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この期間に鑑賞した映画の本数 | |
4月:7(3)[2]本、5月:7(2)[3]本、6月:6(1)[2]本、計:20(6)[7]本 。 |
( )は試写会 [ ]は邦画 |
今年の累計:36(16)[9] 本 | |
1−3月期:16(10)[2]本 、4−6月期:20(6)[7]本、7−9月期:0(0)[0]本、10−12月期:0(0)[0]本 | |
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アデル
ファラオと復活の秘薬 リュック・ベッソン脚本監督。ルイーズ・ブルゴワン、マチュー・アマルリック、ジル・ルルーシュ、ジャッキー・ネルセシアン。 ** 登場人物を整理しておこう。 自分自身が死にそうなジジイの科学者で死者を蘇らせる研究に熱心なマリージョセフ(ジャッキー・ネルセシアン)、 こんなところでいいかな。 原作はどうも漫画らしい。 ** 2つのエピソードが平行して進行する。 一つは、マリージョゼフだが、説明上博士扱いしていた方がわかりやすいので、マリージョゼフ博士と書くことにする。
目撃者の話は当初信用されないが、大統領が翼竜を見たことから、回り回ってカポーニ警部に事件解決のお鉢が回ってくる。 もう一つはアデル。 そしてこれを妹のいる自宅に持ち帰る。 ここでちょっと矛盾に感じる点があるが(後述)「ミイラの復活」と「妹の植物状態からの復活」は全く別物だと理解しておく。 さて、カポーニ警部は翼竜が博物館から逃げたものだと推察、卵について聞こうとして、
アデルは、マリージョゼフ博士に、死者復活の念を使ってミイラを蘇らせようとするが、博士は元知事殺害の罪で死刑宣告され、
アデルは弁護士に扮装して博士の脱獄を企てるが失敗、その後もいろいろと変装して脱獄させようとするもすべて失敗する。
しかし、アンドレが翼竜を博物館の植物園にかくまっていることを知り、アデルは翼竜を手懐けて乗り、博士を処刑場から奪取する。 アデルは、マリージョゼフ博士をアパートに連れて行き、ミイラの復活を試みる。 すべてが水泡にと思われた瞬間、ミイラは復活する。 物理学者ミイラの念力でルーブルのカギを突破してファラオや侍従、医師などのミイラを棺から出し、妹の治療を頼む。 アデルは休暇旅行と称し、船旅に向かう。 デュールボーは、アデルを追い、船中でアデルを殺そうと企んでいる。 *** お気楽、ご都合映画ではあるけど、いまいちキレがなかったように思う。 ラストに「タイタニック」を持ってきて、続編なんか考えているんだろうか。それとも別の意図があるのか。 * 矛盾、と書いたのは、わざわざミイラを復活させてファラオの秘薬で妹を治すよりも、 何故博士が妹を助けられないのかは不明だった。 * アデルはフランスTVのお天気お姉さんで、コスプレ衣装で有名な人らしい。 男性キャストのほとんどは汚いメイク、老けメイクだった。 また、敵役(かたきやく)のデュールボーはとても汚く、「007慰めの報酬」のグリーンと同一人物とはとても思えなかった。 糞にしても汚いきれいの感覚が日本と違うのか、パリなら糞が上から降ってきてもおかしくないのかも。 |
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ザ・ウォーカー デンゼル・ワシントン、ゲーリー・オールドマン、ミラ・クーニス、ジェニファー・ビールズ、マルコム・マクドウェル。 ** 時代は不明、場所はアメリカ。戦争が終わって少なくとも30余年。 すべての文明が崩壊した世界。 エリの前に手押し車が壊れたと助けを求める女性が現れる。 リーダーらしき男がリュックを渡せとエリを小突く。 襲いかかるすべての男どもをあっという間になぎ倒し、女に水のありかを聞いて、エリは去っていく。 途中、旅の男女に襲いかかるバイク集団を見かけるが、エリは見ないふりをしてやり過ごす。 水があるという町、エリは雑貨屋でバッテリーの充電を頼む。 カウンターの男に物々交換で水を頼むと、バイク集団の一人がエリのところへやってくる。 その酒場を仕切っているのはカーネギー(ゲイリー・オールドマン)、バイクの一味に「ある本」を探させていた。
エリの腕前を見て、カーネギーは新しく作る街を仕切ることを持ちかけるが、エリは西に向かうからと丁寧にきっぱりと断る。 エリは食事の前に祈りをささげ、サラーラの相手はしなかったが、「本」を持っていたことを知られてしまう。 翌朝、サラーラは祈りのまねをし、カーネギーに「その本」のことを知られる。 エリは去り、カーネギーは追撃の準備をする。 カーネギーたちは装甲車を持ち出して追跡する。
その家はマーサ(フランシス・ド・ラ・トゥール)とジョージ(マイケル・ガンボン)という偏屈な老夫婦が住んでいた。 逃げようとするエリとサラーラだったが追いついたカーネギーたちと銃撃戦になり、老夫婦は死亡、 サラーラはエリを助けに戻るが、その場所にすでにおらず、さらに西へ向かっていた。 カーネギーはガス欠を恐れて追わず、町に戻る。 一方のサラーラとエリは、ついに西海岸に到達した。 島では、ロンバルディ(マルコム・マクドウェル)が、文化資産の複製復興を行っていた。 聖書をあるべき場所に届けたエリは、使命を終え土に還った。 **
それが聖書であることは容易に想像がつくし、そのこと自体が物語の謎というわけではありませんが、 エリ(イーライ)がなぜ使命を与えられたかはよくわからない。 役柄と実際の年齢がほぼ同じだとして50過ぎだとすると、歩き始めたのは20代前半ということになる。 ** ジェニファー・ビールズは、あの「フラッシュ・ダンス」の主人公。ずいぶん感じが変わりました。 IMDBによればノンクレジットということだが、マルコム・マクドウェルの名前も探したが見つからなかった。 |
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アウトレイジ
北野武監督。 ** 本筋に入る前に上下関係、組織関係を整理しておこう。 まず、本家総代、会長と呼ばれる大親分、北村総一郎と北村組のNo.2が三浦友和。 傘下の組の一つに國村組、組長の國村隼は北村組のメンバーではない石橋組と兄弟分になっている。 石橋組の組長は石橋蓮司、No.2は中野英雄。 國村組の配下に北野組があり、No.2は椎名桔平、金庫番に加瀬亮など何人かの子分がいる。 ** さて、ある暑い日。 三浦友和は、國村に真相をただすが、石橋とは兄弟分だと答える。
