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今年の累計:55(5)[12] 本 ( )は試写会
[ ]は邦画
1−3月期:12(1)[3]本 、4−6月期:14(4)[4]本、7−9月期:15(0)[2]本、10−12月期:14(0)[3]本  
10月:6(0)[2]本、11月:5(0)[0]]本、12月:3(0)[1]本  
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  スターウォーズ 最後のジェダイ  

デイジー・リドリー、アダム・ドライバー、キャリー・フィッシャー、オスカー・アイザック、ジョン・ボイエガ

おなじみのオープニング。
しっかりとは覚えていないが、前作「フォースの覚醒」以後の帝国軍(ファースト・オーダー=第一騎士団)と、
反乱軍(レジスタンス)の攻防について語られる。

反乱軍は劣勢を極め、レイヤ・オーガナ将軍(キャリー・フィッシャー)が率いる軍団が最後となっていた。
しかし、帝国軍はレジスタンスの基地の星を突き止め、ハックス将軍(ドーナル・グリーソン)率いる軍団が、
主力攻撃艦のドレッドノートと共にその星に攻撃に向かった。
帝国軍の軍勢を前に反乱軍はついに基地を放棄し、輸送船で脱出を図る。

反乱軍は脱出までの時間稼ぎのため、爆撃機編隊とXウィングによる総攻撃に向かう。
Xウィングを率いるのは、ポー・ダメロン(オスカー・アイザック)やペイジ・ティコ(ベロニカ・ンゴ)。

しかし、爆撃派の大半は撃墜され、Xウィングも多くが失われる。
輸送船への乗組みを完了したレイヤ・オーガナ将軍はポー・ダメロンに帰還を指令するが、ポーは無視して攻撃を続ける。
その結果、最後の爆撃機が爆撃に成功し主力攻撃艦のドレッドノートを破壊、輸送船もワープに成功したが、多くの犠牲を出してしまった。
帝国軍の輸送船に戻ったポーは、レイヤから厳しく叱責され降格を命令される。

反乱軍の輸送船団を取り逃がしたハックス将軍は帝国軍の最高司令官であるスノーク(アンディ・サーキス)に叱責され、
反乱軍の追跡を命令される。

一方、前作の終盤でカイロ・レンに倒されていたフィン(ジョン・ボイエガ)は、治療カプセルに入れられていたが、
目を覚まし、レイ(ディジー・リドリー)を探すものの見つけられないでいた。

それもそのはず、レイは前作のラストでルーク・スカイウォーカー(マーク・ハミル)が隠匿生活を送る星に到達し、
ルークに反乱軍への参戦を依頼していた。

絶海の孤島に住んでいたルークはレイの期待に反し、反乱軍への参加を拒みレイを鍛えることも拒否する。
レイはルークの住居で繰り返し嘆願するが、OKがもらえない。
そんな中、チューバッカがルークの家を訪れ、ルークはハン・ソロが死んだことを知る。
ルークは密かにミレニアム・ファルコンを訪れ、C3POと再会。
かつて(エピソード4で)レイヤ姫がC3POに託したビデオメッセージを見て翻意し、レイを訓練し始める。

当初、ジェダイの何たるかも分かっていなかったレイだが、その成長は著しく、恐怖を感じたルークは訓練を止める。
一人で鍛錬するレイは急速に力をつけ、ライトセーバーで巨岩を切り裂くまでに上達する。

レイは、テレパシーでカイロ・レンと意識をかわし、カイロ・レンとルークとの間に秘密があることを知る。

問い詰められたルークは、レイヤ・オーガナに息子であるベン・ソロの訓練を頼まれ、他のジェダイ候補と共に鍛錬をしていたが、
ベン(後のカイロ・レン)はダークサイドの力が芽生えてしまい、訓練所に放火して何名かジェダイ候補と共に逃亡、
残りのジェダイ候補は全員死亡していたと明かす。

しかし、レイはカイロ・レンとのテレパシーでルークがカイロ・レンのパワーを恐れ、殺そうとしたため逃亡した、
ダークサイドに落ちたと言うならそれはルークのせいだと聞かされる。

再度ルークに事情を聴いたレイは、カイロ・レンを殺そうとしたことを認めるが、ダークサイドの力はその時点で既にあったと言う。

ワープ航法でハイパー空間を移動した反乱軍の輸送船は、難を逃れたかに見えたが、
帝国軍の軍団もワープ航法で追いつき、攻撃を仕掛けてくる。

攻撃にはカイロ・レン(アダム・ドライバー)のタイファイターも参戦。
シールドを突き破って輸送船に近づき、格納庫を攻撃し、反乱軍はXウィングの大半を失う。

カイロ・レンは輸送船の指令室に照準を合わせるが、躊躇している間に別のタイファイターが攻撃して破壊、
レイアは宇宙空間に投げ出される。

死んだかと思われたレイヤは、フォースの力で蘇生し、自力で艦に戻るが昏睡に陥る。
代わって、ホルド副提督(ローラ・ダーン)が司令官になる。
ホルドは燃料切れになり全滅するというポーの進言を無視して全力で逃走するだけ。
挙句、ポーは指令室から追い出されてしまう。

その頃、フィンは逃げるために脱出ポッドを探していて、最初の先頭で死んだペイジ・ティコの妹、
ローズ・ティコ(ケリー・マリー・トラン)に見つかって捕まる。

ポーは帝国軍がワープ先のトラッキングができると推定。
ローズに連れられたフィンと会って、トラッキング装置は同時には1艇しか使用できず、
それを壊せば数分間は追尾されず逃げ切れると知る。
しかし、1時間ごとに切り替わるコードでロックされているので「コード破り」を探すため、ローズとフィンは
マズ・カナタ(ルピータ・ニョンゴ)に会いに行き、その情報をもとにカジノの星、カントニカに行く。

そこで、コード破りは見つけたものの話をする前に捕まってしまう。
同じ留置室にいたDJ(ベネチオ・デル・トロ)がコードが破れると言うので仲間に入れて帝国軍の艦船に向かう。
何とかトラッキング装置のある艇に乗り込み、あと少しで装置というところで帝国軍に捕まる。
実はDJは帝国軍の手先だった。

レイはルークの協力を諦めて、チューバッカと共に移動し、個人用脱出ポッドに乗って帝国軍艦艇に乗り込むが、
待ち伏せていたカイロ・レンに捕まり、スノークの部屋に連れていかれる。
レイよりはるかにフォースの強いスヌークはルークの居場所を調べるためレイを拷問し、挙句、レイを殺せとカイロ・レンに命令。
カイロ・レンはレイから取り上げたライトセーバーで不意打ちを食らわせてスヌークを切り裂く。
レイを解放したカイロ・レンは二人でスヌークの護衛兵を皆殺しにし、レイに手を組もうと呼びかけるがレイは拒否。
引っ張り合いとなったルークのライトセーバーは真っ二つになる。

一方、反乱軍ではホルドが小型輸送船に分乗して補給星クレイトに向かうと指令。
反発するポーはホルドを解任し、フィンの合図を待つが、フィンらは失敗しているので合図が来ない。
そうこうするうち、レイヤ・オーガナ将軍が覚醒して登場し、ポーを殴打してホルドの作戦を続行する。
大型輸送船に気を取られた帝国軍は当初小型輸送船を見逃していたが、DJのちくりで気が付いて攻撃を開始する。

次々と小型輸送船が壊される中、大型輸送船に残っていたホルドは意を決して大型輸送船を帝国軍に向かって発進させ、
帝国軍の旗艦は真っ二つとなる。

その衝撃で捕まっていたフィンはファズマ大尉(ピカピカのトルーパー、グエンドリン・クリスティ)と戦いになり勝つ。
そして帝国軍の戦闘機で脱出し、クレイトに向かう。

クレイトでは反乱軍が洞窟の基地に逃げ込んでいて帝国軍の攻撃に備えていた。
フィンとローズも合流する。

帝国軍は小型のスターキラー砲を繰り出して反乱軍の洞窟を攻撃しようとする。
反乱軍は小型戦闘機で反撃を開始するが、次々とやられる。
レイを乗せたミレニアム・ファルコンが飛来して加勢するが、大勢は帝国軍有利。
そこで撤退命令が出るも、フィンは突撃を続け、ローズが阻止する。

スターキラー砲が炸裂し、基地の入り口が破壊される。
そこへ突然現れたルークが、反乱軍の生き残りを後方から脱出させるため、カイロ・レンの前に立ちはだかる。
怒り狂ったカイロ・レンはルークに集中砲火を浴びせるが、ルークは死なず、カイロ・レンとタイマン勝負になる。
実は、ルークはそこにはおらず、島からフォースで自分のイメージを送っていた。

その間にポーを始め生き残った反乱軍は基地の裏手に回り、最後の大きく崩れた岩もレイが外からフォースで弾き飛ばして脱出に成功。
ミレニアム・ファルコンに乗って逃げおおせる。

島で念を送っていたルークは力尽きて倒れ、分解して散る。
ルークの死は、レイアやレイに感じ取られる。

こうして、反乱軍はわずかの生き残りと共に帝国軍との対決を誓うのだった。

惑星カントニカでは、フィンらに協力した競馬場の飼育係の子供たちが異星人に追い立てられ掃除に向かう。
うち一人は、テレキネシス(念動力、フォース)らしきパワーで、箒を引き寄せ、指には反乱軍の紋章の指輪があった。

**

前作でハン・ソロが死に、今作ではルーク・スカイウォーカーがこの世を去った。
ルークの死はエピソード4のオビワンの様に肉体が消滅した。
(死んでも気は消滅せず、フォースと合体、一体化するらしい)

レイの他にフォースを持つらしき子供も出現し、果たして最後のジェダイが何を意味するのかは不明瞭なままとなった。

予想を裏切るとの前評判が多く、上映中もここでそう来たか、それが意表の展開か、と思うシーンは多かったものの、
えええー、っと思うほどのものではなかった、というか、既にどこがどうだったか忘れた。

唯一覚えているのは、レイの親が、ハン・ソロ(つまりカイロ・レンと兄妹)でも、
ルーク・スカイウォーカー(カイロ・レンとは従兄妹)でもなく、只の一般人のどうしようもない人物だということ。
しかし、これはカイロ・レンの言葉であり、真実かどうかはわからない。

カントニカでのエピソードはベネチオ・デル・トロを引っ張り出すために必要だったと思うが、
あんな緊迫した場面で長々と展開している場合か、とも思った。
マズ・カナタのシーンは時間が掛かるだけで、もう少しチャチャッと進行させても良かったのでは。

ベネチオ・デル・トロが出た瞬間は、「出た、コレクター」と思ってしまった。

ジョン・ボイエガは前作では感じなかったが、デンゼル・ワシントンに似ていると思えてしょうがない。
年が37、8歳差と大きく離れてはいるが、若き日のデンゼル・ワシントンとか親子役とかで出たら面白い。

スヌークのアンディ・サーキスは気づかなかったが、エンド・ロールでアンディ・サーキスの名前を見て、
そうだろうな、と言う感じでした。

次作、「エピソード9」の全米公開は2019/12/20の全米公開が予定されている。
監督は、エピソード7のJJエイブラムスを予定しているようだ。

その間の2018年には、若き日のハン・ソロを描く「ソロ:ア・スターウォーズ・ストーリー」が公開予定。
(全米:5/25、日本:6/29)
ハン・ソロには「ヘイル、シーザー!」でレイフ・ファインズにセリフを直されるアルデン・エーレンライク。

なお、本作の監督はライアン・ジョンソンで、エピソード9に続く新シリーズ(公開時期未定)の監督が予定されている。

 

 

                      

 DESTINY 鎌倉ものがたり    

堺雅人、高畑充希、中村玉緒、堤真一、安藤サクラ、三浦友和、鶴田真由、市川実日子、ムロツヨシ、要潤、吉行和子、橋爪功。

出版社に勤めていた中村亜紀子(高畑充希)は元担当で12歳年上のミステリー作家の一色正和(堺雅人)と結婚して退社。
正和の鎌倉の自宅に引っ越してきた。

筆が遅い正和は担当の編集の本田(堤真一)を待たせつつも何とか原稿を仕上げた。

鎌倉署の心霊捜査課の稲荷刑事(要潤)が、訪ねてきたのは殺人事件の捜査依頼。
大仏署長(国村隼)以下、降霊担当の恐山刑事らの捜査は難航したが、正和は被疑者で別居中の夫(木下ほうか)の
アリバイ工作を見破り、事件を見事に解決した。

正和は出がけに絶対に納戸に入らないように、と亜紀子にきつく言い残すが、亜紀子が納戸に入ると
そこは正和の趣味の鉄道模型や掛軸や置物であふれていた。

亜紀子が納戸を出ると、先代からのお手伝いのキン(中村玉緒)が来ていて、家事を手伝ってくれた。
正和も帰宅し、キンを二人で送った帰り、魔物(亜紀子は被り物だと思っている)のマーケットで松茸を買う。
お隣の住民だった幽霊の優子(吉行和子)に会い、心残りがあれば幽霊申請でこの世にとどまれると聞く。

マーケットで買った松茸に毒キノコが紛れ混んでおり、食べた正和は幽体離脱するが、キンの対応で事なきを得る。
味見をしていた亜紀子も優待離脱しやすくなっていると言うのでマスクで予防する。

正和の仕事が吹っ飛んだり、茶碗が割れたりと不運が続く。
調べた結果、屋根裏に貧乏神(田中泯)が住んで取り付いていた。
お人好しの亜紀子は貧乏神にも優しくする。

正和は亜紀子と喧嘩し、なじみの飲み屋「静」に行く。
女将(薬師丸ひろ子)は最近は魔物もひいきにしてくれるようになった、と語る。

やがて、優子の旦那(橋爪功)が死に、死神(安藤サクラ)が二人を連れていく。
正和と亜紀子は丑の刻に海岸に現れる「現世」駅からタンコロに乗って黄泉の国に向かう二人を見送る。

正和は幼少のころ、父の一色宏太郎が留守の時に、母の絵美子(鶴田真由)が謎のミステリー作家甲滝五四朗(三浦友和)と
密会していたことを知り、ショックを受けていたと、亜紀子に語る。

暫く後、貧乏神は新しい憑りつき先に行くことになり、亜紀子に古い茶碗をくれる。
貧乏神がいなくなってすぐ、急な原稿依頼が舞い込む。
亜紀子は慌てて「静」にいる正和に知らせようと走っていく途中、階段で魔物に足を取られて転倒する。
手を出したのはマーケットで亜紀子に毒キノコを売った魔物だった。

正和は急いで家に帰るが、亜紀子は自分の体が幽体になっていることに気づく。
転んだ辺りで体から魂が抜け、実体化していると考える亜紀子は体を探すが見つからない。

その頃、編集者の本田が病に倒れる。妻の里子(市川実日子)には内緒にしているが余命いくばくもないと言う。
正和は死んでも幽霊申請によってこの世に留まれると教える。

程なくして本田は死に、死神が迎えに来る。
本田は幽霊申請を申し出るが、ルールが変わり、肉親/知人の寿命をもらう、魔物として生きる、のいずれかしかないと言う。

本田は魔物を選び、カエル男として生きることに。
着ぐるみを着る必要がないので遊園地でカエルのキャラとして働くことにした。
本田はバイト中、亜紀子そっくりの家族が楽しそうに遊園地にいるのを見かける。
本田は里子が同僚のヒロシ(ムロツヨシ)と懇意にしていることに嫉妬し、食い殺そうと考えるが、
一徹なヒロシの心意気に負けて成仏することに。

「静」で飲んでいた正和は女将に霊に憑りつかれていると言われ、お札をもらう。
そのお札を玄関に貼ったところ、亜紀子が家に入れなくなった。
亜紀子は死んでおり、死神が連絡に来る。
予定の寿命との齟齬があり、正和の生気を利用して現世にいたが、遂に黄泉の国に連れていかれる。

失意で自殺も考えた正和だが、死神に地縛霊になると言われて止める。
正和は本田が亜紀子そっくりの人物を見たことを手掛かりに、稲荷刑事らの手も借りて、亜紀子の体を使っていた人物を見つける。
体があれば、寿命の残る亜紀子を生き返らせることができるので、正和は黄泉の国に亜紀子を連れ戻しに行くと決める。
かつて亜紀子が納戸で見つけた甲滝五四朗の遺稿に黄泉の国に行った件があるが、帰る方法については書かれておらず、
キンから甲滝に直接聞けと言われて黄泉の国の住所を教えてもらう。

夜、現世駅に密かに入り、死神には見つかったものの何とかあの世行きのタンコロに乗れた。
長い道のりの末、黄泉の国についた正和。
死神から亜紀子は天頭鬼という邪念や怨念の塊に見初められて、捕まっていると聞かされる。

正和が甲滝五四朗の家に行くと出てきたのはなんと母、絵美子。
やはり自分は不倫の子、と憤る正和に出てきた五四朗は、実は父の一色宏太郎で、甲滝はペンネームだと明かす。
宏太郎は学者になってほしいと願う宏太郎の両親に内緒でミスタリー作家、甲滝五四朗として小説を出していた。

