2009/1-3鑑賞
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この期間に鑑賞した映画の本数  
1月:4(3)[1]本、2月:8(4)[1]本、3月:5(3)[1]本、計:17(10)[3]本 。 ( )は試写会
[ ]は邦画
今年の累計:17(10)[3]本  
1-3月期:17(10)[3]本 、4-6月期:0(0)[0]本、7-9月期:0(0)[0]本、10-12月期:0(0)[0]本  
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 ある公爵夫人の生涯  

キーラ・ナイトレイ、レイフ・ファインズ、ドミニク・クーパー。

レイフ・ファインズは、綴りは、Ralph Fiennes だが、レイフ・ファインズと読むらしい。

***

17世紀後半、広い庭で友人たちと余興に興じるジョージアナ(キーラ・ナイトレイ)。
屋敷からは、母のレディ・スペンサー(シャーロット・ランプリング)やデボンシャー公爵(レイフ・ファインズ)らが覗いている。
結婚して男児を産めば財産分与がなされる契約の結婚の約束が交わされる。

母は、ジョージアナに婚約を告げる。
かくして、17歳のジョージアナは公爵の屋敷へ嫁入りする。

公爵の財力とはかくもすごいものか。
政治家なども交えて、夜な夜なパーティ、ギャンブル、饗宴三昧を繰り返す。

ジョージアナは、社交界の花形としてファッション・リーダーであり、政治にも興味を持ち、人々の注目の的だった。

しかし、公爵の興味は男児の誕生だけだった。
妻を愛する様子も見せず、浮気もするくせに、子作りだけは熱心だ。
ときには、母が死んだとして庶子(侍女に産ませた子)を引き取り、ジョージアナに育てさせた。

かくしてジョージアナは妊娠し、待望の出産。しかし、生まれたのは女児だった。
それから6年、ジョージアナは男児を2度流産し、生んだのはもう一人の女児だけだった。

あるとき、3人の息子を持つベス・フォスター(ヘイレイ・アトウェル)と友達になる。
夫に愛されず、不平を囲っていたジョージアナに取って、ベスは唯一の心の支えだった。

ところが、公爵はベスにも手を出す。怒り狂うジョージアナ。
しかし、公爵は全く反省も謝罪もせず、ベスも自分の子を引き取るためと不倫を正当化する。
こうして、正妻と愛人の同居が始まる。

ジョージアナは公爵の不倫を認める代わりに、チャールズ・グレイ(ドミニク・クーパー)との不倫を認めるよう言うが、
公爵は意に介さず、ジュージアナをねじ伏せる。
その結果、ジョージアナは妊娠し、男児を出産。

約束通り金と少しの自由な生活を手に入れたジョージアナは夫に隠れてグレイとの密会を重ねる。
それはすぐに公爵の知るところとなり、グレイと別れさせられる。

しかし、そのときすでに、ジョージアナはグレイの子を妊娠。
怒った公爵は、その子を密かに産み、グレイ家に引き渡すよう指示する。

ジョージアナは止むなく、その子、イライザをグレイ家に引き渡し、ロンドンに戻ってくる。

公爵も実はジョージアナを深く愛していたことを告げ、また、社交界はジョージアナを温かく迎える。

再び社交界の中心となってジョージアナは人々の注目の的となっていった。

**

その後、ジョージアナとベス、そして公爵の同居は続く。
ジョージアナとベスの友情は復活し、ジョージアナの死後、彼女の遺言によってベスが後妻となった。
また、ジョージアナはたびたび、イライザのもとを訪れたそうだ。

**

男性優位、男児による爵位の世襲。
婦人参政権はもとより、一般市民にも選挙権のない時代。
女性の権利や意識などは、重視されていなかった。

公爵の権力は絶大で、デボンシャー公はその中でも膨大な財力も権力も持っていたらしい。

なお、爵位は公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の順で、
公爵は英語では、Duke、映画の原題の「Duchess」は公爵夫人の意味。

チャールズ・グレイは、紅茶のアール・グレイの語源となったらしい。

**

デボンシャー公のレイフ・ファインズは、ちょっとリーアム・ニーソンに似ている。
と言えば、レイチェル・ワイズの旦那役だった「ナイロビの蜂」の主人公、ジャスティン。
そしてもっと有名な役柄は「ハリー・ポッター」シリーズのボルデモートだ。

チャールズ・グレイ役のドミニク・クーパーは「マンマ・ミーア」のスカイ。

 

 

 レッドクリフ PartU   

原題は「赤壁(下)決戦天下」

前回も書いたが、「三国志演義」の赤壁の戦いを描いた2部作の後編。

金城武、中村獅童、トニー・レオン、チャン・フォンイー、チャン・チェン、ヴィッキー・チャオ、リン・チーリン、
などなどキャストも当然続投。

***

劇場公開版では、本編の前にPartTのダイジェスト版と言うか「前説」が入るということだったが、
試写でもざっくりとPartTのおさらいがあった(劇場版と同じかどうかは不明)

つまり、曹操(チャン・フォンイー)に追われた劉備(ヨウ・ヨン)は、
孫権(チャン・チェン)と組んで曹操に反撃することに。
孫権の軍師は大都督、周瑜(トニー・レオン)、劉備の軍師は孔明(金城武)、
ともに相手を認めながらもライバル心を燃やす。

