2019/04-06鑑賞
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2019年の累計:24(8)[13] 本 ( )は試写会
[ ]は邦画
1−3月期:13(4)[6]本 、4−6月期:11(4)[7]本、7−9月期:0(0)[0]本、10−12月期:0(0)[0]本  
4月:3(2)[2]本、5月:4(1)[3]本、6月:4(1)[2]本    (本数は同時上映の短編を除く)  
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  ファブル   

岡田准一、木村文乃、佐藤浩市、山本美月、安田顕、佐藤二朗、柳楽優弥、向井理、福士蒼汰。

とある日米マフィア(やくざ)の宴会。
日本のやくざが、親交のしるしとしてアメリカやくざに日本刀を贈呈し、手下がその様子をスマホで動画に撮ったりしている。

見張り役が物陰からの消音付きの銃で狙撃されて倒れ、宴会場のやくざたちも次々と撃たれていく。
やくざたちはパニックになり、ところかまわず撃ち返すが、目出し帽をかぶった狙撃者は静かに急所を撃ち抜いていく。

やがて全員がやられ、目出し帽の男は何事もなかったかのように現場を去る。
外には美女(木村文乃)が乗る車が待っており、男(岡田准一)は目出し帽を取ると女にTVをつけるよう指示。
画面のお笑いのジャッカル富岡(宮川大輔)がネタを披露すると、男は大声で笑い転げる。

暫くして大量殺人の現場にフード(福士蒼汰)とコード(木村了)の二人組の殺し屋がやってきた。
現場の状況を見て都市伝説ともいわれるファブルの行状ではないかと考える。
たまたま現場に落ちていたスマホ動画にファブルらしき男が映っており、二人はファブル探しの旅に出ることを決意する。

ボス(佐藤浩市)と男と美女はBBQで食事中。
極端な猫舌の男はちょっとしたものにも過激に反応する。

ボスはファブルと呼ばれる男に今年何人殺したかと聞き、ファブルはわからないと答える。
たくさんやり過ぎた、しばらく仕事は受けない、ついては大阪にいる旧知のやくざのところで1年間静かに暮らせ。
「普通人の生活」ができれば、仕事の幅が広がるだろう、しかし、その間に人を殺せば俺がお前を殺す、と言い放つ。

そして男に佐藤明、美女は佐藤ヨウコの兄弟として暮らすよう指示した。
ヨウコの運転で大阪に向かう二人。

そのころ、二人の受け入れ先の組では、会長(光石研)と社長の海老原(安田顕)が頭を抱えていた。
ファブルが来るタイミングで、極悪無比な暴走男の小島(柳楽優弥)が出所してくるのだ。

大阪に着いたファブル(以下、明)は佐藤明兄妹として海老原にアパートを世話してもらう。
1階のガレージには海老原が大事にしているハコスカGTRがあり絶対に触るなと言い渡される。

明はベッドに寝ている偽装をし、自身は全裸で浴槽で寝。室内では裸でストイックに体を鍛える日々。

一方、出所した小島は会長に報告し、祝い金として500万円をもらう。
そして海老原と反目する砂川(向井理)と一触即発になるが、海老原がとりなす。
 

小島は昔金を貸した風間を通りすがりに刺し、部屋に連れ込む。
300万円を還せと言うと風間は利子をつけて600万返すと言うが、小島は安すぎるとして風間を撃ち殺す。

明とヨウコが夜歩いていると、二人組に因縁をつけられる。
明はヨウコを帰し、二人組にわざと殴られる。
うまくパワーを逃がしたり、相手のこぶしを折ったり、わざと鼻血を出しての弱い振りに二人はすっかり騙される。
砂川は海老原が預かるとしている佐藤明が凄腕の殺し屋らしいとにらんで二人に襲わせたのだった。

通りすがりの美女(山本美月)が倒れている明を見てハンカチを貸してくれるが明は断る。

別の日、たまたまあの通りすがりの美女遭遇。海老原は彼女が「みさき」と言う名で苦労人だから近づくなと言う。
そして明に普通の人間は働くからお前も働けと指示、明は履歴書を書いて面接に向かう。
あまりにも正直なため、次々と面接に落ちる明。

またもみさきに遭遇し、彼女の勤める広告会社に面接に行く。
そこの社長、田高田(佐藤二朗)は、明の超猫舌に驚いて採用を決める。

こうして明は仕事とはいえ、みさきと知り合いになってしまったため、海老原に謝りに行く。
海老原の家には小島がいたが、明が来たためたまたま風呂場で脳梗塞で倒れていた海老原に気づくことができた。
小島は明をただものではないと気づいたが、海老原が入院して小島の監視役がいなくなってしまった。

小島が風間を殺したことを知った砂川は海老原が小島に指示して風間を殺させたことにしようと画策、
ファブル探しで大阪に来ていたフードとコードを雇う。
砂川の話から凄腕の殺し屋がファブルではないかとにらんだフードとコードはファブル殺しに期待する。

一方、風間の仕事のセレブ向けの花屋(=覚せい剤売り)をやろうとして海老原に止められた小島だったが、
みさきがかつてグラビアアイドルをやっていたことを知り、売春させようともくろむ。

母をネタにみさきを呼び出したところへ砂川の配下が侵入し、みさきと小島を拉致する。
砂川は小島に「海老原の命令で風間を殺った」と言わせようとするが、「凄腕の殺し屋が来る」と言ってしまう。

海老原は明に小島を助けてくれと頼む。「普通なら助ける」と言われた明は小島のアパートを訪ね、状況を察知、
誰も殺さないようにしつつ、小島とみさきを助けることを決意する。

武器は持ってこなかったので、海老原のアパートのガレージで銃を自作、ヨウコも手伝う。

明は海老原の配下の手助けを得て、砂川のやっているごみ処理場に潜入。
目出し帽をかぶって拉致監禁されているみさきを助けて隠し、小島の救出に向かう。
小島はごみ投入口のうえに縛り付けられており、砂川の配下が明の来るのを待ち構えていた。
明は、相手を殺さないようにしつつ自作銃や相手の銃を使って倒していく。

フードとコードも明を狙い、現場はしっちゃかめっちゃかの中、みさきも見つかって逃げるが、コードに追い詰められる。
そこへヨウコが現れてコードを倒し、みさきを助ける。

なんだかんだあって、明は小島を助け出すことに成功し現場を離れる。
明が殺し禁止を守ったため、フードとコートは助かり、次回は明を殺すと息巻くが、突然現れたボスにあっさり撃ち殺される。

みさきはファブルに化けた海老原の部下(井之脇海)にアパートまで送ってもらい、目出し帽の男だと勘違いさせられる。

海老原は明が誰も殺さなかったと保証し、小島を背後から撃ち殺す。
そして砂川に風間殺しの始末はつけたとして手打ちを要求、砂川も渋々応じる。

明は正体がみさきにばれることなく広告会社でのバイトを続けるのだった。

面白かったし、続編があってもいいほどの出来だった。

コミックの実写映画化の場合、どうしても原作との違いを指摘する向きがあるのはやむを得ない。
原作コミックではいかにもな風体のファブル、岡田准一の見た目は、確かに原作とは全く違うが、
逆に良い感じが出ていた。

枝豆を丸ごと食ったり、サンマを頭から丸かじりしたり「普通」が分からない天然キャラ。
今までにない岡田准一の真骨頂。

大阪を舞台にすると変な関西弁が必ず出て来るものだが、今回はよくできていた。

岡田准一の関西弁は全く違和感なかった。それもそのはず生まれは枚方。
山本美月(福岡出身)柳楽優弥(東京出身)安田顕(室蘭出身)の関西弁も違和感なし。

木村文乃が無邪気な嫌味キャラなのもいい。山本美月をいじるシーンも良かった。

その山本美月もかわいい。
「これは皮も食べてええんよ」「あ、骨は食べたらだめ」「あー、全部食べてもうた」

 

 

            

  さらば愛しきアウトロー   

ロバート・レッドフォード、ケイシー・アフレック、シシー・スペシック、ダニー・グローバー、トム・ウェイツ。

幾度となく銀行強盗を行い、20回近く脱獄に成功した伝説のフォレスト・タッカー。
(当然ですが、俳優のフォレスト・タッカーとは別人)

アルカトラス刑務所からも脱獄したし、廃材などを集めて作った手製の舟で脱獄したこともある。

ある都市の小さい銀行。
窓口の女性はおびえながらもひげを蓄えた紳士(ロバート・レッドフォード)のカバンに現金を詰めて渡す。
紳士は静かに立ち去り、窓口の女性は非常ボタンを押す。

紳士は車に乗ると口ひげを取り、白い車で倉庫に入ると青い車で出て来る。
追っていたパトカーは混乱し、高速で青い車を見つけ追う。
男はエンコしていたトラックのそばで車を止めて女性に近づき、手伝おうかと声をかける横をパトカーが通り過ぎる。
結局トラックは直らず、男はドライバーの女性(シシー・スペシック)を乗せて町に向かう。

女性はジュエルと名乗り、離婚したばかりらしい。

男はまた会いたいねと言って別れる。

別の日、別の町。小さい銀行にひげの紳士がやってきて、口座を開きたいと言う。
どのような口座をと聞く行員に対し、「こういう件で」といって、背広のポケットに隠した銃を見せる。

行員は慌てて男のカバンに金を詰め込んで渡すと男は静かに出ていく。
車で行った先には別の車が3台と男がふたり。
ひげの男は車を乗り換え、3人でその場を去る。

別の日、別の町。とある銀行にひげの紳士がやってきて支店長に会いたいと言う。
どのようなご用件でと問う支店長に融資の件でと答え、支店長室に入ると、「このような件で融資をお願いする」と言って
背広のポケットに隠した銃を見せる。

落ち着いた様子に支店長が部屋を出て周りを見渡すと、怪しい男が一人、二人。
支店長はカバンに金を詰めて男たちが出ていくのを見守ると、即座に銀行を閉鎖し、警察に連絡する。

たまたま銀行にいた客の中に銀行強盗事件を追っていた刑事、ジョン・ハント(ケイシー・アフレック)がいたが、
犯行には全く気付かなかった。

強奪された額が少ないのと、だれも死傷していないことなどから、地元メディアでもほとんど扱われない事件。
ハント刑事がよくよく調べると、近隣の銀行で連続強盗が行われており、いずれも犯人はひげの紳士。
落ち着いていて、丁寧で、紳士的だった、と言う。

さらに捜査範囲を調べると近隣の州でも連続銀行強盗が発生しており、その数は膨大なものとなっていた。

銃は見せるものの誰も傷つけず、淡々と幸せそうに強盗を重ねていく。

男の名はフォレスト・タッカー。子供のころから窃盗を重ねてきた。
仲間の二人はテディ(ダニー・グローバー)とウォーラー(トム・ウェイツ)。

タッカーは時々ジュエルのいる街に舞い戻り、ジュエルとデートしたり牧場を訪ねたりした。
ひとり身で子供たちは既に独立、馬の世話と牧場の管理で過ごす毎日。
タッカーとのひと時の安らぎは心の支えでもあった。

最初にあったとき、自分の仕事を銀行強盗だと言っていたタッカー。
ジュエルはもちろん信じず、聖書のセールスマンだと信じていた。

連続銀行強盗を追うハント刑事をマスコミも注目、ハント刑事はTV画面に向かって情報提供を呼び掛けていた。
犯人の正体は程なく判明した。
娘だと言う女性から連絡があった。
昔の写真に帽子と髭を書くとひげの男の似顔絵そっくりになった。

女性はハント刑事に犯人はフォレスト・タッカー、離婚した実の父だと言い、捕まっても絶対会いたくないと言い放つ。
ハント刑事が、フォレスト・タッカーで調べると、いくつもの警察に膨大な資料があった。
担当刑事はタッカーのことをよく覚えていた。