宏太郎は正和に天頭鬼とは想像力で勝負しろと告げる。

その頃、天頭鬼に囚われていた亜紀子は天頭鬼の妻になるよう迫られていた。
実は、前世でもその前もその前も千年以上の前から亜紀子と正和は夫婦であり、天頭鬼の横恋慕が通じなかったと言うのだ。

正和が亜紀子を連れ戻しに来るが、天頭鬼にばれ、格闘になる。
何とか、想像力で脱出し、タンコロを想像力で出して黄泉と現世の線路を逆走するが、天頭鬼に追いつかれ捕まってしまう。
正和の命と引き換えに天頭鬼との永遠の夫婦の誓いを宣誓させられる亜紀子。
近いが完成する寸前、なんと貧乏神の茶碗が飛来して天頭鬼を弾き飛ばす。
悔しがる天頭鬼を尻目に茶碗は乗り物に姿を変え、亜紀子と正和を現世に連れ戻すが、着いたとたん割れてしまう。

現世に戻った亜紀子の魂は体を取り戻し、茶碗を修復して使い続けていた。
めでたし、めでたし。

**

原作は、月刊まんがタウン連載中の西岸良平のコミック「鎌倉ものがたり」。
原作での正和の父のペンネームは湖南独伊留で、一色宏太郎のアナグラムではない。
観客にとって大した問題ではないが、おそらく権利関係の問題があったか、避けたかだろう。

「DESTINEY 鎌倉ものがたり」のネーミングは「ALWAYS 三丁目の夕日」と同じ手法のようだが、
どういう意味合いがあるのかは分からない。

原作のエピソードをどの程度盛り込んでいるのかわからないが、結構入り組んだ物語を
破綻も混乱もなく、きれいに仕上がっていた。

堺雅人(44)と高畑充希(25)の組み合わせは、原作(正和:33、亜紀子:21)よりも差があるが、
違和感はなく、雰囲気も良く出ていた。

序盤に登場する掛軸、置物、フィギュアは伏線になっていて、後でああそういうことだったのか、と分かる仕組み。

黄泉の国の形は、個々人の想像の物だと言うことで、それへの異論はない。
しかし、現世と黄泉の途中駅は何だったのか。(臨死駅?)
また、黄泉駅よりもかなり手前から黄泉の街が広がっている世界観はちょっと違和感。

 

 

                     

 オリエント急行殺人事件  

ケネス・ブラナー監督主演、トム・ベイトマン、ジョニー・デップ、ジュディ・ディンチ、ウィレム・デフォー、
デイジー・リドリー、ミシェル・ファイファー、ペネロペ・クルス、デレク・ジャコビ、ジョシュ・ギャッド。

言わずと知れたアガサ・クリスティの小説。

小説では、イスタンブールからカレーに向かうオリエント急行が舞台だが、映画ではその前にイスラエルでの事件を挟んでいる。

小説の刊行と同時代の物語だとすれば、1930年代半ば。
エルサレムに滞在していたエルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)は、3大宗教の遺物が盗まれた事件を
イギリス官憲の仕業と見抜いて盗品を取り返す。

ポアロはエルサレムからイスタンブールに向かう船の中でデブナム(デイジー・リドリー)と出会い、
家庭教師だと見抜く。船には、黒人の医師、アーバスノットも乗っていた。

暫くゆっくりと休むつもりでいたが、既知でオリエント急行会社の重役、ブーク(トム・ベイトマン)に懇願され、
オリエント急行でイギリスに向かうことになった(但し、カレーで乗り換え)

冬の時期、いつもならガラガラのはずのオリエント急行は満室で、ポアロは2等寝台でマックイーン(ジョシュ・ギャッド)と相部屋。

乗客の中には怪しい雰囲気を漂わす古物商のラチェット(ジョニー・デップ)がいた。
ラチェットは悪徳実業家で多くの敵を抱え、今も「気をつけろ」との脅迫文を受けていた。
ラチェットは食堂車でポアロに身辺警護を依頼するがあっさり断られる。

2日目の夜、雪山の中を走行中、雪崩に巻き込まれて機関車が脱線。
列車は立ち往生してしまう。
翌朝、朝食の時間になっても起きてこないラチェットの客室の異変に気付いたポアロがドアをこじ開けて入ってみると、
ベッドに横たわったままめった刺しにされたラチェットの遺体があった。

ブークは警察に任せると黒人か秘書を犯人に仕立てあげてお終いになると言い、ポアロに真相究明を依頼、
当初は渋っていたポアロも捜査を引き受ける。

乗客は、ラチェットの秘書で会計係のマックイーン、ラチェットの執事マスターマン(デレク・ジャコビ)、
ドラゴミロフ侯爵夫人(ジュディ・ディンチ)とその侍女シュミット、
若い女宣教師のエストラバドス(ペネロペ・クルス)、アメリカ人の未亡人ハバード(ミシェル・ファイファー)、
ドイツ人教授ハードマン(ウィレム・デフォー)、自動車販売会社のマルケス、
アンドレニ伯爵とその夫人、そして、船で見かけた家庭教師のデブナム、黒人医師のアーバスノット。
他には重役のブーク、二人の車掌、食堂車のシェフなど鉄道会社の人間。

ポアロは早速、すべての人間から昨夜の様子を聞くが、いずれにもアリバイがあり、事件の謎は深まった。

ポアロは遺された燃えカスから、ラチェットの正体を数年前に起こったアームストロング誘拐殺人事件の犯人、
カセッティだと見抜く。

さらに12人の乗客全てが殺人事件の関係者であり、その復讐のために共謀してラチエットを刺殺したと見抜くが、
マフィアが乱入してラチェットを刺殺して逃げたとの推理を警察に話し、12人の復讐劇を闇に葬る。

ご存知、ミステリーの女王、アガサ・クリスティの名作「オリエント急行殺人事件」の映画化。
ポアロのシリーズ全33作のうちの8作目。
ラストで続編が匂わされる「ナイルに死す」は15作目にあたる。

なお、1975年刊行の最終作「カーテン」は実は1943年、22番目に書き上げられたもので、
本人死後に出版される予定だったらしい。(アガサ・クリスティはその数か月後の1976年1月に死去)

映画にも出たようにオリエント急行は5両編成で、客室2両、乗務員/荷物者2両、展望食堂車1両の豪華列車で、
小説では相部屋ではなかったようだが、全室が埋まっている設定。

雪の山間部を行く列車内での殺人事件で、遺留品も多い事件だが、被害者も容疑者も素性を偽っている。
しかし、英語、ドイツ語、フランス語を駆使し、ロシア語にも堪能なベルギー人探偵が、謎を解き明かしていく。

冒頭のエルサレムの事件からイスタンブールに至る小説にはない部分で、ポアロの鋭さを示す。

手がかりを最大限に利用しつつ、尋問や会話の中での齟齬や差異に着目して推理を進めていくので、ある意味会話劇と言える。
難解な事件を理詰めで少しづつ外堀を埋めていき、遂には真実を語らせる手法。

容疑者全員が犯人と言うのは、当時は非常に斬新だったようだ。
今でいえば犯人全員が共同正犯で、ポアロは犯人隠避。

しかしながら、今となっては、驚くようなどんでん返しもなく、派手なアクションもなく、やや地味に思える。

エルキュール・ポアロは「Hercule Poirot」とつづり、Hは発音しない。
何人かにはヘラクレス・ポアロと呼ばれ、エルキュールですとか、ライオンは倒しませんとか答えるが、
これも布石の一つになっている。

小説では165cm程度の小柄で、大きい口髭を蓄えた、太っちょ、晩年は禿げ頭と
到底ケネス・ブラナーとは、口髭以外は身長(177cm)をはじめ、似ても似つかない。

アガサ・クリスティ自身はポアロを大して好きではなかったようで、ポアロとはさっさと縁を切り、
もっと若いかっこいい人物を主人公にすればよかった、と言っていたらしい。

奇しくもシャーロック・ホームズを嫌っていたコナン・ドイルとの共通点。
なお、シャーロック・ホームズのシリーズは1887年から1927年にかけて刊行されており、
ポアロシリーズ(1920年〜1975年)との重なりは少ない。

 

 

          

  ジャスティス・リーグ    

ベン・アフレック、ヘンリー・カビル、ガル・ガドット、エズラ・ミラー、ジェイソン・モモア、レイ・フィッシャー、
アンバー・ハード、JKシモンズ、ダイアン・レイン、エイミー・アダムス。

前作「バットマン VS スーパーマン ジャスティスの誕生」ではスーパーマンが死に、
スーパーマン、クラーク・ケントの葬儀が行われるところまで(スーパーマンの棺は空)だった。

今回はスーパーマン亡き後の世界。
犯罪が多発。
バットマン(=ブルース・ウェイン、ベン・アフレック)が犯罪者の確保の奔走していた。
バットマンはビルの屋上で犯人を捕まえ、ビルの外につき出すと「恐怖を感じた」羽根人間が飛び上がってくる。
それの確保に成功するが、羽根人間(=パラデーモン)は爆発して散る。

その頃、巷では飛ぶ人間が犯罪を犯す事案が頻発。
目撃者のスケッチはバットマンにも見えたが、ゴードン警察本部長(JKシモンズ)は、未知の生物だと見抜く。

一方、ワンダーウーマン(=ダイアナ・プリンス、ガル・ガドット)はロンドンの銀行強盗と対峙し、彼らを制圧し人質を解放する。

バットマンはワンダーウーマンと二人だけでは世の平和は守れないと考え、仲間探しを始める。
ブルース・ウェインは北欧の漁港を訪れ、アーサー・カリー(ジェイソン・モモア)に会う。
アーサーはアトランティスの王子、アクアマンだが、ブルース・ウェインの誘いを断る。

執事のアルフレッド(ジェレミー・アイアンズ)の手助けも得ながら仲間候補の所在を調べる。
一人はバリー・アレン(エズラ・ミラー)で、父親が母親殺しで服役中。
もう一人は、ビクター・ストーン(レイ・フィッシャー)だが、すでに死んでいると言う。

バリー・アレンは刑務所に父、ヘンリー(ビリー・クラダップ)を訪ね、再審請求のことなどを伝えるが、
父は自分のことは諦めて面会には来ず、定職につけなどと諭す。

ビクターの父、サイラス(ジョー・モートン)によって事故死からサイボーグ化されて復活したビクターは、
自分自身の機械の体に嫌悪していた。

その頃、アマゾネスの島、セミスキラでは何千年もの間静かに守っていたキューブにが降り注いで、
突然ステッペンウルフと無数のパラデーモンが現れる。
女王ヒッポリタ(コニー・ニールセン)らはキューブを守って逃げるが、激闘の末に奪い取られる。
ヒッポリタは警告の烽火をあげ、ルーブル美術館にいるダイアナが気が付く。

ダイアナはブルースを訪ね、奪われたキューブの秘密と敵の来襲を告げる。
それによれば遠い昔、ステッペンウルフは地球を地獄に変える力の素を持ち込んだが反撃された。
力の素のマザーボックスは3つに分けられ、アマゾネス、アトランティス人、人間が一つずつ管理していた。

ブルースは仲間集めを急ぎ、バリーの自宅に侵入、バリーは激怒するが、
ブルースがバットラング(こうもり型手裏剣)を投げるとバリーはあっさりと身を翻して掴む。
ブルースが誘うとバリーはあっさりと仲間に入る。

一方、ビクターはブルースが自分を探していることに気づき、ブルースのPCをハックしてダイアナと接触。
直接ダイアナと会い協力を依頼されるも拒否して去る。

その頃、アトランティスでは2つ目のキューブが襲われ、守っていたヘラ(アンバー・ハード)の反撃空しく、
キューブが奪われる。

ステッペンウルフは、人間の持つキューブのありかを知っていると思われる科学者たちを誘拐。
その中にはビクターの父のサイラスもいた。

ゴードンがバットシグナルを出すと、バットマン、ワンダーウーマン、フラッシュ、サイボーグが集結し、
誘拐された場所をゴッサム港の地下だと見抜き、救助に行く。

4人のスーパーヒーローは、ステッペンウルフとパラデーモンと戦って撃退し、科学者らを救助するが、
ステッペンウルフは壁に大穴をあけて去り、大量の水が流れ込む。
しかし、そこへアクアマンがやってきて水を制し、そのすきに逃げて助かる。

ビクターは父が自分を改造するのに使うと言っていたチェンジエンジン(?)が3つ目のキューブだと考える。
ブルースは、5人で母が立たないのでスーパーマンを復活させるべきと主張。
激論の末、クラーク・ケントの墓を暴き、キューブを使って復活させる。

しかし、スーパーマンは前作の戦いでの遺恨から暴れまくるが、ロイス・レイン(エイミー・アダムス)の出現で、
自分を取り戻してケンタッキーの自宅に飛んでいく。

ステッペンウルフは、ロシアの原発跡地で3つのキューブを合体させようとしていた。
スーパーヒーローたちはロシアに乗り込み、ステッペンウルフやパラデーモンと戦うがなかなか決着がつかない。
そこにスーパーマンも参戦して一気に優勢になり、ステッペンウルフは斧を打ち壊されて一瞬たじろぐ。

その瞬間、パラデーモンが恐怖を感じているステッペンウルフに襲い掛かり、ステッペンウルフは宇宙の彼方に散る。

殆ど合体していたマザーボックスはスーパーマンとサイボーグによって3つに引き戻され、作動を停止した。

こうして再び平和が訪れ、ブルースはローンの形に取られていたケント家を買い戻し、クラークとマーサに渡す。

エンドタイトル後、レックス・ルーサーが脱獄してしまっていることが示される。
大型モーターヨットで寛ぐレックス・ルーサー(ジェシー・アイゼンバーグ)は以前にも増して剃り上げた頭。
小型ボートで覆面に背中の二刀流のデスストロークが乗り込んでくる。
レックス・ルーサーはスーパーマンのヒーローチームに対抗してオレたちもビランチーム(悪党同盟)作ろう、と言う。

さらにエンドロール後、スーパーマンとフラッシュの1シーンが入る。

はっきり言って筋立てはあまりない。
前作でバットマンとワンダーウーマンの協力関係が成立。
今作ではフラッシュ、アクアマン、サイボーグとの協力の経緯を描くが、3人の成り立ちについては軽く触れられるだけ。
仲間になる、ならない、スーパーマンはどうなったのかが中心で、後はみんなで協力して敵を倒す水戸黄門的展開。

前作「ジャスティスの誕生」は必見。
スーパーマンが死に至った経緯とか、バットマンとの確執とか、ワンダーウーマンとの関係とか、
モニュメント的な物とかもわかりにくいと思われる。

「ワンダーウーマン」の母だと言う言及はないし、「スティーブ・トレバー」でダイアナが何故怒るかも説明がない。
いずれも「ワンダーウーマン」を見ている前提。

エイミー・アダムスロイス・レインもマーサ・ケントも「マン・オブ・スティール」が前提。
ケビン・コスナー

デスストロークは遠目には一瞬デッドプールかと思わせるが、デッドプールはマーベルなのでデスストロークとは違う。
しかも、デッドプールが後発(パクリ)。
但し、DCコミックス側もデスストロークとの関連をいじったりしているらしく、険悪な中ではなさそうだ。

 

 

                    

 ローガン・ラッキー 

チャニング・テイタム、アダム・ドライバー、ダニエル・クレイグ、ライリー・キーオ、
ケイティ・ホームズ、キャサリン・ウォーターストン、ヒラリー・スワンク。

ジミー・ローガン(チャニング・テイタム)は、別れた妻ボビー(ケイティ・ホームズ)との間に娘サディ(ファラ・マッケンジー)がいる。
週に一度の面会の日にサディを連れ出したジミーは次の面会日にサディをコンクールの予選に連れていく約束をした。

ジミーは高校時代、アメリカン・フットボールの花形選手だった。
誰もがプロ入りするだろうと思っていたが、膝を壊しプロは断念、今は建設作業員として働いている。
しかし、現場監督に事務所に呼ばれたジミーは膝が悪いことを理由に首になってしまう。
ジミーは事務所を出てサディを迎えに妹、メリー(ライリー・キーオ)の美容院にサディを迎えに行くが、
コンクール予選は昨日だった、サディは私が連れていく羽目になったとなじられる。

ジミーは、その足でボビーの家に行き謝るが、ボビーにはメリーがスピード違反で捕まって時間を食ったと愚痴られる。
ジミーは弟のクライド(アダム・ドライバー)がバーテンをしているパブに行く。

そこにレースチームオーナーでドライバーのマックス・チルブレイン(セス・マクファーレン)がやってきて、
クライドを小馬鹿にしたため、ジミーは停めてあったチルブレインの車に火炎瓶を投げ込んで燃やしてしまう。

帰り際、ジミーはクライドを「カリフラワー」と呼ぶ。
前回「カリフラワー」と呼ばれたときは、強盗に失敗して刑務所に入れられた、と愚痴るクライド。
何かというとアンラッキーが続くローガン一家。今度もうまくいかないに違いないとクライドは考えるが、
犯行10か条を書き出して計画を練ったジミーは、クライドに計画をプレゼンする。