石橋が國村隼と兄弟になったのは北村一家に入りたいからだが、北村総一郎は石橋が覚せい剤を扱っていることを知って嫌っている。 * ある日、ポン引きに連れられて行った人のよさそうなサラリーマンは、ぼったくりバーで60万を請求される。 塚本高史はビビルが、無理やり代金だとして100万円を持って帰される。 しかし、北野は詫びを受け入れない。 サラリーマン役だった北野組の組員は、再びぼったくりバーへ行きタダ酒を飲み、ほかのバーでも石橋組をバカにする。 北村は末端ではあっても、配下の組員がコケにされたと考え、國村に始末をつけろと指示する。 北野はぼったくりバーに殴り込み、塚本の居場所を探る。 石橋は、國村と一緒に北村に詫びに行くが、北村は受け入れたふりをして石橋を絞めろと命令。 石橋は怒るが、結局國村と手打ち、引退させられてしまう。
椎名と加瀬は、ある大使館内で覚せい剤が密売されていることを知り、 北野は覚せい剤の上りが減ったことから、石橋の引退は偽装で、覚せい剤を卸していることを知り激怒、 北村は、北野が引退した石橋を殺したとして、國村に北野の破門を指示する。 ここまでは実は北村の作戦通り。 北村は杉本に國村の跡を継がせるには親のかたき討ちが必要として、北野の始末を指示する。 北野は小日向から、杉本に自分を始末させる命令が出たと聞き、主要メンバーを逃がす。 北野は、ついに一人となり、小日向に命を託して逮捕される。 北村の本部。 北野はおとなしく収監され、服役していたが、休憩時間に同じ刑務所に入っていた中野に刺殺される。 小日向は北野逮捕などの功労で出世し、後釜の悪徳刑事を三浦に紹介する。 ** 北野武。 作品の評価は全般に高く、特に海外では高く評価されているが、国内での興行成績はあまり芳しくなく、 * ともかく「全員悪人」というキャッチコピーがそのままの物語。
これだけの大事件を続けていれば、警察が知るのは当然で、 数ある悪いやつの中では、石橋蓮司が一番損な役回りだった。 大勢の悪いやつが出るが、よく知らないキャストも含め、相関上の立場はちゃんとわかるようになっており、 * 北野組の若いひげの組員がいるが、柄本時生で、柄本明の二男。 |
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告 白 松たか子、岡田将生、木村佳乃、そのほかのキャストはみな若い。 ** ある中学校、3学期の終業式で担任の森口悠子(松たか子)が語り始める。 少年法。 森口悠子はシングルマザーの教師。 森口は、まじめに聞こうともしない生徒を置き去りにして静かに語る。 彼女は犯人の名を語らないで、少年AとBと呼ぶ。 成績優秀で発明家の少年A、自分の発明した虐殺マシンで野良犬、野良猫を殺しHPで公開する。 クラスメートはすぐに誰が少年Aなのかを知る。 少年Bはおとなしい生徒。 少年Aの電撃装置には人を殺すほどの威力はなかった。 以上は、両少年によって森口に直接語られた。 森口はある熱血教師の名前を出す。 * 森口は事前の予告通り教師を辞め、新学期からは新しい寺田良輝(岡田将生)が担任となる。 クラスでは、事件の真相を口外したものは少年Cとみなす、とのメールが回っていた。 ウェルテルは心の病の少年Bを励まそうと提案、クラス委員の美月とともに家庭訪問を行う。 少年Bの母は息子を甘やかし、事件は少年Aのせいで自分の息子はむしろ被害者だと信じていた。 息子が不憫でついに息子を睡眠薬で眠らせ、散髪し、体を拭き、着替えをさせるが息子の怒りを増長するだけだった。 ある日、クラスにいじめがあってそれを密告する手紙があったとウェルテルがクラスに告げる。 * 少年Aは優秀な研究者の母の子として生まれるが、厳しく育てられるうち、無能な父との衝突で母は離婚、 少年Aは数々の発明を自身のHPで公開するも世間の反応はなく、でたらめに作った猫殺しのページには大反響。 少年Bを利用して森口の娘を殺害し、それを言いふらされることで世間の注目を集めようとしたのに、 * 少年BはHIVの感染を信じ、母親は感染させまいと食器などは異常なほど気を使い、 しかし、それも息子を思う母がきれいにしてしまい、少年Bは自身の存在感を失う。 母は絶望を感じ、息子を殺して自分も死のうと考えるが、あっさり返り討ちに逢い、絶命する。 * 少年Aはまたも少年Bが世間の注目を浴びたことに嫉妬する。 そして、その後マスコミや評論家が推測で勝手なことを言わないようにと、自白ビデオを作るのだった。 また、少年Aは些細な口論から、美月を撲殺しバラバラにして冷蔵庫に保管する。 * そしてその表彰式。 そこへ電話がかかってくる。 さらに、母からのメールは自分のウソ。 そして、母親は決して少年Aを忘れていなかったことと、爆弾を母親の研究室の机の下に置いてきたこと、 すべてを失い、呆然とする少年Aの前に森口が現れる。 ** いきなり、事件の告白。 そこから事件の真相を共有したクラスメートと犯人の二人の少年の神経戦。 そして、最後にすべては森口の仕組んだ罠だったことが示されて結末を迎える。 ちょっぴり、楳図かずおの「おそれ」を思い出した。 * なかなか凝った構成で、途中に入る「告白」も効果的だった。 登場人物のそれぞれが別々の背景、過去、思い、思惑を持ち、その考えに沿って行動するが、 そしてほんのちょっとした行き違いが、物事を思わぬ方向に進めていくが、その代償は大きい。 うまく嵌められたのは観客である我々かもしれない。 |
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アイアンマン2 ロバート・ダウニーJr.、グウィネス・パルトロウ、スカーレット・ヨハンソン、ミッキー・ローク、ドン・チードル。 ** 前作で自らがアイアンマンだと明かしたトニー・スターク(ロバート・ダウニーJr.) 半年後。 実はトニーはアーク・リアクターのパワーの源でもあるバナジウム電池の副作用で、体内に毒素が蓄積していた。 社長変更の法的手続きだとして現れたのは法務部の社員、ナタリー・ラッシュマン(スカーレット・ヨハンソン)。 トニーは、モナコ・グランプリで、自身のチームのドライバーとしてF1に乗り込む。
ペッパーは、ハッピー・ホーガン(ジョン・ファブロー)とともにスーツケースタイプのアイアンマン・アーマーを持って駆け付け、 バンコは死なず、アイアンマンとの戦いとなるが、最後はアーク・リアクターのパワーソースを外されて逮捕される。 バンコは刑務所で何者かの手引きによって身代わりを仕立てられて脱走する。 トニーの体調はますます悪くなり、奇行が目立つようになる。 結局トニーをブッ飛ばしたローディはアイアンマン・アーマーを空軍基地に持ち込み、 ドローンがなかなか完成しないことに腹を立てたハマーは、バンコからドローンを取り上げて完成させる。