テディとウォーラーはちまちました銀行強盗に飽き足らず、一発大きい仕事をしたいと考えていた。
それまでにやったことのないほど大きな銀行がターゲット。

下調べを行い、現金輸送車の来る時刻や運ぶ荷物(現金袋)の量などを調べていく。
そしてついに銀行強盗決行。
今回も誰一人傷つけず犯行に及んだが、いつもと違うのは金庫室に押し入り多くの金塊を盗んだことだった。
ハント刑事が現場着いたとき、金庫室の床には現金が散乱、引き出しも引き抜かれていた。
そして証拠品として1枚の紙幣が確保されていた。
そこには「ハント刑事、がんばれ、幸運を祈る」と書いてあった。

警備の警官が発砲し、何発か食らわせたと言う。
実際テディの脇腹に命中していたが、それほど重傷ではなく、何とか治療できた。
タッカーは分け前を分配し、テディ、ウォーラーと別れる。

ハント刑事がカフェにやってきたとき、たまたまタッカーとジュエルが食事をしていた。
タッカーはジュエルに町を出ようと誘うが、ジュエルは馬の世話があると言って断った。

タッカーはハント刑事がトイレに立った後を追い、「犯人逮捕のめどはついたかね」と聞く。
「いいや、まだ」と答えたハント刑事は、立ち去るタッカーに「タッカー」と声をかけた。

程なく、FBIが事件の捜査を引き継ぐと言ってハントから捜査権を奪っていく。
ハントは悔しいがどうすることもできない。

タッカーが家に戻ったとき、ベランダにテディが座っていた。
異変を察知したタッカー。家からFBI捜査官が飛び出し、何発かを撃った。
タッカーは傷を負ったが車で逃走。
しかし、ついにはパトカーに囲まれて停止。両手をあげて御用になった。

服役することになったタッカー。
面会に来たのはジュエルだった。

タッカーは、ジュエルに一冊のノートを渡す。
「これ、何?」「脱獄の記録」
そこには1から順に日付や方法が書かれていた。
26番まで細かく書かれていて「27」は空白になっていた。

「今度は最後までいたら」ジュエルの言葉にタッカーはそうして服役を終えた。
迎えに来たジュエル。
タッカーはジュエルと暮らすことにした。

平穏な日々。
買い物に行く、欲しいものはあるか、と聞いて家を出たタッカー。
街角の公衆電話からジョン・ハントに電話する。

ハント刑事は電話に出てタッカーか、と聞くがタッカーは答えない。
そして、静かに銀行に入っていくのだった。

ハントはこの後も4回銀行強盗を繰り返し、服役中に83歳で亡くなった。

ロバート・レッドフォードは1936/8/18生まれ。
この映画の全米初公開は2018/8(テルライド映画祭)、一般公開は2018/10なので撮影時は81歳ぐらい。

劇中若かりし頃のロバート・レッドフォードの写真が出て来るが、かっこいい。
ぱっと見はアーミー・ハマーに似ている。

これが俳優引退作だそうだが、全米公開順としては「エンドゲーム」のほうが後になる。
同作では「ウィンター・ソルジャー」の時と同じくアレキサンダー・ピアースを演じている。

見るまで全く知らない映画だと思っていたが、原題の「The Old Man & the Gun」を見てIMDBで予告を見た映画だったと気づいた。
そういえば、あのトラックに近づいてパトカーをやり過ごすシーンは予告にあったし「ほんとは車に詳しくないでしょ」ってセリフもあった。

犯罪映画にありがちな派手なドンパチや爆破などは一切なく、カーチェイスもカーフェイスと言えるほどではない。
仲間のテディやタッカー自身も被弾するが、それさえも淡々と描かれていた。

紳士的だろうが幸せそうだろうが犯罪者は犯罪者なんだけど、悪いことをしていると分かっているのかいないのか、
生来の犯罪者、Born Criminal といったところか。

実在のフォレスト・タッカーは1920/6/23生まれ、収監中の2004/5/29に84歳目前で死亡している。

アルカトラス刑務所からの脱獄は手術のためにカリフォルニアの病院に移送されたときのことで、
捕まったのは数時間後、手錠と病院のガウンのままだったという。

冒頭に映っていた小舟はサンクエンティン州立刑務所から脱獄した時で、タッカーの脱獄としては最も有名なものだとのこと。

 

 

           

 

  メン・イン・ブラック インターナショナル   

リーアム・ニーソン、クリス・ヘムズワース、エマ・トンプソン、テッサ・トンプソン

2016年、パリ。
宇宙人ハイブの侵入を検知したMIBエージェントのハイT(リーアム・ニーソン)とH(クリス・ヘムズワース)は
エッフェル塔に向かう。

気配を検知して塔の外縁部に出ると、若い恋人たちがプロポーズの真っ最中だった。
Hはニューラライザで二人の記憶を消して下に降ろさせ、自分たちは最上階に向かう。
そこでタコ足のハイブと対決、Hは突き落とされるものの助かってよじ登り、ハイTとともにハイブを駆逐することに成功した。

時は遡って20年前のニューヨーク。
2階で寝ていたモリーが、話声で目を覚ますと、家の外で両親が黒服の男達と話をしていた。
男達は「タランシアンは小さいうちはかわいいけど大きくなると大変なことに」と言って両親にいろいろ訊ねていた。
そののち男達はニューラライザを取り出して両親に光を浴びせ、新しい記憶を植え付ける。

モリーがびっくりしていると青い髪のかわいいエイリアンが現れる。
男たちが探しているのはこの子だと思ったモリーはそのエイリアンを窓から逃がす。
自分はモリーだ、と言うと、エイリアンは「カブラ・イクシュリン」と言って去る。

20年後、大人になったモリー(テッサ・トンプソン)は、パソコンのヘルプデスクの仕事をしながら、
宇宙からやってくるエイリアンの情報を検知するプログラムを開発し、監視を行っていた。

ある日、エイリアンの到着を検知し、仕事を早退して現場に向かう。
そこには見た目何の異変もなかったが、飛び立ったハトがシールドの向こうに消えたことで「仕掛け」に気づき、
その中ではエイリアンがMIBに捕まっていた。

モリーは慌ててタクシーでMIBの後をつけ、MIB本部の入り口を突き止めると、黒服に着かえて中に入る。
入り口は難なく通過したと思われたが既にばれており、エレベーターは急降下し、モリーは拘束される。
エージェントがモリーにニューラライザを浴びせようとすると、モリーは顔を背け、知っていると言った。

エージェントO(エマ・トンプソン)が入室し、事情を聴き、モリーの熱意にほだされて入所を許可する。
モリーは訓練を受け、エージェントMとして、Oからロンドンへ行くよう指示を受ける。

そのころ、モロッコのマラケシュではHが潜入捜査をしていたが、相手のエイリアンにばれ、猛毒の蛇に噛まれる。
相手エイリアンの女ボスに取り入って解毒剤をもらい何とか命はとりとめ、ロンドンに戻る。

その後、マラケシュに双子のエイリアン(エイリアン・ツインズ)が現れ、小さいエイリアン・クイーンにバンガスを倒す許可をもらう。

ロンドンでは支部長のハイTから、ハイブを倒したときの話を聞かされる。
ハイブは相手のDNAに寄生しコントロールする能力を持っているらしい。

Hはある惑星のボスのエイリアン、バンガスの警備にMを同行させる。
バンガスは怒ると地球を破壊しかねない武器を持っているという。

バンガスが遊んでいるナイトクラブ。
バンガスはHに重要な話があると言うが、Hは茶化してまともに聞かない。
そこにあの双子が入ってきてバンガスを密かに攻撃、バンガスは気分が悪いと言い、Hが車に乗せる。

車が走り去って間もなく、爆発転覆しビルの壁に突き刺さる。
エイリアン・ツインズが現れ、HとMは車に偽装した武器で攻撃するが倒せない。

ロンドンのMIBから応援が来てエイリアン・ツインズは逃げる。
Mはバンガスに近寄ると、バンガスは地球を守るものだと言って小さく宝石のようなカプセルをMに渡し絶命する。

ロンドン支部に戻ったHとM、エージェントC(レイフ・スポール)は、ハイTに二人を処分するよう進言。
Mは咄嗟にバンガスの居場所を知っているのはMIBのメンバーだけ。内部に密通者がいる、と言い、ハイTは捜査するよう指示。
MとHはバンガスが殺された毒の売人を尋ねてマラケシュへ向かう。
この時すでにMが例の宝石を持っていることはHにばれる。

マラケシュでひげのエイリアンに会い、毒の売人を知ったHとMはエイリアン・ツインズが行った店に行く。
店主は既に殺されており、店の奥の小さいエイリアンたちも、歩兵(ポーン)が1基残っているだけだった。
女王の後追い自殺をするつもりだったポーンはMに忠誠を誓い、ポーニイと名付けられて同行することになった。

そのころ、ロンドンではMがバンガスから小型の武器を受け取ったことにCが気づき、ハイTに報告。
すぐ後を追うよう指示が出る。

ツインズも現れ、追われたHはひげのエイリアンからハイパーバイクを借りて逃げるが、逃げ切れない。
赤いボタンを押すとバイクはワープして砂漠のど真ん中に出て墜落、バイクも故障する。

件の宝石が光りだし、Mが何かを押すと武器の形に変形。
パワーを0.001%にして引き金を引くと、スーパーパワーがさく裂し、砂漠が吹っ飛んで崖が現れる。
パワーに驚いていると、水筒からひげのエイリアンが出てきて宝石になった武器を奪い逃げてしまう。

ハイパーバイクをを修理してMとHは、ひげのエイリアンが向かったと思われるリザの島に向かう。
ボートで島に近づき、Hが監視の中上陸。Mは後から潜入する手はず。

クレオパトラ風のコスチュームのリザ(レベッカ・ファーガソン)とHは元恋人。
Hが好きを見て警報を解除しMが侵入するが、リザと警備のルカにばれ格闘となる。

リザ側が優勢で絶体絶命になり、リザが「タランシアン」と言ったのを聞いたMは、ルカが20年前のあの「タランシアン」だと気づく。
「ナブラ・イクシュリン」の言葉にモリーだと気づいたルカは銃口をリザに向け、宝石型武器をMに渡す。

二人で島からの帰還を相談していると、エイリアン・ツインズが現れ、武器をよこせと言う。
「これでハイブを倒すんだ」と答えると、エイリアン・ツインズが「俺たちもだ」と言った瞬間、
ハイT以下、MIBメンバーが現れエイリアン・ツインズを攻撃し爆破焼失させる。

これで解決、宝石の武器はMIB支部に格納され、HとMも一安心。
ハイTがMにねぎらいの言葉を掛けたが、砂漠を含めずっと居場所を知っていたかのような口ぶりに、
GPSで所在を確認していたことがわかる。

エイリアン・ツインズの最後の言葉と併せハイTが怪しいとにらんだM、Hがハイブを倒したときの記憶もあいまいなことから
偽の記憶ではないかと疑い、記録を探すが既に消去されていた。
さらに、案の定宝石の武器は持ち去られていた。

ハイTがスパイだった。ハイブに精神をのっとられ、ハイブ化してしまっていた。

異世界を結ぶ亜空間パイプは例によってエッフェル塔と見たHとMがレクサスで急行し、ハイTとの対決となる。
次第に姿を現し、ハイブとなったハイT、亜空間パイプもつながり逃げる寸前。