実はジミーがやっていた工事は、シャーロット・モーター・スピードウェイの地下の陥没の補修工事だった。
工事に携わるうちに、地下に張り巡らされた現金輸送パイプの場所を知り、工事現場で金庫の金を盗む計画だ。
決行は6週間後、犯行がやりやすいようにあまり人気のないレースの日を予定した。

計画実行にはどうしても爆破のプロ、ジョー・バング(ダニエル・クレイグ)の協力が必要だった。
ジミーとクライドは、服役中のジョーに面会し計画を説明する。
刑期は残り5か月あると言うジョーに対し、ジミーはレース当日の真昼間、ジョーを脱獄させ、
金庫破りをしたのち、ばれないようにジョーを監獄に戻すと言う。
3人で山分けを提案するジミーに対し、ジョーは仲間として弟2人を入れることを条件に引き受ける。

ちょっといかれたジョーの弟サムとフィッシュは犯行には倫理的な理由が必要だ、と言い、
ジョーはスピードウェイで働いていた妹が店長にセクハラされたから仕返しだ、と言って納得させる。

ジョーは必要な部材を指示し、ジミーらはそれらを調達する。
ジョーは、収監中の仲間に協力を頼み、準備は着々と進んでいく。

金庫係のグリーマに匿名で誕生日ケーキを送り、ケーキが時間でロックされる金庫室に残ったままにして、
色付けしたゴキブリを色ごとに違うパイプに入れる。

翌日、グリーマらが金庫室に入った時にはピンクに塗られたゴキブリがケーキにたかっていた。
こうしてどのパイプが金庫破りに使えるのかがわかった。

クライドは車をわざとカーショップに突っ込む。
操作ミスをしたとの訴え空しく、裁判は有罪。
しかし、負傷帰還兵である(イランで負傷し左前腕を無くした)ことを考慮し、90日の禁固刑となった。

こうしてクライドはジョーと同じ刑務所に収監されることになったが、メリーは護送車のサイズを測り、
ジミーがジョーに伝え、ジョーは車の色に合わせた箱を作る。
メリーはまた、ボビーの再婚相手のムーディ(デビッド・デンマン)を煽り、マニュアル車を買わせる。

数週間後、ジミーは元の現場監督に会い、工事が予定より早く完了することを知る。
ジミーは予定を1週間早めることにしたが、その日はシャーロット・モーター・スピードウェイ最大のレース、
「コカ・コーラ600」の開催日であり、またサディのコンクール本番の日でもあった。

いよいよ、「コカ・コーラ600」当日。
サーキットに大勢の人が集まり始めた。
今日はレースの日なので工事は休み、作業員はいない。

ムーディもブルーの新車のマニュアルスポーツカーで息子を連れてサーキットに着いた。
メリーはまんまとそれに乗り込んでジョーとクライドを連れに行く。

その頃、刑務所では昼食時に所長の巡回の目の前で、ジョーが嘔吐する。
ジョーは直ちに保健室に連れていかれ、安静にさせられるが、トイレに行きたいとごねる。
看護師は拒否するが、掃除をしていたクライドが連れていくと申し出てトイレに向かう。
ジョーとクライドはトイレでペーパータオルの格納棚を外して壁の内部から外部へ逃げる。

食堂では囚人たちが喧嘩を始め、所長は即座に各扉をロックさせ、保健室とトイレの間もロックされる。
外に出たジョーとクライドは、給油で出所する護送車の下に隠れあらかじめ密かに作っていた箱でカバーして、
鏡によるチェックを回避、まんまと刑務所の外に出る。

ガソリンスタンドで箱から出たジョーとクライドは、メリーが運転するムーディの車でスピードウェイに向かう。
スピード出し過ぎを気にするクライド。
この辺りには出動中のパトカーは1台しかなく、そのパトカーがジミーの偽の通報で無関係の車を検挙している横を猛スピードで通過、
無事にスピードウェイに着いた。

その頃、サムとフィッシュがジミーの指示通り薬剤を調合し、キュービクルに投げ込むと爆発、
コンピューター室が故障し、各売店のレジはクレジットカードなどが使えなくなってしまった。
混雑する売店の支払いはすべて現金に切り替えられた。

ジョーとクライドは服を着替えてお菓子を買い、地下の現場に向かう。
ジョーはお菓子を混合し、爆破物を作る。
件のパイプで金庫室に爆破物を押し込むが、爆発せず一旦は戻ってきてしまう。
調整しなおして再度投入すると今度は金庫室で爆発が起こり、煙が各レジのPTT(搬送パイプ)の入り口まで逆流してくる。
火災を疑う保安室は警備員を地下通路に送る。

その頃地下ではパイプを逆流させ金庫に溜められた現金を吸い上げていた。
サムとフィッシュも加わって現金をゴミ袋に詰め、ゴミ回収車で外に運び出す。

サムとフィッシュは途中で警備員に出くわすが、煙や臭いの異常はなかったと言ってやり過ごす。
しかし、外への扉が引っ掛かって開かず、戻ってこない。
ジョーが行ってもらちが明かず、結局ジミーがチェーンを直して解決。
大量の現金が運び出された。

さらに現金を吸いだしているときにパイプ操作をミスり、機械を逆転させたため、クライドの義手が吸い込まれてしまった。
焦りまくるクライドをジミーがなだめ、ジョーとクライドを離脱させる。
メリーが再びジョーとクライドを乗せて刑務所の近くまで送る。

サーキットではチルブレインがクラッシュしてスピン、リタイアとなった。
コ・ドライバーのホワイト(セバスチャン・スタン)と口論しながら地下通路に入り、ジミーに出くわす。
ジミーはチルブレインに一発食らわせて逃げる。

その頃、刑務所内では囚人たちが食堂に立てこもり、しょうもない要求を所長と掛け合っていた。
なかなか調整がつかず、囚人たちは壁を目隠しし、中でゴミに火をつける。

火災警報が点灯し、事ここに至ってついに所長は消防への要請を出す。
その頃、消防署の近くで待機していたジョーとクライドは出動する消防車に隠れ、まんまと刑務所内に入り込む。
所長はやむなく各ゲートのロックを解除。食堂に入った消防署員は煙るゴミ箱に消火液を一瞬吹きかけて消火完了。
抜け出した穴を通って保健室に戻ったジョー、看護師もロックアウトされていたためジョーの抜け出しには気づかず。

メリーはムーディの車をサーキットの駐車場に戻し、急いでコンクール会場に行き、サディのヘアメイクを終える。
ジミーも急いで会場に向かい、サディの出番には間に合った。
いよいよ、サディの出番。
「アンブレラ」を歌うため、ビニール傘を持って出てきたサディ。
ジミーの姿を会場最後尾に見つけたサディは傘を捨て「パパの大好きな歌を歌います」と言って、
「カンツリーロード」をアカペラで歌う。
会場に響くサディの歌声に観衆も声を合わせ、会場全体の合唱となり、見事サディは優勝を果たす。

こうしてすべてうまくいったかに見えた現金強奪事件。
捜査に乗り出したのはFBIのサラ・グレイソン特別捜査官(ヒラリー・スワンク)
捜査を始めて程なく、ゴミ袋に入った現金がコンビニの裏手で発見され、サーキットから盗まれたものだとわかる。
鮮やかな手口で盗んでおきながら返すなんて、なんて良い奴だ、と地元では英雄視する人々まで現れる始末。

グレイソンはローガン兄弟の行動とジョー・バングの関係や不思議な偶然に気が付くが、確証は得られない。
ジミーは携帯の金を払っていないので切れており、車はGPSが付いておらずメールもSNSも使っておらず調べられない。
当日、地下通路で不審人物を見たとチルブレインが訴えたものの、一緒にいたホワイトは誰にも会ってないと証言する。
刑務所長も食堂でボヤはあったけど、それ以外は何もなかったと証言。
捜査は行き詰まり、まったく進展のないまま時間が過ぎていった。

所内で金を返したことを知り、憤慨していたジョーも刑期を終えて出所し、クライドに様子をうかがうが、
クライドもジミーのことは知らないという。

事件から半年が経過し、サーキットは見つかった金との差額が保険で補填されたため事件を幕引きしたいと言い、
捜査は打ち切られることとなった。

憤慨しながらも元の自宅で暮らしているジョー・バング。
外で物音がし、行ってみるとシャベルが落ちいてた。
もしやと思い、出所後用に隠した金を妹が持ち逃げした隠し場所を掘ると、ゴミ袋に入った大金が。

高校時代の後輩でボランティアで医療活動をしているシルビア・ハリソン(キャサリン・ウォーターストン)に
匿名で現金が送られてきた。
刑務所内で暴動の音頭取りをした囚人にも出所時にお迎えの車と現金入りの封筒が。

全てはジミーの計画通りだった。
最初に運び出した現金は返したものの、その後でジミーとメリーは残りの金を袋詰めして持ち逃げ、
ほとぼりが冷めるのを待っていた。

携帯の金を払わなくても警察(FBI)が捜査、盗聴している間は通信は生きている。
それが最近切れたのでついに捜査が終わったと見て、掠め取った金を仲間に分配した。

それぞれがそこそこの金を手にし、暮らしていた。
クライドはロボットアーム義手を装着して使っていた。
楽しく歓談するジミー、ジョー、メリー。
そんなみんなを一人カウンターで飲みながら見つめる私服のグレイソン捜査官だった。

予告はうまくできている。
核心的なところは見せず展開を想像させながらミスリードしつつも本質的なずれやネタバレはない。

全体に緩急自在で、詰め込んだエピも混乱せず、テンポよく展開する。
終盤のネタばらしも(多少無理くりはあるものの)小気味よい。

ヘルメットを投げ捨てるところ、火炎瓶を投げ込むところなどアメフトの花形選手(おそらくはQB)だったことを
さりげなく示唆するなどの演出は憎い。

事前に知らなかったので、エンドロールで監督がスチーブン・ソダーバーグだったと知ってびっくり。
映画監督はもうやらないと言っていたらしいが、この後も公開予定作品があり、完全復帰か。
本筋の金庫破りもさることながら、兄弟愛、家族愛もうまく挟み込んでいて見事。

なお、「オーシャンズ8」はプロデューサーで参画、同作の監督は「ハンガーゲーム」(1作目)のゲイリー・ロス。

娘役ののファラ・マッケンジーには感服させられた。アカペラで「カントリーロード」を歌うシーンはぐっとくる。
ハリウッドにはこういう子役がごろごろいるのかと思うとすごすぎる。

びっくりと言えば、キャサリン・ウォーターストンにもびっくりした。
ヒラリー・スワンクが出てきたときは、こりゃすんなり終わりそうもないなとは思ったものの、
あそこまでいろいろあるとは思わなかった。
いい意味で裏切られた感じ。

 

 

                   

 ザ・サークル   

エマ・ワトソン、トム・ハンクス、ジョン・ボイエガ、エラー・コルトレーン、カレン・ギラン、パットン・オズワルド。

メイ・ホランド(エマ・ワトソン)は、臨時雇いでいわゆる「お客様窓口」で問い合わせ電話の対応に明け暮れている。
MS(多発性硬化症)を患い医療費が高額なため適切な治療が受けられない父と介護する母の3人で田舎暮らし。
近くには幼馴染みの木工職人マーサー(エラー・コルトレーン)がいる。

正社員の仕事を探していたが、友達のアニー(カレン・ギラン)の紹介で彼女の勤めているIT企業「ザ・サークル」の
面接に受かり、家を出て寮に入ることになった。

当面の仕事は従来と同様のクレーム対応。
今までと違うのは顧客の満足度が即座に示されるところ。
当初は80点(80%)程度の数字しか上げられず、頑張ってみたが逆に下がり落ち込む。

社は福利厚生も充実し、自由な雰囲気で仕事もできるし、雰囲気は最高だ。
定時後にはパーティも行われる。

パーティでは黒人青年(ジョン・ボイエガ)と出会うが、この時メイはまだ彼の名前は知らない。

週末家に帰り、家の手伝いや、趣味のカヤックで時間を過ごす。
翌週、出社したメイは、マットとジーナの2人から社内のグループ活動に参加したほうが良い、と勧められる。
2人は父のMSのことも知っており、そういうグループもあるし、カヤックのグループもある、という。
メイの父は会社の手厚い保険に入ることができ、最新治療も受けられ、両親も喜んでいた。

久しぶりに、CEOのイーモン・ベイリー(トム・ハンクス)のスピーチがあった。
元々、「ザ・サークル」はシングルサインインでソーシャルメディアを統合するプラットホームを提供していたが、
今回さらに世の中のあらゆる出来事を共有するために「シー・チェンジ」と呼ぶ小型カメラを開発提供し、
人々が気付かないうちにいたるところにカメラを設置し、誰もが自由に見られるシステムを開発したとのことだった。

メイは仕事に徐々に慣れ、対応の評価点も徐々に上がってきた。

比較的自由に家族とも会話できる社風で、いつものように母とTV電話で話していると、マーサーが作った鹿の角のシャンデリアが目に入った。
メイは思わずそれを写真に撮り、自分のSNSで紹介した。

ある日の講演でCOOのトム・ステントン(パットン・オズワルド)が、一人の上院議員を紹介する。
彼女は政治家の行動のすべてを有権者(納税者)が知ることができるべきであるとして、自分自身のすべてを公開すると宣言する。

後日、メイが先日の黒人青年に会うと、あるものを見せると言う。
彼は、機密の区域にメイを連れていき、先の上院議員の行動のすべてが蓄積されるサーバーを見せる。
その後、破棄された地下鉄用トンネルを見せ、ここに秘密が隠されている、と語る。

黒人は自分こそがサークルを発展させたトゥルーユーの開発者であるタイ・ラフィートであり、
サークルが誤った方向に進まないようも身分を偽って社内に入り込んでいるのだと言う。

暫くして、マーサーが面会にやってきた。
マーサーはメイが上げた鹿の角のシャンデリアのせいで鹿殺しと非難され、殺人予告まで受けていると言う。
マーサーの姿を見たサークルの社員は「鹿殺し」と叫び、メイと会っている様子を動画に撮る。
マーサーはメイと関わりたくない、と言って帰ってしまう。

その夜、メイは気晴らしにカヤックに乗りに行くが店は閉まっており、勝手にカヤックを持ち出して漕ぎだす。
霧が出てくる中、波は荒れ、カヤックが転覆するが、程なくヘリに救助される。
それはたまたまではなく「シー・チェンジ」でメイの様子を見ていた人物からの通報で出動したものだった。

メイは誰もが見ていないと思うことが、不正を働いた原因だったとして、自分の全てを公開する=「透明化」すると宣言する。
新型のシー・チェンジカメラを装着し、トイレや就寝時以外のすべてをネット公開することにした。

両親の様子を見ようとして自宅のシー・チェンジを操作し、見てはいけないものまで見てしまうが、
それを何千万人と言うメイのフォロワーと共有することになる。

メイをサークルに誘ったアニーは仕事に疲れ、メイを避けるようになる。
メイは幹部の会議に出席するよう指示され、トゥルーユーのアカウントで選挙などの公的サービスを利用する提案をする。
アニーはやり過ぎだとして会議を離席してしまう。

暫くして、メイは新しいシステム「ソウルサーチ」のお披露目のプレゼンを任されることになる。
「ソウルサーチ」はSNSを使って行方不明者や指名手配者を探し出すシステム。
ランダムに選ばれた人物は殺人脱獄犯。
20秒と区切った制限時間のおよそ半分で所在を発見、駆け付けた警官が犯人を確保することができた。

次は一般人でテスト。観衆に押されてメイはマーサーを探すことにした。
あっという間にマーサーは発見され「鹿殺し」と罵られる。
焦ったマーサーは車で逃げ、追ってきたドローンにびっくりして橋から転落死してしまう。

メイはショックを受けて自宅に帰り寝込む。
深夜、メイはアニーに電話する。アニーはスコットランドに戻り静かに暮らしていた。
メイはタイ・ラフィートとも話をする。
タイはベイリーやスタントンが集めた情報を流用し、違法な事をしている証拠をつかんでいるなどと語る。
メイはサークルに戻る決心をした。

ベイリーはマーサーの死に対して車の安全機構をもっと高めればよかった、そのための新機能を開発する、と講演し、
壇上にメイを呼ぶ。

メイは、みんなのおかげで立ち直れた、サークル、トゥルーユーは素晴らしいと持ち上げ、
すべての人が透明化するべきでベイリーとスタントンに率先してもらう、と宣言して新型のシー・チェンジを渡す。
そして、ベイリーとスタントンのすべての資料やメールを公開した、と告げる。

ベイリーはしてやられたとつぶやき、スタントンはそそくさと退場して照明を落とさせる。

暫くして、メイはドローンやシー・チェンジに見守られながら趣味のカヤックをこぎ出す姿が映し出されるのだった。

で、結局何なの? って感じです。
サークル社がやっている「重大な違法行為」の中身がさっぱりわからない。

情報強者が情弱を虐めている、あるいは虐めようとしている、あるいはこのままだと自分を操られるとか、
良いようにされてしまう、ということなのか。

人をつるし上げたり脅したり、ネットに負の部分があって社会問題になる、と言うのは、トゥルーユーやシー・チェンジを
待つまでもなく今でもあること。

例えば、犯罪を犯した芸能人とたまたま同性の親戚でも何でもない芸能人の事務所や出演番組に嫌がらせの電話が入ったり、
たまたま殺人犯と同郷で同性で無関係の人間が犯人の親だと名指しされ、非難や殺人予告が殺到するなんてのはつい最近もあった。

