2012/7-9鑑賞
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今年の累計:45(18)[9] 本 ( )は試写会
[ ]は邦画
1−3月期:13(6)[2]本 、4−6月期:13(5)[3]本、7−9月期:19(7)[4]本、10−12月期:0(0)[0]本  
月:6(3)[0]本、8月:7(1)[2]本、9月:6(3)[2]本、
07−09月期:19(7)[4]本
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 一枚のハガキ    

一応試写会マークを付けましたが、2012TIFFのプレイベントの上映会でした。

豊川悦司、大竹しのぶ、六平直政、大杉漣、江本明、倍賞美津子。

**

後に100歳で亡くなった進藤兼人監督の98歳時の作品で本作が最後の監督作品となった。
監督自身の体験談がもとになっている。

第2次大戦終盤。
100名のおっさん二等兵連中が奈良の天理教本部に集められ、新兵を迎えるために
1か月間徹底的に掃除をさせられていた。

100名はその後、くじ引きにより60名がフィリピンに歩兵として送られ、
残り40名は、同じく新兵宿舎として徴用されている宝塚歌劇場の清掃に向かわされた。

60名の中に森川定造(六平直政)がいた。
定造は女房の友子から来た1枚のはがきを松山啓太(豊川悦司)に託して言った。
「返事を書きたいが検閲されてしまい何も書けない。もしお前が生き残って故郷に帰れたら、
 友子を訪ねて、俺が確かにこの手紙を読んだと伝えてくれ。」と。

定造の家は貧乏農家だった。
友子を嫁にもらうときに田を売って支度金にしたくらいだった。
いまは田を借りて百姓をしているが、寄る年波に思うに任せず、
いわゆる三ちゃん農家として細々と暮らしている。

出征の時は村を上げて送り出してくれたが、帰ってきたのは白木の箱だけだった。
息子を失った舅の勇吉(江本明)と姑のチヨ(倍賞美津子)は、
友子に家を見捨てないでくれと嘆願する。

友子はもう実家にも人はいないからどこにもいかないと宣言、
長男の死で二男に跡目を譲るため、働きに出ている二男の三平を呼び戻し、
一緒になってくれと言う、勇吉の願いも聞き入れるのだった。

一旦は平和な日々が訪れるが、やがて三平にも赤紙(召集令状)が届く。
みんなに送られて出征した三平はまたも白木の箱となって帰ってきた。

そして、終戦。

農作業をしていた勇吉は、友子の目の前で突然死してしまう。
医者に診せる金はもちろん、お布施の金もないが、
戦死者二人を出した「誉の家」として、葬儀費用は村が見てくれた。

さらにつつましく生きる友子とチヨ。
チヨはなけなしのへそくりの在処を友子に教えると、首を吊って死んでしまう。
友子はへそくりを使ってチヨの葬儀を執り行った。

こうして一人遺された友子。
村の顔役の泉屋吉五郎(大杉漣)が言い寄ってくるが、頑として受け付けない。

一方、宝塚に向かった40名のうち、30名はまたもくじ引きで巡洋艦に乗り出兵。
残り10名のうち4名は特攻隊員として散って行った。
運よく出兵を免れた6名に入った松山啓太は、復員して実家の広島に戻ってきた。
しかし実家は閉じられたまま。
叔父の利ヱ門(津川雅彦)によれば、啓太を戦死したと思い込んだ実父と嫁が駆け落ちしたと言うのだ。
啓太は定造同様、家族には一枚のはがきも出さず、戦後になって初めて実家に帰るとハガキを出したのだった。

啓太は大阪のキャバレーで働いていた妻の美江(川上麻衣子)を訪ねるが、
復縁せず父を捨てるなと言って立ち去る。

暫くは猟師をしていたが、日本が嫌になり、実家の家と土地を利ヱ門に売り飛ばしてブラジル行を決意する。
そして荷物を整理しているときに、定造から託されたはがきを見つけ、その願いを思い出す。

そしてすぐに友子を訪ねる。
風来坊の出現に訝しがる吉五郎。
啓太はすぐに帰ろうとするが、定造の話を聞きたいと願う友子にほだされて泊まることにした。

翌朝、吉五郎が再び訪れ、啓太と喧嘩になって勝つものの怪我をする。
翌日別れの時に自分が生き残ったからと家を売った金の半分を友子に渡そうとするが友子は受け取らない。
激しい口論の末、友子も結婚はしなくていいからブラジルに連れてけと言いだす。

友子は一張羅を着て出かける用意をするが、家に火を放ち思い余って自分も死ぬと言いだす。
家が燃えてしまい、呆然となる啓太と友子。

今度は啓太がブラジル行を止めて、ここで麦を作ると言いだし、友子と一緒になって暮らすこととなった。
開墾、種まき、麦踏み、やがて黄金色に実った麦の穂の向こうで、友子と啓太は農作業に励むのだった。

**

うーん。
何か微妙でした。

戦争に翻弄された人を悲劇の主人公として殊更過大に表現することなく、
その感情の揺らぎと言うか、葛藤と言うか、どうにもならない苦悩を
淡々と描くことには成功していると思いますが、監督の思い入れが強すぎて、
いまいちはじけていない。

いや、はじけることが目的ではない、その時代の流れの中で、どうしようもない中で
それぞれの思惑が交差していく、そういう理不尽さ、
人の運命を決めたものが、多くの人の生き様を変えていったものが
「くじ運」だったというやるせなさは出ていたと思うんですが、
しかし、なんともはや、それ以上のものはもう一つ伝わりにくい気がしました。

 

 

    

  ハンガー・ゲーム  

ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リーアム・ヘムズワース、
スタンリー・トッツィー、エリザベス・バンクス、ドナルド・サザーランド。

大戦争があった後、国家統一を果たしたパネムはかつて反乱を起こした地域を12の地区に分割統治していた。
そして、各地区から男女各1名、合計24名を選出して最後の一人になるまで戦わせるという
ハンガー・ゲームを毎年行うことによって各地区の不満のはけ口とし国家全体の安定を図っていた。

ハンガー・ゲームは年を追うごとにショー化され、競技中は各人の一挙手一投足に至るまでが生中継される。
そして各地区と首都の住民はその行動に一喜一憂し、また喝采を送り、物理的に支援することすらできる。

今年も「代理人」と称される競技者を選ぶ時期がやってきた。
選ばれるのは12歳から18までの男女。
政府から補助を多く受けたものがより確率高く選ばれる仕組みになっている。

第12地区は炭鉱労働者のいる貧しい地区。
母子家庭であるエバディーン一家の12歳の次女プリムローズ(ウィロー・シールズ)が、
抽選で選ばれてしまった。

妹を救うため、16歳の長女カットニス(ジェニファー・ローレンス)は咄嗟に志願。
抽選で選ばれたピータ・メラーク(ジョシュ・ハッチャーソン)とともに首都に向かう。

首都への移動列車の中でかつてハンガー・ゲームで勝ち残ったという
ヘイミッチ(ウッディ・ハレルソン)にアドバイスを受けようとするが、
感情のもつれからなかなかうまく行かない。

生き残るコツは観客受けをよくすること。
つまりは戦いの場に外部から直接的支援をしてくれるスポンサーを手に入れること。
そしてヘイミッチ他、多くのスタッフが競技者をよく見せようと手助けすると言うのだ。

大スタジアムでの競技者紹介の時、カットニスとピータは燃える衣装で登場し、観客の度肝を抜く。
インタビューでは、ピータがカットニスへの片想いを語り、同情を誘う。

選手たちは4日間のトレーニングを行い、大会委員らへのプレゼンテーションでランク付けされる。
カットニスは11/12という高得点を得ることができた(だからどうした)

そしてついに決戦の日。
ヘイミッチのアドバイスはとにかく最初は逃げろと言うものだった。
ピータは逃げたが、カットニスはリュックを取ろうとして乱闘に巻き込まれそうになる。

最初の数時間で半数が殺され、カットニスは戦いを避けて、競技場の端を目指す。
各競技者の居場所は腕に埋め込まれたセンサーで把握され、大会本部は火を放って
カットニスを他の競技者のいる地域に誘導する。

カットニスは傷つきながらも危機を回避、ヘイミッチからの支援による傷薬を受け取ることに成功する。

その間にも殺し合いは進行。ピータは強豪区画の競技者に加担、カットニスを売る作戦に出ていた。
カットニスは、殺人蜂を利用して敵を蹴散らし、得意の弓矢も手に入れ、
蜂の毒消しで介助してくれたルー(アマンドラ・ステンバーグ)と協力関係を結ぶ。

強豪連中は資材を地雷で囲み、一か所に集めていた。
カットニスはこれを破壊、資材を吹き飛ばしてしまう。
しかし、その後、ルーが殺害され、再び孤独となる。

ゲームも終盤に近づき、ルール変更がなされ、同一地区のペアが生き残った場合は両者優勝とすることに。
カットニスはピートを見つけ、協力を申し出る。
その後ピータが傷つき、大会本部は各区画が必要とするものを提供することになり、
カットニスは危険を承知で確保に行き、やられそうになるがルーの同僚に助けられる。
カットニスは薬を確保しピータは助かる。

大会本部は、競技を終結させるため猛犬を放ち、ピータとカットニスは犬に追われて
カトー(アレキサンダー・ルドウィグ)と最後の対決をし、勝つ。

ここでまた大会本部は、勝者は一人、と宣言するが、カットニスとピータは猛毒の木の実を食べて死のうとし、
大会本部は競技終了を宣言、二人の優勝となる。

大会終了後(仮の)恋人同士を演じる二人は、栄光に包まれて自区画に帰ることになった。

続く

「2」の日本公開が決まったと字幕が出た。

一瞬、続編あるんだ、と思ったが、もともと小説も映画も3部作だったようだ。
映画も中途半端な終わり方で、問題は何も解決していないままだ。

設定が「バトルロワイヤル」に似ているとの批判もあったようだが、
別に「バトルロワイヤル」を参考にする必要もなく、人々が安全な地域から殺人ゲームを楽しむ
この映画に近い設定の話はいくらでもある。
原作の作者が言うように、リアリティ番組とイラク戦争の中継を見て思いついたのだろう。

カットニスの妹、プリムローズ役のウィロー・シールズはアナソフィア・ロブ系のいわゆる美少女。
双子の姉妹のオータム・シールズがいるがまったく似てない。

ルー役のアマンドラ・ステンバーグ、どこかで見たと思ったら「コロンビアーナ」で、
ソーイ・サルダナの子ども時代を演じている。

カットニスの故郷のボーイ・フレンド、ゲイルのリーアム・ヘムズワースは、
「ソー」のクリス・ヘムズワースの弟。兄貴よりすらっとしたイケメン。

第12地区の競技者選出などのMCだった奇抜な化粧のエフィーは、何とエリザベス・バンクス。

他に、スタンリー・トッツイーやウッディ・ハレルソンの被り物は見事だった。

 

 

   

 アウトレイジ ビヨンド    

北野武監督。
ビートたけし、三浦友和、加瀬亮、中野英雄、中尾彬、田中哲司、小日向文世、松重豊、神山繁、西田敏行、塩見三省、高橋克典

主役級が大勢出ている。
主要なキャストが大勢いるし、芸名と役名が混同するので、以下役名ではなく芸名で記述する。
ただし、ビートたけしは北野武とする。

前作を見ていなくてもわかるとは思うが、一応見ておいたほうが分かりやすい。

前作では北村総一郎率いるやくざグループ山王会で、配下の組の覇権争いなどによって、
騙し、裏切りなどがあり、北野組のかなりの組員が殺され、最後には逮捕され懲役を食らう。
(暴)刑事だった小日向文世は北野武の大学の後輩でやくざに情報をリークして金を貰う悪徳刑事。

山王会は幹部の三浦友和の裏切りで北村総一郎が殺され、三浦が会長になり、
元々は北野武の金庫番だった加瀬亮が北野から離れて山王会に入る。

獄中にいた北野武は、同じ刑務所に入っていた中野英雄に刺され絶命する。

あれから5年。
三浦友和を会長に山王会は大きくなり、今や政治の世界にもその触手を伸ばしていた。
小日向文世は同僚の松重豊と事件現場に向かっていた。
そこでは若手の(暴)刑事と女性が車ごと海から引き上げられていた。

女は国交大臣と山王会の仕掛けた罠で不倫関係にあり、それを探っていた刑事ともども始末されたのだった。
始末を指示したのは加瀬亮。
小日向文世は、山王会に乗り込み、事件を収めるため若手を犯人として差し出すことなどを要求する。
松重豊は小日向文世のやり口に反発するが、小日向は山王会をつぶす策略の一つだとうそぶく。

加瀬亮は山王会でも若頭として金庫を預かり、古参組長らを叱り飛ばして胡散臭がられていた。
中尾彬、名高達男、光石研は幹部会の後会合する。
中尾彬は北村総一郎を殺したのは杉本哲太(今回出演せず)ではなく、三浦友和自身、
その証拠として北村総一郎の警護役だった田中哲司の出世があるとの持論を展開する。

そこに小日向文世が登場、山王会が大きくなりすぎてまずいため、
大阪のやくざグループ花菱会と手を組んで三浦友和をつぶしてはどうかと持ちかける。

中尾彬は小日向文世とつるんで大阪に行き、花菱会の会長神山繁に状況を説明。
三浦友和に反旗を翻す相談をする。

しかし、その算段は三浦友和にばれ、山王会本部に呼び出されて射殺されてしまう。
三浦友和は小日向文世の策略だとなじるが、小日向文世は北野武が生きていると漏らす。

北野武は所内で刺されたが、実際死んでいなかった。
後ろめたさもあり、犯人である中野英雄のことは隠し通していた。
小日向文世は、中野英雄と北野武の間を取り持ち、花菱会と組んではどうかと持ちかける。

北野武は韓国やくざに面倒を見てやると言われていたが、中野英雄の熱意にほだされて関西に行く。
しかし、西田敏行や塩見三省に馬鹿にされて切れ、中野英雄がとりなして事なきをえる。

神山繁は北野武を利用して山王会をつぶすよう指示を出し、高橋克典ほか数名が北野武、中野英雄とともに、
山王会配下の組事務所を一つずつつぶしていく。

その間、北野武の出所におびえ、北野武を始末するよう指示した加瀬亮。
襲撃は成功するが殺害には失敗。
北野武を警護していた中野英雄の配下の桐谷健太、新井浩文は、
三浦友和の組に殴り込みをかけて捕まり殴り殺されていた。

小日向文世は中野英雄が北野武と反目しているとして加瀬亮をそそのかし、
中野英雄と会わせると、加瀬亮はあっさり捕まって北野武になぶり殺しに会う。

また、花菱会では名高達夫と光石研を利用して三浦友和をつぶす算段が進められていた。

北野武は、田中哲司を捕まえて三浦友和の北村総一郎殺しをゲロさせ、テープを花菱会に送る。
三浦友和はテープの送り主が加瀬亮だと騙されるが、同じ内容が山王会幹部組長にも送られており、
組長らの反目を受けて引退させられてしまう。

引退の名目は今回の抗争で活躍した中野英雄の組との手打ち。
格の違う組同士の手打ちだが、北野武はこれで引くといって消える。

引退してパチンコに興じる三浦友和だが、韓国やくざの手配で北野武が三浦友和を刺殺、恨みを晴らす。

小日向文世は三浦友和殺害の関連で新装なった中野英雄の組を捜索。
花菱会は山王会が三浦友和の復讐で中野英雄を殺すとみていたが、山王会は動かず、
中野英雄は花菱会の刺客に襲われて射殺されるが、表向きは北野武のせいにされる。

