2008/1-4 鑑賞
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この期間に鑑賞した映画の本数  
1月:4(3)本、2月:5(4)本、3月:6(3)本、4月:4(2)本、計:19(12)本 、邦画2本。 カッコ内は試写会
今年の累計  
1−4月期:19(12)本、5−8月期:29(24)本、9−12月期:( )本、年計:48(36)本  
   
 大いなる陰謀  

メリル・ストリープ、トム・クルーズ、ロバート・レッドフォード。

ロバート・レッドフォード監督作品である。

***

時は現代のアメリカ。
3つの物語が同時進行する形で物語が進んでいく。

ひとつは、上院議員ジャスパー・アービング(トム・クルーズ)と
ベテラン・ジャーナリスト、ジャニーン・ロス(メリル・ストリープ)。

もう一つは、大学教授スチーブン・マーレー(ロバート・レッドフォード)と
彼のクラスの学生トッド・ヘイエス(アンドリュー・ガーフィールド)。

そして、新兵のアーネスト・ロドリゲス(マイケル・ペーニャ)と
アーリアン・フィンチ(デレク・ルーク)。

ここでまずこの三者の関係を書いておく。

アービング議員は、今まさに開始されたアフガニスタンでの新しい進攻作戦を立案し、
ホワイトハウス入りを狙う野心家。
そして、ジャニーン・ロスにその情報をリークして有利な報道をしてもらおうと思っている。

アーネストとアーリアンは親友同士で、ともに志願兵として陸軍に入り、
まさにその作戦でアフガンへ進行している。

二人は、元々マーレー教授の教え子で教授の反対を押し切って陸軍にはいってしまった。
そして、トッドは今マーレー教授の教え子でこのところ学問にやる気を失い、授業は欠席成績も落ちている。

***

マーレー教授に朝早くから呼び出されたトッド。
教授はトッドが授業に出なくなった理由を問いただすが、ドッドはなかなか本音を言わない。

一方、アービング議員は古くからの知り合いであるジャーナリストのジャニーン・ロスを彼のオフィスに呼び、
アフガニスタンでの新しい作戦をリークする。

その作戦とは、雪が解ける前に、高台に少数精鋭の部隊を配置、敵を迎え撃つというもの。

そのため、現地では部隊をヘリで展開することになり、アーネストとアーリアンもその中にいた。
目的地近くでヘリは射撃を受け何人かが死亡、アーネストとアーリアンは転落、高台に取り残される。

軍事衛星で現場の様子を確認する司令部では、2人が生存していること、敵軍勢が迫りつつあるとを知り、
航空機による爆撃とヘリによる救出作戦を試みる。

高圧的で別の選択肢はないと言い切るアービングに対し、ベトナムでの失敗と同じだと言うロス。
議論はなかなかかみ合わない。

議論がかみ合わないという点では、マーレー教授とトッドもおなじ。
トッドの鋭い意見にかつてのアーネストとアーリアンを見るマーレー教授と、
彼らに続いて自分を軍隊に送り込む気かと言うトッド。

実は教授はベトナム戦争に参戦、退役後は反戦運動にも参加していた。
アーネスト(メキシカン)とアーリアン(アフリカ系)は、兵役による学費免除を目指しており、
教授の引き留めにもかかわらず、軍に志願したのだった。

このときの説得で、第1次大戦でのドイツ軍将校が前線のイギリス軍兵士を称賛し、
(彼らは勇敢だったが)「これほど愚鈍な羊に率いられたライオンを見たことがない」と
言ったことを引用する。

優秀で大学院への進学を期待されていたアーネストとアーリアンは、教授の反対を押し切り、志願兵となり、
優秀だったトッドはやる気をなくし、政治と国家に対して失望し、ただ傍観しようとしている。

そして、イラク戦争は間違いだったと認めながら、勝利のためには新しい作戦が必要だと言い張り、
マスコミも国民を煽った点では同罪で、今度の作戦を好意的に報道するしかないというアービング。

野心的な政治家であるアービングが信用できず、視聴率とジャーナリストとしての正義感の狭間で揺れるロス。

作戦が失敗し生命の危険にさらされる前線の兵士と、後方で犠牲をものともせず作戦をひねり出す議員、
それにどう対応しようかと悩むジャーナリストと失望感から傍観を決め込む若者。

果たして、何のために戦うのか、そして何のために死ぬのか。

***

社会派のドラマである。

現政権である民主党に対する辛辣な批判になっているのではないか。

マスコミに対しても批判的立場をとっているが、その内面は苦悩であり、
悪夢の再現にならないかと言う国民の感情を代弁しているようにも取れる。

「何のために戦い、何のために死ぬのか?」はチラシのコピーであるが、
これが主題とすれば、それは十分に伝わった。

***

原題は「Lions for Lambs」=羊のためのライオン。

引用されたドイツ軍の言葉は、古くから言われている言葉の揶揄。

1匹の羊に率いられた100匹のライオンは、1匹のライオンに率いられた100匹の羊に劣る。
(あるいは、1匹のライオンが率いる100匹の羊は、1匹の羊が率いる100匹のライオンより恐ろしい、
 あるいは、ライオン率いる羊の軍は、羊の率いるライオンの軍に打ち勝つ)

別な言い方をすると「馬鹿な指揮官、敵より怖い」と言うそうです。
「羊の浅知恵、ライオンを殺す」ってなところでしょう。

「大いなる陰謀」はちょっと合点がいきませんが、「羊とライオン」「獅子と羊」でもピンときません。
もう少しいい邦題はなかったでしょうか。

  

 

  バンディダス   

プロデュース&脚本:リュック・ベッソン
ペネロペ・クルス、サルマ・ハエック

***

1848年。
冒頭は、クエンティン刑事(スティーブ・ザーン)による、今で言う鑑識官の科学捜査の実演から始まる。

彼のフィアンセの父でニューヨークの銀行の頭取はアメリカ西部からメキシコへ通ずる鉄道敷設を計画していた。

銀行から用地買収を請け負ったタイラーは地元の小さい銀行を買収し、
その貸し出し先の土地を強引に買いたたく計画を立てた。

そんな銀行の一つ、メキシコ、デュランゴ、サンタ・リタにあるドン・ディエゴ(イスマエルチ・カルロ)の銀行。

そこから金を借りて返済を迫られていた父の代わりに頭取の家に乗り込むマリア(ペネロペ・クルス)
そのすきに家を訪れたタイラー一味に父は撃たれ、家は焼かれる。

一方、ドン・ディエゴの娘でヨーロッパ留学から一時帰国していたサラ(サルマ・ハエック)は、
知人がマリアの父と同じ目に会い、父は突然死してしまう。

父の死を不審に思いながらもタイラーに銀行や資産を乗っ取られたサラは、
復讐のため、銀行に強盗に入り、マリアと鉢合わせする。

(そこが元はサラの父の銀行だったので)難なく強盗には成功したものの、
タイラー一味をやり込め、土地を取り返すことにはならない。

そこで、神父の紹介でビル(サム・シェパード)に指南を受けて、銀行を襲うことに。

お尋ね者となった2人は、バンディダス(Bandidas、スペイン語で強盗)として指名手配されることになった。

一方、ニューヨークの銀行から科学捜査のために送り込まれたクエンティンは、
調べを進めるうち、サラの父が毒殺であること、タイラーの行いが不当であることを突き止め、
マリアとサラに協力するが、タイラーは銀行の警備を厳重にして、警報装置もつける。

果たして、3人は銀行強盗を続けて、みんなの土地を買い戻すことができるでしょうか。

***

一言で言うと「非常に軽い映画」
脚本が軽妙、展開が軽やか、深く考えさせられる映画ではなくお気軽に見れる。
大きなハラハラドキドキはないが、適当に笑わせ、適当にドキドキさせる。

美女二人の適度なお色気の台詞や仕草もあり、音楽もメキシカン風、昔の東映の時代活劇のように
お気楽にポテチでも食いながら見るような映画でした。

***

ペネロペ・クルスはスペイン人、サルマ・ハエックはメキシコ人、
セリフがスペイン語じゃないかと多少心配したが、わかりやすい発音の英語でした。

映画はリュック・ベッソンということもあり、米仏メキシコ合作の扱い。

強盗指南のサム・シェパード、よく見る顔だと思ったら、
私の見た中では「ステルス」の隊長、「ソードフィッシュ」の上院議員でした。
また、「シャーロットの贈り物」ではナレーターだったそうだ。

