判っていても泣かされる作り方はうまいもんです。
興行的にもまずまずの成功です。

マクローリンのかみさん役はマリア・ベロ。
「シークレット・ウィンドウ」ではジョニー・デップのかみさん、
「ヒストリー・オブ・バイオレンス」では、ヴィーゴ・モーテンセンのかみさん。
旦那に翻弄される役が多くないか。

ウィル・ヒメノのかみさん役は、マギー・ギレンホール。
ジェイク・ギレンホールの姉さん。

 

 


 

 父親たちの星条旗 

原題は「Flags of our Fathers」
このFlagsと複数形であるところがひとつのミソ。

「硫黄島からの手紙」はきっと見るだろうから、
2部作の前編であるこの「父親たちの星条旗」も見ておかねば、
と言う感覚だった。

監督は、クリント・イーストウッド。
映画の作り方はミリオン・ダラー・ベイビーと似ていなくもない。
イーストウッド流と言っていいのかもしれない。

キャストは、ニール・マクドノーフ(タイムライン)と
ロバート・パトリック(T2)以外、知った人はいなかった。



物語は、1945年、すでに劣勢にあった日本軍にあって、
太平洋の攻守の要とも言える硫黄島の激戦と、
例の有名な「星条旗を立てる写真」
さらにはその旗を立てた「英雄たち」のその後を描いている。

アメリカ人にとってはすでに公知の事実なのかもしれないが、
実は写真に撮られたあの旗は最初に立てられたものではないこと、
あの旗が立てられてからなお壮絶な死闘が繰り転げられたこと、
旗を立てた6人(うち3人は戦死)が英雄に祭り上げられ、
政治的に理由されたこと。
そして、3人とも決して恵まれた余生を過ごしたのではないこと。

それらが淡々と描かれる。

詳しくは映画を見てほしいが、例の星条旗の件にしても
兵士がたまたま従軍記者のカメラに納まったため、
英雄視され、国の国威発揚、戦時国債の宣伝に利用された。

国とマスコミと人々の熱狂の格好の餌食となっていく。
戦争とは戦闘だけでない。
戦いが終わった後も人々の心に深い傷を残すものなのだ。



エンド・クレジットに合わせて、実際の写真がスクロールされる。
主要キャストは皆実在の人物に似ていて、物語の真実味を増幅させる。
そして実際に複数の旗=FLAGSも写真に登場する。

写真に見入って見落としたが、
挿入曲の幾つかはクリント・イーストウッドの手によるものだったようだ。

硫黄島の戦いは日本軍死者2万余(ほぼ全滅)
アメリカ軍死者7千弱。

短期に陥落するといわれた島で1ヶ月以上にわたって死闘を繰り広げ、
栗林中将の戦死(このあたりは次作に期待)と組織的抵抗の終結後も、
日本軍残党によるゲリラ作戦(作戦と言えるほどのものかは疑問)により、
双方に悲惨な結果を招いた。

いまだに硫黄島は民間人の立ち入れない区域であり、
歴史的激戦地以上の重みを持っている。

戦争は善と悪との戦いではなく、誰も勝利者ではないこと。

この映画を単なる娯楽映画、エンターティメントにしてはいけないという、
監督のメッセージが聞こえてくるようだ。

 

 


 

 ナチョ・リブレ 覆面の神様  

主人公のイグナシオ(あだ名はナチョ、ジャック・ブラック)は孤児で、
今は教会で孤児の世話をしている食事係ではあるが、
教会にはお金がなく、子供たちに満足なものが食べさせられない。

教会に赴任してきたシスター・エンカルナシオン(アナ・デ・ラ・レグエラ)
に一目ぼれするが、所詮は高嶺の花。
彼女は、ペネロペ・クルスにハセキョーを混ぜたような美人。
初めて見たが、メキシコでは人気があるらしい。

ナチョは、改造リヤカー3輪バイクで今日も食材を集める途中、
野生児のようなやせ男に施しのチップを奪われる。
食材がなく、残飯のような食事を出し、叱られて教会を飛び出す。