これらはネット情報を鵜呑みにした勘違いが元だが、善意か悪意かは別として、元の偽情報を書き込んだ人物は
ネットの匿名性に結果として守られていることになる。

トゥルーユーは実名制でおのずから責任(アカウンタビリティ)があると言っていたではないか。
いい加減な情報を流した人物は即座に特定され、拡散した人物も特定される。
そういう状況で誰かが流した「鹿殺し」を鵜呑みにして拡散し殺害予告まで出すのか。

そもそも「いやいや、鹿の角は毎年落ちるもんで、鹿を殺さなくても手に入る」という人間がなぜいない。
それにしては多い、と言う人物がいるかもしれない。
しかし、マーサーがどうやって鹿の角を集めているのか検証しようと提案もせず、鹿殺しと決めつける人物ばかりなのは不可解。
マーサーにしたって「鹿は殺していない」というなら「鹿の角はこうやって手に入れるんですよ」と公開すればよい。

サークル社の社員が集団催眠のような状態でマーサーを潰しにかかっていると言うのならそれはそれでありと思うが、
メイをフォローしている何千万人が一斉に同じ方向を向くことはあり得ない。

いずれにしても展開が安易すぎる。

安易と言えば、タイ・ラフィートがいくら自分を偽装していたとしても別人に成りすましてサークル社で勝手な行動をして、
誰にもバレないってどういうことなのか。
通常は目立たないようにしているとしても、指紋認証で解錠される機密区画に入っているのに、なぜ本人とばれない。
別人として認証されているとしても、極秘区画に入れる人物なのに。
さらに言うと極秘区画にカメラも赤外線センサーもない、スカスカのセキュリティ。

自分の作ったシステムを悪用されることも気づかなかったのに、初対面のメイを信用できる人物だと思った、とは安易に過ぎる。
タイに仲間が全くいないのも不可解。

メイはなぜタイを信用できる(できた)のかもよくわからん。
ただ、この点は原作小説ではメイはタイを最後まで信用せず、ベイリーらにばらしてしまい、タイの計画は失敗するらしい。

プライバシーが必要なのはわかる。
透明化と言いつつ、トイレや寝室は不透明だしね。
それにしては両親は不用意と思えるが、そもそも他は切ったのになぜ寝室だけオンにしていたのか。
さらに言えば、なぜあの角度にカメラを設置していたのか、何故灯りをつけたまま行為に及んだのか、
分かりやすくするための演出だとは思うが、これも安易。

全てをネットにさらけ出すことの恐怖は分かる。
強制的にプライバシーを取り上げられることの怖さもわかる。
しかし、どうもリアリティに欠けるし、この程度のことであればサークル社でなくてもできそうだけど。

もう一つ。
メイが付けていた新型のシー・チェンジ。
ああいう着け方をしてストリーミングで見たら、ぶれぶれでいわゆるビデオ酔いしまくりになり、
到底視聴に耐えられない。
あのサイズでスタビライザー機構(機能)付きだとすれば、それはそれで大したものだが、
胸、それも服の上に装着したのではぶれは防げまい。

 

 

      

         

 ブレードランナー2049  

ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード、ジャレッド・レト、アナ・デ・アルマス、ロビン・ライト、シルビア・フークス。

1982年に公開されたカルト的SFにして不朽の名作「ブレードランナー」の続編。
もっとも「ブレードランナー」の公開当初は日米ともに不評で(日本ではキャッチコピーによるミスリードも悪影響の噂)
日本では早々に公開打ち切りとなっている。

本編に入る前に、前作「ブレードランナー」についてざっくりおさらいをしておこう。

環境汚染により大半の人類は地球外に移住し、バイオテクノロジーによって「製造」したレプリカントを使っていた。
レプリカントは時間が経つと感情が芽生え、人類に反抗して逃亡し、人類に紛れ込むようになるので、
これらを探して「解任」(抹殺)する専任警察官が「ブレードランナー」である。

2019年、一部のレプリカントが地球外世界で反乱を起こし、4体が地球に帰還した。

そこで、これらを「解任」(抹殺)するため、の引退したブレードランナーのデッカード(ハリソン・フォード)が呼び出された。
デッカードは情報を得るため、レプリカント製造会社のタイレル社の社長タイレル(レプリカント発明者)に面会する。
そこで秘書のレイチェルがレプリカントであることを見抜くが、レイチェルに惹かれていく。

デッカードは、4人の居場所を探り、レプリカントを倒していく。
最後のレプリカントのバッティはタイレル社長に会って寿命を延ばすよう依頼するが不可能と言われて殺してしまう。
その後、バッティとデッカードの争いとなり、寿命が間近に迫ったバッティは最後にデッカードを助けて死ぬ。

デッカードはレイチェルと共に逃亡して映画は終わる。

前作と今作の間に起こった出来事はテロップで説明される。

2022年、大停電が起こり、殆どの電子的記録が失われる。
その後、食糧難が起こり、レプリカントが大反乱を起こしたため新たな製造が禁止され、タイレル社はつぶれる。

食糧難はウォレス社の人工食料によって解決し、ウォレス社はタイレル社のノウハウを引き継ぎ、
2036年の法改正によって許可された新たなレプリカントの製造を始める。

2049年、富裕層はオフワールド(地球外)に移住しており、以前として環境汚染の激しい地球には一部の人間とレプリカントが住んでいる。

2049年、ブレードランナーのK(ライアン・ゴズリング)は、スピナーを駆って、農場に着く。
サッパー・モートン(デーブ・バウティスタ)がハウスから戻り、Kと口論の末、Kはサッバーを「解任」し、
その眼球を取り出して帰ろうとするが、近くの木に根元に花が供えられているのを見てそれを持ち帰る。
(レプリカントかどうかを目で判定する機械がある設定らしい)

自宅ではホログラムAIの恋人ジョイ(アナ・デ・アルマス)と暮らすK。
K自身がレプリカントであることはみんなに知られており、周りから差別されることも多い。

Kはジョイを室内のプロジェクタから解放するエミッタを購入し、ジョイを始めて室外に連れ出す。

そこにKの上司であるジョシ警部補(通称マダム、ロビン・ライト)から連絡が入る。
花が供えられていた木の下に箱が埋葬されており、その中に人骨が入っていたと言うのだ。

女性の人骨にはレプリカントの製造番号が刻まれており、帝王切開によって出産したことがわかった。
ジョシはレプリカントが出産したことがわかれば社会が混乱する(レプリカントに子供はできないとされていた)と考え、
子供の捜索と抹殺をKに命令する。

Kはまず、骨のレプリカントの正体を調べるためウォレス社に向かう。
それが元のタイレル社製で音声記録でデッカードと逃亡した女性だとわかるが、デッカードの行方はわからない。

一方のウォレス社の社長のウォレス(ジャレッド・レト)は、かつてレプリカントに生殖能力があったと知り、
その証拠である女性の骨と行方不明の子供を入手するよう秘書のラブ(シルビア・フークス)に指示する。

Kはサッパーの家に戻り、例の木の根元に「6 10 21」と刻まれていたことに気づく。
Kはサッパーの家に火を放つ。

警察の死体安置所ではラブが検死官を殺害して例の女性の骨を持ち出す。

ジョシは検死官の死を受けてKのアパートを訪れ、捜査を急ぐよう指示する。
また、埋め込まれたものかもしれないと知りながら子供のころの思い出を話させる。
Kは子供のころ、大好きだった木彫りの馬を友達に取られそうになり、廃炉の灰の中に隠したと話す。

しかし、その馬の足の裏に「6 10 21」と刻まれていたことは言わなかった。

Kは警察の資料室で2021/6/10生まれの人物について調べる。
すると、DNA情報が全く同じ男女の双子を発見。
二人とも孤児院に入れられ、女児の方は幼くして死亡し、男児は行方不明だとわかる。

Kは男児の最後の場所である廃棄場内の孤児院に行く途中、襲撃を受けるが追跡していたラブとその仲間の援護射撃で助かる。
孤児院では子供を使って廃棄物の解体をさせていた院長を脅して当時の記録を調べさせるが、2021年の記録だけが失われていた。

その帰り、Kはその場所が思い出の廃炉の場所に酷似していると思い、木彫りの馬を隠したはずの場所を探ると、
思い出通りの馬が出てきて「6 10 21」と刻まれていた。

ジョイはKが人間の証拠だと言って、Kをジョーと呼ぶようになる。

Kは思い出デザイナーのアナ・ステリン博士(カーラ・ジュリ)博士を訪ねる。
両親はオフワールド(地球外)へ移住したが、自身は免疫不全のためドームから出られない生活をしている。
ステリン博士は、Kの記憶が本物かどうか尋ねる。
ステリン博士は本物の記憶を埋め込むのは違法だが、Kの記録は本物だと言って涙を流す。

Kはジョシからの命令で署に戻るが安定性検査で動揺を見せ、ジョシに詰問される。
Kは子供を見つけて処分したと嘘の報告したものの動揺のせいで停職となる。

その夜、ジョイは繁華街でKに近づいてきたレプリカント娼婦、マリエッタ(マッケンジー・デイビス)を家に呼んでおり、
彼女に自身を重ねてKとベッドを共にする。
翌日マリエッタは発信器をKのコートに忍ばせて帰る。

Kは嘘がばれると処分されると思い、ジョイのアンテナを壊してともに家を出る。
Kは木馬を鑑定させ、放射性物質からラスベガスで作られたものだと知る。

一方、ラブはKの所在をジョシに問い詰め、遂には殺してしまい、署のPCでKを追跡する。

Kはラスベガスのホテルに入り、遂にデッカードを見つける。
デッカードはKを始末しようとするが失敗して疲れ、酒でも飲むか、と誘う。
Kはデッカードに子供のことを聞く。
デッカードは子供を守るため、記録の抹消や改ざんについて教えて、子供が生まれる前にレイチェルの前から姿を消したという。

デッカードは誰か(実はラブ)が、Kをつけてきたと知り、車で逃げようとするが、寸前でラブに捕まる。
ラブはKをタコ殴りにし、ジョイのエミッタを壊す(ジョイは消滅する)。

マリエッタがKの発信器で居場所を知り手当てをする。
マリエッタはウォレス社の手先ではなく、レプリカント解放運動の一人だった。
リーダーである女性は、仲間を守るためデッカードを殺すようKに依頼する。
そして、レイチェルの子供である「女性」をリーダーとして蜂起するのだ、と言う。

「女性」・・男女の双子で女は死んだ、というのは嘘だったのだ。
やっぱり自分は作られたレプリカントだったとがっかりするK。

その頃、デッカードはウォレスに子供の居場所と引き換えにレイチェルのコピーレプリカントに引き合わされる。
デッカードとの記憶を埋め込まれたレイチェルのコピーだったが、彼女の目はグリーンだった、とデッカードは拒否する。

ウォレスはデッカードを拷問するため移送するが、Kが追ってきて襲撃、激闘の末、ラブを倒してデッカードを救出する。
Kはステリン研究所にデッカードを連れて行き、娘に会えと言って自身は雪の中に倒れる。

デッカードはドームの中のアナ・ステリンに会い、言葉を交わすところで映画は終わる。

**

実をいうと「ブレードランナー」はちゃんと見ていない。
それどころか、「レプリカントが殺人ゲームのターゲットになり逃げる映画」だと思っていた。
先日ざっくりとレイチェルがデッカードを助ける(2人目を解任する)ところまでは見たが、
とろい展開でその後は見なかった。

本作もよく言えばしっかりと丁寧に描かれている、悪く言えば展開がまどろっこしくとろい。
余分なシーンが多いと言うわけではなく、各カットが長い。ある意味邦画的。
もう少しチャチャッとやれば160分もかからなかったろうに。

ただ、観客をミスリードするような展開だったり、伏線だったりは良かった。
例えば、Kがアナ博士と会って憶測が確信になっていくシーンでアナ博士が涙を流す所。
アナ博士がKの動揺に共感したシーンだと思いきや、後々とても大事なシーンだったとわかる。

ホテルに入るときに足がワイヤーに引っかからないようにするシーンも後で効いてくるし、
全般に余計なセリフで説明を入れないのがとても良い。

効果音の使い方は多分に「メッセージ」を思い起こさせる。
監督(ドゥニ・ビルヌーブ)は同じなのだが、彼の思う未来のイメージなのか。

レイチェルがレプリカントだったのは前作の最初から明らかになっているが、デッカードがそうなのかは実は明らかではない。
ファンの間ではかなり議論になっていたらしいが、リドリー・スコットはレプリカントであるとの考えに立っていたらしいし、
ある程度それを示唆するシーンもあるようだが、明示的ではなくそれがまた議論の種になっているようだ。

今作でもKがレプリカントであることはすぐに示されるが、デッカードは相変わらずはっきりしない。
逆にレプリカントであるはずのKが実は人間だったんではないのかの疑念を持たせる展開になっている。

ウォーレスがレプリカントが生殖能力を持つことで自分たちの事業が伸びると言っていたと思うが、
レプリカントはクローンではないが、クローンもので良く出てくる、大人がいきなり生まれることはない。
クローンの場合は、赤ん坊が生まれそれが年月を経て大人になるわけで、時間が掛かる。

レプリカントが子供を産むようになり、何らかのテクニック、例えば遺伝子操作などで成長を10倍速められたとしても
大人になるまでには何年もかかる。
さらに、成長の促進と老化の防止の両立が必要で、言い方は適切ではないがロスもあり、レプリカントの大量生産の方が効率が良いはずだ。

ホテルのステージのエルビス・プレスリー、マリリン・モンロー、ジューク・ボックスのフランク・シナトラは
いずれもそっくりさんのようだ。
特にモンロー役のスージー・ケネディは有名なモンローそっくりさんらしい。
どこまでモディファイされているのかはわからないが、シナトラは本物に見えた。

アナ・デ・アルマスは「スクランブル」よりもすっとよかった。
ジャレッド・レトは「スーサイド・スクワット」とは別人のよう。

カジノホテルの「韓国語表記が気になる」との意見が多いようだが、韓国語はあのシーン以外出てこない。
文字を反転させると

何と書いてあるのか気になって調べたところ、読みはヘンウン、意味は幸運だった。

その他では、ロシア語は分からないので何とも言えないが、日本語はでたらめではなく意味のあるものばかりだった。

 

 

                  

  マイティ・ソー バトルロイヤル    

クリス・ヘムズワース、トム・ヒドルストン、ケイト・ブランシェット、カール・アーバン、アンソニー・ホプキンス、
イドリス・エルバ、ベネディクト・カンバーバッチ、マーク・ラファロ、浅野忠信。

マグマ燃えたぎる星で、ソー(クリス・ヘムズワース)は囚われの身となっていた。
ソーを捕え、アスガルドを破滅させると息巻いているのは炎の怪人サータ―(スルト)。
アスガルドの永遠の炎で自身の冠を焼けば、巨大化し、アスガルドを焼き尽くすことができるという。

そして、ラグナロク(神々の運命、神々の黄昏、世界の終末)は既に始まっていると言う。
ソーはムジョルニア(ミョルニル、Mjornir、トール・ハンマー)を使って、サータ―を倒し、
その冠を手に入れ、アスガルドに戻ろうとするが、ビフレスト(虹の橋)の番人がヘイムダールから
お調子者のスカージ(カール・アーバン)に代わっており、ソーの合図に気づかない。

ソーがやっとアスガルドに戻った時、宮殿ではロキの死を讃える舞台劇が行われていた。
ソーはのんびり芝居を眺めるオーディン(アンソニー・ホプキンス)がロキ(トム・ヒドルストン)の化けた姿と見破り、
ロキとともにオーディンを探すためにミッドガルド(中つ国、地球)に移動する。

ニューヨークに降り立った二人だが、オーディンがいたはずの老人ホームは既に取り壊されていた。
呆然とする二人だったが、ロキが突然現れた穴に落ちてしまう。
残された名刺の住所、ブリッカー通り177Aに行くと、マントの男、ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)が現れ、
オーディンの場所を教えると言う。
ドクター・ストレンジはロキを戻し、ソーとともにノルウェーの海岸に送る。

二人はオーディンと再会する。
オーディンは自分の命が尽きると、長女で二人の姉のヘラが復活する。
彼女がアスガルドに戻ればパワーが増し、手が付けられなくなるので阻止するように、と言い残して消えてしまう。
その際、オーディンもラグナロクはすでに始まっていると言う。

突然、ヘラ(ケイト・ブランシェット)が現れ、ソーの投げたムジョルニアを受け止め、握りつぶしてしまう。
砕け散るムジョルニア。
危機を感じたロキがアズガルドへの転送を叫ぶと、現れた転送路にヘラまでが乗り込み、ロキを突き落とし、
さらにソーも転送路の外に突き落としてしまう。

