2014/10-12鑑賞
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今年の累計:50(3)[13] 本 ( )は試写会
[ ]は邦画
1−3月期:12(0)[2]本 、4−6月期:13(2)[5]本、7−9月期:13(1)[4]本、10−12月期:12(0)[2]本  
10月:2(0)[1]本、11月:5(0)[0]本、12月:5(0)[1]本  
−−−−−−−−−−−−*−−−−−−−−−−−−  
 寄生獣  

染谷将太、橋本愛、余貴美子、国村隼、東出昌大、深津絵里、北村一輝、浅野忠信。

**

海に浮かぶ不思議な球体から生まれた「蛭」のような昆虫のような生命体は、寝ている人の耳の穴から体内に入り
その人を乗っ取ってしまう。

泉新一(染谷将太)は蛭に襲われたもののたまたまイヤホンをしたまま寝ていたため、耳からは入られず、
手を突き破って腕に入られるが、コードで腕を縛って蛭を押しとどめる。
暫くすると蛭の姿は消え、違和感もなくなるが、翌日なんとなく右手がしびれる感じが残る。

その日の通学途中、同級生の村野里美(橋本愛)に声を掛けられた新一は里見のおっぱいを触ってしまう。
新一は体育のバスケットでスーパーゴールを決めたり、自分にも訳が分からない。
帰宅後、どうしても気になる右手にカッターを当てると、突然右手が異様な生物の形に変形する。
驚く新一にその寄生生物は右手は食べてしまった、言葉を教えろと言う。
便宜上、ミギー(声:阿部サダヲ)と名付けられたその寄生生物は、本来は人間の脳を食い、
宿主に化けて暮らすのだが、ミギーは自分は手に留まって成熟し、新一と同居してしまったらしい。

ミギーはPCや図書を次から次へと検索し読破し、知識を付けていく。
ある日、バスで突然ミギーが降車ボタンを押し、仲間がいると言う中華料理屋に入ろうとするも
鍵がかかっていては入れない。
裏から入ると中華料理店主の頭が変形して人間を貪り食っていた。

店主はミギーに自分の右腕を切って、ここに移れと言うがミギーは拒否。
新一が躊躇する間に店主が攻撃を仕掛けてくるがミギーが首を切断。
店主の頭は瞬く間に萎れて枯れてしまう。

次の日、学校では代替教師として田宮良子(深津絵里)が赴任してくる。
良子は新一とミギーに接触、放課後水族館に呼び出す。

良子が連れてきたのは新一と同学年の島田秀雄(東出昌大)と名乗らない警官A(仮名:池内万作)
島田は友好的だがAは新一に敵意を抱いていた。
良子はAとセックスし、妊娠中であるという。
人間との共存が可能かどうかの実験の一環であるらしい。

新一がのれん街を歩いているとAと遭遇する。
Aは警官の立場上、中華料理店主殺しを知っていて新一を狙っていた。

新一はミギーの指示通り閉店中の魚市場に入り、Aと戦う羽目に。
ミギーとAが戦っている途中、新一が突然鉄パイプをAに着き刺して倒す。

Aはいずれ死ぬと考えた新一とミギーは逃げる。
しかし、Aは死なず、鉄パイプを貫通させて出血を抑え、
たまたま通りかかった新一の母、信子(余貴美子)がけが人と思って近づくと、
Aはその首を切り落として乗り移る。

Aは信子の姿となって帰宅、ミギーが警告するが新一は聞き入れず口論となり、
Aは新一の心臓を貫いて倒し、その場を去る。

ミギーは一か八かで新一の右手を離脱し、傷口から体内に入る。
暫くのち、新一は復活するが母がAに殺されたことを思い出して激怒する。

その頃、警察の平間(国村隼)と辻(山中祟)は中華料理店主殺人事件と、
警官殺しに共通の指紋が検出されたことから周辺を洗い新一に近づいていく。

新一は母が失踪(捜索願届け出済み)したことを訴え、その場をしのぐ。
翌日、3日ぶりに登校すると島田が転校してきていた。
島田は新一と握手して手を握りつぶそうとするが新一は耐え、島田は新一の力に驚く。

その頃までには、連続猟奇殺人事件、行方不明者多発事件などがマスコミに取り上げられ、
宇宙人の犯罪、髪の毛で宇宙人を見分ける方法等がネットで騒がれていた。

里美は新一に手料理を作ってあげると言い、食材を買って帰る途中、
子犬がはねられていたのを見つける。

新一は車の間を縫って犬を拾うが、死んでしまったと言ってごみ箱に捨て、
死んだら犬の形をした肉、だと言って里美に呆れられる。

翌日から新一のA探しが始まるがある駅前でミギーが複数の仲間の存在を感じ、
そこでは市長候補の広川剛志(北村一輝)が選挙演説をしていた。

人間と同化するだけでなく、教育者として人間を指導したり、政治家になろうと言う
寄生生物の出現にミギーは感動し、狼狽する。

一方、学校では美術部が島田にモデルに依頼し、絵を書いていた。
あまりにもかっこいい島田に「人間じゃないんじゃないの」と言って髪の毛を抜いたら、
それはうごめいて、島田の正体を暴いてしまう。

島田は変形して美術部員を襲い始める。
里美は意を決して剥離剤を島田に投げつけ、それを大量に浴びた島田は混乱して暴れる。

事態の急変に気づいた新一が島田を追って校舎3階に行くと、
多くのバラバラ死体が転がっていた。

新一は里美のいる場所に到達、島田と戦う。
現れた良子が手製爆弾を投げつける間に、新一は涼子を抱いて校舎3階からジャンプして逃げる。

島田は爆発にも耐え、駆け付けた警官と戦いながら屋上に逃げる。
新一は隣のビルの屋上から鉄パイプを矢として放ち、島田を絶命させる。

良子はその頃までに妊娠を咎められ、学校を辞めることになっていた。
学校からの通知で心配して訪れた両親に寄生に気づかれ、これを殺していたが、
学校を去る前に、新一にAの居場所メモを渡す。

新一は信子に化けたAに迫る。

このころまでに新一の体には変化が生じていた。
人間的感情を失いつつあると同時に身体能力が著しく発達していた。
また、ミギーにもそれまでなかった突然、完全に熟睡状態になる事態も起こっていた。

Aを追って河原まで来て、まさに戦う直前、ミギーは睡魔に襲われ、ブレード状となって寝てしまう。
新一はAと対決し、ギリギリでやられそうになった瞬間、信子の右手がAの攻撃を邪魔して外れ、
新一はAの首を切り落とす。

新一は学校での事件で入院している里美を訪ね、ミギーに寄生生物を皆殺しにすると宣言するが、
その様子を別ビルから撮影している男がいた。

市長選は広川の勝利となり、仲間の一人(浅野忠信)は、人間と言う種を根絶やしにすると宣言する。

完結編に続く。

**

人気コミックの映画化となれば、原作との相違が取りざたされる。
とはいえ、コミックはコミック、TV版はTV版、映画は映画との割り切りも必要で、
2時間と言う映画にとって、重要な「尺の制限」に収めるため、ある程度の変更は止むを得まい。

例えば、新一の父は既に亡くなっており、母も旅行先ではなく自宅近くで殺される。
また、加奈は登場せず、新一以外の半寄生人物(脳以外への寄生)も登場しない。

田宮良子が実験実験いうのも原作とは違うと思うが、完結編への伏線だと思っておこう。

全体として破綻なくうまくまとめられていたと言う印象。

東出昌大は189cmの長身。
けして小さくはない染谷将太(172cm)、橋本愛(165cm)と比べてもかなり大きい。

後編(完結編)は4/25公開。

 

 

                 

 ホビット:決戦のゆくえ    

リチャード・アーミテージ、ルーク・エバンス、オーランド・ブルーム、マーチン・フリーマン、
イアン・マッケラム、ケイト・ブランシェット、ベネディクト・カンバーバッチ。

**

3部作の最終章。
全2作のおさらいをしておこう。

第1作
かつて栄華を誇ったドワーフ。
エルボール(ロンリー・マウンテン=はなれ山)に巨万の富を持っていたが、
火竜スマウグに襲われ王国を奪われた。
この時、エルフがドワーフを援助しなかったことからドワーフはエルフを嫌っている。

ガンダルフの導きで、ドワーフの王国の王子トーリンをリーダーとしたチームを編成し、
ホビットのビルボ・バギンズをバーグラーとして同行させ、エルボール奪還の旅に出る。

途中、裂け谷のエルフに地図の秘密を聞き、エルボールの秘密の扉の鍵穴の存在を知るが、
鍵穴が示されるのは「ドゥリンの日」の最後の光。

それまでにエルボールに着き、王位の印であるアーケン・ストーン(アーケン石)を手に入れ、
ドワーフを再び終結させるのがトーリンの目的だ。

一方、ドワーフを根絶やしにしようとするネクロマンサー(死人遣い)の配下のオークが
トーリンたちを追う。

いろいろあって一旦はトーリンたちと別れたビルボはゴレムのトンネルで「指輪」を見つけ、
オークとの戦いでトーリンたちの危機を救い、決意を新たにする。

第2作
ガンダルフの助言を得ながら先を急ぐトーリンたち。
追うオークが迫るとともに、期限である「ドゥリンの日」が近づいていた。

ガンダルフは一行と分かれ、ドル・ドゥルグア砦に入るが、ネクロマンサーに捕まる。

トーリンたちは闇の森で森のエルフに捕まるが、酒樽に隠れて逃げ、
バルドの船で湖の町に入り、財宝分与を見返りにエルボールに向かう。

そして、ついに期限ギリギリで秘密の扉の前に立つと、
月光がカギ穴の位置を示し扉が開けられた。

ビルボが先に中に入りアーケン・ストーンを探す。
スマウグが目を覚まし、後から入ってきたトーリンとスマウグと対決する。

トーリンらはスマウグを金の溶鉱炉に誘い込み、融けた金を浴びせかけるが、
スマウグは、怒り狂って湖の町を焼き尽くすと言い放って飛んでいく。

第3作
怒り狂ったスマウグは、湖の町を襲い火を放つ。
町の人々は逃げまどい、総統は人々を見捨て、持っている財宝を船に積んで逃げようとする。
閉じ込められていたバルド(ルーク・エバンス)は、総統の船を利用して檻を破り、
火の見やぐらに登ってスマウグに矢を射るが歯が立たない。

伝説の鱗の禿げた部分を見つけるが、矢は使い切った。
そこに息子が黒い矢を持ってやぐらに上がってくる。

しかし、スマウグがやぐらに体当たりして弓が折れ、バルドは絶体絶命。
バルドは、折れた弓を息子も利用して張り、矢を放つ。
矢は見事鱗の禿げた部分に刺さり、スマウグは墜落して絶命。
スマウグの死は全土に広がり、多くの勢力が財宝を求めて進軍してくることが予想された。
バルドは破壊しつくされた街を捨て、エルボールのドワーフに助けを求めるためデイルの町に向かう。

キーリーたち町に残っていたドワーフもトーリン(リチャード・アーミテージ)を追ってエルボールに向かう。

バルドらと一緒にいたレゴラス(オーランド・ブルーム)に裂け谷のエルフの使いが来て
谷に戻るよう指示するが、タウリエル(エバンジェリン・リリー)を追放するとの命令に怒り、
ゴブリンの様子を見に砦に向かう。

エルボールの城の中でトーリンは黄金の魅力に取りつかれる。
残りのドワーフが集結してもオーケンストーンを見つけられない仲間を疑い、
また、誰にも黄金を渡すまいと考え、城を固く閉ざす。

