2016/04-06鑑賞
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今年の累計:29(0)[7] 本 ( )は試写会
[ ]は邦画
1−3月期:13(0)[2]本 、4−6月期:16(0)[5]本、7−9月期:0(0)[0]本、10−12月期:0(0)[0]本  
4月:4(0)[0]本、5月:5(0)[2]本、6月:7(0)[3]本  
−−−−−−−−−−−−*−−−−−−−−−−−−  
 クリーピー 偽りの隣人   

西島秀俊、東出昌大、竹内結子、香川照之、藤野涼子、笹野高志

犯罪心理学を修めた刑事、高倉(西島秀俊)は取り調べていた殺人犯の松岡の言動に非常に興味を持った。
松岡は検察に引き渡される際に警官を殺害して逃亡、たまたま居合わせた女性を人質にした。
高倉が説得を試みるも、刺されて負傷、松岡は野上刑事(東出昌大)に射殺される。

それから1年、高倉は警察を辞め、東洛大学の教授へと転身していた。
妻の康子(竹内結子)と、郊外の一軒家に引っ越し、近所へのあいさつに行った。
空き地を挟んだ田中家は不愛想な夫人が近所づきあいはしないとけんもほろろ。
空き地の奥の西野家は不在だった。

翌日の昼間、康子は一人で西野家を訪れる。
インターホンに応答がなく、手土産を置いて帰ろうとすると主人(香川照之)が出てきた。
何とも的外れなやり取りの末、康子は不機嫌で家に戻る。

高倉は大学で犯罪心理学の講座を持っていた。
授業の合間に助手の大川が犯罪事件を調べていることに興味を持ち、中でも未解決の6年前の「日野市一家失踪事件」に興味を惹かれた。
なぜこれが未解決事件として記録されているのか。
しかも、失踪した本多家の4人のうち、当時中学生の娘、早紀だけが残されていた。
高倉の記憶によれば、早紀は供述がころころ変わり証拠能力なしと判断されていた。

大川の提案で高倉は現場の家に行ってきた。
何やら異様な雰囲気を感じ取った高倉は大川を制し、家には入らず帰る。

高倉家の飼い犬、マックスがたまたま外にいた西野にじゃれつき、西野はひっくり返り、康子は平謝りする。
西野は丁寧に昨日の不愛想を詫び、そこに娘の澪(藤野涼子)も帰ってくる。
康子が社交辞令を述べると、西野は食って掛かり、やはり変人ではないかと思わせる。

翌日、大学に警察時代の部下の野上がやってきた。
野上は高倉が日野市の現場に行ったことを知っており、残された娘、早紀に会ってみないかと告げる。

高倉が野上と現場に行くと偶然にも早紀(川口春奈)が来ており、大学で話を聞きたいと告げるが、
早紀は逃げるようにして帰る。

高倉は帰宅途中、西野に呼び止められ、奥さんが失礼なことを聞いた、と文句を言われる。
高倉は気分を害し、康子に近所づきあいはしないよう告げる。

翌日、高倉は早紀を訪ねる。
一旦は同居している祖母に追い返されるが早紀は高倉に会い、話すことを約束する。

早紀は大学に高倉を訪ねて、話し始める。
おぼろげな記憶をたどり、失踪直前の家族の様子を語り、みんなが同一人物と連絡を取っていたかも、という。
記憶が戻りつつある早紀は再び高倉を訪ね、自分の家を見ていた誰かを部屋から見下ろしていたという。

高倉は隣の水田家にヒントがあるかもしれないと考える。
今は空き家になっている水田家を野上が調べに行く。
家の中にはすごい悪臭が漂い、野上は押し入れの中からビニル袋に密封された死体を見つける。

死体は5体。
3体は早紀の家族で、2体は水田家の夫婦だった。
では、早紀が見た人物は誰なのか。

康子は、余ったビーフシチューのおすそ分けに西野家を訪ねる。
一旦は家に入った康子だったが、異様な雰囲気にビーフシチューを渡して早々に帰る。

帰宅した高倉は西野が家にいることに驚く。
康子は西野の娘、澪に料理を教えることになったという。
高倉は西野の職業などについて聞くが、西野は言葉を濁す。

ある日、帰宅途中の電車内で西野が老人に席を譲るのを見た高倉は西野を見直し、
東洛大学に勤めていることなどを話す。

康子はマックスがいなくなっているのに気づき、探しに行くと公園で西野がマックスを捕まえていた。
礼を言って家に戻る康子。

丁度早めに帰宅した高倉が家の外で澪を見かける。
お父さんによろしく、というと澪から「あの人お父さんじゃありません」と返される。
そこへ康子と西野が現れ、澪との話はそこで終わる。

ある日、高倉が家の中で康子を探していると、康子は階段の陰で誰かに電話していた。
問い詰めると康子は激高し、高倉は環境が変わったせいでイライラしているのだと思う。

高倉がマックスを連れて散歩し、高台から自宅を見る。
そして、自宅と西野家が、本田家と水田家の関係に似ているのではないかと思い、
野上に「西野雅之」について調べてくれと頼む。

野上は西野について調べ、西野宅を訪問する。
野上が調べた西野雅之とは明らかに別人物だった。
家に入ると西野はちょっと待ってと言って姿を消し、なかなか現れない。
野上が家に入っていくと薄暗い廊下の奥に大きな鉄製の扉があった。

夜、高倉が帰宅すると田中家から火の手が上がる。
すぐに駆け付けるが、爆発が続けて起こり手が付けられない。
西野家ではTVの灯りが漏れ、平然とTVを見ている様子が見て取れた。

現場検証に来た刑事の一人、谷本(笹野高志)は高倉にも聴取を行う。
田中家からは3体の焼死体が見つかったといい、田中夫人とその母、そしてもう一人は野上だった。
西野の犯行を疑った高倉だが、警察は相手にしない。
高倉は西野と水田が同一人物だと考え、西野の写真を早紀に見せ、水田ではないかと問うが
早紀は対応を拒否する。

一方、いよいよ事件の構図が明らかになる。
あの大きく重い鉄扉の向こうには死体がビニル袋に入れて置かれ、澪が空気を抜いていた。
半狂乱の澪の母がおり、澪は母に薬剤を注射し、正気を取り戻した母は死体処理を手伝う。

再び西野が部屋に入ったとき、母はドライバーで西野を襲い殴り倒される。
西野は澪に母を射殺するよう指示し、澪がためらっていると撃ち殺してしまう。
そして、始末しろと指示、澪ができないというと康子を連れてきて手伝わせる。

康子は薬で西野に操られてしまっていた。

翌日、家で康子を探していた高倉を澪が訪ねてくる。
西野が追ってきて、澪を連れて帰るという。
高倉は澪に警察を呼べと言い、西野には断ると西野は鍵を開ける。

高倉が外に出て西野を取り押さえると康子が西野は悪くない、という。
そこへパトカーが到着。
西野が通報していたため、高倉が連行される。

高倉の取調室に谷本が入ってくる。
谷本は野上が多額の借金をしていて高倉に金の無心に行き、会えなかったため
自暴自棄になり、放火して自殺したものとみているということだった。
高倉が反論すると、谷本は野上が「西野雅之」について調べていた、と語り、
西野も任意同行しているというが、すでに西野は帰されており、
高倉と谷本は自宅に急行する。

高倉は自宅に、谷本は西野家に入る。
しかし、谷本は鉄扉の奥の地下倉庫に落ち、上がろうとして西野に薬剤を注射されてしまう。

次いで康子を探しに西野家に入った高倉は康子、そして死に掛けの谷本を発見するが、
西野と対峙しているうちに康子に注射を打たれて昏倒してしまう。

谷本の車を隠蔽し、西野は帰宅した澪に引っ越しを告げる。

康子の運転で意識混濁の高倉、澪、マックス、そして澪は茨城方面へ移動。

閉鎖されたホテルの駐車場に車を止め、西野は新たな獲物を物色。
高倉をいとこ夫婦と偽装して乗り込むことにした西野は、マックスが邪魔になり、
射殺しようと考えるが自分ではできず、高倉に銃を渡して指示する。

高倉は銃を受けとり「それがお前の落とし穴だ」と言って、西野に弾を食らわす。
西野はそこに倒れて死ぬ。

澪は嬉々としてマックスとともにどこかへ去り、高倉は康子を抱きしめる。
康子は安堵と恐怖からか絶叫して映画は終わる。

鑑賞後(鑑賞中もだが)あまり気分のいい映画ではなかった。
たまたま一緒に鑑賞していた観客の何人かは、やはりあまり気分が良くなかったようで、
不満げに何やら語り合っていたし、出口で「こういう映画だと知らなかったから」と
モギリの女性に語る老婦人がいた。

お気持ちはよくわかります。
香川照之は「凶悪」のリリー・フランキーより感じ悪い。

ラストシーンもこれで続きはないのだが、全くすっきりしない。

多少気を使ったのか、血が見られないのはかえって不自然。

展開も結末も小説とはかなり違うようだ。

映画では偽の西野(偽の水田)、野上、本多らは全く関係のない間柄だが、
小説ではかなり複雑に絡んでいるらしい。

時間の関係もあって人物を整理し、その関係性や立ち位置も変えるのはやむを得ない。
ところどころ類似点はあるものの展開はほぼオリジナルといってもいいのかもしれない。

ただ、そのために脚本というか設定に無理、あるいは矛盾が出てしまった。
例えば、警察とは疎遠の高倉が本多家を訪れたのが、野上にはすぐわかったのに、
野上の行動を警察の誰も把握していないのはどうしてなのか。

あれだけ悪臭漂う一軒家に近所は不審を抱かなかったのか。
6年も経っているのになぜ白骨化せずに残っているのか。

警察のDBを検索しているのだから、野上のパソコンを調べなくても何を調べたのか、
何をダウンロードしたかはサーバに記録が残っており、すぐにわかるはずだ。
何より一介の刑事である野上が誰にも相談せずに過去の事件を追い、高倉と行動することは考えにくい。

谷本も同様。
いくら西野の偽装に引っかかったとはいえ、誘拐事案として取り扱っている容疑者を
刑事が誰にも連絡せずに勝手に署を抜けて連れ出し、同一行動するのはいささか無理がある。

なぜ野上に多額の借金があったのか。
西野家に鉄扉の作業室(無音室)や地下倉庫などがあったのは偶然なのか。
(無音室の構造もおかしい)
偽西野の行動を見ていると、西野家を狙ったのは家の配置などからの偶然としか思えないのに、
都合よく設備があったのは疑問だ。

田中夫人の言う鬼の行状は偽西野のことなのか、本物の西野のことなのか。
死体がまだあったため、偽西野が西野父を殺害したのはごく最近のことのようだ。
西野妻を薬漬けにしたのもその前後だと思われるが、西野家自体が越してきたのは
数年前なので、いったいいつ西野家を乗っ取ったのかは疑問だ。
仮にそれが本多家失踪事件の直後だとすれば、引っ越し時期とはつじつまが合うが、
最近まで一緒に住んでいたとは思えないから疑問は晴れない。

また、澪が死体処理に全く動じないのは解せない。
父は淡々と、母もショックは受けたもののさほど動揺もせずその死を受け入れて始末している。
つまり澪もかなりのサイコパスでなければならず(結末からもそう見えるが)それは偶然か。
澪を西野家につなぎとめているものは一体何なのか。
それが母だとすれば、高倉家に逃げてきた後、警察に助けを求めてもいいはずだ。

あるサイトによればあの注射器の薬剤はアドレナリン、つまり、注射はエピネフリン・オートインジェクター、
通称エピペンである。

薬剤の実際の効果が映画通りであるかどうかはともかく、エピペンを犯罪に悪用する(できる)となると、
非常にまずいと思われる。

 

 

           

 

 

 10クローバーフィールド・レーン  

ジョン・グッドマン、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ジョン・キャラガーJr。

冒頭は、セリフ音声無しで状況の説明。
ミシェル(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)が誰かと電話で口論になり、
荷物をまとめて家を出る。

車でどこかに向かう途中、ボブから電話が何度もかかってくる。
ボブは必死にミシェルに戻ってくるよう話しかける。

その瞬間、ミシェルの車は横から激しく衝突され、ガードレールを突き破って横転する。

目が覚めたミシェルの左腕には点滴、右ひざはサポーターがありベッド脇に手錠で固定されていた。
部屋はコンクリートの壁、金属のドアはロックされていた。
ミシェルは点滴の支柱を使って離して置いてあった携帯を取るが圏外。

やがて一人の男(ジョン・グッドマン)が現れ、事故にあったミシェルを助けたという。
男はハワードと名乗り、手錠の鍵と松葉杖を残して出て行った。

ミシェルは、手錠を外し、鍵で松葉杖の先を削って、換気口に紙を突っ込んで燃やす。
火災報知機が鳴り、ハワードが慌ててやってくるがミシェルの攻撃は交わされる。

次にミシェルが気づいたときはドアが開いており、恐る恐る廊下に出るとラックの奥で左腕を吊った男がいた。
男はエミット(ジョン・ギャラガーJr)といい、数日前からここ(地下壕、シェルター)にいるという。

ハワードは宇宙人か外国かとにかく得体のしれないものの攻撃で人々は死に、外気は汚染されているという。
自分は以前から核シェルターを作っており、今回そこに避難しているんだという。

エミットは、元々ハワードの核シェルター造りを手伝っており、今回閃光が見えたのを機に
ここにぎりぎりで逃げ込んだらしい。

ハワードはミシェルに外を見せることにした。
外に通じる階段の先、2重扉のガラス窓の向こうには焼けただれた豚の死骸があった。

しかし、同時に外に置かれたトラックが、自分の車と衝突したものに見えた。

ミシェルは、食事の際にエミットと親しげにしてハワードを怒らせ、その隙をついてかぎを奪い、
ハワードを殴って階段を上り、2重扉を開けて、もう1枚の扉の前に立った。

すると向こうから車がやってきて女性が降り、入れてくれと叫ぶ。
顔は焼けただれ、ガスはちょっとしか吸っていないというが、ミシェルがためらっていると、
やがて言葉は乱暴になり、ガラスに激しく頭をぶつけ、やがて死んでしまった。

ミシェルは部屋に戻り、ハワードは敵の攻撃が始まったことで動転し、運転を誤って
ミシェルの車にぶつけてしまったと謝り、自分の娘であるミーガンの写真を見せ
悲しい過去を語ったりしたことで、ミシェルもハワードを信じて、
エミットと3人で地下壕で暮らすことを受け入れ始める。

シェルターには時々ヘリコプターのような音が響き、ミシェルは救助のヘリかと思うが、
ハワードは敵が生存者を探しているという。

暫く後、空気清浄機が不調になり、ミシェルが空調ダクトを通って機械のところまで行き、
リセット(オンオフ)をすることになった。

空気清浄機の再起動はうまくいった。
ミシェルは天窓の青空が気になり、外に続く梯子を上っていくと、ガラス窓に「HELP」と
傷がつけてあった。そして文字の最後には血もついていた。

さらに足元には血の付いたピアスも落ちていた。
それは以前ハワードが見せてくれた写真のミーガンがつけているものに似ていた。

ミシェルはエミットにハワードが嘘をついていると語り、HELPの文字とピアスのことを話し、
ハワードから見せてもらったミーガンの写真を見せる。
しかし、エミットはそれはミーガンではなく、2年前に行方不明になった妹の同級生だという。
物音で写真の入った本をしまおうとして、もう1枚の写真が落ちる。
それはハワードがその女性と親しげにしている写真で女性の服はいまミシェルが着ているものだった。

ハワードがその子を殺したんだ。
ミシェルは、防護服とガスマスクを作って逃げようと提案する。

エミットはミシェルが汚染空気に触れたかもしれないとハワードを煽り、シャワーカーテンを捨てさせる。
二人はダストシュートからシャワーカーテンを引っ張り上げ、ナイフとはさみとガムテを使って、
防護服を作り始める。

しかし暫くして、そのたくらみはハワードにばれる。
ハワードは過塩素酸溶液の入ったドラム缶を二人にバスルームまで運ばせる。
そしてはさみなどを持ち出した理由を問い詰める。

咄嗟にエミットが武器を作ってハワードの銃を奪おうとしたと言って謝る。
ハワードは、謝罪を受け入れると言っておきながら、エミットを撃ち殺してしまう。

ハワードはエミットの死体を過塩素酸溶液で溶かして始末するという。
ミシェルは部屋に戻り、防護服の作成を急ぐ。

ハワードが部屋に入ってきて隠していた防護服を見つけてしまう。
ミシェルは過塩素酸のドラム缶をハワードに向かってけり倒し、ハワードは溶液の中に倒れる。

ミシェルは防護服とガスマスクを持って空調ダクトに入り、大火傷をしたハワードのナイフ攻撃を交わしながら、
空気清浄機室に着き、錠を冷凍ガスで凍らせて壊し外に出る。

シェルター内ではこぼれだした過塩素酸溶液のせいで発火し火事になっていた。
このあと、シェルターは爆発してしまう。

外に出たミシェルは、空を鳥が飛んでいるのを見て空気は汚染されていないと知る。
遠くにヘリの音。
しかし、それは見たことのない飛行体だった。

ハワードのトラックと、最初のころにやってきた女の車が止めてあったので、
車で逃げようとして、個体のエイリアンに見つかり、襲われそうになる。
ミシェルはシェルターの入り口に逃げ、女の死体から鍵を取り出す。