町で、ルチャ・リブレ(アマチュアのプロレス大会)のポスターを見て、
チップスを餌にあのやせ男を捕まえ、何とか説得して大会に出る。

結果は惨敗だが、面白いということで金ももらえたし、次の試合も出られる。
ナチョは、賞金で自分も贅沢はするが、ちゃんと子供たちにいい給食を出す。

ナチョは何とかプロになりたい、勝ちたいと願うが、教会ではプロレスは禁止、
それでも、やせ男(ヘクター・ヒメネス)と一緒に、
ラムセス(セサール・ゴンザレス、本物のプロレスラー)のパーティにもぐりこんで、、、

**

コメディですが、ハチャメチャドタバタというほどでもない。
ジャック・ブラックの顔芸が面白い。

ジャック・ブラックは「スクール・オブ・ロック」のいんちき教師。
「ENVY(隣のリッチマン)」の金儲けに成功する男、
「キング・コング」の映画監督など。

タイガーマスクの原形ともいわれる実話を基にして書かれた作品だが、
そんなにうまくいくかよ、ってなところもある。
というかそればっかしだが、まあ、コメディですから。

途中、ちょい役でピーター・ストーメアが出ている。
「アルマゲドン」で変なロシア人宇宙飛行士、
「コンスタンティン」で最後に出てくるデビル、
このほか、ジュラシック・パーク2、バッドボーイズ2にも出てます。
 

 

 


 

  ウエディング・クラッシャーズ  

日本未公開のコメディ。
4千万ドルと比較的安い制作費ですが、アメリカでは2億ドル超売りました。

オーウェン・ウィルソン、ビンス・ボーン、クリストファー・ウォーケン、レイチェル・マクアダムスほか。

オーウェン・ウィルソンは、ベン・スティラーとの「スタスキー&ハッチ」(これも未公開)など。
ビンス・ボーンは、「ジュラシック・パーク/ロスト・ワールド」「Mr&Mrsスミス」など。

クリストファー・ウォーケンは、大御所だが、コメディにもよく出てる。
「Envy」(隣のリッチマン)
「Man on Fire」(マイ・ボディガード)
「Click」(もしも昨日が選べたら)
とどういうわけか、邦題には恵まれない。

ウェディング・クラッシャーとは、結婚式を壊すわけではなく、
CRASH(クラッシュ)は、招待もされていないのにパーティなどに押しかけること。
字幕では、 結婚式「荒らし」となっていましたが、ご祝儀泥棒ではありません、念のため。

ジョン(オーウェン・ウィルソン)とジェレミー(ビンス・ボーン)は離婚調停が仕事。

そんな彼らに待望の結婚式シーズンがやってきた。

彼らは、ウェディング・クラッシャー。
招待もされないのに結婚式に押しかけ、ただ酒、ただ飯、そして式場に来ている女を引っ掛けるのが目的。

まずは、ユダヤ人の結婚式。キッパ(頭に載せる小さな帽子)を被り、ユダヤ人ぽい名を名乗り潜入。
イタリア系の結婚式ではイタリアっぽい名前、アイルランド系ではまたそれらしい名前。

経歴も嘘、どの親戚のどういう血縁かも嘘(一応調べておいてつじつまは合わせる)
飲んで食って踊って喋って、ついでに女性もものにする。

こうしてシーズンの間、散々遊びまくった2人だった。

ひとしきり、「荒らし」が終わったあとの余韻の中、ジェレミーが大仕事を持ち込んでくる。
クリアリー国務長官(クリストファー・ウォーケン)の3人娘の一人、クリスティーナの結婚式に乗り込むのだ。

ジョンは、クリスティーナの妹、クレア(レイチェル・マクアダムス)
ジェレミーは、もう一人の妹、グロリアがターゲットだ。

二人の作戦は順調に進行しているかに見えたが、クレアには恋人サック(ブラッドリー・クーパー)がいたし、
大嘘がうまくいって、ジェレミーが海岸でやっちまったグロリアはなんと処女だった。