ビルボ(マーチン・フリーマン)は自分が見つけたオーケンストーンを
トーリンに渡すタイミングを失ってしまい、戸惑っていた。

森のエルフは王スランドゥイル(リー・ペース)は自分たちの取り分とエルフの白い石を手に入れるために
軍を率いてエルボールの城の前に集結する。

バルドはエルフと約束してトーリンと財宝分与の交渉をするが決裂。
そこへ、オークの軍団が押し寄せにらみ合いとなる。

一方、ドル・ドゥルグア砦で捕らわれていたガンダルフ(イアン・マッケラム)は
救出の呪文を唱えるが、ゴブリンに殺されそうになる。
そこにガラドリエル(ケイト・ブランシェット)が現れ、ガンダルフを助ける。
闇の王に対してサルマン(クリストファー・リー)とエルロンド(ヒューゴ・ウィービング)が対応、
一旦は撃退するが、サウロンとともに再び現れた闇の王はガラドリエルの呪文で東の果てに追いやられる。

エルロンドは、ガラドリエルを助けて裂け谷に戻り、サルマンがサウロンを追う。
そして、ガンダルフは茶色のラダガストの協力も得て脱出。
馬に乗ってゴブリンの出兵をエルボールに伝えようとする。

ゴブリンらの出兵を見ていたレゴラスとタウリエルもエルボールに向かう。

ガンダルフはスランドゥイルにゴブリンが来ることを伝えるが無視される。

ビルボは一人城を抜けてスランドゥイルやバルドらにオーケンストーンを渡し、
交換で財宝を手に入れるよう進言する。
再交渉でバルドはトーリンにオーケンストーンを見せるがトーリンは信用しない。
しかし自分が渡したと言うビルボに怒り、ビルボを殺そうとしてガンダルフに制止される。

翌朝、開戦寸前にドワーフのダインが軍を率いて現れ、エルフとにらみ合いになる。
突然山腹に穴が開き、オークの軍が現れ、ドワーフとの戦いが始まる。

人間たちはデイルの町に戻るがオークの軍に攻め込まれる。
やがてエルフも参戦した乱戦となり、徐々にドワーフは押されていく。

当初は傍観を決め込んでいたトーリンはついに意を決して城壁を解放、自ら軍勢に加担する。
近くの崖の上からオークの戦いを指揮していたアゾクを倒すため、
トーリンはキーリーらを連れてアゾクのいた崖の上に行く。

ビルボがトーリンにアゾクの罠を知らせようとして襲われ昏倒。
アゾクは仲間のオークとともにトーリンらを分断して襲い、
レゴラスとタウリエルも加勢して戦うが、キーリーらが殺される。
レゴラスはタウリエルを助けてボルグと一騎打ちになり、ボルグを倒す。

トーリンはアゾクと一騎打ちになり、倒したかに見えたが逆襲を食らって刺され、
最後は刺し違えてアゾクを倒したもののビルボに看取られて死ぬ。

オークとゴブリンの挟み撃ちで劣勢を強いられたドワーフ、エルフ、人間軍だが、
ラダガストの連絡で加勢に来た大鷲や猛獣がオークやゴブリンを蹴散らし、ついに戦いに勝利する。

こうしておびただしい犠牲の上にドワーフとエルフ、人間がオークとゴブリンに勝利。
レゴラスが闇の森に帰れないと言うと、スランドゥイルに北のスラインの息子の所に行くよう言われる。

戦いは終わり、ビルボは、ホビット庄に戻ることになった。

ホビット庄に着くと、1年以上留守にしていたため、ビルボは死んだと思われていて、
自宅の家財がオークションに掛けられ、自宅は空っぽ。

こうしてビルボは人嫌いになってしまった。

指輪をずっと大切に持っていたビルボ(イアン・ホルム)の111歳の誕生日。
久しぶりにドアを叩いたのはガンダルフだった。

**

ついに完結。
この後、物語は「LOTR」3部作につながる。

ただ、6作を経ても指輪そのものが作られた経緯には踏み込んで行けていない。
ここは「指輪物語 外伝」が必要かもしれない。

「ホビットの冒険」よりさらに前、サウロンは邪悪な力を込めた指輪をつくり、
この力を利用して中つ国を支配していった。
しかし、アラゴルンの先祖であるイシルディアに指を切り落とされ、指輪を奪われる。
指輪の魔力はイシルディアを滅ぼし、その後指輪は転々としてスメアゴル(ゴラム)から
ビルボの手に渡る。

サウロンは本作でガラドリエルに破れ、一旦は引き下がるが、やがて力をつけ支配を強めていく。
そして指輪を探し求めていた。

ビルボは長く指輪を隠し持っていたが、111歳の誕生日に旅に出るとして指輪をはめて消え、
サウロンに指輪の存在を知られてしまう。

ガンダルフは指輪がサウロンの指輪であったことを知り、ビルボを説得。
フロドに指輪を託し「滅びの山の火口」に投げ捨てるよう依頼する。

こうしてフロドらの長い長い旅が始まる。

最低でも前作のおさらいはしておいたほうが良い。
でないといきなりスマウグが暴れる理由もわからないし、剥がれたうろこの秘密もわからない。
その後も理解不十分なまま、事態が展開し「よくわからなかった」で終わるのがせいぜい。

迫力満点で、オール・キャスト総出演といったところ。
ボディ・ダブルだろうけどクリストファー・リーやるなぁ、張り切り過ぎて死ぬなよとか思いました。

トーリン・オーケンシールドが、リチャード・アーミテージ(「イントゥ・ザ・ストーム」の教頭)
とは到底思えない。未だに別人のように感じる。

 

 

                 

  ベイマックス    

ディズニー・アニメ。

**

サンフランソーキョーの一角では、違法な賭けロボット格闘技が行われていた。
ヒロ(ライアン・ポッター、本城雄太郎)は、自作のロボットで参戦。
勝負には勝ったものの対戦相手に切れられ、兄のタダシ(ダニエル・ヘニー、小泉孝太郎)に助けられて逃げ、
一旦は逮捕されるが、程なく釈放される。

ヒロは飛び級で高校を卒業、授業も面白くなくロボット格闘技で憂さ晴らししている。
あの後もロボット格闘技に行こうとし、タダシのバイクに乗って行ったのは格闘技会場ではなく、
タダシの大学の研究室。

そこでは、ヒロにとっても驚きの数々の研究がおこなわれていた。

恐竜オタクで大学生ではないフレッド(T.J.ミラー、新田英人)、
電磁サスペンションを研究しているゴーゴー(ジェイミー・チャン、浅野真澄)、
いろんな機能を持つ化学薬品の合成を研究するハニーレモン(ジェネシス・ロドリゲス、山根舞)、
レーザープラズマカッターを研究する大柄なワサビ(デーモン・ウェイアンズ・Jr、武田幸史)。

そこに現れたのは、ヒロのロボットの機構の生みの親である
ロバート・キャラハン教授(ジェームズ・クロムウェル、金田 明夫)

教授に心酔したヒロは、飛び級入学を目指して、大学の技術発表会に応募することにした。
何を作るか悩んでいたヒロだが、タダシの研究室の仲間にも助けてもらい、
作り上げたのはマイクロボットとそれをコントロールするヘッドバンド。
思考マイクロボットに伝え、マイクロボットの集合体を瞬時に自在の形に変え、
建設や移動や運搬の手助けをさせるものだった。

キャラハン教授は即座に入学許可を与える。
もう一人、マイクロボットに興味を示したIT企業社長のアリステア・クレイ(アラン・テュディック、森田順平)は、
高額のオファーを申し出るがヒロは拒否する。
ヒロとタダシが会場を出て間もなく、突然火事が起こり会場は火に包まれる。

教授がまだ中にいると聞いたタダシはヒロの制止を振り切って会場に向かうが、
直後爆発が起こり、教授もろともタダシは犠牲となる。

教授とタダシの葬儀。
二人の面倒を見ていたおばのキャス(マーヤ・ルドルフ、菅野美穂)が心配する中、
ヒロは、失意で無気力となり、大学の入学手続きもほったらかし。
ところが、部屋を片付けていてたまたまものを足の上に落とし「痛いっ」とつぶやいたところ、
ベイマックスが起動し、そろそろとヒロに近づき「こんにちは、私はベイマックス」と話しかける。

ベイマックスはたった一つ残ってマイクロボットが小さく動くのを見て、どこかへ行きたがっていると言い、
ヒロの心を癒すため、マイクロボットの行き先を突き止めようと外へ出て行ってしまう。

焦ったヒロはベイマックスを追って街中へ。そしてついに追いついたのはある工場の前。
開いた窓から中に入ると、奥にはマイクロボットの製造ラインと大量に作られたマイクロボットが。

危険を感じて逃げる二人の前にマイクロボットを操る「歌舞伎マスク」が登場。
ヒロとベイマックスを追い詰める。

何とか逃げ延びたヒロは警察に駆け込んで事の次第を話すがまったく信じてもらえず、がっかりして家に帰る。
歌舞伎マスクの正体を突き止めようと考えたヒロは、ベイマックスに合った緑のアーマーを製作、
空手をプログラミングして、再びあの工場へ。

しかしそこはもぬけの殻。
もう一度マイクロボットの示す先を求めて追っていくとそこは波止場だった。
歌舞伎マスクの登場に身をひそめるヒロとベイマックス。

そこに町で見かけたヒロを心配してやってきたのはタダシの研究室の4人組。

すぐに歌舞伎マスクに見つかって逃げるが追われて、全員が車ごと海の中に。
それを救ったのはアーマーを外して浮きになったベイマックスだった。

ずぶぬれでたどりついたのは、フレッドの自宅で超豪邸。
ヒロは、全員の力を結集して歌舞伎マスクを捕まえることにする。
そしてそれぞれの研究成果を生かしたアーマーと武器を製作。
ベイマックスにも新しい赤いアーマーを作り、空も飛べる仕掛けを装着。

ベイマックスのスキャンセンサー機能を駆使して既にスキャンしていた歌舞伎マスクのデータと照合。
歌舞伎マスクのいる島を突き止める。

全員で島に行ってみたらそこは無人で壊れた大型機材があった。
制御室には、クレイ社長が軍の幹部にテレポーテーション実験を披露するモニター映像が残っていた。

映像は、ボットに乗った若い女性を転送するシーンで、対になった次元転移装置の一つが制御不能となって爆発。
女性は異次元に取り残されてしまう。

そこに歌舞伎マスクが登場。
圧倒的な能力の歌舞伎マスクだが、全員が力を合わせて歌舞伎マスクに立ち向かい、
遂にマスク(=マイクロボットコントローラ)を叩き落とす。

そのマスクの下のあったのは、クレイ社長ではなくキャラハン教授だった。
爆破で死んだのでは?
教授はその場に落ちていたコントローラーを装着し、マイクロボットでシールドを作り、
爆破の被害を免れたのだった。

タダシは、教授を助けようとして死んだのに。
怒り狂ったヒロは教授を叩きつぶそうとする。
ヒロは、人を攻撃できないベイマックスからタダシのプログラムカードを抜いて攻撃モードにし、
教授を叩き潰そうとする。

4人が必死でヒロを抑え、タダシのプログラムを入れ直す間に教授はマイクロボットに乗って逃げてしまう。
怒りが収まらないヒロは4人を残してベイマックスに乗って帰っていく。

家に戻り、タダシのプログラムを取り出そうとするヒロと拒否するベイマックス。
タダシはここにいます、どうせ慰めの言葉に過ぎないと怒るヒロに、
ベイマックスは実験を繰り返すタダシの動画を見せる。

タダシは人を傷つけるためにベイマックスを作ったんじゃない。
気付いたヒロは島から自力で戻ってきた4人と仲直りし、再び教授に立ち向かうことを決意する。

なぜ教授が歌舞伎マスクとなる必要があったのか。
ハニーレモンが入手した映像には実験失敗の後、クレイと激しく争うキャラハン教授の姿。
実験失敗で行方不明になった女性はアビゲイル・キャラハン、キャラハン教授の娘だった。
教授は娘を失ったことでクレイに復讐しようと考えていたのだ。