死期が近づいたと考えているトニーの前に、前作でも登場したニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が現れ、 トニーは父のビデオメッセージから、トニー・エキスポの都市模型にヒントがあると考え、
スターク・エキスポでハマーは、陸、海、空、海兵隊の4種のドローンとアイアンマン改良型のウォー・マシーンを公開する。 重装備のドローンを破壊しつつもほぼ同じ能力のウォーマシーンは倒せない。 しかし、トニーとローディの前へ現れたのは、アーマーに身を包んだバンコ。 エキスポ会場では、ペッパーが一般人の脱出を確認していた。 ペッパーは、あまりにも異常な出来事の連続に嫌気が差して社長を止めると言い出し、トニーもそれを認める。 フューリーは、アイアンマンを計画中の「アベンジャーズ」には不適格だとしながらも相談役としてメンバーに入れ、 めでたしめでたし。 * アイアンマンの監視役としてついていた政府のエージェント、フィル・コールソン(クラーク・グレッグ)は、 ** 派手で面白いが、あまり教訓やら訴えるものがある映画ではない。 モナコは本当にF1のコースで撮影したらしい。 途中出てくるドーナッツ看板は実在する本物。 ** 空軍中佐のローディは、テレンス・ハワードからドン・チードルにキャスト変更。 アイアンマンだけでなく、マーベル・コミックの多くのヒーローが、SHIELDの傘下に入り、 「アベンジャーズ」は、SHIELDの発案者であるニック・フューリーをチーフとするスーパーヒーロー軍団で、
ラストでその存在が示唆された「ソー(Thor)」は、もう撮影は終わっているようで、現在ポスト・プロダクション。 浅野忠信は、ホーガン(=Hogun、ホーガン・ザ・グリム、ハッピー・ホーガン=Hoganとは別人)を演じる。 また、「アベンジャーズ」は2012/5/4全米公開予定。 |
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プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂 ジェイク・ギレンホール、ジェマ・アータートン、ベン・キングスレー、アルフレッド・モリーナ。 ** 周辺諸国を制圧し広大な国土を誇るペルシャ帝国。 その王が街中を視察中に無礼を働いた子供、部下が逮捕して首を切ろうとするが、 やがて時が過ぎ、15年後、少年ダスタン(ジェイク・ギレンホール)は、立派に成長していた。 戦いの先陣を切るのは次兄。正面からの正攻法で攻める。 その頃、アラムートの城内では若き女王タミーナ(ジェマ・アータートン)が兵士に短剣を託す。 長兄はアラムートの民を懐柔するためとしてタミーナを何番目かの妻にしようとするが、タミーナは拒絶する。 やがて、ペルシャ国王がアラムートに到着。 ところがしばらくして、ガウンに塗りこまれた毒によって王は火傷を負い、死んでしまう。 何とか城から逃れた二人だったが、敵同志、当然仲が良くなるわけはない。 元に戻ったことをタミーナに告げると、タミーナは激怒、時間逆回転は握りの中の砂のパワーで、砂を使い尽くしたとダスタンをなじる。 ダスタンはこの短剣の秘密を知っていた長兄がダスタンを罠にはめ、短剣を手に入れようとしていたと考え、 そこで、砂漠の盗賊の住む谷を抜けて城に戻ろうとするが、タミーナに一杯食わされて、盗賊につかまる。 ダスタンはタミーナの懇願も無視して、王の葬儀に紛れ込んで、短剣の秘密を叔父に告げる。
ダスタンは長兄に会い、すべては叔父の陰謀だったと言い、短剣の秘密と自らの潔白を証明するため短剣を胸に突き立てて死ぬ。 再び追われる身になったダスタン。 タミーナは、短剣を時間の砂の塊に突き立てると時間が解放され、人類は神に滅ぼされることを告げ、 ダスタンはタミーナとともに寺院に向かおうとするが、盗賊一味につかまる。 再び、アラムートに戻るダスタンとタミーナ。 激しく巻き戻る時間、ダスタンは格闘の末、ついに叔父を倒し、短剣を時間の砂(の塊)から抜く。 ダスタンは長兄にアラムートを攻めたのは間違いで叔父の陰謀によるものだと説明。 長兄はタミーナに謝罪、ダスタンと結婚するよう依頼する。 ** 大したひねりはないし、筋もすぐに読めてしまうが、展開が早く、エピソードてんこ盛りなので飽きずに楽しめた。 なかったことにしてしまうのは、ちょっとずるいと言えなくもないが、設定はまずまず面白い。 セットも大がかりでアクションもすごい。 * タミーナのジェマ・アータートンは、「タイタンの戦い」のイオ。 盗賊の頭、アルフレッド・モリーナは、「スパイダーマン」のドクター・オクトパス、 |
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パリより愛をこめて ジョン・トラボルタ、ジョナサン・リース・マイヤーズ、カシア・スムトゥニアク。 ***
ジェームズ・リース(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、アメリカのフランス大使館勤務の外交官で、大使の補佐官(秘書)。 しかし、その裏では、何者かから指示を受けてスパイ活動にも手を染めるCIAのエージェント。 いつかは、大きい仕事をやりたいと考えている。 ある日、リースがアパートに戻ると、ドア付近に点々と血の跡が。 行ってみると、男はいかにもって感じのチャーリー・ワックス(ジョン・トラボルタ)、係員を口汚くののしり、 缶はギミックで中身は銃のパーツだった。
