2020/01-03鑑賞
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2020年の累計:7(0)[2] 本 ( )は試写会
[ ]は邦画
1−3月期:7(0)[2]本 、4−6月期:0(0)[0]本、7−9月期:0(0)[0]本、10−12月期:0(0)[0]本  
1月:3(0)[0]本、2月:2(0)[1]本、3月:2(0)[1]本    (本数は同時上映の短編を除く)  
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 一度死んでみた    

堤真一、広瀬すず、成田亮、木村多江、小澤征悦、リリー・フランキー、松田翔太、島田久作、妻夫木聡

製薬会社社長の野畑計(堤真一)、一人娘の七瀬(広瀬すず)を化学大好き少女に育て上げ、
自身の経営する野畑製薬に入れて後を継がせたいと考えていた。

しかし、研究に没頭するあまり、瀕死の妻、百合子(木村多江)の病床には行かず、七瀬の見守る中で百合子は死んでしまい、
野畑計は自分の妻よりも仕事を優先する男として娘七瀬に嫌われてしまった。

七瀬はデスメタルバンド「魂ズ」を結成し、ボーカルとしてデス、デス、デス、デス叫び、「一度死んでくれ」と歌い上げる。
そんな七瀬をフロアから見守る男、松岡卓(吉沢亮)がいた。
松岡に気づかずぶつかった男は布袋(大友康平)と名乗る音楽プロデューサーは「魂ズ」なのに「魂」が入ってないと酷評する。
「魂ズ」の追っかけオタクグループ(加藤諒ら)に目をつけられた松岡は、お宅の飲み会に突き合わされ「クスリをやるやばい人」と
思われ、酔って暴れ、オタクを手下にする。

12/25。
野畑社長が死んだとの連絡が七瀬に入り、七瀬は亡き父と対面するため、野畑製薬に向かう。

話は2日前にさかのぼる。

そのころ、野畑製薬は資金難に苦しんでおり、経営コンサルタントの渡部(小澤征悦)を雇い財政立て直し中。
ライバル製薬会社のワトソン製薬の田辺社長(島田久作)からの提携の申し出を断っていた。

しかし、研究を続けている若返り役「ロミオ」を逆にワトソン製薬が開発しているというニュースが流れ、
その内容から会社内部のスパイの存在に気づく。

野畑計は、「魂ズ」のライブを見に行った社内でも存在感の薄い松岡に七瀬の見張りをするよう命令していたのだった。
松岡からの報告を聞いていた野畑計は、渡部が社長室に来た時にロッカーに隠れ、狭い中で白衣に着替える特技を見せた。

野畑計は松岡を研究室に案内、社内でじいさんと呼ばれている研究員の藤井(松田翔太)は「ロミオは未完成」研究過程で
「2日間だけ死んじゃう」薬、ジュリエットの開発に成功したと告げる。
そして疲れたと言って、その薬を飲んで研究室にこもってしまう。

松岡が社長室に野畑を訪ねたとき、野畑は部屋を空けていた。
野畑の戻る物音でついロッカーに隠れた松岡は、野畑と渡部のやり取りを聞いてしまう。

渡部は社長がジュリエットを服用して死を偽装すれば、ワトソン製薬との提携を言い出す者が出るだろう。
それがスパイと断言し、暇を与えず野畑計にジュリエットを服用させる。

渡部は社長が死ぬ前に、と書類にサインさせ、「ロミオ」のデータのありかを訪ねる。
野畑は「データはすべてノートにある」「その場所は妻に聞け」と言い残して死んでしまう。

野畑は空中から自分の死体を見ていると、あの世の案内人、火野(リリー・フランキー)がやって来て、
嫌がる野畑計を無理やり三途の川へ連れていく。

ボートで川を渡っていくと向こう岸に亡き妻百合子が現れ、野畑計にまだ死なないでと懇願する。
野畑計は暴れ、案内人火野はいやいやボートをこの世の岸に戻す。

ここで七瀬が父の会社に駆け付けたところに戻る。
役員会議で、渡部は野畑計の遺言書を取り出し、次期社長は娘の七瀬とし、ワトソン製薬との合併を持ち出す。
しかし、役員は「社長は嫌がってた」と言ってまともに議論せず、役員会は散会する。

松岡は七瀬を社長の遺体のある社食に連れていく。
野畑計は亡霊となって現れるが、七瀬には亡霊が見える。
臭い、と言って消臭剤を巻くと亡霊は消える。

松岡が口ごもったのを見て何かを隠していると思った七瀬は亡霊が松岡に取り付きそうだと嘘をつき、
「2日間だけ死んじゃう薬」のことを知る。

一方、渡部はロミオのデータを見つけられず、田辺からの指令で野畑計を火葬してしまうよう指示する。
渡部は告別式をせずすぐ荼毘に付すとして、火葬場の予定をジュリエット服用後の27日、午後2時より早い、午後1時に設定する。

当初は死んでしまえと思っていた七瀬も生き返らせて罵倒する気持ちになり、松岡とともに仮装を遅らせる手に出る。
役員会議でウソ泣きで告別式がしたいと訴え、役員の同意を取り付ける。

田辺は告別式をさせないために会場を全て押さえる。
しかし、郷ひろみのクリスマスディナーショウが中止になったことを思い出し、会場のクラウンホテルに向かい、
告別式をデスメタルのライフミサとの嘘で支配人(妻夫木聡)を説得、予約に成功する。

田辺は告別式阻止のために即日配達の棺桶を買い占めるが、「魂ズ」のライブ用棺桶で準備が整う。
死に装束は野畑計の大事にしていた宇宙服。
本物の告別式ではないかと訝しがる支配人をごまかしつつ、準備を進めるが、渡部は告別式を午前11時に変更し出棺を早めることに。

「使用上の注意」がごみ箱に捨てられたのを思いだいた松岡は社長室に戻り、ごみ箱から「使用上の注意」を見つける。
そしてその裏に困ったときはノートを見よとあるのを見つけ、野畑計の最後の言葉「妻に聞け」を思い出す。
自宅の仏壇には妻のホログラム動画がいつものように「ここよ、ここよ」と言いながら踊っていた。
ここよ、と言われても、といいつつ松岡がホログラムの装置を持ち上げると、そこに隠しスイッチが。
スイッチを押すとキーボードが現れ、パスワードを要求する。
「パスワードは一番大事なもの」と聞いていた松岡はいろいろ試すがNG。

ふと、野畑七瀬(のばだななせ、NOBATA NANASE)って元素記号みたいだとつぶやく。
七瀬は、パスワードがNOBATANANASEの原子番号の数列だと気づき、ついに扉があきノートが手に入った。

そこには、百合子の死の直前まで治療薬を開発しようとしていた野畑計の独白が載っていた。
しかし、薬は間に合わず、死に目にも会えず、野畑計の思いは成し遂げられず、後悔の念だけが残ったとあった。

そして、予定より早く目覚めさせるには電気ショックを与えればよい、とあり、電圧と短縮時間表が載っていた。
野畑計を生き返らせるため焦って会場に向かう七瀬と松岡。
渡部は二人がホテルに入るのを阻止しようと狙っていた。

会場にはワトソン製薬の田辺社長、生き返った研究員の藤井らも着いていた。
お別れには野畑計の知人たちが花を棺に入れ、宇宙飛行士の野口聡一は宇宙服のヘルメットを入れた。