クレイの研究所の落成記念式に現れた歌舞伎マスク(キャラハン教授)は、
マイクロボットを使い、研究所の上に次元転移装置を組み上げて起動。
周りのあらゆるものを飲み込んでいく。

ヒロたちは歌舞伎マスクに対抗するものの次第に劣勢になる。
しかしマイクロボットをばらばらにして次元転移装置に飲み込ませる作戦が功を奏し、
歌舞伎マスクを追い詰めていく。

その時、ベイマックスが次元転移装置の奥に生命反応を感知。
冬眠状態にあるその生命体をアビゲイル・キャラハンと確信したヒロとベイマックスは
次元転移装置の中に飛び込んでいく。

異次元空間の中、ヒロとベイマックスはアビゲイルの乗るボットを発見。
見事につかんで出口へと向かう。

あと少しで出口、と言うその時、大きいコンクリートの塊がとんできて、
ヒロをかばったベイマックスを直撃、ロケットエンジンが破壊される。

「二人を助ける方法が一つだけあります。」
「『ベイマックス、もう大丈夫だよ』と言ってもらわないとベイマックス離れることができません。」

ヒロは泣く泣く「ベイマックス、もう大丈夫だよ。」と言い、
ベイマックスのロケットパンチで、次元転移装置の外に押し出された。

娘の救出に驚愕する教授。
ヒロは歌舞伎マスクのコントローラーを破壊し、次元転移装置は墜落して破壊。
アビゲイルは意識を取り戻し、教授は逮捕されて一件落着。

でも、ベイマックスはロケットパンチの右手だけを残して消えてしまった。

再び失意のヒロ。
4人からのビデオメールにも無感動。
しかし、ベイマックスの残った右腕に固く握られていたものは、タダシのプログラムカード。

ヒロはベイマックスを作り直し、タダシのプログラムカードで起動。
4人とともに大学に通いながら、スーパーヒーローとなる日々。

エンドロール後に1シーン。
両親がいつも不在で自分のことを見てくれていないと思っているフレッド。
ひょんなことから自宅の隠し部屋を発見。

そこにはスーパーヒーローっぽい衣装がずらり。
父が戻ってきて、フレッドの活躍を見ていることを示して物語は終わる。

**

映像のきめ細かさ、人物の動作はもとより表情まで全くいうことなし。
緩急のバランスがとてもいいし、感情の起伏がよくあらわされている。

緩急は感情や展開の緩急だけでなく、動きの緩急のつけ方もうまい。
予告にもあるが、ベッド脇をすり抜けようとして本を落とすとか、
穴をふさぐためにセロハンテープで留めるところとか、ゆるさも秀逸。

単に癒し系ロボットとの成長物語ではなく、ペーソスの利いたヒーローもの。
全く表情のないはずのベイマックス、
「ベイマックス、もう大丈夫だよ」では多くの観客が涙したことでしょう。

舞台は架空の都市、サンフランソーキョー。
日本風にアレンジしたサンフランシスコだが、東京にあんな急な坂はなく、
サンフランシスコウの方が合ってるかもね。

ベイマックスをどらえもんだとする人も多いようだが、
ヒロを助けると言う点では確かにドラえもんだが、
ヒロの能力を超える何かを出すわけではないし、助けると言うより、
むしろ教育的指導をしているから役割はだいぶ違う。

形状はドラえもんと言うよりも手塚治虫の「火の鳥」に出てくるロビタを髣髴とさせる。

 

 

    

 

  ゴーン・ガール  

ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、キム・ディケンズ、タイラー・ペリー。

冒頭は妻エイミー(ロザムンド・パイク)の髪をなで、頭を割って何を考えているのか見てみたい、
と心の中でつぶやく夫ニック(ベン・アフレック)。

結婚5年目の記念日でもある7月のある日、ニック・ダン(ベン・アフレック)は
いつものように妹と経営する「バー」と言う名のバーへ。
近所から猫が外にいると電話があり、急遽帰ると家にいるはずの妻はおらず、
ガラステーブルが倒れ、粉々になったガラスが散乱していた。

ニックの通報でやってきたのは地元警察のボニー刑事(キム・ディケンズ)と助手の警官ジルピン。

宅内を捜索し、エイミーは超有名な児童文学の「アメイジング・エイミー」のモデルだと判る。
しかし、妻の血液型も友人も知らず両親にも電話しないニックはどこか怪しい。
ニックの父が認知症気味でホームに入っていることも示される。

ボニー刑事はニックに深刻な事態と思われると告げ、
翌日、ニックとエイミーの両親、ランド・エリオットとメアリーべス・エリオットが
記者会見し、エイミーを探してほしい、と訴える。

エイミーの写真とのショットで、ニックは記者から笑うよう求められ、一瞬笑みを浮かべる。
翌日からボランティアを集めて近所の捜索が始まる。
そのうちの一人がニックに接近、自撮りの2ショットを撮って去っていく。

捜索の間、ニックは帰宅できないで妹マーゴ(キャリー・クーン)の家に泊まっている。
妹は盛んにニックに本当のことを全部話してくれと頼む。彼女も何かを疑っているようだ。

エイミーの両親は、可能性として2人の元彼の名を上げる。
一人は20年前の同級生でエイミーにストーカーし、接近禁止令を受けたデジ・コリンズ、
もう一人は8年ほど前エイミーに乱暴したと訴えられたトミー・オハラ(スコット・マクナリー)

近所でエイミーの親友だと言うノエルが盛んにボニー刑事に接近しようとするが、
ニックはエイミーには近所に友達はいないはずだという。

ニックの資産の多くはエイミーの名義であること、
ニックが高級品を多数買っていること、
つい最近エイミーの生命保険を増額したこと、等が判明。

TVではエイミーが有名な「アメイジング・エイミー」のモデルだったこともあって、
センセーショナルに取り上げられる。
キャスターのエレン・アボット(ミッシー・パイル)はニックを批判的に取り上げる。

この間、回想シーンで、ニックとエイミーのなれ初め、結婚に至る経緯が語られる。
また当初はうまく行っていた結婚生活がニックの母が乳がんになり、その介護もあって
ニューヨークからミズリーの片田舎に引っ越したこともあって、徐々に醒め、
ニックがエイミーにつらく当たるようになったことやDVがあったこと、
子供を望むエイミーに対し、ニックは反対したこと、等が語られる。

また当初は裕福でエイミーに巨額の信託預金を渡していた両親が出版社との契約切れを機に、
借金苦になり金を無心、100万ドル近い信託預金を全て両親に渡したことも。

エイミーは、結婚記念日のプレゼントに「謎解き」を仕掛けていた。
居つくかのヒントをたどっていくとプレゼントに行きつく仕掛けだ。
ニックは、最初のヒントは解いてみせるが、後は何故か判らないふりをする。

ニックには度々メールが入る。
ある晩「外にいる」とのメールでいたのは、若い女アンディ・フィッツジェラルド。
ニックの教え子で浮気相手。
アンディはニックが心配でやってきて、その夜ベッドを共にし翌朝帰るが、
マーゴにばれ、罵られる。

状況はどんどんニックに不利になり、ジルピンはニックの妻殺しを決めつける。
しかし、ボニー刑事にはいまひとつ不自然さがぬぐいきれない。

TVでの扱いもどんどんニックに批判的になるが、著名弁護士のターナー・ボルト(タイラー・ペリー)は
自分なら弁護はする、と言ってのける。

翌日もニックはエイミーの捜索を訴えるが、ノエルが近づき、
大勢の前で「エイミーは妊娠していた」と暴露、ニックは一気に不利な立場に。

ニックの言によれば妊娠を嫌がっていたのはエイミーで、自分は子供が欲しかったと言う。

警察の捜査でエイミーが銃を欲しがっていたことがわかる。
現場では大量の血液が流され、そして拭き取られていたこと、
極めつけはエイミーの遺留品から妊娠が確認されたこと等が明らかになり、
ニックはついに警察への協力を拒否する。

ニックは警察に内緒でエイミーの謎解きを進め、ついにマーゴの家の薪置き場にたどり着く。
そこには大量の高級品が入っており、プレゼントの箱が置かれていた。

ニックはマーゴに事情を話す。
プレゼントの中身は「パンチとジュディ」の人形だった。
パンチとジュディはパンチがジュディの赤ん坊を放り投げ、さらにジュディを棍棒で殴り殺すというもの。

夫(=自分)が妊娠した妻(=エイミー)を殺す事件に見せかけたのではないかと考えたニックは
NYへ行き、ボルト弁護士に会う。
ボルトはニックの話を聞いて笑うが、エイミーの正体を知りたいのでトミー・オハラに会え、と提案する。

トミー・オハラはすぐに見つかった。
8年ほど前、トミーはエイミーに惹かれ関係を持ったが乱暴されたと訴えられ、
全ての証拠が自分に不利で司法取引で服役は免れたものの全てを失ったと語った。

デジ・コリンズはエイミーの残した手紙で住所が分かり、その豪邸をニックが訪ねると
けんもほろろに追い返されてしまう。

その頃、エイミーは死んでいなかったことが明かされる。
彼女はニックを陥れるため、自分がニックに殺されたように装うことにした。
偽の日記に延々とニックに対する疑惑を書き込み、ついには殺されるかもしれないと書く。

そして、高額の商品を買って隠し、自分の保険料を増額させる。
近所のノエルに近づき、ニックにDVを受けていると吹き込む。
妊娠中のノエルを家に呼び、うまく細工して尿を採取、わざと警察に見つかるように仕向けた。

当日は部屋を荒らし、自分の血を抜き台所に撒いて、ニックらしく拭き取り
安い車を調達して金を持って逃げる。
髪を切って染め、自分の顔を殴ってあざを作りDV被害者を装い、ナンシーと名乗る。

モーテルの隣のグレタ(ローラ・カーク)とは顔見知りとなり、
夫の浮気現場を見てしまったとばらして仲良くなる。
グレタはナンパしてきたジェフと付き合うようになるが、所詮エイミーとは相いれない。

エイミーはマーゴの薪置き場にが怪しいと警察に密告する。
エイミーはグレタとジェフと3人でパターゴルフではしゃぎ過ぎ、大金を持っていたことがばれ、
翌日、証拠を消してもテルを去ろうとしていたエイミーはグレタとジェフに襲われ、
持ち金を奪われてしまう。訳有りで襲われても警察にばらせないと踏んだグレタの発案だった。

文無しに近いエイミーはわずかな小銭を使ってデジ・コリンズに連絡。
ニックにDVで殺されそうになって、逃げてきたと嘘をついてコリンズの別荘に泊まる。
デジはエイミーがニックを捨てて自分の所にやってきたと有頂天でエイミーの世話をする。

ボルトはニックの元に行き、警察の尋問に立ち会う。
警察ではボニー刑事がニックの父の家の暖炉で発見した燃えかけの日記からニックに真相を迫る。
また、ニックの家の暖炉にあった燃え残りのパンチの棍棒にはエイミーの血がついていたことも示される。

ボルトはニックにTVで浮気を含めた暴露をさせ、反省した悲劇の夫を演じて世論を味方に付けることを提案する。
連絡のつかないアンディが先に浮気を暴露するとニックに不利になるからだ。

撮影当日、インタビューを開始しようとしたその直前、アンディがニックとの浮気を記者会見で暴露。
エイミーの両親もニックに愛想が尽きたと語る。

ボルトは撮影中止を進言するが、ニックはインタビューに応じると断言する。
撮影は上々で放送を待つばかりとなった。

しかし、警察へのタレこみからマーゴの家の薪置き場が捜索されて高級品が見つかり、
マーゴは共犯して逮捕されてしまう。

パンチとジュディの人形も見つかり、燃え残り棍棒も人形の物だと分かってニックは逮捕される。
ボルトの手配でニックとマーゴは保釈されるがエイミーの行方は依然として知れない。

そしてついにニックのインタビュー。
別荘でデジとともにニックの放送を見ていたエイミー。
最初は憎々しく見ていたものの徐々にTVに見入り、ニックの語り口に心を惹かれる。