かくして、勢いに乗って南下する曹操軍と、赤壁で迎え撃つ劉備・孫権の連合軍は、長江を挟んで対峙するのだった。

**

尚香(ヴッキー・チャオ)は、曹操軍に紛れ込み、軍勢の様子を探っていた。
おりしも、曹操軍では周瑜らの推測どおり疫病が流行っていた。
PartTの最後に登場した白鳩は、尚香から孔明への密書の送付に使われていた。

疫病の死者は100人を超え、曹操は感染を防ぐため火葬しようとする部下を制し、
死体を船に乗せて対岸の劉備・孫権軍に流す。
曹操の思惑通り、死体から武器や所持品を奪う人々に疫病が感染、劉備・孫権軍の兵士も多くが疫病に倒れる。

そんな中、何と劉備は連合を持ちかけておきながら、疲弊を理由に2万の兵を率いて夏口まで撤退してしまう。
諸葛亮は赤壁に残るが、軍勢が減り、武器も少ない孫権軍。

周瑜と孔明は再び策略合戦に出る。
すなわち、矢を3日のうちに10万本集めて見せると言う孔明と、水軍に長けた蔡瑁と劉j(?)を謀殺するとする周瑜。
互いにできなければ相手の首をはねると言う。

孔明は、霧に紛れてわらを仕組んだ船で曹操軍に近づき、矢を射させてこれをまんまと手に入れる。
一方の周瑜は、降伏を説得に来た旧友(名前失念)に、蔡瑁らが曹操を裏切って周瑜に協力しているとの偽文書を見せる。
果たして、孔明のわら船作戦に偽文書を信じてしまった曹操は、蔡瑁らを殺害、周瑜の思惑通りとなった。

曹操、周瑜ともに船に火をつける火計を思いつくが、風は北西から吹き、曹操軍に追い手となっていた。
しかし、孔明は夜半、牛の刻に風向きが南東に変わると予測し、周瑜に準備をさせる。

時間稼ぎをしたい孫権軍だが、小喬(リン・チーリン)が一人曹操の陣地に赴き、戦いをやめるよう進言する。
曹操はそれを無視して出陣しようとするが、小喬が勧めた茶に興じている間に風向きが変わってしまう。

機に乗じ、火計を仕掛ける孫権軍。
「連環の計」で船同士を連結していた曹操軍は、回避が間に合わず次々と炎上。
水軍の将を失っていたこともあって水軍は壊滅的打撃を受ける。

さらに孫権軍は上陸して曹操の陣地を目指す。
圧倒的勢力の曹操軍の攻撃をかいくぐり、ついには甘興(中村獅童)が自爆して門を突破する。

孔明は、離れた地点から戦況を見ていたが、劉備軍が曹操軍の背後に回り、両面からの挟み撃ちとなる。
小喬を人質に降伏を迫る曹操と周瑜の一騎打ちは、趙雲(フー・ジュン)が割り込んで小喬が救われる。

曹操は孫権の弓で髷を落とされるが命は助けられ、敗退する。

孔明と周瑜はお互いを称えながら袂を分かつ。

**

「三国志演義」が元にはなっているが、映画オリジナルのストーリーも組み込まれている。
甘興をはじめ、映画オリジナルキャストが何人かある。
尚香が曹操軍に間者(スパイ)として潜入し、その危機を何度か救う叔財(トン・ダーウェイ) もそのひとりで、
終盤、戦いの虚しさ、庶民の悲哀を強調する役回りだった。

三国志演義では、孫権軍に蔡瑁の死後、蔡瑁の甥達が曹操軍を脱走した振りをして周瑜に取り入るが、
周瑜は逆に偽情報を流して曹操軍を混乱させた。

また、黄蓋が自らむち打ちの刑を受けて、寝返ったことにして曹操のもとへ走らせ、
水軍の将を失っていた曹操軍に「連環の計」を行わせたそうだが、
映画では黄蓋はこの「苦肉の計」を進言するものの周瑜に一蹴され、
また、「連環の計」は、黄蓋の進言よりずっと前、蔡瑁らが進言したことになっている。

孔明は風向きが変わると、周瑜から逃れて劉備軍に合流。
曹操は敗走中に、待ち伏せていた劉備軍と対峙するが、
孔明は、曹操を殺せば、呉の力が強くなりすぎるとして、間羽がこれをわざと逃すのを許す。

かくして、曹操(魏)は敗退、荊州以南は孫権(呉)劉備(後の蜀)が対峙することとなった。

**

PartTでは赤壁の戦いに至る経過説明のような感じで、曹操軍と劉備・孫権連合軍の1度目の戦いまでだったので、
展開のとろさが目についたが、今作は正面からの激突で、テンポもよく、迫力満点だった。

上記のように多少原作である「三国志演義」と異なる点はあるが、大した問題ではないし、
映画が長いため、多少だれる部分はあるが、総じて分かりやすく、
PartTで不評だった人名が字幕で出ることも少なく、見やすかった。

 

 

 マダガスカル2  

続編。

「1」に引き続き、吹き替えのキャスティングも前回と同じ。
主役の4人は、玉木宏(ベン・スティラー)、柳沢慎吾(クリス・ロック)、
岡田義徳(デビッド・シュワイマー)、高島礼子(ジェイダ・ピンケット=スミス)
おぎやはぎ、アンタッチャブル、などなど。