松岡は、飲み屋で手下にしたオタクらに連絡、ライブミサの会場に5分で来いと指示する。
告別式を早く終わらせ、ワトソン製薬との合併を発表しようとする渡部。
報道陣とともにオタクがなだれ込み、そのすきに七瀬も入りライブを行う。
魂のこもった熱唱に音楽プロデューサーの布袋も感動する。
松岡は静電気で野畑計に電気ショックを与えるが生き返りに間に合わず、渡部は告別式終了を宣言し、
棺を釘打ちして、直ちに出棺する。

自転車で追う七瀬。
火葬場には間一髪間に合わず、棺桶は火葬炉に入れられ点火されてしまった。

暫くすると火葬炉の中から打音が聞こえ、開けると宇宙服に身を包んだ野畑計が現れた。
特技で狭い棺の中でヘルメットを装着していた。
父と娘の感動の再会。

しかし、渡部は再び野畑計の遺言として「その場にいる最年長者の意見に従う」文言を示し、
田辺社長が合併を宣言しようとしたら、藤井研究員がしゃしゃり出て自分は80歳だと告げる。
じいさんはあだ名ではなく本当にじいさんで、かつ「ロミオ」の開発には成功、自分に試していたのだった。

七瀬は新社長としてロミオデータの破棄を明言し、データノートは火葬炉に放り込まれ焼失した。

七瀬は改めて野畑製薬に入社することにした。
松岡との仲も進展しハッピー・エンドとなった。

**

話の中身はかなり適当だが、実に面白かった。
「原作小説が云々」と書いている人もいるが、澤本義光のオリジナル脚本で、小説はノベライズしたもの。

公式ホームページをはじめとして映画サイトの多くが「仮死状態」と書いている。
「仮死状態」なら死んでないじゃないか、と思ったのは私だけか。

実際には「死んだ」と判定された人物が後に「生き返る」ことはあるようだが、死人を生き返らせるのは
「アラジン」のジーニーでも不可能なので、「生き返った」のではなく「死んだと思ったのが間違い」で、
「死んでいなかったが、死んだと判断してもおかしくない状態」=>「仮死状態」ということらしい。

それはともかく、書ききれないほどのちょい役多し。
少し多めの出番だったでんでんのほか、木村多江の葬式の僧侶は竹中直人。
城田優、原日出子、佐藤健、古田新太、志尊淳、池田エライザ、柄本時生、真鍋かおりなどなど。
宇宙飛行士の野口聡一はにぎやかし出演かと思ったら伏線だった。

他にも「じいさん」「ロッカー」などの伏線はきれいに回収されて小気味よかった。

さて、実際に遺体を火葬する場合、市町村などに「死亡診断書」を提出して「火葬許可書」をもらう。
これを火葬場に提出し「火葬済」で「埋葬許可書」になる、だったはずで、自分で手続きしたのがもう何年も前だったからうろ覚え。
思い出して整理し、書き留めておく時期になったかもしれない。

ひとつ気になったのが宇宙服。
コメディ映画なので許されるけど、そもそも宇宙服には火葬炉の高熱に耐えうる耐熱性はない。
火葬炉は最低でも800度以上と決められており、実際には千度を超えるらしい。
それに対し、宇宙服の耐熱はせいぜい200度。
もし千度に耐えられたらチャレンジャーの乗組員は爆発では死ななかったかもしれない。
(墜落死しただろうけど)

それと宇宙服とヘルメットは金具でカチッと嵌める仕組みで、あんなよれよれの首周りはまずい。
仮にヘルメットと宇宙服は熱に耐えられたとしても首から火が回る。

またいくら耐熱性能が優れていたとしても高熱であぶられて一切のすすや汚れが付かないのも違和感があった。
汚せない事情(宇宙服がどこからかの借りものだとか)があったのかも。

 

 

 
 1917   

監督サム・メンデス。

ジョージ・マッケイ、ディーン・チャールズ・チャップマン、コリン・ファース、ベネディクト・カンバーバッチ、マーク・ストロング。

1917/4/6。
木陰で休んでいたブレイク上等兵(ディーン・チャールズ・チャップマン)は、軍曹に起こされ、一人選んでついて来いと言われる。
ブレイクはすぐ横で休んでいたスコフィールド上等兵(ジョージ・マッケイ)を起こして一緒に軍曹についていく。

行った先には、エリンモア将軍(コリン・ファース)がいた。
将軍はドイツ軍の撤退に乗じてエクーストで突撃準備をしているD連隊に撤退を伝えるよう命令。
ドイツ軍の撤退は偽装で、イギリス軍を待ち伏せしていることが航空機の偵察によりわかっているが前線には伝わっていないと告げる。
D連隊にはブレイクの兄を含めて1600名余りが従軍している。

突撃までわずか2日。
指令書を携えたブレイクは嫌がるスコフィールドと一緒に塹壕を進み、前線へ向かう。
鉄条網の向こうが戦場。

前線の兵士は制止するが、兄を助けたいブレイクは無視して塹壕から出る。
鉄条網の隙間から先へ抜ける際、スコフィールドは左の手のひらを切る。

ドイツ兵の姿はなく、先へ進む二人。
撤退の際に砲身を破壊された大砲や空の薬莢が散乱するドイツ軍の陣地を抜け、塹壕に入る。
イギリス軍のそれよりもはるかに頑丈で立派な塹壕だが、先は行き止まり。
途中の洞穴に入るとベッドが揃えてあり、ここでも二人は設備に驚愕する。

食べ物を探して先へ行こうとしたとき、足元にワイヤートラップが仕掛けられているのをスコフィールドが気づいたが、
残飯を引っ張っていてドブネズミがトラップに引っ掛かり、爆弾が破裂、スコフィールドは生き埋めになる。

ブレイクが必死でスコフィールドを掻き出したが、洞穴が崩落し始める。
スコフィールドは埃を浴びて目が見えず、ブレイクにつかまりつつ逃げる。
何とかも外に出ることができ、目も洗い先に進む。
次の見つけたのは農家。
果樹の桜は花をつけたまますべて切り倒されていた。
母屋の中には誰もおらず食べ物もなかった。
納屋の向こうには牛がいて、牛乳の入った樽があった。
スコフィールドは少しのどを潤すと、ブレイクが地図を見てあの稜線の向こうがエクーストだと指をさす。

英軍機2機とドイツ軍機1機が空中戦を演じ、ドイツ軍機が被弾。
煙を上げながら、二人のいる納屋に突っ込んできて大破炎上した。
二人はドイツ軍パイロットを救い出した。

楽にしてやろうというスコフィールドに水を持ってくるよう指示したブレイクだが、その間にドイツ軍パイロットに刺されてしまう。
スコフィールドはドイツ兵を射殺。
ブレイクに駆け寄るもブレイクはほどなく死んでしまう。
スコフィールドはブレイクの指輪や階級章を外し、指令書をもって一人エクーストに向かう決意をする。
ただ、頼みの綱の地図はブレイクの血に染まり役に立たない。

ブレイクの遺体を引きずっていると、スミス大尉(マーク・ストロング)が近づいてきて部下に手伝わせる。
スミス大尉はスコフィールドの話を聞き、トラックに乗せていってやると言う。

スミス大尉の車列に加わったスコフィールド。
途中で泥にはまったトラックを何としても急ぐからと押し、その必死さにみんなも協力して脱出する。

やがて、トラックは川に近づいたが橋が壊されており迂回するという。
時間がないスコフィールドは舞台と別れて単独行動に移る。
壊れた橋げたを伝って川を超えようとしたら、川向こうの建物からの狙撃を受ける。
何発かの応酬の末、相手が応戦してこなくなったので、建物に入る。
しかし、傷ついたドイツ兵と鉢合わせし、互いに撃ち合ってスコフィールドはヘルメットに球を受けて階段から落ちる。