アスガルドについたヘラは、ボルスタッグとファンドラルを殺し、ビフレストの番人のスカージを従えて宮殿に入る。
ソーのウォリアーズ3の残りの一人、ホーガン(浅野忠信)と兵士らがヘラを倒そうとするが、反撃されて全滅する。

ヘラは宮殿の奥深く、地下に埋葬されていた自身の軍団とフェンリル(巨大な狼)を甦らせ、アスガルドを支配する。
元々、オーディンの野望はアスガルドにとどまらず、全宇宙を支配することだった。
オーディン亡きあと、自分がそれを成し遂げるとするヘラは、ビフレストで他世界へ行こうと考えるが、
カギである剣が持ち去られており、ヘラは剣を探すよう命令する。

剣を持ち出したのはヘイムダール(イドリス・エルバ)で、アスガルドの住民を山奥に匿っていた。

さて、ビフレストの転送路から突き落とされたソーは、ゴミの星サカールに落ちる。
そこで女スクラッパー(テッサ・トンプソン)に電撃ショックの電極を付けられ、拉致されてしまう。
連れていかれた先は、この星の支配者であるグランドマスター(ジェフ・ゴールドブラム)。
グランドマスターはソーを戦士として戦わせ、勝てば自由にする、という。

ソーはグランドマスターの取り巻きにロキを見つける。
ロキはグランドマスターに取り入っておいしい思いをしていた。

ソーは他の戦士がいる房に入れられ、その後、髪を切られて競技場に入れられる。
相手はチャンピオンのハルク。
ハルクはソーを殴り倒し、ソーも反撃する。
倒されそうになったソーは覚醒し、雷神のパワー全開してハルクを倒すが、電撃ショックで倒れ、ハルクに押しつぶされる。

ソーはハルクの居室に閉じ込められ、スクラッパーが実はバルキリーだったことが分かる。
しかし、バルキリーはオーディンの命によるヘラ討伐の戦いで自分を除いて全滅してしまい、恨んでいた。

ソーは何とかリモコンを奪って電極を取り外し、窓を破ってハルクの残したクインジェットで脱出を試みるが、
追ってきたハルクがクインジェットの各部位をぶち壊してしまう。
しかし、その際装置に表示されたナターシャ・ロマノフ(=ブラック・ウィドウ、スカーレット・ヨハンソン)の姿に驚き、
ブルース・バナー(マーク・ラファロ)の姿に戻る。

ブルースを連れて逃げるソー。
バルキリーがロキを捕まえており、一緒にグランドマスターの宇宙船でワーム・ホールを使ってアスガルドへ行こうと誘う。
ロキの言葉にほだされたバルキリーも仲間に入り、グランドマスターの宇宙船を奪うが、またもロキが裏切り見捨てられる。

ブルース・バナー、ソー、バルキリーが逃げ、グランドマスターの部下が追う。
ソーらは敵を撃退して悪魔の肛門と呼ばれるわーるホールを通じて逃げる。

ソーは戦士の房も壊しており、戦士らがグランドマスターに反乱を起こす。
戦士らはロキを助け、ソーらの後を追ってアスガルドに向かう。

ヘラはヘイムダールとアスガルドの民が隠れている山に向かい、洞窟を発見し攻め入るが、すでに逃げた後だった。
ソーはビフロストを使って民を逃がそうとするヘイムダールの時間稼ぎのために王座に向かい、気づいたヘラと戦う。

ヘイムダールやバルキリーはヘラの軍団と戦うが、フェンリルには歯が立たない。
二度とバナーに戻れなくなるかもしれないリスクがある中、バナーはハルクとなってフェンリルと戦う。
大型宇宙船で到着したロキも加勢し、その間にアスガルドの民は大型宇宙船に乗り込む。

ソーはヘラに片眼をつぶされるが再び覚醒してヘラに最大限の雷を落とす。
しかし、ヘラは倒れず、ソーはサーターの力を使うことを思いつく。

そして、ロキが宝物庫に向かい、サータ―の冠を永遠の炎に晒すと、サータ―は蘇って巨大化し、
炎の剣を使ってアスガルドを破壊し始める。

アズガルドの民と一緒に宇宙船で脱出しようとするソーらに対し、それを阻止しようとするヘラ。
宇宙船に突き刺した岩を伝ってヘラの軍団が宇宙船に上ってくる。

アズガルドの民に交じって逃げようとしていたスカージが反撃して岩を砕き、宇宙船は離脱するが
スカージはやられて死ぬ。

ヘラはサータ―と対決し、サータ―は炎の剣でアズガルドを完全破壊、ヘラはアスガルドをとともに死ぬ。
その様子を宇宙船から見ていたソーら。
目的地はミッドガルド。
しかし、超々大型宇宙船に接近されたところで映画は終わる。

エンドクレジットの後、サカールでグランドマスターが死んでいなかったことが分かるシーンが出て、本当に終わる。

あの超巨大宇宙船の正体は不明。

ソーが、アスガルドに戻って、芝居を見るシーン。
ロキ役のキャストがマット・デーモンそっくりだな、と思っていたら、本当にマット・デーモン。

なお、ソー役もクリス・ヘムズワースに似てるなぁ、と思っていたら、ルーク・ヘムズワースでクリスの実兄。
蛇足ですが、弟はリーアム・ヘムズワース。

ソーの長髪を切るアイデアはクリス・ヘムズワーズ自身が思いついたらしいが、髪を切るのはスタン・リー。

気づかなかったが、アスガルド人の中に渡辺謙がいるらしい。

ニューヨークに降り立ったソーとロキ。
ロキの姿は3ピースではなかったようだが、ジェームス・ボンドだったらこんな感じか、と思わせる。
ベネディクト・カンバーバッチに会うわけだし、ブロッカー街177Aはベーカー街221Bのパロディ。

あちこちに笑う小ネタがたくさんあった。
ガラスにぶつかって跳ね返されるシーン。
ソーがハルクの裸を見た後で、マーク・ラファロがズボンがきついと言うシーンは、しつこい。

ハルクがソーをバッコンバッコンやるシーンは、以前の作で、ハルクがロキをバッコンバッコンやるシーンの再現。

次回は「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」でスーパーヒーロー再集結となる。

バルキリーも出るらしい。

神話によれば、と言ってもマーベルがどの神話をどのようにアレンジしているのかわからないが、
アスガルドはスルトによって滅ぼされ、オーディンやソー、ロキなども死んでしまうらしい。

字幕では何度も出てくる「ラグナロク」(ソー:ラグナロク)が原題。
ラグナロクは「神々の黄昏」の訳が定着しているようだが、アスガルドの滅亡を意味しているようだ。

何故、何を以て、邦題をバトルロイヤルにしたのかは理解不能。

 

 

                 

 

 アトミック・ブロンド 

シャーリーズ・セロン、ソフィア・プテラ、ジェームズ・マカボイ、ジョン・グッドマン。

1989年11月9日。
東ドイツ報道局長が記者会見で「誤った」発表をしたため、東ドイツから西ドイツへの自由な通行が可能となり、
事実上ベルリンの壁が崩壊、翌11月10には本当に壁の崩壊(破壊)が始まった。

この物語は、その直前直後の物語。

1989年11月。
東ベルリンでMI6の諜報員ガスコインがKGBのバクティンに殺され、腕時計を奪われる。

10日後。
全身傷だらけのロレーン・ブロートン(シャーリーズ・セロン)は氷風呂で体を癒し、MI6本部に出向く。
MI6の上司エリック・グレイ(トビー・ジョーンズ)とCIAのエミット・カーツフェルド(ジョン・グッドマン)が、
立ち合い、ロレーンにベルリンでの報告を求める。
上位の上司であるC(ジェームズ・フォークナー)はマジックミラーの向こう側で様子を見ていた。

物語はロレーンの報告の形で進行する。

話は、ガスコイン殺害の直後に戻る。
ガスコインの持っていた腕時計には西側スパイの情報を記したリストがマイクロフィルムとして隠されており、
それが東側に漏洩すれば西側にとって大打撃となる。
ロレーンにはCより、東ドイツ潜入スパイのデビット・パーシバル(ジェームズ・マカボイ)と協力してリストを奪還せよ、
との指令が下った。

実はこの先、東ベルリンと西ベルリンが交錯して物語が展開するが、東ベルリンのはずがいつの何か西だったり、
いつ東ベルリンに入ったのか、いつ西ベルリンに戻ったのか、よくわからなくなってしまった。

そのパーシパルは、東ベルリンのパブでスパイグラス(伸縮式の小型望遠鏡、エディ・マーサン)の異名をとる人物と会っていた。
リストはガスコインに渡したから西ドイツに連れて行けと言うスパイグラスにパーシパルはリストが必須だと言う。
そこに東ドイツの官憲が乗り込み、パーシパルはスパイグラスを逃がし、官憲を倒して地下に潜る。

ガスコインの遺体を引き取りに来たイギリスの弁護士として東ベルリンに入ったロレーンをパーシパルの代理2人が車で迎えに来る。
彼らがKGBだと見抜いたロレーンは、2人を倒して車を横転させ、追いついたパーシパルの車で逃げる。

ロレーンはガスコインの遺体を確認するも書類が不備だとして引き渡しを拒否される。
ロレーンは、ガスコインのアパートを調べに行くが、すでに調べられた後。
しかし、パーシパルとガスコインが一緒に映っている写真を見つける。
暫くして東ドイツの官憲が捜索にくる。ロレーンは彼らを倒して逃走する。

ロレーンはパーシパルの手引きで西ベルリンに戻るが、自分の動きがパーシパルによって東ドイツ当局にばれていると感じ、
独自のルートで東ベルリンへの再潜入を図る。
ロレーンには二重スパイのサッチェルの正体を探るミッションも与えられていた。

ロレーンは時計屋(ティル・シュバイガー)に東ドイツへの潜入工作を依頼、翌日の約束を取り付ける。

ロレーンはパーシパルにバスティンの所在を聞くが、ガスコインはバスティンがKGBを裏切ってリストを売ろうとしていると話す。

ロレーンは独自ルートで東ベルリンに入るが、すぐにKGBに見つかり尾行される。
しかし、反撃して逃げることに成功。

その後、バーで知り合ったフランス人エージェント、デルフィーヌ・ラサール(ソフィア・プテラ)と恋仲になる。
実はデルフィーヌはロレーヌのベルリン入りから尾行しており、写真も撮っていたがロレーヌはそれに気づいていた。

ベルリンの壁の西側の展望台でCIAのカーツフェルドが、ロレーンにデルフィーヌが外されたと告げる。
しかし、デルフィーヌはまだ東ベルリンを脱出しておらず、ロレーンに接触する。

バスティンは時計屋に行き、貴重な時計を売りたいと語り店を出るが、パーシパルに殺され、腕時計を奪われる。

ロレーンは東ベルリンで西側スパイのメルケル(ビル・スカルスガルド)に会い、スパイグラスと家族を西側に連れ出す計画を練る。
東側のエージェントがビルから狙いをつける中、デモに紛れ、スパイグラスはロレーンが、妻と子をパーシパルが連れて移動する。
メルケルの指示でデモ隊は傘を差し、スナイパーから目をくらますことができたが、パーシパルが密かにスパイグラスを撃つ。
ロレーンはスパイグラスを連れて、近くのアパートに退避する。
KGBのエージェントが追ってきて、格闘になるが、ロレーンが倒して逃げ東ドイツのパトカーを奪う。
逃げ切れたと思いきや、横からぶつけられ車は川に落ちスパイグラスは死んでしまう。

ロレーンはかろうじて脱出、メルケルに助けられる。
全てがKGBにばれていることでパーシパルの盗聴を疑い、仕掛けた盗聴器を発見する。
その頃、パーシパルは腕時計のマイクロフィルムを取り出して内容を確認していた。

その後、パーシパルはデルフィーヌのアパートに行き、デルフィーヌを始末する。
デルフィーヌもまたパーシパルとグルで、新米スパイのふりをしてロレーヌに近づいていたのだった。

ロレーンは、デルフィーヌのアパートで彼女が殺されているのを発見、パーシパルを追う。
パーシパルはロレーンにお前の正体を知っているぞと言うが、ロレーンはお前がサッチェルだ、と言ってパーシパルを撃ち殺し、
腕時計を奪って逃げる。

ロレーンの報告にエリック・グレイは秘密を知るスパイグラスの救出失敗と優秀なスパイのパーシパルの射殺をなじるが、
ロレーンは手を汚さずに保身に走るグレイをなじり返す。

そして自身が録音し編集(改ざん)した証拠のテープとデルフィーヌの撮った写真などを提出する一方、
腕時計(リスト)の行方は知らないと嘘をつく。

その3日後、パリのホテルでKGBのブレモビッチと会うロレーン。
ブレモビッチはロレーンをサッチェルと呼び、腕時計を受け取ると彼女を始末しようとするが、反撃にあい仲間ともども皆殺しにあう。

ロレーンは、小型機でパリを離れようとするが、機に乗っていたのはなんとカーツフェルド。
ロレーンが結局はCIAのエージェントだと分かったところで映画は終わる。

二重スパイ、三重スパイ、誰が見方で誰が敵か。誰と誰が通じ合っているのか、複雑に絡みあっている。
場所も東ベルリンと西ベルリンが交錯するので、何処で何が起こったかわかりにくい。

おそらくは官憲の服装などで、誰がどちらかは分かるのだろうが、知らないと見逃してしまう。
特にパーシパルは自在に東西ベルリンを行き来できるのでなおのこと分かりにくい。

ベルリンの壁のすぐ近くまで行けて落書きされているのは西側で、壁まで100mほどの禁止区域があるのが東側、
なのは分かるが、街中では今の場所が東なのか西なのか分かりにくい。

実際のところ、分からなくても物語の展開にさほど影響はないが、分かっていたほうが良いのは言うまでもない。

原作はグラフィック・ノベルの「THE COLDEST CITY」だそうだ。
シャーリーズ・セロンもいろんな役をやるが、スパイアクションは初かも。
ここまで暴れるシャーリーズ・セロンも見たことがない。

1975/8/7、南アフリカ生まれ、177cm。

今作のシャーリーズ・セロンとタイマン張れそうなのはガル・ガトットぐらいしか思いつかないが、
彼女は1985/4/30、イスラエル生まれ、178cmと体格はほぼ互角。

興行成績次第ではシリーズ化も期待できそうな内容だが、2012年発売で続編は出ていないようだから
当分続編は無理。
仮に作るとすれば、別の女スパイものでやるか、原作者から権利を買ってやるしかないのかも。

KGBのスパイの一人、カギが顔に突き刺さる男はジョン・ハムかと思った。
顔はよく似ているが、実際はダニエル・ベルンハルトで1965/8/31生まれ、189cm。
なお、ジョン・ハムは1971/3/10生まれ、188cmとほぼ同じ体格。

ベルリンの壁が事実上崩壊し、東西ドイツの自由な往来ができるようになったのは1989年11月だが、
それ以前もかなりの合法的手段で、東ドイツから西側への脱出はできていたらしい。
ただ、直近まではいったん東ドイツから出ると二度と戻れない(再入国禁止の)ケースが多かったようだ。

また、例えば年金受給年齢に達すると、比較的容易に国外に出られたらしい。
(国は年金を支払わなくて済むため、事実上の国外追放のようなもの)

東ドイツの経済は疲弊し、国外債務が膨大になっていたそうだからある意味苦肉の策であったのかも。

ベルリンの壁崩壊に伴い、東ドイツから国民車であるトラバントが西側で走るようになると、そのおんぼろさ加減、
東西の性能格差にみんなびっくりしたものだった。

それまで自国の工業製品が世界最高水準と信じていた東ドイツ国民にとって、この格差はまさに目からうろこだったろう。

ボンネットが段ボールでできていると言われたものだが、実際には段ボールの繊維をプスティック樹脂で固めた
繊維強化プラスティック(FRP)が使用されていたらしい。

サイズは3.56m×1.51mとほぼ現行の軽自動車(3.4m×1.48m)サイズ。
エンジンは2スト2気筒600ccだが、23馬力とNコロ(ホンダN360、360CC、31馬力、1970年ころ)にも劣る。

1989年当時の日本の軽自動車規格は3.2m×1.4mの550ccだが、ターボ付きも普通になっており、
自主規制で登録上最大64馬力に抑えられていたが、実質は80馬力とも90馬力ともいわれていた。
この数字だけを見ても性能の低さがわかるだろう。

 

 

                 

 バリー・シール アメリカをはめた男  

トム・クルーズ、ドーナル・グリーソン、サラ・ライト。

バリー・シール(トム・クルーズ)はトランス・ワールド航空(TWA)のパイロット。
腕はいいが、禁制品のキューバ産葉巻を密輸して小遣いを稼いでいる。

ある日、シェイファー(ドーナル・グリーソン)と名乗る男が、バリー・シールの密輸を指摘、
逮捕するのかと思いきや、CIAのために働かないかと誘ってくる。

バリーは妻には内緒でTWAを辞めてCIAのために中南米の共産主義者たちのアジトなどの写真撮影をするようになる。
レーダーに引っかからないよう低空を飛び、監視の目の緩いルートを飛んで行き来する。
活動の範囲はグアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグアなど。
コロンビアにも飛ぶようになり、軍関係者に金を渡し情報をリークしてもらう運び屋もやっていた。