跳ね飛ばされたMが亜空間パイプに吸い込まれ絶体絶命。
こごてポーニイが地力を発揮、Mを助けて亜空間パイプを逆走し地球に戻る。

Hとハイブの戦いはHが一瞬のスキをついて宝石武器を奪い返し、戻ってきたMが武器化して最大パワーで亜空間パイプごと吹き飛ばす。

これでほんとに一件落着。
OがHをハイTの後釜候補としてロンドン支部長見習いに指名、Mはニューヨーク本部に正式配属となった。
めでたし、めでたし。

出来が悪いわけではないが、MIB3が非常によくできていただけになんか普通。

怪しいのはハイTかエージェントCぐらいのものでどんでん返しも驚き度は薄い。

ただ、過去作のコンセプトや設定は守られていて、本部のTVにも例によって宇宙人の有名人が映る。
(アリアナ・グランデ以外は知らないけど)
パグのフランクも出る。

「MIB3」に出たエージェントO(エマ・トンプソン)は続投。
K(トミー・リー・ジョーンズ)とJ(ウィル・スミス)は写真でちらっと映るだけ。

クリス・ヘムズワースは「ゴーストバスターズ」よりはましだが、実力はあるもののチャラ目の天然キャラでよく似合う。
テッサ・トンプソンは「ソー」のバルキリーよりは、ずっと良かった。
バルキリーの時は163cmもあるとは思えないほど衣装が似合ってなかったが、「クリード」や本作は似合っていた。
「エンドゲーム」の時は気にならなかったが、そもそも出ていることも気にならなかったから。

リーアム・ニーソンの役柄は死んだので二度と出ません宣言と同じ。

もし次回作があるとすれば、コンビはどうなるのだろう。今作の二人は英米に分かれてしまったが、
クリス・ヘムズワースがアメリカに行ってもいいし、テッサ・トンプソンがイギリスに行ってもいいし、
そもそもこのコンビでなくてもいい。

 

 

           

 居眠り磐音   

松坂桃李、柄本拓、石丸謙二郎、芳根京子、柄本明、佐々木蔵之介、谷原章介、木村文乃、中村梅雀

江戸、佐々木道場。
門下生の中で豊後関前藩出身の坂崎磐音(松坂桃李)、小林琴兵(柄本拓)、河出慎之輔(杉野遥亮)は抜きんでていた。
中でも磐根の独特の構えは万全の受けで相手を交わし、琴平に尋常の勝負がしたいと思わせるほどであった。

3人が3年の江戸勤めを終えて故郷に帰る日がやってきた。
琴平の妹、舞(宮下かな子)は慎之輔の妻、もう一人の妹、奈緒(芳根京子)は、磐音の許嫁だった。

磐音は家に戻り、両親(石丸謙二郎、財前直見)に挨拶。
奈緒との祝言、勘定方としての城勤めを控えていた。

琴平も自宅に戻り、両親に挨拶、中気で床に臥せる父も琴平の帰宅を喜んだ。

一方、慎之輔は自宅に戻る直前に叔父に呼び止められる。
どうしても話があると居酒屋に連れ出される。その話とは妻の舞が浮気しているというのだ。
噂が界隈で広まっており、叔父は浮気の証拠だと言って、慎之輔が舞にやったかんざしを差し出した。
どうも捨てたらしいとのこと。代わりに男にべっ甲のかんざしをもらった、と言う。

酔って家に戻った慎之輔は旅姿のまま家に上がり、舞がべっ甲のかんざしをしているのを見ると、有無を言わず斬ってしまう。

河出家の中間が急いで小林家に向かい、金平に事情を説明、金平は急いで慎之輔の屋敷に向かう。
玄関には白無垢を掛けられた舞の亡骸が横たわっていた。
琴平が事情を尋ねると、慎之輔は舞の浮気だと告げる。事実を確かめるでもなく噂が出ること自体が恥だというのだ。
叔父が話に割って入ると、激昂した琴平は叔父を斬り捨てる。

慎之輔が証拠だと言ってかんざしを示すと、中間らは奥様(つまり舞)が無くして必死になって探していた、
旦那様(つまり慎之輔)が戻られるのに何もないわけにはいかないと急いでべっ甲のかんざしを買ってきたという。

慎之輔が叔父の口車に乗って妻を斬ってしまったと気づいた時にはすでに後の祭り。
亡骸を連れ帰ろうとする琴平にまで斬って掛かったものの交わされて、あっさりと斬り殺されてしまう。

城では重役方による緊急会議が行われた。
琴平を擁護し慎之輔の暴挙に反撃しただけで罪はないとする部下に対し、老中の宍戸文六(奥田瑛二)は、
慎之輔の行動を正当なものとして擁護、金平を2人を斬り殺した罪で上意討ちにせよと下命する。

そのころ、坂崎家では妹の伊代が事情を知っていた。
奈緒と舞が同席しているときに、舞の浮気の相手とされた男性が奈緒に一目ぼれ。
許嫁がいるにもかかわらず何かにつけて贈り物をする始末。
舞が妹(つまり、奈緒)に代わって断りの手紙を書いたところ、謝罪したいと言うので叔父の仲介で
贈り物をすべて返すため出かけたという。

磐音は事情を説明するため小林家に向かう。

小林家では上意討ちの役人が既に何人か斬られていた。
残りが躊躇する中、磐音が説得するとして屋敷内に入る。

磐音は狙われていたのは奈緒で舞は何も悪くないと語るが、既に自分を見失った琴平は磐音に尋常の勝負と言って
真剣で切りかかる。

磐音は傷を負いながらも交わしつつ応戦していたが、ついに琴平を斬り倒す。

それから半年。
江戸に舞い戻った磐音は長屋に住み、大家の金兵衛(中村梅雀)の紹介で近所の料理屋で下ごしらえを手伝っていた。
見様見真似ながら、丁寧な手さばきでうなぎをさばいていく。
大家の娘で両替屋の今津屋で働くおこん(木村文乃)も一目置く。

料理屋の給金があまりに安いので、家賃を心配した大家の金兵衛が今津屋の用心棒の話を持ってくる。
今津屋に行くと番頭がすでに用心棒は4人雇ったと言う。
金兵衛と磐音が帰ろうとすると二分銀をもって遊び人統五郎が入店。
小判に両替しろと言うが贋金が混じっているため番頭は断る。
すると遊び人はわめき始め、店の用心棒の登場に匕首で用心棒を刺し、自分たちの用心棒を連れ出してくる。
磐音は自分が相手すると言って、相手用心棒の一人を斬り遊び人らは去る。

今津屋の主人、吉右衛門(谷原章介)は、田沼意次(西村雅彦)の財政改革に賛同していた。
その改革は藩ごとの貨幣を廃し、全国通貨を作ることにあり、その一環として新二分銀8枚を一両と等価とした。

しかし市場価格は二分銀12枚程度が一両の相場であり、多くの両替屋が反発。
その急先鋒が阿波屋有楽斎(柄本明)で今津屋吉右衛門を目の敵にしていた。

そのころから二分銀を持って両替に来る見るからに金のなさそうな人物が大勢今津屋に到来するようになり、
今津屋はピンチに陥る。

磐音は、同僚の用心棒に統五郎の後をつけるよう依頼。阿波屋が糸を引いていると確信した。
阿波屋は二分銀をかき集め、二分銀相場が暴落すると同時に今津屋に押しかけて両替でつぶそうと考えていた。

何人かの阿波屋の用心棒が今津屋を狙い、磐音と対峙することになった。
二刀流の使い手に磐音は苦労するが、これを斬り捨て、役人も呼んだため残りの用心棒らは逃げる。

いよいよ二分銀の相場が下落し、阿波屋が仕掛けを発動しようとする頃、魚河岸のドンが千両箱を大量に持って、
阿波屋に向かい、二分銀との両替を要求する。
二分銀と一両小判の両替差額を狙い、今津屋に押しかけるためだという。

ついで、吉原の主人、庄右衛門(陣内孝則)や人気役者、邦右衛門(早乙女太一)らも大量に両替を要求。
阿波屋の金庫は空になり、贋金を混ぜざるを得なくなる。

そこへ役人が登場。贋金の密告があったとして両替された二分銀を検分し贋金を見つけて阿波屋の番頭を逮捕、
有楽斎には逃げられたものの阿波屋は取り潰しとなる。

阿波屋は磐音の前に現れ、用心棒に磐音を斬れと指示するが、用心棒は有楽斎を刺して、磐音と対峙。
最後には斬り殺される。

一方、豊後関前藩では、お家取り潰しとなった小林家は城下を外れたところで質素な生活をしていた。
国家老の宍戸文六は奈緒に妾になれば楽をさせると言い寄るが、奈緒は磐音がいるときっぱり断る。

江戸で一件落着した磐音は佐々木道場を訪ね、玲園(佐々木蔵之介)と再会する。
暫くして玲園は吉原より磐音宛に手紙が来たと言って渡す。

手紙の主はなんと奈緒。
身を売り、各地を転々として今は吉原にいるという。
太夫まで上り詰めた奈緒。
吉原の大通りを堂々と練り歩くその姿に磐音はただなす術なく泣き崩れるのだった。

暫くして、また仕事の口を持ってきた金兵衛。
おこんは身請け金の足しになると良いねと磐音を励ますのだった。

話としては面白いが、ラストはやや合点がいかない。
原作はシリーズものらしいから、次でもあればまた評価は変わるかもしれない。

途中までは国許の本当の黒幕は宍戸文六で、奈緒をものにするためにいろいろと策略を練ったが、
思わぬ方向に転がってしまったという感じだったので、磐音が宍戸に何らかの反撃を加えるのかと思った。
この辺りはピエール滝の降板が影響しているのかどうかはわからないが、後を継いだ奥田瑛二は違和感全くなかった。

あの構えで本当に剣が振れるのか、人が斬れるのかはよくわからないが疑問ではある。

体は許しても心は許しません。
私の心はあなた一筋です。
なあんて、信じられますかね。
もっとも結果的にそう仕向けたのは磐音自身だから、ある意味自業自得というか、因果応報。
磐音は人を不幸にしておいて自分の不幸を嘆く権利はない。

それがなければいい話だったが、結末はいただけない。
しかも貧乏長屋に住んで日々の食い扶持にも事欠く経済状況なのに、1200両だったかな、
そんな高額身請け金がたまるはずもない。

一両の価値は時期や比較換算対象によってもまちまちだが、ざっくり一両=10万円としても、
1200両は1億2千万円。

貧乏長屋の家賃相場は月2万ぐらいだったらしいからそのほかにも質素倹約して、いい稼ぎを見つけ、
月に100万貯金できたとしても120か月、10年かかる。
現実には無理な話。

 

 

           

 空母いぶき   

かわぐちかいじ原作。
西島秀俊、佐々木蔵之介、藤竜也、市原隼人、玉木宏、高島政宏、本田翼、小倉久寛、斉藤由貴、中井貴一
佐藤浩市、益岡徹、吉田栄作、

**

そう遠くない将来のアジア。

近隣諸国の中に東アジアの覇権を目論む「東亜連邦」なる国家が成立し、日本と対峙していた。
日本政府は国会の激論の中、日本初の空母「いぶき」を建造、就航させ、第5護衛隊群を形成していた。

ある時、日本の沖ノ鳥島の西方450キロ、波留間群島初島に国籍不明の漁船団が接近。
現場に急行した海上保安庁の巡視船が警告すると、突然発砲してきた。

攻撃を受けた旨の連絡は直ちに政府に届けられたが、巡視船の消息は不明。
敵は初島に上陸するとともに巡視船乗組員を拿捕したと考えられた。

時の総理大臣垂水慶一郎(佐藤浩市)は、対応を迫られる。
外交ルートを通じ侵略国の特定を急ぐとともに、小笠原諸島付近で訓練中の空母「いぶき」を含む
第5護衛隊群に海上警備活動を指令、現場に急行させることにした。

この時、空母いぶきにはマスコミを代表して東邦新聞の田中俊一(小倉久寛)と
ネットニュースP−PANELの本多裕子(本田翼)が同乗していた。

突然の訓練中止で取材活動が制限され、困惑する田中と本多。

現場に向かう「いぶき」に対し、突然敵潜水艦から対艦ミサイルが発射され「いぶき」甲板に命中。
艦載機の昇降エレベーターが破損故障してしまう。

さらには初島の偵察に向かったRF−4J偵察機が敵機によるミサイル攻撃を受けて撃墜され、乗員2名が死亡する。

東京では政府内の強硬派と慎重派が対立し、垂水総理は判断に苦慮するが、外交策によって事態の収拾を図ろうとする。
強硬派の急先鋒は沖防衛大臣(佐々木勝彦)、垂水総理に防衛出動の決断を迫る。
政府を支え、外交工作に奔走するのが、外務省アジア大洋州局長(吉田栄作)。
各国首脳と外務大臣の緊急会談を画策しつつ、招集された国連安保理での事態収拾に期待を寄せる。