放送後、ニックの評判は急に好感度が増し、マーゴやボルトも一安心する。

デジが出かけた後、エイミーは自ら足首を縛り、防犯カメラに映るように「助けて」と叫び、
手首にも縛り後をつけてデジの帰りを待つ。

デジが帰るとすぐにベッドに誘い、デジが果てると隠していたカッターでデジの首を掻っ切り、
デジの車に乗って報道陣が大挙待機する中、返り血で血だらけになってニックの元に帰ってくる。

エイミーの描くストーリーはこうだ。
あの日、ニックが出かけた後、以前からエイミーをストーキングしていたデジが侵入、
エイミーを殴って拉致、別荘に連れ込んでベッドにしばりつけ毎日乱暴していたというもの。

これまた、ほとんどの証拠はエイミーの言う通りなのだ。
ただ薪置き場にあったはずの人形の持っていた棍棒を何故デジが手に入れたのか、
大量の高級品を買ったのは何故なのか、については疑問が残った。

エイミーの悪女ぶりに辟易していたというか、自分を殺人犯に仕立てようとしたエイミーを
ニックは許せるはずがなかったが、別れるに別れられない。
高級品を買ったのは自分だと言わされる始末。
エイミーのしたたかさには、ボルトもボニーも舌を巻く。
捜査の手はFBIに移り、これ以上のエイミーの追及も無理になった。

エイミーは悲劇のヒロインとして人気者になり、著書は爆発的に売れ、
前にもましてニックを支配するようになったが、ニックは従うだけ。

ニックは触れてもいないエイミーから妊娠を告知され戸惑うが結局は育てることに。
そして散々自分をこき下ろしたエレン・アボットの番組に出て仲のいい夫婦を演じ、
子供ができたことを告白するのだった。

説明を省いて観客に考えさせ、さらにその先廻りをして、いい意味で観客を裏切る映画。

途中ネタばらしがあって、そこで完結するのかと思いきや、更に物語が進行。
何が本当で何が嘘なのかが、終盤まであいまいで、結局そうだったのか、と思わせる。

ロザムンド・パイク、「サロゲート」の時もちょっとサイコな妻だったが、今回は完全にサイコパス。
全編にわたり好演で、感情の揺らぎなどがすごくよく出ていた。
他のキャストも「変ぶり」がよく出ていた。
このあたりはデビッド・フィンチャー監督演出の真骨頂かも。

ベン・アフレックは全くのダメ男で時々見せる謎の行動も伏線になっていて面白い。
ベン・アフレックの見せ場は、TVインタビュー。
劇中でも触れられていたが、同情され、こき下ろされ、憎まれ、そして愛される。
あのシーンあってこそ、ロザムンド・パイクの演技も生きる。

 

 

   

  フューリー  

ブラッド・ピット、シャイア・ラブーフ、マイケル・ペーニャ、ジョン・バーンサル、ローガン・ラーマン。

第2次大戦、欧州戦線も末期の1945年4月。
アメリカ軍はドイツに進攻していたが、ドイツ軍の激しい反撃にあい、人的損害も大きかった。
そんな中、砲塔にFURYと書き込んだシャーマン戦車が前線から基地に戻ってきた。

乗員5名のうち、1名が戦死。
交代要員として新兵(Private)のノーマン・エリソン(ローガン・ラーマン)が配属されてきた。

車長のドン「ワーダディ」コリアー(ブラッド・ピット)、砲手のボイド「バイブル」スワン(シャイア・ラブーフ)、
装填手、グレディ「クーンアス」トラビス(ジョン・バーンサル)、操縦士、トリニ「ゴルド」ガルシア(マイケル・ペーニャ)、
ノーマンは副操縦士だ。

事務職のタイピストとして入隊したノーマンだったが、いきなり戦車内の血、遺体の破片などを掃除させられる。
10台の戦車の出動を要請していた部隊長だったが、ドンの戦車隊は5台。

歩兵部隊がドイツ軍の攻撃で動けなくなっているのを救出する命令。
戦車隊は指定の場所に向かうため一列になって進行中にドイツ兵に襲撃され、先頭の1台が撃破される。
残りの戦車隊がすぐに応戦すると、倒れたのは少年兵ばかり。
木陰の不穏な動きに気づいていたノーマンが少年兵の姿に攻撃をためらったためだとしてドンは激怒する。

やがて味方部隊のいる場所に到着。
開けた場所で敵に砲撃を加えながら進攻、味方歩兵も戦車の後に続く。
死んだドイツ兵に向かって撃つよう指示するグレディ。
ノーマンは死んでいるから撃たないと答えるが、グレディは生き返らないように撃つんだと怒鳴る。
程なくしてドンらは敵兵を撃破する。

暫くすると、アメリカの軍服を着たドイツ兵が引きずり出される。
ドンは嫌がるノーマンに無理やり銃を握らせてドイツ兵を射殺する。

4台になった戦車隊は次の命令である町に向かう。
町のいたるところに戦闘参加を拒否し、絞首刑にされた一般市民の死体がぶら下がっていた。
歩兵部隊と合流し、まだ一般市民の残る町を攻撃する。
この時にはノーマンは既にドイツ兵に向かって乱射するようになっていた。
やがて白旗を掲げた男性が降伏を申し出る。

少年兵や女性兵も混じるドイツ兵の中にSSの将校がいた。
ドンはその将校だけは射殺させる。

町には一瞬の平和が訪れる。
一般市民の女性の中にはアメリカ兵に体を許して、利を得ようとする者もいた。

ドンは建物に女性の影を見て押し入り、二人の女性を懐柔して、ノーマンが若い女性エマを抱くよう指示。
やがて、グレディ、バイブル、ゴルドがやってきて場が荒れるが、ドンがたしなめる。

暫くすると、伝令が来る。
新しい指令はドイツ兵の進攻を食い止めるため、別の場所の十字路を死守せよとのことだった。

その時、ドイツ軍の砲撃があり、先ほどドンらがいた建物は破壊され、エマはあっさり死んでしまう。
ノーマンは悲しみに暮れるが、4台の戦車は十字路に向かう。

しかし、途中ドイツのタイガー戦車に発見され、横一列になって展開するも仲間の戦車は次々と撃破される。
ドンはタイガー戦車の後ろに回り込み装甲の薄い背面を攻撃、やっとのことで撃破する。

1台だけになっても前進。命令の十字路に近づいた時、地雷を踏んでしまいキャタピラが破損。
早速修理にかかり、ノーマンは前方の藪で監視にあたる。

程なくして、ドイツ軍の歩兵隊が接近してくる。
ノーマンは焦って戦車に戻り、200、いや300名はいると報告。
ドン以外の3人は逃げようとする。
ドンは自分はここを死守するからお前たちは逃げろ、と告げるが結局4人とも残ることに。
十字路近くにあったドイツ軍の野戦病院から死体を持ってきて戦闘の後に見せかけて火をつけ、敵を待つ。
最後になると見たドンは隠していたウィスキーを全員と回し飲みする。
ノーマンはここで「マシン」と呼ばれることに。

ドイツ軍が進行してくるが戦車は破壊されていると思い、身構えない。
ドンの号令で戦闘開始。
次々と敵を倒すが、多勢に無勢。
手榴弾が落下、間に合わないと見たゴルドが覆いかぶさって爆死。
側面からの攻撃でグレディが死ぬ。
砲弾が尽き、手榴弾もなくなり、銃弾も尽きる。
外装の機銃や予備銃弾を決死の覚悟で取りに行き、さらに応戦。
戦いは夜におよび、バイブルが倒れ、ついにドンも負傷する。

ドンはノーマンに床の非常ハッチから逃げろと指示。
直後、ドイツ軍の手榴弾が投げ込まれてドンが爆死。
ノーマンは戦車下の泥に紛れて隠れ、ドイツ兵に見つかりそうになったもののやり過ごされて助かる。
ノーマンは、再び戦車内に戻り、みんなの死体と一緒にいる。

翌日、外部の物音に身構えたものの、それはアメリカ兵だった。
救出されたノーマン、周りにはおびただしい数のドイツ兵の死体が転がっていた。

戦争映画が娯楽映画でなくなってしまって久しいが、ますますその悲惨さが強調されている気がする。
非戦闘シーンでも血糊や体の破片、死体をブルドーザーで穴に押しやったり、トラック一杯の死体等。

悲惨な戦い。リアリティ追求は分かるが、どこまで書くべきか。

SS(親衛隊)と一般兵と一般市民を区別して描いているようだ。
若い女性や子供までもが戦闘員として駆り出されていることも描かれている。

ドイツ軍のタイガー戦車は本物。
米軍のシャーマン戦車(M4中戦車)の倍ほどの重さがあり、装甲が厚く破壊力は強い。
ただ、重い分機構が複雑で故障も多かったようだ。

戦車がいろんなタイプの砲弾を持っているとは知らなかった。

 

 

  

  インターステラー   

マシュー・マコノヒー、アン・ハザウェイ、マイケル・ケイン、ジェシカ・チャステイン、ケイシー・アフレック、マット・デイモン。

近未来。
異常気象、病気の万延等により、農作物の枯死が続き、
元宇宙飛行士のクーパー(マシュー・マコノヒー)の営む農園も疲弊していた。

息子、トム(ティモシー・シャラメ)は、成績優秀なのに大学進学をあきらめ家業を継がねばならない。
娘、マーフィ(マッケンジー・フォイ)は、人類の月面着陸を事実だとして学校で叱られるような日々。
(当時、月面着陸はNASAの捏造とされていた)

娘の部屋では度々ポルターガイスト的事象が起こっていたが、単なる偶然とは思えなかった。
ある砂嵐の日、娘の部屋に舞った砂が、何かの2進数を示していると考えたクーパーは、
解読の結果、それを経緯度の座標と考えて数値の示す場所に出かけることにした。

深夜到着した現地には柵があり、カッターで鍵を破ろうとしたクーパーは電撃を受け施設内に運ばれる。

クーパーはその場所をどうやって知ったか詰問されるが答えられない。
メンバーの一人はアメリア・ブランド(アン・ハザウェイ)と言った。
実はこの場所は解体したはずのNASAの研究所で、アメリアの父でクーパーの恩師でもあった
ブランド教授(マイケル・ケイン)もメンバーだった。

教授はクーパーに地球を救うための新天地を探すミッションに参加するよう要請した。
実は、地球はもう瀕死の状態であり、NASAは人類の移住計画を実施しているとのことだった。

NASAはもう何年も前から「(恐らく)5次元空間に住む何者か(=they)によって」
土星の近くに出現したワームホールを使って、銀河系外の移住可能な惑星を探査しており、
既に出発した12の探査機から3つの可能性の連絡が来ている。

任務はその3つから人類移住可能性のある惑星を見つけることだった。
ブランド教授によれば、宇宙船乗務経験のあるクーパーの参加が必須、
メンバーはアメリアの他、ロミリー(デビッド・ギャシ)、ドイル(ウェス・ベントレー)。
それにロボットのブロック型ロボットのTARS。

家族との別れ、トムと義父のドナルド(ジョン・リスゴー)は覚悟を決め、
マーフィはポルターガイスト的信号を「STAY」と解いたとするが、
クーパーは「必ず帰ってくる」と言い残して研究所に向かう。

程なくして発射されたロケットは地球周回軌道上にあるステーションに向かいドッキング。
ステーションと合体して土星まで向かい、ワームホールを通過して目的の惑星に向かう。

長期間の旅になるため、乗員は冬眠状態に入り、操縦はTARSとステーションのロボットCASEに任される。
やがて信号がやってくる3つの惑星のうち最も近い星に接近。
ステーションから着陸船を切り離し地上に向かう。
そこは浅い水面だった。
すぐにビーコンは見つかったものの着陸船や目印は見当たらない。
アメリアが機体の残骸らしきものを発見するが、クーパーが気付いたのは超巨大な波の壁、つまり超巨大津波。
すぐ帰還するよう命令するクーパーに対し、ブラックボックスを回収しようとして残骸に挟まれるアメリア、
ドイルの指示でTARSがアメリアを救出するが、ドイルは寸でのところで波にのまれて死ぬ。
波にもまれながらも脱出したクーパーらは乗員1名を失った。