  

 


 

  スパイダーウィックの謎   

フレディ・ハイモア、サラ・ボーガー、メアリー=ルイーズ・パーカー、デビッド・ストラザーン。

***

妖精の研究をしていたスパイダーウィック(デビッド・ストラザーン)の書斎。

人間から姿を隠すことができる妖精たち、その秘密を克明に記した1冊の本。

スパイダーウィックはそれを悪役のゴブリン達から守るため、結界で守られた家の中に隠す。

それから80年、古びたその家に、グレース一家の母ヘレン(メアリー=ルイーズ・パーカー)と、
姉マロリー(サラ・ボーガー)、性格の違う双子の兄弟、ジャレッドとサイモン(フレディ・ハイモア)がやってくる。

サイモンはママっ子で典型的ないい子、ジャレッドはパパっ子で典型的なきかん坊。

父をニューヨークに残して越してきたことに憤慨するジャレッドは、新居でもトラブルを起こす。

しかし、どうも目に見えない何かがいるようだが、母も姉もそれを信じず、ジャレッドのいたずらだと思っている。

偶然発見した大伯父の書斎、そこで、ジャレッドは封印され、読んではならないと書かれた1冊の本を見つける。

読むなと言われて読みたくならないはずがなく、ジャレッドは本の封印を解く。

しかし、そのせいで目に見えないゴブリンが襲ってくる。

味方で本をずっと守っていた小さい妖精シンブルタックが、いろいろと事情を説明してくれる。

それによると、
大伯父スパイダーウィックの書いた本を悪いゴブリン達が狙っていること。
その親玉マルガーラスに本を取られるとすべての妖精が殺されてしまうこと。
スパイダーウィックの作った結界(サークル)の中にゴブリン達は入れないこと。
そして、ジャレッドが本を結界の外に持ち出したため、
その在りかがゴブリン達にばれてしまったこと、などなど。

そうこうするうち、サイモンがゴブリンにさらわれる。
救出に向かったジャレッドだったが、ゴブリンに捕まっていたホグスクィールを助け、
妖精が見えるようにしてもらう。

なんとか、逃げ出したサイモンとジャレッドが家に帰るが、追ってきたゴブリンに襲われる。

姉マロリーに魔法の石を渡してゴブリンの存在を認めさせる。

しかし、家は結界で守られているが、そこから出ることができず、対策も立てられない。

果たして、マロリー、サイモン、ジャレッドはゴブリン達に立ち向かうことができるのだろうか。

***

よく出来てはいます。

妖精が出て来るのはいいとして、ストーリーに致命的な破綻は見られないし、
単なるおとぎ話ではなく、家族愛や兄弟愛、危機に際して家族が結束しお互いを信じあう
定番の展開も含まれています。

CGもなかなか良いですし、デビッド・ストラザーンも
フレディ・ハイモアもサラ・ボーガー、メアリー=ルイーズ・パーカーもまずまず。

でもなんか物足りないんだよな。

***

グリフィン(上半身は鷲(あるいは鷹)、下半身はライオン)が出てきます。

顔や能力からハリー・ポッターのヒッポグリフと同じものだと思ってましたが、
正確には違うようです。
ヒッポグリフは下半身が馬で、グリフォンと馬の混血だそうです。

  

 

 

  クローバーフィールド  

「謎」の映画としての宣伝が効果を発揮し、全米公開時はオープニング記録を作り、
そのあとの落下速度も記録的だったモンスターパニック映画。

***

物語は、政府のライブラリにデジタル化されて納められた1本のビデオテープを解説なしで延々と流すと言うスタイル。
そのテープは「クローバーフィールド事件」を記録したものとして、「元の」セントラル・パークで回収されたもの。

テープの冒頭は、4月下旬、ロブ(マイケル・ストール=デビッド)とベス(オデッテ・ヤストマン)とのラブラブシーン。
そのあと2人でデートに出かけるシーンが映し出される。

そのテープをそのまま使って上書きしてしまった設定。
途中から5月下旬になり、ロブの兄ジェイソン(マイク・ボーゲル)やその恋人リリー(ジェシカ・ルーカス)が映る。

実は彼らは、ロブの日本支社転勤のサプライズ・パーティを計画し、その様子をビデオに撮っていたのだ。
ジェイソンはパーティの参加者の一人、お人よしのハド(T.J.ミラー)に
彼のお気に入りのマリーナ(リジー・キャプラン)が来ると言って、ビデオを任せる。

やがて、ロブが登場、遅れてベスが新しい恋人と現れる。
突然のことでロブとベスはけんかになり、ベスは帰ってしまう。
ロブを諭すジェイソン。

突然、地震のような響きで、あたりが停電になる。
すぐに復旧はしたものの、TVでは港でタンカーが転覆したらしいと言っている。
様子を見に屋上へ上がると、遠くで爆発があり、その破片が近くまで飛んでくる。

あわてて逃げ、外へ出てみると、遠くにとてつもない大きなもの(らしいもの)が見え、
唸り声のような音の後で、何かが飛んでくる。それは自由の女神の頭部だった。

続いて、遠くのビルが崩落し、その爆風と塵埃が襲ってくる。
コンビニに逃げこんで難を逃れたが、あたりは埃に煙っていた。
マリーナは何か恐ろしいものを見たらしい。
ビデオには得体のしれない巨大な怪物が写っている。

とにかく、逃げなくては。
ブルックリン橋へ向かう一行。
途中、ロブがケータイの電池を探して入った電気屋のTVで見たものは、怪物から吐き出される小型の怪物だ。
ブルックリン橋を渡る途中、アパートでけがをして動けないというベスの留守録がロブのケータイに入っていた。

戻ろうとするロブ、それを止めようとするジェイソンに怪物が襲う。
そして、ブルックリン橋のケーブルが切断され、橋は崩落する。

以降、ベスを探そうとするロブ、それにつきあう、リリー、マリーナ、ハドの4人。
途中、怪物と遭遇し、地下鉄に避難したり、軍に行く手を遮られたり。

はたして、ベスは見つかるのか、そして、4人の運命は。
そして怪物の正体は、、、、。

***

主人公とともに視線を移動し、カメラも移動する。
「ハンディ・カメラによる撮影」と書く人も多いが、多くはいわゆるステディ・カムでしょう。

しかし、この映画は本当にハンディ・カメラです。
ぶれは半端じゃないです。
前のほうの席で見ると、本当に気持ち悪くなり酔います。

まるで乗り物酔い。
あるいは、昔、遊園地にあったびっくりハウス(椅子に座っていると部屋が上下に回転するもの)です。

「バンテージ・ポイント」では、フォレスト・ウィテカーがハンディカメラを持って走りますが、
あれはハンディカメラで撮影したという想定で、カメラ(おそらくはステディ・カム)で撮ってますし、
「ジェイソン・ボーン」のシリーズも主人公の視線に近くカメラを動かしてますが、あんなものじゃありません。

あの程度で気持ち悪くなる人でしたら、この映画は劇場では見れないでしょう。

心配だけど見たい人は、なるべく後ろのほうの座席を取ったほうがいいかもしれません。

***

映画では怪物は写りますが、あえてその外観が何かに似ているとか形容はしません。
「グエムル」もアメリカ版「ゴジラ」もその形態、形状が映画の要素の一つですからね。

サブタイトルのHAKAISHAは、日本向けに、との監督の要望だそうです。
他の国ではモンスター(の各国語)がサブタイトルについているものや、
すばり「モンスター」(の各国語)になっている国もあります。

さて、続編はあるでしょうか。

  

 

 王妃の紋章  

ワーナー映画「王妃の紋章」、4月12日(土)、東劇ほか全国ロードショー。

監督:チャン・イーモウ(張藝謀)、
出演 : チョウ・ユンファ(周潤發) 、 コン・リー(鞏俐)、 
リウ・イエ(劉Y) 、 ジェイ・チョウ(周杰倫) 、 リー・マン(李曼)


(C)Film Partner International Inc.