ミシェルは明かりのついている一軒家に向かうが、それはエイリアンの飛行体が
照らす灯りが見えていたのだった。

飛行体はガスをまき散らしながら接近する。
ミシェルは再びガスマスクをつけてガスを回避し、ハワードのトラックに乗り込む。
しかし、飛行体に見つかり触手に捕まる。

飛行体には口があり、トラックごと飲み込む勢いだ。

ミシェルはおいてあった酒瓶で火炎瓶を作り、飛行体の口に投げ込むと、
飛行体は爆発を起こし、車はずり落ちる。
飛行体はそのまま墜落して爆発炎上する。

ミシェルはトラックを降り、女の車で出発する。
カーラジオが聞こえ始め、軍が地域を奪還し、優勢であると伝える。
安全な場所はどこどこ、敵はどこどこなどと伝え、ヒューストンでは人手が足りないと伝えていた。
一旦は逃げようとしたミシェルはヒューストンへと車を向かわせるのだった。

**

ジョン・グッドマンは、重要な脇役で多くの映画に出ている。
意外なところでは「モンスターズ・インク」のデカい方のサリー。

メアリー・エリザベス・ウィンステッドは、どこかで見たことがあるタイプの女優さん。
「ダイ・ハード4.0」では、ジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)の娘役だった。

「10CLOVER FIELD」が意味するところは最後に明らかにされるが、大した意味は感じなかった。
ましてや、「CLOVERFIELD」とのつながりは少なくとも名称からは感じられなかった。

ハワードは最初から怪しいと見せて、言っていることの大半が本当だと徐々に見せていく。
本当は自己中の性格的にはちょっと変な偏屈オヤジなだけなのか、と思わせといてのどんでん返し。
やっぱりな、と思うか、えーそうなの、と思うか。
実際のところ、過去の真実/事実は分からないが、それが主人公の不安を掻き立てる仕掛け。

まあ、最初主人公を思いっきりわけわからない状況に置いて、情報を小出しにする手法です。

予告はちょっとまずかったかも。
ミシェルが外に出られたのかどうか、そして何かが起こるのかは結構肝なので。

ヘリ型宇宙人は意外だった。
ヘリ型はあんなんで落ちるのはどうかという意見もあろうが、あれで良いとして、個体の方はどうなった。

ウィスキーや女、冷却スプレーなどの伏線が後々効いてくるというか、そこで使うか、だからああ言ったんだな、
なんて感じで都合よくといえばそうだが、うまく設定されていた。

アップにするのは、観客へのアピールで、例えばウィスキー、例えばマニキュア。
こういう細かいところまで見てねというのか、表現してますよというのか。

日本では「圏外」が普通だが、今作は「NO SERVICE」、エクスマキナでは「NO SIGNAL」だった。

 

 

    

 64 ロクヨン 後編   

佐藤浩市、瑛太、綾野剛、榮倉奈々、三浦友和、夏川結衣、窪田正孝、椎名桔平、滝藤賢一、奥田暎二、仲村トオル。

**

冒頭前半のダイジェストが流され、前半を見なくても筋書きは大体わかるようになっている。

昭和64年の1月に起きた身代金目的の少女誘拐殺人事件、通称ロクヨンは、公訴時効があと1年ほどとなり、
警察庁長官が被害者の雨宮宅を訪問し、群馬県警を激励することになったが、実は刑事部長を警察庁から送り込み、
県警を牛耳ようとする策略だとして刑事部が反発する状況となった。

広報官の三上(佐藤浩市)は、県警内部の隠ぺい体質のせいで記者クラブから反目され、
さらには自分の娘が家で行方不明のままだという個人的な悩みもあった。

警察庁長官の視察の調整に追われる三上に幸田メモの存在が見えてくる。
それは、ロクヨン事件当時、被害者宅で犯人からの電話の録音に失敗したことをもみ消したというもので、
録音班の一人、幸田(吉岡秀隆)が残した物だった。
機器の操作に失敗した日吉(窪田正孝)は失態を苦にして退職し引きこもりとなっていた。

三上の真摯な態度に雨宮(永瀬正敏)が長官の訪問を受け入れると答えた矢先、64模倣の誘拐事件が起きた。

捜査1課主導の捜査本部が設置され、被害者名も住所も公開されないまま、三上に広報の役割が課された。

**

当然ながら、記者クラブの面々は反発。
県警には各社の東京本社などからも大勢の記者が参集し、匿名とする三上らを吊し上げた。
前作でも三上に対する反目の急先鋒だった記者クラブ幹事社の秋川(瑛太)は、
相変わらず三上に反発するが、追及が東京から来た記者連中にまで罵られてしまう。

実名を明かすと約束した三上は、1課長の松岡(三浦友和)に執拗に迫り、ついに実名を知る。
被害者はスポーツ用品店経営の目崎の長女17歳。
記者クラブにそれを明かすことにより、報道協定の取り付けに成功する。

しかし、その後の捜査の状況は一向に明らかにされず、記者会見に来たのは1課長でも刑事部長でもなく、
捜査2課長の落合(柄本佑)。
なぜ、11歳の次女ではなく、17歳の長女を誘拐したのか、雨宮祥子(前作の被害少女)との類似は、
等々、何もわかっていない落合の説明に記者たちはさらに荒れ、記者会見場は騒然となる。

気絶するほど追い込まれた落合だが、気を取り直して矢面に立って時間を稼ぎ、
その間に三上が直接情報を仕入れるため奔走する。

翌日、三上の妻で元婦警の美那子(夏川結衣)に協力依頼があり、美那子は協力することになった。

落合は犯人からの脅迫電話が2度あったが電話を掛けた場所は分からないなどなど、
記者の追及にこたえられず、会見場は荒れっぱなし。

なんだかんだでついに警察庁長官の視察が中止になる。
警務部長の赤間(滝藤賢一)は怒りまくるが、どうしようもない。

三上が被害者の目崎(緒方直人)の家に張り込んでいたところ、捜査1課の指揮車が現れ、
三上は、1課長の松岡(三浦友和)に頼み込んで指揮車に同乗する。

犯人から目崎へ電話が入り、目崎は現金を詰めたトランクを持って車を走らせる。
次々と指定される目的地は、ロクヨンの再現。
電話の犯人はヘリウムガスで声を変えていた。

やがて、ヘリウムガスは切れ、犯人はだみ声を作り、さらに指示を出す。
しかし、その声は幸田(吉岡秀隆)そのものだった。

幸田がさらに電話をかけている間に、目崎の娘は万引きで補導されてしまう。
つまり、誘拐は素行の悪い娘が家にいないことを知った幸田のはったりだったのだ。

娘が確保されたことは松岡にも連絡が入るが、松岡はそれを目崎に教えようとはしない。
娘がいなくなった親の気持ちがわからないのかと詰め寄る三上に、
松岡は俺たちはロクヨンを追っているんだ、と言い返す。

幸田は目崎に次の場所を指定するが、そのとき目先の車は指示された交差点をすでに行き過ぎており、
Uターンしても期限の時刻までには到達するのは難しい。

目崎は、急にUターンし、指示とは違う交差点を曲がり指定の店に向かった。
犯人(幸田)の指示は、店の裏にあるドラム缶に身代金を入れ、横に置いてある一斗缶の油とマッチを使い
身代金を焼け、というものだった。目崎は指示通り2千万円を焼く。
そして犯人の次の言葉は「娘は缶の下」。
目崎が恐る恐る一斗缶をどけると、メモがあり「犯人へ、娘は小さい棺の中」と書いてあった。

目崎はメモをちぎり、半分を食べてしまう。三上や松岡が目崎を確保、連行する。
一方、脅迫電話をかけていた幸田も確保される。

目崎の行動を見ていた観衆の中に雨宮もいた。
美那子に気づいた雨宮は小さく会釈して去る。
誘拐事件が解決したため、報道協定は解除となり、東京からの記者連中も帰っていく。

刑事部長の荒木田(奥田暎二)に幸田メモ隠ぺいの申し送りが
幸田の誘拐騒ぎで暴露されることになり、愕然とする。

連行された目崎は64については口を閉ざし、証拠もなくいったんは解放される。
帰宅した目崎を待っていたのは次女の行方不明の知らせだった。

そのころ、たまたま雨宮宅を訪れていた三上は、偶然目先の次女を発見する。
次女は、雨宮から父に渡すよう言われたまゆ玉を、返しに来ていたのだった。

三上はまゆ玉を必ず雨宮に返すと約束して受け取り、そのまま帰らず、
次女を乗せて雨宮祥子の遺体発見現場に向かう。

目崎はメモの言葉を思い出し、その場所に来ていた。
そして、廃車のトランクを壊して開けようとしていた。
三上は目崎がメモの意味を分かったことこそ、64の犯人の証拠だとして目崎を問い詰める。
そこへ、松岡らが到着し目崎は逮捕されるが、次女はその光景を目にして泣き崩れる。

ロクヨン事件の時、犯人からの電話録音に失敗したため、犯人の声を聞いたのは雨宮だけだった。
雨宮は電話帳の最初から順に電話を掛け、犯人を捜していた。
女性が出れば何度かかけ直し、男性の声を確認していた。
そのため、目崎の事件の10日ほど前、三上にかかってきた無言電話も雨宮だったのだ。

そして、ついに目崎に電話し、目崎こそが犯人だと確信し、雨宮宅を時々訪問していた幸田に真相を話し、
偽装誘拐を思い立った。

当初は本当に祥子と同年代の次女を誘拐しようと、実際に車に乗せるところまでは実行したが、
思い直してまゆ玉を持たせて、送り返したのだった。

とんど焼きの日。
三上夫婦の前に雨宮が現れ、明日出頭しますと言い残し、まゆ玉を地面にさして去る。

三上は職を辞し、娘の捜索に力を入れることにする。
翌日の記者クラブへの広報の際、秋川は三上を待たず発表するよう言い、
係長の諏訪(綾野剛)は、毅然と発表を行うのだった。

全体としては緊迫感もあり、完全に三上だけの目線ではないので相互の行き違いとか思惑の違いとか、
そういう点も面白かった。

ネタ晴らしもなかなか良かったが、電話をかけまくって犯人を突き止めるなんてことは実際に可能か。
雨宮の記憶力を疑うつもりはないが、似た声の持ち主は結構いるのではないか。
例えば一度聞いただけの双子の声を聞き分けられるか。

原作の結末をいじることはよくあるし、それを観客にどの時点で知らせるかも、
また映画制作側の妙というか醍醐味なんだろうと思う。

もとより小説にしても漫画にしても、長いものを2時間ほどの制約の中にはめていくわけで、
原作をただ追うだけでは中途半端になってしまうし、どこに焦点を当て何を省くかも
大変だろうがまた一興だろう。

全編の感想でも書いたが、記者クラブと警察との関係は理解しがたい。
記者連の地元と東京の関係もよくわからない。

もともと記者クラブでいろいろ便宜を図ってもらい、独自の取材をしているようにも思えない記者たちが
警察に対し上から目線で言いたい放題していたのに、東京から来た記者連中に言い込めらると、
急に大人しくなったうえに警察に対して仲間意識を持ったのか、私たちも悔しいですって何なのって思った。

前編で信用できないとか、証拠見せろとかぼろくそに言ってたくせに仲間面すんなよって。
警察が信用できないんなら自分たちで取材しろよ。
それとも県警詰め記者クラブはそういうことをしないことが決まりなのか。
怒鳴りあいや罵りあいでない緊張関係はないのか。

「クライマーズ・ハイ」の記者連のほうがすごかったよな、なんてね。

警察ものではよくある、本庁と所轄のいがみ合いや、県警内部の対立構造と足の引っ張り合い。
今作でもやたら強調されていたが、本当にそうなのかな。
全くないとも思わないが、実際に捜査に支障をきたしたり、意思疎通ができないようでは困る。

記者クラブとの関係も含めて、映画だけのことであってほしい。

 

 

   

 エンド・オブ・キングダム  

ジェラルド・バトラー、アーロン・エッカート、モーガン・フリーマン、ラダ・ミッチェル。

**

2013年の「エンド・オブ・ホワイトハウス」の続編。
まずは登場人物を抑えておく。

前作ではSSから財務省に転身していたマイク・バニング(ジェラルド・バトラー)はSSに復帰。
大統領は依然としてベンジャミン・アッシャー(アーロン・エッカート)。
前作では下院議長で大統領臨時代理だったアラン・トランブル(モーガン・フリーマン)は副大統領に。
SS長官、リン・ジエイコブス(アンジェラ・バセット)や国防長官、ラス・マクミラン(メリッサ・レオ)は留任。

パキスタンのどこか。
武器商人でテロリストでもあるアミール・バルカウィ(アロン・アバウトボウル)の息子の結婚式。
潜入したエージェントからの報告を受けた司令部が攻撃を命令。
ドローンから放たれたミサイルが式場を破壊、参列者は爆死する。

アッシャー大統領の親友でもあるマイク・バニングはSSに復帰していた。
妻のレア(ラダ・ミッチェル)は妊娠中で、マイクは子供部屋の改装に追われていた。
そして密かに辞職願を書き始めていた。

ちょうどそのころ、イギリス首相が病死したとの連絡が入る。
ロンドンで国葬が行われることとなり、西側諸国の首脳が参列することになった。

マイクは妻の母に来てもらい、大統領に同行することになった。
移動中の危険を避けるため、エアフォースワンで、ロンドン到着後はヘリのマリーンワンで移動、
葬儀会場のセント・ポール大聖堂(多分)へはビーストで乗り付ける算段だ。

まもなく葬儀が行われる時刻となり、先にロンドン入りしていたドイツ首相は近衛兵を閲兵中。
イタリア首相は若い首相婦人と屋上からロンドン市内を見物、などなどそれぞれ行動中。
フランス大統領はテムズ川を船で航行し、まもなく車に移動する直前。

日本の首相はなぜか随行員もおらず、護衛車もなく、運転手一人と渋滞にはまり中。

アッシャー大統領は無事に大聖堂に着くが、バニングは何となく不安がぬぐえない。

カナダ首相夫妻が大聖堂に近づき、警戒中の警官が車両の下を確認すると見せて爆弾を取り付ける。
そして車が大聖堂の前にとまる寸前、遠隔で爆破され、カナダ首相夫妻の車は大破する。

同時にテムズ川を行く貨物船が大爆破。
フランス首相はもちろん、橋が崩落し、橋の上で渋滞にはまっていた日本の首相も水没して死ぬ。
また、近衛兵に混じったテロリストがドイツ首相や随行員に向けて発砲、市民を含めた大勢が死ぬ。

警戒中の警官の中にもテロリストが大勢紛れ込んでおり、各国首脳はもちろん随行員や警護官など
無差別に殺戮を始める。

警官らの中には政府側の人員もおり反撃するが、あまりにも唐突で急だったため、大勢がやられる。

ビーストも爆破され、バニングは別の車を要請。待機していた護送車が急行して大統領らを乗せて逃げる。
追ってはバイクに分乗して攻撃。
被弾し、ドライバーを失うも敵も撃破し、バニングは大統領をヘリに連れていく。

偽装のヘリも含めた3機のマリンワンが離陸、エアフォースワンのもとに向かう。
しかし、途中屋上からの可搬型ミサイルの執拗な攻撃を受け、フレアなどのジャミングも尽き、
ついに3機とも撃墜されてしまう。

アッシャー大統領とバニングは何とか助かるが、リンは部材が腹に刺さり、致命傷となる。

バニングはアッシャー大統領を連れてMI6のセーフハウス(隠れ家)に向かう。

テロリストの首謀者であるバルカウィはネットを通じ、アメリカ大統領を差し出すよう要求、
さらなる攻撃を宣言する。

移動中、停電で止まっている地下鉄の駅を舞台に追うテロリストと対峙、全員倒す。
その中の一人、ラザ・マンスールが持っていた無線機から実行犯のリーダーは
バルカウィの息子、カムラン・バルカウィ(ウォリード・ズアウティエ)とわかる。
サルタン・マンスールも大統領の処刑を生中継するためIT系で関与している

MI6のセーフハウスに到着したバニングとアッシャー大統領。
MI6のエージェントのジャクリーン・マーシャル(シャーロット・ライリー)はすぐに救助要請を出す。
ほどなく救助隊が到着するが、バニングは救助隊の到着が早すぎるのと汗もかいていないことから
偽物と見破り、ジャクリーンともう一人のエージェントを逃がす。

自分たちは地下のMI6の車で脱出。
逃げ切ったかに思えたが、横から来たトラックに激突され車は転覆。
大統領は拉致されてしまう。

そのころ、ロンドンの指揮センターでは今回の事件をバルカウィの長年にわたる準備と推定し、
イギリスの会社とのやり取りを綿密に調べ、ついにはロンドン市内の建設中のビルにたどり着く。
建設中であるにもかかわらずここ数か月、大量の電力を使用していることも分かった。

バニングのもとにMI6の救出班が到着、一緒に件の建設中ビルへと向かう。
大統領殺害の予告時間が迫る中、MI6はビルの受電設備を破壊する。

バニングはその間にビル内に潜入し敵を倒しながら大統領救出に向かう。
自家発電に切り替えられ、ぎりぎりで大統領殺害予告寸前に敵の放送も復活するが、
バニングが突入して大統領を救助し、サルタンが自爆。その隙にカムランは逃げる。