気が付いたときは夜になっていた。
先のドイツ兵は死んでいたが、目の前には燃える教会が。

スコフィールドが外に出るとドイツ兵がいて、応戦の末逃げて地下室に滑り込む。

そこには、フランス人女性がいて、エクーストは川の先にあると言う。
誰の子かもわからない赤ん坊の世話をしている女性にスコフィールドは持っていた食料と農家で手に入れたミルクを上げる。

女性が朝になるから危ないというのを振り切って外に出たスコフィールド。
案の定ドイツ兵に見つかって追われるが、川に飛び込んで難を逃れた。
激流に流されながらもなんとか流木に掴まって、大木に引っ掛かったところで岸に上がると、遠くから歌声が聞こえてきた。

英語の讃美歌と思われる歌声にひかれて先へ進むと大勢のイギリス兵が休んでいた。
聞けばD連隊だと言う。
しかし、彼らは第二波で前線は先だと言うので、スコフィールドは先を急ぐ。

そしてついに前線のD連隊に到達。
しかし、伝達相手のマッケンジー大佐の指令所はずっと先。
塹壕を行くうちに、ついに突撃が始まってしまう。

スコフィールドは塹壕を飛び出し、爆弾の降る中を指令所に急ぐ。
やっと着いた指令所だが、衛兵に止められる。
無理やり中に入り、中止命令を伝えるも聞いてもらえない。

スコフィールドは将軍からの指令書は読む義務があると叫び、マッケンジー大佐(ベネディクト・カンバーバッチ)は
指令書を受け取って読み、全軍に攻撃中止命令を出す。

命令を伝えたスコフィールドは、塹壕の外に出て救護所に向かう。
そしてついにブレイクの兄、ブレイク中尉を見つける。
スコフィールドの所属を聞き、トムが来ているのか、と聞く兄のジョセフ・ブレイクだが、
口ごもるスコフィールドの様子で全てを察した。

スコフィールドは、ブレイクの遺品をジョセフに渡し、約束通り彼の母に手紙を書きたいと言って承諾を得る。
そして、一人木陰に座り、この激動の2日間を思うのだった。

「全編ワンカット」というキャッチコピーに、いくらなんでもそれはないよ、と思ったのは私だけではあるまい。
高々2時間ほどの尺の中に2日間の出来事を入れるのだから、早回しでもしなければワンカットでできるはずがない。
カット割りがなく、場面が連続している、と言う意味ではワンカットに近いのかもしれないが、全編ワンカットと言われると、
どこで切り替わっているのか気になってしまう。

具体的には暗転する場面や、複数のキャストが全く映らないシーンがあり、そこで切り替え、後につないだと思われる。

従来からもワンカットに見せる映画はあり、リアルワンカットの映画も存在するようだ。
リアルワンカットとまではいかなくても長回し(ロングテイク)もよく使われる技法で、
最近では「バードマン」「トゥモローワールド」などがすごかった。

ただ、室内の撮影でワンカットに見せることに比べると、屋外撮影のそれは格段に難しく、これまでできなかったらしい。

さて、史実にどこまで忠実かどうかは別として、特命を帯びた兵が戦場を駆け抜ける臨場感、
徐々に危険度が増していく緊迫感などの盛り上げ方は見る者を圧倒する。

突然狙撃を受けたり、敵兵もバラバラにいたりとやや理解しづらい面もあるが、相手も取り残されたと思えばあり得るのかも。

予告では一人のシーンが使われているのでいずれ一人にはなると思っていたが、早々と単独行動になってしまうのは驚いた。

2人の兵役は初見。
周りにコリン・ファースやマーク・ストロング、ベネディクト・カンバーバッチといった有名どころを配していたので、
上下関係がリアルっぽく見えた。

 

 

 
  AI崩壊    

大沢たかお、松嶋菜々子、賀来賢人、岩田剛典、田牧そら、三浦友和、広瀬アリス、余貴美子。

 

海岸で車いすに座ってくつろぐ母、桐生望(松嶋菜々子)と父、桐生浩介(大沢たかお)が見守るのは、幼少の娘、心。
望は帽子をかぶっており、抗癌剤の影響で髪が抜け落ちていることがうかがえる。
 

望と浩介は同じ大学でAIの研究をしており、医療AIによって新薬の開発ができる可能性もあったが、
国の認可が下りず望は「いつかAIが多くの人の役に立つことを」願いつつ絶命する。
 

その後、医療AIは認可を受け、「のぞみ」の名を冠して望の弟、西村悟(賀来賢人)が遺志を継いで作った会社、HOPEによって進化し、
小型ウェアラブル端末を用いて国民の体調を管理し、医療器具との連携により治療を担っていた。
 

桐生浩介は日本を離れ、娘の心(田牧そら)とシンガポールで生活していた。
桐生浩介に総理大臣賞が贈られることになり、当初嫌がっていた浩介だが、心がどうしても行きたいというので日本に向かうことになった。
帰国し、悟のもとで大きく進化した「のぞみ」を見学した浩介と心。
 

授賞式の前にHOPEで帰国のあいさつをする浩介。
AIに反対する一団が会場に乗り込み混乱を起こす。
警察庁の理事官、桜庭誠(岩田剛典)の指示で反対派は制圧されるが、浩介は授賞式のために首相官邸に向かうことになった。
しかし、出発寸前、心は母の写真の入った手鏡をどこかに忘れたことに気づいて館内に戻ってしまう。
時間がない浩介は後を悟に託し、自動運転車で出発する。
 

心は母の写真を探しサーバールームに入る。

そしてついに見つけたものの取ろうと手を伸ばしているうちに、警報音が鳴り響き、サーバールームのドアが閉まりロックされてしまう。
心は逃げ出そうとしてドアにぶつかり昏倒。「のぞみ」は悟の司令も無視し、攻撃を受けていると判断、防御モードに入った。
 

「のぞみ」に制御されている交通システムや医療システムが誤動作をはじめ、心臓ペースメーカーが停止するなどして命を落とす人が出始める。
時の総理、田中(余貴美子)もペースメーカーが停止して倒れてしまう。(その後死亡)

桜庭は直ちに捜査を開始。
暴走はマルウェアによるものと特定し、そのマルウェアを仕組んだのは望のもとの開発者である桐生浩介と断定する。

直ちに武装部隊が浩介のもとに急行し端末を発見するが、浩介にはあずかり知らぬことだった。
浩介が逮捕連行されそうになったところへ車が突っ込み、混乱に紛れて浩介は逃走する。
 

桜庭は警察庁の地下にある開発中の捜査AI「百目」を作動させ、浩介の行方を探す。
警視庁から連絡係として送り込まれた合田刑事(三浦友和)と奥瀬刑事(広瀬アリス)の目の前で繰り広げられたのは、
街中の防犯カメラ、車のドラレコ、スマホカメラなどをハッキングして得られたライブ動画からの浩介の追跡だった。
百目は浩介の顔形、体形、歩行の癖など学習し、即座に浩介の居場所を特定し、特殊部隊を急行させる。
浩介はそれらの目を逃れながら逃走を続ける。

浩介は「のぞみ」には人々の命の選別の仕組みはないと考え、誰かが仕組んだマルウェアの修正を考える。
そして、傍聴されるのを承知で悟とコンタクトを取り「らせんの部屋」の言葉を残して姿を消す。
 