「王妃の紋章」日本語オフィシャルサイト 

原題は「満城盡帯黄金甲」英語のタイトルは「Curse of the Golden Flower 」
昨年の第79回アカデミー賞、衣裳デザイン賞ノミネート作品。香港公開は2006/12。

***

時は、10世紀初頭、重陽の節句(菊の節句、9月9日)の前日。
宮廷での朝早くからの日常的な行いが紹介される。

色々あって、城には、遠征に出ていた王(チョウ・ユンファ、)、
城にいた王妃(コン・リー)、長男の皇太子の祥(リウ・イェ)、三男の成(秦俊杰)
3年間追放されていた傑(ジェイ・チョウ)の一家が揃った。

しかし、一家はそれぞれ複雑な人間関係を抱えていた。

ここで、人間関係の相関をおさらいしておこう。

王(チョウ・ユンファ)には先妻がいた。


(C)Film Partner International Inc.

長男の祥は先妻の子、現在の王妃との不倫経験があるが、今は嬋と恋仲で、王位には興味がない。
嬋と一緒になるため、地方への赴任を希望している。
王は妻の不倫を知っており、遂に漢方医の蒋と結託して微量のトリカブトを王妃に飲ませ続けている。

王妃(コン・リー)は、毒と知りつつ薬を飲み続け、黙って金糸で菊花の刺繍を折り続けているが、
王を憎んでおり、重陽の節を機に王に反旗を翻す気でいる。


(C)Film Partner International Inc.

二男の傑は、父に迎合しながらも母を助けたいと思い、板挟みになる。
三男のは一番安穏としているようで、父に大役を願い出ながら果たせず、鬱積したものを持っている。

これに漢方医の蒋(ニー・ダーホン)とその娘嬋(リー・マン)、さらには妻(チェン・ジン)が絡む。
蒋の妻にも旦那の知らない秘密があり、王妃との関係がある。

王子祥は嬋との密会から、王妃の計画を知ってしまう。

しかし、思惑をそれぞれに知られながらもその計画を進めざるを得ない、抜き差しならぬ状況にあり、
ついに、重陽の節のセレモニーが始まる。

***

あれだけお付きの者に四六時中、補助され、監視されていれば、ちょっとそれは無理だろう面もないことはないが、
「ほっといてくれ」も含めて、部下を自由自在に操れるとすれば、さもありなん、ということも。

映画自体は、事前に思っていたより、ずっとすごかった。

途中までは淡々と進行するが(それでも豪華さ、荘重さは伝わる)途中から急展開、
クライマックスに向かって一気にたたみかける。

とにかく、圧倒的物量。
どこまで本物か(CGか)分からないが、すごいの一語に尽きる。
冒頭に宮廷の女官たちが大勢出てくるが、あの程度で驚いていては始まらない。

クライマックスの物量はまさに圧巻。
今まで見たどの映画よりもすごいかもしれない。
実数としてはもっとすごい映画があるかもしれないが、
見る限り「蒼き狼・・・」「HERO」を完全に圧倒していた。

舞台となった広場は故宮博物館、紫禁城の中庭に敷き詰められた菊花、絨毯、そして人また人、

まさに中国でなければできない、と思えた。

衣装、セット、内装は豪華絢爛、百花繚乱。
ほかに適当な四字熟語が思いつかない。
色づかいについては批判もあるようだが、とにもかくにも、鮮やかの一語。
また、金の使い方もまさにどんだけー。
衣装は相当重かったろうと余計な心配をしてしまった。

エンディングの歌もなかなか良かったな、と思っていると、
実は二男、傑役の周杰倫(チョウ・ジェイ、ジェイ・チョウ)が歌っているようだ。
ついでに言うと、彼は劇場版「イニシャルD」で主人公の藤原拓海を演じている。

映画自体は史実ものではなく、「曹禺」という人の書いた「雷雨」を時代劇に置き換えたものらしい。

なお、今回掲載している劇中の写真は、シネトレ公認ブロガーとして、シネトレから提供されたものである。

  

 

  今夜、列車は走る   

アルゼンチン映画、全編スペイン語のため、字幕に頼らざるを得ない。

物語の肝に入る部分を最初に出し、時間をさかのぼって最初から語り出す手法で、
時系列を多少入れ替えてあるが、そんなにわかりにくくはない。

サン・ルイス(アルゼンチンの都市)の「脚本賞」を取って、
同市の映画補助事業の援助を受けて作られた作品。

原題は「Proxima Salida」意味は「次の出口」

***

鉄道会社の事務室。一人の男が何かを書き残して拳銃自殺をする。

雨の中、3人の子供が走る。今、僕たちが行動を起こすときだ、みたいなナレーション。

TVでうす禿の男が、キャスターの質問に答えている。
「どうしようもないんです、我々は鉄道員であることに誇りを持っていました」なんてことを答えている。

話は、何カ月か前に遡る。
労働組合の幹部アントニオ(アルベルト・スアレズ)が、組合員に廃線の告知と退職の同意を求めている。
しょうがないと諦める者もいれば、絶対同意しないぞと怒りをあらわにするものもいる。

鉄道一筋で、ほかに職を考えたこともない人々が突然、会社の都合で首。
でも形式上は自主退職に追い込まれてしまった。

突然収入がなくなり、退職金も借金返済で消えてしまった。
医療保険にも入れないし、失業手当ももらえない。

そんな状況に中産階級だった何人かに焦点を絞って話は展開していく。

一人はカルロス(ダリオ・グランディネティ)、娘とかみさん(メルセデス・モラン)がいる。
新しく職を探して回るが、なかなかうまくいかない。

ゴメス(オスカル・アレグレ)、独り者で馴染みの女カルメン(ルシリア・カペロ)と寝る金もない。

ダニエル(パブロ・ラゴ)はかみさん(バレンチナ・バッシ)とぜんそくの子供がいる。
カロイエロ(クラウディオ・リッシ)に仕事探しを頼んでいるというが、
かみさんは胡散臭いと踏んで信用していない

アティリオ(バンド・ビリャミル)自家用車を使って配送屋に就職するが、
客に騙され、悪がきにパンクさせられと散々な目にあう。

そして、唯一、退職同意書にサインしないで修理工場に居座るブラウリオ(ウリセス・ドゥモント )。

それぞれのつらい日々が繰り返される。

最も怪しい道に進むかと思われたダニエルは、実はスーパーの警備員に就職できた。

ある日、アティリオはTVの配送で、アントニオの家に行き、古いTVをもらって喜々とする。
そして、2人の男とゴメスをスーパーに送るが、ゴメスからアントニオが裏切り者だと聞かされ、怒る。

アティリオはガソリンを取りに修理工場に戻るが、プラウリオは心臓まひで息絶えていた。

やけくそで家の修理をしていたカルロスの目に飛び込んできたのは、
ゴメスが仲間とスーパーを襲っているというニュースだった。

カルロスは、いてもたってもいられずTV局に乗り込んで鉄道会社の理不尽さを訴える。

スーパーで図らずも対峙することになったゴメスとダニエル。
そんな彼らにもカルロスの訴えが飛び込んできた。

そして、その時、全員が目を奪われたものは、、、、

彼らの運命はどうなってしまうのか、、、。

***

社会派ドラマです。

しかし、監督の意図は、政府批判でも国鉄民営化反対でもありません。

アルゼンチンの国鉄民営化になぞらえてはいますが、
何とかやってきてこれからも現状が続いていくと思っていた普通の中流階級の人たちが、
突然、職を失い、まったく先が見えない、出口の見えないトンネルに追い込まれてしまった。

そんな人たちが必死に努力してあるものは堕ち、あるものは這いあがり、あるものは命を失う。

そしてそんな彼らに出口を見せることはできるのか。

いつの時代にもどの国にでも、ひょっとしたら自分にも起こりうることをテーマとしており、
ドキュメンタリーが主眼ではない、ということのようです。

  

 

 魔法にかけられて  

アニメと実写をミックスしたおとぎ話。ディズニー映画を超えたディズニー映画。

エイミー・アダムス、パトリック・デンプシー、ジェームズ・マーズデン、ティモシー・スポール、
そして、スーザン・サランドン、ナレーションはジュリー・アンドリュース。

***

まずは、ディズニーのおとぎ話アニメらしく、絵本を開くところから始まる。
物語のタイトルは「Enchnted(魔法にかけられて)」

ヒロインは、アンダレーシアの森に住むゼジル。
ヒーローは、白馬の王子エドワード、悪役は魔女で彼の継母のナリッサ女王。

女王は、王子が森の美女と結婚して王位を奪われることを恐れて、
侍従のネイサニエルに王子をジゼルに近づけないようにさせていた。

しかし、ハンティングの途中、ジゼルの歌声に気づいたエドワードは彼女と出会い、恋に落ちる。

エドワードは言う、「明日の朝、結婚しよう。」

翌朝、ウェディングドレスに身を包み、馬車でお城に着いたジゼル。
先を急ぐジゼルに不思議な老婆(もちろん女王の変身した姿)が近づき、
願いをかなえてくれるという井戸に連れていく。

そして、底の見えない深い井戸にジゼルを突き落したのだ!