バニングはあらかじめガス設備に爆弾を仕掛けており、MI6に爆破を要請。
MI6のリーダーは躊躇するものの爆破。バニングとアッシャー大統領はエレベーターのダクトに逃げ、
テロリスト一味は爆熱で全滅する。

指揮センターに戻ったジャクリーンは、テロリストへの内通者がMI5のジョン・ランカスター(パトリック・ケネディ)
だと突き止め、逃亡を阻止するが、抵抗され、射殺する。

大統領の奪還に成功したアメリカは、バルカウィのアジトを突き止め、ドローンによる攻撃で破壊、
バルカウィとその仲間を殺害する。

大統領職に復帰したアッシャー大統領は、テロへの戦いを宣言する。
帰宅して娘の誕生を喜んでいたバニングは退職願の下書きをそっと破棄するのだった。

**

展開はテンポよく、次々と襲いするピンチにもひるまず大統領を守る、
正義の具現者たるSSのエージェント、生身のスーパーウェポン。
ひと昔もふた昔も前の戦争映画のヒーローみたい。
小気味はよいが、あまりにも無敵すぎる。

前作にもまして残忍、非情なマイク・バニング。
敵をナイフで何度も突き刺したり、敵の断末魔の叫びを敵のリーダーに聞かせたりもする。
アッシャーに殺す必要があったのかと聞かれ、平然と「いいえ」と答える有様。

それにしても無敵の不死身ぶりは超絶。
前作の活躍ぶりを見れば、SSに復帰させるのも無理はない。

前作で下院議長だったトランブルが今作では副大統領になっていたことから、
アッシャーは再選された設定だとわかる。
運転は6年ぶりとあったので、2期目を半分過ぎていることになる。

前作では敵は北朝鮮がらみだったが、今作はパキスタンに潜伏するテロリスト。
当分は共産主義より宗教的な敵対関係が主流になるんでしょうね。

前作の敵は多くは一般人に紛れ込んでいたが、今作では警察や近衛兵など、大勢の公務員に忍び込ませており、
その数からみても到底一朝一夕にできるとは思えない。
まさにこの時まで満を持して計画を進めていたはずで、テロ資材の調達などの取引だけでなく、
相当の隠密性と組織力を持っていたと思われるが本当に可能なのか。

そもそも、各国の首脳の移動に護衛車もパトカーもバイクの先導もつかず、ましてや首相が単独で乗った車が
渋滞にはまるなど、あまりにもありえない設定。

襲撃に対しては、アメリカ大統領の警護官だけがその役割を果たし、他の国の首脳はまんまとやられてしまう。

字幕ではイギリスとアメリカの首脳以外全滅と出ていたが、そもそもイギリス首相の葬儀に集まっているのだから、
もともとイギリスの首脳は死んでいるはずだ。
つまりアメリカ大統領以外の警護体制はまるでなっていないことになる。
それもアメリカのSSが優秀なだけでイギリスが全面的に守ってくれたわけではない。

警察内部に大勢の反逆者を雇っていたことと言い、イギリスの警護能力は最低、その威信は地に落ちているわけで、
ロンドンは復活しますなんてのんきなことを言っていていいのか。

カムラン・バルカウィは生放送にこだわりを見せていたが、本当の生放送である意味はどこまであるのか。
録画で何がまずいのかよくわからない。

また、首を切るシーンを放送するにしても、それ以外の部分を痛めつけてはいけない理屈はなく、
死なない程度、気絶しない程度に大統領を傷つけておく手は十分あったはずで、
それまで残虐残忍非情な行動をとっていたのに、最後はぶん殴るだけだった。

こういうことを言うと身もふたもないが、そもそもアメリカ大統領が殺害されてもアメリカがひっくり返ることはあるまい。
直ちに副大統領が大統領となるし、副大統領も死んだとしても下院議長が大統領臨時代理(大統領代行)となる。

下院議長もダメな場合、上院議長と言いたいところだが、上院議長は副大統領の兼務なのでこのケースでは既に死んでいるので、
新たに選出された上院仮議長が大統領代行となる。
さらに第18位まで大統領権限継承の順位が定められている。(ただし、外国出身者を除く)

だからと言って大統領の生命が軽いわけではないが、国がひっくり返るほどのことはない。
現にルーズベルトやジョン・F・ケネディが死んだときもニクソンが辞任した時も国政に大した混乱はなかったはずだ。
大統領の不遇に際し、副大統領が昇格することが前提で、選挙では大統領候補+副大統領候補がセットになっている。

そう思うと、アーロン・エッカートとモーガン・フリーマンの組み合わせはやや無理がある。

実例を細かくは調べていないが、大統領より30歳も年上の副大統領をペアにするとは考えにくい。

なお、前作でモーガン・フリーマンが下院議長だったのも実は無理な設定で、
大統領権限順位第3位の人物が大統領より30も年上はちょっとどうかなと思う。

アメリカの下院議長は日本の衆議院議長のようなほんとの議長の役割ではなく、
実際の議事進行はしないらしい(代理の議長を指名する)

なお、本物の下院議長も代理の議長も「スピーカー」と呼ばれるので、
前作でのモーガン・フリーマンがどちらだったかは不明。
ただ、今回副大統領になっているので、元々大統領と同じ党だったと思われる。

 

 

           

 

 殿、利息でござる!   

阿部サダヲ、瑛太、妻夫木聡、竹内結子、寺脇康文、松田龍平、羽生結弦

江戸時代中期、仙台藩吉岡宿。
仙台藩直轄地ではないため、補助金が得られず、町は伝馬役の負担に苦しんでいた。
そのため生活苦から夜逃げするもの後を絶たず、この夜も一家夜逃げが行われようとしていたが、
守銭奴と言われる金貸しで造り酒屋の浅野屋甚内(山崎努)に呼び止められ、借金について問われていた。

何年か後、茶農家の菅原屋篤平治(瑛太)は京に商いに行き、嫁(山本舞香)を連れて帰郷。
出迎えと思われた肝煎(村のまとめ役、対外窓口)の遠藤幾右衛門(寺脇康文)に馬を連れていかれ、
両替屋の跡継ぎ、浅田屋甚内(妻夫木聡)には高利の利息を取られるなど散々。

直後の伝馬役では、思いつめた穀田屋十三郎(阿部サダヲ)が伝馬役免除の上意を藩の役人に手渡そうとして、
篤平治と揉める。
役人に見とがめられた篤平治は咄嗟に京都で公家からもらった茶の命名書を役人に見せ事なきを得る。

その後、偶然食事処のしま屋(女将:とき=竹内結子)の店で十三郎と出会った篤平治は、
町を救う手立てを十三郎に問われ、咄嗟に「お上に金を貸し、利息で伝馬役を賄う」と言ってしまう。

半ば、口から出まかせ、思い付きの類だったが、十三郎はいたく感心。
篤平治の言う通り、町中で5千貫文(=1千両、現在の価額で約3億円)を集めることにし、
早速叔父の穀田屋十兵衛 (きたろう)の賛同を取り付ける。

十兵衛は、篤平治の一銭の得にもならないとの言葉にビビるが今更断れず仲間に入る。
篤平治は破れかぶれで肝煎に相談しようと持ち掛ける。
肝煎の幾右衛門は、断るどころかいたく感動し仲間に入り、家財を処分してまで金を調達する。

篤平治は物の順序としてさらに村々を束ねる大肝煎の千坂仲内(千葉雄大)へ相談することに。
さすがに断るだろうと思った大肝煎はこれまた感動し、仲間に入る。

噂を聞いた妻、なつに問いただされた篤平治。
なつは茶畑拡大のための資金を出すことを反対するかと思いきや、偉い! と大賛成。

さらに儲け話と思った遠藤寿内(西村雅彦)が加わる。
ときから話を聞き、当初の仲間がすべて中町の者だと知った連中が上町、下町の旦那衆を説得、
500貫文は無理としても200貫文、300貫文と仲間に入る人物を見つける。

そして、最もケチと思われた浅田屋に話をしたところ、倍の1千貫文を出すとのこと。
あと1千貫文がどうしても工面できないとなって、甚内がさらに500貫文を出すとのこと。

これには十三郎が反発。金は出すが寄合からは外れると言い出す。
そもそも、十三郎は浅田家の長男で、幼い頃より父の先代甚内のいうことを聞かず、
若くして造り酒屋の穀田屋に養子に出され、弟が甚内の名と浅田屋の身代を継いだことを根に持っており、
対抗意識を燃やしていたが、篤平治に諭され思い直す。

一方、寿内も、利息が村に入ることにがっかりして抜けると宣言し、話は頓挫したかに見えた。
しかし、寿内が寄進する龍泉院の住職、栄洲瑞芝(上田耕一)が寿内を絶賛したため、仲間に戻る。

大肝煎は、これらについて争い/諍いを起こさない、自慢しない、他言しない、などのおきてを作成し守らせる。

こうして数年ののち、ついに5千貫文=1千両が集められた。

大肝煎が上申書を作成し、代官所に上申。
代官の八島伝之助(斎藤歩)は、相番方(もう一人の代官)に相談するよう指示、
大肝煎は遠出して橋本 右衛門(堀部圭亮)に面会、橋本はいたく感動して賛同する。

しかし、代官所からの連絡に対し、仙台藩の出入司(財政責任者)萱場杢(松田龍平)は
金を貸すものが借りるものより有利になるとして、即座に却下してしまう。

がっかりする吉岡宿の面々だが、浅田屋に泥棒が入り、事態は一変する。
その「泥棒」は暴投で夜逃げを先代の甚内に呼び止められた村人。
先代甚内はその借金を取り立てするどころか、棒引きにし、さらに金を持たせて送り出していた。
何とか元金だけでも返しに来たが、息子の甚内に済んだこと、と追い返されたため、
忍び込んで金を置いて来ようとしたということだった。

話を聞いた甚内は、先代が金をためていたのも将来の町の存亡に備えてのことだと明かす。
さらに、自分の代では果たせなかったため、何代かかっても目的を達することと遺言があったこと。
誰にも話さないことなどと約束だったと話す。

篤平治はこの話を大肝煎にし、再び上申するよう説得する。
大肝煎は体裁を投げ打って、再び上申するも、再び却下。
思い付きで金を貸すなどはけしからん、というわけ。

しかし、大肝煎はこれが単なる思い付きではなく、そもそも4、50年前、先代の甚内が
町の救済のため私財をこつこつと貯金、町の者もそれに賛同して資金を集めたと説明。

橋本は改めて感動し、上申書を書き直し、嘆願に向かう。
そして、萱場に無視され、避けられながらも城に詰め、ついには萱場の賛同を得る。

喜んで町に戻り肝煎らに報告する橋本。
しかし、そこには萱場流の落とし穴があった。
すなわち、お上は「銭」は扱わないため、5千貫文ではなく金一千両(小判)で上納せよ、というもの。

金集めを始めてから後、藩が銭を造り始めたため、金との交換比率が下落してしまい、
金1千両は、5千貫文ではなく、大体5千8百貫文に値上がりしていた。

つまり、あと800貫文が不足する。
ときが今までのつけを取り立てて50貫文を用意するがまだまだ足りない。
篤平治と十三郎は浅野屋に状況の報告に行く。
すると甚内はさらに500貫文を出すという。

それでは浅野屋がつぶれると断る篤平治。
引かない甚内との押し問答の中、十三郎は酒造りの音がしないことに気づき、仕込みがされていないことを知る。
つまり、浅野屋にもう酒米を買う金は残っていない状況で、ほぼつぶれていたのだった。

そして、十三郎は甚内が小さいころから弱視でそのため養子に出せなかったと、この時初めて知る。
先代甚内の心意気を改めて感じた十三郎や篤平治は甚内の申し出を受け入れる。

当初は十三郎を批判していた息子の音右衛門(重岡大穀)も10年の奉公に出ることで
前借りした給金をはたいて協力する。

他の出資者も増額し、ついに金1千両を用意し、お上に上納することができた。

萱場はお白州に出資者を呼び出し、報奨金を与える。
しかし、その席に甚内はおらず、馬も駕篭も出したのになぜ来ないと萱場が問い詰め、
父の教えで、馬や駕篭は使うなと言われていると答える。

浅野屋にみんなが集まり、甚内が報奨金を固辞していると、突然藩主、伊達重村(羽生結弦)が登場。
萱場の非礼を詫びた後、「霜谷」「寒月」「春風」と書いて、浅野屋の酒の銘とせよという。
そして、浅野屋はつぶすなと言い残して去る。

こののち、浅野屋は銘酒が受けて繁盛し、町も仙台藩からの利息で潤った。
その後、利息が打ち切られるも、町は再び同様の手段で利息を受けることになり、
明治初期までに6千両分の利息を受けたという。

穀田屋は「酒の穀田屋」として、今も宮城県黒川郡大和町で営業しているという。

チラシやタイトルから思うほどのコメディではない。
セリフや個々の展開はコメディだが、お話し全体としては人情劇。

原作は「無私の日本人」の中の1節。

もちろん、面白おかしく脚色はしてあるだろうが、もともとは史実で穀田屋も浅野屋も実在。
本編で和尚が言っていた記録文書は「国恩記」として残っているそうだ。

穀田屋は前述のとおり現存。
浅田屋はなくなっているようだが、浅田屋の番頭が引き継ぎ「浅多商店」として続いている。

瑛太のやっちまったぜ感がうまい。
西村雅彦の異常なテンションもまた一興。
他の主要キャストもいい意味で予想を裏切る。

「おかみに金を貸すんだ」「要りませんよ」は笑った。

お話は「瓢箪から駒」の連続であれよあれよという間に夢のようなお話が具体化していく様が面白い。
徐々に人々が本気になっていく様子も面白かった。

しかし、本編でもあったように思い付きから実現まで6年。
徒党を組むだけでも罰せられる時代にあって、お上に物申すことが如何に大変か、
如何に時間がかかることをやり遂げたかはよくわかる。

最初に町の全貌が移されたとき、ロケ地は「十三人の刺客」の「落合宿」と同じ場所かと思った。
また、二股になっているところなどは「超高速参勤交代」の「牛久宿」に似ているとも思えた。

 

 

   

  デッドプール  

ライアン・レイノルズ、モリーナ・バッカリン、エド・スクライン、TJミラー、ジーナ・カラーノ。

いきなり、タクシーに乗車していた赤いコスチュームのデッドプール(ライアン・レイノルズ)が、
高速の上から下を走る車のサンルーフめがけて飛び降りて暴れまくる、予告でおなじみのシーン。

話は過去にさかのぼる。
もともと、ウエイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は傭兵上がりの荒くれ者で
用心棒まがいのことをやっていた頃の話と入れ子になって展開するので、
ここは時系列に沿って書いていく。

荒くれの集まるウィーゼル(TJミラー)のバーでは、デッドプール(死の賭け)が行われており、
親友であるはずのウィーゼル自身がウエイドの死に賭けるなどやりたい放題。
ウエイドは腕っぷしだけでなく口も悪いし態度もデカい。

そんな彼に惹かれてベネッサ(モリーナ・バッカリン)が近寄ってくる。
ウエイドはベネッサにぞっこんになり、同棲し、ついには結婚を申し込む。
そんな幸せ絶頂のさなか、突然倒れたウエイドに下された診断は末期癌。
全身に転移しており助からないという。

一緒に頑張ろうというベネッサだが、ウエイドは絶望の中にあった。
そんなウエイドに近づいてきたのは、謎のリクルーター(ジェド・リース)。
ウエイドの癌を完治させることができるという。

手術を決意しベネッサの元を離れるウエイド。
しかし、医師のエイジャックス(エド・スクライン)は怪しく、助手(ジーナ・カラーノ)は怪力女。
注射した薬剤は癌だけでなく細胞を改変し、スーパーパワーをもたらすものだという。

しかし、その遺伝子を活性化するためには身体に過大なストレスをかける必要があり、
ウエイドはまさに拷問にも似たストレスを掛け続けられる。

そして、全身が焼けただれたような症状を呈しながら、ついに驚異の身体能力とともに治癒、再生力を手に入れる。
ウエイドは、怒りまくって暴れまくり、研究室をブチ壊す。
エイジャックスを倒そうとしたとき「ウエイドの皮膚を元通りに治せるのは俺だけ」と言ったためひるんで逃がす。

ウエイドはエイジャックスを捕まえて自分を元通りにさせるため、組織の一味を追い次々とつぶしていく。
ウエイドは醜い顔を隠すため赤いスーツに身を包み、ウィーゼルに相談して「デッドプール」と名乗ることに。

こうしてデッドプールの復讐劇が始まった。

高速道路での戦いで、エイジャックスを追い詰め、いったんは確保したデッドプールだが、
デッドプールをX−MENにスカウトするため、やってきたコロッサス(鋼鉄の体を持つ大男)と
ウォーヘッド(丸刈りの少女でメガソニックパワーを放つ)と話をしているうちに逃げられる。

コロッサスはデッドプールを手錠で連れていこうとするが、デッドプールは手首を切り落として逃げる。
デッドプールのアパートは盲目の老婦人アル(レスリー・アガムズ)と同居している。
醜い姿を見られないための工夫だ。