現場海域では安保理各国の潜水艦が遠巻きに事態を見守っている。
日本と東亜連邦の動きを探るのが目的だ。

敵潜水艦が「いぶき」とのコリジョンコースを進行。
対潜攻撃を主張する秋津艦長(西島秀俊)と、攻撃をしないで回避を進言する副長の新波歳也(佐々木蔵之介)が対立。
群司令(軍司令)の涌井(藤竜也)は、回避も攻撃もしない作戦を指示。
結果、敵潜水艦は「いぶき」の真下を通過した。

直後、涌井がミサイル攻撃時の負傷がもとで倒れ、艦隊群の司令を「いぶき」艦長の秋津竜太に委譲する。
「いぶき」艦長は元空自パイロットの秋津一佐。一方副長は、秋津とは防大同期で海自出身の新波二佐。
二人の考え方は大きく異なる。

敵国はやはり藤和連邦。空母をはじめとする艦隊を「いぶき」の航路に向かわせていた。
東亜連邦は外交交渉を拒絶、垂水総理は「いぶき」に対し「防衛出動」を指令する。

暫くして敵空母から戦闘機5機が発艦し、接近すると対艦ミサイル8発を発射してきた。
護衛艦の応戦でミサイルは撃墜したものの、低空飛行で「いぶき」に接近した1機がミサイルを発射。
秋津艦長は、ミサイルとともに敵機撃墜を指令、敵機は撃墜される。

敵潜水艦が「いぶき」に対し、魚雷を発射。
護衛艦が応戦するも、魚雷一発を撃ち漏らし「いぶき」に向かう。
護衛艦「はつゆき」の瀬戸艦長(玉木宏)は自ら盾となって魚雷を受け炎上、多数の死傷者を出す。

潜水艦「はやしお」の滝艦長(高嶋政宏)は、敵潜水艦への魚雷攻撃を回避し、艦橋への体当たりを行い、
敵潜水艦の第2波攻撃を阻止し、敵艦を無力化するが自身も損傷を受け、現場海域を離脱する。

P−PANELの本多は炎上し救助される「はつゆき」の動画を撮影して本社に衛星回線を通じて送信。
衛星電話は取り上げられてしまったものの、本社では本多の上司晒谷桂子(斉藤由貴)らはその映像に驚く。

P−PANELが流した映像により、日本国内は騒然となり、垂水首相は直ちに記者会見を開き、
日本領土が武力により占領され攻撃を受けていることを発表、自衛のための戦闘行動に入ったと説明した。
記者からは戦争かとの問いもあったが垂水首相はあくまで自衛のための戦闘だと言い張る。

敵空母からは24機の戦闘機が発艦。
昇降エレベーターの修復なった「いぶき」はアルバトロス隊5機を発艦させる。
激しいドッグファイトの末、アルバトロス隊は敵4機を撃墜するが、1機を失う。
パイロットの柿沼は救助されたものの、同じく救助された敵パイロットと「いぶき」艦上でもみ合い、射殺される。
激高し敵パイロットを射殺しようとする乗組員は秋津艦長に制止される。

その動画も密かに本多に戻されていた衛星携帯により本社に送信され、世界に配信される。

直後、潜水艦5隻がいぶきの進路に集結し、魚雷10発を発射。
回避行動も難しく、当惑する秋津。

しかし、魚雷は5発ずつに分かれて、5発が「いぶき」目前で自爆。
残りの5発は東亜連邦の空母に向かい、やはり直前で自爆した。

潜水艦は浮上し、各国の旗と国連旗を掲げ、国連軍であることを誇示した。
これにより事態は収束に向かい、東亜連邦は具阿保艦隊を撤収、初島からも撤退した。

「いぶき」は防衛出動ではなく、海保巡視船乗組員の救助に初島に向かうこととなった。

原作では敵国は中国で、突発的に敵対行動に出たのではなく、まず魚釣島に上陸。
合わせて付近の自衛隊の陸上基地を爆撃している。

一旦は事態が収拾されたが、中国による尖閣諸島の占領は解消されず、1年後に本格的な侵攻となる。
中国軍が先島諸島に上陸し、島民を拉致、自衛隊駐屯地も占領。
自衛隊は第5護衛隊群を向かわせるとともに、特殊工作隊を上陸させ奪還を目指す。

しかし、圧倒的物量で攻撃する中国軍に対し、防衛を主眼とした攻撃の自衛隊。
果たしてその結末は・・・

時間的にも物量的にも攻撃のすさまじさにおいてもはるかに原作が上回るし、
中国が相手と言うことで戦力も実在の名称が使われ、現実味も上。

F35が使われているが、F35Bは運用されていないのか。
原作がそうなのでしょうがないが、あのスキージャンプ型空母はいただけない。
実際にスキージャンプ型甲板の空母を運用している国は少なくないが、いかにもって感じ。

アメリカはカタパルト技術を外国に出さないと言われているが、F35Bならカタパルト不要だ。
どうせ近未来の話なので、アメリカが技術供与したことにしてもいいし、
日本が独自に「電磁カタパルト」を開発装備したことにしても良かった。

西島秀俊と佐々木蔵之介、あるいは空自と海自の対立に着眼点が置かれているが、
人命人命ばかり言う佐々木蔵之介と、何かとにやついている西島秀俊。
どちらにも感情移入できないし、西島秀俊はにやっと笑って人を撃つサイコパスに見えなくもない。

自衛隊にしろ、敵国軍隊にしろ、戦闘員であり、艦戦にしろ、航空機にしろ、攻撃を受ければ人的損害が出ることはある意味承知。
防衛出動中に現に攻撃を受け、さらなる攻撃を受けようとしている段階で、反撃して敵に人的損害が出るのは困ると考えるものなのか。

作戦を発令する政府部内で攻撃の是非や相手国の人的損害をどう考えるかの議論が出るのは当然としても、
現場の戦闘員が「相手が死んだらかわいそう」的な発想で攻撃を躊躇するものなのだろうか。

ラストも不満。
いくら安保理各国が両国の動向を監視していたとはいえ、国連軍があんなに短時間のうちに組織され協調して戦争回避行動に出るものか。
仮に国連が協力に戦争回避に出たとしてもその時点での凍結が良いところで、原状復帰は難しいのではないか。
領有権を主張する島をせっかく占有したのに、国連に睨まれたからと言ってそうやすやすと手放すとは思えない。

東亜連邦に後ろ盾の国家はないのか。
あるとすれば、国連安保理は揉めるだろうし、ないとすれば本当に暴走国家であり、手が付けられないわけで、
それこそ叱られたから止めますってならないと思うが、いかがか。

ただ、敵国もどこまで本気だったかはわからない。
「亡国のイージス」であったような一発でイージス艦を撃沈させるミサイルは使ってないし、
「いぶき」に対する先制攻撃も艦橋や船腹を狙ったものではない。

中国潜水艦が国連軍の一角をなしているところに中国は仮想敵国ではありませんよ、の意志を感じる。

「はつゆきが燃えています」はいいとして、本田翼の取材中に自衛官が同行してないのも解せないが、そういうものなのか。

国内のパニック状態を表現する意図だとは理解するが、中井貴一は無駄遣い。

 

 

                  

 コンフィデンスマン JP   

長澤まさみ、小日向文世、東出昌大、三浦春馬、竹内結子、織田梨沙、江口洋介、小手伸也。

TV版第1話で詐欺に遭って20億円をだまし取られた赤星栄介(江口洋介)は、詐欺犯3人、つまり、
ダー子(長澤まさみ)、ボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)を探し出し始末するよう部下に指示。

そのころ、ダー子は、気に入った魚(ターゲット)が見つからず暇だった。
秘書のちょび髭(瀧川英次)は小魚(細かい詐欺)をやるよう進言するがダー子は乗り気ではなかった。

そんなある日、オープンカフェでくつろいでいると、小さい犬を連れた女性がやってきた。
そのかわいい犬は彼氏からもらったと言う。
彼女が席を離れると、男性が現れ、珍しい犬種なので100万で買いたいと言って去ると、
女性が戻り彼は別れたので犬を10万で譲りたいという。
典型的な詐欺にダー子は笑いが止まらなかった。
その後、ダー子はその女性、モナ子(織田梨沙)を弟子にする。

ダー子は新たなターゲットとして伝説のパープルダイヤを持っていると言われる香港の女帝、
氷姫と呼ばれ素顔不明のラン・リウに狙いを定め、ボクちゃんとリチャードを招集する。
ダー子はみんなの反対を押し切り、モナ子を作戦に加える。

目指すは香港。
現地で五十嵐(小手伸也)と合流し、安アパートに住んで昨年を練る。
問題は正体が全く分からないラン・リウ。

ボクちゃんとモナ子の調べにより、福岡生まれの日系人で、数年前に結婚しその後離婚したことが分かった。
次いで離婚後自堕落な生活をしている元夫に日本のジャーナリストを装ってコンタクトし、情報を得る。
最近首にした占い師が死体で発見されたこと。競馬が好きで自分の馬のデビュー戦は必ず見に行くことなどがわかる。

ここからラン・リウが占い師を重用していることも分かり、ダー子とモナ子が霊感姉妹を演じることにした。

案の定、ラン・リウ(竹内結子)と思われる女性が競馬場のVIP席に登場するが、持ち馬は勝利を得られなかった。

そこへ「当たった」と馬券を手に喜びまくる五十嵐が登場。
五十嵐に白い装束のダー子とモナ子がひそひそと話をする。

次のレース、同じように五十嵐がまた当たったと叫ぶ。
ラン・リウはダー子とモナ子を横目に競馬場を去る。

暫くして、ラン・リウはダー子とモナ子を豪邸に呼ぶ。
そして、自分のことを占うよう言うが、あらかじめ調べている内容をしゃべる。
そこになんとダー子の元カレであるジェシー(三浦春馬)が現れ、自分のことを言い当ててみろと言う。

自分たちを試すのかと、一旦は帰ろうとするダー子とモナ子。
焦るモナ子を無視してダー子がジェシーの素性を言い当てる。

これで二人をすっかり信用したラン・リウ。

ダー子はラン・リウを引っ掻けるネタを占いにかこつけてちらつかせるが、一向に乗ってこない。
かくなる上は色仕掛けとボクちゃんを餌に「赤いものが吉」と占って赤ネクタイで登場させる。
しかし、そのあと現れたジェシーはなんと全身赤づくめ。

その後、ジェシーはダー子にもう一度組まないかと持ち掛ける。
実はジェシーもラン・リウをあと一歩で落とせないでいた。

ダー子はラン・リウには思いを寄せる男性がいると睨み、その面で調べていく。
そして、その男性こそ離婚した元夫であり、かつてラン・リウが12歳の時に恋い焦がれ、結婚したものの
経営能力のなさから親に仲を引き裂かれて無理やり離婚させられたのだと判明。

元夫は今は自堕落な生活を送っているので、ダー子らは互いを偽装してよりを戻したいとの手紙を渡す。
そしてすべてを捨ててカナダへ一緒に行こうと航空券も用意する。

ラン・リウはそれに乗って一旦は空港へ向かうが、飛行機には乗らなかった。
実は元夫がラン・リウとの復縁を望まず若い女性とイチャイチャしていたところを見てしまっていた。

失意のラン・リウの前に現れたのはジェシー。
ラン・リウはジェシーに駆け寄るが、その前に現れたダー子がジェシーは渡さないと叫んで銃を撃つ。

銃弾に倒れたのはラン・リウではなくジェシーだった。
倒れ、激しく出血するジェシー。
ラン・リウは救急車を呼び、ジェシーを病院に付き添い看病するうちに寝てしまう。

そして目が覚めた時、ジェシーとともに身に着けていたパープルダイヤがなくなっていた。
調べてみると病院はもぬけの殻。
ジェシーが撃たれたのもダー子と組んでの偽装だった。