中野英雄の葬儀には、山王会、花菱会の幹部が弔問に訪れる。
小日向文世は北野武を呼び出し、葬儀会場で一戦交えるよう唆すが、
北野武に射殺されてしまう。

**

前作同様、血で血を洗う抗争劇が展開される。
前作ではいろいろな殺害方法が話題となった。
今作でもいくつかの殺し方が展開されるが、それほど多種多様というわけではない。

前作はシリアスに振りすぎたため、コミカルな要素も入れたと言う監督の言葉通り、
ところどころに笑えるシーンが取り入れられている。

前作では警察内部の様子はあまり取り上げられていなかったが、
今作では小日向文世演じる悪徳刑事が警察内部で策略をめぐらす様子が細かく取り上げられていて、
やくざ同士の対立の構図をより複雑なものにしているところが面白い。

韓国やくざが怖い。

まだ続きがあり得る終わり方になっているが、続編は興収次第か。

高橋克典はセリフがない。

中野英雄の✕傷はシーンによって目立ったり、ほとんど気にならなかったり。
メイクの違いによるものか、ライティングによるのかは不明。

 

 

           

 

 白雪姫と鏡の女王   

ジュリア・ロバーツ、リリー・コリンズ、アーミー・ハマー、ネーサン・レイン

**

昔々、雪のように白く黒い髪の女の子=白雪姫を生んだお妃が産後の肥立ちが悪く死亡。
遺された王は、新しいお妃をもらいましたが、森の中で行方知れずに。
新しいお妃は白雪姫を軟禁状態にして贅沢三昧。
おかげで豊かだった国は疲弊し、人々は酷税にあえぐ毎日でした。

一応「金があるから、結婚すれば何とかしてやるぜ」という男爵はいるんだけど、
女王(ジュリア・ロバーツ)はじじいが趣味ではないとそっけない。

そんな中、お供のレンボックを連れて冒険の旅をしている王子アルコット(アーミー・ハマー)は、
魔物がすむと言う森で巨人=実は小人に襲われて、身ぐるみはがされてしまう。

一方18歳の誕生日を迎えた白雪姫は、侍女たちからささやかなお祝いを受け、
密かに町の様子を窺いに行く途中、情けない格好の王子たちを助ける。

半裸で女王の城に着いた王子、どうせ貧乏国の田舎者と思っていたら、
金銀財宝、特産品に恵まれた金持ち国だと分かり、女王は王子と一緒になれば万々歳と計画する。

女王が王子の気を引くための舞踏会費用のため増税(名目は森の魔物退治)を布告するところに、
居合わせた白雪姫は憤慨して城に戻る。

白雪姫は怒りを隠して舞踏会に入り込み王子と再会、たがいに惹かれはじめるが女王にばれてしまう。

女王にたてついた白雪姫は、侍従のブライトン(ネーサン・レイン)に魔物の森で殺されることに。
しかし、ブライトンは白雪姫を逃がし、女王には殺したと嘘をつく。

白雪姫は小人の家にたどり着き行き倒れるが小人に助けられる。

翌日、小人たちは税金を城に持ち帰るブライトンの馬車を襲い金を強奪する。

アルコット王子は小人を退治するため森に向かい、女王との対決に備えている白雪姫と対峙、
優勢に事を運びつつも最後は馬に蹴られて伸される。

死んだはずの白雪姫が強盗の仲間だと思い混乱する王子に女王は(犬の)惚れ薬をかまして虜にする。

一方、白雪姫は小人が盗んだ金を町の人々に返し、追ってきた小人が金を取り返してくれたと持ち上げて、
人々の賞賛を小人に与える。

白雪姫と小人たちは結婚式場に乗り込んで来賓の貴族たちから金品を剥ぎ取り王子をさらう。
後からやってきた女王は会場の惨状に激怒。
鏡の中の魔女に小人たちを襲わせるが失敗、自分自身が白雪姫を殺しに行く。

王子は惚れ薬の魔力から覚めずも惨めな姿をさらしていたが、白雪姫のキスで魔法が解ける。

女王は森で魔物を白雪姫と王子にけしかけて城に帰る。

魔物は圧倒的な力で白雪姫に襲いかかるが、一瞬ためらいを見せる。
女王と同じペンダントに秘密があると見た白雪姫がペンダントを弾き飛ばすと、
魔物の魔法が解け、そこには行方不明になっていた王(ショーン・ビーン)が現れる。

一方魔法が破れた女王はみるみる老婆となり、王子と白雪姫の結婚式に
毒りんごを持って盛り込むがあっさり見破られておしまい。

最後はリリー・コリンズのまるでボリウッドサウンドのようなエンディングテーマで歌って踊って大騒ぎ。

**

魔法の鏡、魔物の森、7人の小人、王子とのキス、毒りんご等々、基本のアイテムや事象は押さえてあるが、
内容は全くオリジナルと言っていいほどおとぎ話とはずれている。
冒頭の経緯説明のセリフ部分もふざけてるし。
肝心の「鏡よ、鏡。世界で一番美しいのは誰?」のセリフもなし。
(Mirror, mirror on the wall. Who is the fairest of them all?)
(原題でもある「Mirror Mirror」は言う)

「スノーホワイト」と対比してみるのもまた一興。

ジュリア・ロバーツは鏡の魔女よりも老婆のメイクの方がずっと合っていた。

リリー・コリンズは映画のためにわざとゲジゲジ眉にしていると思っていたが、素みたいですね。
なお、彼女の父親はジェネシスのボーカル、フィル・コリンズ。

ショーン・ビーンが出てきたのにはちょっと驚いた。

衣装担当は故石岡瑛子。
ちょっとどうかなという奇抜なものもあるが、色使いやデザインなど
多分制約が多かったと思われる「インモータルズ」よりずっときれいだった。

 

 

  

 映画 ひみつのアッコちゃん   

綾瀬はるか、岡田将生、吹石一恵、大杉漣、谷原章介、香川照之、鹿賀丈史。

**

加賀美あつ子(吉田里琴)は小学5年生。
ママの化粧品を持ち出して放課後に化粧していたら、友達にからかわれて
パパに買ってもらった大切なおもちゃのコンパクトを割ってしまった。

鏡のお墓をつくって寝たら、その夜、黒服のオジさん(香川照之)が訪ねてきた。
オジさんは鏡の精と名乗り、あつ子に魔法のコンパクトを渡し、呪文を教えて消えてしまった。

部屋に戻って半信半疑で魔法を試すと、あーら不思議。
大人になった自分(綾瀬はるか)にびっくりし、次々となりたいものに変身。
はしゃぎ過ぎてママにばれそうになったが元に戻って事なきを得た。

翌日からは冬休み。
みんなで遊園地に行って一悶着あったけど、たまたま変なサラリーマン(岡田将生)と知り合う。

翌日からは学習塾の特訓だったけど、塾には嘘をついて町を散策。
デパートで化粧してもらっていたところへあのサラリーマンが。

彼は若手ながら赤塚化粧品の企画開発部、部長待遇の早瀬尚人。
あつ子の化粧品に対する率直な意見に感じるものがあり、社に連れて行く。

おりしも赤塚化粧品では業績不振から第3者増資で鬼頭工業の傘下に入る計画が進められ、
企画開発部は関連工場とともに整理されようとしていた。
先頭に立って事を進めているのは熱海専務(谷原章介)だった。

あつ子=アッコちゃんは大学生の冬休み中のバイトとして商品企画部で働くことになるが、
そこは大学生の衣をかぶった小学生。
言葉遣いもやることもハチャメチャで先輩社員ら、特に青山マリ(吹石一恵)には目の敵にされる。

早瀬の本音を探ろうと子会社に飛ばされた中村前社長(大杉漣)に化けて近づき、
前社長の招待だと嘘言って友達の小学生を見学に連れ込んでグダグダになるが、
そこから、温度で色の変わるリップの開発を思いつく。

しかし、専務に却下されてやる気を失い、さらには化粧品に有害物質が混入しているとの
ニュースが流れて株価が急落、早瀬はますます窮地に追い込まれる。

アッコは前首相夫人(内田春菊)に化けて化粧品の宣伝をするが、本人からクレームが入る。

挙句、鬼頭に企画開発部の工場を停止されて、万事休すと思ったがアッコが
鬼頭と熱海専務の話を思い出し、筆頭株主の大庭鶴子(もたいまさこ)に会いに行く。

アッコと早瀬は大庭鶴子に増資案に反対するよう説得するが追い返され、
熱海専務と鬼頭とも鉢合わせしてしまう。

そして株主総会の日。
早瀬は増資案の前提となる取締役の選任議案に反対するが、そこは小株主の悲哀、
もみ消されそうになる。

そこに大庭鶴子が改めて取締役解任の動議を出し、一旦は否決されそうになるが、
一警備員と思っていた守衛(塚地武雅)が実は大株主の一人で賛成に回り、可決される。

この結果、増資案は取り下げられて新製品の企画も進められることになる。

早瀬は冬休みが終わってもアッコに社に残るよう依頼し、履歴書の嘘もばれているので
本当の事を言うよう迫るが、鏡の秘密がばれると魔法が消えるのでアッコは言葉を濁す。

悩むアッコは屋上に出て、偶然にも鬼頭が早瀬の技術を軍事転用するために
社を乗っ取ろうとしていることを聞き、さらには工場を爆破する計画を知ってしまう。

急いで工場に行き、爆弾は見つけたものの社員に知らせる手がなく、
飼い猫に化けて社員に爆弾を知らせようとするが失敗、
早瀬もいる中でついに正体を明かしてしまう。

そしてなんとか爆弾を工場から出すことには成功するが、爆破のショックで鏡が割れ、
元に戻れなくなってしまう。

家では塾に行ってないこともばれて、ママや友達が心配して待つ中、
途方に暮れていると、鏡の精が再び現れてもう一回だけ魔法が使えると伝える。

アッコは自分に戻り、家に走って帰るのだった。

12年後、本物の大学生になったアッコは早瀬のいる赤塚化粧品の就職面接を受け、
早瀬はアッコに気づくのだった。

**

赤塚不二夫の漫画のコンセプトを引き継いでいるが、ストーリー自体はオリジナル。
綾瀬はるかだけでなく、大杉漣、谷原章介、吹石一恵らが
アッコちゃんが化けている設定でのシーンがある。

細かい部分では笑えるシーンが多い。算数学部とかね。

ただ、そもそも鬼頭が乗っ取る目的の早瀬のアイデアは
乗っ取り計画より後に思いついたものなので、順番が逆だし、
研究部門をつぶしてしまってはアイデアの完成が難しくなる。

仮に早瀬が会社を見限って辞めてしまったらどうするのか。
鬼頭は熱海よりも早瀬を取り込まなくてはいけない。

12年後はもう少し老けててほしかった。

化粧品会社が「アカツカ」だとはわかっていたが「赤塚」だとはわかっていなかった。

会社のロゴマークやポスターを映画オリジナルで作るのは造作もないことだが、
化粧品のパッケージを一からデザインして作るのは大変だ。
少量なら一つずつ手作りすることも可能だろうが、ずらっと並べるとなると難しい。

おそらくはシャンソン化粧品の既存製品のラベルを張り替えるなどして、
AKATSUKA製品に仕立て上げたんだろうが、そういうのって意外と楽しいかも。

 

 

 

 プロメテウス    

ノオミ・ラパス、シャーリーズ・セロン、マイケル・ファスベンダー、ガイ・ピアース。

**

(古代の地球)大型宇宙船から降り立ったらしい人型宇宙人が薬を飲み、
体中ばらばらとなって水の中に砕け散っていく。

2089年。
宇宙船プロメテウス号は、アンドロイドのデビッド(マイケル・ファスベンダー)を監視役に飛行を続けていた。
やがて目的地接近のアナウンスに、オーナーのビッカーズ(シャーリーズ・セロン)が長期睡眠から覚め、
各クルーの目覚めを指示する。

既に死んでしまっただろう高齢のピーター・ウェイランド社長(ガイ・ピアース)のビデオ挨拶に続き、
考古学者のチャーリー・ホロウェイ(ローガン・マーシャル・グリーン)と
エリザベス・ショウ(ノオミ・ラパス)の説明が始まった。

地球上の何か所かの古代遺跡で共通する星座の図案が見つかりその場所が特定された。
エリザベスらはこのマークを宇宙人からの人類への招待だと推察し、
人類の起源を探るために長期飛行を続けてきた、というのだ。

クルーには操縦士、保安要員、考古学者のほか、地質学者や生物学者なども含まれた。

目的の惑星の大気圏に突入し、着陸地点を探していると、平地の真ん中に
如何にも遺跡っぽい建造物らしきものを発見、その近くに着陸、探査に向かう。

外気の酸素と窒素の濃度は地球に酷似しているものの、二酸化炭素が3%と多く、
そのままでは人間に有毒だったが、建造物内部の途中からは無害な空気になっていた。

デビッドは有している多くの古代言語の知識からの類推で、壁面の文字を解読して操作、
再現されたホログラムは人型の宇宙人が逃げまどい、一人が扉の前に倒れるシーンだった。

ホログラムで示された場所には首を切断された宇宙人の遺体。
地質学者の二人は前進を拒み、プロメテウス号に戻ろうとする。

デビッドが宇宙人がはさまれた扉を開けると、扉の向こうにはもぎ取られた首、
人の顔の巨大なモニュメントがあり、筒状の物体が整然と並んでいた。

そのころ、二酸化ケイ素を含む大型の砂嵐が接近、調査隊は一時撤退する。
いろいろあったが、調査隊はギリギリのところでプロメテウス号に戻った。

エリザベスとフォード(ケイト・デッキー)は持ち帰った宇宙人の首を調べると、
それは外骨格ではなくヘルメットだった。

ヘルメットの下には人間そっくりの顔があり、電気ショックを与えたところ、
首は悶絶の上破裂してしまった。

その後の調査でDNAが人類と一致。すなわち宇宙人と人類は同じ起源をもつと考えられた。

デビッドは持ち帰った筒状の物体から生命体のようなものを取りだし、
その液体の内容物を密かにチャーリーに飲ませる。
チャーリーは、その夜、エリザベスと関係を持つ。

地質学者の二人は建造物に取り残され、調査隊が入っていた筒状の物体の部屋に入り
内部で嵐が過ぎるのを待っていた。

二人は筒からあふれた液の中に何かを見つけるが、飛び出した蛇様の生物に絡まれる。
それを切るとあふれた体液をかぶって一人は死亡、もう一人は復元した蛇様生物に口から体内に侵入される。

翌日、再び調査隊が建造物に入り、一人の死体を発見する。
デビッドは一行から離れ、操縦室と宇宙人のホログラムを発見する。
そこには宇宙の星々の中から地球を選択した様子も示されていた。
そして、生き残って長期睡眠装置に眠る一人の宇宙人も。

そのころ、チャーリーの体調が急激に悪化、調査隊は急いでプロメテウス号に戻る。
艦内に入ろうとすると、ビッカーズが阻止、ついにはチャーリーを火炎放射器で焼き殺してしまう。