***

冒頭はアフリカでのライオンの親子の別れ。
ライオンキングのズーバと、キングの座を狙うマクンガ。
その戦いのさなか、戦うよりダンスの好きなズーバの息子は保護区から出てしまいハンターに連れ去られる。
そして、着いた先はニューヨーク・セントラル・パーク動物園。
そう、彼こそが後のアレックスだった。

前作では、セントラル・パークを脱走した4匹、すなわち、
ライオンのアレックス、シマウマのマーティ、キリンのメルマン、カバのグロリアをアフリカに帰すのが、
失敗してマダガスカルに着いたお話。

今回はその続きで、4匹とペンギンたちが前作で見つけた飛行機を利用してニューヨークへ帰ろうとする。

さて、前置きが長くなったが、何とかかんとかマダガスカルを飛び立ったものの、
着いたのはニューヨークではなくアフリカ。

アフリカ・ツアーの団体客ともめたりしながら、アレックス一行は自然保護区に入り、ズーバと再会する。
しかし、キングの座を狙うマクンガは、スーバとアレックスをそそのかし「成人の儀式」をしかけ、
ズーバをキングから降ろし、アレックスを追放させる。

一方、ペンギンたちはツアー客から車を奪い、そのパーツを利用して飛行機を直そうとする。

そのころ、草原では保護区唯一の水飲み場が干上がると言う事件が起こっていた。
上流へ行けば原因が分かるとみんなの反対を押し切ってマーティと保護区を出るアレックス。

キング・ジュリアンは、火の山の神に生贄をささげれば水が戻るとして、メルマンを火口に投げ落とそうとする。
集まったみんなの前でメルマンは自己犠牲をしようとするが、グロリアが間一髪でそれを止める。

実は、水が枯れたのは、ツアーの一行が車を失って迷い、森で暮らすため、上流にダムを造ったせいだった。
アレックスは原因を突き止めたものの、一行に捕まる。
そこへ父のズーバが乗り込んできて、さらにはマーティが飛行機で助けにきて、ついにダムを破壊する。
草原には水が戻り、ズーバとアレックス親子はライオン・キングとして復活を果たすのだった。

**

結構面白かった。
シマウマがみんな柳沢慎吾なのはちょっと参ったけど、水枯れなど因果関係がそれらしく出来ていて楽しめた。
アフリカへの不時着シーンも予告より長くて面白かった。
ところで、モトモトはその後どうなったんでしたっけ。

***

アレックスの父ライオン、ズーバの声はバーニー・マック、ご冥福を祈る。
ライバルのマクンガは、アレック・ボールドウィン、などなど有名な方々が大勢。

吹き替え版も前作に続きまずまず。
特にお笑いの方々の芸達者ぶりは、とても安直なキャスティングとはいえない。
おぎやはぎ、アンタッチャブル山崎などは、前作以上にぴったりとしていた。

 

 

  マンマ・ミーア!  

ABBAの名曲に乗せて送る楽しいミュージカル。

メリル・ストリープ、ピアーズ・ブロスナン、アマンダ・セイフリード、
ステラン・スカルスガード、コリン・ファース。

***

ソフィー・シェリダン(アマンダ・セイフリード)は、結婚式をあすに控えた20歳。
ギリシャの小さい島のホテルを営むシングル・マザー、ドナ(メリル・ストリープ)の一人娘。

ソフィーはハイスクール時代の親友2人を式に招待し、父親を式に呼んだと告白する。
母の日記を見つけ、父親候補と思われる3人に母の名で招待状を出したのだった。

その3人とは、冒険家のビル・アンダーソン(ステラン・スカルスガード)、
銀行家のハリー・ブライト(コリン・ファース)
そして建築デザイナー、サム・カーマイケル(ピアーズ・ブロスナン)

3人はソフィーが招待したことを知らず、偶然にもビルのヨットに同乗して島までやってくる。

一方の、ドナも大親友の2人を式に招待。
堅物の料理研究家、ロージー(ジュリー・ウォルターズ)、結婚癖のターニャ(クリスティン・バランスキ)

ソフィーとドナその親友たちは明日の式の準備で大わらわ。

そんな中、ホテルに着いたビル、ハリー、サム。
ソフィーは母に内緒だとして3人を隠すが、ドナはそんなことを知らず、
3人を見つけてしまい、娘が知ったら大変だと思って3人を追い返そうとする。

結局、何だかんだあって、3人は全員が自分がソフィーの父親だと思いこんで、島に居残る。

翌日、結婚式当日、ソフィーは岬の教会まで行く。
ドナはサムの謝罪を拒否し、自分が花嫁をエスコートすると言う。

そして結婚式。
神父の「お集まりの皆さん」に続いて、ドナが「父親が来ています」と告白。
式に参列していた3人が言い争いとなって、式は頓挫、めちゃくちゃとなる。

しかし、そこでサムが本当にドナを愛していたのは自分だと告白、プロポーズして、
式は一転、ドナとサムの結婚式に変わる。
そして、お決まりの「I now pronounce you man and wife」 と宣言して、めでたしめでたし。