焦るジェレミーをよそに、グロリアは舞い上がり、ジョンとジェレミーを上院議員の家に誘うのだった。

何とかクレアをものにしたいジョンと、何とかグロリアから逃げたいジェレミー。
奇人変人ぞろいのクリアリー一家。

物語は思わぬ方向へ進んでいく。

コメディで、最終的には感動のハッピーエンドというわけで、筋書きはあまりひねりがない。
でも大いに笑って見れる映画でした。

特にクリアリー長官の一家。
口汚いばあさん。
色気たっぷりの長官の妻。
引きこもりでホモの息子トッド。
淫乱女と化した娘のグロリア。
そして、マリッジ・ブルーのクレア。

クリアリー長官の妻、キャサリン。
どっかで見たことのある熟年美人、エンド・クレジットを見て驚いた。
ジェーン・シーモアじゃないですか。

「007死ぬのはやつらだ」のボンド・ガールであり、
クリストファー・リーブとの共演で、私が唯一絶賛するラブ・ストーリー「ある日どこかで」の主人公。
一般的にはドクター・クィンのほうが有名かも。

オーウェン・ウィルソンは180センチある。
小さいように見えるのはビンス・ボーンが196センチと大きすぎるから。
字幕にはなかったが、台詞でも6フィート5インチと言っていた。

長台詞を早口言葉のようにまくし立て、芝居もあんなにうまいとは思わなかった。

最後のほうで、ジェレミーの後釜に、チャズという役が出てくるが、これがなんとウィル・フェレル。
191センチ(6フィート3インチ)とこれまた大男で、「エルフ」でブレイク。
プロデューサーズ」「奥様は魔女」でも目立つ役柄だった。

ちょっと台詞は下品だが、これだけ面白いのにどうして日本未公開だったんでしょう、不思議です。

 

 


 

 アタゴオルは猫の森    

ますむらひろし原作の漫画を3DCGアニメ化。

声:山寺宏一、平山あや、谷啓、石井竜也、佐野史郎、夏木マリ。

アタゴオルの森は、年に一度のお祭り。

タツヤ(石井竜也、見たまんま、すぐわかる)のMCでステージが進んでいく。
(ヒデヨシのブルースブラザーズばりの動きが面白い)

ヒデヨシ(山寺宏一)がいつものように騒ぎを起こして、なにやら怪しげな石棺を開けてしまう。

中から現れた花の女王ピレア(夏木マリ)は、美しい歌声で人々をとりこにする。

一方、ヒデヨシは、木の実から生まれた「輝彦宮」(かがやきひこのみや)に父と慕われ、
ヒデコ(小桜エツ子)と名づけて一緒に連れて歩く。

アオタゴルでは、みんながピレアの魔力で花になり、その歌声に酔いしれている。

みんなを元に戻すため、ヒデヨシとヒデコ、不思議な猫ギルバルス(田辺誠一)、
それに人間のテンプラ(内田朝陽)ツキミ姫(平山あや)はピレアの木に向かうのだった。

うーん、筋は他愛もないし、時間を端折っているからどんどんストーリーが進んでしまうのだが、
まずまず判りやすいし、変な御託がないから大いに結構。

残虐なシーンもないし、お下劣なものもない。

じゃあ、完全に子供向きかというと、絵がきれい音楽がいい、声優陣も良いから大人の鑑賞にも耐える。

大半はモーション・ピクチャーによる映像と思われるが、
表情や体の動きもものすごく自然で猫が人間の動きをやっているのに違和感無し。
飛んだり跳ねたりひっくり返ったりもごくごく自然でした。

なにより、口の動きが台詞とぴったり、喋るときにチラッと歯も見えてとても自然。

 

 


 