ワックスのあまりの無軌道ぶりに憤るリースに、ワックスは国務長官の姪があの中華料理店の密売するコカインで死んだので、 男を追って中華街のスラムに来たワックスとリース。 そして、子供たちの劇を見ている中国人幹部を銃で脅して、ヤクの売人の元締めの居所を書かせる。 夜が明け、戻らなかったリースに怒るキャロライン。 ヤクの売人のアジトに侵入。 ワックスは姪の話は嘘で、麻薬を材料に金を調達し、テロを仕掛ける集団を追っていた。 中東系のアジトは売春宿でもあり、女を買うふりして二人は潜入。 誤解を受けると心配するリース、ワックスは意に介せず、女とリースを連れて10階の部屋に行き、 リースはさらに一階下から逃げようとした男を確保したが、男はリースの拳銃を咥えて撃死する。 8階の部屋で爆弾を発見したワックスは、逃げ出した男たちが出てくる時間を計算してこれを爆死させる。 残された資料をかき集め、警察が来る前に逃げようとするワックス。 やがて警察が突入、爆弾を知らせようとするリースは間に合わず、大勢が爆死。 そこへ、キャロリーンから、事の真相を問いただすメール。 キャロリーンと友人のニコルの待つアパートで、4人は楽しく食事を始めようとしていた。 キャロリーンは愕然とするリースを撃って逃げ、追うワックスをしり目に仲間の車で逃亡する。 おりしもアメリカ国務長官の来仏でレセプションが行われようとしていた。 キャロリーンは、最後の電話をリースにかけてくる。 そして、キャロリーンが高速に続く第2弾の自爆テロとして大使館に潜入していると読む。 ワックスは車を発見して追うが、案の定キャロリーンに見せかけたのはリースの読み通りダミー。 リースは大使館に着き、確保されそうになるが大使に事情を説明して中に入りキャロリーンを探す。 こうして事件は片付き、ワックスはアメリカに帰っていくのだった。 *** そんなに複雑なストーリーではないが、次々と畳み掛けるスピード感あふれる展開は、こちらに有無を言わせない。 車での暴走シーンもあり、リュック・ベッソンの本領発揮というところだろうか。
「96時間」よりもさらに無茶苦茶なエージェントだが、国家の後押しがあるせいか、度重なる乱暴狼藉も外交特権で済まされそう。
弱っちい若いエージェントが無茶なベテランに振り回され、最後は敵を撃ち倒し、ベテランに匹敵するゴツイ武器を持つ。 ** ジョン・トラボルタは、リュック・ベッソンに自分のスキンヘッドのCGを作って送り、監督のイメージに合うか確認したそうだ。 ジョナサン・リース・マイヤーズはMI:3にも出ていたらしい。あとで確認しておこう。 カシア・スムトゥニアクは、ちょっとキーラ・ナイトレイの雰囲気もあって、 |
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ヒーロー・ショー 井筒監督作品。ジャルジャル(後藤淳平、福徳秀介)、ちすん。 *** 鈴木ユウキ(福徳秀介)は、お笑いで身を立てようと、バイトの傍らNSCに通う。 NSCのネタ見せテストでバイトをさぼり、バイト先と揉めてやめてしまう。 次のヒーローショーでは剛志とノボルが大げんかとなってしまった。 金を強請られた二人は、勉の兄で出会い系サイトを運営する拓也(林剛史)に金を借りようとするが、 拓也は金を払うからと鬼丸を言いくるめて、勝浦までやってこさせた。 勇気や拓也は鬼丸たちを埋めることを決意、ネットでユンボのオペレーターを募集する。 鬼丸、剛志、ユウキを車に詰め、埋める場所へ移動中、死んだと思われた鬼丸に逃げられてしまう。 ユウキは自分が殺される恐怖から剛志を穴に突き落とす。 ユンボオペレーターは口止め料として金を要求。 勇気にはバツイチ子持ちの彼女あさみ(ちすん)がいた。 ユウキはヒーローの衣装で健太をおびき出し、勇気、あさみとともに鴨川シーワールドで楽しい時間を過ごす。 ノボルは東京に帰り、拓也と勉は実家でのんびりしていたが、証拠隠滅で解体するはずの車を乗り回していたヒロトは、 車から足がつくと見た拓也は、勇気に剛志の遺体処理を頼む。 アパートに戻り、あさみに別れのメモを残して去ろうとした勇気。 ユウキは東京へは戻らず、山中湖の両親の鯛焼き屋に顔をだし、鯛焼きの手伝いをするのだった。 ** 吉本興業の門下生大勢が出演。 * 暴力が暴力を呼ぶ、負の連鎖はとどまるところを知らない。 あそこまで無茶すれば、もう一人二人死ぬんじゃないかと思っていたが、結局死ぬのは一人だけ。 ** ジャルジャルは、漫才(コント)とは全く違った顔を見せていた。 |
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運命のボタン キャメロン・ディアス、ジェームズ・マーズデン、フランク・ランジェラ。 ** 冒頭に名前を出した3人だけ知っていれば十分です。 ある朝、ルイス夫妻の家に玄関のボタンが鳴らされ、箱が置いて行かれる。 小さいころに事故で右足指を欠損、今は私立校の教師、ノーマ・ルイス(キャメロン・ディアス)。
旦那のアーサー・ルイス(ジェームズ・マーズデン)はNASAで火星探査機のカメラなどを設計している。 夕方5時、朝のメモ通りに紳士が訪ねてくる。 スチュワードは、例の赤いボタンの箱について、カギを出してこう語るのだった。
そして、スチュワードは100万ドルの入ったカバンを見せ、100ドル紙幣1枚を家に入れてくれたお礼にとノーマに渡す。 アーサーが帰宅し、箱を調べるが中は空。通信装置も何もなく、押したかどうかすらわからないと思えた。 このころ、アーサーの同僚の一人の妻が射殺され、同僚が逃げるという事件が起こる。 翌日、スチュワードが100万ドルを渡しにやってきた。 このあと、ルイス夫妻の周りに奇妙なことが起こり始める。 やがてノーマもさらわれて家に戻るが、そこでスチュワードによって究極の選択を迫られる。 スチュワードはまた別のテスト対象を探すのだった。 ** 究極の選択、あなたはどちらを選ぶ「人の命か、金か。」 * テーマは意味不明。 大勢の手下を使っているけど、シンパではなく不可思議な力によるマインド・コントロールは良いとして、何故そうなのかは意味不明。 3連続で妻が押すというのも監督にとっては意味があるんだろうが、「女は欲深い」以外の意味が分からなかった。 大体、最初に出した条件が違うじゃんって感じでした。 * フランク・ランジェラは「フロスト×ニクソン」のニクソン。 |
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グリーン・ゾーン マット・デーモン、グレッグ・キニア、ブレンダン・グリーソン、エイミー・ライヤン。 ** 2003年、アメリカ軍はイラクが大量破壊兵器を隠し持っていることを理由にイラク戦争を開始。 ロイ・ミラー(マット・デーモン)は、部下を率いて大量破壊兵器(WMD)の探査に出かける毎日だった。 ある日は確実と言われる情報をもとに、狙撃者が狙い、米軍が確保できていない工場にまで侵入するが、そこは空っぽ。 これで3度連続の偽情報。 情報はイラク内部に精通する「マゼラン」という謎の人物によってもたらされ、