エイジャックスはデッドプールをおびき寄せるために今はポールダンスバーでウェイトレスをしている
ベネッサの誘拐を画策。
ウエイドがウィーゼルとともにそのバーに行くが、ベネッサはさらわれてしまう。

エイジャックスは自身のアジトである空母の廃墟(たぶん、「ウィンターソルジャー」のヘリキャリアの残骸)に
ベネッサを連れていき、ウエイドを訓練(拷問)した真空装置にベネッサを入れる。

ウォーヘッドやコロッサスの助けを借りてアジトを突き止め、乗り込んでいく。
壮絶な戦いののち、コロッサスは怪力女を倒し、デッドプールはエイジャックスを捕まえる。
そこでウエイドを直せるといったのは嘘だとわかり、エイジャックスを倒し、ベネッサを助ける。

自分の元を離れたことをなじるベネッサにウエイドはボコボコの素顔を見せる。
一瞬びっくりしたベネッサだが、変わらぬ愛を誓い、ハッピーエンドとなる。

**

エンドロール後に1シーン。
「終わったからさっさと帰れ」とか「サミュエル・L・ジャクソン(=ニック・フューリー)が出てきて
一言、はないよ」とか、「2は作らないからね」とか、「ケーブル(キャラ名)役を探してる」とか。

毎度おなじみのスタン・リーの出演シーンはポールダンスバーのDJのおやじ。

スパイダーマンとデッドプールはもともとチャラい性格設定らしいが、
デッドプールはえぐさが1段上で、本作でも本領発揮。

他の映画の話もバンバン出てきて分かる人にはわかる。

戦いのシーンはかなりのスプラッターで、結構えぐい。
敵は容赦なく殺していくデッドプールだが、傭兵時代の既知のボブと対峙した時は殺さずに殴っただけ、
という温情派というか、ウェットな部分も見せる。

「ウルバリン」で出たデッドプールもどきとはかなり様相が違い、軽いしチャラい。
変身してから性格が変わっていったものと思っていたが、実はもともとチャラ男だった。

ほとんどマスクの下のライアン・レイノルズだが、何回かマスクを外してボコボコの顔を見せる。
スタジオの常識から言ってここまでヒットした作品の「2」を作らないわけにはいかないだろう。

 

 

   

  スノーホワイト/氷の王国  

シャーリーズ・セロン、エミリー・ブラント、クリス・ヘムズワース、ジェシカ・チャステイン。

**

前作の物語のずっと前。
ラベンナ(シャーリーズ・セロン)は、魔力を使い、女王として君臨。
一緒に暮らす妹のフレイヤ(エミリー・ブラント)はまだ魔力に目覚めずにいた。

フレイヤはやがてブラックウッド卿(コリン・モーガン)と恋仲になり、妊娠、結婚して女児を生む。
ある日、夫のブラックウッド卿は赤ん坊を焼き殺してしまう。
衝撃、悲しみ、怒り。フレイヤの魔力が開眼し、一瞬にして夫を氷結し粉砕してしまう。

しかし、フレイヤの心の傷は癒えず、ラベンナの城を出て北の国へ移った。
そこでフレイヤは村々を襲い、破壊しては子供たちを誘拐、軍事訓練によって兵士に仕立て上げ、
さらにその兵力を使って勢力の拡大を進めていった。

そんな子供たちの中にエリックとサラもいた。
二人は戦士の中でも頭角を現し、やがて恋仲になった。
エリック(クリス・ヘムズワース)とサラ(ジェシカ・チャステイン)は、
愛を禁止するフレイヤの教えに背き、将来を約束し逃亡を決める。

しかし、その計画は氷のフクロウの目を通してフレイヤにばれ、仲間の戦士から攻撃を受ける。
何とか攻撃を交わし、逃げおおせるかと思ったそのとき、フレイヤは魔力で二人の間に氷の壁を作る。
サラは仲間だった戦士のタルに背中を刺されて絶命。
エリックもボコボコにされて川に捨てられるが、死なずに生き延びる。

やがて、ラベンナが白雪姫に滅ぼされ、白雪姫は魔法の鏡の言葉に悩まされ、
鏡を聖域に運ばせることにした。

ラベンナの死はフレイヤにも届き、フレイヤは兵士を出して魔法の鏡を強奪する。
エリックはウィリアムに頼まれ、魔法の鏡を探し出し、聖域に運ぶ手伝いをすることにした。

エリックは前作でも登場した小人のニオン(ニック・フロスト)と
その親戚の小人のグリフ(ロブ・ブライトン)を仲間に出発する。

すぐにフレイヤの兵士たちが互いに殺しあったと思われる現場に遭遇、
鏡はなくなっており、金とダイヤでできた矢じりを拾う。

途中の酒場で一休みしていると、荒くれ者(フレイヤのハンツマン)が入ってきて
けんかとなり、多勢に無勢でエリックは劣勢となるが、見知らぬハンターが助けてくれる。

そのハンターこそサラだった。
サラは死んでおらず、逆にエリックが自分を見捨てて逃げたと言い張る。
そして7年もの間幽閉され、エリックへの復讐を誓って脱出してきたというのだ。

エリックはサラがタルに殺されたのを見たといい、二人ともフレイヤの魔術で騙されていたと
いうが、サラは信じない。

ただ、魔法の鏡がフレイヤの手に入るとまずいのは承知し、協力する。
暫くして一行はドワーフの姉妹、プロムウィン(シェリダン・スミス)とドリーナ(アレクサンドラ・ローチ)の
仕掛けた罠にはまる。
矢じりを見たプロムウィンはゴブリンの仕業と見破り、ゴブリンの宝と引き換えに手伝うことになる。

やがて、ゴブリンの谷に着くと、そこでは互いに殺しあった跡と魔法の鏡があった。
鏡に布をかけて持ち出そうとするが、生き残りのゴブリンに見つかり、戦いとなる。
エリックがゴブリンの気を逸らしているすきに鏡を運びだし、エリックはつり橋を切ってゴブリン側に残るが、
サラが火矢を放ってゴブリンを焼き殺し、エリックは助かる。

サラはエリックが結婚の約束に渡したメダリオンをいまだに持っていることを知るが、まだ信用しない。
鏡を聖域(サンクチュアリ)まで、あと少しのところで、フレイヤとその軍団が現れる。

サラはフレイヤの手先で、逃げてきたのは嘘だった。

フレイヤはニオンとドリーナを凍らせ、サラにエリックを殺すよう命じ、サラはエリックを射る。
フレイヤはサラらとともに魔法の鏡を持って去る。

矢はエリックのメダリオンに刺さっており、エリックの傷は浅かった。
サラはわざとメダリオンを狙ったのだ。

フレイヤは魔法の鏡を壁にかけ、鏡の言葉に従って呪文を読むと、ラベンナが鏡の中から復活した。
再会を喜ぶ姉妹だが、次第にラベンナがサラの領分に食い込んでくる。

一方、エリックと、グリフ、プロムウィンはフレイヤの城に近づく。
エリックは崖をよじ登り屋根に飛び移って城内に侵入する。

サラが兵士に自分の言うことだけを聞くよう演説していると、エリックが矢で狙い撃つも、
ラベンナに阻まれ失敗。

しかし、兵士の前での弁舌が勝り、兵士はエリックの側に着く。
怒り狂ったラベンナが魔力で兵士を殺しはじめ、フレイヤは氷壁で自分の兵士を殺すラベンナに反抗する。
口論となったフレイヤとラベンナ。
そもそもフレイヤの赤ん坊の死はラベンナがブラックウッド卿を惑わせて起こしたもので、
フレイヤの魔力を目覚めさせるためだったとわかり、フレイヤは怒りまくるがラベンナに刺されて死ぬ。

氷壁は崩れ、エリックとラベンナの対決となり、劣勢だったエリックが鏡を壊すとラベンナは破壊される。

エリックとサラは元のさやに納まり、今まで凍らされていた兵士や市民、ニオンとドリーナも解凍されて
氷の国も解放され、平和な世界が戻る。

**

ラストの私も愛と子供がほしかったのセリフはぶち壊し。
前作の後からつじつま合わせのように作った脚本は違和感満載。
前日譚の部分は端折って、もっと後からの謎解きのようにしたほうがよかった。

戦いよりも移動のエピが多い。
よくよく考えると、前作も白雪姫とエリックの逃避行あたりはそれに近いか。

大人の事情かなんか知らんけど、白雪姫(クリステン・スチュアート)の登場は回想シーンとセリフだけ。
鏡の魔力で病気になった設定は良いとして、そこでなぜ壊さん。
もちろん壊してしまってれば、お話自体が成り立たず、身もふたもないですが。

製作費2/3で興収は1/3以下(30%)。
そこそこ稼いだものの、製作費を考えると失敗作。
そこまでひどいとは思わないが、何がいけなかったんでしょうね。

 

 

           

 ヘイル、シーザー!  

ジョシュ・ブローリン、ジョージ・クルーニー、スカーレット・ヨハンソン、チャニング・テイタム。

**

1950年代、ハリウッド。
時代はテレビが普及し始め、映画の観客を奪うのではないかと言われていた頃。

大手映画製作会社、キャピタル・スタジオの幹部、エディ・マニックス(ジョシュ・ブローリン)が主人公。

マニックスは製作現場総責任者(Head of Physical Production)で、
対外的な交渉はもとより数々の現場トラブルにも対応する日々で、連日のように告解(懺悔)する生活だった。

おりしも、社運を賭けた超大作「ヘイル、シーザー!キリスト物語」
(Hail, Caesar! A Tale of The Christ) が撮影中であった。
名優、ベアード・ウィットロック(ジョージ・クルーニー)演じるローマ帝国の
アントニヌス(だったと思う)が、エルサレムに入り、キリストと遭遇。
クライマックスではゴルゴダの丘で磔刑に処せられたキリストを見て涙する、というもの。

「ヘイル、シーザー!」に関しては、キリストの物語でもあり、正教会(多分)、カソリック教会、
プロテスタント教会、ユダヤ教会の幹部を呼び、シナリオに問題がないかを協議してもらったり。

また、人魚役のディアナ・モラン(スカーレット・ヨハンソン)の妊娠騒ぎの解決にも奔走していた。

また、主役が決まらないローレンツ監督の作品にはスタジオのトップからカウボーイ役で売り出し中の
ホビー・ドイル(アルデン・エーレンライク)を推され、その手配に尽力するなど多忙を極めていた。

そんな中、「ヘイル、シーザー!」のクライマックスを数日後に控えた撮影で、
エキストラの一人(ウェイン・ナイト)が、ウィットロックの飲み物に睡眠薬を入れ、
そうとは知らないウィットロックはそれを飲んでしまう。
薬が効き始めたころ、二人のエキストラ(もう一人はジェフ・ルイス)はウィットロックの楽屋へ行き、
ウィットロックを拉致して連れだしてしまう。

ウィットロックが行方不明になったことは、すぐにマニックスに伝えられるが、
監督にはねん挫したと嘘をつき撮影を延期させる。

また、映画雑誌ライターのソーラ・サッカー(ティルダ・スウィントン)が、
ウィットロックの「ワシの翼」のスキャンダルを記事にすると息巻いてきたので、
マニックスはウィットロックの直接インタビューを約束する。

そのあと、妹のセサリー・サッカー(ティルダ・スウィントン、二役)の取材攻勢にも対応。
夕方にはマニックスをヘッドハンティングしようとしているロッキード社の代理人とも会食するが、
トラブルで呼び出されて途中退席するといった具合。

その頃、車に乗せられたウィットロックは、モニカ郊外の海岸近くの別荘に連れていかれた。
掃除機の音で目が覚めたウィットロックは、ローマ軍の衣装のまま、人がいると言う部屋に行く。
そこには、ハリウッドの脚本家たちが何やら意見を交わしていた。
すなわち、映画会社は資本主義の権化であり、脚本家や俳優を搾取している、というのだ。

会合には、共産主義を信奉する大学教授もいて、ウィットロックはすぐに感化される。

一方、スタジオでは、主役に抜擢されたドイルが、シリアスな演技ができないうえに、
訛りがひどくてローレンツ監督(レイフ・ファインズ)を悩ませる。
現場では比較的穏やかなローレンツ監督もマニックスの部屋に怒鳴り込んでドイルを降ろせと叫ぶが、
トップの意向だとなだめられてあきらめる。

また、清純派で売るディアナ・モランの妊娠については、極秘出産して一旦養子に出し、
再び養子として迎えると言う秘策を考え、法務担当と協議、そういう場合の何でも屋、
ジョー・シルバーマン(ジョナ・ヒル)を手配する。

ウィットロックの誘拐は「ヘイル、シーザー!」の監督室に身代金要求の手紙が入ったため、
密かに身代金の10万ドルを用意、小さいブリーフケースに押し込む。

そこへ犯人からの電話、と思ったら妻からの電話で息子が少年野球でショートにコンバートされ、
しょげていると言うので、コーチに電話すると約束する。
今度は犯人からの電話。内容は第8スタジオの配電盤の裏に金を隠せ、というものだった。

一旦外に出るが、ソーラと鉢合わせし、記事を止めさせる代わりに、スクープ記事として
ドイルとバルデスが付き合っているとばらし、また部屋に戻る。
そこに、ドイルが相談に来るが監督が褒めてたと持ち上げ、ウィットロックの誘拐をばらし、
ブリーフケースを縛るためにベルトを借りる。

マニックスはブリーフケースを第8スタジオに隠す。
おりしもそこでは水兵のミュージカル映画が撮影されており、
主役のバート・ガーニー(チャニング・テイタム)らの歌と踊りタップが演じられていた。

その間もマニックスはラッシュ(未編集、または未完成のフイルム)を見たり、
編集作業中のフィルムを確認しに行って編集者(フランシス・マクドーマンド)が
映写機に巻き込まれたのを助けたり、ロッキード社の代理人に会って条件アップを聞かされたり。

ドイルは、カルロッタ・バルデス(ベロニカ・バルデス)を誘って、自身の主演作
「Lazy OL’ MOON」の試写会に行く。

試写会は成功でその後二人で食事をしているとセサリー・サッカーがやってくる。
付き合ってるのかと聞かれ、友達になりかけているところとごまかす。
すぐにソーラ・サッカーがやってきて二人とも混乱するが、ソーラは独占記事じゃないと怒る。

ソーラは立ち去る際にたまたま近くにいた男性と立ち話、その足元にはあのブリーフケースがあった。
男はバート・ガーニーで、ブリーフケースをもって立ち去ろうとしたので、ドイルは後をつける。

その頃マニックスは家に戻り妻(アリソン・ピル)と会話。
息子のコーチに電話するのを忘れたと言うが、妻は息子がショートで頑張るらしいと伝えた。
食後、マニックスは事務所に戻り、ジョーの事務所でモランの養子縁組書類作成に立ち会う。

一方、車でバートの後をつけたドイルは、一味の隠れ家に着く。
そこにはウィットロックが一人のんびりと酒を飲んでおり、ほかの人間は海岸に行ったという。

その、ほかの人間は、ボートで沖に漕ぎ出し、約束の場所でソ連の潜水艦の浮上を待った。
ボートの目前に潜水艦が浮上。
バートは華麗に潜水艦に飛び移り、脚本家たちは身代金をバートに託すが、
次の瞬間、愛犬のエンゲルスがバートに飛びつき、身代金のブリーフケースは海に沈んでしまう。

バートの乗り込んだ潜水艦は潜水を開始、脚本家らもボートを反転させる。

助けられたウィットロックがドイルの車で別荘を後にし、パトカーとすれ違う。

こうして共産主義の脚本家らは逮捕され、ウィットロックはスタジオに戻る。
しかし、感化されたウィットロックが、俳優が監督やスタジオに搾取されていると言うと、
激怒したマニックスはウィットロックをしばき倒し、撮影に戻れと叱咤する。

ウィットロックはキリストの磔刑にひざまずくシーンで抜群の演技を見せるが、
セリフを飛ばしNGとなる。

またも告解に行ったマニックスは転職を迷っていると明かすが、神父に意見され、
怒って席を立つ。

スタジオでは、秘書からディアナが妊娠している子供の父と結婚したので、
ジョーの契約は不要になったとの報告があり、ロッキード社からの伝言には
「お話はありがたいが断る」と伝えさせる、
また、次いで出会ったソーラは再びマニックスに「ワシの翼」のスキャンダルを書くというが、
共産主義の脚本家が流したデマだとニュースソースを言い当て、ソーラを慌てさせる。
ティアナからの花束をソーラに渡して(理由失念)その場を去っていく。

**

マニックスは公式ページでは「スタジオの何でも屋」、Wikiでは「汚れ仕事請負人」と、
まるで無任所のスーパーバイザ、便利屋のような書かれっぷり。

オフィスを構え、扉には「Head of Physical Production」とあり、監督にも俳優にも指示が出せ、
法務担当に無理が言えて、経理担当に20万ドルをあっさり用意させられる。
本来入退室禁止の撮影中のスタジオにも堂々と入り、警備の者が「撮影中です」と言いかけて
「マニックスさん」と言い直す。

それがトラブル処理の何でも屋かね。
実態としてなんでも処理しなくちゃいけないのはわかるし、フィクサーと呼ばれるのも当然だが、
製作総責任者、あるいは現場総責任者などもっと権限のある職位の方がふさわしい。