  16ブロック  

ブルース・ウィルスがニューヨークのダメ刑事に扮して、証人の護送でトラブルに巻き込まれる。

チラシに「NY市警を敵に回した」とあるので、警察対警察の争い、
ちょうど「アサルト13 要塞警察」のようなシチュエーションであると想像される。

ブルース・ウィルス、モス・デフ、デヴィッド・モース。

モス・デフは「ミニミニ大作戦」(この邦題も何とかならんかね)「銀河ヒッチハイクガイド」

デヴィッド・モースは「12モンキーズ」「コンタクト」(ジョディ・フォスターの父役)

ブルース・ウィルスは、NYPD(ニューヨーク市警)のダメ刑事。
事件現場の現状確保に呼び出され、酒を飲んで新聞を読んでいるようなやつ。

脚も悪く、腹も出ていて、いつも酔っ払っていてまともな仕事は期待できそうもない。

そんなブルース・ウィルスに証人(モス・デフ)を裁判所まで送る仕事が回ってきた。
担当予定の刑事が間に合わず、夜勤明けで帰ろうとするブルース・ウィルスが無理やり押し付けられたのだ。

裁判所までは1.6キロ。

渋滞の中、路駐して酒を買おうとするブルース・ウィルス。
その隙に後から来た車から降りた男が、後部座席の証人に向け銃を構えた。

一人は射殺したものの、モス・デフを連れて知り合いのバーに逃げ込むと、そこへ応援の刑事がやってくる。
しかし、そのうちの一人を見たモス・デフはとたんに黙りこくり、刑事たちはモス・デフを殺そうとする。

モス・デフは悪徳警官の悪事の証人だった。

ブルース・ウィルスはモス・デフを連れて逃げ、刑事たちとの戦いが始まる。

果たして、所定の時間までに裁判所へ無事にたどり着けるだろうか。

シチュエーションは「アサルト13 要塞警察」+「ザ・センチネル」といったところだろうか。

なかなか緊迫感のある展開。

限られた時間(今回は大陪審の終了時刻迄の2時間弱)の中で、
徐々に追い詰められ、どんどん状況が不利になっていく。

このピンチをどう逃れるか、それを逃れてもまた新たなピンチが襲い掛かる。

あっと驚く、というほどではないが、最後は思わぬ展開。

 

 


 

  フレディ・マーキュリー 人生と歌を愛した男  

クィーン(QUEEN)のボーカル、フレディ・マーキュリー。

1946年に生まれ、奇抜なコスチュームと突飛なパフォーマンス、そして抜群の歌唱力で、一世を風靡し、
1991年、エイズによる感染症で死亡。

その一生を綴るドキュメンタリー。

母や弟や妹やクィーンのメンバーや、同棲していた彼女や彼氏がフレディについて語る。
本人の映像もある。

イギリス領(当時)タンザニアのザンジバルに生まれ、インドのボンベイ(現在のムンバイ)に移り、
政変でイギリスに移った。

本名はファルーク・バルサラ。
子供の頃から「フレディ」と呼ばれていた。

才能に恵まれ、絵にもデザインにも長けていた。

もともとミュージシャンを目指していたわけではないが、ファンだったグループに入って頭角を現し、
クィーンのボーカルとして活動。

突然、俺はマーキュリー(水星、ローマ神話の守護神)の子供だと言い出し、以降フレディ・マーキュリーと名乗る。

若い頃はロン毛だったが、後年は短い髪型になり、王冠とマントで登場したり、上半身裸にジャケットなど、
パフォーマンスが特筆される。

しかし、歌唱力には優れたものがあり、オペラ歌手のカバリエとのジョイント・コンサートは有名。

1980年代後半にHIVに感染し発症。

1991年には急激に衰弱し、11月の死の直前にエイズであることを公表した。

実は、この映画、生誕60周年を記念して発売された「Lover Of Life, Singer Of Songs」
と言うDVDの中に収められた
「The Untold Story」と言うドキュメンタリー。