婚約者スカイ(ドミニク・クーパー)とソフィーのために用意された披露宴は、
ドナとサムのために大いに盛り上がる。

***

ストーリーは、他愛もない老いらくの恋と言ったら失礼か、親子のダブル・マリッジ、ラブ・ストーリー。

しかし、歌やダンスがものすごくよく展開と合っていて、しかもうまい。
みんな結構歌うんです。ちょっとピアーズ・ブロスナンが残念ですが。

こんなに面白い映画だとは思わなかった。

なお、ビル(ステラン・スカルスガード)は、「パイレーツ・オブ・カリビアン」の靴ひものビル・ターナー。
ロージー(ジュリー・ウォルターズ)は、なんと「ハリー・ポッター」のロンのお母さん、モーリー・ウェズリー。

 

 

 釣りキチ三平   

「おくりびと」の滝田洋二郎監督、須賀健太、塚本高史、香椎由宇、渡瀬恒彦

矢口高雄の超有名漫画の実写化。

***

オープニングは父親(萩原聖人だが、顔は最後の方で出る)が、三平を肩車し、愛子とともに帰宅するところ。
伝説の巨大岩魚の話をして聞かせる。

舞台は変わってアユ釣り大会の場面。
釣り大会優勝常連の三人組のトップ松山(元コント赤信号の小宮泰孝)が3位、
2位は三平一平(渡瀬恒彦)、優勝は三平三平(須賀健太)となる。

松山らは、三平爺孫が、インチキをしていると難癖をつける。
三平は怒って、釣りでの再勝負を持ちかけ、見事松山を下し、
でたらめをしていたようで理路整然と作戦を練っていたことを語る。

一方、プロのバス釣り、鮎川魚紳(塚本高史)は、アメリカでの連戦に意欲を失って、
日本に戻っていたが、三平の様子を見て近づいてくる。

三平の竹竿(和竿)が一平の作だと知ると、三平の家まで行き、一平と懇意になる。
そして「夜泣き谷」の巨大岩魚を探していると言う。

次の日、東京に出て数年の三平の姉、愛子(香椎由宇)が帰ってくる。
愛子は三平を東京に連れていくと言うが、三平は反対。
しかし、一平が夜泣き谷の巨大岩魚を釣ることを条件に出し、全員で夜泣き谷へ行くことになる。

山の奥の奥、川を遡り、滝の上のさらに上、4人の源流行は続く。
途中で帰ると言い出す愛子をなだめ(蛇が出るとか熊が出るとか)脅し、4人はさらに奥へと入っていく。
愛子の帰京のために時間が限られているため、途中野宿などをして、
ついに「夜泣き谷」の滝湖に着く。

昼間は普通の岩魚しか釣れず、夜には三平と愛子が大げんかするが、伝説の通りの状況で大岩魚が姿を現す。
そして、翌日、ついに三平と大岩魚の対決が始まる。

オニヤンマを餌に大岩魚釣り上げを目指す三平。
魚はあっさりとかかって熱闘の末、三平は湖に引きずり込まれる。

焦る3人をよそに、三平は水中で岩魚と格闘、城ミチルよろしく岩魚に乗って、伝説の「抱き釣り」を見せる。

結局、岩魚は湖の岸辺まで寄せられ、愛子と三平も和解する。
滝湖の主たる岩魚は、魚拓も写真も撮られずにリリースされ、一行は夜泣き谷を後にする」
魚紳は、やる気を取り戻し、アメリカに戻ってツアーに復帰することを宣言する。

三平は、東京に行かなくて良くなり、愛子との家族のきずなも回復する。
めでたし、めでたし。

***

ハッキリ言って、いまいちだった。
改めて映画は脚本の占めるところが大きいと思わざるを得ない。

途中から、三平の物語ではなく、愛子の物語になったようだった。
愛子は、釣りキチ三平には似つかわしくないキャラ設定と感じたし、
元々、三平は釣りをして全国を(海外も)飛び回るキャラなので、
東京と秋田にこだわる理由がよく理解できない。

魚はCGもあれば実写もあるのだが、CGはやや気になった。
釣りのシーンも気になる場面があった。
私は釣りには素人だが、それでも釣り糸の動きや魚の動きが不自然に見えるところがあった。

愛子が、滝湖でイヤホンを外し、自然の奏でる音に耳を澄ますシーン、
とてもいいと思えたが、音響がどうもシーンとマッチしていなかった。
もっと、ステレオ感のある広がりのある聞かせ方をしてほしかった。

最後に、原作が「夜泣き谷」なので文句は的外れかもしれないが、
「夜鳴き谷」もしくは「夜啼き谷」の方が字としては相応しいと思うがどうか。

 

 

 ヘンゼルとグレーテル(UKオペラ@シネマ 

全編ドイツ語、約108分で、約1時間後に15分ほどの休憩(紹介映画あり)を取る。

エンゲルベルト・フンパーディンク作、原作はグリム童話。

***

オープニングは宅配便が、舞台であるグラインドボーン・オペラハウスに運ばれるところ。
その「箱」は出演者の間をあっちへ行きこっちへ行き、
最後にはヘンゼルとグレーテル役の二人の取り合いとなって、舞台の幕が開く。

第1幕。
先ほどの箱が家になるというか、家が段ボールでできていると言うか、そういうセット。

極貧の家に住むヘンゼル(ジェニファー・ホロウェイ)とグレーテル(アドリアーナ・クシェロワ)は、
母親(イルムガルト・フィルスマイアー)の言いつけのほうき作りの仕事をせず、遊び呆けている。