この情報はウォール・ストリート・ジャーナルのローリー・デイン(エイミー・ライアン)記者を通じて報道されていた。 情報の信ぴょう性に疑問を抱くもう一人の男、CIAのマーティ・ブラウン(ブレンダン・グリーソン)は、 ある日、情報に基づき道路を掘り返しているミラーの舞台に、イラク人の男、フレディが近づいてきて、 訝しがる部下の反対をよそにミラーは、その家に突入する。 アル・ラウイの逃走先を知るため、その家の主人を逮捕、持っていた手帳を奪う。 ミラーは咄嗟にその手帳を隠し、あとでブラウンに渡す。 パウンドストーンは、大統領の許可を取って手帳をブラウンから取り返し、隠れ家を一つずつ捜索していく。 ミラーは、独自にマゼランの正体を探る。 ミラーはアル・ラウイの一味の一人を助け、アル・ラウイとの接触を試みる。 ミラーがまさにアル・ラウイと接触しようとする直前、ミラーの動きを察知したパウンドストーンは、 これで政治的、軍事的「力」を喪失したアル・ラウイは、ミラーをとらえて殺害を指示、自身は逃走する。 ミラーは、WMDの存在が国防総省のねつ造であると報告書をまとめて各メディアに送りつけるのだった。 ** 映画自体は迫力があって、おもしろかった。 手持ちカメラでブレを多用した撮影方法で臨場感を演出、とされているが、多用しすぎで狙い通りとは思えない。 しかし、例えば横に走るシーンでは逃亡する人物はしっかり押さえられ、背景がぶれていたことや、 * 映画とはいえ、ミラーの行動にはいろいろと問題が指摘されている。 軍内部での告発は必要だとは思うが、レポートをいきなりマスコミに送ってしまったとしたら、 そのあたりもアメリカで受けなかった理由の一つではないか。 |
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孤高のメス 堤真一、夏川結衣、成宮寛貴、余貴美子、江本明、中越典子。 * 都心の病院で働く新米医師の中村弘平(成宮寛貴)は、母浪子(夏川結衣)の葬式に実家に戻ってきていた。 弘平は浪子の遺品を整理するうち、1989年の日記を見つける。 * さざなみ市民病院は、京葉大学病院から医師の支援を受けていたが、野本六男(生瀬勝久)外科医長もその一人だった。 そんな病院に一人の医師がやってくる。
島田院長(平田満)室で、市長大田(柄本明)と事務長村上(矢島健一)との面会中、またも野本の診断ミスが明らかになる。 京葉大学に遠慮する事務長、職位や給与には無頓着な当麻、院長は第2外科を設け、当麻を医長に据えることにする。 その後も当麻のメス捌きは、見事の一言。 浪子もその一人。 やがて、慶応大学病院にピッツバーグで当麻の良きライバルだった実川(松重豊)が赴任してくる。 当麻赴任から1年が経とうとした頃。 暫くして大きな事件が二つ起こる。
もう一つは、武井の息子で幼い頃の弘平の面倒をよく見てくれた誠が、福祉関係の仕事に就く寸前、トラックにはねられたのだ。
当麻は一旦は大田市長の生体肝移植を決断するが、親戚で唯一適合する肝臓を持つ娘の翔子(中越典子)の肝臓では小さすぎ、 そこへ、武井が息子誠の臓器提供を申し出る。 しかし、当麻はそれを決断する。 そして、手術当日。 当麻は警察の調べを受け、脳死判定を完璧におこなっていること、手術が武井のたっての希望によるもの、などから そして別れの日。 * 田舎町、弘平がかつての当麻のように大きいトランク一つで駅に降り立ち、とある病院へとやってくる。 今も当麻は病人を助けるために粉骨砕身しているのだった。 ** 手術シーンは素晴らしい。 しかも、必要以上にきわどいシーンは見せていないところも好感だ。 医師としての当麻は素晴らしい。 しかし、映画を離れて当麻を一人の人間として見た場合はどうなのか。 医師としてはそれでいいのかもしれないが、医師という肩書を脱ぎ捨てた途端、何もなくなってしまうような気がした。 |
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劇場版TRICK 超能力者バトルロイヤル 自称天才マジシャン、山田奈緒子(仲間由紀恵)と自称天才物理学者、上田次郎(阿部寛)が、超常現象の謎に挑む。 ** 相変わらず売れないマジシャンの山田奈緒子。
一方、天才物理学者、上田次郎の下には、彼の著書を読んだという万練村の先代カミハエーリの孫、中森翔平(佐藤健)が訪れ、 上田と山田はお互いが万練村を目指していることを知らない。 万練村はバスの終点から徒歩1時間以上かかる。 さて、カミハエーリの選考会は、崖の上。
神と交信し、90日間祈り続けて雨を降らせたという相沢天海(戸田恵子)は、変身(金髪美女との入れ代わり)を見せる。 山田は、村の財宝をだしに上田とぐるになって丸い棺桶からの脱出劇を見せる。 翔平は高階美代子(夏帆)を四角い棺桶に入れて崖から投げ落とし、崖上に登場させるという瞬間移動を見せる。 続いては天海が、虫一匹入らないはずの離れで毒蛇にかまれて死ぬ。 鈴木は「霊能力者バトルロイヤル」を宣言、逃げ出そうとした杉尾が何者かに撲殺される。 翔平はこれ以上殺害が起こるのを見ていられなくなり、霊能力者でないと自白、村から追い出される。 鈴木は山田にタイマンを挑み、伏見をとしこめた小屋に山田を閉じ込めて火を放つ。 しかし、山田は死んでいなかった。小屋の謎を解いて脱出したのだった。 鈴木はかつて大学で研究していたころ、本物の霊能力者である松宮佐和子(三浦理恵子)を世間の誹謗でなくしており、 鈴木は村人とともに山田、上田を火攻めにして逃げる。 * このほか、毎度おなじみの奈緒子の母、里見(野際陽子)、他に矢部謙三(生瀬勝久)と秋葉原人(池田鉄洋)なども登場。 * ともかくばからしくも面白い。 |
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9<ナイン> 〜9番目の奇妙な人形〜
ある研究室。一人の男性が麻布で人形を縫い上げている。 その人形が目を覚ますと、世界は荒廃していた。 人形は自分が取り付けられていた器具から落ちたボタン装置のようなものを腹に入れる。 「1」の反対を押し切り「9」は「5」と工場に向かう。 「9」は自分が持っていたボタン装置を見つけ、そこにあった機械にはめ込んでしまう。 「5」「7」「9」は教会に戻るが「1」の叱責を受け、一同に不協和音が起こる。 機械は、工場全体を稼働させ、自ら別の攻撃機械を作り上げ、人形たちを探させる。 結局教会を追われた一行は工場に向かい「9」と「7」が工場に潜入、「3」「4」「6」らがドラム缶爆弾で攻撃して破壊する。 工場とともに敵を殲滅したと喜びに浸る一行。 すべての鍵が自分の生まれた研究室にあると見た「9」は研究室に戻り、博士の遺言ムービーを発見する。 「9」は意を決し、マシン停止のために対決しようとする。 「9」はボタン装置から「1」「2」「5」「6」「8」の魂を解放し、彼らの魂は天に召される。 ** 「1」:教祖。声、クリストファー・プラマー。「Dr.パルナサスの鏡」のDr.パルナサス。 ** 監督、シェーン・アッカー。製作、ティム・バートン。 ラストにやや不満とか、掘り下げが少ないとの意見もあるようだが、私は大変気に入った。 何より映像がもう素晴らしいの一語に尽きる。 世界観、人形の造形も独特でとてもよかった。 惜しむらくは上映館が少ないこと。 |