実際に起こったことを(子供時代は子役で再現だが)実写とインタビューで展開していくが、
最後はフレディ・マーキュリーが死ぬことも判っているので、悲しかった。
 

 

 


 

  アダム−神の使い 悪魔の子−  

ロバート・デ・ニーロ、グレッグ・キニア、レベッカ・ローミン=ステイモス、キャメロン・ブライト。

キャメロン・ブライトをご存知か。
ミラ・ジョボビッチの「ウルトラ・ヴァイオレット」、オールスターの「X−MENファイナルデシジョン」
では似たような役回りで、うまいのか下手なのかさっぱりわからんかった。

ニコール・キッドマンの「記憶の棘」にも出てるし、最近立て続けに公開されているが、
実は「アダム」「記憶の棘」は2004年、「ウルトラ・ヴァイオレット」「X−MEN3」は2006年。
「サンキュー・スモーキング」は2005年の公開映画。

都会で暮らすポール(グレッグ・キニア)とジェシー(レベッカ・ローミン)のダンカン夫妻。
一人息子アダム(キャメロン・ブライト)はちょうど8歳。

誕生日の翌日、ジェシーと買い物に出たアダムは、車にはねられて死んでしまう。

アダム埋葬の日、悲しみにくれる夫妻の前に、リチャード・ウェルズ(ロバート・デ・ニーロ)が現れる。

リチャードは、アダムのクローンを作ることを提案、
夫妻は悩んだ末、クローンによるアダム再生を決意する。

クローンは成功、新アダムが誕生する。

アダムは順調に育ち、また8歳の誕生日を迎えることができた。

しかし、アダムは悪夢を見るようになり、時々性格が変わったような態度をとることが多くなった。
徐々に凶悪な一面を見せるアダムと異変におののく夫妻。

アダムの夢に現れる少年は誰か。
事の真相をリチャードは知っているのだろうか。

事は驚愕の結末へと展開していく。

ロバート・デ・ニーロもうまいけど、グレッグ・キニアもうまかった。
レベッカ・ローミンもよかったけど、両親とも必死なのがよかった。

母親だけが必死でわめきたてる映画はなんか白々しいので。

なお、レベッカ・ローミン=ステイモスは、この後2005年にジョン・ステイモスと離婚し、
「X−MEN3」では、レベッカ・ローミンとクレジットされている。
「X−MEN3」では一瞬裸体が映ったミスティークを演じている。

キャメロン・ブライトは、子供らしい笑顔と無表情で冷たい視線、それにどこか怪しいつくり笑顔。
こちらがそう見るからかもしれないが、裏表のある役がぴたりはまっていた。

おそらくこの映画での役作りの成功を受けて、
「記憶の棘」「ウルトラ・ヴァイオレット」「X−MEN3」にキャスティングされたと思う。
しかし、後の2作では、感情のない演技が「ただの下手な子役」に見えてその真価は判らない。
(「記憶の棘」は未見)

映画自体は興行的には失敗(制作費30億、アメリカ国内で16億、世界全体で35億の興収)で、
ロバート・デ・ニーロは、「ハイド・アンド・シーク」に向かったと思われる。

「ハイド・アンド・シーク」は、アメリカで60億、世界全体で145億の興収。
出来は「アダム」よりずっと落ちると思うが、さすが、ダコタ・ファニング、と言うところか。

 

 


 

 ザ・センチネル 陰謀の星条旗  

何が「陰謀の星条旗」なのかさっぱりわからん。
副題は内容と関係なくイメージでつけたものと思われる。



冒頭は、レーガン大統領が1981年に銃撃されたときの映像。
この時、果敢にも大統領の前に身を挺し、自らは死んだ大統領警護官がモデル。

マイケル・ダグラス扮する大統領警護官、ピート・ギャリソンはレーガン大統領銃撃事件で負傷し、
そのおかげでいまだに警護官をやっている。
現在は大統領夫人=ファーストレディ、サラ・バレンタイン(キム・ベイジンガー)の担当。