相対性理論の時間の伸びにより、調査隊はおそらく到着してすぐに波にのまれて壊滅。
クーパーらは数分後に到着したものと考えられた。

しかし、その間に地球上ではすでに23年が経過。
トム(ケイシー・アフレック)は高校を卒業し、結婚し、子供ができ、義父が死に、
返事のこないクーパーの生存をあきらめて、遂にビデオレターを止めてしまった。

時間のロスから、3人は残る2つの惑星のうち、近い方のマン博士の惑星を選択。
アメリアの元恋人で、より遠くブラックホールに近いエドモンドの星は否決された。

マン博士(マット・デイモン)の到着していた星は氷の星。
冬眠状態から覚めたマン博士は、分厚い氷の下に温かい台地があるという。

その頃地球ではブランド教授が最後を迎えようとしていた。
マーフィ(ジェシカ・チャステイン)は成長し、その後、教授の助手として
プロジェクトの推進と教授の研究していた量子重力理論の解明に取り組んでいた。

ブランド教授は死の淵で自身の理論がブラックホールのデータ以外は解析し終わっていたことと、
この計画が人類移住ではなく、第2案の人類の種(冷凍受精卵)を新惑星で育てることにあったと語り、
クーパーらは元々戻ってこない計画だったと告げて死ぬ。
マーフィはアメリアに教授が死んだことをビデオレターで伝えるが、移住計画が嘘だったことを知っていて
自分たちを見捨てていたのかと語りかける。

しかし、マーフィはその後、ブランド教授の数式にブラックホールのデータを入れれば、
量子重力理論が完成し、これを利用することで移住ができるようになるかもしれないと考える。

そして、長らく行かなかった自分の部屋に何かのヒントがあるかもしれないと考えていくが、
同行したゲティ(トファー・グレース)が、兄の妻子がかなり肺を悪くしていることに気づき、
一旦は引き上げるが、畑に火を放ってトムを家から離し、その間に妻子を連れに戻る。

一方、マーフィからのビデオレターで教授の嘘を知ったクーパーは激怒するがアメリアは知らなかったと言う。
マン博士は知っていたと言い、この星で暮らすためクーパーに地下の地表に近い場所を教えると言う。

しかし、「住める」報告はマン博士の罠で、到底人類の住めないこの星に着き、偽の報告で救助を待ち
地球に帰るチャンスをうかがっていたのだ。

マン博士はクーパーを倒して逃げ、着陸船を奪ってステーションに向かう。
マン博士のロボットからデータを抜こうとしていたロミリーはデータが無意味だったことを知るが、
ロボットの自爆により爆死。
マン博士に襲われて死にかけたクーパーはアメリアに助けられ、補給船でステーションに向かう。

マン博士はステーションに無理やり入ろうとして失敗、爆死する。
クーパーとアメリアは何とかステーションに戻ったもののステーションの機能はかなり破壊されていた。

クーパーはブラックホールの重力を利用して、エドモンドの星に行く計画を立て、
アメリアを脱出させるとともに自身はブラックホールに沈んでいく。

着陸船はブラックホールの中で徐々に破壊され、やむなく脱出装置で飛び出したクーパー。
そのまま死んでしまうはずだったが、落ちて行った先はマーフィの部屋の裏の時空空間。
全ての時間がそこにはあった。

自分と別れた頃のマーフィ。
宇宙に行こうとする自分。

クーパーは、NASAの研究所の座標を符号化して本を落とすことで示し、
自分を旅立たせないために「STAY」をモールスで示した。

そして重力を利用して砂嵐の砂でNASAの研究所の座標を示した。

さらには、ブランド教授を看取った後のマーフィーに対し、
一緒に4次元空間に落ちたTARSが事象の地平線の向こうで手に入れた
ブラックホールのデータを別れる時に渡した時計の秒針で示し始めた。

時計の動きに気づいたマーフィ。
子供の頃の幽霊の正体がクーパーその人だったと感じ、データを送ってきていると認識する。
畑の火事を止めて戻ってきたトムに解決策が見つかったと語る。

データを送り終わったクーパー。
TARSは彼らが4次元空間を閉じ始めたと語り、クーパーはどこかへ弾き飛ばされる。

クーパーはベッドの上で目が覚める。
ここは死後の世界か、それとも夢から覚めたのか、医師は124歳なんだから無理しないで、と言い、
窓の外には(ちょうど「エリジウム」で出てきたような)チューブ型のステーション内部が広がっていた。

「ここはクーパーステーションです。」
自身の名前かと思ったクーパーだが、それはマーフィの功績を讃えたものだった。

「マーフィはどうなった?」
医師は、「高齢なため移動が大変ですが2、3日で着くでしょう。」と答えた。

果たして、子や孫や大勢の親族に囲まれ、ベッドに横たわるマーフィ。
クーパーに「必ず帰ると分かっていた、だって約束したから」と言い、
私には、大勢の子や孫がいるから大丈夫。あなたはアメリアの元に帰ってあげて、と言う。

クーパーはやはり救助されていたTARSを修理し、宇宙に旅立っていった。
その頃、アメリアは一人惑星で新開地を築こうとしていた。

**

映像は美しい。
特にロングショット。
土星の近傍を行くステーションなど米粒のようで、空間の大きさを象徴しているが、
小さいスクリーンでは多分迫力は感じられないだろう。

トムとマーフィが、ケイシー・アフレックとジェシカ・チャステインになるとは想像してなかった。
予告で散々流れていたのに。
マット・デイモンが現れたときは予想していなかったので、思わず笑った。

共同脚本のジョナサン・ノーランは監督のクリストファー・ノーランの弟。
「プレステージ」「ダークナイト」「ダークナイト/ライジング」などで
クリストファー・ノーラン監督とタッグを組んでいる。

SFはフィクションであり、科学的にすべて正しいものである必要はない。
高次元に住む人類を超越した「彼ら」(They)が何者なのか、
その存在をどうやって認識し、あるいは確信したのか、ワームホールとの因果関係は。
そして何より、現在の世界がなぜああなったのか、今後どうなりそうなのか、
登場人物の説明や相関についてもさらっと流している。

また、訓練や飛行時のトラブルなどは極力端折り、展開は早い。
それでも、ダイジェスト感、上滑りは全く感じず、また逆に2時間半を超える長さを
飽きさせないで見せている。

前半の無意味に思える月着陸船の模型、ポルターガイスト現象、アナログ時計なども
それぞれの理由があって、ちゃんと回収されている。

最後はどうまとめるのか気になったが、ちょっと宗教映画っぽくなっちゃったかなって感じでした。
それはそれでいいんだけど、アメリアはあの星で元彼とうまくやっているかもしれず、
今更クーパーが行ってもどうしようもない可能性もあるし時間がもう大きくずれているかもしれない。

ワームホールは空間と空間をつなぐトンネルのようなものだが、
ブラックホールとホワイトホールをつないだものではない。
(それもワームホールの一種と言えなくもないが、安全に通過できない)
理論的には実在可能で、その出入り口は3次元空間では映画のように球状に見える。

ただ、終盤でクーパーが飛び込むと言うか、引き込まれるのが本当になブラックホールなら、
その潮汐力であっという間にばらばらにされてしまい、生き残ることはできない。

また、外からクーパーが引き込まれるのを見たとすると、着陸船は事象の地平線辺りでとどまり、
徐々に赤くなり、そしてついに消えてしまう。

ブラックホールは真っ黒で外からは見えないはず、と思っている方も多いかと思う。
実際には本体は見えなくても引きずり込まれる周りの物質が光を出すので、
光る形が映画の通りかどうかは別として、ブラックホールの周辺空間は見える。
また、回転するブラックホールからは、回転軸に沿ってジェットが噴出されるのでそれも見える。

思うに映画の「ガルガンチュア」は純粋なブラックホールではなく、
別種のワームホールみたいなものかもしれない。

博士の解こうとしていた理論、実際には解けていたとか、ブラックホールの情報がないと完成しないとか、
どっちなんだよ、と言いたくなるところ。
恐らくは「量子重力理論」であろう。
重力を量子化した理論で一般相対論と量子論を統一するものとされており、現時点ではまだ確立されていないようだ。
ブラックホールとの関連では、一般相対論(一般相対性理論)は、ブラックホール内部では破綻するとされており、
その解明には量子重力理論が必要とされている。

本来はうかがい知ることのできないはずのブラックホール内部のデータが克明にわかったとして、
量子重力理論が完成出来るのかどうかはよくわからないが、仮に理論が完成できたとして、
それで重力の本質が判ったとして、エリジウムが作れるのかどうかはこれまたよくわからない。

重力で時間が伸びる(時間の進むのが遅い=宇宙での時間が地球よりゆっくり進む
=宇宙での1時間が地上の何時間、何日、何年にもなる)のはいいとして、
6万倍も遅い(1時間が7年に相当する)のであれば、ものすごい重力下にあることになり、
到底人は生きられない。

 

 

 

  西遊記〜はじまりのはじまり〜  

ウェン・ジャン、スー・チー、ホアン・ポー
吹替えはそれぞれ、斎藤工、貫地谷しほり、山寺宏一。

ある川沿いの水上村。
川に妖怪が出て村人が襲われたが、妖怪ハンターが現れ、爆弾で妖怪(マンタ、いとまきえい)を退治する。

村人は喜ぶが、現れた玄奘(げんじょう、ウェン・ジャン、声:斎藤工)は妖怪ハンターを名乗り、
エイは妖怪ではなく妖怪はまだいるとして村人の反発を買う。

しかし、実際に妖怪(怪魚)はいて、再び村人を襲い始める。
玄奘は水中では分が悪いので、怪魚をシーソーの原理で陸に揚げる作戦を持ちかけ、見事陸揚げに成功。
玄奘はイケメン男性に変身した妖怪を童歌で改心させようとするものの効果なし。
イケメンは再び怪魚に変身し、危うく襲われそうになったところ、
現れた美女妖怪ハンター、段(スー・チー、声:貫地谷しほり)が
怪魚を閉じ込めてマスコットにしてしまう。

玄奘は自分の力の無さを嘆き、師匠に訴えるが、童歌の力を信じ修行せよと言われる。

ある山奥の大食堂。
訪れた男女二人連れは、豚の丸焼きに舌鼓を打つ。
現れたテカテカのイケメン主人は、女の問いかけに全く答えず、ついには正体を現す。

やがて玄奘がその店に現れる。
大勢が飲食している様子も玄奘が見れば死体の山。
そこにまたしても現れた妖怪ハンター段。
甦った死体の攻撃をかわし、殴打や自在環で破壊して砂にしてしまう。

テカテカ主人は強く、段にもなかなか倒せないが、強力な環攻撃でついに豚に変身。
段は豚の精気を玄奘に吸い取らせ、それを段が口移しで吸い取り、閉じ込めるがマスコットにすることに失敗、
テカテカ主人は巨大猪となってしまう。

玄奘と段は一目散に逃走。
玄奘はなんとか逃げ切れたものの、妖怪ハンターグループに拉致される。
見ると段も捕まっており、彼らは別の妖怪ハンターは敵、殺すと宣言する。