奈落の底へ落ちていくジゼル。

落ちて落ちて、ついに底につく。
そこにある蓋。
その蓋の裏側は現代のニューヨークだった。

ワイヤーの入ったフレアスカート、おとぎ話のドレス姿そのままのジゼル(エイミー・アダムス)
人波に翻弄されながら、お城を探しさまよい歩く。

話は変わって、ニューヨークの法律事務所で離婚調停役をするロバート(パトリック・デンプシー)
バツイチで6歳の娘モーガン(レイチェル・コービー)がいる。
近々、付き合っているナンシー(イディナ・メンゼル)と再婚しようと考えている。

娘を柔道の稽古から連れて帰るタクシーの中、カジノの看板をお城と勘違いしているジゼルを見つけ、
とりあえず連れて帰る。

翌朝、目を覚ましたジゼルは「魔法の歌声」を使って、ロバートの家の部屋を掃除する。
でも、集まってきたのは鳩、ネズミ、ハエ、そしてゴキブリ。
今日のブルーのドレスは、カーテンを切り刻んだものだった。

厄介者と思いながらもジゼルを放っておくことのできないロバート。
何とか家に帰そうにも手掛かりがない。

そうこうするうち、おとぎの国からジゼルを殺そうとするネイサニエル(ティモシー・スポール)、
ジゼルを探しにエドワード(ジェームズ・マーズデン)もやってきててんやわんやが巻き起こる。

ネイサニエルのドジに業を煮やした女王(スーザン・サランドン)まで現れる。

果たして、ジゼルの運命は、ジゼルとエドワードの恋の行方は、、、、。

***

文句なしに楽しい、大人が見れるおとぎ話。笑いどころ満載。セリフも面白い。
かつておとぎ話に胸躍らせた女性諸君、必見です。

音楽がいいです。
舞踏会のシーンなどはさすがディズニー、唸ってしまいました。

ジェームズ・マーズデン、能天気な役柄が多い。

エイミー・アダムス、巻き髪のほうがかわいいぞ。
34にもなってあの仕草、とても可愛かったです。
「Miss Pettigrew Lives for a Day」では奔放な女性を演じています。

パトリック・デンプシーは「グレイス・アナトミー」のデレク医師。
ティモシー・スポールは「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のネズミ男(その後のシリーズにも出ている)
「スウィーニー・トッド」のバンフォード、「ラスト・サムライ」の通訳、グラハム。

  

 

 マイ・ブルーベリー・ナイツ   

ノラ・ジョーンズ、ジュード・ロウ、レイチェル・ワイズ、ナタリー・ポートマン。

***

ニューヨーク。
パンとケーキと食事も出す、小さい軽食屋をやっているジェレミー(ジュード・ロウ)の店に電話がかかってくる。
男を探す電話だった。
電話の女エリザベス(ノラ・ジョーンズ)は、探す相手が店に別の女性と来たことを知り、怒って電話。
結局は、鍵をジェレミーに預けて立ち去る。

しかし、諦めきれないエリザベスは、何度も店に来る。
最後にはジェレミーと話しこみ、ブルーベリーパイを食べる。
(ここまではジュード・ロウが物語の中心っぽい)

そして、エリザベスはついにあきらめて、町を去る。

2ヶ月後、メンフィス。
エリザベスはそこで、昼はレストラン、夜はバーで働いていた。
寂しさを紛らわすためと、眠れない夜を過ごすため。

バーには、常連の酔いどれ、アーニー(デイヴッド・ストラザーン)がいた。
昼間は真面目な警官の彼は、愛する妻スー・リン(レイチェル・ワイズ)とよりを戻そうとしていたが、
うまくいかず、酒におぼれていたのだ。

ある夜、アーニーは、スー・リンの愛人をボコボコにしてしまう。
そして、酔っぱらったまま、初めてスー・リンと会った交差点で電柱に車で突っ込んで死んでしまう。

8ヶ月後、ネバダ。
カジノ・バーで働くエリザベス。

ギャンブラーの一人にレスリー(ナタリー・ポートマン)がいた。
彼女はポーカーで有り金をスッてしまい、エリザベスの持ち金に目をつける。
車をやるとの条件で、エリザベスから金を巻き上げるがまたもスッてしまう。

ラスベガスまで乗せてってというレスリーとエリザベス。
ラスベガスにいるレスリー父が入院したとの連絡が入る。

どうせでまかせ、と本気にしないレスリーだったが、病院に着いた時にはすでに遅かった。
彼女は車は父の形見だからやらないと言い出し、実は勝っていたからとエリザベスに金を渡す。

その金で、念願の車(中古車)を買ったエリザベスは、ニューヨークへ向かうのだった。

***

甘酸っぱい、ラブストーリー。
ここは失恋レストラン。

監督は、ウォン・カーウァイ。
ちょっと雰囲気が違いましたね。撮り方とか。

飲んだくれのアーニーが、ボーン・アルティメイタムの敵役ノア・ボーゼンとは思いもよりませんでした。

ノラ・ジョーンズは、映画初出演?
これまではパフォーマーとして映画に参加しているが、女優としての実績はないようだ。
(ヒュー・グラント/サンドラ・ブロックの「トゥー・ウィーク・ノーティス」に出演しているが歌手の本人役)

  

 

 バンテージ・ポイント  

デニス・クエイド、シガニー・ウィーバー、フォレスト・ウィテカー、ウィリアム・ハート。

***

毎回、予告やチラシのいい加減さには驚かれるというか騙される。
大して重要なポイントでもないのだが、まず違うものとして「たった一発の銃弾」がある。
英語版の予告を見ればわかるが、銃弾は2発、連続して撃たれる。

そして、明らかに大統領が替え玉であることも予告で示される。
日本語版予告でもそれがわかるシーンは出るが、でたらめな字幕のせいでごまかされ、
大統領替え玉作戦が物語の中心であるかのような錯覚を覚える。

そんな単純なものではなかった。

***

スペインのサラマンカ。
西欧諸国とアラブ諸国のテロ撲滅のための和平協議が行われようとしていた。

広場に集まる各国首脳。
アメリカ大統領の到着を待つTV局、GNNの現地中継ディレクター、
レックス・ブルックス(シガニー・ウィーバー)は、
忙しく、そして手際よくカメラクルーやレポーターに指示を出していた。

大統領の警護で現場に現れたSSエージェント、トーマス・バーンズ(デニス・クエイド)を見たレックスは驚く。
ほんの1年前、バーンズは大統領を守って銃撃され負傷していたのだった。
(この辺は、「ザ・センチネル」のピート・ギャリソン(マイケル・ダグラス)と同じですね)

バーンズはあたりに警戒をし、向かいのビルに怪しい動きを見る。

市長のあいさつの後、アシュトン米大統領(ウィリアム・ハート)が演説台に立った瞬間、
向かいのビルから放たれた複数の銃弾が大統領を直撃する。

パニくる現場、混乱の中、広場の外から爆発音が聞こえる。
どこかで爆発が?
GNNの中継車があわただしく現場の様子を拾っている時、広場で大爆発が起こる。

時刻は23分前に遡る。
ちょうど12時、トーマス・バーンズは、大統領護衛のためにホテルを出発するところだった。
現場復帰が早すぎる、と心配を隠せないSSの面々。
バーンズは心中穏やかでないが、大統領警護を続けるのだった。

広場について、大統領を先導し、ステージの両脇で様子をうかがう。
向かいのビルの怪しい動きをチェックさせたが、扇風機でカーテンが揺れているだけだった。
しかし、次の瞬間、狙撃により大統領が撃たれる。

ステージに駆け上がってくる男を抑えるが、それはスペインの私服警官だった。
群衆の中にビデオカムを持つ観光客(フォレスト・ウィテカー)を発見し、カメラを見せろと迫る。
そして、映像を確認、危ないと思った瞬間、大爆発が起こる。

爆発の中から立ち上がったバーンズ、司令部に連絡をしようとするが通じない。
GNNの中継車に入ってビデオ映像を確認していると、そこにはとんでもない光景が映し出された。