ある日、コロンビアで給油しようとしていると、やってきた男たちに拉致されてしまう。
その先にいたのは麻薬組織のボス、パブロ・エスコバル(マウリシオ・メヒア)。
エスコバルは、バリーのことを知っていて麻薬を運べ、と持ち掛ける。
断れない状況のバリーだが、1kg当たり2千ドルの報酬は魅力だった。
また、マイアミに降りろとの指示は危険すぎるとしてルイジアナの湿地帯に麻薬の包みを投げ落とすことで合意。

しかし、約束の200kgを100kgも超えた上に監視役のデブッチョを乗せては飛べない。
デブッチョは降ろし、短い滑走路でギリギリの離陸に成功する。
バリーはアメリカの監視網をかいくぐって、アメリカのマフィアの待つルイジアナの湿地帯に麻薬投下に成功。

再びコロンビアに入り、エスコバルらと成功に喜んでいると、コロンビア警察が突入してきて、バリーも逮捕される。
バリーが留置されているところへシェイファーがやってくる。
バリーは出してくれと頼むが、シェイファーは麻薬密売人は知らん、と言って去る。
結局、バリーは監獄から出されるが、シェイファーはすぐにアーカンソー州のミーナに引っ越すよう指示する。

ルイジアナ州の自宅に戻ったバリーは、歯抜けの状態でTWAを辞めたことを話す。
暮らしはどうすんの、私は3人目の子を妊娠してるのよ、怒りまくる妻のルーシー(サラ・ライト)に大金の詰まったバッグを渡してなだめつつ、
急いで荷物をまとめさせ、2人の子供ともども車で逃げ出し、途中で自宅捜索に来たパトカーとすれ違う。

ミーナは人口2千人ほどの田舎町で、メインストリートもシャッター街。
着いた先は家具も何もない、蛇口も壊れた一軒家。
シェイファーがクラクションを鳴らしてバリーを呼び出し、どこかへ連れていく。
そこは格納庫のある飛行場。
あの家からここまで、2000エーカー(約810万平米、8.1平方粁)が君の土地だ、というシェイファー。
格納庫には飛行機もあった。

CIAからの新しい仕事は銃の密輸。
CIAはニカラグアの反政府組織、コントラにソ連製のAK47を渡し、反政府活動に使わせるのだ。
バリーが、銃を渡す相手は銃よりもバリーのサングラスやブースを欲しがるような連中だった。

何度か銃を運んでいると、コロンビアのエスコバルが現れる。
コロンビアの取り締まりがきつくなったので、新しいルートでバリーに麻薬を運ばせると言うのだ。
銃の半分はメデシン・カルテルに横流しし、麻薬を仕入れ、アメリカに流す。

バリーは仕事を受け、大金を手にする。
CIAの依頼も増え、エスコバルの要求も増えていく。
バリーは人を雇い機を買い、事業を広げていった。

相変わらず、監視をかいくぐっての飛行。
国境警備隊などのジェット機は速過ぎて、バリーらを捕まえられない。
国境警備隊はプロペラ機を出してきてバリーに着陸を迫ると、バリーは町中に飛行機を着陸させて逃げる荒業に出る。

こうして、バリーは大金を手にし、町の銀行に預金。
町は徐々に潤っていき、バリーは地元の名士の様になっていく。
銀行にバリー専用の金庫ができたりもするが、金を預けきれず、家じゅうに転がって、遂には庭に埋める始末。

一方、CIAは銃を渡すのは止め、コントラのメンバーを密入国させ、バリーの敷地内で訓練することにした。
今度は銃ではなく人を運ぶことになる。

そんな中、ルーシーの弟でチンピラのJBが舞い込んでくる。
ルーシーの依頼で仕事を与えたもののやる気もなければ、遂にはバリーの隠していた金を見つけて
新車を買い、若い女の子をナンパしたりして、遣りたい放題。

バリーに散々叱られても反省せず、金を持ち出してついに逮捕される。
バリーにエスコバルから仕事の依頼が入るが、JBの件で忙しいと断ると、片を付けてやると言われる。

バリーはJBを留置所から出し、航空券と現金を渡してメキシコに逃げるよう諭す。
これから一生金を送れ、と捨て台詞を残して車を出すJBだったが、一瞬にして車が爆破され死んでしまう。

やがて、DEA(麻薬取締局)、州警察、FBIがバリーの逮捕に向かい、鉢合わせする。
バリーは逮捕されるが、上からの指令ですぐに釈放されてしまい、検事は怒りまくる。

CIAが訓練した奴らはニカラグアに戻ってもコントラの勢力にはなっていないこと、
また、武器弾薬も半分は外部組織に流れていたことが分かり、シェイファーはバリー作戦を中止。
密入国させた連中は全員帰し、バリー関連の資料もすべて焼却、証拠隠滅を図る。

バリーはDEAに飛行機に隠しカメラを設置、エスコバルらが麻薬取引する瞬間を撮影するよう指示される。
バレそうになりながらも見事に写真撮影に成功するが、DEAがバリーの写った写真を公開してしまい、
バリーはFBIとエスコバルの組織から追われることになる。

逮捕と財産没収を覚悟し、怒りまくる妻をなだめつつ妻と子を元の街に帰し、自身は逮捕される。
20年は食らわす、と息巻く検事。
しかし、下された判決は社会奉仕1000時間。

身の危険を感じ、保護を願い出るバリーにDEAは自己責任と切り離す。
バリーは今までのCIAやDEAの関係も含め、一切合切を独白しビデオテープに保存する。

バリーは社会福祉施設に毎日通うことにした。
毎日違うモーテルに泊まり、車で施設に向かう。

およそ1カ月が経ったころ、バリーの車に近づく怪しい影にバリーは殺されてしまうが、
警察がトランクの中から独白ビデオテープを発見し、事の次第が明るみに出た。

ルーシーは独身時代の様にKFCで働いて生計を立てるのだった。

一方のシェイファーは、今度はイランでコントラの訓練をしようと進言するのだった。

***

かなり長い期間を扱っているが、バリー・シールの独白を映像化した形で、展開がかなり粗っぽいものの
さほど違和感はない。

アメリカをはめた男と言うよりは、アメリカにはめられた男。

リベンジ・リークというか、リベンジ・リビールと言うか、片手は汚していたものの
一方の手でCIAやDEAに協力していたのに、簡単に見限られて一切を暴露した感じ。

実際にあった話らしい。

英語版のWikiによれば、バリー・シールは1986/2/19に3人の殺し屋によって射殺されている。
犯人は逮捕され、仮釈放なしの終身刑を言い渡されている。

WikiにはCIAの関与はあまり詳しく書かれていない。(CIAなら証拠隠滅しても当然だが)
むしろDEAにいろいろ協力していたようだ。

パブロ・エスコバルも実在。
メデジン・カルテルの創設者であり、英語版Wikiによれば、300億ドルの資産を持っていたらしい。
麻薬王である一方、慈善事業も行い、サッカースタジアムやサッカーチームも持っており、一時は国会議員にもなっていた。

コロンビア政府、アメリカ政府の他、対立組織のカリ・カルテルやロス・ペペスなどに狙われ、
結局は1993/12/2にコロンビア警察の特殊部隊によって射殺されている。

 

 

        

 斉木楠雄のΨ難   

山崎賢人、橋本環奈、新井浩文、吉沢亮、ムロツヨシ、佐藤二朗、田辺誠一、内田有紀

斉木家の父:國春(田辺誠一)と母:久留美(内田有紀)の間に生まれた楠雄(成長時、山崎賢人)は、
ピンクの髪で生まれた直後から喋り出し、徐々に超能力を発揮し、念写、透視、念力、など
多くの超能力を発揮するようになった。

しかし、成長によってあまりにも強くなり過ぎた超能力を制御するための「制御棒」を頭に刺している。
周りにも自分が普通であるように思いこませる意識操作をしており、なるべく目立たないよう大人しくしている。

友人にはケツ顎の燃動力(新井浩文)、周辺の人の思考が全て読める楠雄にも読めない何も考えていないバカ。
中二病で、自身を漆黒の翼と呼ぶ海藤瞬(吉沢亮)、うっとうしいほど熱血の灰呂杵志(笠原秀幸)などがいる。

そんなある日、恒例の文化祭が近づいてきた。
担任は今までの文化祭で問題が多くの起こっていたことから、今年も問題が起これば、今後の文化祭は中止することになると言う。
斉木楠雄は毎年、文化祭の際に姿をくらまし、一人温泉旅行に行っていたので、問題が起こらないよう行動することにした。

クラスの出し物は色々揉めた末「学校で見つけた面白い石」の展示となった。
ミスコンにクラス一の美少女、照橋心美(橋本環奈)が出る出ないで揉めていたが、楠雄にとって「目立たない」事が最大関心事。
美少女に近づいて目立つことは厳禁。
しかし、美少女を自負する心美にとって、自分の魅力に「おっふ」と、ため息をつかない楠雄は気になり、気に入らない存在。
偶然を装って楠雄に接近しようとするも軽くかわされ、逆上したり、妄想に耽ったり。

なんだかんだで準備は進み、いよいよ文化祭当日。

楠雄は燃動や心美にまとわりつかれながらも学内のパトロールを実施。
グラウンドでは、マジシャン、蝶野雨緑(ムロツヨシ)が、母親を助手に脱出マジックを見せていた。
脱出に失敗すると思った楠雄は蝶野が入っている箱にテレポートするが、蝶野は脱出していた。
今度は楠雄がピンチに陥るが、ぎりぎりで脱出して難を逃れた。

ミスコンで心美は出場せず審査委員長を務めた。
校長(佐藤二朗)の出演はここだけ。

灰呂は、恒例と称して10kmマラソンを実施。
誰も参加しないと思われたが、優勝者には心美が10分間見つめてくれる権利が与えられると聞いて、大勢が参加する。
燃動もいつの間にか一緒に走っており、灰呂がどれだけ頑張っても振り切れない。
楠雄は灰呂が事故に遭わないよう信号や対向車を操作したので、灰呂は優勝することができたが、ゴールイン後気絶してしまった。

ミスコン終了後、心美は楠雄を誘ってお化け屋敷に入り、怖がった振りで楠雄にため息をつかせようとしていたが、燃動が一緒に入る。
楠雄には中が見え見えで、おばけも燃動を怖がる始末。
お化け屋敷を出て、顔にペイントをして校内を歩く楠雄。
トイレで顔を洗ったときに、燃動が外したメガネを取って掛けてしまう。
楠雄は思わず燃動を見る。
楠雄の眼にはメドゥーサの眼力があり、燃動は石になってしまう。
楠雄は念力で燃動を石展示の教室に送り込む。

楠雄は目を覆いながら隠れる場所を探すが、つい見てしまい、石の人間はどんどん増えていく。
楠雄が体育館の倉庫に隠れると、そこには心美がいた。
楠雄は心美を外に追い出して、家に電話し、母の久留美に予備の眼鏡を持ってきてくれるよう頼むが、母は見つからないと言う。

楠雄が外を見ると、今は真面目ぶっている元は暴走族の総長だった窪谷須亜蓮(賀来賢人)が、昔の対立メンバーと喧嘩していた。
楠雄は窪谷須の眼鏡を借り、とりあえず危機を凌ぐ。
楠雄は物質交換で自分の予備眼鏡と窪谷須の眼鏡を入れ替える。

窪谷須がやっつけたメンバーのグループが乗り込んできた。
問題が避けられないと見た楠雄は対立グループ全部を一瞬にして念動力で移動させた。

周りにいた全員があっけにとられる中、たまたま近くにいた蝶野が「イル―ジョン」と叫んで大喝采を受ける。

楠雄は問題が起こらず(起こっているけど)安心していると心美のファンクラブが楠雄に襲い掛かる。
心美は楠雄を連れて体育館倉庫に隠れる。

楠雄は強力な念動力を発揮したため、体力を消耗して寝てしまう。
そのため、周りへの意識操作が薄れ、心美は楠雄の頭の制御棒に気づいてしまう。
ついそれを抜いてしまった心美。
途端に衝撃が走り、心美は制御棒を落としてしまう。
その途端、人工衛星などに異変が起こっていた。
目覚めた楠雄は制御棒がなくなっているに気付く。

楠雄と心美は体育館ごと宇宙に飛び出しており、どんどん気温が低下し、周りが凍っていった。

体育館がなくなって地上では大騒ぎになっていたが、心美の策略でダークリユニオンと対決させられていた海藤が念を送る。

寒さで心美がついに眠ってしまったすきに、楠雄は制御棒を探し出して元に戻し、世界のシステムは元に戻ると同時に、
体育館は元の場所に戻り、海藤は自分の力のせいだと思う。

これだけの大事が起こって問題にならないわけがない。
楠雄は付近の時間を一日戻し、文化祭をやり直すことにして、また学校に行くのだった。

人気コミックほど、実写版に対する批判が渦巻くものだが、基本マンガはマンガ、映画は映画。
とはいえ、この作品に関しては原作ファンの不満はあまり聞こえてこない。

原作は読んでいないので、各キャラがどの程度コミックに忠実なのかはよくわからないが、
「画」を見る限りよく似ている。
熱い仲間とクールな楠雄の対比が面白い。

監督は「俺はまだ本気出してないだけ」「勇者ヨシヒコ」「けっこう仮面」「銀魂」などの福田雄一。
こういう脱力系ギャグがお得意の様だ。
橋本環奈がまたもぶっ飛んだ演技で、監督の趣味がよくわかる。
山崎賢人も心美(橋本環奈)の妄想の中でぶっ飛んだ演技を見せる

何故箱の中にムロツヨシがいないのが透視できないのか、とか、付近だけ1日戻しはまずいでしょ、とか、
細かいことはどうでもいいとさえ思える緩さが良い。

 

 

                

  

 猿の惑星 聖戦記(グレート・ウォー)

アンディ・サーキス、ウディ・ハレルソン、アミア・ミラー、スティーブ・ザーン

本作の前に新シリーズの1作目2作目を復習しておこう。

1作目:創世記(ジェネシス)
アルツハイマー病の新薬でウィルス薬のALZ112を投与されたメスのチンパンジーから生まれたシーザーは
研究者のウィル(ジェームズ・フランコ)に育てられるが、暴力事件を起こして、強制的に施設に引き取られる。
シーザーは新たに開発されたALZ113を盗んで施設の猿を賢くして施設を脱出、人間と争って森に帰る。
ALZ113は人には致死性のウィルスとなり、世界に蔓延を示唆するところで物語が終わる。

2作目:新世紀(ライジング)
前作の10年後の設定。
ALZ113の影響でほとんどの人間が死に絶える。
シーザーの仲間は平穏に暮らしていたが、人間が近づいたことで人間に敵対するコバと対立する。
コバは人間と争い始め、シーザーも戦いに巻き込まれていく。
シーザーはコバを倒すが、すでに人間は軍隊を動員して猿掃討作戦に出たため、戦いは避けられない状態になる。

3作目:聖戦記(グレート・ウォー)
前作の2年後の設定=本作。

武装兵が森を進み、小高い丘の上に馬に乗った猿と要塞のようなものを見つける。
本部に連絡し、ブリーチャーのボウガンの発射を合図に一斉攻撃が始まる。
最初は猿を蹴散らしていた兵隊たちだが、徐々に劣勢となり、大半の兵士は死んでしまう。
シーザー(アンディ・サーキス)は生き残った兵の前に現れる。

兵隊は大佐の指令で猿を抹殺する計画だと言うが、シーザーは自分たちは野蛮人ではない、と言って
(前作で死んだコバの仲間だった)人間に協力していたゴリラのレッドは監禁し、生き残った兵は馬に乗せて帰す。

その後、シーザーの息子ブルーアイズらが遠征から帰ってきて砂漠の向こうに安全な地帯があるので移動を提言。
白髪のゴリラのウィンターはすぐに出発しようと言うが、シーザーは計画が重要だと言ってすぐには出発しない。

その夜、レーザーポインターを装着した武装兵が乗り込んでくる。
入り口近くで反撃している間に、シーザーは妻のコーネリアとブルーアイズを殺されてしまう。
しかも、殺した大佐(ウディ・ハレルソン)には逃げられてしまった。
ウィンターがレッドを逃がし、大佐の部隊に密告したと思われた。

翌日、シーザーは小さいほうの息子コーネリアスをブルーアイズの恋人だったレイクに預け、仲間全員を新天地に向かわせ る。
自分は大佐を探すと言って別行動をとるが、リーダーを一人では残せない、
とオランウータンのモーリス、チンパンジーのロケット、ゴリラのルカが同行する。

兵を追って行く途中、廃屋に男がいるのを見つける。
男が武器を取ろうとしたため、シーザーが射殺してしまう。

廃屋の中を探していると、聾唖の少女(アミア・ミラー)がいた。
シーザーは反対するが、モーリスは彼女を連れていく。

海岸沿いを行き、遂に軍のキャンプを発見、ウィンターが下働きしているのを見つけ、詰問する。
大佐はここにいない、境界に行き北からの援軍と合流する、シーザーはウィンターを押さえつけて死なせてしまう。
シーザーは「猿は猿を殺さない」という自身の言葉を傷だらけのコバに言われ、責められる悪夢を見る。