段は玄奘とは夫婦なので助けてくれと懇願するが、玄奘は拒否。
結局、妖怪ハンターグルーブは段の手下で、芝居だと分かり、玄奘は捕まってしまう。

段は「操りの魔法」で、仲間に頼んで玄奘に迫ろうとするが、全くうまくいかない。
そうこうするうち、猪が突進してきて、段の装甲車と激突してしまう。

難を逃れた玄奘は段に愛想を尽かし、童歌集を返すよう言うが段はそれを破り捨てる。

玄奘は再び師匠に会い、猪を倒すには五行山に閉じ込められている孫悟空の力が必要だが、
孫悟空は乱暴者で嘘つきなので気を付けろと言われる。

簡単に見つかると言われた五行山。
目印の社は見つかったが高さ4千m、幅800mの山は見つからない。
しかし、水面に映る仏の姿を見て場所が分かりついにハスの花の咲く山頂にたどり着く。

山頂の洞穴に入ると禿げ散らかした孫悟空(ホアン・ポー)がいた。
500年ぶりに人を見たと言う孫悟空は釈迦の霊力で穴に閉じ込められていた。

玄奘からバナナを貰い、猪退治を約束した孫悟空は、玄奘を追ってきた段に月光の下で踊りを踊らせて
猪をおびき寄せろと言い、その通りにして猪を洞穴に引きずり込んで孫悟空が子豚にしてしまう。
すかさず段がマスコットにして、玄奘に復縁を迫るが玄奘は拒否。
段が修復した童歌集の受け取りも拒否する。

虚しく月を眺める玄奘に蓮の花が邪魔で月が見えないと言う孫悟空。
玄奘が月を見せようと蓮の花を折ると、それが封印の元だったため、孫悟空は穴から飛び出し、
猿の姿に戻って大暴れ、猪退治に集まっていた拳法使いや、足じい、空虚王子らを倒し、
玄奘の髪の毛をむしってしまう。

そこに段が現れ、玄奘の仇とばかりに孫悟空と戦う。
玄奘は逃げろと言うが段は戦い、孫悟空に殺されてしまう。
段が修復した童歌集はたまたまか、表の文字が「大日如来経」となっており、玄奘はお経で対抗、
釈迦が現れて孫悟空を押し潰し、彼岸で玄奘が孫悟空に段の金環を嵌めると、
それは緊箍児(きんこじ)となって、孫悟空の頭から取れなくなる。

やがて、玄奘は三蔵法師となって、怪魚の沙悟浄、猪の猪八戒、猿の孫悟空とともに、
天竺に向かいう旅に出る。途中の冒険談はいずれまた・・・・・

**

勿論孫悟空が猿、猪八戒が豚、沙悟浄が水に棲む妖怪というのは従来通りだが、
オリジナルの西遊記とは大幅に異なる設定で、沙悟浄と猪八戒は、いずれも現世でひどい目に遭い、
死後、恨み辛みが怨念となって妖怪化したことになっている。
孫悟空が五行山に閉じ込められたいきさつについては触れられない。

尚、日本では沙悟浄は河童の化け物となっていることが多いが中国に河童はいない。

最後一行が旅立つシーンでは「Gメン75」のテーマ曲が流れる。
「柔道一直線」の曲も使われているらしいが気付かなかった。

段のスー・チーは「トランスポーター」で、ジェイソン・ステイサムが運んでいた若い女性。
あの頃より時を経てすっきりした感じだが、どことなくサトエリに似ている感があり、思い出した。

中国での公開は2013/2/7。
アメリカでは2014/3/7に限定公開され、英題は「Journey to the West」

日本では2014/11/21の一般公開に先立ち「第7回したまちコメディ映画祭in台東」の
オープニング上映作品として9/13に公開された。

 

 

                

 パワー・ゲーム  

ハリソン・フォード、ゲイリー・オールドマン、リーアム・ヘムズワース、アンバー・ハード

冒頭は若者(リーアム・ヘムズワース)が何者かに追われ、逃げるシーン。

時間は遡り、何か月か前。
アダム・キャシディ(リーアム・ヘムズワース)は、若くして母を亡くし、
今は定年で引退した親父フランク(リチャード・ドレフス)とブルックリンで二人暮らし。

ITオタクで友人のケビン(ルーカス・ティル)と一緒に高級クラブに行くが入店を断られる。
また、親父が体調を崩し、救急搬送されるが、国民皆保険の無いアメリカのこと、
入っている医療保険の制約で親父の医療費が払えない事態に。

アダムはチームの何人かとワンマン社長(ゲイリー・オールドマン)の
ワイアット社の開発プロジェクト(多分、試用社員)に参加していたが、
社長プレゼンに失敗、あっさりチームごと首になる。

社を離れたのはいいが、行きがけの駄賃とばかりに開発経費用のクレジットカードを使って、
先に断られた高級クラブで豪遊、散財。

たまたま見かけた美女(アンバー・ハード)とねんごろになり、一夜を共にすることに。
翌日、マンハッタンの彼女の高級マンションを後に帰宅途中、
アダムは、ワイアット社長の部下に捕まり社長の所に連れて行かれる。

ワイアットは、アダムをなじるが、罪を不問にする代わりにライバル会社のアイコン社に潜入し、
新型携帯の秘密を探るよう指示する。

アダムは渋るが、仲間の再就職と高額の成功報酬にしぶしぶ承諾。
おぜん立てはワイアットの秘書のジュディス(エンベス・デビッツ)。

アダムはアイコン社の面接に向かうが、人事採用担当と一緒に現れたのは、
なんと新機種開発担当のエマ・ジェニングス(アンバー・ハード)。

無事に中途採用されたアダムは新機種のコンセプトを任される。
ケビンの協力を得て、社長プレゼンで3DPS(3次元の位置情報システム)の
軍事用途を提案し、ジョック・ゴダード社長(ハリソン・フォード)に気に入られる。

アダムはゴダード社長のパーティに呼ばれ、情報を探っていてゴダードに見つかるが、
ゴダードの死んだ息子や、かつてのワイアットを思い起こすと言わせ、
アダムは幼いころに母が死んで・・・と親近感を示す(ワイアットの指示通り)

アダムはエマに接近、再びエマのアパートで一夜を過ごすとともに、
エマのPCから新製品の情報を盗む。

アダムは情報をワイアットに渡し、もう止めたいと申し出るが、ワイアットはアダムを脅す。

仲間のケビンとアリソンに近づいていた男、ギャンブル(ジョシュ・ゴダード)はFBIの捜査官だった。
アダムにワイアット社とアイコン社の軋轢、機密漏えいとそれに絡む殺傷事件を示唆する。

ワイアットは部下に命じてケビンを車で撥ねさせ、重傷を負わせる。
アダムは、与えられたマンションの隠しカメラなどをことごとく破壊するが、すぐに復旧される。

ワイアットはアダムに試作品を盗み出すよう指示。
アダムはエマの指紋をコピーして、徹夜を装って深夜アイコン社に戻り、試作品金庫にもぐりこむ。
試作品を持って金庫から逃げ出そうとした瞬間、立ちはだかったのはゴダードだった。
全てはゴダードの罠で、アダムとワイアットとの通信はすべて記録されていた。
実は、ジュディスがアイコン社のスパイでワイアットやアダムの情報をゴダードに流していた。

一方、騙され利用されたと分かったエマは怒り狂ってアダムと決別する。

アダムは覚悟を決めるが、その一方でケビンらとともにゴダードとワイアットへの復讐を画策する。

ワイアットはゴダードに脅され、持ち株を無理やりゴダードに売却させられる。
アダムはワイアットが去った後も、ゴダードにワイアットつぶしのあれこれの不正を語らせる。
一方、ケビンはプレゼンに使ったソフトを駆使してゴダードの不正を録音。
程なくして、待機していたFBIが突入し、ワイアット、ゴダード他、関係者を逮捕。
事件は一気に解決。

アダムは司法取引で放免され、ケビンらとブルックリンで新たに会社を立ち上げることに。
そこに採用面接で現れたのはなんとエマ。
アダムとの仲も修復されてめでたしめでたし。

あまりにも都合の良すぎる展開というか、設定が安易すぎる。
FBIの絡みもテキトー(薄すぎ)だし、アダムがワイアットと「直接」連絡を
取っているのも安易すぎる。

もっともこれはゴダードがすべてお見通しで泳がせていたと言うことだとは思うが、
それにしても安直ではある。

ゴダードはPCを起動しっぱなしでロックもせずに放置しているし、
エマのPCのパスワードがあっさり財布か何かから判るのも「えーっ?」って感じでした。

パスワードハッキングソフトか何かでログオンパスワードを盗むとか、
USBから強制起動(例えばubuntoで)してデータを盗むとかすればいいのに。

エマは後ろ盾のゴダードが逮捕されて嫌になったのかな、
結末は序盤の裏返しを見せるためだろうが、これもまた安易。

リーアム・ヘムズワースはクリス・ヘムズワースの実弟。
「エクスペンダブルズ2」では序盤であっさり退場。
「ハンガー・ゲーム」ではジェニファー・ローレンスの故郷のボーイフレンド。

アンバー・ハードはケビン・コスナーの「ラスト・ミッション」冷酷なエージェント、ビビ。

監督はロバート・ルークティック。
「ラスベガスをぶっつぶせ」(ジョニデの「ラスベガスをやっつけろ」とは全く別の映画)、
リース・ウィザースプーンの「キューティ・ブロンド」、
アシュトン・カッチャーとキャサリン・ハイグルの「キス&キル」、
ジェニファー・ロペスとジェーン・フォンダの「ウエディング宣言」、などなど。

名優と新進気鋭の若手をキャスティングし、監督もそこそこなのに、本(脚本)がこれでは・・・・

 

 

 グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札  

ニコール・キッドマン、ティム・ロス、フランク・ランジェラ

オスカー女優、グレース・ケリー(ニコール・キッドマン)は、ハリウッドでの名声をなげうって、
モナコ大公、レーニエ3世(ティム・ロス)に嫁ぎ、モナコ公妃となった。1956年のことである。

それから5年、1男1女には恵まれたものの、グレースは未だに宮殿の生活になじめずにいた。
お傍付きのマッヂ(パーカー・ポージー)はことあるごとにグレースにしきたりを押し付ける。
赤十字との交渉では赤十字は病院の改修にはも耳を貸さず、秋の舞踏会の準備に熱心で、
慈善事業に注力したいグレースの気持ちを逆なでする。
そんなある日、アルフレッド・ヒッチコック(ロジャー・アシュトン・グリフィス)は、
新作「マーニー」の脚本を持ってグレースを訪ねる。

宮殿生活に辟易としていたグレースは大いに心を動かされる。
レーニエ大公は問題が起こった場合に自分で責任を取ることを条件にOKするが、
モナコの閣僚たちは揃って反対する。

その頃、モナコはフランスとの間に問題を抱えていた。
所得税0のモナコにフランスの企業が移転、フランスが財政を圧迫していると圧力をかけてきた。
強硬派の海運王オナシス(ロバート・リンゼイ)らは反発するが、軍事力がなく、
フランスに対する対抗手段の無いモナコにレーニエ大公は大いに苦悩する。

大公は公妃グレースとも度々衝突、夫婦間の不協和音が発生していた。
グレースを支えるのは、後見人たるタッカー神父(フランク・ランジェラ)、
それにオナシスの愛人で、友人のオペラ歌手マリア・カラス(パス・ベガ)。
身内で味方と思われたのは、レーニエ大公の姉アントワネット(ジェラルディン・ソマーベル)と
その夫ジャン・シャルル(ニコラス・ファレル)。

1962年、アルジェリア戦争で財政難のフランスはモナコに対しフランス企業の課税と
フランスへの納税を命令してきた。
レーニエ大公はドゴール大統領(アンドレ・ペンバルン)と交渉するが一旦は決裂、
やむなく大公はフランスの要求を認める。

しかし、フランスはさらにモナコ企業への課税と納税を要求し、国境を封鎖する。

グレースは映画出演が「モナコを捨ててハリウッドに復帰」ととらえられかねないことを危惧、
今更ながら、宮殿生活のイロハ、フランス語の特訓をデリエール伯爵(デレク・ジャコビ)に依頼、
苦しみながらも特訓をこなし、庶民の中に入り、国境警備のフランス兵に取り入ったり。