なお、エディ・マニックスは実在のエドガー・マニックスに基づくキャラとされている。
エドガー・マニックスはMGMの重役でベン・アフレックの「ハリウッドランド」では、
スーパーマン(ジョージ・リーブス)の死の真相を知る人物として描かれている。

本作はそんな撮影現場たるスタジオの総責任者であるマニックスの物語で、
数々のトラブルに対処しつつ、自身の家庭にも配慮し、日々映画製作のために邁進する男。

ただでさえトラブルの多いスタジオにあって、主役の誘拐という難事件が発生し、さらに振り回される。
高給、好条件のヘッドハンティングもあって心は揺れるが、でもやっぱり映画の現場が好き。

そういうお話です。

全体としては群像劇というかオムニバスというか、マニックスをハブとした複数の物語が同時進行し、
最後は一本にまとまる仕掛け。

ジョージ・クルーニーはまたヘタレ役。
同監督(コーエン兄弟)の「バーン・アフター・リーディング」でもヘタレだった。

最初の方で、ジョージ・クルーニーに睡眠薬を盛るハープの男(ウェイン・ナイト)は、
「ジュラシック・パーク」の胚を持ち出そうとするメガネデブ。

双子のティルダ・スウィントンには笑った。

アルデン・エーレンライクとレイフ・ファインズのやり取りも笑う。
あのセリフは「Would that it were so simple」
訛りか滑舌の問題かはよくわからない。

尚、アルデン・エーレンライクは2013年公開の「ビューティフル・クリーチャーズ」のイーサン。
2018/5/25全米公開予定のSWスピンオフ映画(タイトル未定)で若き日のハン・ソロを演じる予定。

 

 

  

 64 ロクヨン 前編   

佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣、窪田正孝、椎名桔平、滝藤賢一、奥田暎二、仲村トオル、瑛太。

**

昭和64年1月4日。
雨宮漬物の社長の小学生の娘、翔子が誘拐される。
警察はすぐに動き、雨宮家に刑事が待機し、身代金の2000万円が用意される。

自宅班の班長は漆原(菅田俊)、班員は幸田(吉岡秀隆)、柿沼(筒井道隆)、日吉(窪田正孝)。
犯人から身代金引き渡しの連絡が入り、雨宮芳雄(永瀬正敏)は身代金の入ったスーツケースを持って車を走らせる。
雨宮の車には松岡勝俊(三浦友和)が隠れて乗り、後ろから追尾班が追う。

身代金受け渡し場所に数分遅れで着いた雨宮。そこに電話が入り、新たな場所が指示される。
次の場所に着くとさらに別の場所。さらに、と振り回される。
行く先は辺鄙なところになり、追尾は望月(赤井秀和)と三上(佐藤浩市)の1台だけに減らされる。
そして何度目かの連絡のあと、犯人は橋の上からスーツケースを投げ落とすよう指示する。

そして、スーツケースが投げ込まれる。
翌日、下流でトランクを引き揚げた男が確保されるがスーツケースは空。男は無関係だった。
トランクに隠したGPS装置の精査の結果、途中の洞窟に引き込まれた記録が残っていた。

そして1月7日。
車のトランクに詰め込まれた翔子の遺体が発見される。

時同じくして昭和天皇崩御。
新しい元号が「平成」となり、世間の耳目は誘拐事件から離れていった。

14年後。
平成14年12月。
三上は刑事部から警務部広報室に異動になっていた。
「64」と呼ばれるようになった身代金誘拐殺人事件の時効を1年ほどに控え、
警察庁長官が被害者宅を慰問する計画が明らかになる。

その頃、妊娠8か月の妊婦の運転する車が泥酔した老人をはね、重傷を負わせる事故が起こる。
三上は広報官として加害者を匿名として発表、記者クラブから反発を受けていた。

その先鋒は東洋新聞の秋川(瑛太)。
何かと三上に反発し、警務部を目の敵にしている。

そんな中、警務部長の赤間(滝藤賢一)は雨宮の警視庁長官慰問承諾を取り付けてくるよう、三上に指示する。
本来、広報室が直接折衝するのではなく刑事部の「64専従班」が実施すべきと考える三上だが、
赤間には刑事部との接触を禁じられる。

久しぶりに訪れた雨宮家。
漬物製造業は廃業、6年前に妻を亡くしたと言うぼさぼさの髪の雨宮は、三上の弔問は受けるが、
警察庁長官の慰問は拒絶する。

そして、刑事部と雨宮家が疎遠になっていることを知る。

一方、妻の美那子(夏川結衣)と北海道を訪れた三上。
遺体安置所で確認した遺体は人違いだった。
実は、二人の娘あゆみ(芳根京子)が親、特に父親に反発して家出行方不明になっていた。
娘の安否を気に病むあまり、美那子は日々の生活に支障はないものの引きこもり状態で、
身元不明の遺体があればこうやって確認に行っているのだった。

翌日、事情を知らない秋川と記者クラブは前日三上が親戚の不幸と称して退席したことにも反発、
県警本部長に直接抗議文を渡すと息巻く。
そして用意した抗議文を持って大挙して本部長室前に押しかける。
押しとどめようとする三上らともみあいになり、三上は抗議文を破ってしまう。
怒り狂う秋川は警察庁長官のぶら下がり会見を拒否すると宣言して去っていく。

三上は雨宮と刑事部に何があったのかと気になりかつての同僚望月を訪ねる。
刑事を辞め農業に転業していた望月は警務部の調査官二渡(仲村トオル)が「幸田メモ」について聞きに来たが、
刑事部から一切他言無用と言い渡されていると語る。

幸田はすでに退官しており、幸田メモが何かはわからない。
三上は刑事部に松岡を訪ねるも「幸田メモ」については何も教えてもらえない。
日吉は事件の直後に退官していた。

当時の自宅班担当の婦警だった村串(鶴田真由)を呼び出し、日吉が事件当日泣いていたことを明かす。
日吉の自宅に事情を聴きに行くが、日吉は引きこもりとなっており、母、雅恵(烏丸せつこ)とも直接会話しないと言う。
三上は娘も引きこもりだったが解決したと嘘をつき、雅恵を安心させる。

三上はもう一人の64自宅班だった柿沼の後をつけ、幸田を見つける。
そして、柿沼が幸田を監視していたことに気づく。
問い詰める三上に対し、柿沼は班長に聞け、という。

高田警察署長に出世していた漆原元班長。
三上は漆原が管内視察の時に問い詰め、当時、犯人からの電話を一度日吉が録音ミスし、それを隠ぺいしていたことを明かす。

広報室は記者クラブを懐柔するため、係長の諏訪(綾野剛)、蔵前(金井雄太)、美雲(榮倉奈々)と一緒に
飲み会を開く。
三上は美雲を連れて行ったことに激怒するが、美雲は三上の逆差別だと反発する。

翌日、刑事部に呼ばれた三上。
刑事部長の荒木田(奥田暎二)から警察庁長官の来訪の目的が刑事部長更迭にあると聞かされ、
警察庁主導人事に反発する刑事部の意向を感じ、本部長に直訴に行く。

県警本部長の辻内(椎名桔平)は刑事部長更迭の噂をあっさり認め、三上の話は軽くかわす。
その頃、警務部内の不祥事が発覚。
東洋新聞にすっぱ抜かれるが、赤間は謝罪を公表。
三上は刑事部からの漏洩だと赤間に告げる。

再び、赤間から雨宮の承諾を要請された三上は、再度雨宮宅を訪ねると、身ぎれいにしていた雨宮は
長官の慰問をあっさり承諾する。

また、日吉に対し「君のせいじゃない」とのメモ差し入れを頼んだ。

一方、記者クラブの懐柔はうまくいかず、三上は一人記者クラブに赴いて今後は実名を明らかにすると宣言する。
信用できないとする記者クラブは匿名としている自動車事故ついて加害者の実名を発表しろと息巻き、
三上はついに加害者の実名と警察内部との親戚関係を明らかにする。

怒り狂う記者クラブに対し、三上は被害者が死亡したことや被害者の人となりなどを説明し、
被害者にも目を向けてほしいこと、同じように忘れ去られようとしている64事件についても
世間の関心を喚起するため、長官取材に応じてほしいなどの要望を語る。

記者クラブは朝刊取材を承諾。事前に質問を提示してくる。

いよいよ長官視察前日。
記者クラブの一人から刑事部に人がいないと聞かされた三上は、捜査1課2課が
居残り電話番以外誰もいないことに気づき、署内を探る。

長官視察拒否だと感じた三上は、別室に集まっている刑事部に談判しようと乗り込むが、
そこではついさっき発生した「誘拐事件」の捜査会議が行われようとしていた。

捜査一課の御蔵(小沢征悦)は、被害者を匿名とした報道協定の締結要請書を三上に手渡し、
記者クラブと折衝するよう指示する。

犯人の要求する身代金は2000万円、丸越の一番大きいスーツケースに現金を入れろ、とは
まさに「64」の手口そっくりだったのだ。

後半へ続く。

**

人物相関。
時効になろうとしている誘拐殺人事件の状況とその後の説明が前編の中心で、
問題提起、布石をバラ撒くだけで何も解決しない。

署内人事を巡っての警察庁と刑事部の軋轢。
また、刑事部と警務部の対立。
記者クラブと警察の対立。
様々な対立の狭間に落ち込み身動きのできない主人公。

職場での軋轢だけでなく家庭内の問題も露呈。
ますます窮地に追い込まれていく。

一旦は記者クラブとの融和が図れたように見えるがそれもほんの一瞬。
後半、怒涛の伏線回収とならなければ、不満の残る展開だった。

小説は未読だが、結末を小説と合わせるのか変えるのか。
もし変えるとすれば、その布石、伏線をどこにちりばめておくのか、あるいはあるのか、
後編が気になる。

登場人物は嫌なやつばっかり。特筆は滝藤賢一。
嫌なやつでない人も問題児ばかり。
唯一、鶴田真由が良い人。

椎名桔平には参った。
本部長っておそらくはエリートキャリア官僚で、あんな感じなんでしょうね。
「人事がやりたいんだ」にはギャフンでした。

県警記者クラブの実態について何ら知識はないが、勝手な想像とは全く様相が違っていた。

まずは大部屋。
社ごとに小さい部屋が用意されているのかと思っていたが記者クラブ加入メディアが
一堂に会する大部屋方式になっていた。
これじゃ県警発のニュースについては独自取材、特ダネすっぱ抜きなどできないと思うのは勝手な想像か。
瑛太の立ち位置もよくわからない。
広報室を信じないならそこからの情報屋記者クラブ宛ての情報だけに頼らないで、
独自取材をして行けばいいと思うのだが、他のメディアを扇動しているようにしか思えない。

また県警との在り方。
記者クラブ方式は既存メディアにとっては、提供元と、この場合は県警だが、持ちつ持たれつで、
こんな対立の構図になっているとは思っていなかった。

持ちつ持たれつも、悪く言えば警察と記者クラブ自体が癒着、なあなあ、談合で、
非加入メディア排除、既存メディアの既得権益確保のための組織じゃないのか、
なんてうがった思い込みをしていたから、劇中の記者クラブに良い印象はなかった。

 

 

 

 ズートピア    

上戸彩、森川智之、玄田哲章、竹内順子。

*

冒頭はキツネにウサギが襲われる芝居。
かつて肉食動物と草食動物は争っていたが、今は仲良くズートピアで暮らしているといった内容。

ウサギのジュディ・ポップスは正義感が強く、いじめっ子のキツネのギデオン・グレイに
引っかかれてもめげない、そんな女の子。

大きくなって、人参畑を手伝ってほしい両親の希望や心配をよそに警察学校に入り、
体格体力で劣りながら、俊敏さを生かすなどして首席で卒業する。

ズートピアのライオンハート市長(玄田哲章)から、ズートピア中央署への配備を告げられる。
式典で副市長のヒツジのベルウェザー(竹内順子)は小さい体でてんてこ舞い。

意気揚々と高速鉄道でズートピアに向かうジュディ・ポップス(上戸彩)。
ズートピアがいくつかの地区に分かれていて、それぞれの気候にあった動物たちが住んでいることなどが紹介される。

署の受付のデブっちょチーターのベンジャミン(サバンナ高橋)とやり取りし、中に入る。

署長は水牛のボゴ。
新人(ジュディ・ポップス巡査)の紹介はせず、早速会議では14匹の行方不明事件の捜査を指示する。
しかし、ジュディに与えられたのは駐車違反の取り締まり。
ジュディは署長の指示の4倍のスピードで違反を摘発していく。

そして一段落ついたとき、
象のアイスクリーム屋で販売拒否されているキツネのニック・ワイルド(森川智之)親子に気づき、
とりなしてアイスキャンディーを売らせることに成功する。

しかし、親子と思った子供はフェネックの大人。
ニックは手に入れた巨大アイスキャンデーを溶かして小型のアイスを大量生産しぼろもうけ。
廃品のはずのアイスの棒も木材として販売する念のいり様で、ジュディはすっかり気落ちする。

翌日、取り締まりの最中花屋に入った泥棒のイタチのデュークに気づきを追う。
デュークは小動物エリアに入り込み、ジュディは小動物を踏まないように注意しながら追う。
デュークが蹴とばしたドーナッツの広告塔がつぶしそうになったトガリネズミの女性をジュディが助ける。
結局デュークは捕まるが、ボゴ所長は大騒ぎをおこし盗まれた玉ねぎを取り返しただけとなじる。
ジュディは玉ねぎではなく「ミドニカンパムホリシシアス」の球根だと言い返すが、火に油を注ぎ、首と言われる。
そこにカワウソのオッタートン夫人が署長室に入ってきて、行方不明の主人を探してくれという。
何度も署を訪ねてきてはいるが、署長はすでに14匹の行方不明操作で忙しいと断る。

ジュディはつい自分がやると言ってしまい、署長は激怒するがたまたまベルウェザー副市長がそれを聞きつけて賛同し、
署長は48時間の期限を切ってジュディに捜査させる。

捜査資料は行方不明になる前、アイスキャンディを食べているオッタートン氏の写真のみ。
しかし、そのアイスキャンディがニックの売ったものとわかり、ニックを問い詰める。
ニックが断る際の言葉を録音し、脱税の疑いがあると切り返すジュディ。
ニックはしぶしぶ捜査に協力する。

ニックはオッタートン氏が通うヨガ教室へ行き、受付のヤクからオッタートン氏の乗ってきた車の番号を聞く。
陸運事務所(係員は全員ナマケモノ)でやっと車の持ち主を聞きつけるが、既に夜。
車はリムジンで忍び込んだジュディは車の中で無数の爪の跡とオッタートン氏の免許証を見つける。
何かに気づいたニックが逃げようとしたが、時すでに遅く、シロクマに拉致される。

行った先はミスター・ビッグという黒幕の屋敷。
トガリネズミのミスター・ビッグは娘の結婚式を控えた夜に忍び込んだニックとジュディに激怒。
氷漬けにしようとする。
しかし、その結婚する娘というのが日中ジュディが助けたトガリネズミで、2匹は命拾いする。
オッタートン氏は結婚式用の花束の相談でミスター・ビッグのリムジンの迎えを受け屋敷を訪れる途中だったらしい。

ジュディはリムジンのドライバーのクロヒョウのマンチャスを訪ねるが、オッタートン氏が突然襲ってきたという。
マンチェスから「夜の遠吠え」とのヒントを聞くが、万チェスは豹変し、ジュディとニックを襲う。
焦って逃げ、橋げたに縛り付けてボゴ署長らを呼んだところ、マンチェスの姿は消えていた。

捜査失敗で首だと言うボゴ署長にニックはまだ時間があると返し、ジュディに協力を続ける。

その場から去るロープウェイの中で道路状況が気になったニックは道路カメラの映像に何かあると思い、
ベルウェザー副市長に調べを依頼する。
副市長なのに狭い汚い個室しかなく市長の秘書として忙しいベルウェザー副市長はすぐに離席。

ニックとジュディで録画を調べる。
マンチェスを拉致した車はすぐに判明するが、途中で行方不明に。
しかし、ニックの勘では途中の抜け穴からわき道に向かったはずで、案の定車は見つかり、アジトも判明する。

ジュディとニックは警護するオオカミこそが「夜の遠吠え」の正体と思われるそのアジトに潜入。
オッタートン氏、マンチェスのほか、行方不明になっていた14匹を発見した。
いずれも凶暴化しており手が付けられない。
しかし、そこにライオンハート市長が登場。
そう、行方不明の黒幕はライオンハート市長だったのだ。

ライオンハート市長は逮捕されるが、容疑を否認。凶暴化の謎が解けるまで隔離していただけという。
一方、ジュディは事件解決の立役者として記者会見に臨む。
記者たちの質問に答えるうち、凶暴化の原因は肉食動物の天性、本能が目覚めたのではないかと言ってしまう。
ジュディはニックの信頼を失い、人々は肉食動物に疑心暗鬼になり、ベンジャミンは受付から資料係に異動。
一方のベルウェザー副市長はボゴ署長とともにジュディを市の顔にすると言い、ジュディは逆に警察を辞めてしまう。

田舎に戻り、両親とともにニンジンやブルーベリーを売るジュディ。
かつてのいじめっ子だったギデオンと再会。
防虫剤に使う「ミドニカンパムホリシシアス」が「夜の遠吠え」と呼ばれていること、
間違って食べると気が荒くなることなどを聞く。