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ウルフマン ベニチオ・デル・トロ、アンソニー・ホプキンス、エミリー・ブラント、ヒューゴ・ウィービング *** 1891年、イギリスの片田舎。ランプを手に夜の森を行く男。 男の名はベン・タルボット。 ローレンスは、父、ジョン・タルボット卿(アンソニー・ホプキンス)とは疎遠で、
久しぶりにタルボット城(大邸宅)を訪れたローレンスは、失意のグェンに代わり、村の遺体安置所でベンの遺体を確認、 最近、村人が何物かに惨殺される事件が頻発していた。 事件の調査にはロンドンからアバライン警部(ヒューゴ・ウィービング)もやってくる。 ローレンスはグェンをロンドンに返し、さらに調査を進める。 ローレンスは、ジョンが持っていたコインがジプシーの売り物であることを知り、 コインを売ったのは占い師、マレーバ(ジェラルディン・チャップリン)。 ローレンスは銃を持ってその何か=殺人鬼を追うが見失い、逆に待ち伏せされて噛みつかれる。 傷ついたローレンスを看病するのはロンドンから再び城にやってきたグェンだった。 やがて傷が完全に治った次の満月の夜、ローレンスが見たものは、母の廟に入る父だった。 ローレンスはかつて入院したことのあるロンドンの精神病院に送られ、拷問治療を受ける。
医師は、ローレンスの変貌が妄想であることを証明するため、わざわざ満月の夜に会議を開き、ローレンスを月光に晒す。 ローレンスはグェンの骨董屋に隠れる。グェンはアバライン警部には嘘をつき、ローレンスを逃がす。 グェンは文献などを調べ、マレーバの行方を突き止めて、狼化の治療法を聞こうとするが、ないと言われる。 やがて、タルボット城にたどり着いたローレンス。 そして、父から衝撃の事実が明かされる。 そして、ローレンスは父に殺された哀れな母の姿を思い出し、引き金を引くが、火薬は抜かれていた。 アバライン警部一行もローレンスを逮捕に向かい、追走劇の末、グエンは自分を殺そうとするローレンスを銀弾で撃ちぬく。 死が近づき、人間に戻るローレンス。 ** 1941年の同名映画のリメーク。 変身ぶりは面白いがストーリーには、特に意外性がなく、正統派の古典的ホラーといった感じ。 ベニチオ・デル・トロの苦悩はよく表されていたようだが、アンソニー・ホプキンスの苦悩はあまり感じられない。 * 狼男。 狼はWOLFであり、原題も「Wolfman」であるが、「Lycanthrope」(ライカンスロープ)という言い方もあるらしい。 |
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タイタンの戦い サム・ワーシントン、リーアム・ニーソン、レイフ・ファインズ、ピート・ポスルスウェイト。 ** 漁師のスピロス(ピート・ポスルスウェイト)は、海で棺を拾い上げ、中にいた赤ん坊を助ける。 やがて、赤ん坊はペルセウスと名付けられ、スピロスの子として育てられる。 途端に海中から冥界の神ハデス(レイフ・ファインズ)の部下の怪鳥が現れ、あっという間に兵士全員を殺害する。 ペルセウスはアルゴス兵に助けられてアルゴスへ行く。 アルゴス兵のリーダー、ドラコ(マッツ・ミケルセン)は、クラーケンを倒すため隊を編成し、ペルセウスも入れる。 一方、オリンポスでは、ゼウス(リーアム・ニーソン)をはじめとする12神会議が行われていた。 ペルセウスの一行は、クラーケンの弱点を探るため、3人の魔女の住む地獄山に向かうが、 カリボスは元アルゴス王のアクリシオスで王妃をゼウスに寝取られ、ペルセウスを孕まされたことに立腹して、 カリボスの切り落とされた手首や血は巨大サソリとなってペルセウスたちに襲いかかる。 一行には、ペルセウスの守護神を名乗るイオ(ジェマ・アータートン)も同行する。 ペルセウスは当初ゼウスの助力を拒否していたが、カリボスを倒す際に剣を受け取り、ゼウスから直接金貨を受け取る。 大勢の仲間を失いながらもペルセウスはついにメデューサの首を切り落とす。 アルゴスでは、ハデスの襲撃に恐れをなした人々が反乱を起こし、アンドロメダを生贄にするため、吊し上げる。 ペルセウスはペガサスに乗ってアルゴスへ急ぐ。 ペルセウスがアルゴスに近づいたとき、ハデスの部下がメデューサの首を奪い、追いつ追われつの末、 平和が戻ったアルゴス。 *** この映画のタイトルにもなっていて、ゼウスらの父、クロノスの一族である巨神「タイタン」は出てこない。 本作では、ペルセウスをゼウスとアクリシオスの妻との間にできた子としているが、 アクリシオスは自分を殺すとされたペルセウスを殺そうとしたができず、ダナエとともに流し、セリポス島のディクチュスに救われる。 映画では、メデューサの姿を映す盾をサソリの殻で作っているが、神話ではアテナにもらった盾になっている。 また、神話ではペルセウスの妻はアルゴスの王女アンドロメダ。 * ペルセウスは、Perseusとつづり、英語ではパーシアスと発音する。 とはいえ、大作の3D化はもはや戻れない「流れ」であろう。 |
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必死剣鳥刺し 豊川悦司、池脇千鶴、吉川晃司、岸部一徳。 *** 冒頭は、藩主が側室の連子とともに、能を見ているシーン。 やがて能が終わり、藩主は側室らとともに退出する。 当然ながら、斬首覚悟の兼見三左衛門。 これには藩主の意向というよりも家老の一人、津田民部(岸部一徳)の強い意見が通ったものだった。 禄高を減じられたことで使用人のほとんどに暇を出し、門を閉じ、作法に従い自ら倉で謹慎する三左衛門。 書を読み、像を彫る三左衛門。 一方、病に倒れた妻を最後まで愛し、出戻りの姪を温かく養っていた三左衛門の人情も明らかになる。 1年が過ぎ、閉門は解かれるが、それでも三左衛門は親戚などの来訪を断り、 側室の横暴に怒りを覚えていたのは、藩士だけではなかった。 さらに2年が過ぎ、三左衛門は近習頭取(きんじゅうとうどり、藩主の傍につく警護役の筆頭)に取り立てられる。 ある日、家老の津田は三左衛門を呼び、三左衛門が剣術の達人であるからこそ近習頭取に選ばれたと告げる。 