ショックで倒れたエリザベスだが、デビッドの検査の結果は妊娠3か月。
ありえない兆候にエリザベスが自動手術機で取り出したそれはイカ状の生命体だった。

取り残された隊員の一人が艦の外に現れる。
不用意にゲートを開けたところ襲いかかられ、何とか排除したもののも
ものすごい力で隊員が何人もやられてしまう。

艦内にはウェイランドその人も同乗していた。
実の娘であるビッカースの制止を振り切り、ウェイランドはエリザベスやデビッドを伴って
宇宙人に会いに行く。

艦長のジャネック(イドリス・エルバ)やビッカーズはプロメテウス号で待つ。
一連の騒動にジャネックは、この星は人類創設のエンジニアの住む星ではなく、
彼らの作った生物兵器の実験場で、彼らは作ったものに滅ぼされたのではないかと考える。

デビッドが睡眠装置を切り、宇宙人を蘇生させる。
エリザベスは人類を創生したはずの彼らが、なぜ生物兵器を地球に送り込もうとしているのか
聞こうとしたがウェイランドに阻止される。

デビッドはウェイランドの指示で宇宙人に古代語を駆使して語りかけようとしたが、
宇宙人は突然怒り狂ってデビッドの首をもぎ取り、エリザベス以外の他の隊員を撲殺。

エリザベスは必死で脱出するが、宇宙人は操縦席に座って、宇宙船を発進しようとする。
エリザベスはジャネックに宇宙船阻止を懇願。
ジャネックと乗組員は意を決して宇宙船に突っ込み、これを墜落させる。

その直前、脱出ポッドで艦を離れたビッカーズだったが墜落する宇宙船にの下敷きになって圧死。
エリザベスは艦から切り離されていたビッカーズ用の生命維持モジュールに退避するが、
死んだはずのイカ状生命体は医療室の中で生きていた。

そこにデビッドからの連絡が入り、エリザベスは宇宙船から逃れた宇宙人に襲われるが、
医療室のドアを開けてイカ状生命体と宇宙人を戦わせているすきに逃げる。

この戦いは、結局イカ状生命体が触手を宇宙人の口に挿しこんで終結。

外に逃げたものの万事休すのはずのエリザベスは、デビッドの提案を受け入れて
別の宇宙船で星を出ることにした。
ただし、行き先は地球ではなく宇宙人のもともと住んでいた星。

そのころ、生命維持モジュールでは宇宙人の腹を食い破って小型のエイリアンが出現していた。

**

大迫力。
「映画はロングショットだ」とは、某有名監督が言ったとか言わなかったとか。
いずれにせよ、大画面の大パノラマの中を米粒のようなキャストが行き交うところの
広がりと言うか奥行きと言うか、これはもう大きいスクリーンで見るべきでしょう。

設定の時代を生で体験することはできないとは思うが、これからわずか7、80年後に
あの程度のサイズの宇宙船で、太陽系外への何年もの宇宙旅行ができるとすれば
これはもうエネルギー革命に他ならない。

元々は1979年の「エイリアン」の前日譚として計画された映画。
「エイリアン」で登場した操縦席に横たわる宇宙人の謎に迫るものだったようだ。

あの話との前後関係や関連性については語られないが、クリーチャーの造形や性質などは強い類似性がある。
また、ウェイランドは「エイリアン」の宇宙船の会社のオーナー

設定や展開には物理化学的には多少無理があるが、それはSFの常なので特に違和感はない。

ただ、調査隊の一部が道に迷うのは、映画の設定では到底あり得ないし、
二人だけの行動もまずい。

また、空気の組成が無毒だからと言って、ヘルメットを取るのはまずい。
どんな微生物がいるか分からないし、突然、毒が噴出してくるかもわからない。

いずれにせよ、未知の世界では無防備すぎる。

映画では宇宙人と人類が共通のDNA情報を持つ(宇宙人が人類の起源)と言っているだけで、
生命の起源が宇宙人だと言っているわけではない。

生命の起源が地球外からもたらされたと言う仮説は以前からあり、いまだに証明も否定もされていない。
アミノ酸やたんぱく質、そしてRNAやDNAに至る一連の合成のどこかに
生命の起源があるのは多分確かで、仮にDNAの断片がもたらされたことが起源だとしても、
それが即、宇宙人のコピーとしての人類の創生につながるとは考えにくい。

シャーリーズ・セロンはかっこいい。
ノオミ・ラパスとの存在感の差は如何ともし難いが、
シャーリーズ・セロンがヒロインではまずいかもしれない。

ガイ・ピアースは知っていてもわからなかった。
あの時代になれば、もっと高性能のパワーアシストが実現されていてもよさそうだ。
あの程度ならここ数年の内には実用化されるだろうし、研究レベルなら今でもある。

 

 

           

 

 るろうに剣心   

佐藤健、江口洋介、武井咲、香川照之、吉川晃司、蒼井優。

**

およそ140年前、戊辰戦争の鳥羽伏見の戦い。
戦いの中に一際剣に長けた者がいた。
人呼んで人斬り抜刀斎。

幕府軍を次々と斬り倒していたが、新選組の剣客、斎藤一(江口洋介)との戦いのさなか、
戦争自体は明治政府軍の勝利。錦の御旗が繰り出され、戦闘は中止。
意欲を失った抜刀斎は、太刀を捨てその場を立ち去る。

その刀を拾ったのは、やはり剣客の鵜堂刃衛(吉川晃司)だった。

10年後。
街では人斬り抜刀斎と名乗る人物が警官殺しを重ねており、人相書き手配書が張られていた。
勿論偽物、本物の、かつての人斬り抜刀斎、緋村剣心(佐藤健)は、
峰と刃が逆の「逆刃刀」を腰に旅をしていた。

剣心は突然若い女性から木刀を突きつけられる。
女性の名は神谷薫(武井咲)、神谷活心流の跡継ぎであり道場主。
人斬り抜刀斎が神谷活心流を名乗っているため、自ら抜刀斎を倒そうと考えていた。
剣心の逆刃刀を見て人斬りではないとわかる。

その頃、実業家を名乗る武田観柳(香川照之)は、子飼いの医師、高荷恵(蒼井優)に
依存性の高いアヘンの製造をさせていた。
製造が成功すると、恵以外の製造法を知る人物を皆殺しにし、恵には逃げられてしまう。
恵は警察署に逃げ込むが、観柳の部下の抜刀斎を名乗る刃衛が警察に乗り込み、
警官を皆殺しにしてしまう。

恵はその隙を突いて警察を脱出に成功する。

刃衛が恵を追って警察を出たところ、薫と鉢合わせ。
刃衛を抜刀斎と見た薫が突っかかり肩を切られるが、剣心が現れて薫を助けて逃げる。
道場には門下生は明神弥彦(田中偉登)ただ一人。
無頼漢どもが道場則りに乗り込んできても薫と弥彦では歯が立たず、やられてしまうが、
再び剣心が現れて皆を叩きのめす。

そこに警察が乗り込んできて、全員を廃刀令違反で検挙する。
剣心も捕まり投獄されるが、警察幹部と引合される。
それはかつて剣心に暗殺指令を出していた討幕派の山県有朋(奥田瑛二)。
斎藤一を藤田五郎として配下にしていた。

斎藤は剣心の「殺さずの誓い」を欺瞞だとして襲いかかり、逆刃刀を利用して剣心に傷を負わせる。
山県はそれを制し、剣心は釈放され、薫に請われて道場に戻る。

その頃、たまたま恵と遭遇、助ける羽目になった弥彦。
恵を勝手に道場に入れて薫と揉めるが、とりあえずはなあなあに。

薫は剣心を牛鍋に誘うが、食事中に観柳が押し掛けてきて一悶着。
留置場で剣心を見かけていた相良左之助(青木崇高)が絡んで一騒動。
結局は左之助も剣心にほだされて丸く収まる。

ところが観柳の部下の面の男、外印(綾野剛)が恵を見つけて道場で警告を発すると、
町人たちに病気が蔓延して道場に運び込まれ、恵が治療を行う。

治療が一段落した後、恵は自ら観柳の下に戻るが、
剣心が左之助とともに薫を助けに乗り込んでくる。

剣心らは立ちはだかる戌亥番神(須藤元気)や外印を倒し、観柳に迫る。

剣心らは番神や外印を倒し、結局は観柳も官憲の手に落ちるが、
その間に薫が刃衛にさらわれ、剣心と刃衛の最後の戦いとなる。

かなりの接戦で、全般に刃衛が有利に事を運ぶが、剣心の怒りが勝り、
刃衛は剣心に倒される。

そして剣心が殺さずの誓いを破り、刃衛を斬り殺そうとしたとき、
薫がそれを制し、剣心は人殺しをしなくて済む。

そこへ斎藤一、つまりは藤田五郎が警官とともに登場し、刃衛を逮捕、
剣心は薫を道場へ連れ帰る。

目が覚めた薫は剣心が去ったと思い慌てるが、剣心は道場にとどまっており、
左之助、弥彦、恵を含めて平和な社会が戻ってくる。

**

尋常でない動きは、結構なワイヤーアクションの賜物だが、
漫画チックなはずがかなりいけていた。

セットにしろアクションにしろ、製作側の本気度はかなりの物で、
時代劇の一つの進化形と言えるかもしれない。

元々の設定がしっかりしており、各人物像もよく練られているので、
映画の2時間の中で破綻するようなことはなく、じっくりと見ていられる。

**

香川照之は受け口の設定で、下の歯を入れ歯にしていたが、きれいすぎてバレバレ。
ほんの少し不揃いの方が自然だったかも。

武井咲はいつまで道着のままなんだと思ったが、後半は和服になっていて違和感なかった。
むしろいくら撮影とはいえ、和服をあんなに汚しちゃってもったいない感があった。

弥彦の田中偉登はなかなか。
日本の子役も行けますなぁ、って気がしました。

気になったのは江口洋介の煙草。
もちろん時代考証はしっかりしているんだろうけど、
最近は映画の中で喫煙シーンが少ないこともあって何となく違和感でした。

 

 

           

 THE GREY 凍える太陽

リーアム・ニーソン。

オットウェィ(リーアム・ニーソン)は石油会社に雇われたスナイパー。
アラスカの作業所で付近をうろつくオオカミを排除するのが仕事。

最近かみさん(アン・オープンショウ)を亡くし、人生の意味を失いかけている。
遺書とも、妻への惜別ともつかぬ文を書き、そっと持っている。

そんなある日、極寒の中、休暇で家に帰る作業員とともに飛行機に搭乗した。

眠りにつき、妻との思い出に浸る中、機は激しく揺れ、ついには墜落してしまう。

オットウェィが気づいた時には雪原に放り出されていた。
少し離れたところにばらばらになった機体。
あちこちに荷物や死体が転がっていた。

気づくと何人かは生きているようだ。手分けして助け、機体の残骸の中に移動する。
重傷者1名、軽傷の者はオットウェィを含めて7人。

重傷だったルウェンデン(ジェームズ・バッヂ・デール)は間もなく息を引き取った。
燃えるものを集めて火を起こし、食べるものを探す。

オットウェィの銃は見つかったが、破損していた。
わずかに数発の散弾の実包が見つかっただけ。

やがて夜になり、付近を探しているとCAと思われる女性の姿が。
呻き動いているので助けに行こうとすると、
それはオオカミが呻きながら死体に食らいついているところだった。

オットウェィは狼を追い払おうとして逆に噛まれるが、仲間に助けられる。
狼の縄張り?巣の近く?
いずれにしても危険が迫っていることに変わりはない。
交替で寝ずの番につくことにしたが、一人は惨殺されてしまった。

このままでは危ない。 助けが来る見込みはない。
残された6人は、雪原から森へ移動することにした。

最初はすべて捨て置こうと思ったが、遺族に渡すために遺体の財布を集めて出発する。

やがて、足を怪我していたフラナリー(ジョー・アンダーソン)が遅れ始める。
そして、数頭のオオカミが襲いかかり、フラナリーは息絶える。

残りは5人。
狼が並走してくる中、5人は森まで走りきった。

しかし、そこも安全ではなかった。
狼の遠吠え、むしろ雪原よりも敵は多かった。

夜になり、オットウェイは散弾の実包を棒の先に括り付けた「棒銃」を作らせる。
ディアス(フランク・グリロ)は、いきがって作業せずオットウェイと揉める。
そこに文字通りの一匹オオカミが現れ、いったんは森に戻るが、
隙を突いてディアスに襲いかかり、棒銃が威力を発する。

全員でオオカミを丸焼きにして食べる。
ディアスがオオカミの首を切り落とし、遠吠えの方向に投げ込むと、
遠吠えはよりひどくなり、6人は危険を感じて移動する。

黒人のバーク(ノンソ・アノジー)が体調を崩して歩けなくなり、
一行は行き止まり(崖)を背にして眠る。

しかし天候が悪化、バークは凍え、二度と目を覚まさなかった。
翌朝、一行は崖っぷちに寝ていたことに気づく。
対岸に渡るしかないとロープを作って一人が飛び、木の上にロープを渡し、
残りはロープを伝って渡る。

しかし、4人目のタルゲット(ダーモット・マロニー)は、安全に渡ることに失敗、
木の下に落下して待ち伏せのオオカミに襲われてしまう。

3人は焦って木から降りてタルゲットを助けようとするが、タルゲットは連れ去られ、
ディアスは足をくじく。

3人は小屋を期待して川沿いを下って行く。
やがてディアスはもう歩けないと言い、その場にとどまる。

残る2人はディアスを残して進むが、並走するオオカミが襲い、
ヘンリック(ダラス・ロバーツ)は川に落ちる。

ヘンリックは流され、オットウェイが追うが、やがて川底に足が引っ掛かって水没。
オットウェイの救助虚しく、ヘンリックは溺死する。

オットウェイはなおも進むがやがて疲れて止まり、持ち帰っている仲間たちの財布に挟まれた
家族の写真などを見て気持ちを落ち着かせていたが、そこはオオカミの巣穴のすぐそば。

オオカミのボスがオットウェイに気づき、間合いを詰めてくる。
オットウェイはナイフや割った瓶を手に括り付けてボスと戦う準備をする。

そして、ついにオオカミとの激突が・・・・・

リーアム・ニーソン以外のキャストはよく知りません。

エンドロール後に1カットあり、結末は観客にゆだねる形となっている。
しょうがない気もするが、もう少し何とかなる結末でもよかったかも。

見ているときは気にしなかったが、今思うとやや疑問もある。
例えば、隊列を組んで歩くのにけが人を最後尾にするのはどうなのか。
遅れるのは目に見えている。

ロープが機内にあったとは言い切れないが、後々の事を考えると、
登山隊のようにロープでつながっていかないと危険。

急ぐのはわかるが、もう少し武器とか防具とかを用意しないと。
ギャレーの酒を確保する暇があったら(酒も大事だけど)包丁やナイフも確保すればよかった。

最初に狼を撃退した時のように、みんなが鈍器を持っていただけでも、まだましだった。
いずれにしてもサバイバルに関しては全員素人にしか思えず、
その割には断定的決断をするのはやや不可解だった。
どこまでも追ってくるというよりは、どんどん危険な方向へ進んでいる感じだった。

 

 

          