そのころ、心をサーバールームに閉じ込めたまま、「のぞみ」は大量のデータを読み込み始める。
そして、その後「のぞみ」が管理する人物の評価を始める。
命の評価、そして存命か絶命かの判断を始めたのだ。
 

合田は桜庭のやり方に違和感を持つと捜査室から早々に抜け出し、独自の判断で浩介を追う。

奥瀬が浩介と悟の電話の録音から「らせんの部屋」を見つける。
東北にあり今は閉鎖されているかつての浩介の働いていた大学がキーだと考えた合田は最も早い手段であるフェリーに乗り込む。
果たしてその中に浩介はいた。
一方、盗んだタブレットでサーバーに接続した浩介をキャッチした「百目」。

桜庭は直ちに部隊をフェリーに送る。
やがて浩介は発見され船内を逃げる。
桜庭が送った部隊は浩介を狙撃、浩介はフェリーから海に身を投じる。
 

浩介は、「のぞみ」に妻の命を助けられたという漁師に偶然助けられていた。
漁師は浩介に車を提供し、浩介はそれで大学に向かう。
 

大学についた浩介は「のぞみ」のモデルとなったAIのプログラムを参考に修正プログラムを組み始める。
悟も到着し、修正プログラムは進んでいく。

一方で、「のぞみ」にマルウェアを仕込んだ人物の特定のため、「のぞみ」のログを検索すると、不審な修正プログラムの登録が見つかった。
その時刻の監視カメラ映像記録を見ると「プログラム」を読ませたのは何と悟だった。
速攻否定する悟。その裏にはいったい何が。
 

ほどなくして武装機動部隊が到着し、攻撃を始める。
銃弾に倒れた悟は浩介にPCを託して倒れる。
やがて合田と奥瀬も到着し機動部隊を制止するが、悟はメッセージを残して死ぬ。
 

桜庭は百目を使って浩介を捜索。
すぐに見つかるものの人違い。
また見つかるものの人違い。
こうして百目の捜索網は混乱、桜庭は捜索を断念する。
 

浩介はHOPE社の秘密の入り口から内部に潜入。
修正プログラムを「のぞみ」に登録しようとするが、桜庭に阻止される。
銃を構える桜庭の部下たち。

浩介は、悟がマルウェアを「のぞみ」に仕込んだ際、監視カメラから隠れてそれを渡した人物がいたと指摘、
ガラスに映った桜庭の姿を画面を映し出した。

それがどうしたと開き直る桜庭。
この国を救うには不要な人間を抹殺するしかないと断言した。

浩介がハッキングしたのは「百目」だけではなく、今の桜庭の発言はすべて公にされていた。
桜庭は逮捕され、浩介は修正プログラムを「のぞみ」に読ませるべくサーバールームに向かう。

プログラムを「のぞみ」のカメラに読み込ませようとするが角度が悪くうまくいかない。
心は低体温症になりながらも母の写真付きの鏡を使ってプログラムを反射させ「のぞみ」のカメラに当てる。
かくして「のぞみ」は無事修正プログラムを受け入れて正常に戻り、防御モードは解除され、心は助かった。

 

望の墓参りに来た浩介と心。
記者に問われた質問ははぐらかし、心には答えを伝えるのだった。

 

警察庁の理事官は国家存亡の危機を回避するために正義を行おうとして方法を間違えた人物で、いわば「確信犯」

本作ではその真意を知っているものは一人もおらず、明らかになった後は誰も賛同してくれなかったが、
現実にそういう論理を組み立てる人物がいた場合、本当に賛同する者はいないのか、は疑問に思った。

 

AIの暴走、人への逆襲はSFではいわばありふれた題材だが、通常は自己学習の末、人類に反旗を翻すという設定が多いが、
今作は人為的にマルウェアを仕込まれたことによる暴走の設定になっている。

そもそもこれだけ膨大なシステムでは、既存プログラムに換算して何百万、何千万行にもわたるはずの命令群で作られ、
ライフラインを握るシステムともなれば、二重三重の安全策、自己修復プログラムが組み込まれ、システムは厳密に作られているはず。

それが、簡単にマルウェアを仕込まれたり、修正できるようでは逆に心もとない。 

また、膨大な社会インフラを担うシステムであれば、どう考えても中央集中型ではなく、
連携はしていても分散制御型のシステムである必要があり、ハリウッド映画でもよくある「頭を潰せば全部止まる」仕組みはまずい。

ただし、厳格で安全なものを作れば作るほど修正や変更に手間と時間がかかるのも自明で、不具合があった場合の対応方法は難しい。

システム更新の際に思わぬ不具合が生じる可能性があり、通常はいつでも元に戻せる仕組みを残しておく。

「のぞみ」のシステムプログラムがどういう手順を取ることになっているのかわからないが、どんなに優れたものでも100%完璧、
一切の機能追加、拡張を許さないことはあり得ず、緊急停止や復元の仕組みがないのはまずい。

 

大沢たかおと松島菜々子の共演作を見たのは「眉山」「藁の楯」以来で3作目。

松嶋菜々子は「祈りの幕が下りるとき」の阿部寛と言い、たっばのある俳優との共演が目に付くが、
今作では車いすやベッドに伏せているなどのシーンが多く、本人の大きさは目立たない。

田牧そらは本当に中学生。某局の番組「カネオくん」のアシスタント。

 

 

 
 ナイブズ・アウト   

ダニエル・クレイグ、ジェイミー・リー・カーチス、クリス・エバンス、アナ・デ・アルマス、クリストファー・プラマー、マイケル・シャノン。

主人公の探偵はブノア・ブラン。
Benoit Blanc のスペルからもわかるようにフランス系の名前だ。
ただ、本編ではブノア・ブラン自身が「ブランク」と発音していたのでここではブランクと書くことにする。

名前をブノアと言っていたか、ベノイトと言っていたかは記憶にない。

有名な小説家ハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)が、首を切って死んでいるのを発見された。
警察は自殺だと断定して捜査を打ち切ろうとしたが、その死に疑問を抱いた探偵ブランク(ダニエル・クレイグ)の登場で謎解きが始まる。

まず最初に人物の相関を整理しておこう。
死んだのは高名な小説家のハーラン・スロンビー。
85歳の誕生パーティの翌朝、自室で死んでいるのが発見された。 

子供は長女のリンダ(ジェイミー・リー・カーチス)結婚して苗字はドライスデール。
旦那はリチャード・ドライスデール(ドン・ジョンソン)。不動産会社社長。
二人の息子にヒュー(クリス・エバンス)、通称ランサムと呼ばれる放蕩息子がいる。

長男のニールはすでに死亡し、その妻のジョニ(トニー・コレット)がいる。
二人の娘、メーガンは女子大生で高額な学費はハーランが出している。

次男、ウォルター(マイケル・シャノン)は、ハーランの小説の出版社を任されている。
その妻はドナで、息子はまだ若いジェイコブ。
ハーランの母で年齢不詳のワネッタは車いすでやや認知症気味。

このほかに家政婦のフランとハーランの看護師、マルタ・カブレラ(アナ・デ・アルマス)が屋敷に出入りしている。

さて、ハーランの誕生日の翌朝。
いつものようにフランがハーランの部屋に朝食を届けに行く。
フランは、自室のソファに横たわり首を切って死んでいるハーランを見つける。
動機はわからないものの、他殺を疑わせるものはなく自殺と断定された。

ハーランの葬儀も終わり、一週間が過ぎた。
しかし、警察のエリオット警部補は相棒のワグナー巡査を伴って事件を調べなおすという。
誕生パーティにいた全員が事情を聞かれる。