しかし、追っかけ記者が「いつ撮影に入るのですか。」と聞いてきた。
映画会社は先にモナコが映画出演を発表したため、やむなく後追いで発表したと言う。
極秘のはずの映画出演を宮殿の誰かがリークした。
グレースは映画出演を断念、タッカー神父とも相談、密かに犯人を探ることになった。
もっとも怪しいのはマッジ。
グレース付きのSPはマッジの行動を探り、フランスからの入国者と接触しているところを捉える。

レーニエ大公は諸外国を味方に付け、フランス包囲網でモナコの危機を救おうとし、
各国の代表を招集して会議を開く。
その際、フランスにあくまで対抗しようとするレーニエを説得するようグレースに申し出た男がいた。
それは、アントワネットの夫、ジャン・シャルルであった。
グレースの中で疑惑が膨れ上がる。
その最中にドゴール暗殺未遂のニュースが入り、各国は一気に離脱、会議は失敗に終わる。
一方、グレースの元にはSPから報告が入る。
フランスのスパイはアントワネット、ジャン・シャルル夫妻。
フランスと結託してレーニエを追い落とし、アントワネットが大公になるつもりだった。
マッジは独自に探偵を雇ってアントワネットの周辺を調査、
ジャン・シャルルとフランスの接触を捉えていたのだ。

覚悟を決めたアントワネット夫妻に国外追放を言い渡す、グレースとレーニエ。
グレースは失意に暮れるレーニエ大公を慰め、再び各国を一同に会させる手段として
赤十字舞踏会の開催を決断、パリに乗り込んで公衆の面前で舞踏会の開催を宣言する。

ジャン・シャルルにはドゴールへ偽情報を報告させ、舞踏会出席を取り付ける。

いよいよ舞踏会当日。
代表として開会のあいさつに立ったグレースはモナコと平和を愛していることを切々と訴え、
たとえ宮殿が爆撃されてもモナコから去ることはないと宣言する。

これには各国代表が感動し、ヨーロッパへの介入に否定的だったアメリカ代表の心も打つ。
ドゴールは苦々しく思いながらもモナコの国境封鎖を解除せざるを得なかった。

**

監督によれば「史実に基づいてはいるが、歴史映画ではない。」とのこと。
また、グレース、レーニエ3世の実子が、美化され過ぎていて史実ではないとも言っているらしい。

ともあれ、映画は映画、史実は史実。
映画がそのまま真実だと思う人はいないでしょう。

さて、細かい点はフィクションだとは言っても要所要所は史実を追うわけで、
時系列に史実を追ってはどうしても盛り上がりに欠ける。

赤十字舞踏会での名演説によって各国の心を動かしフランスの圧力にも抗しきったと
言いたいのであろうから、その部分がもっと盛り上がるようにはできなかったものか。
余分な部分を切り捨て焦点を絞り込んで大公や王妃の苦悩を表現できなかったのか。
スパイ騒動は入れるにしても、フランス語教室や表情の特訓は冗長。
その割には演説後の描写はあっさりしすぎ。

神父とのやり取りは克明ながら、夫婦関係、親子関係は希薄だし、
映画は断るにしても電話でヒッチコックを起こすシーンは必要か。

この点、スピルバーグの「リンカーン」は焦点を「合衆国憲法修正第13条の成立の過程」に絞り、
掘り下げに成功している。

一方「アメリア 永遠の翼」はアメリア・エアハートの上っ面を流した感が強く、
盛り上がりに欠けるとともに遭難に関しても監督独自の切り口が見られず、残念な出来だった。

本作はその間と言った感じ。

個人的にグレース・ケリーとイングリッド・バーグマンの区別がつかない。
ジェイソン・サデイキスとエド・ヘルムズよりも判りにくい。
あるいはマット・デイモンとマーク・ウォルバーグより似ている。
キャラも被ってるし、初めの頃は間違えてました。

 

 

  ドラキュラZERO   

ルーク・エバンス、ドミニク・クーパー、サラ・ガドン、チャールズ・ダンス

**

トランシルバニアの小国、ワラキアの王ビラド2世は、オスマン帝国に屈し、
息子のビラド3世を人質として差し出した。

幼少だったビラド3世は、オスマン帝国で戦士として頭角を現し、
多くの戦いで敵兵を串刺しにして「串刺し王」と呼ばれた。
また、「ドラゴンの息子」とも呼ばれた。

その後、ビラド3世は国に戻り、王として妻や息子と平和に暮らしていた。

そんなある日、オスマン帝国の斥候の装備品が近くの川で発見される。
斥候が来たことを攻撃の前兆と見たビラドは城の警備強化を指示するとともに、
自身は部下とともに川の上流にある山を探りに行く。

断崖の近くで洞穴を発見、コウモリが飛び立つのを見て何かがいると考えて洞穴に入るが、
部下は「不思議な何か」にあっという間に惨殺され、城に逃げかえることになった。

城で祝宴の最中にオスマン帝国の使者が現れ、斥候が死んだことでビラドをなじる。
ビラドは貢物をして使者を追い返そうとするが、使者は若者1000人を差し出せと命令して去る。

ビラドはオスマン帝国の皇帝メフメト2世(ドミニク・クーパー)との交渉に向かうが、
あっさり断られてしまう。
ビラドは覚悟を決め、自身が父にされたように息子を人質に差し出そうとするが、
妻の懇願で引渡し直前に翻意し、戦争を決意してオスマン帝国の使者を殺す。

しかし、軍勢は圧倒的にオスマン帝国有利で、ビラドは単身魔物のいる山に向かい、
魔物に協力を要請する。
魔物(チャールズ・ダンス)は自分の力を与える代わりに自分が洞穴から解放される、
ただし、3日間人間の血を飲まなければ人間に戻れると言って自分の血を飲ませる。

ビラドは血を飲み失神、気付いた時には川で倒れていた。
知覚が異様に発達し、傷はすぐに癒え、コウモリとなって空を駆けることができるようになっていた。

その間にビラドの不服従に怒ったメフメトは1000人の軍勢をビラドの城に差し向ける。
ビラドは城に戻り、悪魔的力で進軍するメフメトの軍勢を蹴散らす。

城の防備はこれ以上無理と見たビラドは臣民を山の上の修道院に移動させる。
一行は待ち伏せたオスマン帝国の一軍に襲われるが、なんとか修道院まで逃げ延びることができた。

夫の変貌に気づいた妻、女王ミレーナ(サラ・ガドン)に問い詰められ、ビラドはバンパイアになったことを告白。
修道士にも王の異変に気付いた者がいて、王が半バンパイアになってしまったと暴露するが、
民衆を助けるためだとしてその場は回避する。

メフメトは体勢を立て直して、1万人の軍勢を送り、修道院を攻撃する。
ビラドはコウモリパワーを発揮して軍勢と戦うが、一部は修道院に入り込み、
息子(王子)を拉致し、妻(女王)を修道院の崖から転落させる。

必死で助けようとするビラドだったが間一髪間に合わず、妻は瀕死の重傷となり、
血を我慢していたビラドに飲ませ、息子を助けるよう懇願。

ビラドはついに血を飲んで、真バンパイアになるとともに、瀕死の兵や民衆にも血を飲ませて、
バンパイアにしていく。

そして、空を雲で覆い太陽光を遮ってメフメトの陣地に乗り込んで敵を次々と串刺しにし、息子を探す。
遂にはメフメトとの対決。
しかし、メフメトはこれを予想し、銀で周りを囲み、ビラドの力を削ぐ。
戦いの末、ビラドは倒され、メフメトに杭を打たれてしまいそうになるが、
最後の力で反撃してメフメトを倒す。

外ではバンパイアと化した部下たちが、オスマン帝国の兵だけでなく、生き残った民衆も襲い、
王子を殺そうとしたため、十字架を携えた修道士に息子を託し、
ビラドは空の雲を掻き消して太陽光をみんなに浴びせ、自身も焼け死ぬ。

しかし、その焼死体を運び出した何者かが、遺体に血を飲ませて復活させる。

現代。
生き延びたビラドは死んだ女王そっくりの女性を発見し、声をかける。
かつての妻が好きだった詞の一節は、その女性も好きだと言うことだった。
仲良くなれそうな二人の後ろで、やはり生き延びていた魔物がほくそえんでいた。

**

展開は非常にテンポよく、特にだらだらと説明が長くなりがちな導入部分もあっさり進行し、
早い段階で半バンパイヤ(能力は身に着けたが人間の血は飲んでおらず人間に戻れる状態)になったのは
その後の展開に時間を割ける意味でうまい作りと言える。

先代のバンパイアが洞窟に幽閉され、交替(次のバンパイアとして幽閉される者)が来るまで、
解放されないと言っていたのに、ビラドは幽閉されることなく戦って死んでしまった。
(ビラドが女王の血を飲んだ時点で先代は洞穴から解放されている)
「死んだから」と言う言い逃れはできるにしてもなんか違和感はぬぐえない。

サラ・ガドンはかなり若く見え、冒頭出てきた時は王子の姉役かと思った。
実際には1987年生まれで、ルーク・エバンス(1979年生まれ)とは8つ違いだが、
もっと年が離れているように見えた。

ドミニク・クーパーもほぼ同年齢(1978年生まれ)。

ドラキュラ。
竜の息子(竜を表すドラクルに息子を表すaがついた呼び名、サン・オブ・ドラゴン)は、
親父(ビラド2世)がかつて竜騎士団に所属して竜(ドラクル=Dracul)と呼ばれていたからで、
本物の竜から生まれた(ようなすごい)男と言う意味ではない。

ただ、ビラド3世が、ビラド・ツェペシュ=串刺しビラド、ビラド・ドラキュラ=竜の息子ビラド、
と呼ばれたことは事実で、オスマン帝国と対立し、何度も戦ったことや、
オスマン帝国軍が串刺しにされた戦死者を見て戦意を失ったりしたことは事実らしい。

 

 

 

 イコライザー 

デンゼル・ワシントン、クロエ・モレッツ、マートン・ソーカス、メリッサ・レオ、ヘイレイ・ベネット。

**

ロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)はホームセンターの新人従業員。
単身でアパートに住み、朝7時半前に起きて身支度を整えて出勤する。
何かにつけて時計で時間を図るような性格。

仕事ぶりはまじめで、セキュリティを目指す同僚のラルフィー(ジョニー・スコーティス)の
減量やトレーニングに付き合う。

仕事が終わり、帰宅し、一人で食事し、深夜になっても寝付けないで、
本とティーバッグを持って近くの深夜営業のカフェに行く。
そこでもいつものように端のテーブルに着き、お湯を貰ってティーバッグを入れ本(「老人と海」)を読む。

常連の女の子、テリー(クロエ・モレッツ)と顔見知りになるが、
歌手志望の彼女が実は娼婦であることはすぐにわかる。

ある日、顔にあざを作ったテリーと話をし、一緒に歩いて帰る途中、
テリーは追ってきた車に連れ込まれる。
車の男のボス、スラビ(デビッド・ムニエール)は、
「あの女はダメだ。他の女を紹介する」と名刺を渡して去る。

翌日からテリーは店に現れず、しこたま殴られて入院していることが分かる。
病院を訪れたマッコールは見舞いに来ていたマンディ(ヘイレイ・ベネット)から、
客を殴ったせいでロシアンマフィアに見せしめにやられたと知らされる。

マッコールはスラビの店に行って9800ドルで彼女を自由にしてくれと頼む。
スラビはOKするとみせてマッコールをなじり、追い返す。

一旦は帰るそぶりを見せたマッコールだが、武装した部下4人とスラビをあっという間に倒す。

翌日、マッコールはレジ係のジェニーが強盗に襲われている所に遭遇、
マッコールは怯えるジェニーをなだめ、犯人の要求通り金と指輪を渡す。
しかし、翌日、誰かがレジにジェニーの指輪を返していた。