 あなたへ   

高倉健、田中裕子、長塚京三、原田美枝子、ビートたけし、草g剛、佐藤浩市、
余貴美子、綾瀬はるか、三浦貴大、大滝秀治、浅野忠信

倉島英二(高倉健)は、富山刑務所の元刑務官で、現在は嘱託の作業技官。
刑務所では木工指導などを行っている。

倉島は療養中だった妻洋子(田中裕子)をつい最近がんで亡くした。
刑務所にNPOの担当者が来訪、遺言だと言う洋子からの2通の封筒を示す。

1通は倉島に直接手渡し、もう1通は長崎県平戸市の郵便局局留め。
受け取りの期限は着後10日。

受け取った封筒の中には自筆の絵ハガキに「故郷の海に散骨してください」とあった。

倉島は、ミニバンの車内を改造し、キャンピングカーにして、洋子と旅行する予定だった。
急ぎ、改造を仕上げ、遺骨を持って、車で長崎に向かうことにした。

洋子は童謡歌手として長い間刑務所に慰問に来てくれていたが、突然ぷっつりと来なくなっていた。
たまたま刑務所作業品展示に来た洋子を見つけた倉島に、洋子はあれは慰問ではなく、
特定の受刑者への歌だったがその人が死んだので行かなくなったと打ち明けられる。

その後、倉島と洋子は何度か出会い、洋子は歌手を辞め倉島と結婚、
15年間の結婚生活だった。

倉島はけじめをつける、として刑務所には退職届けを出すが、
総務部長の塚本和夫(長塚京三)には突っ返され、休暇扱いにされる。

最初の日、スタンドで出会った大型のキャンピングカーの杉野(ビートたけし)に、
オートキャンプを教えてもらい、そこに泊まる。
杉野は最近妻を亡くし、約束だったキャンピングカーでの旅に出ているのだと言う。

翌日、ショッピングモールの駐車場でバッテリーが上がったと言う田宮(草g剛)と出会い、
半ば強引に頼み込まれ、大阪まで乗せていくことになる。

田宮は駅弁のいかめしの業者。駅売りではなくイベントや物産展を回る部門の主任。
大阪では、機材の搬入から、イカの下ごしらえまでを手伝わされる始末。
後から合流した南原(佐藤浩市)は年上だが仕事の上では後輩。

田宮と別れ、ここからは瀬戸内を長崎へ向かう。

途中再び、キャンピングカーの杉野に出会う。
しかし、杉野は車上あらしの常習者だった。
警察に逮捕され、倉島も事情を聴かれるが、刑務所に身元確認が取れて解放される。

倉島は門司で再び田宮から声をかけられる。
仕事を手伝ってくれと言う田宮に対し、平戸での期限が明日に迫っているのでと、断る。
その夜、ホテルの部屋に南原が訪れ、散骨のための船が見つからない場合は、
と言って「大浦吾郎」という漁師を紹介される。

平戸に着き、郵便を受け取るとそこには「さようなら」とだけあった。

散骨のための漁船を手配しようとするが、漁協、釣り船などことごとく断られる。
たまたま、近くの食堂の娘、浜崎奈緒子(綾瀬はるか)に聞くと、
大浦吾郎は、彼女の恋人の卓也(三浦貴大)の祖父であることが分かる。

倉島は卓也とともに頼みに行くが、吾郎(大滝秀治)にはそっけなく断られる。

おりしも台風が接近しており、その夜は食堂の女主人、多恵子(余貴美子)が泊めてくれる。
強風の中、眠れぬ夜、多恵子との会話で、吾郎が断ったのは薄情ではなく、
自分に迷いがあるのを見抜かれたからだと倉島は告げる。

遺骨を海に撒いてくれと言う洋子にとって自分はなんだったのかと問う倉島。

多恵子は夫の話をする。
漁師に飽き足らず、事業を広げようとして失敗、多額の借金を抱えて焦ったのか、
7年前の台風で遭難し行方不明で、遺体は上がらず。
保険金で借金は返したものの、墓は空。
夫婦がすべて分かり合えるものではないと言い、倉島は納得する。

翌日、台風一過。
改めて大浦吾郎を訪ねる倉島。
途中の写真館に飾られたふるびた写真。それは紛れもなく子供の頃の洋子だった。

大浦も散骨を承諾、船はその翌日出ることになる。
洋子の絵ハガキにあった灯台を眺める丘の上。
吹っ切れた倉島は洋子の最後の絵ハガキを空へと投げる。

前夜、多恵子は倉島に一枚の写真を託す。
それは卓也と奈緒子のウェディングドレスの写真、海底で眠る夫への伝言だった。

翌朝、穏やかな海。
沖へ出た大浦は猟師たちが眠ると言う海を示し、倉島は静かに散骨をする。
そして花束をささげ、散骨は無事に終わった。
倉島は突き返された退職届を郵送し、平戸に別れを告げる。

そして、九州の物産展に来ている南原を訪ね、奈緒子と卓也の写真を渡す。
そう、南原は奈緒子の父だった。
多額の借金を抱え台風で難破した船の上で、このまま死んだことにすればと思い、
南原として生きていくことにしたと言うのだ。

倉島はそれ以上聞かず、田宮の姿を遠くに見ながら去って行くのだった。

**

全般に暗い。

典型的なロードムービーだが、回想シーンをうまく挟んで、
過去を紐解いていく構成としている。

佐藤浩市の設定は気付かなかったし、どうして高倉健が気付いたのかは謎。
偶然にしてはでき過ぎ。

元刑務官の観察眼のなせる業かもしれないが、結果として犯罪行為を見逃したのはまずくないか。
後でチクったかもしれないが。

橋フェチにはたまらないかもしれない。
富山から長崎であれば、普通日本海ルートを通っていくだろうと思うが、
平戸への行程が洋子との思い出を巡る旅ともなっており、
草g剛のエピソードを絡めて瀬戸内海側を走行させ、橋を取り込んでいる。

最後の赤い橋は平戸大橋。
それまでの瀬戸内に掛かる白い橋との対比が際立っていた。

回想の大阪のシーンで岡村隆史が出演。
警察役で浅野忠信、漁協の関係者に石倉三郎が出ている。

撮影時、高倉健80歳。足の運びは年齢を感じさせた。

 

 

         

 

  アベンジャーズ   

ロバート・ダウニーJr、クリス・エバンス、クリス・ヘムズワース、スカーレット・ヨハンソン、
マーク・ラファロ、ジェレミー・レナー、サミュエル・L・ジャクソン、グウィネス・パルトロウ。

「マイティ・ソー」でソーの弟だったロキ(トム・ヒドルトン)が敵役(かたきやく)。

同映画で登場したセルビグ博士(ステラン・スカルスゴード)は、シールドのもと、
「キャプテン・アメリカ」でヒドラ党が持っていたコズミック・キューブを使った研究を行っていた。

セルビグ教授を見守るスーパー・ヒーローの一人にクリント・バートン(ジェレミー・レナー)

そこにロキが現れて博士やバートンを杖で洗脳し、コズミック・キューブを奪って逃げる。

ニック・ヒューリー(サミュエル・L・ジャクソン)はスティーブ・ロジャーズ(クリス・エバンス)、
トニー・スターク(ロバート・ダウニーJr)を招集し、
部下のフィル・コールソン(クラーク・グレッグ)を介して、
ナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)にブルース・バナー(マーク・ラファロ)を呼ぶ。

ロキはセルビグ博士に研究を続けさせ、必要とされるイリジウムをバートンを使って盗むことに成功するが、
ロキはあっさり捕まり、ニック・フューリー率いる飛行空母の中に囚われる。

ロキの暴走に怒り狂ったソー(クリス・ヘムズワース)も登場するが、
皆が皆、自分が地球の平和を守ってるとし、他のスーパーヒーローはこき下ろすなど、ばらばら。
さらにはシールドがコズミック・キューブのパワーを利用した兵器を作っていることを知り揉める。

やがて仲違いが起こり、ロキは脱走、ソーとバートンが変身したハルクは飛行空母から脱落する。
一連の騒ぎの中でコールソンはロキに殺害される。

スタークはロキの狙いがアベンジャーズの結成阻止にあるとみて、ロジャーズと結束する。

バートンは洗脳されたまま飛行空母に侵入するが、ロマノフに倒されて洗脳が解け、協力する。

一方洗脳されたままのセルビグ博士は、スタークのビルの自家発エネルギーを利用して、
コズミックキューブで宇宙に穴を開け、アスガルドから軍団や
「トランスフォーマー」のドリラーに似たチタウリを呼び込んで地球を攻撃する。

コールソンの死をきっかけに結束が深まったアベンジャーズだったが、いかんせん多勢に無勢。
宇宙の穴を封じない限り、無尽蔵に攻め込んでくる敵を殲滅することはできない。
博士の洗脳が解け、ロキの持っていたパワー・スフィアを使って穴を閉じられることは分かったが、
米政府はマンハッタン一帯を核攻撃することを決定、ミサイルを発射する。

アイアンマンは最後の力を振り絞ってミサイルを宇宙空間に運び込み、敵を爆破殲滅。
自身は閉じられる穴からぎりぎりで地球に戻り、ハルクに助けられて一命を取り留める。

最後に軽い冗談を言ってその場は収まる。

やがてソーはロキを連れて星に帰り、アベンジャーズの面々は世界各地に散らばって行った。

エンドロール後に1カット。
一命を取り留めたトニー・スタークがうまい店があるといった店らしいところで仲良くお食事。
とはいえ全員が不機嫌、というシーン。

トニー・スターク=アイアンマン、スティーブ・ロジャーズ=キャプテン・アメリカ、
ナターシャ・ロマノフ=ブラック・ウィドウ、クリント・バートン=ホーク・アイ、
ブルース・バナー=ハルクと、それぞれ異名を持つ。

とにかく大迫力。
凄すぎてストーリーを追う暇もなく、終わってみるとどんな展開だったか覚えていない有様。

あの蛇のようなムカデのようなトランスフォーマーの敵みたいなのは既視感ありありだった。
人の発想の限界か。

また最後の敵のつぶやきの意味はよくわからんかった。あのシーン、要るか?

それぞれのスーパー・ヒーローはそれぞれの世界、それぞれの世界観で存在しているわけだが、
時代設定が同じ時期なので、当然会うこともあり、協力することも反目することもあるはず。

もし一緒に戦えばもっとすごいことが起こるはず、というのが元々の発想であるだろうし、
そういう設定、発想は初めてのことではない。

ただ、「キャプテン・アメリカ」で出てきたコズミック・キューブを
「マイティ・ソー」のセルビグ博士が利用し、それをアイアンマンが追う、
なんてのは、コラボレーションの妙と言ったところだろう。

ニック・ヒューリーの直属の部下、マリア・ヒル(コビー・スマルダース)かっこよかったね。
一説によれば「ワンダー・ウーマン」の候補にも挙がっていたらしい。

ブラック・ウィドウはナターシャ・ロマノフでロマノフのつづりはRomanoff。
ロシアのロマノフ朝と関係があるとされるが、もしそうなら本来のスペルはRomanovで、
女性なので、Romanova(ロマノワ)となることでしょう。

これで、一連のマーベル・コミック・スーパーヒーロー・シリーズ完結、かと思いきや、
「アイアンマン3」(2013:撮影中)「キャプテン・アメリカ:冬の兵士」(2014:計画)
「ソー:闇の世界」(2013:撮影中)(いずれも邦題は推定)など続編がある予定らしい。

 

 

          

 

 トータル・リコール  

コリン・ファレル、ケイト・ベッキンセール、ジェシカ・ビール、ビル・ナイ。

アーノルド・シュワルツェネガー主演の「トータル・リコール」(1990)のリメイク。
基本的な流れは同じだが設定はかなり変えてある。

近未来。
大戦争があって環境が破壊され、人類が住めるのは今のイギリス付近とオーストラリアのみ。
移動手段はUFB(the United Federation of Britain 今のイギリス付近)と
植民地=コロニー(オーストラリア)を結ぶ「フォール」と呼ばれる地球貫通トンネル。

コロニーは雑然としていて、労働者階層が住み、UFBまでフォールを使って通勤している。
UFBは富裕層が住み、整然としているが、コロニー独立を目指すテロ組織の攻撃を受けている。
テロ組織の首謀者はマサイアス、大物実行犯はハウザーと呼ばれていた。

ダグラス・クエイド(コリン・ファレル)も労働者の一人、毎日あくせくと働いている。
警察関係に勤める美人妻、ローリー(ケイト・ベッキンセール)と二人暮らし。

クエイドには悩みがあった。それは頻繁に見る悪夢。
自身がエージェントらしく、警察に追われ、美女(ジェシカ・ビール)と逃げているが、
結局逃げ切れず、美女は逃がすものの、自分は捕まってしまう、というもの。

毎日の仕事に辟易し、息抜きにリコール社の記憶埋め込みを試してみたいと思っているが、
同僚のハリーは頭がおかしくなると否定する。

仕事中、リコール社の経験があると言う新入りにおかしくならないと聞き、
その夜、一人でリコール社に行く。

支配人のマクレーン(ジョン・チョウ)は、既に持っている記憶は埋め込めないと言い、
クエイドはテロリストのマサイアスの部下で2重スパイの記憶を選ぶ。

いよいよ、記憶埋め込みを開始すると思ったその時、マクレーンが突然うろたえて、
クエイドに何者だと詰め寄り機械を止める。
その瞬間、警察が突入してきてマクレーンと社員を撃ち殺す。

クエイドも逮捕されそうになるが、とっさに反撃し、あっという間に10名ほどの警官を倒す。
そして、第2波攻撃の警官たちを交わして屋外に脱出、自宅に逃げ帰る。

家のTVでは、武装警官20名がテロリストに殺害されたとのニュースをやっていた。
あれはテロリストではなく自分だとうろたえてローリーに話すクエイド。
ローリーはクエイドを慰めるふりをして襲い掛かり、格闘になる。
そして、すべては作られた記憶だとばらす。
自分は妻ではなくクエイドの監視役、6週間前まではクエイドのことは知りもしなかった。

クエイドはローリーから逃れ、家を脱出。
手に埋め込まれた携帯で、ハモンドと言う男からメッセージを受けとり、
手を切って携帯パーツを抜き取って逃げる。

ハモンドに示された銀行の貸金庫にはパスポートや現金、それにビデオメッセージが。
そこには自分は記憶を消されそうになっていること、
UFBの自分のアパートにメッセージを残してあること、などが告げられていた。

クエイドは他人に成りすましてUFBへ移動。
しかし、ゲートで正体がばれ、逃げるが、追手にはコロニーから追ってきたローリーもいた。

高速道路に入り込んで右往左往していると1台の車が止まり、乗れと言ってくる。
運転しているのは、夢の中の美女。
名前はメリーナで、クエイドを仲間だと言う。

クエイドは無理やり高速から外れ、ローリーを撒くが、メリーナが怪我をしてしまい、
メッセージで聞いた自分のアパートに行く。

そこで弾けないはずのピアノを弾いていて、自分のメッセージを見つける。
それでは、テロはコロニー進攻のためのUFBのリーダーであるコーヘイゲンの謀略で、
既に攻撃準備が進められているが、ロボット兵を停止させるコード=キル・コードがあり、
それを自分がどこかに記憶しており、マサイアスに伝えるべきだと告げられていた。

しかし、アパートは武装警察に包囲され、クエイドとメリーナは逃げられない。
そこにハリーが現れ、説得を行う。

ハリーによれば、これはリコール社での記憶埋め込み中の妄想で、
クエイドはまだそこにおり、傍らではローリーが心配そうに見ている。
機械が不調で妄想から出られなくなっており、メリーナを殺せば妄想から抜けると言うのだ。