エリオットとワグナーの後ろで静かに話を聞いていた著名な私立探偵のブランク(ダニエル・クレイグ)
家族にあんた誰? と聞かれたのを機に質問を始める。
一見仲の良い家族だが、詳しく聞いていくうちに少しずつ事情が見えてくる。

死の前日、つまりパーティのあった夜。
ウォルターはハーランの嫌がる小説の映画化やドラマ化を画策し、ハーランから首を宣告されていた。 

リチャードは会社の女性社員と浮気をしており、ハーランからリンダにばらすと言われていた。
ジョニは娘メーガンの学費を二重取りしていたことがばれ、ハーランには小切手を切るのはこれが最後と言われていた。

ヒューがハーランと口論し、「後悔するぞ」と捨て詞を吐いていったことをジェイコブが聞いていた。

エリオット刑事らは、トラブルは殺しの理由としては弱い、現場の状況から見ても自殺以外考えられないという。
ブランクも殺しの理由としては弱いことには同感。
しかし、引っかかる点があった。
それはこの自殺が実は他殺ではないかと調査を依頼してきた人物が誰かわからないことだ。
匿名でハーランの死亡記事と現金が送られていたのだ。

詳しい様子を調べると、パーティ終了後、自室に戻ったハーランはマルタと碁をした。
物音で様子を見に行ったジョニにハーランは碁盤を落としたといい、ジョニは戻る。

その後、マルタは12時ちょうどに屋敷を後にし、玄関でタバコを吸っていたウォルターと会話している。
15分ほどのち、ハーランが階下に降りてくる物音でリンダが目を覚まし、ウォルターがハーランを見ている。
深夜3時頃、犬が吠えたため、リンダはまた目を覚ましたが、程なく静かになりそのまま眠ってしまった。さて、看護師のマルタも尋問される。

マルタは嘘をつくと吐いてしまうというトラウマを抱えており、ブランクはそんな彼女をワトソン君と呼んで、捜査を続ける。
嘘をつくと吐くマルタだが、事件の真相を知っていた。
あの夜、マルタはハーランと碁をしていたが、ハーランは負けそうになり、碁盤をひっくり返す。

暫くしてマルタはいつもの通り鎮静剤100mgをハーランに打ち、次いで微量のモルヒネを打とうとして、
薬瓶を見るとそこには鎮静剤とあった。
つまり、先に打ったのがモルヒネであり、安全な量をはるかに超える量だった。
マルタはもしもの時のために解毒剤を探したが見つからず、救急車を呼ぼうとして転倒する。
大きな音がしてジョニが様子を見に来たがハーランは碁盤を落としたと言ってごまかす。
騒ぎになれば不法滞在のマルタの母親のことがばれ強制送還される。

焦るマルタを諭し、ハーランは10分で死ぬというマルタの言葉を信じてこのまま死ぬことを選ぶ。
そしてばれないよう工作をマルタに指示、マルタが嘘で吐かないように事実の断片の説明をするよう指示した。
部屋の外で躊躇するマルタが「できない」と扉を開けた瞬間、ハーランは「私の望みだ」と言ってのどを掻き切り、絶命する。

パニックになりながらもマルタは指示通りに行動する。
それは、すぐに帰り、帰り際にそこにいるものに時間を聞くこと。
そして車を入り口の石像のわきに寄せて、裏からフェンスを上って隠し戸からハーランの部屋に行き、
ローブを着て階下に降りてから部屋に戻る。
そして再びフェンスを降りてそのまま家に帰れ、というものだった。

ほぼ指示通りにこなしたマルタだったが、3つ手違いがあった。
一つは、監視カメラを避けるために車を止めろと言われたのが石像の手前か後ろかわからせなくなってしまったこと。
2つ目はフェンスを上る際、足を滑らせてフェンスの一部を欠いてしまったこと。
最後はフェンスを降りた際に車いすのワネッタに見られ「また戻ったのかい、ヒュー」と言われたことだ。

マルタにはもう一つ心配事があった。
それは、注射をするために持っていた薬の入ったバッグがなくなっていたことだった。

ブランクは屋敷の監視カメラの記録も気になった。屋敷の管理人に監視カメラデータのコピーを取ってもらったが、
テープを受け取ったマルタは磁石をその上に置いてデータをダメにした。

暫くしてハーランの遺言書が開示されることになり、関係者一同が呼ばれた。
ランサムことヒューもその場にいた。
開示前にヒューが遺産相続から外れていると聞かされた一同はヒューをののしり馬鹿にする。
しかし、ハーランの遺言の内容はみんなの思惑と違っていた。
財産のすべて、現金預金だけでなく、土地建物から小説の管理、映画化権やドラマ化権などの権利のすべてを
マルタに一切合切譲るというものだった。

一同は激怒しマルタに罵詈雑言を浴びせる。
マルタはパニックってその場を離れるが車がエンスト。
焦るマルタをヒューが自分の車に乗せで逃げる。

レストランで一息ついたマルタ。
ヒューは静かに本当のことを放せと詰め寄り、ゲロを吐きたくないマルタは真相を話す。
ヒューはハーランに遺産をやらないと言われて腹が立ったが今は感謝している。
マルタの味方になり守る、という。

その日からうわさを聞き付けたマスコミがマルタの家に押し掛ける。
ウォルターらが遺産を放棄しろと迫ってくる。
メーガンも金がないと退学になると泣きついてくる。
そんな中、郵便物の中にハーランの検死報告書の一部のコピーに「お前のやったことはすべて知っている」と書かれたメモが。
書かれた住所はクリーニング店の跡地。

隣の美容院をすり抜け、裏からクリーニング店に入ると家政婦のフランが椅子に座らされていた。
その場の状況から見てモルヒネを打たれたのは明白だった。
倒れるフラン。人工呼吸をするマルタ。

そのころ、ブランクと刑事らは検視局の火事の知らせを受ける。
検視局は全焼、保管資料も焼けてしまい、ハーランの検死報告書も灰。
一方、マルタは現れたヒューとともに車で逃げ、張っていた警察に追われる。
逃げ切ったと思ったものの簡単に見つかり確保される。

全部を話すことにしたマルタ。
もし、マルタが殺害したことになれば、罪に問われることはもちろん、相続自体が無効になる。
ブランクはそれを了解したが、その前に屋敷に向かい、ワネッタに何か言いたいことはないかと尋ねた。
マルタが全員の前ですべてを告白しようとしたその時、ブランクが割って入り、「ハーランは自殺。事件は解決。」と言い放つ。
さらにブランクはヒューに向かって「なぜ捜査を依頼したのか」と聞く。
一同があっけにとられる中、ブランクは謎解きをして見せる。

ヒューはパーティでハーランに遺産はやらないと言われ、腹を立てて家を去った。
そしてパーティが続く中、そっと裏のフェンスから隠し戸を通ってハーランの部屋に入り、
マルタのバッグのモルヒネと鎮痛剤を入れ替え、解毒剤を抜き取ったのだ。
その際、ワネッタに見られており、マルタを見たワネッタは「また来たのか」と言ったのだ。

しかし、マルタは間違ってモルヒネの瓶に入った鎮静剤を注射した。
その後ヒューは薬を元に戻そうと屋敷を訪れたが、番犬に吠えられて失敗したので作戦を変え、
マルタの犯行を暴露し相続を無効にしようと考えた。