津田は剣の達人である帯屋と立ち会えるのは、三左衛門以外にはいないと言う。 三左衛門は、近習頭取の役目が危険であると認識しており、自分が何かあったときのためにと里尾に縁談を持ちかける。 そんな頃、藩財政ひっ迫によって年貢の改定が行われ、帯屋の領地の農民たちの年貢が大幅に引き上げられる。 怒り狂い、帯刀の上、藩主に直談判しようとする帯屋。 三左衛門は左手に切り傷を負いながらも帯屋と対等に立ちまわり、ついには小太刀の切っ先で相手の鍔を返して帯屋を倒す。 控えていた家臣とともに藩主と津田が登場。 いくら三左衛門が剣の達人とはいえ、もとより多勢に無勢。 脈を確認し「息絶えております」と話す部下の声で、津田は三左衛門に近づき、 里尾は三左衛門の死去も知らず、赤ん坊を抱いて三左衛門が迎えに来るのを待っているのだった。 ** 最後の立ち回りは見事で、そこにクライマックスを持っていくため前半は静かに進行する。 しかし、冒頭の能のシーンはだれる。 つかみの部分なのだからテンポよく進行し、観客がだれる前に突然何かが起こるほうがインパクトがあるし、 死からラストシーンまでの時間経過が不明だが、数か月経っている感じがして、ラストはやや違和感だった。 * 豊悦は公称186cm、かなりの大柄であるが、原作の三左衛門も大男として描かれているそうだ。 ** 所作(しょさ)や武家用語に詳しいわけではないので、聞き間違いかもしれないが、最初の刑罰は閉門ではなく蟄居。 刑罰としてはかなり重い部類に入るようだが、当然斬首や切腹よりは軽い。 * 「鳥刺し」は、必殺剣の呼び名としてはかなり違和感があるが、そこは藤沢周平流といったところか。 |
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アリス・イン・ワンダーランド ティム・バートン監督、ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム・カーター、アン・ハザウェイ、ミア・ワシコウスカ。 *** 「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」から13年。 ある日、アリスは母とともにアスコット卿のガーデン・パーティに出かけた。 やがて、ハーミッシュは、東屋でアリスの前でひざまずき「私の妻になってくれ」と求婚するが、 ウサギは木の株の穴に隠れるが、それを覗き込んだアリスは手を滑らせて穴に落ちてしまう。 落ちた所はドアに囲まれた部屋。 服を着て喋るヤマネやウサギや、双子のトウィドルディー、トウィドルダムなど。 一方、その時不思議の国を支配していたのは赤の女王(ヘレナ・ボナム・カーター)。
アリスは夢だと思い、バンダースナッチに立ち向かい、腕を引っかかれるが、ヤマネが目を抜いてバンダースナッチを追い払う。 マッド・ハッターはステインにつかまり、赤の女王の城に連れて行かれる。
やがて、アリスはジャバワッキーを倒すという、ヴォーパル・ソードがバンダースナッチの小屋に隠されていることを発見、 白の女王(アン・ハザウェイ)に会って普通サイズに戻ったアリス。 双方、代表選手を出しての戦い。白の女王はアリス、赤の女王はジャバワッキー。 白の女王は赤の女王とステインを鎖でつなぎ、追放する。 アリスは再びガーデン・パーティに戻り、やり残したことに片を付ける。 最後にアリスを見送るのは、かつてアブソレムだったかもしれない青い蝶。 *** 登場するキャラは原作通りだが、ストーリーはティム・バートン・オリジナル。 青虫のアラン・リックマンはすぐわかったが、犬がティモシー・スポール、白ウサギがマイケル・シーンなどはわからなかった。 原作からして、ダジャレが多い。 |
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プランゼット 粟津順監督、宮野真守、石原夏織、フルCGアニメーション **
2053年、突如地球に近づいてきた小惑星は宇宙人の基地、まるでスター・ウォーズのデススターのような存在だった。
地球人は、このデススター・ライクな基地を持つ宇宙人をFOSと呼び、攻撃を仕掛けるが、あらゆる攻撃は失敗に終わり、 日本方面軍富士基地も数少ない残された地球軍の基地。 明島は10年前、父、孝志郎(岩崎征実)をFOSとの戦いで失い、自身は軍に志願、10歳下の妹を軍の中学校に通わせていた。 ある日、ロシア方面隊がFOSによって壊滅させられ、基地司令の吉澤ユウラ少佐(声:竹内順子)は、 それがプランゼットである。 そしてシールドを解除して、攻撃にエネルギーを蓄積するための間、基地を守ることを兵士に命令したのだ。 翌日朝9時、プランゼットは開始された。 火星に行くはずの妹を迎えに行った友人から、妹がいないという心配な連絡が明島に入る。 シールドが解除されるやそれを感知したFOSは、デススターから攻撃型円盤を放出した。 敵円盤を撃破しつつも多勢に無勢、ついに佐河は撃墜され、田崎は富士基地を守るため、母船に突っ込んで自爆。
しかし、次の瞬間、多くの母船がデススターから排出され、波動砲で破壊されながらもデススターそのものの破壊を防いだ。 なす術なくうなだれる吉澤ユウラ。 怒りながらもこよみを連れて地下シェルターに退避する明島。 自爆のカウントダウンが終わったその時、基地は爆破せず、代わりに吉澤方面総監(声:屋良有作)のビデオが現れ、 カリオスの破壊力はすさまじく、攻撃型円盤、その母船は軽々と破壊、デススターと直接対峙する。 圧力に耐えつつも、明島は高熱で朦朧となるが、父の亡霊(妄想)に励まされて、ついにはデススターを破壊する。 カリオスは明島とこよみを静かにおろしその任務を終える。 こうして、地球の危機は救われたのだった。 ** 未来の話なのに時代がかった家電品(例えばエアコン、TV)が出で来るのは粟津監督の得意技らしい。 予算の都合か、あえてそうしているのかはわからないが、登場人物が少なすぎ。 表現力は素晴らしい。 しかし、設定には無理が多い。 またいくら細かくばらばらになったとはいえ、種々の保存則(質量、運動量、エネルギーなどの保存則)から言って、 最終作戦の割には、関係者の姿もよく見えないし、個人プレー的な気がする。 また地球全体がシールドで保護されているのに、どうやって火星に行くロケットがシールドを回避できるのか、 地球外知的生命体といわれるものの行動が我々の理解を超越していても別に問題ないが、 とはいえ、そういう「細かい」ことは無視して、メカ対メカのCG版特撮を楽しむ分には面白い映画だった。 ** 日本のCGアニメについてはいろいろなご意見があるが、その一つに髪の表現が安っぽいというのがある。