翌日、軍隊が移動を始めたので後を追う。
暫くすると銃声が聞こえ、行ってみると3人の死体が転がっていた。
それは人間で、内一人はまだ息があったが、瀕死で言葉が喋れなかった。

誰かがシーザーらの馬を盗んで逃げ、シーザーは分乗して後を追う。
馬を発見して廃屋に入ると、それはチンパンジーだった。
動物園で人間の言葉を覚えたというチンパンジーは自らをバッドエイプ(スティーブ・ザーン)と呼んだ。
バッドエイプは当初頑なに拒否していたが、大佐のいる境界への案内をすることになった。

少女は猿の手話を覚え、自分も猿か、と聞く。
モーリスは彼女の持っていたプレートを差し、お前はノバ(NOVA)だ、と言う。

境界に着き、遠くから見ていると人間の斥候が近づいてきた。
乱戦となり、シーザーらは人間を倒すが、ゴリラのルカはシーザーをかばって死んでしまう。
モーリスはシーザーに怒りに囚われてコバの様だと諭すが、シーザーは大佐憎しが抑えられず一人で潜入を試みる。

境界の近くに貼り付けにされた猿が何匹かいた。
みんな新天地に送り出したはずの仲間だった。
移動の途中で人間が突然やってきて捕まったらしい。

シーザーは境界の中で囚われている猿の様子を伺うが、レッドに殴られて捕まってしまう。
シーザーが目を覚ますと大勢の猿が囚われ、強制労働させられていた。
猿たちはシーザーに背を向ける。

翌日からシーザーも含めて「壁」を作る作業が続けられる。
ふらついたゴリラが罰を受け、シーザーが反発し水と食べ物が要る訴える。
大佐はシーザーを鞭打たせるが、みんなが作業を止めてしまう。
大佐は激怒し、シーザーを撃とうとするが、レイクが作業を始め、みんなも続きシーザーは助かる。

シーザーは貼り付けにされて、その夜、シーザーは大佐の下に連れていかれる。

大佐は、猿のウィルスに感染した人間はウィルスが変異して言葉が喋れなくなってしまう。
それは人間の退化であり、やがてこの星は「猿の惑星」になってしまうだろうと語った。
だから猿を根絶やしにし、言葉を失った人間も殺しているのだ、と。
そのために自分の息子も殺した、と語る。
シーザーは、北からの軍は援軍ではなく大佐を攻撃する為に来る、そのための壁だ、と見抜くが、
大佐はシーザーを再びはりつけにした。
飢えと寒さで瀕死のシーザーははりつけから降ろされ、檻(個人房)に入れられる。
翌日、他の猿たちには水と食料が与えられ、みんなはシーザーに感謝する。

その頃、様子をうかがっていたモーリスらは、偶然バッドエイプが地下の空洞を発見。
配管が基地の下まで続いていることに気づく。

シーザーが苦しんでいるのを見た少女は、一人で基地の中に入っていき、シーザーに近づく。
他の猿から少女に水と食料が渡されシーザーに届けられる。

兵士が近づき、少女が発見されそうになると、ロケットが囮になって捕まり、そのすきに少女は逃げる。
少女は、自分も猿か、と聞く。
モーリスは彼女の持っていたプレートを差し、お前はノバ(NOVA)だ、と言う

翌日からシーザーやロケットは作業の合間に手話で合図を送り、檻までの距離を教える。
モーリスとバッドエイプが穴掘りを続け大人の檻に達する。
しかし、もう一方の穴に水が入り、子供の檻には届かない。

その夜、ロケットが監視兵をおちょくって檻におびき寄せ、下からバッドエイプが引きずり込んで倒し、
鍵を奪ってシーザーと子供たちを檻から出し、大人の檻の地下通路を通って脱出する。

シーザーはみんなを逃がすと一人で大佐を殺そうと考える。
ちょうどその時、武装ヘリが襲ってきて、激しい戦闘になる。
シーザーは大佐の居室に侵入するが、大佐はベッドで寝ていた。
銃を取って大佐を撃とうとしたシーザーは大佐が喋れないことに気づき、銃を置いて去る。
この後大佐は自殺する。

シーザーは手榴弾を取って、石油タンクを爆破しようとするが、ボウガンの使い手のブリーチャーに撃たれる。
武装ヘリに応酬していた兵は、猿たちが逃げ出しているのに気づき、猿を撃ち始める。

人間に協力していたレッドは嫌になり、シーザーにとどめを刺そうとしていたブリーチャーにグレネード弾を撃ち込み殺される。
シーザーは手榴弾を石油タンクに投げつけ、大爆発して兵の大半は死ぬ。

武装ヘリに続いて大量の兵士が突入してくる。
兵はシーザーに気づくが、爆破の衝撃で裏山から大規模な雪崩が発生し、全員が雪に流される。
猿たちは、辺りの大木に上り、難を逃れた。

助かった猿たちはブルーアイズが言っていた新天地を目指す。
やっとの思いで丘の向こうの平和な土地に到着、喜ぶ猿たち。
丘の上からモーリスとその様子を見るシーザー。
モーリスはシーザーが傷ついていることに気づくが、シーザーはコーネリアスが無事だと聞くと安心して息を引き取る。

ラストシーンは「約束の地」をイメージさせた。
出エジプト記か、と思ったら実際に監督と脚本家(の一人)は多くの映画を参考にし、その中に「十戒」もあったと言うことだから、
あながち間違いとは言えないと思う。

これで新シリーズは完結。
人類と猿の戦いは終わり、人類は言葉を失い、文明文化を失い、地球は猿の惑星になってしまう、と言うことのようだ。

しかし、この映画が“直接”「猿の惑星」につながるかと言うと、設定上はやや矛盾が生じる。

1968年の第1作「猿の惑星」では、主人公の宇宙飛行士テイラー(チャールトン・ヘストン)を助けるチンパンジーはコーネリアスだし、
一緒に行動する女性はノバで、この映画の登場人物(登場猿)があたかも「猿の惑星」で登場するように思える。
だが、女性にノバと名付けたのはテイラーであり、コーネリアスも人間を野蛮と信じ、テイラーが喋れたことに驚愕している。

一方、この映画ではノバは当然ながら人間が言葉も文化も文明も持っていることを知っており、ノバ自身は猿とも対立していない。
コーネリアスも人間を憎んでいる可能性はあるにせよ、人間が喋ることを知っているし、猿よりも技術が進んでいることも知っている。

つまり、この映画から「猿の惑星」までの間には、何百年という時間が経過しており、その間にすべての人類が言葉を失い、
文化文明も失ってしまった、その間に猿たちもかつて人間が文明を持っていたことをすっかり忘れてしまっているとすれば、辻褄は合う。

とすれば、コーネリアスもノバも直接は「猿の惑星」とはつながらず、同じ名前なのは偶然と言うことになるのだろうか。

ALZ113によって創世記から新世紀までの10年間に、人類70億人の99.7%が死亡したとしても
生き残った人類(抗体を持った人々)は、2100万人。
その大半が言葉を失い、一部は殺されたにせよ、2000万人からの人類が(文明を失ったとしても)残っている。
しかも本作のノバは言葉は失ったものの、猿の手話を覚え、使っていたのだから、言語や知性を失ったわけではない。
文字が残っていれば文化や知識も受け継がれていくだろうし、そのまま「猿の惑星」の人間の様にはならない。

新シリーズの創世記がオンタイムだったとすると2011年ぐらいからの5、6年の物語であり、新世紀はその10年後、
聖戦記はさらに2年後なので、2030年前後のことになる。
オリジナルの「猿の惑星」は2673年の設定なので640年程度経過していることになり、その方が納得しやすい。

なお、「猿の惑星」のノバはリンダ・ハリソンで、公開当時23歳、黒髪の美人である。
本作のノバはアミア・ミラー。2004/6/16生まれなので撮影時(2015/10〜)は11歳、金髪の美少女。
仮に、本作のノバが「猿の惑星」のノバだとすれば、この後、わずか10数年で、地球は猿が支配する惑星になったことになる。

 

 

                

 

 ドリーム  

タラジ・P・ヘンソン、オクタビア・スペンサー、ジャネル・モネイ、ケビン・コスナー、キルスティン・ダンスト。

1961年、バージニア州。NASAで働く仲良し黒人女性3人組の物語。

本題に入る前に、当時の米ソの宇宙開発戦争を整理しておく。

そもそも、宇宙ロケットと大陸間弾道ミサイル(ICBM)のロケットが原理的には同じものであり、
ICBM開発の延長線上に宇宙ロケット開発があったことはよく知られている。

1957年10月、当時のソ連は、電波発信機を乗せた人類初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げに成功した。
次いで、11月、今度はライカ犬を乗せたスプートニク2号の打ち上げに成功した。
その後、スプートニク3号(1958年5月)、4号(1960年5月)と打ち上げたが、いずれも帰還はできず。
1960年8月に打ち上げられたスプートニク5号ではついに搭乗した2匹の犬やその他の動物の帰還回収に成功した。

一方のアメリカは、ソ連のスプートニク1号の成功に危機感を覚え、1957年11月、NACA(アメリカ航空諮問委員会)に「宇宙技術特別委員会」を設置、委員会は1958年3月にNASA(アメリカ航空宇宙局)に改組され(活動開始は同年10月)、NACAは解体された。

アメリカ初の人工衛星は、JPL(ジェット推進研究所)が製造し1958年1月に打ち上げに成功したエクスプローラー1号。
なお、JPLは同年12月にNASAの指揮下に入っている。

ソ連は1961年4月、ユーリー・ガガーリンを乗せたボストーク1号で地球を一周し、初の有人宇宙飛行に成功した。

アメリカはマーキュリー計画で有人宇宙飛行を目指したがなかなか成功せずソ連に後れを取った。
そして、1961年5月、アラン・シェパード飛行士が搭乗し、15分の有人弾道飛行に成功。
1962年2月、ジョン・グレン飛行士により地球3周のアメリカ初の有人周回飛行に成功した。

*

1961年と言えば、やっとトランジスタ式のコンピューターが登場したころで、事務所では電動機械式計算機がまだ幅を利かせていた。
電卓(電子式卓上計算機)を各メーカーがこぞって販売するようになるのはその数年後。

一方でいわゆる汎用機(メインフレーム)と呼ばれる大型計算機も登場し始めた。
IBMは1959年にトランジスタ方式のメインフレーム機IBM7090をレンタル開始していた。
(当時のコンピューターは超高価だったためレンタル方式だった)

1961年当時はまだまだ黒人差別が行われていた時代で、トイレや飲食店、バスの乗車位置まで、WHITEとCOLOREDに分けられていた。
1960年代のボルチモアが舞台の2007年の映画「ヘアスプレー」でも、黒人と白人が仕切られている様子が映し出されていた。
そんな時代。

**

そんな時代背景の下、いよいよ本題に入る。

8歳のキャサリンは数学に卓越した才能を見せ、その後教師の勧めもあって飛び級で高校に進学、そこでもぐんぐんと力を発揮した。
(15歳で大学に入学、18歳で卒業している)
やがて、1961年。
成長したキャサリン・ゴーブル(タラジ・P・ヘンソン)、ドロシー・ボーン(オクタビア・スペンサー)、
メアリ―・ジョンソン(ジャネル・モネイ)の3人は、車での通勤中、故障で立ち往生していた。

そこに白人警官のパトカーが接近。
NASAに勤めていて遅刻しそうだと説明すると、警官はパトカーで先導すると言ってNASAのラングレー研究所まで送ってくれる。
メアリーはその様子を自虐的に語る。

NASAでは、多くの計算手(コンピューター)を雇っていた。
その多くは女性で、黒人たちは西計算センター、白人たちは東計算センターで勤務していた。

ソ連にスプートニク1号による世界初の人工衛星の成功、スプートニク5号による犬などの生物の宇宙飛行と生還を先んじられ、
軍の焦りは募った。
NASAの技術者たちも次は犬でなく核弾頭を積んで飛ばすのではないかとの軍の心配を杞憂と退けることはできなかった。

当時のNASAでは、有人飛行へ向けてマーキュリー計画が進められていたが、有人宇宙船を大気圏に再突入させる際の
位置や角度、それに宇宙船の帰還場所の計算に手間取り、有効な計算式が見つけられないでいた。

ドロシーは計算手を束ねて主任格の仕事をこなしていたが、処遇は一般社員のまま。
管理職への登用を嘆願するも責任者(スーパーバイザー)のビビアン・ミッチェル(キルスティン・ダンスト)は
黒人の管理職は前例がないと却下する。

また、メアリーは技術者としてカプセルの開発チームに移動するが、技術者としての職位が得られないままだった。
昇格基準はクリアーしていたはずだが、規則で新たな資格(白人専用の学校でしか取れない)が必要だと言われる。

私生活ではドロシーとメアリーには旦那と子供がいる。
キャサリンは夫に先立たれ、母親の手も借りて2人の娘を育てている。
3家族とも日曜には教会に行く間柄。
キャサリンは教会やその後のパーティで独身の帰還兵とも出会うが、彼の女性を卑下するような発言に怒りを隠さない。

さて、当時のJFケネディ大統領の意向もあり、NASAは有人飛行の実施を急がされるが、そこでもソ連のガガーリンに先を越された。
スペース・タスク・グループ(STG)の責任者、ハリソン(ケビン・コスナー)は、不足している解析幾何学の研究者を探し、
西計算センターからキャサリン・ゴーブルの推薦を受ける。

とはいえ勤務場所は白人仕様の東計算センターで、STGには女性もいなければ、黒人もいない。
研究員に奇異な目で見られながら、入室したキャサリン。
ハリソンはキャサリンをテストしようとしたが、その発言で才能を確信し、STGの検算係に抜擢する。

しかし、主任のポール・スタフォードから渡された資料は所々黒塗りで、検算に必要な数字も見えないところが多かった。
苦情を言うキャサリンにスタフォードは検算は形だけだ、と言って取り合わない。

キャサリンがコーヒーをポットから汲むとみんなが驚きの目で見る。
トイレに行こうとすると、庶務係の女性は有色人種用のトイレは知らないわ、と答える。
やむなくキャサリンは資料を抱えたまま用いた西計算センターまで走り、用を足しながら数字をチェック、
また急いで東計算センターに戻る。

翌日、キャサリンがコーヒーを入れようとすると、小さいポット(中身は空)が置かれ「カラード」と書かれたタグが貼られていた。
トイレ問題は相変わらずで、一旦離席すると3、40分は席に戻れない毎日だった。

そんな中、IBM7090が導入されることとなった。1秒間に24000回の計算ができると言う。
しかし、導入時に大きすぎて部屋に入れられなかったり(ドアを壊して入れることになる)
エンジニアがいろいろ操作してもピクリとも動かず、ハリソンはまともに動くまでレンタル料は払わんと激怒する。

たまたま東計算センターに資料を届けに行きIBM7090の存在を知ったドロシーは、図書館で「FORTRAN」の本をくすね、
また勝手に計算機室に入ってマニュアルを読むなどしてIBM7090を勉強した。

やがて、独学でプログラムを組み、パンチカードを読ませてIBM7090を作動させているところへ、
IBMのエンジニアが入室、ドロシーをいったんは怒鳴るもののプリントが打ち出されたのを見て驚愕する。
ドロシーは西計算センターの他のメンバーにもFORTRANやIBM7090の知識を伝授する。

ある雨の日、キャサリンは雨の中傘も差さずに西計算センターに向かった。
びしょ濡れになりながらやっとの思いで席に戻ったキャサリンにハリソンがどこに行っていた、いつも離席していると叱責する。
ついにキャサリンは切れ、東棟には有色人種用トイレがないので、800m離れた西計算センターの有色人種用トイレに行っていた。
自転車は禁止、傘も貸してもらえないから走っていくしかない、トイレに行くぐらい許してくれたって良いでしょ、と答える。

ハリソンはそこではじめて「カラード」と書かれたポットの存在を知り、「有色人種用」と書かれたトイレの看板を打ち壊し、
これからはみんなが一番近いトイレに行くように、と指示を出す。

ロケットではソ連に後れを取ったアメリカだが、宇宙飛行士候補の選定と訓練は行っていた。
マーキュリー・セブンと呼ばれた7人の宇宙飛行士がNASAのラングレー研究所を訪れたとき、居並ぶ関係者の中に
離れて立っていた西計算センターの面々がいた。

白人研究者らの前を通って研究所内に入る際、ジョン・グレン(グレン・パウエル)はまだ人がいる、と言って制止を振り切り
ドロシー、キャサリン、メアリーらとも握手を交わす。

ドロシーにIBM計算機室への異動が命じられる。
ドロシーは一人では異動しない、と拒否する。
結果、ビビアンは折れ、西計算センターの黒人女性たちは全員が計算機室勤務となり、IBMのエンジニアたちに歓迎される。

その後、ビビアン・ミシェルは東計算センターの計算手にもコンピューターの知識を教えるようドロシーに頼むが、
ドロシーは自分は管理職ではないので権限がない、と言って断る。
結果、ビビアンはドロシーを管理職に登用するよう進言して認められ、ドロシーは念願の地位を手に入れる。