ジェシーはパープルダイヤを手にダー子を連れてヘリポートにいた。
ダー子の裏切りに気づいたリチャード、ボクちゃん、モナ子はヘリポートに向かう。

必死の説得もむなしく、ダー子はジェシーとヘリに向かう。
しかし、ヘリのハッチを開けると現れたのはなんと赤星栄介。
ジェシーは赤星にパープルダイヤを渡す。

すべては赤星の依頼でジェシーがダー子をだましたのだ。
実はモナ子はジェシーの部下であり、ダー子に取り入ってすべての情報を流していた。
一旦は復縁に傾きかけた元夫に30億円をつかませ、復縁をあきらめさせたというのだ。

赤星は数百億円のパープルダイヤが30億円で手に入った、と言い、ダー子を撃ち殺そうとする。

そこにラン・リウが香港警察を伴って登場。
隙を見てダー子が銃を構え、ダー子、ラン・リウ、赤星は三竦み状態に。

そんな中、ジェシーはダー子の始末はラン・リウに任せて逃げようと進言、赤星はジェシーに促されてヘリに乗り、まんまと逃走する。

取り残されたモナ子。
なぜ一緒に逃げなかったと言われるも泣くばかりだった。

香港警察はダー子らを捕まえず、ラン・リウも笑うだけ。
実はラン・リウはダー子側の人間だった。

意気揚々と帰国した赤星は早速パープルダイヤの鑑定を依頼するが、鑑定士(石黒賢)はよくできた偽物と言い放つ。
驚いた赤星はジェシーとともに再び香港へ。
ラン・リウの邸宅はもぬけの殻で、そこにいた不動産屋に氷姫の屋敷はあっち、と別の豪邸を示される。
ジェシーが情報収集していた町の住民もいなくなっており、赤星は以前の20億に加え今回の30億もだまし取られたのだった。

ダー子から赤星への手紙には状況の説明と偽パープルダイヤには(C)ダー子と刻印されているとのこと。
ダー子の依頼により香港の偽宝石製作者(小栗旬)が彫り込んだものだった。

話は数か月前。
ダー子が使っていた部下の鈴木(前田敦子)がジェシーに結婚詐欺で3千万円だまし取られ、ダー子は復讐することにした。
赤星がダー子に復讐しようとしているのを知り、赤星にジェシーの情報を流すと、赤星はまんまとジェシーを雇い、
モナ子がジェシーの仲間だと承知で弟子にして、わざとこちら側の状況をリークさせた。
もちろん、ラン・リウも偽物。元夫はリチャードの変装だった。

結局赤星とジェシー、そしてモナ子がまんまと引っかかったということだった。
打ち上げパーティにはラン・リウに化けたダー子の先輩、スター(竹内結子)も登場し、五十嵐らは仕掛けに金がかかったので
大して儲からなかったとはいうものの、スターはお金なんかいいのよ、と返す。

香港の町。
本編中にも出てきた碧眼の掃除婦。
高級車が近づき、会議の時間ですと告げる。
彼女こそ本物のラン・リウ。

眼帯を外すと義眼として埋め込まれたパープルダイヤが光っていた。

エンドロールの後にもう1シーン。
キャストに生瀬勝久がクレジットされていたので、どこに出ていたのか分からなかったが、実はこの後に。

東南アジアのどこかのプロデューサー(生瀬勝久)に、ボクちゃんとリチャードが女性歌手グループをプレゼン。
センターにダー子、右にモナ子、左に鈴木らの5人組。

最初はたどたどしい日本語で受け答えしていたプロデューサーが突然「センター、ばばあだな。」と言い放ち、
「センター変えるか? あー?」と言ったところで映画は終わる。

人気TVシリーズの劇場版。
実はTV版は一度も見たことがありません。

まずまず面白い。
ラストに種明かしで実はこうだった、とやるのは、ある意味定石どおりだが、今作は単純な種明かしではなかった。

TV版を見ていた人にはよくわかったようだが、過去作の関係者総出演。
但し、見ていなくても絡みの程度は薄いので相関関係がわかっていないと困る、と言うほどではない。
また物語の展開、終盤のどんでん返しに次ぐどんでん返しはTV版そのままだったらしい。

警察との対峙、銃撃戦での引っ張りでは、銃を突きつけあっての「三つ巴の睨みあい」は現実味がないがエンタメとしては十分。
銃弾がヘリの機体をへこませるだけのへなちょこ弾なのはいただけないが、機体貫通で故障、炎上墜落となれば話が変わるので、
やむなしと言うところか。

ただ、終盤血相変えて香港に行くのに、部下を一人も連れて行かないのは不自然。

関係者が増えれば増えるほど、情報漏れや齟齬が起こるので、ラン・リウやその部下まではいいとして、警察まではギリいいとして、
短期間に町一帯を巻き込むのはやや無理がある。
それこそ本物のラン・リウなど現地のフィクサーレベルの人物を巻き込まないと難しいレベルだろう。

 

 

          

  長いお別れ    

山崎努、松原智恵子、竹内結子、蒼井優、北村有起哉。

冒頭は遊園地のシーン。
小学生ぐらいの女児が未就学児ぐらいの妹とメリーゴーラウンドに乗りたがっているが、
係員に小さい子は大人(中学生以上)が同伴でないとダメ、と断られる。
少女は「中学生です」と嘘をつくが聞いてもらえない。
そこに傘を3本持った老人(山崎努)がふらふらと歩いてくる。
少女は老人に近づいて声をかける。

場面は変わって2007年。
父、東昇平(山崎努)の70歳の誕生日を前に、母、曜子(松原智恵子)は、大事な話があると言って、
アメリカ在住の長女、今村麻里(竹内結子)と次女、芙美(蒼井優)に実家に来るよう電話する。

そのころ、長女麻里はカリフォルニアの海洋生物研究所に勤める夫、新(北村有起哉)についてアメリカに来たものの、
夫や息子、崇(蒲田優惟人)といろいろ行き違いがあったり、いつまでも慣れない英語に苦労したりで疲れていた。

次女芙美は同棲していた作家志望の彼が執筆をあきらめ、同棲を解消して北海道に帰る最後の朝を迎えていた。
芙美はスーパーの総菜売り場で新作を考案、仲間内では評判も良いものの、いつかはカフェを持ちたい夢は遠かった。

実家では父の70歳の誕生日祝い。
芙美が持参したポテトサラダから黙々とレーズンを取L除く父。
芙美に本を貸してやると言いだし、突然怒鳴って席を立つ父。

母は半年ほど前から症状が出た、脳が委縮してしまう(つまり、アルツハイマー型認知症)らしい、と告げる。
父が戻ってこないので芙美が心配して見に行くと、父は思い出したように国語辞典を渡す。

2年後。

崇は華奢な体つきを責められ、学校でガールフレンドに振られそうになっていた。
もう一度会いたいというその日は、日本に行く日になっていた。
父(崇にとっては祖父)は認知症が進行し、いま会わないと崇のことを覚えていないかもしれないというのだ。

昇平(祖父)は元国語教師で漢字は得意。
デイサービスでも難読漢字をすべて読める。
家でも崇が感心して「漢字マスター」と呼んでいた。
麻里(母)と曜子(祖母)が買い物に行く間、崇が昇平の様子を見ることになっていたが、うたた寝したすきにいなくなった。
二人に怒られた崇は三輪ママチャリで昇平を探しに出た。

芙美はスーパーを止め、フードワゴン「青空食堂」をやっていた。
ビジネスはうまくいかず、バイトの子を2週間で止めさせざるを得なかった。
そこへ昇平がいなくなったとの電話が入り、慌てて探しに行くと、崇と昇平、そして昇平を見つけてくれたと言う
バツイチで中学の同級生の道彦(中村倫也)と再会する。

昇平は芙美のフードワゴンに感心して食べると言い、気づいて並んだ人々の列の整理をするなどした。

さらに2年後。

認知症はさらに進行。
帰る帰ると言う昇平。
一体どこに帰りたがっているのか。
芙美はアメリカから帰宅するときに「家に帰る」と言い、新に「君の家はここだ」と言われたことを思い出し、
昇平の帰りたい場所は結婚前に住んでいた実家ではないか、と考えた。

実家に連れて行くと多少気持ちは落ち着いたようだが、どうも違うようだった。

道彦と再会後同棲していた芙美。
道彦は娘から会いたいと連絡があったと言っていそいそと家を出て行った。
芙美が様子を見に行くと元妻と親子水入らずで公園で楽しげに過ごす3人。
そこへ道彦の母と思われる人物が現れ、芙美は自分の居場所はないと感じた。

その後、また昇平はいなくなった。

昇平にGPSケータイを持たせていたので所在はわかったが、その場所は(後楽園)遊園地だった。
ここで冒頭のシーンに戻る。
少女は昇平に近づき、可哀そうな子供を助けてほしいと頼む。

遊園地に向かう曜子が思い出した、そういえば母と娘2人で一度だけ来たことがある。
雨が降り、昇平が傘をもって迎えに来てくれたのだった。
メリーゴーラウンドに少女と一緒に乗る昇平。
入り口付近には3本の傘がかけられていた。

曜子、麻里、芙美は傘をさして昇平に手を振った。昇平も笑顔で答えた。

さらに2年後。

曜子が突然視野が欠けたと言い、検査の結果、網膜剥離で手術入院が必要となった。
入院しないと言い張る曜子を芙美が説得し、昇平の介護をすることになったが、
食事、排泄、その大変さは想像を絶した。

そして結局昇平も入院することとなった。
ショートステイ先で熱が下がらず、診察の結果、大腿骨にひびが入っていた。
曜子は昇平が同じ病院に入院したことで少し気が楽ではあったが、やはり夫の症状は気になった。

そのころ、崇は不登校となり学校でも問題とされていた。
過程に問題があるのではないか、と言われ麻里のいら立ちはさらに増した。
昇平が入院してTV電話で家族と会話する麻里は昇平と向き合ったまま寝てしまう。
帰ってきた崇がPCの向こうに昇平を見つけ、手を挙げると昇平も手を挙げて返した。

暫くすると麻里も病院に呼ばれた。
認知症のため嚥下力が衰え、誤嚥性肺炎になったそうだ。
この先、人工呼吸器をつけるかどうか、医師から相談を受ける。
つまりそれはもう治らないと言う宣言だった。

母の思い通りで良いという娘2人。
もう考えはとっくに決まっていると言う母。

芙美はここで誕生日パーティをしようと言い、持ってきたケーキを前に三角帽をかぶり祝うのだった。

さらに1年後。
崇は校長室に呼ばれ、自分のことを言うよう言われる。
崇は漢字マスターだった祖父が7年越しの認知症の末、つい最近死んだ、と答えた。
校長は自分の父も認知症だったと言い、認知症は「ロング・グッドバイ」(長いお別れ)とも言うんだと教えた。

崇は校長に対し、かつて昇平としたように手を挙げて部屋を出た。

後片付けに追われる東家に宅配便でジャガイモが届いた。
かつて芙美と同棲し、北海道でジャガイモを作ると言っていた男からのものだった。
人はそれぞれの道を歩いている。芙美もまた新しく歩みを始めようと思うのだった。

切ない。

泣かせようとか、笑わせようとかのごり押しはないが、自然と泣けたり笑えたりする。

原作小説では娘は3人らしい。映画化にあたっては、次女を省いて簡略化しているようだ。
それぞれの家庭のそれぞれの事情を一定の時間内に収めるにはある程度の端折りは当然と言えば当然で、異論はない。

しかし、昇平の物語は完結したが、崇の物語は未完のままだ。
長女麻里のもやもやは解消されないまま、次女芙美も今後の方向性は見えないが、
父の異変を機に再構築された家族の絆、再始動は感じられた。

