ドラゴン・タトゥーの女
ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、ロビン・ライト、クリストファー・ブラマー。
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ミレニアム誌の記者、ミカエル・ブルムクウィスト(ダニエル・クレイグ)は、
実業家のハンス=エリック・ヴェンネルストレームの不正を記事にするが、
逆に名誉棄損で訴えられて敗訴し、多額の賠償金を命じられる。
ミカエルは不倫関係にあるミレニアム誌の編集長、エリカ・ベルジェ(ロビン・ライト)と相談し、
一時的に社を離れることにした。
その頃、ディルク・フローデ(スティーブン・バーコフ)は調査会社を通じて、
密かにミカエルのことを調べさせていた。
調査人は顔中にピアスを入れたリスベット・サランデル(ルーニー・マーラ)。
調査結果は正確で詳しいものだったが、その手法は必ずしも適法ではなかった。
ミカエルは、フローデを通じてヘンリック・バンゲル(クリストファー・ブラマー)に呼ばれ、
スウェーデンの北の街、ヘデスタット(Hedestad)に向かう。
ミカエルの表向きの仕事はヘンリックの評伝(≒伝記)を書くことであり、
その実は、40年も前に失踪した姪、ハリエットを殺した人物を突き止めることだった。
ヘンリックがミカエルに依頼したのは彼のジャーナリストとしての取材調査能力によるものだが、
もう一つ、ヘンリックがヴェンネルストレームを嫌っているからという理由もあった。
ハリエットは40年前のある日、行方不明となった。
しかし、誰も見た者がなく、死体も見つからず、行方知れずのままとなっている。
ミカエルは、昔の事件で解決は到底無理だと考えたが、
ヘンリックが持つヴェンネルストレームの不正の証拠を渡すという条件で調査を引き受ける。
失踪当日、ハリエットはヘンリックに相談があると言ったが、ヘンリックは後で聞くと答える。
この直後にバンゲル家の近くの橋の上で交通事故があり、それにみんなが掛かっているうちに、
ハリエットはいなくなってしまった。
そしてその後、警察による捜索も虚しく、遺体はおろか手がかりすら掴めないままとなった。
ヘンリックはそれ以来、自分の誕生日に送り続けられている差出人不明の押し花を
ハリエット殺人犯から送られたと信じている。
ここで、ミステリーに重要な登場人物の相関を説明しておこう。
ヘンリックは5人兄弟の末っ子。
4人の兄のうち、長兄リカルドと二男のハラルドはナチの協力者。
ハラルド以外の3人はいずれも死亡している。
リカルドの息子にゴットフリード。
一族の鼻つまみで、酔っ払って水死している。
そのゴットフリートの子供に、現在のバンゲル・グループ会長の
マルティン(ステラン・ステルスガルド)と、その妹で失踪したハリエット。
ハラルドの子供に市会議員のビリエル、その妹のセシリア、
さらにその妹で一族を嫌ってイギリスに住んでいるアニカがいる。
ミカエルは、ヘンリックから事件の捜査記録を含む膨大な資料を受け取り、
一族のほか、警察関係者などにも取材を試みる。
特に手がかりとなるようなものはなかったが、一つだけ気になるものが。
それはハリエットの残した手帳の最後に書かれたイニシャルと5ケタの数字。
当時、警察も調べたが、一部は市内の電話番号らしいということだった。
もちろん該当の番号は調査したが、誰もハリエットのことは知らなかった。
ミカエルは手不足を訴え、フローデはミカエルを調べた際に利用した調査会社ミルトン社を紹介する。
ミカエルはミルトン社に乗り込み、調査員のリスベットの所在を知る。
リスベットは幼いころの素行不良がもとで、弁護士のホルゲル・パルムグレンを後見人として、
世話になっていたが、パルムグレンが脳梗塞で倒れたため、後任の後見人になった
リスベットを異常者と決めつけるニルス・エリック・ビュルマンに性的迫害を受ける。
リスベットは自ら迫害シーンを盗撮しており、ニルスに豚野郎と刺青をして後見人を外すよう脅す。
その頃、ミカエルはリスベットの家を直接訪れ、調査への協力を依頼する。
リスベットは事件に興味を示し、調査を開始する。
ミカエルには別れた妻、モニカとの間に敬虔なクリスチャンのペルニラと言う娘がいた。
ペルニラは聖書の会の集会に出る途中だと言ってミカエルの滞在先を訪れる。
そして帰り際、キリスト教の悪口は書かないでね、と言う。
訝しがるミカエルに、机の横に聖書の言葉がメモられていた、と言い残す。
それは、例のイニシャルと5ケタの数字のことだった。
5ケタの数字は、聖書の章節を表すものだった。
そしてそれは、異教徒や異端に対する処罰の仕方が書かれている部分だった。
リスベットは、調査結果を持ってミカエルのもとを訪ねる。
それは連続殺人の手口と聖書の関連だった。
手帳に書かれた件数以上の残虐な殺人事件が起こっていて、すべてが聖書と関連していた。
ミカエルは失踪当日、パレードの写真の中からハリエットの写真を見つける。
雑誌社を訪ね、古い写真を調べてハリエットが何かを見て怯え、その場を立ち去ったと考える。
そしてハリエットの後ろからハリエットの視線の先を撮影している人物を突き止め、
ハリエットが何を見たかを調べ上げようとしたが、決定的なものはなかった。
そうこうするうち、ヘンリックが脳梗塞で倒れる。
ミカエルはフローデからヘンリックが約束したヴェンネルストレームを失脚させる資料を受け取るが、
既に時効になっているような古い事件の資料で、失脚させるには到底物足りないものだった。