シークレット・サービスの大統領と大統領婦人の警護の様子が、ドキュメント風に紹介される。

かつての同僚で親友だったデビッド・ブリッケンリッジ(キーファー・サザーランド)は捜査官、
どういうわけか(あとでわかる)ピートと反目しあっている。

ピートはいつものように出勤するが、同僚のメリウェザーからあとで内緒の話があると言われる。
しかし、メリウェザーは話をする前に自宅の玄関前で何者かに射殺されてしまう。

また、ピートは垂れ込み屋から「シークレット・サービスに内通者がいて大統領暗殺を企てている」ことを知る。

シークレット・サービスのチーフは、早速、デビッドをチーフとして内通者の捜査に入る。

ピートは大統領夫人と不倫関係にあり、それを暴露する手紙と接触場所を示すメモが届く。
行った先に相手は現れないが、そこは麻薬密売組織の連絡場所だった。

そうこうするうち、大統領専用ヘリがミサイルで爆破される事件が起こる。

ピートは嘘発見器でも(不倫を隠しているため)不審の兆候が出て、内通者だと疑われる。

ピートは意を決して逃亡するが、何も持っていないピートがどうやって謎を解き真犯人に迫っていくか。
デビッドはどうやってかつての同僚の先を読み、容疑者として身柄を確保するか。

ピートは身の潔白を証明できるのか、内通者は誰か、そして、大統領暗殺計画は阻止できるのか。

物語は緊迫の展開を見せる。

まずまずの緊迫感で進んでいくが、ところどころ穴あり。

まずは、不倫現場の写真が送られてきたときのメモ。
指紋は消してあるにしても手書きのメモはまずいでしょう。
重要な手がかりになりますし、もしピートが不倫を白状してしまえば、やぶへびです。

それから犯人一味の一人を射殺したのもまずい。
ピートなら殺さずに傷つけることもできたはずです。

死体やパスポート、金、武器などを捜査員に発見させるためとはいえ、
アパートに放置していくのはまずいでしょう。
証拠隠滅を防ぐために誰かに死体を見せる(例えば窓から道路に落とす)必要があったかもしれません。

また一味は、あんな短時間に死体を隠し、証拠品や指紋まで消すほど手早いし、
車列Bの経路で待ち伏せをあっさり計画変更するほど用意周到(プランBを用意していた)なのに、
詰めが甘いと言わざるを得ません。

そのほかにもあったかな。

一番の問題は、残党とはいえKGBを辞めた人間が何で合衆国大統領の命を狙うのか、
内通者がなんで暗殺計画にはまって行ったのか。
このあたりが釈然としない。

字幕は戸田奈津子。
"My buddy" は「親友」より「相棒」のほうがいいなあ。

 

 


 

 7セカンズ  

珍しくあらかじめストーリー紹介を読んでいったのだが、完全に取り違えていた。
というか、出だしの部分は少しトリックが複雑なので、多少ネタばれになるが、整理して書いておきたい。



冒頭は、ウィズリー・スナイプス扮するジャック・タリバーと美女スーザのベッドシーン。
タリバーとスーザはこれから現金強奪に行くところだった。
ここまでは単なる伏線。