そこへ帰ってきた母親は、怒り狂って子供たちを叩こうとしてミルクの入った壺を割ってしまう。
食べ物がなくなって怒った母は、子供たちを森にいちご摘みに行かせる。

そこへ父親(クラウス・クトラー)が、たくさんの食べ物を持って帰ってくる。
街でお祭りがあり、ほうきが飛ぶように売れたと言うのだ。
母親の機嫌は直るが、子供を魔女のいる森にやったことで父は怒り、二人で子供を探しに行く。

ここで、ストーリーはフンパーディンクの通りだが、演出は全く違うことにお気づきか。
時代設定というか、背景は元の歌劇の19世紀末ではなく、現代になっている。
すなわち、当初ミルク壺を入れていたのは、冷蔵庫であり、父親はパックされた食糧や缶ビールを持ち帰る。

第2幕
舞台は森。

ここも設定は現代風。
森の中は、ビニール袋や空き箱が散乱し、木々も枝葉がなく、枯れ木の様。
一瞬、シュバルツバルトか? と思った。

兄妹は一応イチゴは摘むが、つい手を出して全部食べてしまう。
怒る母を恐れながらも帰ろうとするが、道に迷い日が暮れる。
そこへ「眠りの精」が現れて、二人を眠らせてしまう。

二人が眠っている間に森の中は妖精(小人、演じるのは子供たち)が、行きかい、
兄妹にちょっかいを出すが、二人は気づかずに深い眠りにつく。

ここでちょっと不思議なことが起こる。

ヘンゼルとグレーテルが、モミの木の根元で眠るとき、グレーテルはヘンゼルの尻に頭を乗せて寝る。
しかし、妖精が二人を取り囲んだ時には、グレーテルはヘンゼルと寄り添うようにして寝ていて、
ヘンゼルの手がグレーテルを抱きかかえている。
そして、二人が起きないので妖精が囲みを解いて離れると、グレーテルは再びヘンゼルの後ろで寝ている。

(ここで休憩)

第3幕
朝になり、露の精がやってきて、兄妹を起こす。
突然、森の中にお菓子の家が現れる。
と言っても設定から言って、外壁がケーキやチョコでできているわけではない。
まるでスーパーのお菓子売り場のように、お菓子の箱や袋やペットボトルが並べられている。

ヘンゼルとグレーテルはついお菓子の袋に手を出し食べてしまう。
家の中から、ピンクの衣装に身を包んだ魔女が出てきて、二人を捕まえる。
(本来はソプラノだが、テノールのヴォルフガング・アプリンガー=シュペルハッケが魔女を演じる)

魔女は、ヘンゼルを先に食べようとかご(これもスーパーで使う搬送用のケージのような格好)に入れる。
グレーテルは魔女の手伝いをさせられるが、機転を利かせてヘンゼルを救い出し、
魔女の裏をかいて二人で魔女をオープンに突き落とす。
閉じ込められていた他の子供たちも解放され、やがて二人を探しに来た両親と出会い大団円を迎える。

***

最後に割れんばかりの拍手の中、出演者と指揮者の大野和士(おおのかずし)が順に登場して拍手を受ける。
いったん退場するも拍手は鳴りやまず、再び全員が登場して拍手に応え、幕を閉じる。

***

長くて飽きるかな、と思ったが、意外と見入ってしまって、第2幕まではあっという間だった。

演出を現代風背景にアレンジしてあるのは斬新だが、魔女の風体(ふうてい)には驚いた。
登場時はピンクのスーツにピンクのズラ。
途中で正体を現すのに、ズラを取るとハゲチョロケの頭が出てくる。
再登場時は、胸も露わに太鼓腹のあり様(男優なので作りもの)だった。

 

 

 7つの贈り物 

ウィル・スミス、ロザリオ・ドーソン、ウディ・ハレルソン、ロビンヌ・リー、バリー・ペッパー。

***

冒頭、ウィル・スミスが911に電話、電話をかけた住所の2号室に自殺者がいる、という。
被害者は誰?と聞くオペレーターに彼は答える、「I am.」

ベン・トーマス(ウィル・スミス)は、IRS(歳入局、国税庁的組織)の徴収官。

税務調査に、と何人かのもとを訪れる。
大抵は、税の滞納をしており、ベン・トーマスとの話し合いで、
納税猶予をしてもらったり、逆にすぐ払うよう指示されたりとさまざまだ。

回想シーンなのか、今の出来事なのか分かりにくいシーンがときどき挟まれる。

時折、弟から電話がかかってくるが、ベンは取り付く島もなくけんもほろろ。
宅配業者のサービスセンターに電話して、盲目のエズラ(ウディ・ハレルソン)に悪態をついたり。
恋人、サラ(ロビンヌ・リー)との楽しいひと時。
航空機関係の会社で会議をしているシーン。
ゴルフ場で友人のダン(バリー・ペッパー)夫妻との談笑も意味深。

ある日、ベンが訪れたのは、自宅で招待状などを印刷しているエミリー(ロザリオ・ドーソン)。
心臓が弱く、緊急ではないものの心臓移植が必要な状態で、その日も検査入院だった。
エミリーは、ベンに数万ドルの滞納を責められ憤慨するが、支払猶予を与えるとの申し出に感激して、
ベンに好意を寄せる。