時刻は12時ちょうどにさかのぼる。

私服警官のエンリケは、市長警護のため広場に向かっていた。
しかし、その目当ては恋人のベロニカ。
ベロニカが見知らぬ男と意味深な態度をとっていたのを不審に思いながら、荷物を渡す。
自分はステージの裏手にまわって、演説を聞き、米大統領の狙撃に遭遇する。

ステージに駆け上がるが、バーンズに取り押さえられ、SSに連行されそうになる。
捕まっているエンリケをよそにベロニカが近づいてきてそして去っていく。
「危ない、逃げろ」エンリケの言葉の直後、ステージで大爆発が起こる。

混乱の中逃げるエンリケ、追うSS。
逃げる途中で救急車の中にベロニカの姿を見る。

そして、男が言っていた「ガード下」まで行ってみるのだった。

*

時刻は12時ちょうどにさかのぼる。

観光客のハワード・ルイス(フォレスト・ウィテカー)は、ソニーのビデオカメラで撮影をしていた。
母と一緒の少女アンとぶつかりアイスをつけられる。
周りを映していると、意味ありげな二人連れが視界に入る。
観光客が近づいてきて、他愛もない話をして、また去っていく。
ハワードは撮影を続け、市長の演説を聞きながら、SSのバーンズの動きがおかしいことに気がつく。
バーンズの視線の先に何かがあるとみて、そちらを映していると、突然の銃声が響く。

こうして、大統領狙撃を軸に12時からその時間までの動きを8人の目撃者の視点で描いていく。

その8人とは、
復帰したばかりのSSエージェント、トーマス・バーンズ(デニス・クエイド)、
その相棒のエージェント、ケント・テイラー(マシュー・フォックス)、
アメリカ人観光客、ハワード・ルイス(フォレスト・ウィテカー)、
スペインの私服警官、エンリケ(エデュアルド・ノリエガ)、
その彼女で怪しい動きのベロニカ(アイレット・ツゥーラー)、
彼女と会っていた謎の男、ハビエル(エドガー・ラミレス)、
たまたま広場に来ていた少女、アン(アリシア・ザピエン)、
そして広場にいた観光客の一人、スウレス(セド・タグモア)

それぞれが、大統領狙撃の前後にどういう動きを取ってどういうものを見たのか、
ある場所にいた人にはそこで起こったことしかわからないが、実は全体像は少し違う。

また、大統領自身の視点でも描かれるし、TVディレクター(シガニー・ウィーバー)の視点も描かれる。

少しずつネタをばらしながら、陰謀の核心に迫っていく、というもの。

大統領への2発の銃弾。
広場の外で起こった爆発。
広場の中で起こった爆発。

それぞれに意味があり、それぞれが目的に沿って仕組まれていた。

***

広場のレポーターのアンジー(ゾーイ・サルダナ)は、
ターミナル」の入国審査官、「ゲス・フー」で主人公の女性。

爆発の起こったのは、12時25分ごろのはずだが、
衝撃が収まった後の広場の時計が10時10分を指していたのを
私が見逃すと思ったら大間違い。

カー・チェイスでは激しい衝突でボンネットが外れて
跳ね上がる場面もあったが、次の瞬間には、
ボンネットは普通で、傷やへこみを見つけることは出来なかった。

  

 

 エリザベス ゴールデン・エイジ 

ケイト・ブランシェット、クライブ・オーウェン、ジェフリー・ラッシュ、
サマンサ・モートン、エディ・レッドメイン

***

1998年の「エリザベス」の続編。
未見だが、その映画はケイト・ブランシェットを一躍有名にした。

前作では16世紀後半、カソリックとプロテスタントの対立の続くイングランドで、
エリザベスが女王として君臨するまでを描く。

エリザベス(1世)はヘンリー8世の2番目の妻、アン・ブーリンの子として生まれるが、
母は父ヘンリー8世に処刑される。

エリザベスと、最初の妻の子メアリー・チューダーは、妾の子扱いされるが、
6番目の妻であるキャサリン・パーに救われる。

プロテスタントだったヘンリー8世の死後、短命のエドワード、ジェーン・グレイに続いて、
カソリックのメアリー・チューダーが即位、エリザベスは幽閉される。

メアリー・チューダーの死後、エリザベスは復権し、王位継承権について、
伯母にあたるメアリーの孫でスコットランド国王のメアリー・スチュアートと争いになる。

そして、1559年エリザベスは即位し、イギリス国教(プロテスタント)を復権、
同時にカソリックにも寛容な政策を行う。

そして、いよいよ今作に続く。

***

メアリー・スチュアート(サマンサ・モートン)はスコットランドに幽閉されながら、
依然として自分が正当な王位継承者であると主張。
イングランドと全欧を支配しようとするスペインとの対立関係は続き、
スペインはメアリーをイングランド国王に担いで、エリザベスを暗殺しようと企んでいる。

バージン・クィーンであることの孤独と自由への羨望。
新大陸への展開を目指す、ウォルター・ローリー(クライブ・オーウェン)への憧れと憎しみ。

メアリー・スチュワートとカソリック教徒たちの女王暗殺計画。
スパイを組織して陰謀を暴こうとするフランシス・ウォルシンガム(ジェフリー・ラッシュ)。
トマス・バビントン(エディ・レッドメイン)は女王暗殺に失敗する。
そして、メアリー・スチュアートの処刑を契機に、スペインのフェリペ2世(ジョルディ・モリャ)と開戦に。

圧倒的勢力のスペイン無敵艦隊。
迎え撃つイングランド艦隊は1/5ほどの勢力。

こうして1588年、イギリス海峡でのアルマダの海戦の火ぶたが切って落とされるのだった。

***

前作も見ない、イギリスの歴史にも詳しくないと、へえーっで終わってしまいそうな映画。
その場合は人間エリザベス1世の苦悩、豪華絢爛な衣装などをご堪能ください。

ジェフリー・ラッシュは「パイレーツ・オブ・カリビアン」のバルボッサ。
サマンサ・モートンは「マイノリティ・レポート」のプリコグの一人。
エディ・レッドメインは「グッド・シェパード」のマット・デイモンの息子。

***

実際のアルマダの海戦では、スペイン軍は兵員艦船数ともイングランド軍の2倍程度だったらしい。
ほぼ同数のフランス軍の参画があればどうなっていたか分からないが、失敗した。

また、ドーバー海峡での戦いははじめからイングランド軍の優勢で、
「カレー沖の戦い」で、インクランド軍は焼き討ち船攻撃によりスペイン無敵艦隊を混乱に陥れ、
スペイン艦隊は這う這うの体で、ブリテン島を一周して敗走。
その間もアイルランド沖で多くの艦船を失うなど、壊滅状態で国に逃げ帰った。

この後、スペインの制海権は失われ、没落の道をたどる。

なお、エリザベス1世は、「バージン・クィーン」と言われるように一生独身を通し、子供はいなかった。
このため、崩御に際し、メアリー・スチュアートの子でスコットランド王であるジェームズ6世を指名。
ジェームズ6世は、イングランド王ジェームズ1世となった。

ジェームズ1世は、カソリックだった母とは違いプロテスタントで、カソリックを排除した。

反発したカソリックの過激派は1605年11月5日、火薬陰謀事件( Gunpowder Plot)を起こす。(未遂)
このときの実行犯がガイ・フォークスであり、「Vフォー・ヴェンデッタ」のモデルである。

Remember, remember the fifth of November, gunpowder, treason and plot, I see no
reason why gunpowder treason should ever be forgot.