しかし、フランから検死報告のコピーを送られて計画が失敗だったことを知り、次の手を打つことにしたのだ。
フランはヒューがハーランの部屋に行くのを見て怪しいと思い、薬バッグを隠し、
検死報告書コピーを検視局で働く親戚から入手して、ヒューの悪事を見抜いた。

ヒューに脅しの手紙を送ったところ、ヒューはそれをマルタへの脅しに利用した。
検死をごまかすため放火して資料を燃やした後、フランにモルヒネを打って殺し、マルタの仕業に見せかけようとしたのだった。

ブランクの推理にヒューは憶測にすぎないと笑うが、そこにマルタに電話が入った。
マルタはフランが助かった、もう会話もできる状態と告げる。
ヒューは、じゃ殺人じゃなくて殺人未遂だ、そんなもの良い弁護士を雇えば何とでもなるとうそぶく。
その途端、マルタは思いっきりゲロ。
嘘をついた、電話はフランが死んだとの連絡だった。
図らずも自白したヒュー。
ヒューはもはやこれまでと飾ってあるナイフをもぎ取るとマルタの胸めがけてナイフを突き立てた。
しかし、それは刃が引っ込むおもちゃのナイフだった。

かくしてヒューは逮捕され連行された。
ハーランの財産を全て失った一同は、玄関先でヒューが連行されるのを見送り、マルタはバルコニーから一同を見下ろしていた。

リチャードはハーランが浮気をばらすと言っていたメモを探したがそれは白紙だった。
しかし、リンダはそれを見つけ、ハーランの仕掛けた懐かしい宝さがしごっこを思い出してライターの火を近づけると、
文字があぶり出され、リチャードの浮気はばれていた。

マルタはブランクがマルタを疑った理由を聞く。
ブランクはマルタのスニーカーについて一滴の血痕を指し、ハーランの血だろうと察しがついていたと明かすのだった。

早々に事件の顛末の暴露があり、いったいこの先どうなるのかドキドキさせる。
ブランク(ブノア・ブラン)の語り口はポアロかホームズか。
自身、マルタをワトソン君と呼んでいたのでホームズ気取りかも。
マルタが看護師であることも医師であるワトソンになぞらえたか。

その時は思わなかったが、後々腑に落ちない点が。
それは家政婦のフランが検死報告書からヒューの犯行を知ったこと。
検死報告書にはハーランは失血死とあったはずで、血液も調べたのであれば、
モルヒネなどの薬物は検出されなかったと書かれていたはずだ。
(だからこそ、マルタがモルヒネを打っていないと分かり、ヒューが検視局に火をつけた)

フランがヒューが秘かにハーランの部屋に入ったのを知っていたとしても、
仮にモルヒネと鎮静剤を入れ替えていたことに気づいていたとしても
検死報告上は問題が見つからなかったわけで、ヒューの仕業によってハーランが死んだのではないことは確か。
知っているとカマを掛けたにしても、齟齬なく行動の意図を知りえる理由にはならない。

Wikiによれば、モルヒネの致死量は数グラムから数十グラムであり、100mgでは死なない。
また致死時間は数分から数時間でおそらくは投薬量と関連があると思われるので、10分も懐疑的にとらえざるを得ない。

アナ・デ・アルマスは「ブレードランナー2049」のAIバーチャルアシスタント。
「スクランブル」ではクラシックカー泥棒の一味の一人。

本作は第92回アカデミー賞脚本賞にノミネートされた。
監督自身による製作脚本で批評家の評価も高い。
制作費(40M$)の割に高い興収(US:159M$)を上げ、続編の制作が開始された。

 

 

 
  アナと雪の女王2     

ピエール滝が騒動で降板した(させられた)ため、オラフは武内駿輔に交代したが、
松たか子(エルサ)、神田沙也加(アナ)、原慎一郎(クリストフ)は続投。
父と母の声はオリジナル、吹替とも変更で母の吹き替えは吉田羊(歌うよ)

物語はエルサとアナの幼少期から始まる。
前国王の父が、エルサとアナに精霊の森の物語を聞かせる。
北の森の奥深く精霊とともに暮らしていた人々とアレンデールの人は友好関係を結び、
その証としてダムを造ったが、なぜか争うようになり、アレンデールの若い男が傷を負うが、
謎の少女が男を助けるものの、森は深い霧に包まれてしまった。

前女王の母は物語の続きをせがむエルサとアナに伝説の川・アートハランの子守唄を歌って聞かせる。

時は流れ、前作の続き。
女王となったエルサ。
アレンデールの町は平和に暮らしていたが、ある日エルサはどこからともなく聞こえる歌声に心を惹かれる。
しかもその声はエルサ以外には聞こえない。

暫くしてアレンデールは暴風に襲われ町中の明かりが消えてしまう。
危機を感じたエルサは人々を高台に移動させる。
 

どこからともなく聞こえる歌声、エルサは石のトロールにその謎を聞くが、過去の過ちを正す時が来たと言われ、
その正体を突き止めるまで人々を町に返さないよう指示して旅に出る。

アナ、クリストフ、オラフも同行する。
やがて霧に閉ざされた森に着くが、森はエルサたちを受け入れる。
森に入ると、風、そして火の洗礼を受けるがエルサの魔法で精霊を抑えることができた。
さらに森の奥では何年もの間森から出られなくなっていたノーサルドル人とアレンデールの兵たちがいがみ合っていた。
ノーサルドル人はエルサの持つ母の形見のショールがノーサルドルのものだと知り、
その持ち主がかつて前国王を助けたノーサルドルの少女、すなわちエルサの母だと分かる。

ノーサルドル人によれば、火、風、水、大地、そして謎の5番目の精霊が森を守っていたが、
アレンデールが攻撃を仕掛けてきたせいで精霊の怒りを買ったという。
 

エルサは子守唄にあったアートハランに謎を解くカギがあるとみて北に向かう。
途中、サウスシーで亡くなったはずの父と母の難破船を見つける。
船内に会った地図から、アートハランのある島の位置がわかり、エルサは先を急ぐ。
アナもついてくると言い、エルサはアナを氷のスロープに落としてついてこさせない。
 

そして自身は荒海に挑み何度も押し戻されながら、ついに水の精霊の馬に乗って島に向かう。
島でアートハランを見つけたエルサはその記憶を再現する。
前々国王、つまりエルサの祖父はノーサルドル人を信用しておらず、森の力を弱めるためダムを造った。
ダムで森が死にかけていることに気づいたとノーサルドル人は前々国王に詰め寄るが、ついには戦いとなる。
そしてその中で傷を負った前国王、つまりエルサたちの父を助けたのが前女王、つまりエルサの母だった。
全ての元凶はダムにあると気づいたエルサだったが、アートハランの寒さに凍り付いてしまう。
 

そのころ、エルサに無理やり帰らされそうになったアナはコースを外れ洞窟をさまよっていた。
エルサが凍り付いたことでオラフを固めていた魔法も消え、オラフは粉雪になってしまう。
そしてエルサが送ったテレパシーで水の記憶を見て事情を悟ったアナはダムを壊そうと考える。
 

岩のトロール、アース・ジャイアントを怒らせてダムを壊そうとするアナ。
アレンデールの兵はそれを阻止しようとするがアナの説得で理解し協力する。
アース・ジャイアントの投げる巨石でダムが破壊されると、精霊の力でエルサの氷も解ける。
森は霧から解放され、ノーサルドル人は何十年かぶりで青空を見ることになった。
 