さて、ここからは、設定を正確に理解したい人のために書く。


*ネタばれここから*


ターゲットは、警備会社の輸送車。

3台のワンボックスに分乗したタリバーの一味は、
カジノの売り上げを満載した輸送車のうち同時に3箇所で3台を襲う。

プラスチック爆弾で護送車のドアを吹き飛ばそうとするが起爆に失敗。
タリバーの一味は輸送は破壊を諦めて、現場を離脱する。

後にプラ爆弾は粘土で、爆破失敗はタリバー一味のトリックだったことが判る。

警備会社は直ちに警察に連絡するとともに、輸送中の14台の輸送車を全て自社ビルに移動させ、
中身(現金)を倉庫に納める。

警備会社では内通者を予想し、全乗務員を会議室に入れるが、
実は先のスーザがあらかじめドライバーとしてもぐりこんでおり、
会議室を封鎖、モニター監視室も制圧する。

タリバーはあらかじめ用意していた偽の輸送車に乗り込み、
警備会社のビルにやすやすと進入、倉庫から2千万ドルを強奪する。

脱出しようとした際、一台の輸送車に護衛(プロの運び人)がいることに気づき、
護衛を気絶させ、金属のアタッシュケースを強奪する。

こうして、タリバー一味は2千万ドルと、何かの入ったアタッシュケースを手に、警備会社を後にする。

しかし、逃走途中、機関銃で武装した一味に襲われる。
反撃しようとしたところ、こちらの銃は全て空砲。

仲間のうち、スーザは敵に捕まり、タリバーとスパンキーは逃げられたものの、
他の仲間は後で重要な意味を持つブルをはじめ全員が射殺されてしまう。

タリバーはアタッシュケースを持って警察と待ち伏せ一味の両方に追われる。

たまたま逃走経路の喫茶店にいたケリー・アンダース軍曹(女)を巻き込んでケリーの車で逃亡する。

ケリーは待ち伏せ一味に撃たれそうになったところを助けられたことから、
タリバーがただの強盗殺人犯ではないと思って調べ始める。

このほかに主要なキャストは、プロの運び屋を雇った美術品収集家、
待ち伏せ一味の親分、彼らに殺されたブルの兄貴でナイトクラブオーナ。

こうしていろいろな奴らに追われるタリバーが危機をどうやって回避するか、
果たしてアタッシュケースの中身とそれに隠された秘密は何なのか、
と物語が進んでいく。


*ネタばれここまで*


毎度カーチェイスで気になるのが同じはずの車がどんどん変わること。
今回もまた製作側はドアミラーの自動復活には無頓着のようだ。

最初のパトカーとの接触でドアミラーがもげ、火花を散らして落ちるシーンをやっているのに、
次のシーンでは復活し、折れたままだったり、ちゃんとついていたり。

この車はぼこぼこのまま、最後のほうまで登場するので、ドアミラーは良く見ておいてほしい。

またあんだけぼこぼこになって逃げているのに、公園で急停車するシーンでは、ドアのへこみは直っていた。
かなり最初に撮ったと思われる。

95分という短い時間だが、タリバーとケリーの2つの展開をうまく見せていた。
ただ、ケリーの調査でかなり事件の核心に迫るのに、
タリバーに教えないで最後まで持たせるのはちょっと無理があった。

おかげで最後にも危機一髪の状態に陥る。

その前のあそこでタリバーに教えておかなきゃ、というかケリー気付けよ。

最後に、何が7秒なのかは最後までわからずじまい。

 

 


 

 フラガール   

映画は昭和40年代、
石炭から石油へとエネルギーが移り行く時代で、炭鉱不況にあえぐ常磐炭鉱が
閉山の受け皿として設立した、「常磐ハワイアンセンター」初代のフラダンスチームの物語。

集まった女性は踊りといえば盆踊りのど素人たち。
周りはフラダンスとストリップの区別もつかない炭鉱で働く人たち、
ハワイアンセンターは炭鉱つぶしだとののしられ、反対される。
落盤事故でメンバーの親族の不幸、親の解雇で別の炭鉱に移る者、
教えてくれるプロのダンサーは訳あり、と数々の苦難を乗り越えて、
オープンの日、果たして元素人集団のフラダンスチームは、
見事プロとして舞台を勤めることができるだろうか。

常磐ハワイアンセンター、今のスパリゾートハワイアンズの誕生秘話、
と言ったところだから、泣かせる台詞も笑わせるシーンもあるけれど、
お分かりのように特段のひねりもどんでん返しもない。

まあ、それはそれでいいんじゃないの。

「男は文字通り泥にまみれて働き、女は家庭を守る」時代、
「自立を目指してがんばり、美しく輝きたい女性たち」がいかにして、
輝きを放ち始めるかの物語だから、特に女性には共感を得られると思うよ。