ある意味切実。
うちは両親、義両親とも認知症にはならず生涯を全うしたが、晩年はいろいろな障害はあった。
ヘルパーや病院のお世話にはなったが、経済的に許せばプロに任せた方が本人も楽だと思う。
在宅介護については「ピア まちをつなぐもの」で取り上げられていたが、あそこまで手厚い介護をするには
相当の経済的負担があると思われる。

本人や家族の希望はわかるが、介護に携わる人材だけでなく公的負担も大きすぎるかもしれない。

認知症という用語も嫌い。
症状の実態は各種の認知障害であって認知症という言い回しはおかしい。

もう一つ、誤嚥性肺炎は怖い。

冒頭の姉妹は面白い。
一瞬、麻里と芙美の回想シーンかと思ったが、昇平が現れてそうではないことが分かった。
昇平を説得する言葉もしっかりしていて、昇平との対比が良かった。

映画の本題とは関係は薄いが気になる点をいくつか。

アメリカの今村家。
日本式なのか室内で靴を脱いでいたが、家の間取りと言い、アメリカとは思えなかった。
学校もアメリカン・スクールかもしれないが多分日本だよね。
アメリカは居住区のゾーニングがはっきりしている。
外観、立地、敷地、それなりの立場であると思われる今村新の住む家ではない。

最初の半年1年はある程度仕方ないとして、麻里は5年も6年も住んでいていまだに英語が全くできないのはなぜ。
日本人コミュニティの中で生活しアメリカ人と接触がないのならわかるが、当初からアメリカ人夫妻を食事に呼んでいるのに。
さらにその時に自分だけキッチンに立ち、3人で食事させるとか、ありえないだろう。

終盤、麻里がTV電話していて寝てしまうのは仕方ないとして、曜子と芙美はなぜそこまで放っておいたのか。
崇の心情と昇平との関係性を説明しようとするシーンだとは思うが、やや違和感があった。

 

 

         

 アベンジャーズ エンドゲーム    

クリス・エバンス、クリス・ヘムズワース、ロバート・ダウニーJr、スカーレット・ヨハンソン、
ジェレミー・レナー、ジョシュ・ブローリン、ゾーイ・サルダナ、カレン・ギレン、ポール・ラッド、
マーク・ラファロ、ドン・チードル、ブリー・ラーソン、トム・ホランド、ティルダ・スウィントン、
ベネディクト・カンバーバッチ、エバンジェリン・リリー、チャドウィック・ボーズマン、
エリザベス・オルセン、テッサ・トンプソン、セバスチャン・スタン、アンソニー・マッキー、
トム・ヒドルストン、デーブ・バティースタ、ポム・クレメンティエフ、ジョン・ファブロー、
ナタリー・ポートマン、アンジェラ・バセット、マイケル・ダグラス、ミシェル・ファイファー、
マリサ・トメイ、ヘイレイ・アトウェル、サミュエル・L・ジャクソン、真田広之。

続編にして最終話。

* 

前作「インフィニティ・ウォー」のおさらい。
サノス(ジョシュ・ブローリン)は宇宙の秩序を守るためと称して6つのインフィニティ・ストーンを集めていた。
パワーストーンを使ってアスガルドを壊滅させロキ(トム・ヒドルストン)から2つ目のスペースストーンを奪う。

サノスはコレクター(ベネチオ・デル・トロ)からリアリティストーンを奪う。
そして惑星ヴォーミァでガモラ(ゾーイ・サルダナ)を犠牲にしてソウルストーンを手に入れる。

一方でアイアンマンがサノスに刺されて、ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は、
その命と引き換えにタイムストーンを渡してしまう。

ジャービスから取り出したマインドストーンはサノスに渡る前に破壊されるが、サノスがタイムストーンで復元して奪う。
こうして6つのインフィニティ・ストーンがサノスのものとなり、それらがはめ込まれたインフィニティ・ガントレットをはめた
サノスが指を鳴らすと、サノスはどこかへ飛んで消え、宇宙の全生命の半数がチリとなって消滅してしまう。

前作「インフィニティ・ウォー」のラストで、サノスの指パッチンで全生命の半数が宇宙から消滅。
前作では触れられなかったクリント・バートン/ホークアイ(ジェレミー・レナー)の家族も消滅。

生き残ったナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)、
スチープ・ロジャース/キャプテン・アメリカ(クリス・エバンス)、ソー(クリス・ヘムズワース)、
ジェームズ・ローズ/ウォー・マシン(ドン・チードル)らは、アベンジャーズ本部にいた。

そのころ、はるかかなたの宇宙では宇宙船で漂うトニー・スターク/アイアンマン(ロバート・ダウニーJr)が、
ペッパー・ボッツに別れの言葉を録画していた。

宇宙船にはネビュラ(カレン・ギレン)も乗っていて、瀕死のトニー・スタークを操縦席に座らせて死を待つばかりだった。
外からまばゆいばかりの光が操縦席に差し込んでくる。
それはキャロル・ダンバース/キャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン)だった。
キャプテン・マーベルは宇宙船を支え、地球まで運んで行った。

トニー・スタークはスティーブ・ロジャースらと再会するが、仲違いは直らず、怒りに任せてリアクターを外して失神する。
病院でペッパー・ボッツ(グウィネス・パルトロウ)と再会、アベンジャーズの本部に戻るが喧嘩腰のまま。

アベンジャーズの本部ではサノスを探し出し、インフィニティ・ガントレットを奪い、指パッチンで消滅した生命を復活させよう、
と考えていたがサノスの行方が分からない。
ネビュラはサノスが仕事が終われば畑でも耕していると言っていたという。

ロケット(声:ブラッドリー・クーパー)は、サノスの指パッチンと同じエネルギー波が、2日ほど前に観測されたと言い、
みんなでその星に向かうことにした。

果たしてサノスはその星にいたが、インフィニティ・ストーンはサノスの2度目の指パッチンで役目を終え消滅していた。
ソーは怒りに任せてストームブレイカーでサノスの首を切り落とした。

それから5年。
スティーブ・ロジャースは、失意の中にあり、生き残った人々にってどうすることもできなかった。

一方、ピム博士(マイケル・ダグラス)の量子トンネルが装備されたバン。
入り込んだネズミが偶然機械を作動させ、量子世界に取り残されていたスコット・ラング/アントマン(ポール・ラッド)は
現実の世界に戻ってきた。

アベンジャーズの本部に入ったスコット・ラングは自分の置かれた状況から、量子世界を経由すれば過去に行けるのではないかと語る。
みんなはSF映画じゃあるまいし、過去は変えられないと言う。
トニー・スタークはタイムトラベルは可能だと言い、過去を変えずにこれからを変えればよいと考えた。

ハルク化したブルース・バナー/ハルク(マーク・ラファロ)を説得して仲間に入れ、
日本でやくざ殺しを生業にしていたクリント・バートンや、
海辺の町にニューアスガルドを作って自堕落に暮らしでぶでぶとなった、ソーも仲間に入れた。

トニー・スタークはキャプテン・アメリカのシールドを作って渡し、キャプテン・アメリカと和解する。

その後、量子トンネルを完成させ、ピム博士のピム粒子を利用して量子世界経由で過去に行くテストが行われた。
いろいろあったがテストは成功し、ピム粒子の数が少ないことから、6つのインフィニティ・ストーンがそれぞれ奪われる直前に行き、
それを持って帰る作戦を立てた。

みんなでなるべく過去と行き来する回数が少なくなるように場所と時間を決めた。

ブルースはドクター・ストレンジに会うためニューヨークにタイムトラベルするが、ドクター・ストレンジはおらず、
アンシエント・ワン(ティルダ・スウィントン)がタイムストーンは渡さないという。

未来はそれでいいが、タイムストーンを無くした「今」は違う未来になってしまう、という。
未来ではドクター・ストレンジが(アイアンマンを助けるためとはいえ)自らタイムストーンを手放すと説明すると、
アンシエント・ワンはブルース・バナーにタイムストーンを託す。

マインドストーンはスティーブ・ロジャースが2012年当時の自分=キャプテン・アメリカと対峙し奪う。
スペースストーンは一旦入手したものの当時のハルクと激突して落としロキに持ち去られる。

ピム粒子の残りが少ないことから絶望的だったが、スコット・ラングはマインドストーンをもって帰り、
トニー・スタークとスティーブ・ロジャースは1970年に向かい、米軍基地からピム粒子とスペースストーンを盗みだす。

この時トニーは、父ハワード・スタークと遭遇するが、ハワード・ボッツと名乗って言い逃れる。
この時のハワード・スタークの秘書がジャービスという名前。

スティーブ・ロジャースは当時の恋人ペギー・カーター(ヘイレイ・アトウェル)の元気な姿を見る。

2013年のアスガルドに飛んだソーは母フリッガ(レネ・ルッソ)に見つかり、未来から来たことがばれるが、
ロケットとともにリアリティストーンを手に入れる。

2014年の惑星モラガ。
ピーター・クイル/スター・ロード(クリス・プラット)はあっさり倒されパワーストーンを奪われる。
しかし、ネビュラが当時のネビュラと意識同期させられてサノスに作戦がばれてしまう。

当時のネビュラはネビュラに化けて現在に戻りアベンジャーズの作戦を阻止することになった。

一方、ソウルストーンを探しに行ったナターシャ・ロマノフとクリント・バートンは命を懸けることになり、
結局ナターシャが命を落としてソウルストーンを手に入れることになった。

こうして6つのインフィニティ・ストーンはアベンジャーズの手に入り、トニー・スタークが作ったガントレットで
ブルース・バナーが指パッチンして消滅した生命や家族が元に戻った。

しかし、ネビュラが先導してアベンジャーズの本部を攻撃。
サノスが過去からやってきてインフィニティ・ストーンの揃ったガントレットを奪おうとする。

サノスの力は強大で、ソーやキャプテン・アメリカ、アイアンマンらの力では倒せない。
そこへ、ドクター・ストレンジやワン(ベネディクト・ワン)、アイアンマンスーツのペッパー・ボッツ、
ティチャラ/ブラック・パンサー(チャドウィック・ボーズマン)、ワンダ/スカーレット・ウィッチ(エリザベス・オルセン)、
ピーター・パーカー/スパイダーマン(トム・ホランド)、ピーター・クイル⋰スター・ロード、ドラックス(デーブ・バティースタ)、
などなど総勢が現れて大肉弾戦となる。

インフィニティ・ストーンは過去のストーンを持ってきた時期に正確に戻す必要があり、量子トンネルのある場所まで運ぼうと頑張る。
しかし、量子トンネル装置が破壊されてしまい、ガントレットもサノスに奪われる。

サノスが再び指パッチンするが何も起こらない。
インフィニティ・ストーンは外されていてアイアンマン・ガントレットにはめられていた。

トニー・スタークがそれを手にはめて指パッチンするとサノスの軍団は一気に灰塵と化して消滅。
あっけにとられるサノス自身も灰燼と化す。

トニー・スタークはインフィニティ・ストーンのパワーで体を痛めつけられ、ペッパー・ボッツに看取られながら絶命する。

インフィニティ・ストーンは新たに作られた量子トンネルでスティーブ・ロジャースが元に戻すことになった。
作業を終えると、こちらの世界の5秒後に戻ってくるはずだったが、いくら作動させても戻らない。

すると少し離れた椅子に座りたたずむ老人がいた。
彼こそが、インフィニティ・ストーンを元に戻してそのままの時間を過ごし老人となったスティーブ・ロジャースだった。
スティーブ・ロジャースは過去の世界でペギー・カーターと幸せな生活を過ごしたのだった。
スティーブ・ロジャースはサム・ウィルソン/ファルコン(アンソニー・マッキー)にシールドを託し後を頼むと言う。

トニー・スタークの葬儀には、戦いに参加しなかった過去作の登場人物も大勢出席していた。
リアクターをつけた花輪が流され、アイアンマンを偲ぶ。

こうして、アベンジャーズの物語は終わりを迎えた。

**

ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ、トニー・スターク/アイアンマンが死亡。
スティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカは引退。