  

 

 明日への遺言  

藤田まこと、富司純子、蒼井優、田中好子、近衛はな。

目黒祐樹の娘が傍聴席の最前列にいるので、目黒なんだっけ?と思って調べても見つからない。
それもそのはず「近衛はな」と改名していたのね。

***

第2次大戦で日本が受けた最大の被害を広島/長崎への原爆投下だと思うことは間違いではないだろう。
しかし、それだけが甚大な被害であとは軽微であったと思うことは間違いである。

1945年、すなわち昭和20年、米軍の爆撃は軍事目標から市街地に展開される。
3月10日には東京大空襲によって10万人が死亡したとされる。
これは死亡者数に限って言えば、長崎の原爆犠牲者を凌ぐ数値である。

続いて3月12日には名古屋、3月13日14日には大阪、3月17日には神戸、そして3月19日には再び名古屋。
次々と都市市街地への空襲が行われた。

その後も、市街地への大規模な空襲が繰り返され、日本の主要都市市街地はほぼ壊滅、
さらには、8月の広島、長崎への原爆投下と続き、
日本がポツダム宣言を受諾した8月10日以降も空襲は続いた。

米軍による無差別攻撃は、原爆によってその頂点を迎えたわけであるが、
被害の程度こそ違え、市街地への無差別爆撃という点では焼夷弾による各都市への爆撃も変わりがない。

物語はこのような名古屋における空襲で、墜落したB−29から脱出した搭乗員を斬首刑にした罪で、
戦犯裁判にかけられた、東海軍方面司令官、岡田資(おかだたすく)中将と19名の部下の物語である。

***

この映画では、岡田中将が戦犯として裁かれた横浜の軍法会議の様子を中心に展開する。

岡田中将は、すべての責任は司令官である自分にあるとし、
また米軍の「無差別爆撃」を国際法違反の非人道的なものと糾弾し、
爆撃機搭乗員こそ戦犯であるとした。

結局、裁判では有罪判決を受けるが、一貫として信念を貫き、
ついには米軍の空襲が無差別爆撃であったことを認めさせた。

また、検事や判士(軍法会議の裁判官)にもその真摯な態度が伝わり、
後に減刑の嘆願、銃殺への変更嘆願が出たということだ。
しかし、それらはGHQ司令官マッカーサーに認められることもなく、絞首刑に処せられたのである。

***

ハッキリ言って、よくわからない映画でした。
映画の内容というよりも、なぜ「映画」という表現を選んだか。

自らの命を賭してアメリカ軍の無差別爆撃を非難し、
これを認めさせた軍人岡田資がいかに立派な職業軍人であったか、
そして人間的にも尊敬に値する人物であったかを描く、ということだとは思いますが、
描きたいものはたぶんそうだろうと思えても「映画」からは伝わりません。

岡田資という人物を描くのにこの「映画」の表現方法がそれにふさわしいかは疑問です。

  

 

 ジャンパー  

ヘイデン・クリステンセン、サミュエル・L・ジャクソン、ダイアン・レイン、アナソフィア・ロブ、マックス・テアリオ。

***

デビッド・ライス(マックス・テアリオ、Thieriotとつづるが、テアリオと発音する)はいじめられっ子だった。
15歳の時、想いを寄せるミリー(アナソフィア・ロブ)へのプレゼントをからかわれ、氷結した川に落ちる。
まさに死ぬと思った瞬間、図書館にテレポートする。

人々には死んだと思われるデビッドは、自分にテレポート能力があると知り、
これを機会に家を出る。

練習してある程度自由に行き来できるようになると、
銀行の金庫に押し入り、大量の金を手に入れて優雅に暮らすようになる。

8年後、デビッド(ヘイデン・クリステンセン)は、テレポート能力を使って自由気ままに暮らしていた。

しかし、そんな彼を追う者がいた。
ローランド(サミュエル・L・ジャクソン)はNSA(国家安全保障局)や警察やFBIを名乗り、
これらのジャンパーを追い詰め殺していく集団「パラディン」のメンバーだ。

デビッドは、ローランドの襲撃を受け、わけもわからないまま逃走、故郷にミリーの姿を見に行く。

人知れず去ろうとしたデビッドだったが、幼馴染に見つかり、ミリー(レイチェル・ビルソン)と再会する。

デビッドはミリーを憧れのローマへ連れていく。
しかし、待っていたのは、パラディンの一味と同じジャンパーのグリフィン(ジェイミー・ベル)だった。

パラディンは、ジャンパーを抹殺するためには、家族、友人も見境なく殺すという。

デビットの行動に不信感を募らせるミリー、戦いにパートナーは要らないというグリフィン。
新兵器を繰り出して、ジャンパーを捕え殺そうとするパラディン達。

否が応でもジャンパーとグリフィンの戦いに巻き込まれたデビットは、どうするのか。
そしてそんな超能力者の争いに巻き込まれたミリーの運命は、、、。

***

88分と短い映画の割には、長い感じだった。
と言っても、だらだらと長い感じではなく、ぎっしりと詰まった「濃い」長さだ。

何せ飛んでいくから、とにかく展開が激しく、目まぐるしい。

テレポートは、自分だけが瞬間移動するのではなく、
わずかに開いた空間の亀裂からウォーム・ホールを通じて、別の場所に移動する。

したがって、本人のすぐ近くのものも一緒に移動するし、
その跡をたどって同じ場所に行くこともできる。

もちろんあり得ないことではあるが、それなりに筋が通っている。

ヘイゼン・クリステンセンは、表情がとてもよく表現できていた。
アナソフィア・ロブもよかった、また大きくなりましたね。

グリフィンのジェイミー・ベルは、「キングコング」で向こう見ずのヤングマン、ジミー、

ヤング・デビッドのマックス・シオリットは「キャプテン・ウルフ」のプラマー家の子供の一人。

なお、銀座と渋谷が出てきます。

  

 

 ライラの冒険 黄金の羅針盤  

フィリップ・プルマンの3部作「His Dark Materials」の第1章「The Golden Compass」(黄金の羅針盤)

主役のライラにダコタ・ブルー・リチャーズ、コールター夫人にニコール・キッドマン、
叔父のアスリエル卿にダニエル・クレイグ、魔女の女王セラフィナ・ペカーラにエヴァ・グリーン、

このほか、サム・エリオット(ゴースト・ライダーの墓守)、
クリストファー・リー(ウィリー・ウォンカの父、LOTRのサルマン、SW2、3のドゥーク伯)
動物の姿をして人に寄り添うダイモン(deamon、運命を導く神霊、守護神)の声に、
フレディ・ハイモア、キャシー・ベイツ(80デイズのエリザベス女王)など。
また、ホッキョクグマのイオレク・バーニソンの声は、イアン・マッケラム(LOTRのガンダルフ)

***

われわれの住む世界と似ているが少し違うパラレル・ワールド。
この世界では、人はそれぞれの動物の形をしたダイモン(デーモン、分身、人を導く神霊)がいる。

オックスフォードの寄宿舎に住むおてんばな少女ライラ(ダコタ・ブルー・リチャーズ)。
付近では子供の行方不明が相次ぎ、ついには親友のロジャーも行方が分からなくなる。

叔父のアスリエル卿(ダニエル・クレイグ)は、他のパラレル・ワールドとこの世界をつなぐ
「ダスト」の調査で北極に向かうが、途中で反対勢力に捕まってしまう。

一方、学園に顔を利かせるコールター夫人(ニコール・キッドマン)は、
ライラを北への旅行に連れていく、と言い出す。

ライラは出発を前に学園長から、真理を読み解くアレシオメーター(またの名を黄金の羅針盤)を預かる。
学園は離れたもののコールター夫人はなかなか北極へは行こうとしない。

そうこうするうち、ライラは、コールター夫人が子供の行方不明に絡むゴブラーのボスであると知り、
黄金の羅針盤を狙っていることに気づく。

ライラはコールター夫人から逃げ、ジブシャンの一味に保護される。

北極へ向かう途中、鎧熊(よろいぐま)のイオレクを仲間に入れ、冒険を繰り返しながら、
ついに北極のゴブラーのアジトの研究所にたどりつく。

そこでライラが見たものは、、、、

***

クライマックスシーンの直前でフィルムが切れるハプニング。
フィルム切れなんて滅多にないから何が起こったのかわからない人が多かったようだ。
正確にはフィルが切れたのではなく、1巻の残り何秒分かが、飛んでしまったようだ。
フィルムのスプロケットホールが外れたか破れて、一気に巻き取られたのではないか。 

すぐに次の映写機に移って「抜け」は数秒〜10秒分程度で済んだと思われる。

***

このあと「神秘の短剣(The Subtle Knife)」、「琥珀の望遠鏡(The Amber Spyglass)と続く、
3部作の第1章である。

続編として「The Subtle Knife」の制作が予定されていて、本編も続きがある終わり方をしている。

ただ、3部作の第1幕という感じで、どうしても世界観や登場人物の紹介的な展開は否めず、
やや散漫な感じを受けた。

また、登場人物が、性格的にいわゆる「嫌なやつ」が多く、
あまり感情移入ができにくいというか好きになれなかった。

ビック・ネームがチョイ役で次々と出てくるが、そのあとに続かない(出番がない)ので、
何であそこで出てきたのかなど余計なことを考えたりしてしまう。

***

英語のタイトルは、「The Golden Compass」
「ライラの冒険」という邦題はGAGAが名付けたように言われているが、
和訳の小説にも「ライラの冒険シリーズ」がサブタイトルとして付けられている。