ジュディは再びズートピアに戻り、ニックに謝罪、夜の遠吠えの正体を明かす。
そう、それこそ、最初に花屋から盗まれた球根だった。

二人はデュークを確保し、球根を売った相手を探す。
デュークは白状しないが、ミスター・ビッグの協力で白状する。
売った相手はダグと言うヒツジ。地下鉄の廃駅にいると言う。
そこには研究室に改造された車両があり、夜の遠吠えからエキスを抽出濃縮していた。

ニックとジュディは車両ごと証拠として確保、警察まで持っていくことにしたが、
途中でブレーキが故障し脱線転覆、爆発して証拠がなくなってしまう。

と思ったら、ニックが濃縮弾と発射銃を確保していた。
二人は急いで警察署に向かう。

あと少しのところでベルウェザー市長(元副市長)が現れ、証拠を渡せと言う。
怪訝がるジュディ。実はベルウェザー市長が黒幕だったのだ。

逃げるニックとジュディ。銃を落とし、二人とも穴に落ちる。
動けない二人に対し、ベルウェザー市長が事件の真相を語る。
草食動物が多数を占めるのに、少数派の肉食動物に支配されているズートピア。
肉食動物を凶暴化させて追い出し、草食動物が実権を握るために起こした事件だった。

すべてを吐露したベルウェザー市長はニックに濃縮弾を打ち込み、
ニックは凶暴化し、ジュディをかみ殺した、わけはなく、
濃縮弾は抜き取られており、ブルーベリーと入れ替えられていた。

ベルウェザー市長の自白は録音されており、逮捕された。

凶暴化の原因が判明した結果、治療法も見つかり、
やがてオッタートン夫妻にも元の生活が戻ってきた。

ニックは警察学校に入り、キツネとして初の警察官になり、ズートピア中央署に配置される。

そして最初の会合。
例によって新人の紹介はしないボゴ署長。

ニックとジュディに指示した仕事はスピード違反の取り締まり。
毎々暴走を繰り返す容疑者を検挙。
容疑者はなんと陸運事務所でグダグダのナマケモノのフラッシュだった。

**

ディズニーさすがです。
評価は高く、興収面でも現在のところ、「ライオンキング」「トイストーリー3」
「アナ雪」に次ぐディズニーアニメ史上4位となっている。

練りに練られた脚本。
ちりばめられた伏線が見事に回収され事件が解決するところもさすがですが、
人種差別、職業差別など都会における差別や軋轢をうまく表現し、
子供と大人に全く違った見方を提供し、単なる動物アニメではない深さがある。

例によって日本語版は日本を意識した作りになっている。
主要な文字の部分は日本語で書かれていたり、ニュースキャスターが狸だったり。

実はあまり知られていないことだが、狸は原産は東ヨーロッパながら
現在の生息地は極東アジアに偏在しており、欧米人にはなじみがない。

他にヘラジカ、パンダ、コアラ、ジャガーがおり、合わせて5種類。

 

 

 

 スキャナー 記憶のかけらを読む男    

野村萬斎、宮迫博之、杉咲花、高畑淳子、木村文乃、ちすん、安田章大、風間杜夫。

ピアノ教師の沢村雪絵(木村文乃)はコンクールの近い秋山亜美(杉咲花)の個人指導のあと
自転車での帰宅途中、白いワンピースの女に襲われ、行方不明となる。

マイティ丸山(宮迫博之)は借金の取り立てに追われているのに得意の毒舌漫談が受けず、
事務所社長の峠久美子(高畑淳子)から首を言い渡される。

そこへ、秋山亜美が「マイティズ」に雪絵の捜索依頼を持ち込んでくる。
謝礼(30万円)に目がくらんだ社長は即座にOK。
丸山にマイティズの相方の仙石和彦(野村萬斎)を協力させるよう指示する。

丸山と亜美がマンションの管理人室を訪れ、仙石に捜査を依頼するが、思念を読むパフォーマンスで
嫌な過去ばかり読んでいた仙石は拒否して二人を追い返す。

しかし、亜美が落とした爪やすりを手にした仙石は、その思念から雪絵の優しさを感じ取り、捜査に協力することにした。
失踪時の自転車発見場所からは何も発見できず、雪絵の自転車から、白いワンピースの女、白いワゴン車を感じ取る。

亜美の友人にモンタージュの作成を頼み、その絵をもって所轄に相談に行った杉咲だが、
「マイティズ」と聞いた警官はまともに取り合わない。

そこで、丸山の助言を受けて警視庁に捜査依頼を送ることにした。

警視庁では「お坊ちゃま」とからかわれている若手刑事の佐々部悟(安田章大)がその手紙を気に留め、
上司の野田(風間杜夫)に相談、丸山と仙石に事情聴取することになった。

というのも類似の拉致殺人事件が立て続けに起こっており、いずれも白いワンピースの女と白いワゴン車が目撃されていた。
さらに二人の被害者には未公開の薬物注射跡があり、それが手紙にも書いてあったからだ。

丸山と仙石は解放されるが、警察は当てにならないとみて、先の二人の被害者の線から調べを続ける。
一人の遺族、平野には冷たく追い返されるが、もう一人の高柳は犯人捜しを熱望して協力してくれ、仙石は「霞高原」を読み取る。

事件現場は晴海ふ頭の近く。
仙石はその場にあった小屋の扉からとてつもない思念を感じ、丸山と逃げようとするが、
突然襲ってきたとダンプカーに押され、車ごと岸壁から海に落とされてしまう。

何とか助かった二人、丸山は軽傷、仙石は意識不明となってしまう。

野田主任は佐々部を密着させ、引き続き、仙石と丸山を捜査させる。
仙石は意識が戻り、佐々部は新たな情報を提示する。
それは仙石が感じた「エリカ」という名前で、10年ほど前の霞高原の音楽合宿で一緒だった4人を
探しているというネットの書き込みで、返事をしたが被害者の平野だった。
調べたところ、平野、高柳、沢村がこの合宿に参加しているということだった。

その参加者リストには、沢村の同僚で音楽教師の伊藤忍(ちすん)もいた。
しかし、伊藤忍はその合宿直前に病気で参加しなかったという。

は「木戸エリカ」という女の子が浮かび上がった。
仙石と佐々部は霞高原の木戸家の屋敷を訪ねる。
すでに空き家となった木戸家。
地元警察によればかつてエリカという少女が療養していたが10年ほど前に亡くなったそうだ。

大した手がかりもないまま、佐々部は野田に呼び戻される。
エリカの名前で書き込みをしたのは伊藤忍だったというのだ。
おりしもピアノコンクールの日。
亜美に花束を用意して舞台裏から近づく伊藤忍。
すんでのところで伊藤忍は野田らに確保される。

残された仙石はエリカの書いた絵から思念を感じ、丸山を呼び寄せる。
仙石は、思念を追って山奥に入り、ついに寝袋に入れられた雪絵の遺体を発見する。

雪絵の思念は、仙石の胸ポケットを示して散る。
そこには仙石が木戸家に入ったときに佐々部から借りたハンカチが入れてあった。

仙石はさらに雪絵の思念から拉致されて運ばれた先を読み取る。
そしてそこに急行。
そこは装した佐々部が亜美を拉致している現場だった。

事件の構図はこうだ。
当時病弱で療養中だったエリカ。佐々部はその兄だった。
すぐ近くでボール遊びをしていた4人はエリカを誘った。
翌日、ボールを取りに来る約束が雨。
エリカは4人の合宿所まで行こうとし、雨で容体を悪くして死んだというのだ。
佐々部悟はエリカとの約束を破った4人を探して復讐していった。
なかなか4人目がわからず苦労したが、仙石を利用した結果、
秋山亜美が4人目とわかり拉致したのだった。

実のところ、悟は両親の愛を一身に受けていたエリカを疎ましく思っていて、
エリカの死後は自分に愛が向かうどころか、エリカの死の責任を問われさらに虐待を受ける。
それが高じて女装趣味となるが両親には理解されず、佐々部家に養子に出された。

いつかエリカの復讐をしようと考え、この犯行を思い立ったのだ。
しかし、仙石のスキャニングの結果は違った。
確かに4人はエリカのすぐ前で遊んでいたが、エリカとは遊ばず、ボールを残して帰った。
エリカは4人と遊んだと兄に嘘をつき、悟はそれを信じた。

本当にエリカが遊びたかったのは大好きな兄の悟だった。

銃を構える佐々部悟、野田らが突入して佐々部を確保しようとしたが、佐々部は自分を撃つ。
薄れ行く意識の中で仙石はボールから悟と遊ぶエリカの思念を佐々部に送り込み、
安らかに死なせるのだった。

事件は解決し、峠社長はマイティズの再結成と再出発を記者会見する。
しかし、仙石と丸山はそれに出席せず、伊藤忍とともに、亜美が優勝曲を弾くのを聞いた。
亜美の胸には、雪絵が大事にしていたペンダントが飾られていた。
雪絵の形見分けだと言う。

雪絵がマイティズの大ファンだった過去にも理由があった。
マイティズ結成前、雪絵が落とした亡き母の形見のペンダント。
あきらめかけていたところ、偶然それを拾った仙石が思念を読み取り、雪絵の家に届けていた。
名前も告げずそそくさと立ち去る男の後ろ姿を見た雪絵。
暫くしてTVでマイティズを見て母のペンダントを届けてくれた人だと確信し、
ファンになったのだった。そしてそれは亜美に引き継がれた。

別れ際、丸山は仙石にいつでも戻ってこいと言い、仙石は去っていく。
そして屋上から外を眺め、人に対する不信が少し拭われたことのセリフがあって映画は終わる。

**

意外と複雑な人間関係や事件の構図。
記憶と事実が異なっていたり記憶が改ざんされている可能性などもうまく利用し、
全体に破綻がないよううまく整合がとられている。

また怪しいと思わせ、実はそうでもないと思わせつつ、実は犯人だったと思わせるが
実はそうではないなどの手の込んだ設定もうまくできていた。

ただ、全体にやはり冗長。

例えば、借金取りは一度しか登場しない。
丸山が金に困っていることを提示しているが、あれじゃ随分甘い取り立てでしかない。

また、仙石が客の知られたくない事実を暴くシーンは1回でいいし、
言い当てられる方はもう少しどぎまぎしないと。

最後の記者会見は無くても良い。

仙石の生い立ちの紹介はもし続編を作るつもりなら取っておいても良いし、
丸山との別れと屋上から眺めるシーンは合わせて1つでいい。
(別れ際に仙石に何か言わせるか、屋上のシーンで丸山から電話があるとか)

せっかく撮ったのに切るのはもったいないのはわかるけど、サブエピソードがちょっと余計。
ペンダントのエピソードも伏線回収にはなっているが、いかんせんこういうコネタが多すぎる。
バッグと婚約指輪はどちらかだけにするとか、もう少し整理して絞った方が良かった。

野村萬斎、さすがだが、マイティズ時代の髪型は似合わない。

杉咲花が18歳(実年齢)だとは知らなかった。
まだ、中学生くらいだと思っていた。

ちすん、久しぶり。前回見たのは何だったっけ。

 

 

          

 

 
 シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ     

クリス・エバンス、ロバート・ダウニーJr. スカーレット・ヨハンソン、ポール・ベタニー。

**

冒頭はヒドラの秘密基地。
ウィンター・ソルジャー(=バッキー=ジェームス・バーンズ、セバスチャン・スタン)が
後催眠を掛けられているシーン。

トニー・スターク(=アイアンマン、ロバート・ダウニーJr)は、海馬を刺激して
過去の記憶を再現し、違った選択で悔恨の念を解消する仕組みについて解説。
ついで、講演に参加していた学生らの研究のために無償の奨学金を提供すると発表し、
会場の喝采を浴びる。
このとき、再現していた様子は、父ハワードと母マリアが出かけるシーン。
この後二人は自動車事故で死亡する。

ナイジェリア・ラゴス。
何者かに研究所が襲われ、危険な細菌/ウィルスが奪われる。
キャプテン・アメリカ(=スティーブ・ロジャーズ、クリス・エバンス)、
ブラック・ウィドウ(=ナターシャ・ロマノフ、スカーレット・ヨハンソン)、
スカーレット・ウィッチ(=ワンダ・マキシモフ、エリザベス・オルセン)、
それにファルコン(=サム・ウィルソン、アンソニー・マッキー)が追い、
細菌/ウィルスは奪還したものの敵の自爆を防ごうとしたワンダが、
寸前に敵を近くのビルにぶち込んだため、人的を含む相当な被害を巻き起こす。

アペンジャーズ本部。
ニューヨーク、ワシントンDC、そして前作のソコビアとアペンジャーズの活躍の裏には、
多大なるコラテラル・ダメージが存在することに、人々は恐怖を感じ、何らかの統制を必要とした。

解決策としてアペンジャーズを国連の管理下に置く「ソコビア協定」が策定され、
各スーパーヒーローに賛同と署名が求められた。

トニー・スタークはソコビアで息子を亡くした国連職員に非難されたことがトラウマとなって賛同。
ジェームズ・ローズ(=ローディ=ウォーマシン、ドン・チードル)、ビジョン(ポール・ベタニー)も賛成。

一方のスティーブは協定に反発、ワンダ、サムも懐疑的。
尚、ハルクとソーは参加していない。

その頃、かつてスティーブの恋人だったペギー・カーター(ヘイレイ・アトウェル=写真のみ)が死亡、
葬儀に参列したスティーブとサム(=ファルコン)は、前作で隣のナースことエージェント13が
ペギーの姪のシャロン・カーター(エミリー・バンキャンプ)であると知った。

ウィーンでソコビア協定の調印式が行われ、ナターシャも参加。
ロゴスでのアペンジャーズの行動を非難していたワカンダ国のチャカ国王もナターシャらに謝意を示し、
演説を行っていた。

その時、息子のチャラ王子(チャドウィック・ボーズマン)はビルの外での不穏な動きに気づいたが、
警告が間に合わず、爆破でチャカ国王が死亡する。
不穏な動きをしていたものは防犯カメラに捕らえられており、バッキーに見えた。

ここでもう一人の謎の人物、ハインリッヒ・ツィモ(ダニエル・ブリュール)が登場。
ヒドラのスパイを捕まえ、1951/12/16の秘密を喋れと言われ拒否し、殺される。
ハインリッヒはヒドラの秘密ノート(暗号帳)を見つけ、解読を進める。

国連はバッキー逮捕を指令し、スティーブ(=キャプテン・アメリカ)はバッキーを擁護。
キャプテン・アメリカはバッキーを発見して追うが、バッキーを追う謎の男(=ブラック・パンサー)と遭遇。
なんだかんだあってバッキーとキャプテン・アメリカは逮捕される。
その際、ブラック・パンサー(ウルバリン並みの強力な爪を持つ)の正体がチャラ王子であることがわかる。

ワンダはトニー・スタークの研究所に軟禁され、ビジョンが監視していた。
トニー・スタークはスティーブ・ロジャーズの協定参加を依頼するが、ワンダ軟禁が原因で物別れとなる

バッキーは特殊ケージに入れられ精神鑑定を受ける。
鑑定医のツィモがヒドラの催眠暗号を読み上げると、バッキーはウィンター・ソルジャーに変貌し、
暴れまくって逃げるが、スティーブが体を張って阻止して水没。
ファルコンとバッキー、スティーブは行方不明となる。

その後、バッキーとの話し合いの中で国連での爆破事件は別人によるものと考えられ、
鑑定医が偽物であると判明する。本物の鑑定士は殺害されていた。

バッキーはウィンター・ソルジャーはほかに5人いて、シベリアの秘密基地に冷凍睡眠にあることを暴露。
ツィモがそれらを起動するのを阻止するためシベリアに向かうことにした。

新たにスコット・ラング(=アントマン、ポール・ラッド)を仲間にし、
シャロンがひそかに返してくれた武器を装備して飛行場に向かうが、
スパイダーマン(=ピーター・パーカー、トム・ホランド)を味方にしたアイアンマンらと戦いになる。

ホーク・アイ(=クリント・バートン、ジェレミー・レナー)が参戦、ナターシャも手助けして
脱出に成功したスティーブ・ロジャーズとバッキーは一路シベリアへ。

追うアイアンマンやウォーマシン、ひそかにブラック・パンサーも後を追う。
戦いの中でビジョンの放った一撃がウォーマシンのアーク・リアクターを直撃し、ローディは墜落する。
一命はとりとめたローディだが、重傷を負った。

一方、シベリアの秘密基地に着いたキャプテン・アメリカはの一行。
しかし、他のウィンター・ソルジャーは全員カプセルに入ったまま射殺されていた。

ツィモの目的はウィンター・ソルジャーの起動やそれによる世界の混乱などではなく、
ソコビアでの被害の復讐だったのだ。

バッキーの仕業に見せかけて爆破事件を起こし、バッキーを逮捕させてウィンター・ソルジャーを
全滅させることだった。

一方、バッキーが真犯人ではないと分かったトニー・スタークは後を追ってシベリアにつき、
キャプテン・アメリカ、バッキーに謝罪する。
しかし、ツィモが用意したバッキーのかつての暗殺事件の証拠動画(=ハワード・スタークとマリアを殺害)で、
怒りが爆発し、アイアンマン、バッキーと戦いとなる。
結局はアーク・リアクターを壊されたアイアンマンが負ける。