タイムトラベルにまつわるパラドックスについては、本編でも少し触れられていたが、過去は変えないことと、
未来に持っていたインフィニティ・ストーンを元に戻すことでパラドックスは生じないとされていた。

しかし、過去のネビュラは死に現在のネビュラは生きている、過去のガモラは生きているし(時系列的には死ぬのはこの後だが)、
過去のサノスは消滅するので、親殺しのパラドックスに近い状態が発生することに変わりはない。

どうやって半数の生命を戻すのかは気になっていたが、タイムトラベルはやや安直。
ただし、なかったことにするのではなく、起こったことはしょうがないとして、そこから元に戻すのは想定外だった。

ただ、前作ではインフィニティ・ガントレットで全宇宙の半数の生命が消滅した。
今回そのインフィニティ・ガントレットを使って復活させる展開なのだが、どういう(設定上の)原理でそれが可能なのかはよくわからない。
そもそもインフィニティ・ガントレット(インフィニティ・ストーン)の機能が良くわかっていなかった。
タイムトラベルにまつわるパラドックスについて少し触れられていたが、回避法の説明はよく理解できなかった。

序盤が長い。
辛気臭いしダラダラしすぎている。

日本のシーンは大して意味がなく、なくてもいいレベル。
どこかの国のように「自分の国で何か起こる設定」「自国の俳優が出る」だけで映画を見に行くとは思えない。

後半は畳みかけるが、最後はやっぱり肉弾戦。

本のシーンは大して意味がなく、なくてもいいレベル。
どこかの国のように「自分の国」「自国の俳優」が写りゃ当たるわけではない。

過去作、最低でも前作を見ていないと展開はよくわからないと思える。
出て来る人物の相関もよく理解できないのではないか。

ソーの変貌ぶりは笑った。
ナタリー・ポートマンが出たのは意外だった。

全員集合時は知らない人もいた。メイおばさん(マリサ・トメイ)、
ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)は気が付いたが、
マリア・ヒル(コビー・スマルダース)には気づかなかった。残念だ。

これを言うと前作の否定につながってしまうが、そもそも50%程度の消滅であんなに人がいなくなるものか。
確かに50%の人類が死滅すれば大惨事/カタストロフィーであることに変わりはないが、
アメリカ全土で1億5千万人は残るし、日本でも6千万人は残り、世界全体では35億人が残る。
35億人と言えば1968年頃の世界人口で、高々50年ほど前に戻ったにすぎない。

人類の所業をリセットするためにしては、半数程度では効果が薄い。
地球では過去5回の大量絶滅が起こったとされ、75%程度から95%程度の生物種が絶滅したと考えられている。

 

 

        

 

 最高の人生の見つけ方    

吉永小百合、天海祐希、ムロツヨシ、賀来賢人、前川清、満島ひかり。

冒頭はJAXAの管制室。
MAKO&SACHIとロゴの入った火星探査ロケットの発射シーン。
発射は成功し、ブースターロケットが切り離され、歓声が沸き起こる。

舞台は変わって冴えない主婦、北原幸枝(吉永小百合)がスーパーで買い物をしている。
帰宅すると、家事を一切しないぐうたら亭主(前川清)と引きこもりでゲーム三昧のバカ息子。
幸枝はステージ4の末期がんと診断されたが、病状は家族に伏せ入院することになっていた。

娘(満島ひかり)はバリバリのキャリアウーマンで部下と恋愛中。
母から検査入院と聞かされ、その間、家の様子を見に行くよう頼まれ断るが、結局見に行く。

幸枝の入院は当初大部屋で、末期がんと言うこともあって他の入院患者とはなじめない。
(説明はなかったが、この後2人部屋に移る)

入院している病院は剛田マ子(天海祐希)の持つ新築のGODA HOTEL、浦安ベイ。
ホテルの開業イベントで熱弁をふるうマ子だったが、実は体調はすぐれないで、入院となる。

しかし、秘書の高田(ムロツヨシ)も手を焼くわがままぶりを発揮し、病室でタバコを吸ったため、
スプリンクラーが作動して病院は水浸しになり、マ子は幸枝のいる病室に一時移されることになった。

娘と口げんかしてふさぎ込む幸枝を中庭に連れ出したマ子。
自身も末期がんで余命いくばくもないと話す。
目の前で中学生ぐらいの女の子がタバコを吸おうとしているのを見て注意すると「どうせ死ぬからいい」という。
直後女の子は倒れ運ばれていく。
幸枝は女の子(鈴木梨央)が「マリエ」と書かれたポシェットを落としたのを拾う。

幸枝はマリエを探すがベッドは空。弟を見つけ、ポシェットを返そうとするが「姉は死んだ」と言って断られる。
仕方なく幸枝が中を見ると「死ぬまでにやりたいこと」と書いたノートが出てきた。

幸枝が退院して家に戻ると、家事もせず相変わらずぐうたらな夫。
一方、マ子は病気が公になり、若い夫の輝夫(賀来賢人)ガマ子を解任し、自分が社長になろうとしていた。
マ子の機転で阻止したもののねいずれ退任は免れない。

幸枝はマ子に電話してマリエの残した「死ぬまでにやりたいこと」を自分でやりたいと相談。
かなり費用の掛かることだったが、マ子は一緒にやろうと考えた。

まずはスカイダイビング。
ここて来ておじけづく幸枝を励まし、二人はそれぞれタンデムで大空に舞う。

ほかにもエジプトに旅行し、砂漠にテントを設えて寛ぐと、幸枝は感動のあまり熱砂で足を火傷しそうになったり、
ももクロライブに行き観客の中からももクロに見つけられて舞台に上げられて一緒に踊ったり、
日本一大きなパフェを注文し(当然食べきれないので)一般客と一緒に食べたり。

幸枝が行きたいところがあるというので、一緒に行くとそこはマ子の父が暮らす老人ホームだった。
当初は反発していたマ子だが、最後は号泣して父と和解する。

ウエディングトレスが着たいという幸枝に結婚式をアレンジしたマ子。
式場で待っていたのは幸枝の夫の孝道。幸枝をねぎらう孝道の言葉に幸枝は涙する。

再び入院で「マリエ」に再会した幸枝とマ子。
死んだはず、と驚く幸枝に弟が死んだといったのは嘘だったと言う。
病気の姉ばかりがかまわれるのに反発していたのだった。

マリエにノートを返そうとする幸枝だったが、もう死なないから要らない、とニコニコして行ってしまう。

ノートの「やりたいこと」は最後の一つの宇宙旅行を残してやりつくした。
さすがに宇宙旅行は無理と考えるマ子と幸枝。
程なくしてマ子は命尽き、遺産をJAXAに寄付する。

やがて幸枝も亡くなり、二人の遺志を継いだマ子の秘書の高田が「MAKO&SACHI」と設えたロケットで
二人の遺灰を宇宙に送り出し、最後のやりたいことを成し遂げたのだった。

**

ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンによる「最高の人生の見つけ方」のリメイク。
オリジナルでは大金持ちのジャック・ニコルソンがモーガン・フリーマンに死ぬまでにやりたいことを書かせるのだが、
今作では、第3の登場人物である鈴木梨央がすでに書き記していたやりたいことを吉永小百合がなぞる形になっている。

そうでなければごく普通のさえない主婦に「ももクロのコンサートに行きたい」などの発想は出てこないと思われるので、
そこはうまくまとめたと言うか、うまく作りこんだ。

ただ、オリジナルでは、モーガン・アリーマンのやりたくてもできないことをジャック・ニコルソンが金に飽かせて一緒にやろうというのに、
今作では、吉永小百合が結果的にではあっても天海祐希を巻き込んだ形になっている。

いくら自分のためにやるんだと言っても、ずっと抱え込んでいたわけでも心からやりたいと願っていたわけでもない。
しかも、到底「普通の」主婦に実現できるはずもないことばかり。

「子供は夢があっていいわね」「何言ってるの、私たちでやるのよ、あの子の夢を実現するのよ」なら別ですが。

それよりも主婦が悶々としつつ永年実現できればいいなと思っていたことの方が説得力があった。
ももクロを入れるのは無理があるというなら、氷川きよしでもいいし、福山雅治でも小田和正でもいい。
吉永小百合と天海祐希がライブを見に来ることを考えれば、乗ってくる歌手はすぐ見つかると思われる。
どんなビッグネームを出演させられるかはキャスティングの腕の見せ所だ。

引きこもり息子は映画ほど簡単ではないにしてもちょっとしたきっかけで変わる可能性はあるかもしれない。
しかし、旦那(前川清)のだめぶりは救いがない。
いくら心を入れ替えてもすぐに行動が伴うとは思えないし、やる気があるとできるは違う。

 

 

                  

 僕に、会いたかった    

TAKAHIRO、松坂慶子。

舞台は隠岐の島。
島中の人々が互いを名字でなく、名前で呼び合うそんな土地柄。

港で黙々と働く池田徹(TAKAHIRO)。
仕事が終わると家に帰り、母信子(松坂慶子)の用意した昼食を食べ、ランニングに勤しむ日々。
舞台となっている隠岐島前高校に魚を配達することもある。

島では「島留学」と称する地域外からの入学生を受け入れている。
今年も隠岐島前高校には、木村めぐみ、横山愛美、福間雄一の3人の新入生がやってきた。
生徒は基本寮生活だがそれぞれに「島親」と称する住民の世話役がついている。
徹の家でも雄一の島親を務めている。

徹は漁師なのだが、落水して遭難、記憶喪失になってしまっている。
しかし落水がトラウマとなって、二度と漁には出られない。
信子が毎日池田丸を掃除している。

救助され、記憶喪失がわかっての入院中。
母信子は周囲の人々に徹に詳しい説明をせず、一人で漁に行き遭難したことにしてほしいと頼む。

詳しい説明はないが、落水遭難には徹だけでなくもう少し複雑な事情があるようで、島の人間は殆どそれを知っている。
医師の門脇大、徹の同級生で高校教師の坂本雄太を初め、島のみんなは徹の記憶が戻ることだけを願って暖かく見守っている。

3人は島在住の高校生とすぐに打ち解ける。
あすか食堂の娘、永見千夏、漁師の息子、山内武は特に仲良しになった。

雄一は東大医学部を目指す秀才。
島に来て試験の点数がガクンと落ちたが、徹に連れられた岸壁からのルアー釣りで真鯛を吊り上げたり、楽しんでいる。
武は徹に憧れていて、そんな雄一に若干嫉妬している。

愛美は島親の家に行かず、先生からもやいやい言われているが、どうやら実家で親とうまくいってなかったらしい。
めぐみは島留学に来た理由ははっきりしない、ただ島の自然には魅入られたようであちこち散策しまわっている。
たまに徹のランニングに出くわしたりすると思わせぶりに遠くから目線を送る。

ある日、徹の家の裏の「げんさん」が倒れ、徹が病院に連れて行く。
手当の甲斐もなく、程なくしてげんさんは亡くなる。
げんさんち(高橋家?)が島親だった愛美は、ついにげんさん生存中一度も家を訪れず、弔問に行って悔やむ。
そして、その後実家に電話して親との仲は修復したようだった。

一方の雄一は成績が落ちたことに母親が激怒し、連れ戻すために島にやってくる。
先生方の制止を無視し、雄一を説得するが拒否られる。

徹も島親として母親の説得にあたるが、雄一は中学でいじめに遭っていたことを母に暴露。
勉強に励み、医師になる目標は必ず達成すると宣言する。

徹は雄一と武を誘って釣りに。雄一と武も仲良くなり、武は漁師を継ぐと言い出し父を喜ばせる。

相変わらずの毎日。
徹が釣りをしているところに信子がやってくる。
大物を釣り上げた徹は「かあさん、そこのルアー取って、おやじに買ってもらった赤白のやつ」と言う。

もしかして、わずかではあっても記憶が戻った。
信子は意を決して、徹に過去を教えることにした。

徹の過去。
誕生、そして成長し、由妃子と言う伴侶を得たこと。
池田丸の文字は由妃子が書いたこと。
由妃子と二人で漁に出かけ、由妃子が落水、焦って探すうちに徹自身も落水。
徹は助けられたものの、由妃子は水死体となって発見されたこと。
そして、二人には娘がいたこと。
めぐみと名づけられた娘は東京の祖父母に育てられ、15歳となったとき、すべての事情を知らされ、
島留学でやってきたこと。
つまり、今年の島留学の3人のうちの一人、木村めぐみこそが、徹の実の娘であること。