果たして今までのことはすべて作られた記憶なのか、メリーナも妄想なのか。
クエイドは、メリーナを選びハリーを撃ち倒して逃げる。

追うローリーと武装警官と警官ロボット。
縦横に走るエレベーターケージを利用してクエイドとメリーナはついに逃げおおせる。

メリーナはクエイドをマサイアスのアジトに案内する。
そこは人が住めないとされていた地域だった。

マサイアスはクエイド=ハウザーの記憶から、キル・コードを取り出そうと、
クエイドを機械にかけるが、記憶は暗号化されていた読み取れない。

そこへコーヘイゲン(ブライアン・クランストン)と、武装警官らが乗り込んできて、
マサイアスを射殺してしまう。
コーヘイゲンによれば、クエイドの記憶はすべては偽の記憶で、キル・コードなんかはなく、
ハウザーを二重スパイに仕立て、クエイドとしてコロニーに送り込み、
マサイアスを探し出すための作戦だったのだ。
そして、コーヘイゲンはマサイアスらのアジトや協力者のリストを手に入れてしまう。

そして、クエイドの記憶を元に戻し、ハウザーとしてメリーナを拷問させると言う。
クエイドは椅子に縛り付けられるが、ハモンドと呼ばれる男がわざと施錠せず、
クエイドは反撃、あっという間に武装警官を倒し、ヘリを強奪して脱出を図る。

その頃、UFBでは武装ロボットらをフォールに乗せてコロニー攻撃の準備を進めていた。
コーヘイゲンの指揮のもと、いよいよ発進の時間が近づくが、クエイドが乗り込んで格闘となる。

コーヘイゲンは倒したものの、クエイドを助けに来たメリーナのヘリは壊れ、
フォールから降りられず、コロニーに向かうことに。

移動中はロボットは作動していなかったので、その間にフォールに時限爆弾を仕掛け、
脱出を試みるが、乗っていたローリーや武装警官に阻まれる。

フォールはコロニーに着いてしまうが、直後に爆破して崩壊。
ローリーは結局爆死、クエイドとメリーナは助かって、UFBのコロニー侵攻計画は頓挫して、
コロニーの独立運動はますます盛んになった。

オリジナルはクエイドにアーノルド・シュワルツェネガー、妻のローリーにシャロン・ストーン、
メリーナはレイチェル・ティコティン。
レイチェル・ティコティンはその後とんと見かけないと思ったが、実はそうではなく、
「ナチュラル・ボーン・キラーズ」(1994)、「コン・エアー」(1997)、
「マイ・ボディガード」(2004)、「旅するジーンズ」(2005、2008)等々、多くの映画に出ている。
見た物も何本かあり、単に気づいていなかっただけのようだ。

舞台はオリジナルと違い、火星とミュータントは基本登場しないものの、
オリジナルと同様に乳房が3つの女性が登場する。
また、オリジナルの火星到着のシーンをパロッたというか、敬意を表したと言うか、
一瞬観客をミスリードするカットが入っている。一説によれば、同一人物だそうだ。

オリジナルはすべて夢(偽の記憶)だった(かもしれない)と思わせる終わり方だが、
今作はそれを匂わせる終わり方には思えなかった。

紙幣の肖像の一部にバラク・オバマが使われていた。

ジョン・チョウは、「スタートレック」のヒカル・スールー(Mr.カトー)
日本未公開の「ハロルドとクマール」シリーズのハロルド。

「フォール」は地球貫通トンネルである。

地球貫通トンネルは、原理的にはただまっすぐ掘り進んでいけばよい。
地球が丸いのでまっすぐなトンネルはいつか反対側の地表に出る。
近いところでは掘り進む角度が浅く、遠いところではより垂直に近くなる。

地面から見れば徐々に深くなり、中間地点で最も深く、また徐々に浅くなるが、
トンネル自体はまっすぐであり、重力によって加速し、中間点からは減速する。

仮にこんなトンネルが作れて、摩擦と空気抵抗がないとしたら、
理論上は地球上のどの2点間でも同じ時間で到達できる。
抵抗によるロスは何らかの推進装置を付けてその分加速してやればいいので、
他の輸送手段よりも効率よく使える可能性がある。

映画では到達時間を17分としていたが、計算は物理の試験に出るくらい有名な問題で、
実際に計算してみると時間は42分ほどになる。

高速鉄道の電車乗車時間が42分であれば、通勤圏内にできる人も結構いるだろう。

実際には、地下は温度と圧力がべらぼうにが高く、到底それに耐えられないし、
さらには、何百キロ、何千キロものまっすぐなトンネルが掘れるのかとか、
地震や地殻変動、大陸移動などの変位をどう修正するのかとか、
どこまで摩擦を減らせるのかなどの問題があって実現は無理だろう。

なお、映画ではコア通過前後の重力反転時に無重力となっていたが、
仮に地球中心を通過するトンネルだと、もともと自然落下なので、
内部ではスタート時から無重力状態になる。

斜めに地球を貫通するトンネルなら無重力にはならず、角度にもよるが、
巨大ブランコとかジェットコースターのような感覚になると推測される。

 

 

          

 マダガスカル 3   

シリーズ第3弾。ドリームワークスのアニメ。

吹き替えの、玉木宏、柳沢慎吾、高島礼子、岡田義徳、おぎやはぎは前回、前々回と同じ。
アンタッチャブル(山崎、柴田)は降板
オリジナルの声優は、ベン・スティラー、クリス・ロック、ジェイダ・ピンケット=スミス、
デビッド・シュワイマー、サーシャ・バロン・コーエン、セドリックなどこちらも続投。

第1作は、ニューヨーク・セントラル・パークの動物園にいたライオンのアレックス、
シマウマのマーティ、カバのグロリア、キリンのメルマンが、散々騒動を起こしたうえ、
アフリカに送られる途中、マダガスカル島に漂着してひと悶着あるというもの。

第2作は、マダガスカルから飛行機で脱出するが着いたのはアフリカ大陸で、
アレックスは父と再会し、群れのリーダー争い、保護区の水枯れを解決する物語。

そしていよいよ第3作。

ペンギンズは、飛行機を(オスプレイのように)直し、とっととアフリカを出て行ってしまう。
アレックスらはペンギンズが迎えに来るのをじっと待っているが、
そのまま老いてしまう夢を見るなどして、脱出を決意する。

今作は脱出の経緯がメインではないので、4頭はシュノーケルを身に付けて、
あっさりモンテカルロまで泳ぎ着く。

そこでは、ペンギンズの指示のもと、金持ちに化けたチンパンジーがカジノで大儲け。
ホテルの客室でやりたい放題の毎日だった。

アレックス以下4頭はカジノの屋上に忍び込み、チンパンジーたちを拉致して
アメリカに帰る算段を練るが、グロリアがカジノの屋根を突き破って、
4頭の存在がばれてしまう。

動物フリークのシャンテル・デュボア警部(フランシス・マクドーマンド)が呼ばれる。
彼女は数々の動物の首の壁飾りを持っていたが、ライオンだけはまだだったので、
特にアレックス確保に力を入れる。

4頭とチンパンジー、それにペンギンズはホテルの屋上に追い詰められるが、
チンパンジーたちの乗ったヘリ飛行機がぎりぎり4頭を回収し、なんとかデュボアから逃れる。

結局ヘリ飛行機は墜落してバラバラになり、あきらめないデュボアが追ってくる。

たまたまサーカス団の列車が止まっていて、アレックスはそれに乗せてもらおうとするが、
トラのビターリはけんもほろろにそれを断る。
やがて列車が動き出し、アレックスはサーカスの仲間だと嘘をつき、豹のジアに取り入って
列車に乗り込み難を逃れる。

中ではアシカのステファノが舞い上がっていろいろ聞いてきたため、
アレックスはサーカスのスターだとでたらめを言ってしまう。

一行はこの後のロンドン公演でアメリカのプロモーターに気に入られれば、
アメリカ公演に行ける可能性があった。

ペンギンズはカジノで稼いだ金をつぎ込んでサーカスを買ってしまう。

ところが次の公演は散々。
客を喜ばせることはできず、このままでは到底アメリカ行きは果たせない。

アレックスは従来の出し物を一新するアイデアでみんなを説得し、
4頭もサーカス団の一員として訓練を積みロンドン公演に備える。
そこへデュボアが迫り、一行は慌ててロンドンへ向かう。

サーカスの最初の出し物はビターリの輪くぐり。
かつて火の輪くぐりに失敗し、火傷を負っていたビターリは最初渋るが、
アレックスの言葉にやる気を取り戻し、火の輪くぐりを成功させる。

その後も出し物は大成功で、アメリカのプロモーターは一行と契約する。

しかし、そこへデュボアが現れ、アレックスらは動物園から逃げ出した動物であり、
サーカスとは無縁とばらしてしまう。

裏切られた思いの一行。4頭はなんとかデュボアから逃れて一行の後についてアメリカに行く。

やっとの思いでたどりついたセントラル・パーク動物園。
あれほど帰りたかった動物園なのになぜか今は切ない。
デュボアがまたも追ってくるが、4頭を動物園まで連れてきた恩人として扱われる。

動物園のすぐそばでサーカスが開催される。
4頭はかつてのように動物園の中で安住することはできず、
サーカスの公演に入り込み、拍手喝さいを浴びる。

こうして4頭は動物園ではなく、サーカスと行動を共にするのだった。

**

主要キャストの吹替えは続投。
吹替え版のアンタッチャブル山崎と柴田は交替し、TVアニメの「ペンギンズ」の声優が担当。

アシカのステファノの吹替えは山寺宏一かと思ったが、そうではなく堀内 賢雄。

脱出の経緯は重要ではないとはいえ、ヨーロッパへの移動はあまりにもあっさり。
デュボア警部も管轄を超え、国を超えて追尾。
「お尋ね者」を追うためとはいえ、結局は私利私欲のために追っていて、行動にはやや無理がある。

セントラル・パーク動物園ではアレックスらが帰ってきて喜んでいたが、
よく考えると、動物園から追い出した(アフリカに帰した)のは彼らであり、
帰ってきたと喜ぶのは筋違いだった。

とはいえ、一旦は檻の中に戻ったアレックスたち。
やはり檻の外が良いと、動物園を捨てる決心をしたわけで、一応大団円。
これでもう続編はないと思われる。

 

 

          

 ダークナイト・ライジング  

クリスチャン・ベイル、マイケル・ケイン、ゲーリー・オールドマン、アン・ハザウェイ、
マリオン・コティヤール、トム・ハーディ、ジョセフ・ゴードン・レビット、モーガン・フリーマン

**

エージェントがソ連の科学者パベル博士とその仲間3人をCIAに引き渡す。
CIAは飛行機での移送中に3人を脅して秘密を吐かせようとするが、
その中の一人、マスクの男、ベイン(トム・ハーディ)は別の機で追ってきた仲間を使い、
CIAを皆殺しにして博士を連れて逃げる。

あれから8年。
ハービー・デント(アーロン・エッカート)の遺したデント法のおかげで
悪は牢獄に押しやられ、ゴッサム・シティはすっかり平和になった。

ハービー・デントは伝説の男となり、デント・デーの祝日が設けられるほどになった。
しかし、その実、ツー・フェイスとしての悪行をすべてバットマンの仕業にして、
ハービー・デントを偶像化したことを知っているのは
市警本部長のジム・ゴードン(ゲイリー・オールドマン)ただ一人。

ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベイル)は体を壊し、すっかり引きこもりとなっていた。
自宅で開催されたウェイン社のチャリティ・パーティにも顔を出さない。

執事のアルフレッド(マイケル・ケイン)はウエイトレス(アン・ハザウェィ)に
ブルースの部屋に食事を運ぶように言う。
すぐ部屋を出るよう言われていたのに、彼女は部屋に居座り、
杖を突いて現れたウェインに真珠のネックレス盗を指摘されると、反撃して逃げ、
パーティに来ていた議員の車に同乗して去る。
彼女の狙いは金庫に残されたウェインの指紋だった。
調べたところ、彼女の名前は犯罪歴を多く持つセリーナ・カイル。

一方、バットマンとハービー・デントの秘密を胸に秘め、思いにふけるゴードン本部長。
若手警官のジョン・ブレイク(ジョセフ・ゴードン・レビット)が、議員が帰ってないと告げる。

セリーナは、場末のレストランでストライバー(バーン・ゴーマン)にウェインの指紋を渡す。
ストライバーはセリーナを始末しようとするが、セリーナは議員の携帯を使っており、
探知したSWATが乗り込んでくる。

セリーナはさっさと逃げおおせ、後を追ったSWATの大半は倒され、
ゴードン本部長も拉致される。

一味はゴードン本部長を地下のベインの隠れ家に連れて行くが、
ベインは怒り、ゴードンを連れてきた部下を射殺してしまう。
ゴードンはその隙に下水に流れて逃れるが撃たれて怪我をする。

ゴードンが負傷したことを知り、ブルースは自身の検査のためだとして病院に行き、
隙を見て覆面をしてゴードンの病室に行き、バットマンが必要だ、と言われる。

骨、筋肉、内臓に損傷を抱えているブルースだが、治具などを利用して体を直し、
自然エネルギー開発を推進しているミランダ・テイト(マリオン・コティヤール)の
チャリティ・イベントに出る。

ウェイン社では、フォックス(モーガン・フリーマン)が関連会社で
開発していたバット・モービルなどの機材を密かに集約していた。
ブルースはアルフレッドの心配をよそにバットマンとしての復帰を目指す。

ベインの一味は証券取引所を襲い、システムに侵入、何らかのプログラムをインストール。
副本部長のフォーリー(マシュー・モーディン)は突入せず、
バイクに乗り人質を取ったベインたちを逃がしてしまう。

そこにバットポッドに乗ったバットマンが登場し犯人を追う。
フォーリーは犯人たちよりバットマンを追うよう指示を出す。

バットマンは次々とバイクを倒し、最後の1台も倒すが、インストールは完了。
バットマンはパトカー群に追い詰められ、ビル影の脇道へと入っていく。

そこから現れたのは、バットウイング(新型)で、バットマンは去って行く。

ベインが証券取引所を襲った目的はブルースの資産を投げ売りすること。
指紋はそのための認証に使ったのだ。

ウェイン社の資産の大半を失ったブルースは完成間近の核融合炉を
ミランダに見せ、社と核融合炉を彼女に託す。

ブルースは直後の取締役会で解任される。
すべては役員のダゲット(ベン・メンデルソーン)が、ストライバーを使って仕組んだことだった。
しかし、ダゲットの社長になる目論見は崩れ、ミランダが社長になる。
ベインに怒りをぶつけるダゲットだが、あっさりとベインに殺されてしまう。

ベインはかつて最悪の監獄に閉じ込められていて、ただ一人脱走に成功、
ラズ・アル・グールのもとで修行したものの「影の同盟」を破門された極悪人だと分かる。

アルフレッドはブルース・ウェインがベインと戦うことを阻止しようとして
「ダークナイト」で、レイチェルがハービー・デントを選び、ブルースに別れを告げたこと、
その告白の手紙を自分が燃やしていたことを暴露、ブルースの怒りを買って辞職させられる。