ツィモは証拠隠滅のため銃で自殺しようとしてすべてを知ったブラック・パンサーに阻止され逮捕される。
バッキーの代わりに特殊ケージに入れられたツィモ。
エバレット・ロス(マーチン・フリーマン)が、尋問を開始しようとする。

仲違いしたままのトニー・スタークの元にスティーブ・ロジャーズからいつでも協力するとの手紙が届く。

スティーブはキャプテン・アメリカの盾をトニー・スタークに返して、ワカンダ王国でチャラ王子の庇護のもとにあった。
バッキーはアイアンマンとの戦いでメタルアームを失い、洗脳から覚める方法が見つかるまで冷凍睡眠に入った。

**

関連作品、過去作品を見ていないと登場人物についてはなんのこっちゃ、でしょう。
エミリー・バンキャンプがエージェント13だったことなど当の昔に忘れてしまっていた。

大勢のスーパーヒーローが登場。
マーベル・コミック好き好きにとっては垂涎の豪華メンバー勢ぞろい。

スパイダーマン、アントマンが初参戦し、ブラック・パンサーが初登場。
クロスボーンズ(=ブロック・ラムロー)も出ていたがすでに記憶にない。

余りにもすごいパワーなので多大なるコラテラル・.ダメージから排斥運動がおこったり、
反発する市民やビランが登場するのは「バットマンvsスーパーマン」と類似する。
これも時代か。

スパイダーマン(トム・ホランド、1996生)が若返り、
メイおばさん(マリサ・トメイ、1964生)も若くなった。

2002〜2007の公開のトビー・マグワイア(1975生)版は、ローズマリー・ハリス(1927生)、
2012、2014のアンドリュー・ガーフィールド(1983生)版は、サリー・フィールド(1946生)、
なので、年の差も縮まった。全米公開は2017/7/7の予定。

毎度おなじみのカメオ出演のスタン・リー。
今回は、トニー・スタークに手紙と携帯を配達するじいちゃん。
「トニー・スタンク」と何度も呼びかける。
STUNKは、STINK(スティンク=臭い)の過去形であり、その意味で
「トニー・スカンク」の字幕はとても良い。

 

 

  レヴェナント:蘇りし者  

レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、ウィル・ポールター。

**

1820年代、アメリカ北西部。

毛皮会社のヘンリー(ドーナル・グリーソン)の一行は捕獲した毛皮の梱包を急いでいた。
道案内役のグラス親子(父:レオナルド・ディカプリオ、息子:フォレスト・グッドラック)は、
周辺を探索し、川でヘラジカをしとめる。

その銃声に一行の一人、ジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)は嫌悪感を示す。
その音でインディアン(ネイティブ・アメリカン)が襲撃してくる可能性があったからだ。

息子のホークがヘラジカを運ぶのを手伝うよう頼みに来ても誰も耳を貸さず、毛皮に夢中だ。
ついに、インディアンの攻撃が始まった。次々と仲間が射貫かれていく。

ヒュー・グラスも慌てて一行の元に戻り、船に急ぐよう声をかける。
一行はできるだけ多くの毛皮を持って船に戻り、何とか脱出できた。

しかし、川での移動は危険だとするグラスに従い、小高い丘に毛皮を隠し、
船には二人を乗せて一行は山越えで砦を目指す。

フィッツジェラルドは川の方が安全だとする自説を推すもヘンリーに却下される。
船は一行の知らないうちに翌日にはインディアンに襲われ、乗組員は殺害される。

アリカラ族のインディアンがヘンリーたちを追うにはわけがあった。
一族の長老の娘、ポワカが白人に誘拐されていたので、それを奪還するためだ。

翌日早朝、付近を調べるグラスの前に小熊が現れた。
さらに現れた母熊はグラスに襲い掛かる。
グラスの銃撃応戦むなしく、咬みつき、引っ掻き、振り回した。

一旦は離れるが、再びグラスを攻撃。
先ほどの銃撃が熊の力を奪っていたためナイフでの反撃により何とか熊を刺殺したものの、
グラスも瀕死となる。
一行がグラスを発見するが全身に切り傷、打撲、出血でまさに瀕死状態。
医師でもあるヘンリーの応急処置でなんとか一命はとりとめた。

グラスは体を動かすこともしゃべることもできないが、担架を作りみんなで引っ張っていくことになった。
過酷な天候、足場、体力も限界に近づき、グラスを連れて急斜面を上ることは不可能。
ヘンリーはあと何日かの命だと考えて、ついにグラスを諦める。
しかし、直接射殺することもできず、死を見届け埋葬する役目を
息子のホーク、若手のブリッジャー(ウィル・ポールター)、それにフィッツジェラルドに託し、
残りの一行は先を目指す。

グラスの担架を置いて見守る3人。
ホークとブリッジャーは周辺で食い物や枯れ木を探す。
グラスが邪魔でさっさと死ねばいいと思っているフィッツジェラルドは、ついに我慢できず
グラスに殺してもいいかと聞く。

フィッツジェラルドはグラスが承諾したと思い口を塞ぐが、戻ってきたホークと争いになり、
グラスの見ている前でホークを刺殺してしまう。

そして次の日、フィッツジェラルドはブリッジャーにインディアンが迫ってきたと嘘をつき、
グラスを見捨てて逃げようとする。置いていけない、埋葬する約束だと言うブリッジャー。
フィッツジェラルドは穴にグラスを押し込み、上から土をかけて埋葬したと言い張り、そのまま逃げる。
ブリッジャーも目印を刻んだ水筒を残して後を追う。

グラスはもちろん死んでいなかったが、気迫で穴からはい出し、残された布や毛皮をまとって、後を追う。
とは言ってもただ這いずるだけで、遅々として進まない。

傷も開き、出血が止まらない。銃用の火薬で首の傷口を焼き閉じたりして凌ぐ。
川べりで渇きをいやし、暖を取り少しずつ傷が癒えるのを待つ。

ヘンリーの一行は道がわからず、意見が分かれるが、何とかへばりながらも砦にたどり着く。
フィッツジェラルドとブリッジャーも後を追う。
ブリッジャーは途中でフィッツジェラルドの嘘に気づくが、逆に脅しをかけられる。
何とか砦にたどり着いた二人。
フィッツジェラルドはグラスの死を見届けて埋葬したこと、ホークは逃げたことをヘンリーに報告し、
約束の金を受け取る。

フィッツジェラルドは毛皮の金をよこせと言うが、騎兵隊が来て毛皮を取りに行くまで金は払えないという。

グラスが川べりで休んでいるところをインディアンの追っ手に発見される。
川に入って流されながら逃げ、何とか逃げおおせる。

下流の川べりにたどり着き、魚を罠にかけて生で食うなどしてしのぐ。
夜、川沿いの平地でスー族に家族を殺されたポーニー族のインディアンが一人バッファローを倒していた。
グラスははいずりよって肉を分けてもらい、そのあとも馬に乗せてもらう。

インディアンと暫く同行するが、吹雪の中、ついに馬にも乗れなくなって倒れたグラス。
インディアンは木や枝で吹雪除けの小屋を作り薬草をグラスの体に刷り込んで、火をおこして去っていく。

翌日、晴天の中、薬草の効果が出たグラスは先を急ぐ。
グラスを助けたインディアンが吊るされているのを発見、近くにはフランス人の毛皮狩りの一行。
グラスは辺りに夜まで潜む。
フランス人一行はインディアンの女性を連れていて、乱暴していたが、グラスは背後から接近して銃を奪う。
インディアンの女性はフランス人に切り付けて逃げ、グラスは吊るされていたインディアンの馬を奪って逃げる。
その際、グラスはブリッジャーから手に入れた水筒を落とす。

何とか逃走に成功したものの先日襲われたインディアンの一行に遭遇して追われる。
そして、馬ごと崖から墜落。結果としては逃げおおせたが馬は死に自身もケガを負う。
このままでは死ぬ。グラスは馬の内臓を取り出し、馬の体内に入って寒さをしのぐ。

翌日、砦にフランス人が迷い込む。グラスが落とした水筒を持っていた。
水筒に気づいたフィッツジェラルドはホークかもしれないという。

ヘンリーは何人かでさっそくホークを探しに出かけ、グラスを発見する。
砦に戻ったヘンリーはブリッジャーを逮捕し、フイッツジェラルドを探すが逃げた後だった。

嘘とホークの殺人だけでなく、金庫の金まで盗まれたヘンリーは怒り狂い、フィッツジェラルドを追うことに。
一息ついたグラスは傷も癒えぬまま、一緒に行くと言い出し、ヘンリーも承諾する。

後を追うのは得意のグラス。
徐々にフィッツジェラルドに近づいていく。

ヘンリーはフィッツジェラルドが言っていた白人の兵隊を殺した話が本当かグラスに確かめる。
グラスは妻を殺し、息子を殺そうとした男を殺しただけだと答える。

やがて二人はフィッツジェラルドにあと少しのところまで来る。
二手に分かれて両側から接近しようというグラス。

ヘンリーの向かった先にフィッツジェラルドはいた。
一瞬早くフイッツジェラルドの銃が火を噴き、ヘンリーは倒れた。

グラスは銃声を聞きつけてヘンリーの死体を発見する。
ヘンリーの死体を馬に縛り付け、フィッツジェラルドの後を追う。

崖の上から見ていたフィッツジェラルドはグラスを狙い撃ちし命中。
しかし、それは枝で体を固定されたヘンリーだった。

グラスは死体のふりをしてヘンリーの馬に乗っていた。発砲。そして格闘。
フィッツジェラルドはナイフ、グラスは斧を使って応戦。
互いにボロボロになりながらもグラスはついにフィッツジェラルドを倒す。

すると川下にインディアンの群れを見つけ、ポーニー族の言葉を思い出す。
「復讐はするが手を下すのは神の意思によるのだ」と。
グラスはフィッツジェラルドを川に流し、インディアンに託す。

フィッツジェラルドは殺され、インディアンの群れはグラスに迫る。
しかし、一群の中にはグラスが逃がしたポワカがおり、グラスを見下ろして通り過ぎていった。

グラスは遠景に妻の幻影を見る。
それは果たしてグラスが見た最後の光景だったのだろうか。

**

2016年第88回アカデミー賞、監督賞、主演男優賞、撮影場を受賞。
ディカプリオ初のアカデミー賞受賞となった。

カメラワークはいかにも特徴的で、技法は違うけど「バードマン、あるいは・・・」が頭に浮かんだ。
実際問題、「バードマン、あるいは・・・」と監督も撮影監督も同じ。
ちなみにイニャリトゥ監督は「バードマン」でもアカデミー監督賞を受賞している。

撮影賞は本作のほか「バードマン、あるいは・・・」「ゼロ・グラビティ」でもアカデミー撮影賞を受賞した
エマニュエル・ルベツキ。
「トゥモロー・ワールド」「バーン・アフター・リーディング」「ツリー・オブ・ライフ」と印象に残る映画が多い。

ただし、監督とか撮影監督にスポットが当たりすぎる作品はいかがなものかという気がしないでもないが、
演出と演出と演技が混然一体となって良さを引き出す映画ってそうはないからね。

壮絶、凄惨、死と隣り合わせの原野、荒野でのサバイバル復讐劇。
芝居だとしても絶対にやりたくないほどの過酷さで、水冷たくないのかとか思ってしまった。

生肉、生魚、馬の死体に入るなども本物で、実際に極寒の中での撮影だったらしい。

こういった方面でのリアリティ追及は監督も役者もすごい。
ただ、すごいことはすごいけど、すごすぎて逆にどうなのかと思うほどだ。

あらすじにしてしまうと、かなり端折れて短くなってしまう気がするが、それほど単純ではない。
劇中の説明は少なめだが、十分よくわかる。
インディアンの部族対立の構図はよくわからないが、物語的にはわからなくてもさほど意味は感じない。

終盤で、トム・ハーディがドーナル・グリーソンの頭皮を剥ぐ意味合いはよくわからなかった。
犯行の撹乱の意味はあろうが、あのタイミングでそんな必要があり、また時間があったのかは疑問。

また観客に考えさせるラスト。あの後どうなったかは君次第なのか。
私的には息絶えたとみる、というか、良し悪し好き嫌いは別として死ぬでしょ、普通。

ディカプリオもすごいがトム・ハーディも良い。

ウィル・ポールターは「なんちゃって家族」「メイズランナー」など。
「ナルニア 第3章」では一時欲に目がくらんでドラゴンになる。

ドーナル・グリーソンはご存知、ビル・ウィズリー(ハリポタのロンの兄)。
「SW7」ではハックス将軍、「EX MACHINA」ではプログラマーのケイレブ。

 

 

 
 フィフス・ウェイブ 

クロエ・モレッツ、リーブ・シュライバー、ニック・ロビンソン、ザッカリー・アーサー。

**

冒頭はクロエ・モレッツが銃を構えてコンビニに入り、ケガをしているという男と対峙、
男が光るものを出したので撃ち殺してしまうシーン。
ただしそれは十字架のペンダントだった。

時は遡り、高校生活を楽しんでいたキャシー(クロエ・モレッツ)。
憧れはアメフト選手の人気者ベン・パリッシュ(ニック・ロビンソン)。

そんな日常を巨大な宇宙船が壊滅させる。
現れた超巨大母船は空に浮かんだまま、暫くは何をするでもなかった。
恐れた人々の中には引っ越ししてしまうものも少なくなかった。

ある日、宇宙船は突然電磁パルスを発射、電子機器はすべてダメになってしまった。
TV、ラジオ、パソコンはもとより車もつかえなくなってしまった。

次いで、キャシーが弟のサム(ザッカリー・アーサー)と外で遊んでいるときに、地震が起こる。
津波が発生し、近くの大木によじ登った二人はかろうじて助かるが、
世界各地で多くのビルが倒壊し、町が破壊された。

次に感染症の蔓延。
中には自然治癒した人もいたが、感染した多くの人が死亡した。
医師の母(マギー・シフ)もその一人だった。

キャシーとサムは父(ニック・ロビンソン)とともに家を捨て、難民キャンプに移動することにした。
そこではつつましいながらも安全な日々が続いた。
父は何かあったときのためにと、キャシーに拳銃(コルト45オート)を渡す。

やがて、軍用車がスクールバスを伴って難民キャンプにやってきた。
車は動かないはずなのに、とびっくりするキャシーたち。

リーダーのボッシュ大佐(リーブ・シュライバー)は全員を保護し、基地に移動させると言い、
子供たちを先にスクールバスに乗せ、大人には説明をするため集合させた。

サムとともにスクールバスに乗ったキャシーだったが、サムが忘れたお気に入りのテディベアを
取りに戻り、バスに出発されてしまう。走って追ったが取り残された。

そのころ集められた大人への説明では、既に宇宙船(アザーズ)からの第4波攻撃が始まり、
人間に化けた宇宙人が潜入しているとのことで、子供の宇宙人の検出は簡単だが、
大人は検査が複雑だから別の基地に移送するというのだ。

反発する大人たちの中には銃を持っているものがおり、兵たちと撃ちあいとなって全員死亡。
軍は死体を放置したまま撤退する。
死体の中に父を見つけたキャシーは涙にくれるが、残された銃を持ってその場を去る。

そして、冒頭に戻る。
勘違いから人を殺してしまったキャシーだが、サムを助けるため軍の基地に向かおうとする。

途中、ハイウェイで何者かに脚を撃たれ、やみくもに反撃。転倒して失神する。
気づいたときはベッドの上。脚は手当てされていたがまだ動けない。
入ってきた男はエバン(アレックス・ロー)。この時点では敵か味方か判別がつかない。

なんだかんだあって、キャシーは軍の基地に向かうことになり、エバンが同行することになった。
車で一夜を過ごし、徐々に打ち解けるキャシーとエバン。
しかし、何者かが襲ってきてエバンの超人的体力が発揮される。
そう、エバンこそアザーズに寄生された人間だったのだ。

洗脳され愛情を失ったはずのエバンだが、キャシーを助けるために人間の感情を取り戻したという。
しかし、キャシーはそれを許さず、エバンを残して先を急ぐ。

軍の基地に連れていかれた子供たちは番号順に呼ばれ、別室に通される。
識別用のRFIDを首筋に埋められ、鏡越しにアザーズに寄生された少年を見せられる。
脳の直下に寄生した生物は薬剤、手術などでの除去が出来ず、
宿主(つまり寄生された人間)ごと殺すしかないと言われ、処刑ボタンを押すよう強制された。

その後、軍の養成施設のようなところで集団生活させられ、軍事訓練を受けるようになる。
ベン・パリッシュもその一人。
第3波の致死性の高いウィルスに感染したものの完治したため、ゾンビと呼ばれていた。
ベンの小隊には、キャシーの妹のサムもいた。
そこに反抗的なリンガー(マイカ・モンロー)が入って来てもめるが、訓練が続く。