終ったあとの隣の席の二人の会話。
「あたし、泣いちゃった。」
「うんうん、あたしも。」

主なキャスト。
東京から来た訳ありのプロダンサー平山まどか、松雪泰子。
最初に集まった4人の一人で初代チームのリーダー紀美子、蒼井優。
その4人の一人でブキッチョな大柄娘、山崎静代。

古い考えに固執し、へらずぐちを聞きながらも、
若い女性たちを応援する炭鉱夫で紀美子の兄、豊川悦司。
兄妹の母、富司純子。

最初の4人の一人で家庭の事情でチームを抜ける早苗、徳永えり。
その父、高橋克実。

ハワイアンセンターの部長でダンスチームの責任者、岸部一徳。

そうそう、最初の4人を3人紹介したので4人目も紹介しておく。
4人目は子持ちの庶務係、池津祥子。

3ヶ月の猛特訓、とはいえたった3ヶ月であそこまでできるか?と思えるほど
俳優連のフラダンスも見事に決まっているが、本物?と思わせる人も多い。
本当に本物なんじゃないか。

皆さん、いわき訛りがお見事で、ところどころ台詞の意味不明箇所あり。
しずちゃんのいわき訛りはいけてませんが、台詞は少ないので違和感少なし。
ただ、でかい。

 

 


 

  デトネーター  

映画はウィズリー・スナイプスが、元特殊部隊だったかで元CIAで、
いまは国土セキュリティだったかなんかの職員で、
本来はアメリカ本土の事件を扱う部署なのに、
CIAよろしく海外で悪を退治する物語。舞台はルーマニア、スナイプスは武器密輸の囮捜査に
あと一歩で失敗し、容疑者のほとんどを射殺してしまい、地元警察に逮捕される。
(ポーランドと書いている記事もあるが、ルーマニアが正しい)

CIAの友人や現地のCIA支部長に解放してもらうが厄介者扱い。
旦那を殺した容疑の美女ナディア(シルビア・コロカ)をNYへ護送する役目を言い渡される。
体のいい厄介払い。

しかし、このナディアは武器密輸一味の親玉と絡んでいる上に、
スナイプスとナディアの行動がことごとく一味にばれて、内通者の存在をうかがわせる。
また、ナディアも単に旦那殺しだけでなく何かを隠している。

果たして、護送はうまくいくのか、内通者は誰?ナディアの秘密とは?



細かな点で「?」の部分もあるが、まずまず面白い。
大きなひねりはないにしても、誰が裏切者かは最後まで判りません。

ウィズリー・スナイプスはかっこいい。
ラストは書けませんが、ちょっと都合良くしすぎ。
まあ、あれはあれでいいかも。

シルビア・コロカはすごい美人です。めちゃくちゃ鼻が高い。
流暢な英語とイタリア語をしゃべるらしいがイタリア人か。
とすれば、イタリアにはモニカ・ベルッチといい、すんごい美人がいますな。

役では、ロシア人だが、本当にロシア人なら、ナディア・コミンスキではなく、
ナディア・コミンスカヤではないのか。

彼女、ヴァン・ヘルシングに出ていたらしいが気がつかなかった。
ヴァンパイアの一人かな?あとで確認しとこう。

そうそう、カーチェイスもなかなかいけているんですが、ひとつだけ苦言を呈しておく。

カーチェイスでは、たいてい無茶な運転でぶつけるわけで、
車体がぼこぼこになり、ミラーがもげたりする。
ところが次のシーンではちゃんと両方のミラーが付いている。
こりゃおかしい。
ミラーの有無は目立つよ。
今回はスナイプスの乗る車の右のサイドミラーに注目。
一瞬、ヨーロッパでよくある右ミラーのない仕様かと思ったくらい。

この「間違い」、この映画に限らずよくあることなので、
彼らは意外と気にしてないのかもね。

 

 


 

 

 

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