メアリーは黒人の権利獲得には実力行使が必要だと言う夫の反対を無視して、白人専用大学への入学を請願する。
ここはバージニア、国の最高裁がどういおうとバージニアはバージニアの州法に従う、と言い放つ裁判官を
見事に説得したメアリーは同学の夜間講座への入学を許可される。
メアリーの夫もついに折れ、メアリーを応援する。

キャサリンに渡される資料にはあいかわらず黒塗りがされていた。
キャサリンは資料を透かしてATLASの文字を読み取り、黒板に式を展開し、その結論として、
REDSTONEは失敗、ATLASは成功、と書いた。

ハリソンはキャサリンを呼び、事の経緯を聞いた。
もちろん展開された式は正しく、機密であるはずのATLASも透かして読み取ったものだったことがわかり、
ハリソンはスタフォードに黒塗りを止め、すべてをキャサリンに開示するよう指示する。

アメリカ最初の有人(弾道)飛行は、1961年5月にアラン・シェパード宇宙飛行士の搭乗で成功していたが、
7月のガス・グリソムの飛行では帰還した宇宙船の回収に失敗して水没させ、メディアからも非難を受けた。

有人周回飛行の成功が急がれ、ハリソンも研究者にハッパをかける。
キャサリンへの期待はますます大きくなっていったが、帰還時の再突入地点を計算する式が、なかなか見いだせない。
そこでオイラー法を利用することを思いつき、精度の高い近似式、近似値を得ることについに成功する。

有人周回飛行決行まで期日が迫る中、計算の根拠となる宇宙船の重量や位置などが毎日のように変わり、
会議後に数字を聞いて計算してもすぐに無駄になる日が続いた。

キャサリンが会議に出してくれとスタフォードに言うのを聞いたハリソンは、出席を容認。
キャサリンは会議ではもたつくスタフォードに代わって重要な数字を即答。
さらにハリソンに促されて、その場で計算式を解き、再突入地点と着水地点を割り出して見せた。

こうして再突入などの数値は確定したが、その後計算はIBM7090をつかっておこなわれることとなり、
計算係は要らなくなったとしてキャサリンは西計算センターに戻されることとなった。

いよいよ、グレン飛行士が乗る当日。
管制室ではハリソンがIBM7090の計算と再計算の結果が異なることに気づいた。
その頃グレンは宇宙服に着替え発射台に向かっていた。
ハリソンは問題が発生してGO/NOGOの判断がつかないとグレンに連絡。
グレンはキャサリンが確認してくれるなら行くと答え、ハリソンは部下に資料を持たせて西計算センターに走らせた。

西計算センターではみんながTVのマーキュリー発射中継に見入っていたが、NASAが計算の再確認を行っていて
発射が延びているとアナウンスされていた。

そこに飛び込んできたハリソンの部下がキャサリン・ゴーブルはいるか、と聞き、キャサリンは今はキャサリン・ジョンソンですと答える。
部下は直ちにキャサリンに資料を渡し再計算を依頼。
キャサリンは必死で再計算を行い、数字を割り出した。
フーッとため息をつくキャサリン。休んでいる場合じゃないわよ、と言われ、大急ぎで東計算センターに向かう。
しかし、管制室に入ることはできず、ドアを閉められてしまう。

戻ろうとするキャサリンを内側からドアを開けたハリソンが呼び戻して中に入れる。
資料を受け取ったハリソンは、グレンに最終数値を伝え、グレンは意気揚々とカプセルに乗り込んだ。

打ち上げは無事成功。マーキュリーは周回軌道に乗った。
地球周回は7周の予定で再突入はおよそ半日後と言ったところ。

しかし、2周目に警告ランプが点灯し、耐熱パネルが緩んでいることが懸念された。
管制室ではグレンに詳しいことは言わずに、対策を検討し始めた。

ごたごたしている管制室の様子でグレンもトラブルに気づく。
管制室は逆噴射ロケットの固定金具が耐熱パネルを抑えていると考え、本来使用後に切り離す逆噴射ロケットの自動切り離しを停止させる。

いよいよ再突入。
仮に途中で耐熱パネルが外れれば宇宙船が燃え尽きるか、最低でもグレン飛行士は熱によって死亡する。
グレンが窓の外に見たものは真っ赤な炎だった。
徐々に通信が不調になり、やがてカプセルは電離層に入り通信が完全に途絶えた。
管制室からの再三の呼びかけにも全く応答がない。
失敗か。
誰もがそう思った瞬間、グレンの声が飛び込んできた。
カプセルは再突入に成功し、見事予定地点の近くに着水。
カプセルを浮かせるエアバッグも正常に展開、グレンはヘリに回収された。

こうして無事にアメリカ初の有人周回宇宙飛行は成功した。

キャサリンはその後も宇宙計画に関与し、多大な貢献をして大統領から勲章を受けた。

メアリーはその後大学を無事修了し、NASA初の黒人女性技術者となった。

ドロシーもプログラミング部門の管理職として貢献した。

こういう実在の人物を扱った映画の場合、本人の映像が最後にクレジットされることが多い。
本作でも3人の女性の写真が映し出されるが、キャサリンは一見すると黒人には見えず、かなり白人に近く見える。
実際のキャサリン・ジョンソンは、父親は黒人だが、母親は白人とインディアンの混血らしい。
もしそうだとすると白人は1/4と言うことになるが、その子供の見かけが黒人っぽくなければならないと言うことはない。

実際にキャサリンがNASAに就職できたのはNASAがアフリカ系アメリカ人を雇い始めたことを知って応募したからだし、
処遇はアフリカ系アメリカ人のものだったと思われる。
なお、NASAに雇われたのは35歳の時だったらしい。

1960年代。
まだまだ実質的な黒人差別が横行し、女性に対しても偏見が強かった時代。
3人の優秀な黒人女性がNASAの宇宙計画に多大な貢献をしたものの、その実績が知られることはなかった。

もちろん映画なので多くは脚色されていると思う。
しかし、障壁を派手な運動や抗議行動ではなく、実績や地道な努力な見事な説得力で切り開いていく3人の女性の姿が
爽やかに描き出されている。

原題は「HIDDEN FIGURES」
FIGUREはフィギュア、姿、形、図形などの意味で、直訳すれば「隠された姿」。
「知られざる人々」みたいな感じか。

確かに原題でも訳でもロケットの話とは分かりにくいとは思うが、邦題の「ドリーム」はちょっとピント外れ。
当初は「ドリーム 私たちのアポロ計画」だったらしい。
マーキュリー計画じゃ日本人になじみが薄いが、アポロ計画だと宇宙ロケットの話と分かる、とでも思ったんだろうが、
本気でそう思っていたかどうかは別として、それはあまりにもあまり。
「ドリーム」の方がまだましだが、もう少し気の利いたタイトルは考えられなかったのだろうか。

FORTRANはプログラミング言語のひとつで科学技術計算を得意とする世界初の高級言語(コンパイラ)。
FORmula TRANslator(数式翻訳機)が名称の由来と言われる。

FORTRANにはバージョンがいくつかあり、IBM7090用のFORTRANは「FORTRAN IV」である。

ドロシーはテキストでFORTRANのコーディングはできても、カードリーダーに読ませるパンチカードを作るには機材が必要だ。
機械式のキーパンチ(カード穿孔機)以外に手動で穴をあける装置(ポータ・パンチなど)もあったので、
ドロシーにも作れないわけではないが、穿孔機と穴の開いていないカード(ブランクカード)を入手する必要がある。
入手するとなると、それなりに苦労もあったはずだが、全く触れられていない。

ハリソンが新しい数式が必要、数式が見つからない、と言っていたのは、おそらくは「式」ではなく、微分方程式の解と思われる。
はっきりと覚えていないが新しい数式ではなく「オイラー法」でやると言ったのは、微分方程式を厳密に説くことを諦めて
オイラー法で近似解を求めると言うことだったと思われる。

オイラー法は微分方程式の数値解を求める近似計算法で、厳密解ではなくある程度の誤差を持つ(要は近似値、近似解)

一発で精緻な数値が算出されるわけではないので、後退オイラー法と組み合わせるなどして精度を高める方法が取られる。
現在ではより精度の高い近似値を求める方法として高次のルンゲ・クッタ法などが用いられているらしい。

キャサリンが黒板にずらずらと板書している式の多くは変換/展開された数式ではなく、実際の数値が入った計算式。
ただ、彼らが必要としているのは数学的な解ではなく、実際の計算結果の数字なのだからそれで良いのだろう。

なお、物体の運動の解析は容易ではない。
ニュートン力学で簡単に解けそうに思うが、ニュートン力学が扱うのは二体問題(2つの物体の相互作用)までで、
これが三体問題(3つの物体の相互作用)になると途端に難解になり、一定の制限の範囲でないと解くことができない。
計算量の過多や式の複雑さの問題ではなく、原理的に解法が得られておらず、数値解析などによる近似解しか得られない。

 

 

                

 アウトレイジ 最終章    

ビートたけし、大森南朋、西田敏行、塩見三省、大杉連、岸部一徳、名高達夫、光石研、金田時男、白竜、松重豊

まず、1作目、2作目のおさらいをしておこう。

アウトレイジ(1作目)

関東の最大のやくざ組織、山王会(会長:北村総一郎)の下部組織、池元組(組長:国村準)が、
非会員の村瀬組(組長:石橋蓮司)と兄弟分になったことからもめごとが起きる。

北村総一郎が国村準に石橋蓮司を絞めろと言い、石橋蓮司は配下の大友組(組長:ビートたけし)に命令。
結局、村瀬組は解散に追い込まれるが、石橋蓮司がビートたけしを使い捨てにしようとして逆襲され、
山王会の内紛に発展、北村総一郎は殺され、若頭だった三浦友和が跡目を相続することに。

アウトレイジ:ビヨンド(2作目)

山王会は新会長三浦友和の下、元大友組の加瀬亮を経済通として重用し、政界にも手を伸ばす。
山王会担当の悪徳刑事を事故に見せかけて殺したことが抗争の発端。

小日向文世刑事は、山王会の中尾彬と大阪の花菱会(会長:神山繁)の若頭西田敏行の仲を利用して
三浦友和の排除を計画するが、バレて中尾彬は殺される。

小日向文世は服役中のビートたけしを仮出所させて利用しようとする。
いろいろあって山王会は三浦友和が退陣し、名高達夫が新会長となるが、体よく花菱会に牛耳られ
勢力を大幅に削がれてしまう。
三浦友和もビートたけしに殺られる。

三浦友和殺しの復讐として中野英雄らが殺されるが、小日向文世はそれも花菱会のせいにして
ビートたけしに復讐しろと唆すが、自分が撃たれてしまう。

そして、いよいよ本作

物語の前にやくざ同士の設定を整理しておこう。

山王会(白山会長:名高達夫、五味若頭:光石研)はかつての勢いがなく、花菱会の傘下にあるだけでなく、
木村組を乗っ取った吉岡(組長:池内博之)にも頭が上がらない。

花菱会(野村会長:大杉漣)は、会長になり損ねた西野若頭(西田敏行)が不満を持っている。

大友(ビートたけし)は前作でも世話になった張会長(金田時男)の配下の韓国のやくざの世話になって韓国にいる。

冒頭は黒塗りのベンツが韓国の繁華街をゆっくりと走るシーン。
次いで、大友が、市川(大森南朋)と一緒に岸壁で釣りをしているシーン。

大友は飽きて市川とともに繁華街のやくざのアジトに帰る。
市川に連絡が入り、日本人のやくざが組の売春婦と揉め、幹部を出せと言っていると言う。

大友が現場に行くと、韓国人売春婦が殴られており、別室で花田(ピエール瀧)がふんぞり返っていた。
花田は花菱会の幹部だと強がるが、済州島での効力はなく、大友の脅かされて結局200万(円)払うことに。

しかし、花田の部下は金を渡さず、韓国やくざを殺して捨ててしまう。

その頃、大阪の花菱会では幹部会が行われていた。
頻繁に行われる幹部会にあからさまに不平を言う西野(西田敏行)。
成り損なった会長に就任した野村(大杉漣)が前会長の娘婿で素人だと言うのも気に入らない。

野村会長は幹部会に花田が欠席し、西野の部下の中田(塩見三省)が庇うのも叱責する。

そんな中、花田が帰国し、韓国で殺した相手が日韓で暗躍する張会長(金田時男)の配下の組員だと分かり、
中田は花田に3千万用意させて張会長に謝りに行く。

張会長は側近の李(白竜)に韓国語で指示を出し、日本語がわからないと思った中田が罵った挙句、
チンピラ一人500万で十分だと悪態をつくと、日本語でやり返し、李に持ってこさせた3千万を付けて帰す。

中田は慌てて花田に野村会長と西野に1億ずつ拠出させ相談。
西野は怒りながらも自分がことを収めると言って3億持用意させて、花田と張会長を訪ねる。

その間、野村は若頭補佐の森山(岸部一徳)らと共謀して中田を煽り、張の仕業に見せて西野を殺せと指示する。

張会長は西野も訪問を受けるが話は聞かず、李を通じて金は受け取らないと答える。
帰り道、車を止めた中田は西野と既に通じており、運転手を殺して花田に西野は死んだと報告させる。

野村は張会長が西野を殺した、事の復讐として花田に張会長殺害を命じる。
花田はチンピラの丸山(原田泰造)ら何人かに張をいつも行く喫茶店で襲撃するよう指示。

丸山らは喫茶店に乗り込んで張の部下と撃ち合いとなり、張を護衛していた崔(津田寛治)が殺られる。
しかし、花田と中田の密談をバーテンダーが李に密告し、李は現場に急行して残ったチンピラをせん滅、張を逃がす。

張のところの若い者が、崔の復讐のつもりで野村会長の車を襲い、射殺される。

ここにきて怒り心頭に達した大友は、偽造パスポートで日本に帰国する。
大友の動きを警戒していた平山(中村育二)と繁田(松重豊)は前作の事件の容疑者として大友を引っ張るが、
翌日、張会長から署の幹部に電話が入り、大友は解放されてしまう。

大友を迎えに来た李は張会長がもめ事を起こすなと言っていると言うが、大友は用事があると言って去る。
大友の手はずで市川ら何人かが日本に帰国/入国する。

大友と市川は、白山(名高達夫)の手引きで木村組組長吉岡(池内博之)がいるバーに乗り込み、吉岡を射殺。

大友の帰国に危機を感じた野村は大友の殺害を命じる。

張会長の部下だと言う数名が大友の支援に来るが、偽物だとばれ大友に殺される。
しかし、韓国人の部下もやられ、大友と市川の二人だけになってしまう。

大友と市川は中田に接触するところに西野が登場し、ネタ晴らし。
ともに野村を排除することで手を組み、出所組員の祝賀会で野村を殺そうと共謀する。

しかし、当日野村は出席を回避し、西野は計画の延期を考えるが、大友はすでにどこにもいない。
祝賀会で組員が出所の挨拶をしているところへ西野が現れ、野村が中田を唆して自分を殺そうとしたと暴露、
野村につくか、西野につくか、と演説していると、大友と市川が機関銃を持って乱入。
乱射して大勢をぶち殺して逃げる。

一方、花菱会本部では、野村が捕まって大友に引き渡される。
大友は野村を道路に埋めて、車に轢き殺させる。

西野は会長になり、花田を若頭に引き立てる。
有頂天になった花田は女を買いに行くが、護衛を射殺して乗り込んで来た大友に爆死させられる。

山王会では、自分も危ないと思っている白山が五味(光石研)に撃たれて死ぬ。
五味は大友に襲われて白山が死んだと花菱会に嘘の報告をする。

張会長は李を通して大友に韓国に帰すよう指示するが、大友は市川を帰し残る。

大友が行った先は前作で木村(中野英雄)を殺し、今はやくざを辞め車の整備をしている男の工場。
大友は黙って男らを射殺。

李がこれ以上放っておけないと大友を始末しようとするは、大友は自分で自分を撃って事絶える。

最後は、顛末を知らず済州島で大友を待つ市川が釣りをしているところで終わる。

**

大友が死んでしまい(1作目でも死んだはずが、実は死んでなかったが)今度は刺されたのではなく、
頭を撃ち抜いており、復活はないだろうし、仮に生きていたとしても半身不随。

つまり、大友主演の続編は作れないことになるが、市川なり別の人物を主役にしたものならできなくはない。
繁田のその後も気になるしね。

「張グループ対花菱会の全面戦争勃発」との煽り文句が言われているが、
張グループ(韓国やくざ、日韓フィクサー)は多少の跳ね返りはいるものの、基本、事を荒立てず、静かな怖さを見せる。

聞くところによれば、張会長(金田時男)はプロの俳優さんではなく、北野武監督の知人(友人の父)らしい。
そのせいで派手な演技をつけなかったのかもしれない。

静かな物腰、落ち着いた雰囲気でたまに怒鳴ることもあるが、ほぼ平静で韓国語も違和感なく(本物の在日の方?)
余計に怖さ、存在感が際立った。

 

 

       

 

 

 

 

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