多分予算的にもあまり潤沢でないだろう本作で、髪の表現がここまでできるということは、他のアニメでもできるはずで、 また、皮膚の質感や金属などの質感もよく表現されていて、その部分では実写と見紛うばかり、といって良いかもしれない。 ただ、いただけないのは人物の目と口。 また、口はどうにも口パクに見えてしょうがない。 何がどうあればいいのかはよくわからない。
ただ繰り返すが、TVアニメなどでよくある言葉=台詞の内容に関わらず、ただ単に口を開け閉めする顔とは比べ物にならない。 |
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第9地区 ピーター・ジャクソン・プロデュース。エリイアン物。 ** 冒頭はドキュメンタリー風に関係者のインタビューやニュース映像などで構成される。 しかし、エイリアンの難民キャンプはすぐにスラム化、人間との軋轢も高まり、排斥運動なども起こってしまう。 エイリアンたちはその風貌からえび(prawn)と呼ばれ、文化、食性も人類とは異なる。 さて、エイリアンたちの増殖や人間とのトラブルに手を焼いた、南ア政府は地区の不衛生など理由に、 武装兵とともに各エイリアンの家を巡るヴィクス。怒り狂うエイリアンもいれば、嘘をつくのもいる。 ヴィクスの、いや、MNUの目的の一つにエイリアンの武器の発見回収があった。 一方、エイリアンの中には、ごみの中から何やら液体を探し、それらを合成し容器に詰めている者がいた。 ヴィクスは左腕を負傷し、応急手当てをするが、徐々に調子が悪くなってくる。 ヴィクスはパーティで昏倒し、病院に担ぎ込まれる。 MNUのスミットらはDNA同化の秘密を探るため、ヴィクスを解剖させようとした。 家に帰ろうとしたものの、スミットが先回りして軍隊を派遣、家には立ち入れない。 ヴィクスは行き場がなくなり、第9地区に舞い戻る。
ヴィクスは、変身の原因となったエイリアンの家に行き、最初に逃げた一人のエイリアン、クリストファー・ジョンソンに近づく。
ヴィクスは、液体の入った容器を奪還するため、MNU侵入を決意、第9地区のナイジェリア人ギャングから武器を買おうとするが、 しかし、そこにあったエイリアンの武器を作動させて、ギャングを一蹴して逃げる。 ヴィクスはクリストファーとMNU本部を攻撃、地下4階に侵入し、例の容器を探す。 ヴィクスは大勢の人間を殺し、容器を奪回、エイリアンの家に戻る。 ヴィクスを乗せた司令船は何とか飛ぶことはできたものの、追ってきた軍のミサイル攻撃を受けて落下してしまう。 ヴィクスはエイリアンのパワード・スーツに乗って戦う。 ヴィクスのパワードスーツは破壊されるが、追ってきた軍は撃破し、クリストファーも母船に戻る。 ヴィクスは行方知れずとなり、エイリアンは第10地区に移送され、さらに増え250万を超えるまでになっていた。 *** 説明ではUFOは28年前に来訪したことになっているが、台詞では「2decades(20年)」という表現が使われていたように思う。 ドキュメント番組風、仲間内のビデオ撮影風は、最近よくある手法。 予告で出てくるエイリアンへのインタビューのシーンは本編にはない。 軍の実行部隊が民間企業というのは、映画ではもうすでに常識だが、現実でも実際に結構あるようだ。 SFなので自分自身の評価は高目。 エイリアンの武器のすさまじさは今までの軽火器の常識を覆す。 |
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シャッター・アイランド マーチン・スコセッシ監督、レオナルド・デカプリオ、ベン・キングスレー、マーク・ラファロ。 ** 1954年。テディ・ダニエルス(レオナルド・デカプリオ)は連邦保安官。 そこは精神に異常をきたした凶暴犯を収容する病院兼刑務所、アッシュクリフ。 収容された極めて危険とされる「患者」の一人が、個室から突然消えてしまったという。 二人は銃を預けて病院内に入る。 男性患者のいるA棟、女性患者のB棟、そして凶悪な患者のいるC棟。 しかし、どうもおかしい。 あまりに非協力的なみんなの態度に、テディは捜査をやめ、島を出てあとはFBIに任せると言い出す。 テディはレイチェルの捜査に志願してこの島に来たが、実は別の目的があった。 レディス(イライアス・コティーズ)は、顔の真ん中に切り傷があり、左右の目の色が違う。 この病院ではどうも怪しい人体実験を行っているらしい。 レイチェルの捜査は難航。警備員による周辺の捜索も手掛かりなし。 テディは、時々、レディスを探し出すよう告げるドロレスの亡霊(妄想)に苛まれる。
テディにはかつて戦場でナチのユダヤ人虐殺を見、それに怒りを覚えて逆にドイツ人捕虜を虐殺してしまった過去もある。 やがて、レイチェル・ソランド(エミリー・モーティマー)が発見された。 嵐のあとの混乱に乗じて、テディはC棟に入る。 テディは、秘密が灯台にあると考え、灯台へ向かう。 一旦は、宿舎に戻ったテディ。 チャックの身に人体実験の危険が迫っていると考え、すべてはあの灯台に秘密があると考え、ついに灯台に乗り込む。 そこで、コーリー院長は「驚愕の事実」をテディに告げるのだった。 それは4の法則と67番の答え。 テディ、いや、アンドリューの妻ドロレスは、うつ病で自宅に放火、一家は療養のため湖沿いの家に転居。 コーリー院長は、凶暴なアンドリューの妄想を解き、正気に戻すために彼の妄想に付き合っていたと話す。 混乱のうちに倒れ、目が覚めたテディは自分がアンドリューで妻を殺したことなどを理解したと告げる。 しかし、院長は再び衝撃的な事実を告げる。 翌日、正気に戻ったと思えるアンドリューにシーハン医師が語りかける。 首を振るシーハン医師。 ** どんな映画にもどんでん返しはあるし、ラストに驚愕の事実が待ち構えている、なんてうたい文句は山ほどある。 つまり、ラストの落ちが分かってしまうと、もう二度目は見る気がしない映画と、 この映画と似た様な落ちの映画はいくらもあって、びっくりするほどのものではない。 見た映画だけでも、ロバート・デ・ニーロの「ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ」、 ただし、この映画を「謎解き」としてみるのは間違いだと思う。 * エミリー・モーティマー、名前は聞いたことがあるし、どこかで見たがよく思い出せない、と思ったら、
脳が勘違いする、という意味合いで平行線などを曲がっていると見てしまう錯視が引き合いに出されているが、適切とは思えない。 |