セリーナはキャット・ウーマンとなってウェインの指紋の引き替えに約束していた
過去の犯歴を抹消するプログラムを探しに、ストライバーの屋敷に忍び込むが
発見され、そんなものはない、と言われる。

ぎりぎりでバットマンが現れて彼女を助け、ベインと会わせるよう頼む。
地下アジトでベインと会ったバットマンはコテンパンにのめされ、
かつてベインが入っていた監獄に放り込まれる。

ベインはウェイン社に乗り込んで、地下の研究所に入り、
置いてあった核融合炉を誘拐したソ連の科学者に中性子爆弾として改造させてしまう。
またバットモービルなども手に入れる。

その頃、ブレイクはダゲットの関連会社が下水道、トンネル、地下鉄などの
地下工事を一手に引き受けている事に気づき、ゴードンに進言して
ゴッサム市の警官を総動員した一斉の地下捜索を行わせる。

その一方で関連会社を調べて、プラスチック爆弾を作っていることを発見。
地下捜索は罠だと伝えるが時すでに遅く、地下道は爆破で崩落し、警官は生き埋め。
ゴッサム・シティから外に通じる橋もことごとくが爆破、崩落させられてしまう。

ベインはフィールドが崩落したスタジアムの大観衆に核融合炉を見せ、唯一爆破を止められる博士を殺害。
ゴッサム・シティを逃げ出す者がいれば、直ちに爆弾を破裂させると宣言。
また、ゴッサム・シティを市民の手に取り戻すとして、刑務所を爆破。
受刑者を解放して自警団を組織する。

誰もゴッサム・シティから出られず、ゴードンやブレイクなど一部残った警官、
ミランダやフォックスなどベインに反抗する人はいるものの
組織だった反抗はできない状態が続く。

また、ベインは金持ちや従来の市幹部らをクレイン(キリアン・マーフィー)に裁かせ、
次々と処刑していった。

ブルースは監獄の中で死なされず、生かされゴッサム・シティの末路を見続けることとされた。
投獄されていた元医師はブルースの症状を見抜き、矯正をさせた。

監獄には伝説的な話が伝わっていた。
かつて一人の兵士が投獄され、ボスの娘と恋仲になった。
なぜか兵士は殺されず追放され、代わりにボスの娘が投獄された。

ボスの娘は兵士の子を身ごもっており、やがて子供を産み監獄の中で育てた。
ある日鍵をかけ忘れた娘の房を囚人たちが襲い、娘は死亡、子供は残った。

やがて子供は大きくなり、外界へ通じる通気棟をよじ登って脱出していったと言うのだ。
それ以来も脱出を試みる者はいるが誰ひとり成功しておらず、大半は命を落としている。

ブルースは体を鍛え直し、脱出を試みるも成功しない。
医師にお前の弱点は恐れないことだ、といわれ、命綱なしで脱出に挑戦し、ついに果たす。

既に何か月かが過ぎ、核融合炉は不安定さを増していた。
誰かが爆破しなくても、1両日中には自爆する危険があった。

ベインらは、ダミーも用意した大型のトラックに核融合炉を隠し、
バット・モービルの護衛付きで常に市内を移動させていた。

ゴードンらはトラックにGPSをつけ、行動を把握、
地下に閉じ込められた警官らとは連絡を取り合っていた。
しかし、ベインに捕捉され捕まってしまう。

バットマンは町に戻り、記録抹消プログラムをセリーナに渡して協力を依頼する。
セリーナはバットポッドを駆って閉じこめられた警官を救出する。

バットマンは処刑されそうになったゴードンを助け、バットマークをビルに写しだす。
勢いづいた警官たちは、ベインの部下らと対峙、ついに戦闘が開始される。

バットマンも参加、ベインとのタイマンの末、ベインの弱点であるマスクを突いて打ち倒す。
起爆ボタンを渡せ、と迫るバットマンのわき腹を刺したのは誰あろうミランダだった。
ミランダが起爆装置を持っていた。

監獄から脱出したのは実はミランダ。
兵士は「影の同盟」のダカードとして姿を隠していたラーズ・アル・グール(リーアム・ニーソン)その人。
ミランダにとってバットマンは父の仇だった。

ベインはミランダを逃がした囚人。
ミランダが再び監獄に戻り助け出したのだが、監獄での治療の不備でマスクが手放せない姿になっていた。
ベインが影の同盟を破門されたのはミランダに恋したからだった。

その頃、バットマンに助けられたゴードンはフォックスからEMP(電磁パルス)発生装置を受け取り、
トラック内の核融合炉に取り付けに成功していたため、ミランダの起爆装置は作動しなかった。

ミランダは核融合炉を爆破するため、トラックに乗り込み移動する。

ベインはバットマンを殺そうとするが、キャットウーマンがバットポッドで攻撃しベインを殺す。

バットマンとキャットウーマンがトラックを追う。
一方、フォックスは地下研究室で核融合炉を制御装置に取り付ける準備をしていた。

追跡の末、ついにトラックは停止するが、ミランダは核融合炉制御装置のプログラムを壊し、
安全装置(川の水で制御装置を水没させて冷やす)も作動するようにしたと言い絶命する。

爆破まで時間がない。
バットマンは核融合炉をバットウィングに吊るし、海上へと飛んで行った。

やがて陸から遠く離れた海上で核爆発が起こり、ゴッサム・シティは救われた。
アルフレッドは、ゴードンやブレイクとともに、ブルース・ウェインの墓に参った。

ブルース・ウェインのほとんどの財産は消失していたが、残余の資産はアルフレッドに遺され、
家は孤児院として市に寄贈されることになった。

ブレイクは、ファーストネームのロビン宛てのバッグを受け取り、その中に記された場所に行き、
バットケイブを発見する。

アルフレッドは、自身の夢であった南欧のカフェで食前酒を飲んでいると、
向かいの椅子にはセリーナと席を共にするブルース・ウェインの姿があった。

**

クリストファー・ノーランの「バットマン3部作」の最終章。
タイトル的には「ダークナイト」の続編だが、内容は設定をがらりと変え、
ジョーカーは勿論ツー・フェイスも登場させず、噂のあったリドラーも出さないで、
ベインを登場させ、ラーズ・アズ・グール、その娘タニアなどの絡みなどを織り込み、
クレイン(スケアクロウ)も出てくるし、両親を亡くした少年ブルース・ウェインも登場し、
「ダークナイト」(2008)よりも「ビギンズ」(2005)との関連性を強く意識させている。

「ビギンズ」では自分の弱さを「恐れ」とし、それを克服するために鍛錬を行っていたが、
本作では「恐れを知らない」ことを弱点と指摘されている。

前作でジョーカー役のヒース・レジャーの死もあってか、
敢えて「ダークナイト」との繋がりを希薄にしたのでは無いかと邪推する。

ロビンと聞いた時にはピンと来ず、バットケイブに入って行ったジョセフ・ゴードン・レビットが、
せり上がっていくときにやっと気づいた。

字幕では「本名」となっていたはずだが、設定ではファースト・ネーム。

ラストはアルフレッドの妄想シーンのように、ブルース・ウェインは後ろ向きの方がよかった。
向こうにセリーナ・カイルがいて、あれっ?と観客に思わせ、後ろ姿のブルース・ウェインに気づく。
そしてほんの一瞬、振り返った姿が見えて、アルフレッドが目を凝らすと、そこには誰もいない。
そういう演出がよかったなあ。

さらに言うながら、本編はロビンの登場で幕を閉じ、
アルフレッドのシーンはエンドロールの後がよかった。

トム・ハーディ、ジョセフ・ゴードン・レビット、マリオン・コティヤール、
「インセプション」か、と思えるようなキャスティング。

ティム・バートン作品にヘレナ・ボナム・カーター、クリストファー・リーが出るようなものか。

**

元々のセリフがどういう説明になっていたのかはよくわからないが、
映画では核融合炉も(原子炉と同様に)制御をしないと反応が進行し、
メルトダウンを起こし、ついには中性子爆弾として爆破することになっていた。

「核融合炉」があのサイズで作れるはずはないが、まあそれは良いとして、
基本的に反応が暴走して核融合炉がメルトダウンすることはない。
むしろ逆に反応の維持が難しく、すぐに止まってしまうので、
映画のような爆発を起こす心配はない。

条件によっては核融合が爆発的に起こることがないわけではないし、
それを起こさせるのが水素爆弾である。

核融合によって放射性物質(=死の灰)が大量に作られることはない。
水爆が死の灰をまき散らすのは、核融合ではなく起爆剤として使われる原爆の核分裂による。

ただし、核融合による中性子線は原爆に依らずとも発生し、水=水分に吸収されやすいため、
生物には多大な被害を与えるし、中性子を吸収して放射性物質ができることはあり得る。

物理的な原理はともかく、安全、クリーンと思われるエネルギー源が
使い方によって危険なものとなり、大爆発を起こして地域の存続を脅かすものとなる、
と言う設定だと思えば良いわけで、核融合炉かどうかすらどうでもいいのかもしれない。

あくまで設定です。
なにせ映画では、反物質ですら小さい透明な容器に閉じ込められるのだから(「天使と悪魔」)

 

 

         

  メリダとおそろしの森    

メリダ(吹替:大島優子)はとある王国の王女。
悪戯好きの三つ子の弟がいる。
父ファーガス王(吹替:山路 和弘)は、メリダが小さいころ、
ヒグマのモルデューと戦い左足を失った。

そんな父はメリダに甘く、母エリノア王妃(吹替:塩田朋子)は躾に厳しい。

メリダは幼いころに父から弓を貰い、今では相当の腕前となっている。
愛馬アンガスを駆って弓の練習中に森の中で運命を導くという鬼火を見るが、母には叱られる。
何かにつけ口うるさい母にメリダは辟易し、ことあるごとに対立している。

そんなある日、隣接する三か国から王がメリダの花婿候補を連れて城を訪れる。
3人ともそれぞれの国王の息子ではっきり言ってパッとしないが、武術対決で花嫁を決めると言う。
メリダは弓の勝負を指定、3人の勝負に割って入り自分が一番になってしまう。

母は例によって小言を垂れ、かつて4人兄弟が支配していた王国の話を持ち出してくる。
4人兄弟の長男が魔法で力を得て他の3人を支配しようとし、国そのものが滅んでしまった。

この国もファーガス王と3人の王の協力によって成り立っており、
メリダの態度は王国を再び混乱に招くと言う。

メリダは反発し、家族が描かれた母の刺繍の壁掛けを切り裂いてしまう。

意外な展開に動揺したメリダは城を離れて森に行き、再び鬼火を見て後を追う。
鬼火の先には小さな家。
中にいたのは木彫りのクマを作る老婆。

老婆を魔女と見たメリダは母の考えを変え、自分の運命を変えたいと申し出、
魔女は鍋で何かを煮込み、小さいケーキを作りだした。
そしてメリダに何かを伝えようとして止めてしまう。

メリダは宴会で盛り上がる城に戻り、母にお詫びにとケーキを差し出す。
王妃はそれを一口食べた途端気分が悪くなり、自室に戻って寝込んでしまうが、
やがて悶え苦しみ、ヒグマに変身してしまう。

メリダは熊となった母を父たちから隠しながら、城を抜け出して再び森へ向かう。

再び魔女の家にたどり着いたがそこはもぬけの殻。
魔女の魔法の伝言は「2つ目の夜明けを迎えると魔法は解けなくなる。」と
「運命は変えられる。プライドに裂かれし 絆を直せ。」というヒントだけ。

熊となった母は相変わらず口うるさく(熊語なので何言ってるか分からないが)
躾を厳しくしようとする。

母の魔法固定まで2日しかないと言うのに意外とのんびり過ごす母子は、
やがて城跡の廃墟に着く。
そこには伝説の4兄弟のレリーフが。そしてそこにはモルデューがいた。
そう、10人力を得たと言う4兄弟の長男は、魔法の力でモルデューに変身していたのだ。

モルデューから逃れたメリダは、「プライドに裂かれし絆」とはメリダ自身が切り裂いた
家族の刺繍の壁掛けのことだと思い、母を連れて城に戻ろうとする。

母は時々我を忘れ、身も心も熊に染まっていく。

城では父と3か国の王たちが争いを始め、混乱状態にあった。
メリダは演説をぶって何とか事態を取りなし、また王の子どもたちの立場の重要性と
自分たちの未来は自分たちが決することを諭し、皆が納得するのだった。

その裏で熊となった母とメリダは何とか部屋に戻り、メリダは刺繍の壁掛けを取り外す。
しかし、熊の侵入を察知したファーガス王は、エリノアが熊にやられたと思い込み、
メリダを(安全のため)部屋に閉じ込めて熊を追い、母は城から逃げていく。

メリダはこれまた小熊に変身した弟たちを使って部屋を脱出、
縫った刺繍の壁掛けを持ってみんなの後を追い、森へと入っていく。

母の熊はついに追いつめられ、ロープに捕えられる。
そしてファーガスが刃を振り下ろそうとしたとき、モルデューが現れ、兵を蹴散らす。
追いついたメリダが放つ矢もモルデューには歯が立たない。

母の熊は意を決してモルデューに立ち向かい、岩にモルデューを押しつけて
ついにはモルデューを岩の下敷きにして倒す。

母に刺繍の壁掛けをかけるメリダだが2回目の夜明けとなり、朝日が母を照らし出す。
涙にくれるメリダをそっと抱き起したのは魔法が解けた母エリノアだった。

こうして国には平和が戻り、王たちもそれぞれの領地へと戻って行った。

うーん。どうなんでしょう。
はっきり言って期待しすぎてた。


遥か昔より森と人間たちは共存してきた。森の掟が破られるまでは・・・

そなたは森に試されるのだ。

私は逃げない−。
森と人間の間に存在するいにしえの《掟》が破られた時、王女メリダは立ち上がる。
王国を救い、自らの運命に立ち向かうために・・・

こういったコピーに惑わされ、「森」をもっと特別なものに想像していた。

大体が、"森の魔法"にかけられた母を救うため、って、かけたのはお前だ。

切迫感、緊迫感がないし、物語が単純すぎて深みがない。
PIXARの作品でこれほど軽く感じたのはいつ以来だろう、いや初めてかもね。

かといって純粋にお子ちゃま向けかと言うとそうとも言えない。
現に3歳くらいの子どもが来ていたが、終始「怖い、恐い」といってました。

映像はきれいだし、質感も見事。
ただ、今までのPIXAR作品がよすぎただけに浅く感じた。
声のせいじゃないと思うんですけどね

 

 

         

 

 空飛ぶペンギン   

ジム・キャリー、カーラ・グギーノ、アンジェラ・ランズベリー。

**

トム・ポッパーの父は冒険家で家を不在がちだったが、その間は
自らをハクトウワシ(白頭ワシ)と名乗り、無線機に届かない息子を
「爪先立ち」と呼んで、無線で会話を続けていた。

やがて父の帰りは間隔があき、無線も滞りがちになり、時間が経っていった。

30年後、トム(ジム・キャリー)は不動産会社のやり手営業マン。
秘書のピッピ(オフェリア・ロビボンド)と精力的に仕事をこなし、役員寸前まで来ている。

しかし、私生活では別れたアマンダ(カーラ・グギーノ)との間に、娘ジャニーと息子ビリーがいる。
このあたりがアメリカらしいのだが、子供たちは週末を父と過ごす約束になっているが、
娘は父に反発する年頃で、子供たちが父の住む高級マンションに来ないこともある。