スラビはロシアンマフィアの集金係の元締めだった。
ロシアンマフィアは対立組織の仕業と見て、始末屋のテディー(マートン・コーサス)を送り込んできた。

突然ホームセンターを辞めたラルフィーが心配で見に行ったマッコールは、
ラルフィーの母の店が放火されていたことを知り、金を強請っていた刑事をぶちのめし、金を返させる。

テディは防犯カメラの映像をくまなく調べ、マンディを脅して、遂にマッコールの存在をあぶりだす。
テディはマッコールのアパートに探りを入れ、深夜カフェに殺し屋を送り込むがあっさり見破られる。
マッコールは銃で撃たれて傷つくがテディの顔写真を撮って逃げる。

マッコールは元CIAのスーザン(メリッサ・レオ)、ブライアン(ビル・プルマン)夫妻を訪ね、
テディの正体を調べてもらう。

その結果、マッコールが仕置きした2人の刑事は溺死していたこと、他にも汚職刑事がいることを知る。
マッコールは汚職刑事のマスターズ(デビッド・ハーバー)を締め上げ、
黒幕のプーシキンの集金場を襲い、全員を縛り上げて警察を呼ぶ。

マスターズはプーシキンの裏金や汚職献金のリストを隠し持っていた。
マッコールはそれを警察にメールするとともに、プーシキンのタンカーを爆破する。

プーシキンは怒り、テディは新しい殺し屋を雇うが、殺し屋はあっさりマッコールにやられ、
マッコールはテディに面と向かって潰すと宣言する。

テディは、マッコールの働いているホームセンターを襲い、従業員を人質にマッコールを呼び出す。
マッコールはテディらを出し抜いて人質の従業員を逃がす。
そして、ホームセンターの商品などでテディの手下を一人また一人倒していく。
しかし、敵も強くマッコールも怪我を負うがセキュリティになっていたラルフィーが手助けをして、
マッコールはついにテディを倒す。

3日後。
プーシキンの屋敷に現れたマッコールは、部下を殲滅しプーシキンを感電死させて去っていく。

ボストンに戻ったマッコール。
すっかり傷の癒えたアリーナがマッコールに挨拶に来て去っていく。
人助けサイトを立ち上げたマッコールは、いつものカフェで助けてほしいとの書き込みにYESと答える。

**

素性を隠していた正義感あふれる男が「悪」に仕置きをしたところ、
「虎の尾を踏む」ことになってしまった。
しかし、男は虎よりももっと凶暴だった、ということ。

孤高の正義感による勧善懲悪、痛快活劇で、設定や展開に新鮮味はなく、
安心して見られるストーリーと言えるかもしれない。

ただ、映画は面白かったが、宣伝手法はいただけない。

「19秒で世の不正を完全抹消する」のキャッチコピーは、全編を見ずに考えたか、
予告しか知らない観客をミスリードするために考えたものと思われる。
前者ならどうかと思うし、後者ならもっと問題だ。

チラシの裏はもっとひどい。
マッコールは身分を隠して暮らしていて、怒りで本性を現すのであって
少なくともこの映画の段階では「仕事」請負人ではない。

「必要な時間19秒」と言うのも煽りすぎ。
マッコールが秒単位の時間にこだわるのは事実だが、19秒はたまたま一つの結果に過ぎない。
しかも本編では時計は28秒で(始末後の時間経過)9秒を引いて19秒だったし、
元々16秒と見込んでいたのが、少しずれたことの方が意味が深い。

ラストは続編の可能性を匂わせる。

オリジナルは邦題が「ザ・シークレット・ハンター」のタイトルで放送されたTVドラマだったらしい。
オリジナルが裏の仕事人だったとすれば、本作はそこに至るいわば「ビギンズ」あるいは「ゼロ」の位置づけかも知れない。

 

 

               

 

  柘榴坂の仇討   

中井貴一、阿部寛、広末涼子、中村吉右衛門、高島政宏、真飛聖、吉田栄作、藤竜也。

彦根藩。
剣術に長けた志村金吾(中井貴一)は、セツ(広末涼子)を娶り、家老の推挙により
大老井伊掃部頭直弼(中村吉右衛門)近習を拝命する。

幼馴染みの内藤新之助(高島政宏)とは冗談を言い合う仲だが、金吾は
井伊の赤鬼と恐れられる掃部頭(かもんのかみ)を好きだと言ってのけるほど心酔していた。

井伊大老は世に言われる「安政の大獄」によって、水戸藩などから激しい反発を受けていた。

時は安政7年(1860年)、3月3日。雪の朝。
彦根藩上屋敷に「本日、井伊大老襲撃の計画あり」との書状が差し込まれ、
家老は登城を控えるよう進言するが、井伊直弼は節句の祝いがあるとして譲らない。
また、警護もいつも通りで良いとした。

家老は供の者が濡れていては主君が恥をかくとして、雨合羽と鞘袋を着用させる。
門が開き足軽近習など総勢60名が屋敷を出立。
一行は辺り一面、雪が降り積もる中を進み、桜田門近くまで来たとき、
一人の男が行列の前に進み、訴状を差し出す。
志村金吾は駕籠の井伊直弼に直訴があった旨伝え、訴状を受けたり男を拘束しようとした瞬間、
男はいきなり金吾に斬りつけ、それを合図に四方からの襲撃が始まった。
金吾に斬りつけた男は列に割って入り、家康公拝領の槍を奪って逃げる。
金吾は井伊直弼の駕籠を離れ、男を追う。
雨合羽は脱ぎ捨てたものの、鞘袋が邪魔で太刀を抜けず、何とか抜くことができた脇差で男と戦う。
金吾は男に傷を負わせ、槍は取り返したものの、銃声に驚いて駕籠に戻り、男は取り逃がす。

その頃行列の近習足軽どもはことごとく斬り殺され、襲撃者は四方から駕籠に刀を突き立てていた。
かくして井伊直弼以下一行は志村金吾を除いて全員が惨殺されてしまった。

当然ながら役目を果たせなかった志村金吾は切腹、のはずが、
父が切腹、母も自害して果てたため、金吾の切腹は許されなかった。

やがて襲撃犯18名が特定され、死亡1、自刃4、自訴8、逃亡5と判明した。
彦根藩家老は金吾の切腹を許さず、逃亡5名を探し出し、その首を主君の墓前に供えるよう指示。

金吾はセツに離縁して仇討に専念すると伝えるが、セツは離縁を拒否、
本懐を遂げるまで金吾を支えると宣言する。

かくして金吾の仇探し生活が始まった。
一人また一人、逮捕され獄死、また逮捕時に死亡など仇の人数は減っていく。

度々切腹を申し出る金吾の願いは、一旦下された命は取り下げられないとして取り合ってもらえない。
やがて1868年、鳥羽伏見の戦いを経て江戸城開城、明治維新となる。

1871年、廃藩置県により彦根藩は消滅してしまうが、金吾の仇探しは終わらない。
やっとの思いで見つけた相手は獄死、病死などでついに残るは佐橋十兵衛一人となってしまった。

1873年、事件から13年。
金吾は当時の資料を調べるため、新聞社や警視庁などを訪問するが、時代錯誤と相手にされない。
井伊直弼の月命日には豪徳寺の山門前で手を合わせる金吾の姿があった。
墓前に参られよ、との住職に会釈をしてその場を去る金吾。
入れ替わってやはり山門前で手を合わせる人力車夫の姿には気づく由もなかった。

そんなある日、金吾を追う邏卒(らそつ、警官)の姿があった。
それは内藤新之助その人であった。いまだ武士を捨てず仇討をあきらめない金吾。
街中で元武士の窮状を目にして助け舟を出す金吾に多くの元藩士が助太刀を申し出、
武士の心根は無くなっていないことが明らかになる。

内藤新之助は、金吾の姿に感じ入り、警視庁の秋元和衛警部(藤達也)に十兵衛探しを依頼する。
その十兵衛(阿部寛)は直吉と名前を替え、車夫として長屋で静かに暮らしていた。

やがて、秋元は金吾を自宅に呼び出す。
居酒屋勤めで家計を支えるセツは、警視庁警部からの呼び出しにいよいよ仇討が迫ったと悟る。
羽織袴に身を包んだ金吾は秋元家を訪問。
井伊直弼殺害の是非、自訴した襲撃犯が切腹となったことなどで秋元と口論となる。

雪の新橋駅前。
雪で店じまいと仲間の車夫が引き上げる中、仇討禁止の太政大臣布告のニュースに見入る直吉。
金吾は静かに近寄り、雪見見物を申し出る。
最初は桜田門を指示するも坂がきついと断られ、行く先を直吉に任せる。
道中、金吾は直吉と会話を交わす。
直吉は若いころ人を殺める親不孝で両親を自害に追い込んだこと、
殺めた人の名前を一文字貰って「直吉」と名乗っていること、
そして本名が佐橋十兵衛であることなどを語る。

十兵衛もまた襲撃後自刃しようとしたが、金吾に斬られて手が使えず生きながらえ、
ずっと仇討をいわば待っていたのだ。

人力車が柘榴坂を上りきったところで、直吉は意を決して金吾に自分を討つよう申し出るが、
金吾は自分の太刀を差し出して立会を申し出る。
激しい立ち合いで金吾は直吉に勝利するが斬りはしない。
斬らせようとする直吉に金吾は主君の教えだから殺さない、生きよ、と諭す。

金吾はセツを居酒屋に迎えに行き、金吾と二度と会えないと思っていたセツは感涙を漏らす。
二人は雪を踏みしめて帰路に着くのだった。

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武士の覚悟、主従関係の厳しさなどを丁寧に描いた作品。
主君の思いを武士として守り通す。ある意味「蜩の記」に通じるものがあった。

感情の変化の微妙なところまで細かく表現しようとする描き方は演者の演技力もあって
見ごたえはあるが、各カットがやや長い。

殺陣も見ごたえがある。
ただ、武士の時代とその世界観を是としないと理解は難しい。

さて、こういった実際の事件をベースにした物語の場合、史実との違いが気になるもの。
桜田門外の変(映画では「桜田騒動」と呼んでいた)で襲撃犯が18名、井伊直弼の行列が60名は事実。
Wikiによれば、お供60名は全員が斬殺されたわけではなく、
現場で死亡した者4名、負傷しその後死亡した者4名、負傷者13名、他に無傷で逃げた者多数だったらしい。
負傷者のうち重傷者は幽閉、軽傷者は切腹、無傷で逃げた者のうち7名は投獄され後に斬首されたらしい。

また、襲撃側の18名は現場で死亡した者1名、負傷後力尽き自刃した者4名、
自訴8名は切腹ではなくうち負傷致死2名、病死1名、斬首5名となっている。
逃げた5名は自刃1名、逮捕され斬罪2名で2名は後々まで生き延びているようだが、
どちらも佐橋十兵衛と言う名前ではない。

最後に直吉が金吾を乗せたのは、新橋ステーションとあったので旧新橋駅。
現在の新橋駅より少し東、蓬莱橋付近。

桜田門は警視庁の代名詞でもあるが、皇居の門の一つ。
現在なら蓬莱橋付近からどのルートを通っても比較的平坦できつい坂はないが
「XX坂は登れません」のセリフを失念したので検証できない。

なお、井伊直弼の上屋敷へはルートによっては上りがある。
蓬莱橋付近から桜田門までは約2km。

一方、柘榴坂が現在の柘榴坂だとすれば、品川駅から第一京浜を挟んで西に延びる、
品川プリンスホテルとグランドプリンスホテル新高輪の間の坂道だ。
当時は途中でカギ形に折れ曲がっていたようだが今は坂の上までまっすぐになっている。

蓬莱橋からのルートはよくわからないが道なりで坂の下まで約5kmある。
人力車の車速がどれくらいか分からないが雪道でもあり速足程度だとすると小一時間。
時速10km程度なら30分ほどの道程だ。

 

 

               

 

 

 

 

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