日本では、映画の話題が出る前から「ライラの冒険」として知られていたようである。

  

 

  ペネロピ  

クリスティーナ・リッチ、ジェームズ・マカボイ、キャサリーン・オハラ、リース・ウィザースプーン。

***

先祖が下女に手を出して妊娠させたが、一族の反対で名家の娘と結婚。
世をはかなんだ下女が自殺して、その母は魔女と化し、次に生まれる娘に呪いをかける。

しかし、5代にわたって男の子しか生まれず、ついに生まれた子が、豚鼻と豚耳を持ったペネロピ。

「一族の愛によって呪いが解ける」という言い伝えを信じて、名家の子息と次々に見合いをさせるが、
全員がペネロピの顔を見たとたん、驚いて逃走してしまう。

かつて、赤ん坊だったペネロピの写真を撮ろうとして片目をつぶされた記者のレモン(ピーター・ディクレイジ)は、
逃げ出した男の一人エドワード(サイモン・ウッズ)と結託して、
落ちぶれた名家のマックス・カンピオンを結婚相手に仕立て、ペネロピの家に潜り込ませる。

マックス(ジェームズ・マカボイ)と直接顔を合わせず、徐々に打ち解けていくペネロピ。
意を決してマックスにプロポーズするペネロピ。
しかし、マックスは結婚できないと答えるのだった。

ペネロピは、ついに家を抜け出して、一人で外界に立ち向かっていく。
顔を隠したまま、ホテルに泊まり、酒を飲み、知り合ったアニー(リース・ウィザースプーン)と友達になり、
水族館に行き、美術館に行き、すべてが初めての体験だった。

しかし、心配する両親に見つかり、ついにその正体がばれる時が来た。

はたして、ペネロピはどうなってしまうのか。

***

結構よくまとまってましたし、面白かった。
よく出来てました、クリスティーナ・リッチも可愛かったしね。

彼女はどうしても「アダムス・ファミリー」のウェンズデーの印象が強いですが、
「キャスパー」「スリーピー・ホロー」「モンスター」「ブラック・スネーク・モーン」など、
多彩な役回りをこなしています。

ジェームズ・マカボイはどこかで見たと思ったんですが、「ナルニア物語第1章」の半身獣フォーンでした。
WANTEDでは、ヒットマンの息子でアンジェリーナ・ジョリーにしごかれます。

母親のキャサリーン・オハラは、「ホーム・アローン」「同2」のお母さん。

泣くような場面はなかったんですが、、、、と思いきや、隣の席の女性がすすり泣き。
会場を出る時も多くの女性が泣いているのでびっくり。
デート・ムービーとしてはぴったりじゃないでしょうか、この後、愛を語れば成功間違いなし。

  

 

  テラビシアにかける橋 

アンナソフィア・ロブ、ジョシュ・ハッチャーソン、ロバート・パトリック、ズーイ・デシャネル。

***

田舎町に住む10歳のジェシー・アーロン(ジョシュ・ハッチャーソン)走ることと絵が好き。
家は貧乏で、女4人姉妹に囲まれて、父親からもあまり可愛がられず、学校ではいじめられている。

夏休み明け、都会からレスリーが転校してくる。
明るく元気で想像力に長けていて、勉強もできるし足も速い。

両親は作家で、ジェシーの隣に越してきていた。

いじめられっ子で友達もいないジェシーだったが、レスリーだけは違った。

ジェシーはレスリーに誘われるまま、森の中を冒険し、2人だけの魔法の国「テラビシア」を見つける。
2人で木の上の小屋(廃屋)を改築し、魔法の世界を満喫する。

ジェシーはレスリーと仲良く遊ぶうちにだんだんと明るくなっていく。

ある日、ジェシーは憧れの音楽のエドモンド先生(ズーイ・デシャネル)に誘われて美術館に行く。
一瞬、気にはなったがレスリーのことは誘わなかった。

楽しい時間を過ごして帰宅したジェシーに、悲劇が告げられる。
レスリーが(テラビシアに行く時に川を越える)ターザンロープが切れて川でおぼれ死んだのだ。

レスリーを誘わなかったことの後悔の念にさいなまれるジェシー。
悲しみから逃れられず、レスリーのことも忘れられない。
果たして、ジェシーはどうなってしまうのか。

***

同名の児童文学の映画化。いわゆるファンタジー映画ではありません。

ドラマチックな展開でも、サスペンスな展開でもありませんが、
これだけ感情豊かな作品を作ることができるんだと感心しました。

もう子供には戻れませんが、子どもたちの心根に触れることのできる物語で、
ああ自分たちにもこういう時代があったんだなあ、としみじみとしてしまいました。

アンナソフィア・ロブ(「チャーリーとチョコレート工場」のバイオレット)がいいし、
ジェシーの妹の3女メイベル(ベイリー・メディソン、8歳)もなかなかいいです。
ズーイ・デシャネルは、「エルフ」のジョビー、「銀河ヒッチハイクガイド」のトリリアン。

  

 

 スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 

ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アラン・リックマン、ティモシー・スポール。

***

ビクトリア朝末期、一隻の船に乗ってスウィーニー・トッド(ジョニー・デップ)がロンドンに戻ってきた。

元フリート街の理髪師ベンジャミン・バーカーは美しい妻と赤ん坊の娘と暮らしていたが、
判事ターピン(アラン・リックマン)の陰謀で投獄されてしまう。

15年後、バーカーは脱獄してスウィーニー・トッドと名前を変え、愛しい妻と子のいるロンドンに戻ってきた。
かつての自分の店はラベット(ヘレナ・ボナム=カーター)のミートパイ屋になっていた。

そこでスウィーニー・トッドはラベットから妻がターピンに凌辱されて服毒、
娘のジョアナ(ジェーン・ワイズナー)は、ターピンの屋敷に囚われていると聞かされ、
怒りに燃えて復讐を誓うのだった。

船でトッドと一緒だった若い船乗りアンソニー(ジェイミー・キャンベル・バウアー)は、
窓辺にたたずむ金髪の美女に一目ぼれする。
物乞いの女に聞いて、その娘がジョアナで、ターピンに閉じ込められていることがわかるが、
アンソニーは色目を使ったとして、ターピンにこっぴどくやられる。

トッドは、ターピンを殺すために理髪師として名を上げようとしてイタリア人理髪師ビレリに挑戦して勝つ。
しかし、そのピレリは、もともとトッドの友達で、彼がベンジャミン・バーカーであることを知っていた。
正体がばれそうになって、トッドはビレリを殺してしまう。

ターピンはジョアナを自分のものにするため、結婚すると言い出し、
身だしなみを整えるため、トッドの正体を知らず髭をそりに来る。
トッドが今まさにその首を裂こうとした瞬間、アンソニーが店に来てすべてはおじゃんになる。

トッドは、ラベットと共謀してビレリで人肉パイを作ることにする。
トッドは、ひげを剃りに来る男の首を掻っ切ってラベットに肉を提供する。

人肉パイのラベットの店は繁盛するが、物乞いの女はラベットの悪事を嗅ぎつけ、
また、元ビレリの助手だったトビーは、トッドを信用していない。
しかし、ラベットもまたトビーには隠し事をしていた。

そんななか、トッドはアンソニーにジョアナを救出させ、それを餌にターピンをおびき出すことにした。
はたして、トッドの策略は、復讐は成功するだろうか。
そして、ジョアナの運命は。

はたまた、トッドに想いを寄せるラベットが隠していたこととは一体何か。
物語は血塗られた驚愕のエンディングへ向かって進んでいく。

***

スプラッタ、というほどではないにしても、オープニングタイトルからしておどろおどろしいし、
血しぶき満開、ジョニー・デップのシャツも返り血で真っ赤になる。

時間的経過がよくわからない。
2、3日の出来事のようにも思えるし、何週間もの出来事のようでもある。
思ったとおりに展開していくようにも思えたが、最後は「えっ、そうだったの?」だった。

なお、血しぶきのせいか、R−15指定になっており、
女性同士やデート・ムービーとしてはあまりお勧めできない。
 

  

 

  犬と私の10の約束  

福田麻由子、田中麗奈、加瀬亮、豊川悦司、高島礼子、布施明、池脇千鶴。

犬の種類はゴールデン・レトリバー。

***

今から10年前、函館に住む明るい中学生、斎藤あかり(福田麻由子)
大学病院に勤める有能な外科医の父、斎藤祐一(豊川悦司)と、
美人の絵本作家(作品としての本は出ず、趣味?)の母、芙美子(高島礼子)との平和な3人暮らし。