突然のことに合点がいかない徹だが、信子はこれから家族になっていくのだと諭す。

全てを知らされた徹は池田丸を駆って、漁に出かけるのだった。



たるい。
あるいは淡々と。

主人公の記憶喪失の複雑な事情は関係者全員が知っている。
知らないのは本人だけで、とりあえずは言わず、記憶が戻るのを優しく待っている。

なぜ優しく見守っているのか、なぜ事情を教えないのか、そしてその「事情」とは何か。
これを謎解きのように探るにしてはヒントが少なすぎる。
ある程度の想定は着くのだが、質は意外な結末だったので、終盤の種明かしは
「そう来たか」とは思うものの、腑に落ちたすっきり感はなかった。

12年前の遭難で徹の記憶はなくなっており、由妃子は水死。
事故当時、映画のように由妃子が先に落水し、徹が探し回っているうちに落水したのか、
徹が例えば甲板作業で高波にあおられて落水、由妃子が後から落ちた、あるいは二人同時とか、
誰にもわからないはずなのに・・・・。

漁船からの落水事故はなくはないが、大抵は動力機関(エンジン)のトラブル、舵の破損など操舵系の故障で、
操船困難となり、転覆あるいは座礁となるのが通例である。
船が無事であれば、漁師はそう簡単には落水しない。
修理したのかどうかわからないが、松坂慶子が熱心に手入れしていたことを思えば、船は無傷で帰還したと思われる。
若干無理がある。池田丸だけがぽつんと置かれていたのも不自然と言えば不自然。



島留学の3人は全員理由あり。
文科省や日本財団の後押し事業なのに、結局、普通のやつは来んのか。



劇中は「島前」を「しままえ」と呼んでいたと思ったが、地域名としては「どうぜん」
舞台の隠岐島前高校も「おきどうぜんこうこう」。

実は浅学菲才の故に、「隠岐の島」とは単独の島の名前だと思い込んでいた。
実際には私が「隠岐の島」だと思い込んでいた島は「島後」(どうご)。
この映画の舞台で、隠岐島前高校のある海士町(あまちょう)の中ノ島、
西に西ノ島(西ノ島町)南に知夫里島(知夫町)の3つの島を島前(どうぜん)というらしい。

隠岐の島が島前、島後の4島のほか200近い島を合わせた隠岐諸島全体の総称だとは、
つい先ほどまで全く知らなかった。

 

 

                 

 ハンターキラー 潜航せよ  

ジェラルド・バトラー、ゲイリー・オールドマン、コモン、リンダ・カーデリーニ、ミハエル・ニルクィスト。

ロシア、バレンツ海の氷の下、ロシア原潜を真後ろからつけるアメリカ原潜タンパベイ。
全く米潜水艦に気づいてないと思われたロシア艦は突然爆発を起こし、沈没し始める。

タンパベイが状況を確認中に情報からミサイルが接近。
回避する余裕はなく被弾しタンパベイは沈没する。

この事態は即座に米本土で検知され、直ちに救援が送られることとなった。

派遣されるのは攻撃型原潜アーカンソー。
海軍少尉フィスク(コモン)は、参謀長ドネガン(ゲイリー・オールドマン)に空席だった艦長には、
ジョー・グラス(ジェラルド・バトラー)を任命したと報告した。

鹿狩りに出掛けていたジョー・グラスは、海軍基地に呼び戻され出港準備が始められた。

そのころ、統合参謀本部にやってきたNSA(国家安全保障局)のジェーン・ノルクィスト(リンダ・カーデリーニ)は、
情報提供を要求、タンパベイの撃沈と、ロシア大統領がコラ半島に向かっていることに関連があると推察する。
そこで、情報収集のためネイビーシールズの精鋭4人を空から潜入させる作戦も同時進行となった。

出港したアーカンソーは程なく現場海域に到達し、タンパベイの残骸と死亡した乗組員を発見する。
同時にその少し先にロシア原潜を発見する。

副艦長の見立てではロシア潜水艦とタンパベイが相討ち、双方とも沈没。
しかし、グラス館長はロシア艦はタンパベイによって撃沈されたものではないと見抜く。

その時、氷の直下に身を潜めていた別のロシア潜水艦が突然魚雷を発射。
気づいたアーカンソーは、ダミーを放出したり巧みな操船技術で魚雷を回避。
ロシア艦を発見し誘導魚雷でロシア潜水艇を撃沈する。

一方、先のロシア潜水艦からは生存を示す打音が聞こえており、グラス艦長は小型の潜水救助艇を出す。
激しい海流に苦労しながらも救助艇はロシア潜水艦に接舷しハッチを固着、ロシア艦の艦長以下数名を救出する。

ロシア艦の艦長はアンドロポフ(ミハエル・ニルクィスト)。
当初はタンパベイから奇襲攻撃されたと思い、頑なだったが、グラスが規則違反をしてまで破壊の様子を見せ、
内部からの爆発であったと説明してわからせる。

一方、潜入したネイビーシールズの隊員はロシアのコラ指令本部において、ロシア大統領の側近が次々と射殺され海に放り込まれるのを見る。
国防大臣ドゥーロフ(ミハイル・ゴール)は大統領を監禁し、非常事態を宣言、自身を大統領代行とするクーデターを起こしていた。
4人のうち一人がロシアの警備隊の乱射によって負傷するが、存在はばれずに済む。

ドーバー大統領(キャロライン・グッドール)を交えた会合で、ドネガン参謀長は空母部隊の派遣と対ロシア戦の準備を主張、
フィスク少尉はロシア大統領の救出を主張。
大統領は空母部隊の派遣と、潜入しているシールズ舞台による大統領救出とアーカンソーによる搬送を支持する。

命令は直ちに現地に送られるが、アーカンソーがコラ半島の指令部に近づくには、対潜機雷やセンサーの密集地帯である
ロシア領海の奥深く入り込む必要がある。

グラス艦長は同じ潜水艦乗りの気概を信じ、アンドロポフに水路の指示を仰ぐ。
米軍の海図では行き止まりのはずの場所に抜けられる水路があるとするアンドロポフを信じ、アーカンソーはコラ半島に潜り込んでいく。

そのころ、シールズの内3人は、重傷を負いながらも生きていたロシア大統領側近の一人を助け、大統領救出に向かう。
見事ロシア大統領を救出して脱出するも発見され、側近はやられ、シールズも一人やられる。

シールズ2人と大統領は逃げるがロシア軍に追われる。
先に負傷していたシールズの一人がスナイパーとなって援護し、海岸まで行きつくが、また一人殺られる。
そしてついにアーカンソーが浮上し、大統領を艦に避難させ、シールズはスナイパー役を助けに戻る。

アーカンソーは椀から脱出しようとするがロシアの駆逐艦に見つかリ攻撃されそうになる。
グラス艦長は、アンドロポフにのマイクを渡し、かつての部下だった駆逐艦の乗組員に向かって呼びかけさせる。
かつての部下は現艦長の命令を無視してアーカンソーへの攻撃を行わない。
さらに、ロシア大統領がドゥーロフのクーデターを暴露してアメリカへの攻撃をしないよう指示した。
グラスはアーカンソーをロシア駆逐艦の正面に浮上させ停船する。

完治用からの連絡を受けて業を煮やしたドゥーロフはトラック搭載型のミサイルをアーカンソーに向かって発射。
グラスがじっと耐えているとロシア駆逐艦がミサイルを攻撃全てを撃墜する。

そして、逆にクーデター軍司令部にミサイルを発射、ドゥーロフ以下クーデター司令部は壊滅する。

こうして危機は回避され、アンドロポフにやロシア大統領はロシアに引き渡されるとともに、
シールズ2名がアーカンソーに戻り、平和裏に物語は終わる。

**

いろいろ穴はあるが、潜水艦同士の戦いだけでなく、地上部隊の活躍も混ぜての展開はそこそこ楽しめた。

「優秀な軍人は必ず常に最善の方策をとる」との前提は「沈黙の艦隊」に通じるものはあるが、
「人は時として予想外の行動をとる」ことはないのだろうか。
祈るだけでは安寧は得られないと思うのだが。

駆逐艦の乗組員がかつての部下だったのは偶然過ぎるとか、ロシア大統領の換金体制が甘々だとかは、
よくある話なので特に違和感はなかった。

ただ、もう少し丁々発止のせめぎ合い、一触即発、ギリギリの攻防が見たかったが、
クライマックスは、まるで我慢比べ、チキンレースの様。

実際には先手必勝。互いに見つかり先に狙われたら負けなのかもしれない。
とすれば、交わし交わされ、潜水艦同士のドッグファイトなどは望むべくもないのかも。

いずれにしてもきれいにまとまりすぎている。

いくつか疑問に思った点。
(兵器に詳しいわけでもなく、潜水艦オタクでもないので間違っていればご容赦、ご指摘いただければ尚善し)

アーカンソーはその形状からロサンゼルス級原潜をモデルにしていると思われる。
ロサンゼルス級は全長約110m、乗員は130名前後で先行深度は約450m。
魚雷発射管を4門装備しており、魚雷発射管からもトマホークミサイルが撃てるが、
魚雷発射管を使わないトマホークも発射することができる。

震度230m程度の海底で静かにしている際にアーカンソーの外壁が凹む様子が見られた。
ロサンゼルス級の性能から言えば高々230m程度の深さでペコペコ凹むようでは困りもの。
それに、船体は二重構造になっていてそもそも外壁は水圧の影響を受けにくので、水圧で凹むことはない。

映画では、敵攻撃により魚雷発射管2門が故障し、魚雷が発射できなくなったとしていたと思うが、
故障が2門ならまだ使える発射管があるはずだ。全門使用不可になった原因は何なのか。

最初にロシアの原潜の穴を見たグラス艦長は外側にめくれているので内部からの爆裂だと断じた。
魚雷の構造に詳しいわけではないので一般の徹甲弾についての話になるが、軍艦や戦車などの分厚い装甲を破壊する徹甲弾は
爆裂によって装甲を内側にめり込ませるのではなく、弾頭と装甲が激しく接触して互いに融け、めり込むことで装甲を破る。
弾頭が解け切るのが先か、装甲が破れるのが先かで穴が開くか開かないかになる。
その後、艦内に入り込んだ魚雷本体の炸薬が破裂して火災ないしは爆破による損傷をもたらすのだ。

互いに融け合いながらめり込むのでその破壊痕は外側にめくれ、融けるのでめくれた部分は一様に広がり比較的滑らかに見えるはずだ。
内部からの爆破圧力で破裂した場合は、多分外にめくれるだろうが、融けて穴が開くよりは裂けると思われるので、
切り口と言うかめくれた端が尖っていてまさに避けた様相を呈すると思われる。

翻って映画のロシア潜水艦の穴がどうだったかはよくわからない。
さらにタンパベイの爆裂痕も定かではないが、内側に凹んでいたような気がする。

なお、圧力に耐えきれず潰れる、圧壊の場合は内側に凹む。

おまけ。

海上自衛隊の最新鋭潜水艦は通常潜水艦のそうりゅう型で、全長86m、乗員は65名、魚雷発射管は6門となっている。
潜航深度は非公開だが、日本のみ保有する深度900mから発射できる深深度魚雷が使える900mまで潜航できる可能性が高いとされる。
他国の潜水艦が到底到達できない深度で待ち構え、魚雷攻撃ができる利点を持つ。

 

 

                

 

 

 

 

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