ひとつ、またひとつと、ベンの行動が明らかになるが、IRSの調査官にしては不可解なものが多い。

物語が進行するにつれ、彼が何故不可解な行動をとるのか、徐々に明らかになっていく。

彼は腎臓、骨髄、などを第三者に提供していたのだ。

エミリーの心臓が弱り、緊急度が増していく。
ベンとエミリーは印刷機械の修理、病院での付き添いなどで、徐々に愛情を感じるようになる。

そしてついに「本物のベン」がやってくる。
本物のベン・トーマス(マイケル・エアリー)は、自称ベンの弟で本物のIRS職員。
ウィル・スミスはベンの兄、ティムだったのだ。

ティムは、ベンに明日説明すると言って別れ、いろいろと確認に走る。
モーテルに戻り、ダンに電話し「時間だ」と告げ、
また、エズラに電話し「明日、ダンと言う男が私からの贈り物を持って訪ねていく。」と伝える。

そして、自身は猛毒のBox Jellyfish(アンドンクラゲ)にわざと刺されて死に、
心臓をエミリーに、角膜をエズラに託す。

何カ月かのち、本物のベンは、ティムのことをエミリーに説明する。
自身の不注意で7人が犠牲になった交通事故から2年、
肺がんになった弟のベンに片肺を移植したときからティムは文字通り自身の身を削り始める。

児童相談所のホリーに肝臓、透析で苦しむホッケーコーチに腎臓、
黒人少年に骨髄、DV被害のメキシコ人親子に別荘、
そして盲目のエズラに角膜、エミリーに心臓を分け、ティムはこの世を去ったのだ。

***

冒頭は、映画の結末を予感させるシーンで、これは最後にもう一度登場する。
最近こう言う編集の映画が多い。

淡々とした映画だが、時折挟まれる時系列をやや混乱させるシーン、
つまり今のことなのか、過去の回想なのかをはっきりさせないシーンを入れた編集になっている。

最後にすべてがつながって、どのシーンも意味があることが分かる。

原題は「SEVEN POUNDS」7ポンド。
意味はいろいろ言われているが、よく分からない。

罪の意識からの贖罪の旅を始めるわけだが、現実の話であれば別のやりようもあったかもしれない。

***

映画で登場するクラゲ、Box Jellyfish の和名は ハコクラゲではなく「アンドンクラゲ」、
俗に言う電気クラゲで、刺されると激しい痛みを伴う。
ハコクラゲは、アンドンクラゲを含むいくつかの科の総称である。

その毒性は生息地域や種によって強弱いろいろあるようで、 致命的なものもあるようだ。  

 

 

 ベンジャミン・バトン 数奇な人生  

2時間47分。

ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ティルダ・スウィントン、ジェイソン・フレミング、
タラジ・P・ヘンソン、エル・ファニング。

***

2005年、ニューオーリンズのある病院。
外は台風の接近で大荒れ。
やがて来る死の時を前に、老婆が娘、キャロライン(ジュリア・オーモンド)と話をしている。

それは、彼女の父が除幕式を観たと言う駅舎の大時計を作った盲目の職人の話だった。
彼は第1次大戦で息子を亡くし、依頼を受けた駅舎の大時計を完成させるが、それは時を逆に刻む時計だった。

時計が逆回りだと言う観衆に向って彼は言った。
もし、時が逆に流れれば、戦争で死んだ息子は生き返り、愛する家族のもとへ帰ってくるだろう。
誰が何と言おうとこれが私の時計なのだ、と。

老婆はキャロラインに日記を読むように頼む。
「ずっと読みたかったけど、読めなかったの。」
「これって、日記って言うより、いろんなものが挟んであるけど。」
「いいから。読んでちょうだい。」

老婆に急かされて、キャロラインは日記を読み始める。
「覚えているうちに自分の人生について書いておきたい。
 私が生まれたのは、第1次大戦が終わった1919年、街中が勝利に浮かれていた。」

街を急ぐ一人の男性、家にたどりつくと出産したばかりの妻が最後の時を迎えようとしていた。
「あの子をずっと守って。」
妻の言葉に約束したものの、赤ん坊を見た男は、赤ん坊を抱えると家を飛び出し、
街を走り抜け、たまたま行きついた家の階段に赤ん坊を置いて去る。

そこは老人ホームだった。
介護士のクィーニー(タラジ・P・ヘンソン)は、赤ん坊のまるで老人のような姿に驚きながら、
妹の子を預かることになったとして、ホームに迎え入れるのだった。

少々認知症の入った老人たちは異様な見かけの「ベンジャミン」を快く受け入れる。
見かけは80歳の老人だが、中身は子供で、足腰も弱って耳も遠いがやることは幼稚。
老人たちと軋轢はありながらも一緒に過ごしていく。

ある日曜日、祖母を見舞いに来た一人の娘、ディジー(エル・ファニング)、
ベンジャミンが「普通の老人ではない」と気づき、友達になろうとする。

ずっと老人ホームに閉じこもっていたベンジャミンだったが、少しずつ歩けるようになり、町にも出ていく。
やがて杖もなく動けるようになり、港でタグボートの船員となり、不妊で悩んでいた養母クィーニーに娘ができ、
ついに17歳の時、ベンジャミンは老人ホームを出て船乗りになる。
時に、ディジーが10歳の時だった。

老人扱いされながらも次々と新しい経験をするベンジャミン。
何もかもが新鮮だった。
約束通り、行く先々でディジーに手紙を書き、やがてソビエトで長い時間を過ごすことになる。
そこで出会ったのは外交官のアボット夫妻。
ベンジャミンは、不思議な魅力を持つアボット夫人(ティルダ・スウィントン)に惹かれる。