そんなある日、父の死が伝えられ、弁護士に呼び出されたトムは、遺言で何かが送られると聞く。

送られてきたのは冷凍保管されたジェンツーペンギンのはく製。
しかし剥製と思ったのは勘違い、氷が解けて動きだす。
びっくりしながらもとりあえずペンギンを部屋に閉じ込めて出勤。

トムは重役連中に社名に自分の名を刻むよう進言するが、
重役の出した課題はセントラル・パークの老舗レストランの買収。

レストランの経営者はバン・ガンディ女史(アンジェラ・ランズベリー)。
トムはペンギンの始末に追われ、約束の時間に遅れ、
女史は時間に遅れるような口先だけの不動産屋には売らないと頑なな態度を示す。

トムはペンギンを送りつけた父の友人の冒険家に電話し、ペンギンを送り返すためのコンテナを要求。
しかし送られてきたコンテナには新たに5匹のペンギン。

市内のいろいろな部署に連絡するも引き取ってもらえない。
その頃、息子のビリーの誕生日パーティをトムの家で行うことになり、
ビリーはペンギンを自分へのプレゼントだと思って大喜びしたため、当分飼い続けることに。

一方、引取りを頼まれた動物園長(クラーク・グレッグ)はトムの心変わりに当惑しながらも
なんとかペンギンを手に入れようとする。

トムはその後もバン・ガンディ女史と交渉を続けるがペンギンのせいもあってことごとく失敗する。
またペンギンのために窓を開け放ち、外気や雪を入れ、部屋はまるで雪国に。

そのうちペンギンが3個の卵を産み、2個は孵るが1個は孵らない。
トムは会社にもいかずペンギンの世話に没頭。

この奇行がもとで会社を首にされる。
件の動物園は卵の死亡を確認し、トムは失意のうちにペンギンをすべて引き渡す。

トムは、再び不動産業に精を出し、バン・ガンディ女史の親戚に札束攻勢を仕掛け、
ついに女史が何らかの発表をする所までこぎつける。

一旦は妻や子供たちの総スカンを食らったトムだが、
最初のペンギンと一緒に送られていた父からの手紙を見つけて翻意、
バン・ガンディ女史の発表出席を止めて、動物園にペンギンを取り返しに行く。

ところがそこにいたのはフンボルトペンギン。
園長室に乗り込んで、冷蔵庫のペンギンたちを救出。
取り返してバン・ガンディ女史の発表会見に行くが、ペンギンがついてきて大騒動となる。

結局、バン・ガンディ女史はトムに店を売ることを決意するが、
実は子供の頃のトムを知っておりその心根を信じていた。

トムは店を不動産会社に売ることはせず、レストランの共同オーナーとしてやっていくことになった。
ペンギンたちは南極に移送し仲間のもとに返す。
そして、時々会いに来る約束をしてアメリカに戻るのだった。

**

せっかくのポッパー父子の物語とか、元妻との復縁とか子供たちとの関係など、
家族の絆を表す部分の物語が薄い。
ペンギンもそこそこコミカルではあるが、いまいちはじけていない感があった。

思春期の娘の悩み事とそれに応えられない父親というステレオタイプな設定もなんかいまいちだし、
ペンギンを手放すときの苦悩、再び取り返す際の盛り上がりもなんだかいまいち冴えない。

カーラ・グギーノは「ナイト・ミュージアム」「エンジェル・ウォーズ」などで主要な脇役。
クラーク・グレッグは「アイアンマン」「マイティ・ソー」などでは捜査官の役が多い。

ペンギンと言えば南極だが、実際に南極に住んでいるのは皇帝ペンギンとアデレーペンギンだけ。
「ハッピーフィート」にも出てきたイワトビペンギンは中緯度の島々。
葛西臨海水族園から逃げたフンボルトペンギンは中緯度のペルー沿岸。
この映画のジェンツーペンギンは南極周辺だが、高緯度と中緯度の境界辺りに住んでいる。

またペンギンの雛はもこもこの産毛で覆われており、かなり早く大きくなる。
産毛のくせに親鳥と同じ程度の大きさで餌をねだるのは可愛いとも奇妙とも思える。

うぶ毛は親鳥とは色も模様も異なっており、知らないと別の種かと思うほどで、
この映画のように「同じ模様の小型」が子供ではない。
まあ、その部分は物語的に大した意味合いを持っていないけど。

 

 

   

 

 崖っぷちの男 

サム・ワーシントン、ジェイミー・ベル、エリザベス・バンクス、エド・ハリス。

ニューヨーク。
一人の男(サム・ワーシントン)が老舗のルーズベルト・ホテル、21階の部屋に入る。

男はルームサービスで朝食をとった後、食器類の指紋を丁寧にふき取り、書置きをすると、
意を決して窓を開けて外に出、外壁の縁(へり)に立つ。

男の行動はすぐ下を行く人の目につき、人だかりができる。
直ちに警察や消防が急行、防護クッションを敷き、辺りを封鎖する。

1月ほど前。
刑務所に収監されているニック・キャシディ(サム・ワーシントン)。
マイク・アッカーマン(アンソニー・マッキー)が面会に来る。

ニックの父、フランク・キャシディの具合が悪く、長くないと言う。
マイクは、葬儀に出られるよう便宜を図ると伝えて去る。

ほどなくして父は死に、葬儀が行われる。
参列者はニックのほか、弟のジョーイ(ジェイミー・ベル)その恋人アンジー(ジェネシス・ロドリゲス)

葬儀は何事もなく終わるが、父の死についてジョーイとニックが喧嘩となり、
ニックは止めに入った警護の警官から銃を奪って逃げる。

ニックは車で逃げ、ギリギリのところでパトカーをかわして逃走に成功。
貸倉庫のコンテナから必要なものをそろえてニューヨークにやってきていたのだった。

ニックを説得する刑事、ジャック・ドハティ(エドワード・バーンズ)に対し、
男はリディア・マーサ(エリザベス・バンクス)を指名する。
この時点では男は、J.ウォーカーと名乗っており、その正体や飛び降りようとする理由は不明。

やがて、マーサが到着、直ちに説得に係る。
現場を指揮するダンテ・マーカスはウォーカーの調査を指示するが、なかなか身元は判明しない。

その頃、ジョーイとアンジーが向かいのビルに到着。
無線を使ってニックと交信を始める。

向かいのビルには、オーナーで不動産会社社長のデビッド・イングランダー(エド・ハリス)の事務所があり、
イングランダーはまたルーズベルトホテルのオーナーでもあった。

ジョーイとアンジーは隣のビルから向かいのビルの屋上に侵入し、爆弾を仕掛ける。
ニックはタイミングを合わせて見物の観衆を煽り、観衆は大声を上げ、爆破音はかき消される。

ジョーイとアンジーはエレベーターを動かし、エレベーターシャフトを伝って25階に入る。
監視カメラや感熱センサーをごまかして金庫室前に到着。
壁を破って空調ダクトから侵入しようとする。

しかし、マーカスがイングランダーのビルに向かうところをニックは上から見てジョーイに指示。
マーカスの行方をさえぎるため、上から金をばら撒いて群衆を混乱させる。

ジョーイとアンジーはギリギリのところでマーカスらを交わし、
マーカスは、ビルの警備担当と金庫室のフロアを確認、異常なしをイングランダーに伝える。

やがて、男の正体がニック・キャシディであることが分かり、
2年前にイングランダーのダイヤモンドを搬送中にこれを盗んだ罪で服役中に脱走したことが判明する。

マーカスはSWATを用意。ホテル屋上から突撃させる準備を進める。

ニックはマーサに自分ははめられた、無実の罪を証明するために来たと逆説得、
マーサはダイヤ盗難事件の真相に疑念を抱く。

ジョーイとアンジーは再び空調ダクトから金庫室への侵入を試みて成功、
センサーの制御盤を破壊、続いて金庫扉の破壊にも成功、しかし件のダイヤは見当たらなかった。

ニックは次の作戦を指示。
イングランダーのビルには警報が鳴り響き、金庫室に向かったイングランダーは、
大金庫とは別の隠し金庫に件のダイヤが保管されていることを確認し安心するが、
念のためそれを持って部屋に戻る。

しかし、そこにはジョーイとアンジーが待っており、イングランダーからダイヤを奪う。
ジョーイとアンジーはダイヤを隠したバッグをルーズベルトホテルのクロークに預けて逃げる。

その頃、SWATチームはビル屋上からの突撃を開始。
ニックは反撃してホテル内に逃げ込む。

マーカスはホテルを封鎖して追撃を開始。
ニックはクロークからダイヤを受け取って逃走するが、マーカスはジョーイを人質にしてニックに迫り、
ダイヤを奪い返してイングランダーに渡す。

悠々と去るイングランダー。
しかしマイクがマーカスを撃ってニックとジョーイを逃がす。
マイクはマーカスに撃たれて倒れ、ニックを嵌めたことを謝って絶命する。

マーカスは追ってきたマーサに撃たれて倒れる。

ニックはビルから飛び降り、救護クッションの上に落ちてイングランダーを追い、
ぎりぎりでダイヤを奪い返し、ダイヤ強奪がイングランダーの狂言だとカメラの前に示して見せる。

結局、ニックの無実は晴れて釈放となり、マーサとともにバーで祝杯を挙げる。
そこにいたバーテンダーはホテルの客室係でクロークだった男。
男はフランク・キャシディ(ウィリアム・サドラー)と名乗り、すべてが作戦だったことが分かる。

**

ニックの本当に目的を当初伏せておき、少しずつちら見せしながら、
実はそうだったんだ、と言う展開に持っていく物語だが、
よくよく考えると都合よく話が進み過ぎる。

ぎりぎりで警察を交わすとかそういう話ではなく、
客室係(実はオヤジ)がタイミングよくキーとなるポイントに出現できるのも変だし、
イングランダーがダイヤを金庫に戻したらどうする予定だったんだ。

金庫室の横の壁を破ってダクトに入ったのに、金庫室の天井裏にどうやって回ったのかとか、
事務室にはどうやって入ったのかとか、どうやってばれずにビルから出たか、とか、
省略された部分に疑問が多い。

これを言っちゃうとなんだけど、1年前から準備したにしても、
あれだけの情報をどうやって手に入れられたのか。

マーサがニックのことを全く知らないってのも疑問ではある。
マイクのことは知ってんのにね。

それからこれは余計だけど、液体窒素は普通の魔法瓶程度では危なくて運べません。

ジェネシス・ロドリゲスは初見だと思ったら、TVで活躍している女優さん。
映画初出演らしい。
エリザベス・バンクスはずいぶん久しぶりと言うか、何に出ているか記憶がなかったが、
「スリーデイズ」でラッセル・クロウの奥さんで収監されている服役囚だった。

 

 

          

 アメイジング・スパイダーマン   

スパイダーマン・リブート。

ピーター・パーカーにはアンドリュー・ガーフィールド、
叔父さん叔母さんはマーチン・シーンとサリー・フィールド。

幼馴染みのMJは登場せず、彼女はグウェン・ステーシーでキャストはエマ・ストーン。
オズボーン社の社長であるノーマン・オズボーンは登場せず、
主任研究者のカート・コナーズ博士(リース・イバンス)が敵役となる。

**

ピーター・パーカーはリチャード、メアリー夫妻の一人息子。
ピーターが4歳の時、何者かが家に侵入。

危機を感じた両親は荷物をまとめ、わけも説明しないまま、
ピーターをベンおじさん、メイおばさん夫妻に預けてどこかへ消えてしまう。

10何年か後、ミッドタウン・ハイスクールに通うピーターは、勉強はできるが、
ヒョロヒョロっとして運動が苦手で、フラッシュ(クリス・ジルカ)から苛められている。

同級生(聴講生?)のグウェン(エマ・ストーン)を遠くから眺めて写真に撮っているような日々。

ある日、ベン叔父さんが地下室を水浸しにしてしまい、荷物を片付けている時に、
ピーターは父の古い鞄を見つける。

中には父と共同研究者、コナーズ博士の写真があった。
そして中身を調べているうちにΦΦと書かれた資料を見つける。

ピーターは、コナーズ博士の勤めるオズボーン社を訪ねる。
たまたま、インターン制度による見学者と勘違いされて入館できたピーターは、
そこで働く(バイト?)グウェンに遭遇する。

ピーターは見学者の一行から離れて片腕のコナーズ博士を追い、
ラーサ(イルファン・カーン)の持つ資料のΦΦのマークに気付いて、ある研究室に入る。

そこでは蜘蛛によるバイオファイバーの実験がされており、装置に触れたピーターは蜘蛛に咬まれる。
結局はオズボーン社を追い出されたピーターは、帰りの電車の中で眠り、
目覚めたときは驚異的な体力と反射能力を身に付けていた。
翌日、ピーターは自分の能力開眼に有頂天になり、フラッシュに仕返ししていい気になっていた。

ピーターは蜘蛛に咬まれたことによるDNA異種交配が原因だと思い、コナーズ博士を訪ねる。
ピーターは父の資料で見た崩壊式を書いて見せ、コナーズ博士の研究室に来るように言われる。

その日、ベン叔父さんは急に夜勤になり、メイ叔母さんの迎えをピーターに頼む。
ピーターはコナーズ博士の研究室に行き、DNA交配のシミュレーションに夢中になり、
ベン叔父さんの電話にも応えず、迎えのことはすっかり忘れてしまう。

コナーズ博士の目指す再生遺伝子交配はシミュレーション上で成功し、
片腕のハツカネズミでの実験が行われる。

ピーターが家に帰った時、約束を守らなかったピーターをベン叔父さんがなじり、
父親のことを持ち出し、両親に捨てられたと思っているピーターは反発して家を出る。

ピーターはコンビニでジュースを買おうとして店員と揉め、
その後、金髪、サングラスの男がレジから金を盗むのを目撃する。

店員が男を追うがピーターは知らんふりをしてやり過ごす。
そこにたまたまピーターを探しに来ていたベン叔父さんが男と遭遇し、
揉み合っているうちに叔父さんは男に腹を撃たれて絶命する。

叔父さんの死で学校ではフラッシュ他、ピーターにつらく当たっていた生徒もやさしくなる。

ピーターは犯人の顔を見ていたのと、警察から左手首内側に星の入墨があることを聞き、
似た風体の街のごろつきを探す。
その時、ごろつき仲間に追われて、プロレスリングに落ち、ポスターを見てマスクを使うことを思いつく。

自分でマスクを作り、チェーンで振り子の練習などをして鍛え、
蜘蛛の糸を発射する装置を作ってそれを手首に着け、糸をチェーン代わりに移動する。

さらに動きをよくするため全身スーツを作って蜘蛛のマークをあしらい、
叔父さんの殺害犯探しを続ける。

ある日、車上荒らしを捕まえるが、やってきた白バイ、パトカーに逮捕されそうになり、
暴れまくって逃げる。

ピーターはグウェンに誘われて彼女の家に夕食に行き、スパイダーマンのことで
警察署長の父ジョージ・ステーシー(デニス・リアリー)と口論になる。

ピーターはグウェンに自分がスパイダーマンだとばらしてしまう。

一方、コナーズ博士の実験は成功し、ハツカネズミの片腕が再生するが、
人体実験を急ぐラーサと揉めて、自分自身に人体実験を試みる。

結果、コナーズ博士の右腕は再生するが、トカゲの遺伝子に支配され、
トカゲのモンスター、リザードに変身してしまう。

犯罪者への人体実験を阻止するため、ラーサを止めようとして橋の上で車を破壊、
ピーターはスパイダーマンとして何人かを救い、小さい男の子を危機一髪のところで助ける。

コナーズ博士はリザードの皮が脱落して再び人間に戻り、一旦は正気を取り戻すが、
強靭な体の魅力に勝てず、さらにDNA改造を進める。

ピーターはコナーズ博士の様子を見にオズボーン社へ行き、
例の片腕だったハツカネズミが凶暴なトカゲネズミに変身していることを知る。

リザード/コナーズ博士は、下水道の中に実験施設を作り、
DNA改造試薬を空からばら撒き、一般人をリザードに変身させる計画を練る。

ピーターはコナーズ博士の計画を阻止するため、スパイダーマンになって邪魔をするが、
仕掛けたカメラがもとで正体がばれ、リザードとなった博士はピーターを倒すため高校に乗り込んでくる。