しかし、ダムの決壊は大量の水がアレンデールを襲うことを意味していた。
果たして怒涛となって水がアレンデールを襲う。
その時、水の精霊の馬に乗ったエルサが急行し、氷の魔法で水の方向を変え、アレンデールは救われる。
あの不思議な歌声は、ダムの決壊による大洪水を知っていてアレンデールに警告を発していた。
 

エルサは自分こそが5番目の精霊だと明かし、女王の座をアナに譲って自分はノーサルドルに残るという。
クリストフは何度も失敗したアナへのプロポーズに成功し、女王となったアナとともにアレンデールで暮らす。

 

次から次へと危機が迫る、まるでスピルバーグかマイケル・ベイの映画のよう。
エルサがアナと別れた後、予告でも登場する荒海を渡るのだが、アナが下って行ったのにエルサが海岸にいるのは
高低差として逆ではないかとの気もするが、特に大きな違和感がある話ではない。
 

世界が、火、水、風(空気)、大地(土)からなるとするのは四元素説(四大元素説)で古くから近世に至るまで信じられていた。
それぞれをつかさどる精霊がいるのは目新しい設定ではないようで映画でもしばしば取り上げられている。
 

失敗作の「エアベンダー」では精霊は出てこないが、4つのエレメントのうち「気」が使える少年が成長する物語だった。
エアベンダーは残る3つの能力を獲得シアバターになるはずだった。
 

 

私の書いた前作のあらすじメモによると、エルサの魔法の力は父から受け継いだとあった。
記憶では母から受け継いだと思っていたが、記憶違いだったようだ。

いずれにせよ、父母からの遺伝でエルサとアナ、それぞれが違う能力を得ていたはずなのにと引っかかった。
劇中で詳しい説明はなかったと思うが、エルサがそもそも5番目の精霊だった解釈以外に、
父アナグルと母イドゥナとの出会いのエピソードの結果、精霊から魔法の力を与えられることになったとする解釈もあるようだ。

恐らくは、前作ではもともとそういう設定ではなく、あまりにもヒットしたため続編を作らざるを得ず、
後付けでエルサの魔法の秘密を父母の出会い、そしてアレンデールとノーサルドルの不幸な過去へと
膨らませていったため、前作との間で多少の齟齬。違和感が生まれたものと思われる。
 

エンドロールの「歌」の説明で、吉田羊の名前があってびっくりした。
前作では出てなかったはずなのに、新キャラの声? と思ったが、エルサとアナの母イドゥナの声だった。
前作とは変わっていたので気付かなかった。

 

 

 
  スターウォーズ ウォーカーの夜明け    

いよいよ最終章。
エピソードIVから続いたスターウオーズサーガもついに終焉を迎えた。
ただし、終わったのはスカイウォーカー家の物語でそれ以外の物語ならまだ作れるし、事実ディズニーもそのつもりらしい。

謎だったレイの出自が明らかにされ、IVから続く帝国軍と共和国軍、
ファースト・オーダー/ファイナル・オーダーとレジスタンスの戦いも終わる。

物語の集大成であるとともにすべての物語の結末で、見たのはわずか3週間前だったのに
ところどころのシーンを覚えているだけで、細かな展開は覚えていない。

 

そこで、サーガ全体を公開順にざっくりと振り返っておく。

エピソードW
レイア・オーガナの依頼を受けたルーク・スカイウォーカー、ハン・ソロが帝国軍に反撃し、デススターを破壊し帝国軍を倒す。
 

エピソードV
帝国軍が息を吹き返して反撃に出る。
ルークはダース・ベイダーに手を切り落とされ、ダース・ベイダーは自分はルークの父だと告白する。
 

エピソードY
ジャバに囚われていたハン・ソロが復活。
ルークとダース・ベイダーの戦いの中で帝国軍皇帝ダース・シディアスが死に、ダース・ベイダーことアナキン・スカイウォーカーも死ぬ。
 

エピソードT
前3作の前日譚。
アナキン・スカイウォーカーの幼少期。
パドメ・アミダラが分裂の危機にあった共和国をパルパティーンを擁して和平を模索するが失敗する。
ダース・モールが登場する。
 

エピソードU
共和国が分裂の危機に瀕し、互いに譲らずクローン軍団との戦いが始まる。
アナキンとパドメは愛し合い結婚する。
 

エピソードV
実はダース・シディアスだったパルパティーンの策略でアナキンがダークサイドに落ちる。
パドメは妊娠するが妻の産褥死を恐れるアナキンと争いになる。
結局、アナキンはオビワンとの戦いで両足と片手を失い、全身に大火傷を負いダース・ベイダーとして復活する。
 

エピソードZ
帝国軍の残党が創設したファースト・オーダーと共和国軍が対決。
レジスタンスの指導者、レイア・オーガナはルークを探す手がかりを求めていた。
戦いに巻き込まれたレイはフォースを覚醒させ、カイロ・レンと対決するが、
カイロ・レンことベン・ソロは実父であるハン・ソロを殺す。
 

エピソード[
ファースト・オーダーの攻撃にさらされたレジスタンスは別の星に退避。
一方なんだかんだあって所在のばれたルークはレイを鍛える。
その後、帝国軍の基地でレイとレンは対峙するが、レンがスヌークを切り裂く。
レンはレジスタンスに決戦を挑むがルークの亡霊が現れてみんなを逃がす。

エピソード\
そして、ついに最終章。
 

ディジー・リドリー、アダム・ドライバー、オスカー・アイザック、ジョン・ボイエガ、
キャリー・フィッシャー、マーク・ハミル、ハリソン・フォード。

スヌークを操っていたのは死んだはずのパルパティーン。
そして、レイとカイロ・レンの対決。
レイが実はパルパティーンの孫だったことが明らかになる。
レイ、カイロ・レンがパルパティーンと対決し、カイロ・レンがやられる。
レイはパルパティーンを倒したものの自身も力尽きる。
先にやられていたカイロ・レンが復活してレイをよみがえらせて自身は死ぬ。
ルークの故郷で名前を尋ねられたレイは「レイ・スカイウォーカー」と名乗る。
 

レイとカイロ・レンは手を握るのか対峙するのか。
パルバテーィンとレイ、カイロ・レンの対決は。
本人(キャリー・フィッシャー)が亡くなったレイア・オーガナはどうなるのか。
 

次から次へと危機が展開する作りはいつもながらの緊迫感だし、映像の美しさ、迫力は見事。
しかし、壮大な宇宙の物語は、なんか一族の争いに矮小化されてしまった感が無きにしも非ず。
DJ(べ子チオ・デル・トロ)や前作の最後にフォースを発揮したらしき少年は何だったのか。
若干のもやもや感は残りつつも物語は終わってしまった。

監督のJJエイブラムスは、どう作っても批判は絶対にあるだろうし、それぞれがそれぞれの感想を持つのは
正しいことだと考えているらしい。
 

全体の流れや設定は残しつつも「ローグワン」のように際立った作品も作れるのだから、今後に期待したい。
あまり過去作に引きずられると「ハン・ソロ」のようなどっちつかずの作品になったりもするから微妙だけど。
 

ディジー・リドリー、アダム・ドライバー、ジョン・ボイエガといった新進気鋭のキャスティングに比べ、
キャリー・フィッシャー、ハリソン・フォード、ビリー・ディー・ウィリアムズといった懐かしい面々の活躍。
 

古くからのファンには全員集合で良いっちゃあ良いんだけど、オールドスター総出演感満載。
ランド・カルリジアンは現役パイロットだからまだいいけど、ルーク・スカイウォーカーとハン・ソロは
前作までに死んじゃってるわけで回想シーンとか亡霊(フォース)役なのでしょうがないっちゃあしょうがないが動きがが緩慢。