そのころ、ディジーは、バレーダンサーへの階段を着実に上っていた。
やがて第2次大戦、真珠湾攻撃とともにベンジャミンとアボット夫人の逢瀬は突然終わりを告げる。
ベンジャミンは、タグボートで米海軍の仕事を続けるが、Uボートと遭遇、乗組員の大半が死ぬ。

第2次大戦終了後、母クィーニーの待つ老人ホームへ帰ったベンジャミン。
一方で、若く美しく華やかなダンサーになったディジーとはすれ違うばかりだった。

何年か前にベンジャミンに近づく男性がいた。
その人こそ、生まれたばかりのベンジャミンを捨てたトーマス・バトン(ジェイソン・フレミング)だった。
トーマスは足を感染症で患い、余命いくばくもなく、ベンジャミンにすべてを話し、資産を譲ると言う。
資産は引き継いだものの、経営に奔走するでもなく老人ホームを手伝うベンジャミン。

ある日、ベンジャミンはディジーの舞台を観にニューヨークへやってくる。
華やかな舞台とその仲間、場違いだと帰るベンジャミンをディジーは冷たくあしらう。
しかし、彼は父が死んだとディジーに告げに来たのだった。

ディジーは、トップダンサーとして海外へも出かけたが、パリで交通事故に遭い二度と舞台に立てなくなる。
その上、見舞いに来たベンジャミンをなじり、追い返す。

何年かのち、心の傷も癒えたディジーはニューオーリンズに戻り、ベンジャミンと再会する。
ディジーはバレー教室を開き、ベンジャミンと暮らす。
ディジーは妊娠し、ベンジャミンの心配をよそに普通の女の子(perfect baby girl)が生まれる。
娘の名はキャロライン、日記を読んでくれているキャロラインその人だった。
娘は初めて自分の生い立ちを知る。

どんどん若くなり、子供になってしまうことを恐れたベンジャミンは、
資産を処分し、全てをディジーに託して家を去る。

世界各地から今度は娘あての手紙を送ってきていたが、ディジーがそれを仕舞っていたのだ。

キャロラインが13歳のころ、ベンジャミンは突然戻ってくる。
若く、初々しいベンジャミン、娘キャロラインとの一瞬の再開。
その夜をディジーと過ごしたベンジャミン。
日記はそこで終わり、ベンジャミンはいずこかへ去る。

その後は、ディジーが話をつなぐ。
何年かのち、10歳くらいの少年が見つかるが、それは認知症になったベンジャミンだった。
もうディジーのことも分からなくなってしまったベンジャミン。
いま、キャロラインが読んでいる日記を持っていたらしい。
見かけは子供だが、ボケて奇行を繰り返すベンジャミン。
ディジーは老人ホームを手伝い、ベンジャミンの面倒を見る。

どんどんと若くなり、どんどんと忘れていく。
喋ることも、歩くことも、そしてついに、ベンジャミンは赤ん坊となり、ディジーの腕の中で還らぬ人となる。

ディジーの話はさらに続く。
あの逆回りする駅の大時計も21世紀に入ってデジタル時計に掛け替えられ、
ついにその役目を終えた、と。

台風接近の混乱の病院で、キャロラインに話しを告げたディジーは静かにその生涯を終えようとしていた。
そして、台風による洪水は、倉庫に入れられた大時計をも静かに止めようとしていたのだった。

***

淡々とした映画でしたが、観終わった後、なんとも不思議な感情にとらわれました。
別れ。
人はいつか必ず愛する人と別れなければなりません。
たどる道は違っていても、いきつく先は同じ。
その先に何があるかは分かりません。
何かを求め、何かを見つけ、出会い、そしていつかは去っていくのです。

人はいつか死ぬ、と言うことを改めて考えさせられた映画でした。

最初に会うディジーのエル・ファニングは、ダコタ・ファニングの妹。
走ってくるディジーを一瞬ダコタ・ファニングかと思ったのは私だけでしょうか。

あの台風はカトリーヌ?
ニューオーリンズに甚大な被害をもたらしました。

 

 

 チェンジリング   

実話を元に、クリント・イーストウッド監督が、はからずも警察権力を相手取って戦う女性を
アンジェリーナ・ジョリーに託して描く。

***

1928年、ロサンゼルスに住むシングルマザー、クリスティン・コリンズ(アンジェリーナ・ジョリー)
最愛の一人息子で9歳のウォルターを学校に送って仕事に行く毎日。

彼女の仕事は交換手の主任。
1928年3月10日、土曜日、本来なら休日でウォルターと映画に行く約束をしていたが、
急な欠勤が出て休日出勤することになったクリスティン。
4時までの約束が1時間ほど延びて、帰路に着く。

あわてて帰ったところ、家にウォルターの姿はない。
焦って近隣を探しまわるが、見つからず、警察に連絡するが行方は知れない。

ロサンゼルスのある教会、グスタフ・グリーブレブ牧師(ジョン・マルコビッチ)は
事件の進展のなさを警察の腐敗と怠慢だ、と決めつけていた。

やがて、事件から5か月、警察(LAPD)はウォルターを発見し、
クリスティンに引き合わせるが、それは全くの別人だった。

誘拐されていたせいで顔つきや体格が変わったとするジョーンズ警部(ジェフリー・ドノバン)。
しかし、背が7センチ(3インチ)も低く、身体的特徴もウォルターとは異なっていた。