あかりの誕生日にすら手術で遅い帰宅の父、
友達と言えばクラシックギターを習っている星進(斎藤祥太)くらい。
寂しさから犬が飼いたいと願っていた。

そんなある日、突然母が倒れ、長期入院することに。
母と入れ替わるように現れたゴールデン・レトリバーの仔犬。
すったもんだの挙句、家で飼うことになった。

母は、犬を「ソックス」と名づけ、あかりに犬との「10の約束」をさせる。

母はほどなくして退院するが、それは病気が治ったのではなく、手の施しようがないからだった。

母は死に、父娘と犬の生活が始まる。

しばらくすると、父は札幌の大学病院に転勤になり、ソックスを星進の家に預けることになる。

ところが、星進はフランスへギター留学することになり、父とあかりは見送りに行く。

しかし、あかりを送る途中、上司から呼び出された父は病院へ戻り、あかりは見送りに遅れる。
これがもとで父は大学を辞め、函館に戻って開業医を営む。

あかりは獣医を目指して学業に励み、帰国した進(加瀬亮)と再会する。
あかりは旭山動物園に就職する。(先輩獣医の中野にピエール滝)

やがて、ソックスにも「その時」がやってくる。

一時はソックスを足手まといと思っていたあかりは、
改めてソックスの存在の大きさ、過ぎ去った時間の大切さを思い知るのだった。

***

女性陣、号泣必至。
かなり早い段階から、鼻をすする音が会場のあちこちから。
男も犬好きなら泣くでしょう。

突拍子もない展開とか、思わぬどんでん返しとかはありません。
でもそういう映画ですから、それはそれでいいと思います。
犬にしろ、人にしろ、すべての別れは悲しいものです。

Mayuでもそうでしたけど、母の死ぬシーンは出てきませんでした。

物語の進行はあかりの目線からで、犬の活躍シーンが少ないのはちょっと残念。

犬がおとなしすぎると言うか、素直すぎる気もしますが、
ゴールデン・レトリバーなのでやむを得ないところでしょう。

豊川悦司は最初犬嫌いで徐々に犬が好きになる役どころですが、
本当に犬が好きなようです。
 

  

 

 アメリカン・ギャングスター  

デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウの対決。

そのほか、キエテル・イジョホー、キューバ・グッディングJr、
カーラ・グギーノ(ナイト・ミュージアムのレベッカ)、ジョー・モートン(ターミネーター2のマイルズ・ダイソン)。

***

1968年のニューヨーク、ハーレム。
ギャングの親玉で、貧乏人に施しもするバンピー(クラレンス・ウィリアムズV)が心臓発作で死ぬ。
その運転手でバンビーの手法をつぶさに見てきたフランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)は、
誰にも使われずトップに立つことを決意する。

当時、押収した麻薬を薄めて横流しする悪徳警官がごろごろいる中、フランクは新しい方法を思いつく。
それは、バンピーが忌み嫌っていた産地から直接仕入れて仲買を外すことだった。
フランクは純度の高いヘロインを東南アジアから直接仕入れ、
ベトナム戦争に従事する米軍を利用してアメリカに持ち込んだ。

純度が高く安いフランクの麻薬、ブルー・マジックは闇の「ブランド」としての地位を築き、
瞬く間にのし上がっていったフランクは、田舎から親兄弟を呼び寄せ、麻薬商売を手伝わせる。

一方、ニュージャージーのしがない刑事、リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)は、
捜査で押収した100万ドル近い現金を着服せず、仲間の警官からは疎まれる。

また、家庭を顧みず、妻ローリー(カーラ・グギーノ)からは親権と離婚の訴訟を起こされてしまう。
不正に手を染める警官仲間に嫌気がさしたリッチーは仕事を続けながら司法試験にも挑戦している。

そんなある日、上司のルー・トバックは、リッチーに新たに設立される麻薬捜査班のチーフになるよう要請する。

リッチーはブルー・マジックの捜査を進め、ついにフランク・ルーカスまでたどり着く。
しかし、この時点ではリッチーはまだフランクの上に別の(白人の)黒幕がいると睨んでいた。

やがて、フランクにも転機が訪れる。それはアメリカ軍のベトナムからの撤退だ。
仕入れルートを断たれることになるフランクは、大ばくちを打つことにした。

リッチーは、フランクの一味の一角を崩し、こちらもフランク逮捕に向けて賭けをすることに。
はたして、リッチーはフランクを追い詰めることができるだろうか。

***

157分と長い割には、飽きずに見られた。

映画としては面白いのだが、それまでの緊迫した進行とは異なり、
最後バタバタっと話が進んでしまった感がある点はちょっと物足りない。

***

実在の麻薬王フランク・ルーカスと、これも実在の刑事リッチー・ロバーツの物語で、基本的な顛末は事実。

結局、フランクは逮捕されて服役し(1981年出所、1984年に再逮捕され1991年出獄)77歳の今も存命。
(1930年生まれ)
2007/11月にはライバルであったギャングのニッキー・バーンズと、雑誌で対談をしている。
(ニッキーは映画ではキューバ・グッディングJrが演じた)

リッチー・ロバーツは警官を止め、検察官になり、その後弁護士になっている。
映画の最後にも語られているが、リッチーは検察官としてフランクを起訴し、その後弁護士としてフランクを弁護。
こちらも存命で、1941年生まれの現在66歳、フランクとは友人関係が続いているらしい。

  

 

 ウォーター・ホース  

伝説の生物「ウォーター・ホース」と、はからずもそれを飼うこととなった少年の物語。

アレックス・エテル、プリヤンカ・クシー。
エミリー・ワトソン(「ミス・ポター」では、ユアン・マグレガーの姉)
ブライアン・コックス(「ボーン・スプレマシー」の悪役アボット)

***

スコットランド、とある湖畔の町。

男女の旅行者が、あの有名な「ネッシーの写真」(通称、外科医の写真) を観て「偽物だ」とつぶやく。
店の奥にいた老人が、「そう、その写真は偽物さ、でも本当の話を聞きたくはないか。」と話しかける。
二人はもの珍しさに老人の話に聞き入るのだった。

1942年、第2次大戦まっただ中のスコットランド。
ネス湖の近くに、アンガス・マクマロウ(アレックス・エッテル)の家はあった。

彼は姉クリスティ(プリヤンカ・クシー)と母アンナ(エミリー・ワトソン)と、
何人かの下働きと暮らしていた。
父チャーリー(クレイグ・ホール)は海軍で戦争に行っていた。

アンガスは、水を怖がる子供だった、溺れることを恐れ、もっぱら岸辺で貝殻を拾うような。
今日も貝殻を拾ううち、ダチョウの卵の様な形をした石を拾い持ち帰る。

ところがそれは、奇妙な生き物の卵だった。
孵ったその生き物に「クルーソー」と名づけ、母親に内緒で飼うことに。

ちょうどそのころ、ハミルトン大佐(デビッド・モリシー)率いる部隊が
ネス湖に侵入しようとする敵を迎え撃つため、マクマロウ家に駐屯することとなった。

あっという間に成長するクルーソー。
下働きのルイス・モーブリー(ベン・チャップリン)はそれが伝説のウォーター・ホースであると言い、
湖に返そうとする。

反対するアンガスだが、クルーソーの成長の早さに置いておけず、湖に放すことに。
アンガスは成長したクルーソーにまたがり、楽しい時を過ごす。

しかし、クルーソーを見た軍隊は大砲で攻撃する。逃げまどい、怒り狂うクルーソー。

はたしてクルーソーの運命は、そしてアンガスとクルーソーの関係はどうなるのか。

***

ディック・キング=スミスの原作で、邦訳(「お風呂の中からモンスター」)も出ています。
モンスターは、頭は馬、体はアシカ、そして尻尾はクジラ、首長竜ではなかった。

「外科医の写真」としても知られる、あの「ネッシーの写真」は偽物だが、
実は本物のネッシーの感動秘話があった、とする設定。
たしかに、あの写真が偽物だからと言ってネッシーの話すべてが嘘だとは言い切れない。
しかし、「外科医の写真」が発表されたのは、1934年4月、この映画の設定の8年前である。

  

 

 

 

 

 

 

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