子供たちは、ボッシュ大佐より、いよいよ第5波攻撃が始まったと告げられる。
アザーズを見分ける透視装置をつけたヘルメットを装着して出動することになった。

ゾンビ(=ベン)小隊はヘリでアザーズが潜伏する街に進攻、敵に対峙する。
激しい銃撃戦で敵は倒すものの仲間も一人やられる。

このままでは多勢に無勢。
ビル内に入った小隊は、リンガーが離脱すると言い出し、RFIDを取り出すと
透視装置に敵と表示された。

すべてを悟ったベンは自身のRFIDを取り出す。
するとベンもアザーズと表示される。
つまり透視装置はインチキで人間をアザーズと誤認させるもの。
さらに軍隊こそがアザーズで生き残りの人間を掃討するために子供兵士を養成したのだ。

ベンは基地に残したサムを助けるため、わざと仲間に体の軽傷になる部分を撃たせる。
仲間は全員戦死、自身も負傷したとしてヘリで救出され帰還する。
ベンはボッシュ大佐に尋問を受けて嘘がばれるが、ボッシュ大佐も正体を明かす。
やはり、ベンの読み通りだった。

その頃、基地に着いたキャシーは例によって、RFIDを埋め込まれ、
アザーズが寄生した子供を見せられるが、検査官を倒し、軍服を奪ってサムを探す。

検査官が倒されたことはボッシュ大佐に伝わり、ボッシュ大佐は離席。
隙をついてベンも脱出、逃げるキャシーと遭遇する。

あわや、というときキャシーを追ってきたエバンが加勢に入り助かる。

ベンとキャシーはサムを見つけてエバンが基地を爆破する隙に脱出するが、
ボッシュ大佐には逃げられてしまう。

仲間と再会したベンとキャシー。
アザーズへの反撃を誓うのだった。

**

なんともはや。
クロエ・モレッツでなければ見ませんでした。

なんか続編作る気満々の終わり方でしたが、続編なんかいらんよね。作ろうと思えばできるけど。

最初に感じたのは「メイズ・ランナー宇宙人版」
ティーン向け小説が原作という点も同じようですが。

敵の正体も規模もよくわからない。
敵も宇宙人が寄生したものなのか、マインドコントロールしているのか、
人類とは別だが、見かけ上人間と区別できないのか、よくわからなかった。
エバンの言によれば、寄生じゃなさそうでしたけど。
人類抹殺に燃えてたのに可愛い子にほだされて心変わりする程度の忠誠心ってのもどうかな。

一瞬にして電子機器を壊すほどの強力な電磁パルスや、
大津波を引き起こすほどの地殻変動を誘発できるのに、最終攻撃が仲間同士の殺し合い。
まあ、それもいいけど、こういうのって同じ攻撃を2度3度とやらないよね。

電磁パルスではその瞬間の電子機器、電子回路はダメにできるけど、
その後作れないわけではないし、アナログな機械なら動くし、
政府機関などなら電磁的攻撃からの防御策も備えているでしょう。
時間をおいて繰り返し攻撃しないと殲滅できないと思いますが、どうでしょうか。

そういえば、軍隊は出てきますが、政府や組織された団体などは出てきません。
全世界の政府機関は第3波までに壊滅したんでしょうな、設定では。

軍隊にしても子供軍団を作るのに小学校低学年くらいの子供と高校生に同じ訓練をするのか。
最低でも体格別に分けるでしょうし。
基地に簡単に侵入されるし、武装も薄っぺらくてキャシーやベンに反撃食らって逃げられるし、
大佐も簡単に逃げちゃうし、基地に銃器以外の武器はなかったのか。

地球を乗っ取るのは良いとして(よくないけど)そもそも人類を根絶やしにする必要はあるのか。
仮にあったとしても、短時間でやる理由は何。一定以下になれば占領可能でしょ。
よほど人との接触が怖いのか。だとしても先兵は送り込んでるしね。

それに、人類の99%を死滅させるほどのウィルスが作れるんだったら、
もう2、3発作って蔓延させればそれでいい気がするし、ここまで隠れていたんだから
わざわざ正体を明かしに出張っていく必要はない。

いずれにしてもちょっと間抜けな宇宙人でした。

 

 

       

 ボーダーライン   

エミリー・ブラント、ジョシュ・ブローリン、ベネチオ・デル・トロ。

*

アリゾナ州、チャンドラー。
人質事件を追うケイト(エミリー・ブラント)、レジー(ダニエル・カルウヤ)らFBIのSWATが、砂漠の中の家を急襲。
抵抗する容疑者の一人を射殺したところ、当初の捜査目的だった人質は発見されず、壁の中から多数の死体を発見する。

また、屋外の物置が爆発し、捜査員2名が爆死する。

ケイトとレジーは捜査会議に呼ばれ、待機されられた。
会議にサンダル履きで参加していた捜査官のマット・グレイバー(ジョシュ・ブローリン)は
誘拐の黒幕はマニュエル・ディアスであり、その逮捕にケイトに協力を要請し、ケイトは捜査に志願する。

ケイトは空軍基地へ移動、ヒスパニックのエージェント、アレハンドロ(ベネチォ・デル・トロ)と合流し、
目的地と言われていたエル・パソへ飛ぶ。

しかし、そこは目的地ではなく、隣接するメキシコのファレスからディアスの部下のギレルモをエル・パソに護送するのが目的だった。
5台のSUVでメキシコに入り、メキシコ警察の護送を受けつつファレスの警察書に向かう。
メキシコに入っていきなり首なし死体が高架に吊るされているのを見たり、並走するバイクやタクシーにも気を付けながら、
無事にギレルモを引き取る。
しかし、問題は帰路。
怪しいと言われたメキシコ警察に問題はなく、国境の検問所もスルーバスしたが、すぐに渋滞につかまる。
周りに怪しい車が2台、乗っていた男たちは銃を持っていた。
男たちが降りてきて、警告むなしく銃撃戦となり、一般人が大勢いる中、相手を全員射殺して、ギレルモは移送された。

一般人のいる中での銃撃戦にケイトは激怒して、グレイバーに抗議するが聞き入れられない。
一方、アレハンドロはギレルモを拷問し、メキシコからの不法越境トンネルの存在を知る。

ケイトが参加を要望したレジーも加えて捜査は進行する。

グレイバーとアレハンドロは、逮捕されたメキシコからの不法移民の中からトンネルの情報を知っているものを探す。
ケイトとレジーはグレイバーに反発し、降りると言い、捜査の真の目的が麻薬組織を揺さぶり、
ディアスを介して本当の黒幕=麻薬王アラルコンを捕えることにあると聞かされる。

不法移民たちはグレイバーやアレハンドロに協力し、トンネルのアメリカ側の入り口が確認された。

また、捜査班はディアスのマネーロンダリングの現場を押さえるため、銀行で資金のやり取りをしている女を逮捕。
大量の現金を押収し、ディアスの関係する口座を凍結する。

ケイトは、銀行の入出金記録からディアス逮捕を進言するが、グレイバーに却下される。
現金は単なる送金ではなく融資の返済となっており、法的に問題がない形にされていた。

ケイトはFBIの上司のジェニングスに違法捜査だと進言するが、もっと上位レベルの決断によるものだと
あっさり却下され、いら立ちが募る。

ケイトはレジーとバーに行き憂さを晴らす。
バーでレジーの友人という警官のテッド(ジョン・バーンサル)を紹介される。
良い感じになったケイトはテッドをアパートに連れ込むが、テッドの持っていたゴムバンドが
ディアスの一味のものとわかり、テッドと格闘になり、首を絞められるがアレハンドロに助けられる。

メキシコの麻薬王がディアスを呼び戻すとの情報が入り、捜査班はディアスを追って越境トンネルに入る。
中は大きく2つに分かれており、麻薬の貯蔵庫とメキシコ側への越境通路になっていた。

暗視ゴーグルと赤外線感知ゴーグルを装備し、自動小銃で武装した捜査班は、トンネル内部で銃撃戦となる。
小銃のトラブルで取り残されたケイトはルートを間違えてメキシコへの通路側に入ってしまう。

トンネルのメキシコ側出口には先にアレハンドロが到達。
麻薬を運んできたパトカーの警官シルビオ(マクシマリアーノ・エルナンデス)は逃げ遅れ、
アレハンドロに確保される。

遅れて出てきたケイトはアレハンドロを阻止しようとするが防弾チョッキを撃たれて倒れ、
アレハンドロはシルビオとディアスを追うためその場を去る。

ケイトはアメリカ側に戻り、グレイバーを殴るが逆に殴り倒され、アレハンドロの正体を聞かされる。

アレハンドロはアメリカ側の衛星情報も受けながら、ディアスを追う。
ディアスの車を止め、シルビオを降したアレハンドロは、シルビオを射殺し、ディアスの足を撃つ。

そしてディアスの車に乗り込んで一緒にボスのアラルコンの自宅に向かう。
敷地の入口ゲートでアラルコンの部下を射殺。
邸宅の門前でディアスの首を切り、アラルコンの部下3人を射殺。

邸内に入り、また別の部下を射殺。
アラルコンが妻と幼い息子2人と食事しているところに乱入する。

アレハンドロはアラルコンの懇願もむなしく、妻と子供たちを射殺、アラルコンも射殺する。

宿舎でむなしく煙草をふかしているケイトの部屋にアレハンドロが現れ、
捜査はすべて合法的に行われたとの書類にサインするよう求める。

拒否するケイトに銃を突き付けて無理やりサインさせたアレハンドロは、捨て台詞を残して立ち去る。
すぐさま立ち去ろうとするアレハンドロを銃で阻止しようとするケイトだったが、圧倒されて何もできずに終わる。

その頃、メキシコでは帰らぬ父を待ちわびたシルビオの息子がサッカーに興じる背後の町で、
銃撃戦の音が響くが人々は大して気にも留めずサッカーの試合を見ているのだった。

もちろんフィクションだが、麻薬組織同士の抗争やそれによって殺された人々の遺体をさらすことなど、
多分に事実に沿っているようだ。(似たようなことが実際にあったらしい)

エミリー・ブラントは結局CIAに利用される役回りで、ジョシュ・ブローリンが途中でそのことを暴露する。
悪の掃討、成敗にルールを適正に適用しようとするが、ルール無用の現実に押し流され、
最後まで事実を見届け暴露すると息巻くが、結局何もできないで終わる。

本作で敵対的な雰囲気をにおわせながら結局は裏切り者ではなかったレジー(ダニエル・カルウヤ)。
次回作があるらしいので、そこでは本当にどちら側だったかがわかるかもしれない。

登場から怪しげな雰囲気のベネチオ・デル・トロ。
途中からは超人的活躍を見せ、映画の雰囲気もガラッと変わる。

シルビオ(マクシマリアーノ・エルナンデス)がベネチォ・デル・トロに聞く「メデジンか」とは、
メデジン・カルテル、コロンビアの麻薬組織のこと。
字幕は「メデジンか」よりも「コロンビアの組織か」の方がわかりやすかったかも。

 

 

 
 ミラクル・ニール! 

サイモン・ペグ、ケイト・ベッキンセール、ロビン・ウィリアムス、ログ・リグル

**

冒頭はパイオニア10号か11号かの打ち上げシーン。
(土星接近が描かれていたので多分11号、以下11号として進める)

パイオニア11号は外惑星探査後、太陽系外を飛行。
知的生命体との遭遇を予想して男女や太陽系の模式図を描いた金属板が搭載されている。

やがて、パイオニア11号は宇宙人のロケットに捕獲され、金属板は彼らのコレクションとなるが、
地球の科学技術レベルの低さをあざ笑うばかりだ。

ニール(サイモン・ペグ)は自著の小説がヒットし、キャサリン(ケイト・ベッキンセール)の
インタビューを受けるが、犬が乱入してパーティがめちゃくちゃになる夢を見て目が覚める。

ニールは高校教師。
出勤時に自動車事故に遭って遅刻するが、校長(エディ・イザード)には散々嫌味を言われる。
教室は傍若無人な生徒たちで大混乱状態。

その頃、宇宙人たちは地球を破壊する相談をしていた。
ただし、手続き上地球人を一人選び、全能の力を与えて善行を行うかどうかを監視する必要があった。
そして無作為に選ばれた一人の地球人こそがニールだった。
ニールの右手に全能の力が与えられたのだ。

昼休みの食堂。
同僚のレイ(サンジェブ・バスカール)は女性教師のフェネラに恋心を持っているが相手にされない。
ニールと食事をしながら「もし全能の力があったらどうする」と問うと、
ニールは「自分のクラスを破壊する」と答えるが、先走った宇宙人の攻撃で教室が破壊される。
急いで教室に行くと完全に破壊され生徒は全員死亡していた。

失意のうちに帰宅したニール。
いろいろ試しているうちに、右手を振ると願いが叶うことに気づく。
生徒を生き返らせるために「死んだ人間を生き返らせろ」と願うと、墓からも死体がよみがえり、
町中にゾンビがあふれてしまうなど、思い通りにはいかない。
何とかクラスの破壊はなかったことにしたが、キャサリンの様子が見たいと言うと天井が透明になったり、
巨根になれというと大きすぎて立てなくなったり、魅惑的な体にしろというとグラマラスな女性になったり、
偉大な男というとアインシュタインになったり、とにかくアバウトな願いは思わぬ結果を生む。

翌日、学校でニールは、校長に対し自分にやさしくしろと願ったり、
レイのあこがれのフェネルがレイを敬うようになれと願い、フェネルはレイを崇拝する。

キャサリンにはアメリカ軍人グラント(ロブ・リグル)が付きまとっていた。
グラントはキャサリンのために部屋を借りキャサリンが拒否するのも構わずそのカギを渡す。

キャサリンは友人と家で飲み、グラントに対する愚痴を吐き出し、ニールに好意を抱いているという。
そして酒の勢いもあってニールと一夜を過ごす。

それはニールの願いでもあったが、たまたまその時だけ、宇宙人のパワーが不調で願いは効いてないことに気づかなかった。

翌朝、キャサリンが出かけた後、ニールはうるさく吠えるデニスを喋れるようにする。
そこにキャサリンが訪ねてきてデニスの声に気づき、ニールをゲイだと勘違いしてしまう。

一方、レイを慕うフェネルの感情はエスカレートし、神と崇め「復活」を見るために殺そうと考える。
キャサリンを追いつつ、レイにも迫られたニールはレイをソーセージにして回避し、
フェネルの感情は消失させて事なきを得る。

しかし、アパートにはグラントが押し掛け、ニールと喧嘩になり、ついにはグラントに拉致されてしまう。
アパートに戻ったキャサリンは血痕を見てニールの危機を感じ、グラントが渡していた鍵の部屋に向かう。

その頃、右手を固定され縛り上げられたニールは、デニスを人質、いや犬質にされ、
グラントの願いリストを次々と実現させられる。

イギリス人男性は全員デカ耳、アヒル足、警官の制服はピンク、金と勲章等々、
グラントの願いは次々と叶えられる。

やがて、キャサリンとレイが到着。
焦るグラントはデニスを殺すと脅し、最後の願い「キャサリンがグラントを熱愛しセックスする」と言わせる。
キャサリンがグラントに襲い掛かった瞬間、ニールは拘束を解き、キャサリンをもとに戻し、グラントを犬にする。

しかし、キャサリンには嫌われてしまい落ち込むニール。
宇宙人たちはニールの所業を自分勝手と批判し、地球を滅ぼすことに決め、
破壊光線を準備し始める。

一方のニールは自分勝手な願いばかりだったと反省し、
世界平和のために願うこともできると考え、「すべての人に十分な食料を」
「すべての戦争の理由をなくせ」「地球温暖化の原因をなくせ」などと願うが、
食料が潤沢になったせいで肥満が増え、温暖化がなくなった代わりに寒波が襲い、
理由もなく戦争が勃発したりした。

すべて元に戻したものの、やることなすことどじばかりのニールは、自分が嫌になり橋から身を投げる。
ニールを助けようとしてデニスも川に飛び込むが泳げず、ニールに助けられる。

ニールはデニスの方がましだと考え、自分の力をデニスに譲ることにした。
その頃、宇宙人の地球破壊光線が発射されるが、ちょうどその時、デニスが願ったのは、
すべての混乱の原因となったこの不思議な力の大元をなくしてしまえと言うことだった。

デニスの願い通り、地球破壊光線は逆流し、宇宙人のいた宇宙船はもとより、
宇宙同盟の数々の星々を破壊してしまう。

ニールは目が覚め、すべてが夢だったと思う。
元の部屋に戻ったキャサリンを食事に誘うが「そのうちに」とかわされる。
しかし、次の瞬間「今夜はどう?」と返され、ウキウキして部屋に戻る。

すべて夢(=夢落ち)?かと思ったが、グラントは犬のままでデニスと一緒にいるのだった。

**

どうも笑いのネタがところどころ違和感あり。
面白いことは面白いんだけど、ツボにはまらないというか、なんというか。
ウンチのシーンとかね。
アメリカンギャグに慣れすぎて、ブリティッシュ・ユーモアになじめないのかも。

ケイト・ベッキンセールがイギリス訛りきついのはわざとらしいと思ってたが、
元々イギリス出身とは知らなかった。

設定はSFとしてはよくあるもので珍しくはないが、それで笑いを取る映画ではない。
ただ、声はモンティ・パイソンのレギュラーメンバーがやっているようで、ファンには楽しいかも。

声と言えばデニスの声はロビン・ウィリアムス。これが最後の出演作(声だけど)だったそうだ。

 

 

          

 

 

 

 

 

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