一族の大半はミカエルに評伝の作業を止めて帰るよう言うが、マルティンは調査を続けるよう言う。
調べを進めるミカエルは、何者かに狙撃され、弾は額をかすめる。
さらにミカエルの小屋に居ついていた猫がばらばらに殺される。
リスベットは小屋に防犯カメラを仕掛け外敵に備える。
リスベットは、バンゲルの資料館の資料を徹底的に調べ始める。
そして状況証拠から、数々の猟奇的連続殺人事件が、ゴットフリートによるものだと知る。
しかし、ハリエットの事件はゴットフリートの死亡以降であり、犯人は依然として不明だった。
ミカエルはついに決定的な証拠を見つける。ハリエットが見たものは通りの向こうにいる青年、
そのブレザーにはマルティンの寄宿していた大学の紋章が入っていたのだ。
ミカエルはマルティンの家を探りに行く。
マルティンは不在で、何も見つけられなかったミカエルは
マルティンの帰宅で逃げようとして見つかりマルティンに捕まってしまう。
その頃、リスベットもマルティンのブレザーに気付き、
ミカエルに注意しようと戻り、防犯カメラに映ったマルティンに気づく。
マルティンはミカエルを吊し上げ、ハリエットの真相を問いただす。
お前が犯人だと言うミカエルにマルティンは落胆したと言う。
数々の殺人事件はマルティンの父ゴットフリードによるもの。
その後、自分は証拠を残さず殺人を続けてきたという。
すべてはユダヤ人狩りだった。
しかし、ハリエットはユダヤ人ではないし、何より自分の妹だ。
マルティンはハリエット殺害の理由がつかめないままのミカエルを殺そうとするが、
そこにリスベットが飛び込んでマルティンを一撃。
不意を食らったマルティンは車で逃げ、追うリスベットに気を取られて道路わきに激突炎上して死ぬ。
マルティンがハリエットを殺害したのは間違いかもしれない。
ハリエットは生きていてアニカがその所在を知っているかもしれないと思ったミカエルは、
アニカにマルティンが死んだことを告げ、ハリエットに連絡するのを待った。
しかし、ミハエルの見込みは外れ、アニカは一向に誰にも連絡しなかった。
考えられるアニカがハリエットに連絡しない理由は2つ。
一つはハリエットがすでに死んでいて連絡しようがない場合。
もう一つは・・・・・。
ミカエルは賭けに出て、再びアニカに会いマルティンに殺されかけたと言い、
あなたがハリエットですね、と聞く。
その間は当たっていた。
ハリエットは、幼いころから父ゴットフリードに乱暴されていた。
父は酔ってはユダヤ人狩りを自慢、ある夜酔ってハリエットを絞殺しそうになり、
逃げたハリエットは湖のほとりで父をオールで殴り倒し溺死させたのだった。
それを兄のマルティンに見られ、乱暴の相手が父から兄に替わっただけだった。
やがてマルティンは大学の寄宿舎に入り家を出たが、あの祭りの日、
町に帰ってきたマルティンを見たハリエットは、アニカに相談し逃げることを決意。
アニカの車に隠れて家を出たのだった。
イギリスにはアニカの夫と夫婦と偽って出国。
やがてアニカもアニカの夫も死に、自分はアニカとして生きてきた。
ハリエットばれないようにバンゲル家とは一切連絡を取らなかったのが真相だ。
命は取り留めたヘンリックはハリエットと再会、事件は結末を見た。
ヘンリックの疑問は解けたが、ミカエルの汚名は雪がれないまま。
リスベットはミカエルを調べたのと同じ方法でヴェンネルストレームを調べられるという。
ミカエルはリスベットの調査をもとに新たなヴェンネルストレームの疑惑を記事にする。
ヴェンネルストレームはすべて捏造だとするが、司法当局が調査に乗り出す。
リスベットは投資話があると言ってミカエルから大金を借りる。
リスベットはその金で偽装して、ヴェンネルストレームの海外の口座から資金を手に入れる。
メディアではヴェンネルストレームが正体不明の女性を使って資金を隠したと報道され、
ヴェンネルストレームはマフィアに始末されてしまう。
リスベットはミカエルに好意を寄せるが、ミカエルとエリカとの逢瀬を見てしまい、
失意のうちにその場を去って行くのだった。
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スウェーデンの小説「ミレニアム3部作」の1作目のスウェーデン映画
「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」のハリウッド・リメイク。
2部目、3部目のリメイクはあるでしょうか。
オリジナルのリスベットはノオミ・ラパス。
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人物の相関はセリフだけではわかりにくい。
ダニエル・クレイグじゃないけど、聞いただけでは何が何やら。
登場人物はそれほど多くはないが、謎ときに必要な部分、
特に家系図の部分はもう少し丁寧に描写してほしかった。
人物や場所の設定をオリジナルから変えてないのは好印象。
ただし、クローネでいわれても金額の多寡はよくわかりません。
ルーニー・マーラの体当たり演技は、とてもシャイな性格とは思えません。
カメラの前に立つと人が変わってしまうかのようです。
なかなかリスベットとミカエルの接点が交差しないのでやきもきしました。
二人の出会いはもう少し違う展開を考えてました。
ダニエル・クレイグの問題が解決してなかったからですが、
失踪事件が解決して終わりかと思いきや、そこからが長かった。
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