なお、キャリー・フィッシャーは本当に死んじゃってるわけで、CG出演はないと言われていただけに、
どうするのか気になったが、既撮影のものをうまく使いまわしたらしい。
 

色々書いたけど、この映画の個人的な評価は「よくできました」です。

 

 

 
 ヒックとドラゴン 聖地への冒険     

4年ぶりの新作。

シリーズ初見の人にも過去の展開がわかるように、冒頭「1」と「2」のざっくりしたあらすじが語られる。
「1」  では、バイキング一族が住むバーク島の長のストイックの息子のヒックが、伝説のドラゴンであるトゥースと心を通わせ、
バイキングとドラゴンは仲良く暮らす。

「2」  では、ドラゴン狩りのドラゴが登場し、ヒックとトゥースは危機に陥るが、仲間の助けと行方不明だった母が現れて助かる。
しかし、戦いの中で父ストイックが死ぬ。

* 

そして「3」

多くのドラゴンが檻に入れられている船の上。
ヒックと仲間たちが乗り込んできて乗組員をなぎ倒し、檻を壊して囚われていたドラゴンを解放し、一団を引き連れてバーク島に戻る。

バーク島では、ヒックたちが解放して連れ帰ったドラゴンで一杯だった。
あまりにも多くのドラゴンが家屋の屋根にとまるため、ついには崩れてしまう家も。
既に島のリーダーになっているヒックだが、ゲップはこの惨状を何とかしてくれとヒックに迫る。 

そんな中、ドラゴンハンターの前に最強のハンター、グリメルが登場。
ドラゴンハンター連に檄を飛ばし、ナイトヒューリー(トゥースの事)を殺し、ドラゴンを取り返すと宣言する。

尾びれを欠いて自力では飛べないトゥースはある日、臭いに誘われて森に行く。
ヒックが後をつけるとそこにはメスの真っ白なナイトヒューリーがいた。
ついてきたアスティが白いからナイトヒューリーではなくライトヒューリーだという。
ライトヒューリーはヒックに気づくと飛び上がり、炎を吐いてその中に飛び込み消えてしまう。 

その夜、バーク島にグリメルが現れる。
グリメルはトゥースに睡眠薬を打ち込み、他のドラゴンを統率できないようにした。
そして自分のドラゴンに火を噴かせ、バーク島の家々を焼き尽くした。

 ヒックらの仲間になっていた元ドラゴンハンターのエレットはグリメルの執拗さをよく知っており、
ヒックはバーク島を捨て亡き父ストイックが探し求めていた伝説の「ドラゴンの聖地」への移住を考えるようになる。 

グリメルが去った後、ヒックは島を捨てて「ドラゴンの聖地」へ向かうことを決意、島中の人とドラゴンを連れて海に飛び立つ。
大体の方向はわかるもののドラゴンの聖地がどこにあるのかは定かではない。
ドラゴンも人々も疲れ、ヒックは近くに見える島で一休みすることにした。 

しかし、人々はその島を大いに気に入りここを新しいバーク島にすると意気込み、ヒックに感謝する。
ヒックは時々現れるライトヒューリーを探して気もそぞろなトゥースをかわいそうに思い、
今までよりもずっと丈夫な尾ひれを作りトゥースに装着。
トゥースと喜んで飛び、ライトヒューリーを探しに行く。

ドラゴンハンターの大船団を引き連れてバーク島に乗り込んだグリメルだったがそこはもぬけの殻。
グリメルは鋭い推察でヒックらが向かった方向を言い当て船団とともに向かう。
ヒックは戻らないトゥースが気が気ではなく、自分を責める。

バルカに後押しされたアスティはヒックを自分のドラゴンに乗せ、「ドラゴンの聖地」を探す。
果たして海の果て、海水が流れ込む穴の奥の奥の奥にそれはあった。
数多くのドラゴンが輝く地下空間に住んでおり、トゥースはその王としてドラゴンを従えていた。
ヒックとアスティはその姿に見惚れていたがドラゴンたちにばれてしまう。
襲い掛かるドラゴンたち。ヒックとアスティはアスティのドラゴンに乗って脱出を図る。

そんなドラゴンを抑えてヒックとアスティを逃がしたのはトゥースだった。 

島に戻ったヒック。
一方、母のバルカはグリメルが後をつけていないか気になって探りに行く。
そして、島に向かってくるグリメルの大船団を発見し、慌てて島に戻る。 

ヒックは先手を打とうと仲間と一緒にグリエルの船団に向かうが、待ち伏せを食らい危うくやられそうになる。
何とか逃げ切ったヒックたちだったが、双子の妹、ラフナットが戻っていないことに気づく。
ラフナットは囚われていたが散々しゃべりまくり、グリメルはついに切れてラフナットを解放する。

ラフナットはドラゴンに乗って意気揚々と島に戻るが、それはグリメルの罠でヒックらのいる島を見つけるためだった。
グリメルに襲われた島。グリメルはライトヒューリー、そしてトゥースに麻酔薬を打ち込み、網で連れ去る。 

トゥースを失って何もできないと意気消沈するヒックだったが、アスティに励まされトゥース奪還に向かう。
グリメルとの戦いは壮絶を極めるが、戦いは優勢となりグリメルはライトヒューリーに乗って逃げる。
トゥースはその能力を解放し最大限の電撃を発射する。

ヒックはグリメルに飛びつき、ともにライトヒューリーにぶら下がる形となった。
グリメルはトゥースに麻酔薬を撃ち込み、トゥースは墜落。
ヒックはライトヒューリーにトゥースを助けるよう言い、ライトヒューリーはそれに応え
ヒックとグリメルを振り落としてトゥースに向かう。
グリメルととも倒れを覚悟したヒックだったが、ライトヒューリーが戻ってきたヒックを助ける。 

こうしてドラゴンハンターからドラゴンを取り返したヒックたちは、人がドラゴンと仲良くできるまで
ドラゴンを聖地に帰すことを決意する。
こうしてヒックとトゥースとバンキングの仲間たちはそれぞれのドラゴンと別れることになった。

ヒックはアスティと結婚、新バーク島の長として島を治める。

ヒックとアスティには娘と息子ができる。
幼い二人を連れてアスティとドラゴンの聖地近くに小船で出かけた。
その時遠くから白と黒のナイトヒューリーが小さいドラゴンを伴って現れ、船べりにとまる。

トゥース。

おびえる子供たちを背後にそっとトゥースに近寄るヒック。
トゥースはヒックにじゃれ付き、子供たちもトゥースらと仲良くなる。 

第3弾で最終章。

今までの経過を踏まえ、うまくまとめた感じ。
聖地と言うか、ドラゴンの島の描写は美しく、見入らされるがそれだけ。
入り口の描写は「ワールズエンド」を思わせる。

ドリームワークスと20世紀FOXの軋轢、FOXジャパンのDWAに対する考え方の違いから、アニメは冷遇され、
公開が危ぶまれたが、DWAがFOXからユニバーサルに移ったため、日本では東宝東和によって公開された。

制作側は、ストイックやバルカの宿敵であるドラゴを再登場させるつもりだったが、スタジオに却下されたとのこと。
新ボスキャラであるグリメルは、ドラゴンを根絶やしにしようとしており、いままでもナイトヒューリーを多く殺している。
なのに、なぜトゥースをとっとと片付けなかったか。

ヒックと確執はあるにせよ、トゥースを殺すことが第一義的な目的ではなかったのかの疑問は残る。