ピーターはリザードに立ち向かうが傷つき、グウェンに諭される。
しかし、DNA異種交配の完成、つまり博士のリザード化の責任は自分にあるとして戦う。

警察はリザードとスパイダーマンの双方を追い、オズボーン社に向かう。

ピーターは、グウェンをオズボーン社に向かわせ、DNAを元に戻す薬を作らせる。
スパイダーマンはジョージ・ステーシーに逮捕されそうになるが、
正体を明かして警部を説得し、オズボーン社に向かう際に傷を負う。

しかし、スパイダーマンに子供を助けられた建設作業員が協力してクレーンを操作し、
スパイダーマンを手助けする。

ギリギリのところで薬は完成するが、リザードはDNA改造薬を仕込んだ爆破物をビルの屋上に仕掛ける。
追いついたスパイダーマンと格闘になり、スパイダーマンはリザードにやられそうになるが、
ステーシー署長が助太刀に入り難を逃れたものの、ステーシーはやられる。

スパイダーマンはギリギリのところで薬とDNA改造薬を入れ替えて、リザードはコナーズ博士に戻る。

ピーターは、ステーシー署長の死にぎわにもうグウェンに近づかないと約束させられ、
葬式にも顔を出せないでグウェンとの仲は最悪になるが、最後は何とか仲直りできて物語は次へと続く。

**

リブート物の場合、どうしても前のシリーズと比較されるのはやむを得ない。
トビー・マクガイアとアンドリュー・ガーフィールドでは見た目からして違い、
それがピーター・パーカーの性格付けにも影響しているように思える。

どちらがいいかは好みの問題もあって何とも言えないが、前シリーズの方がヘタレ度は高かったように思う。
住んでいる所や経済状態も悪かったし。

隣に住んでいる幼馴染みのメリー・ジェーン(MJ)は登場しない。
前シリーズでのグウェン・ステーシーは「スパイダーマン3」で登場し、
プラチナブロンドになったブライス・ダラス・ハワードが演じていた。

その時はこんな美人がいるのかと思うくらいきれいだったけど「T4」ではちょっとがっかりだった。
そのブライス・ダラス・ハワードとエマ・ストーンが「ヘルプ」で一緒だったのは何かの縁か。

スパイダーマンの敵役は数多いが、リザードは前シリーズでは登場していない。
今作では原作同様、最後は人間に戻るがトカゲの要素を一部残したままとなっている。

前シリーズと最も大きく違うのはウェブ・シューター。
前シリーズでは原作と違って最初から手から直接蜘蛛糸を発射していたが、
今作ではピーター自身が製作したウェブ・シューターから蜘蛛糸を発射する。

尚、あの蜘蛛糸は時間がたつと分解してしまうらしい。

 

 

        

 

  スターシップ・トゥルーパーズ インベイション  

「アップルシード」「エクスマキナ」の荒牧伸志監督が送るフルCGによる
スターシップ・トゥルーパーズ・シリーズ最新作。

**

世界観や昆虫型生物(バグ=bug=虫)の形状などは従来の物と酷似。

ジョニー・リコ、カルメン・イバネス、カール・ジェンキンスなど第1作に登場した人物が出てくる。
第1作では新兵だったジョニー・リコは司令官に、カルメン・イバネスは今作の中心となるJAW号の艦長。
カール・ジェンキンスは情報省のお偉いさんになっている。

物語は、そのカールがカルメン率いるJAW(ジョン・A・ウォーデン)号を略奪、
カルメンを小惑星の基地に置き去りにするところから始まる。

小惑星にはアレジア号が救援に向かい、カルメンほか残存兵を救出して脱出、小惑星の基地を爆破するが、
小隊長のヘンリー・バーローは無謀な作戦で部下を危険にさらしたとして解任、逮捕されていた。

アレジア号は地球への帰路中にジョニー・リコの命を受け転進、JAW号探索に向かう。
この時、兵隊の要望によってヘンリー・バーロー、通称ヒーローが一時解放され戦列に加わる。

逃亡中に痕跡を消していたJAW号だが、司令部によって位置が推定されており、割と簡単に発見。

アレジア号はJAW号にドッキングして兵隊が乗り込む。
中にはバグに襲われた乗員の死体とバグの死骸がごろごろしている。

アレジア号の兵員によって機関の再起動が試みられる。
その頃別働隊は、バグ用の檻に避難しているカールを発見するが、怯えていて要領を得ない。
ただ、機関再起動は危険なことが分かるが時すでに遅し。
機関は起動され、艦内の動力が復帰するとともに、大量のバグが兵を襲い始める。

兵士たちはバグを攻撃するが多勢に無勢、一人また一人とやられていく。
脱出を試みるがアレジア号がJAW号の攻撃を受けて破壊され、兵士たちは戻る術を失う。

JAW号はバグの親玉、女王アリのような女王バグによってコントロールされていた。
カルメンは回路を回避して一時コントロールを奪還するが、すぐに取り返されてしまう。

JAW号はウォーム・ホールを使って地球に向かい、ジョニー・リコのいる宇宙ステーションをかすめて、
パリにハード・ランディングしそうになる。

直前でカルメンがコントロールを回復、市街地への激突は回避してJAW号は山中に墜落する。

ジョニー・リコらが救出に向かい、カルメンほかの残存兵を確保するが、救出艇はJAW号に破壊される。
連邦軍のミサイルも破壊され、万事休すと思ったが、カールが率いる改造バグが攻撃に加担、
ジョニー・リコが決死の覚悟で女王バクに一太刀浴びせて逃げる。

JAW号はヒーローらが機関に仕掛けた最後の爆弾で大爆発、女王バグともども灰燼に帰して地球は救われる。

エンドロール後、全滅したと思われたバグの生き残りが、地下道を逃げる姿が目撃された。

**

リアリティを追求しすぎて、かえってリアリティが失われた感があった。
お色気シーンもなくはないが、色っぽさは一切感じられない。

肝心の兵士の区別がつきにくい。
女性は、カルメン、金髪、童顔と区別がつきやすいが、男性兵はわかりにくい。
向う傷のあるヒーロー、片目のジョニー・リコのほか刺青だらけのホーリーマンは、
顔の特徴ですぐわかるが、後は違いが分かりにくい。

パワード・スーツは皆同じなので戦闘中は区別がつかない。
胸の所にネームが入っているが動いている間は見えない。
実際にはあり得ないとしても、塗りを変えるとか、背番号を入れるとかしないと分かりにくい。

動きはモーション・キャプチャーだろうがとても自然で、映像はものすごくリアル。
質感も素晴らしく、効果音もリアルそのもの。

しかし、ストーリー性は薄く、ゲームソフトのムービーシーンをつなぎ合わせたようだ。
反戦とか厭戦とか、社会的メッセージは一切なし。

このシリーズは第1作がそこそこ売れたものの1億ドル超の製作費で興行的には失敗。
それでも続編が作られ、第2作の製作費がなんと700万ドルで、TV映画扱い。
3作目は製作費3倍と言われたものの2千万ドル(一説には900万ドル)でビデオリリースのみ。

3作とも日本では劇場公開されているが、今作も劇場公開は日本だけかもしれない。

 

 

   

 リンカーン弁護士   

マシュー・マコノヒー、ウィリアム・H・メイシー、ライアン・フィリップ、ジョシュ・ルーカス

**

ミック・ハラー(マシュー・マコノヒー)は、バツイチの辣腕弁護士。
愛車リンカーンを事務所代わりに、金さえもらえればどんな悪い奴でも弁護する。

今日も友人で保釈金保証業のバレンズエラ(ジョン・レギザモ)から金持ちの弁護を持ちかけられる。
相手はルイス・ルーレ(ライアン・フィリップ)不動産屋の御曹司だ。
保釈金は100万ドルが見込まれ、バレンスエラにとっても大口の顧客になる。

顧問弁護士のドブス(ボブ・ガントン)もいるが、不動産専門で障害事件は苦手らしい。
母親(フランシス・フィッシャー)も含めて、言い値でミックを雇うことにした。

ミックの元妻は検事のマギー・マクファーソン(マリッサ・トメイ)。
ミックがルイスの弁護担当となったことから、事件の担当を外される。

ルイスの話によれば、被害者とされるレジー・ガンポ(マルガリータ・レビエバ)は、
ナンパバーで飲んでいたルイスを逆ナン。

レジーの家に行ったルイスは家に入った途端、何者かに殴られて昏倒。
気付いたら近所の男に抑え込まれており、警察を呼ばれて捕まった、と言うことらしい。

ミックの案件を調査する元警部の私立探偵、フランク・レビン(ウィリアム・H・メイシー)の
調査によれば、レジーは顔の右半分をこっぴどく殴られて体をナイフで切りつけられていた。
証拠とされるナイフについて、ルイスは自分の物ではないと言う。

フランクの調べたところ、レジーの証言によれば、ルイスはドアをけ破って家に侵入、
レジーを殴ってナイフで切りつけ、殺してやるとわめいたと言う。

レジーは必死で棚にあったウィスキーの瓶を取ってルイスを殴りつけ、
近所に助けを求めたのだと言う。

ミックの見立てでは、ナンパバーでルイスの前にレジーと話をした男が怪しく、
ルイスの後で犯行に及んだか、レジーとグルで顔を殴らせた。
いずれにしてもルイスから金をふんだくるのが目的だろうということだ。

ミックはレジーがプロの娼婦であることなどから、自分の筋書きを盾に
司法取引を検事のテッド・ミントン(ジョシュ・ルーカス)に持ちかけるが、
ミントンは7年の実刑判決、4年で仮釈放などと強気を譲らない。

一方のルイスも無実を譲らず、裁判を早く始めたがり、ミックはさらに作戦を練る。

ミックはその強引な弁護手法などで刑事や検事から毛嫌いされていた。
何年か前にも、強姦殺人事件の犯人を司法取引で死刑から無期懲役に減刑させたことで
カーレン刑事(マイケル・ペレ)から目の敵にされていた。
しかし、ミックは冤罪を仕組んだ検事や刑事の方こそ憎むべき存在だとして譲らない。

ミントン検事がミックに見せた資料は囮だった。
証拠のナイフは別物でそれはルイスのものだった。
ナイフを持ち歩いているにはそれなりの理由があったが、形勢はルイスにぐっと不利になった。

ミックはさらに調べを進め、あることに気づく。
それは、カーレン刑事の指摘した事件の被害者と、レジーの被害者の写真が酷似していることだった。
当時は容疑者のヘスス・マルチネス(マイケル・ペーニャ)の犯行と信じて疑わなかったミックだが、
一転してルイスが怪しいと考えるようになった。

果たして受刑中のヘススはミックの示したルイスの写真に激しい怒りをぶつけるのだった。
翌日、ミックの自宅には留守中にルイスが入っていた。

ルイスは自分がマルチネスの事件の真犯人だとゲロするが、
ミックはルイスの弁護をしているため、告訴はもちろん、
ルイスに不利な証拠を提出することもできない。
ルイスはそれを承知でミックを弁護士に選んだのだ。
ルイスは荒れ、フランクに新証拠探しを依頼しつつ、ルイスの弁護を続けて裁判を進めていく。

翌日、ルイスが娘のサッカーを観戦している間にフランクが射殺される事件が起こる。
ルイスにはGPS追跡装置がつけられており、フランク宅に侵入すれば即座にばれる。
バレンズエラがルイスの足かせを外したと考えたミックは怒り狂うが証拠はない。

逆にフランク射殺の犯行に使われた銃はミックの所持している銃だったため、
ミックの家が捜索されるなど、ミックが追いつめられていく。

ミックは裁判ではレジーがルイスをはめて多額の賠償金をせしめようとしていたとの展開で、
ルイス有利に事を運ぶ。

そして極めつけはルイスの母。
かつて不動産の営業で顧客に乱暴された事件を証言させ、ルイスのナイフ所持を正当化してみせる。

ミントン検事はすっかりミックの作戦にはまり、じわじわと追い詰められていく。
そして最後の証人は、ミントンの使うタレこみ屋、コーリス(シャア・ウィンガム)。
ミックは先回りしてコーリスと同じリハビリ施設にいる過去の依頼人、
グロリア(キャサリン・メーニッヒ)を使ってコーリスにウソの情報を流す。

裁判でミックはコーリスを初めて見たふりをし、ルイスの過去の殺人事件の話をさせた上で、
コーリスが偽証の常習犯だと暴いて見せる。

偽証罪の当事者を承認にしたことは検察側の大失態、ルイスの裁判は嫌疑不十分で打ち切られる。
ルイスは直ちに釈放されるが、コーリスの証言をもとに過去の殺人事件で逮捕される。

ルイスはすぐに釈放され、マギーの家に向かう。
マギーに近づくなと言うミックに対し、ルイスは毎日マギーを見守ることはできないと
脅しをかけるが、ミックの知り合いの暴走族にコテンパンにのされる。

ミックが自宅に戻るとそこにはルイスの母が来ていた。
母はルイスはフランクを殺していない、フランクを殺したのは私よ、とミックを撃つが、
ミックに撃ち返されて死ぬ。

ミックは軽傷で済み退院、ルイスは殺人罪でヘスス・マルチネスと入れ替わって入獄。
ミックはリンカーンに乗って、また新しい事件の弁護にと奔走するのだった。

**

原作者は実際にリンカーンを事務所代わりに使う弁護士に会って、設定を思いついたらしい。

保釈金保証(立替)業はアメリカ映画では良く出てくる設定だが、日本ではなじみがなく、
マシュー・マコノヒーとジョン・レギザモの関係はわかりにくい。

また、司法取引による刑の軽減や、懲罰的賠償金によって訴えた者に実害以上の大金が入る仕組みなど
犯罪とその代償(刑罰)のバランスも問題があるのではないのかと考えてしまう。

この映画はそんな司法制度の中で犯罪人と検察と弁護人との駆け引きを見せている。
結局は悪い奴が処罰され、弁護士は職責を果たしながらも正義を貫く、ある意味
ハッピーエンドになっている。

この映画ではないが「我々には事件の真相はどうでもいい。
依頼人が少しでも有利になることが重要だ」とうそぶく弁護士がいると聞くなど、
弁護と裁判とは一体何なのかと考えさせられるが、昨今の日本を振り返ってみると、
検察の信頼が失墜し、検察の描く絵による冤罪の可能性などを思うと、
我々一般人にもアメリカのような弁護士が必要になる時が来るのかもしれない。

 

 

        

 

   

 

 

 

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