子どもが人違いであることを訴えるべきだとのグリーブレブ牧師のことばに耳を貸したものの、
マスコミに警察は間違いを正して、息子を探して欲しいと訴えるクリスティン。

ジョーンズ警部は正気を失ったとしてクリスティンを精神病院に隔離する。
そこでは「入院患者」は常軌を逸した拷問にも近い扱いを受ける。

危機一髪でクリスティンを助け出し、警察の腐敗を暴こうとするグレーブリブ牧師、
権力にたてつくつもりはなく、ただ息子を返してほしいだけだと訴えるクリスティン。

そんな折、北部に住む違法移民の逮捕に向かったヤバラ警部(マイケル・ケリー)は、
逮捕した少年から兄に誘拐した子供の殺人を手伝わされたと聞かされる。
そして、行方不明者の写真の中から被害者を選別させると、そこにはウォルター・クリスティンの写真もあった。

焦るヤバラ警部に無視しろと伝えるジョーンズ警部。
少年の供述通り、人骨が発見されるが、それをも事件の幕引きにしようとするジョーンズ警部と警察幹部。

しかし、グリーブレブ牧師の尽力で、ジョーンズ警部、犯人のゴードン・ノースコットは裁判で有罪となる。

事件から数年、誰もがウォルターの死を疑わなかったある日、行方不明だった子供たちの一人が発見され、
ウォルターを含めた何人かが逃げたと言う。

ウォルターの行方は杳(よう)として知れないが、クリスティンは一縷の望みを捨てず、
一生、ウォルターを探し続けたのだった。

***

アンジェリーナ・ジョリーの熱演が光る。
「母は強し」と言うが、むしろ弱い立場の女性が必死に堪えていると言った感じ。
やり切れない気持ちが、スクリーンを通して伝わってくる。
あまりに真に迫っているため、逆に若い母親に見せたいとは思わないくらいだ。

音楽は、クリント・イーストウッド。
エンディングの物悲しいメロディは、他のイーストウッド監督作品に通じるものがある。

最初に、「a true story」と出て、字幕で「真実の物語」と出るが、硬い。
「実話」「本当の物語」などのほうが良いし、それくらいなら、むしろ出さなくてもよかった。

チェンジリング、changeling、辞書では「取り替え子」と出るが、日本語として理解しづらい。
「取り違えられた子供」と言う意味だが、どちらかと言うと「鬼っ子」の意味に近いようだ。

 

 

 オーストラリア   

1939年から3年間くらいの物語を2時間45分の中に描く。

ニコール・キッドマン、ヒュー・ジャックマン、デビッド・ウェンハム。

***

1939年、イギリスにすむ、レディ・サラ・アシュレイ(ニコール・キッドマン)、
オーストラリアから帰らない旦那の尻を叩くため、迎えに行く。

オーストラリア北部ダーウィンの港に着いたサラは、
案内人のドローバー(ヒュー・ジャックマン)を探すが、彼は粗野な乱暴者だった。

やっとのことで牧場についたものの、旦那は槍で刺殺されていたという悲劇に遭遇。
残った借金を返済するには、牛をダーウィンの港まで運び、軍に売る必要があった。

牧場管理人のフレッチャー(デビッド・ウェンハム)は、
周辺一帯の地主のカーニー(ブライアン・ブラウン)と通じ、牛を盗んでいた。

フレッチャーを首にし、渋るドローバーを拝み倒し、1500頭の牛をダーウィンまで運ぶ。
カーニーの指示を受けて妨害するフレッチャーの企みを何とかかわし、無事に牛を届けることができた。

ここで、とっとと牧場を売り払ってイギリスに帰ればそれでお終いだったのだが、
サラは心変わりし、旦那の遺志を継いで牧場を再建すると言う。

またもや、ドローバーを拝み倒し、管理人として雇い、ドローバーは牛追いと牧場管理をこなす。

やがて、1941年。
日本が真珠湾を攻撃、アメリカの参戦とともに戦線が南方にも広がってくる。

物語の冒頭から重要な役回りだった、アボリジニと白人の混血の子、ナラ(ブランドン・ウォルターズ)は、
オーストラリア政府の隔離政策から逃げおおせていたが、アボリジニの大人になる儀式、
ウォーク・アバウト(徒歩で自然の中を放浪して過ごす)に出る途中につかまってしまう。

一方、ナラをウォーク・アバウトに出すかどうかでもめたサラは、ドローバーを首にする。

サラはナラが孤児院に入れられることを知り、ダーウィンに向かうが、果たせず、ダーウィンにとどまる。
日本軍の南進で、ダーウィンの人々は南に疎開を始める。

時1941年2月19日、オーストラリアの歴史でも有名な日本軍によるダーウィン空爆に遭遇する。

ナラのいる孤児院のある島は、無線所があるため、最初に爆撃を受け壊滅する。

ナラの危機を聞きつけたドローバーはダーウィンに向い、結局はナラを救い出し、サラと再会する。
難を逃れ、農場に帰りついた3人であったが、ナラは再びウォーク・アバウトに出ようとする。
前回は反対したサラも子供の成長を見守るべく、今度は暖かく見送るのだった。

***

オーストラリアはかつて流刑地でもあり、19世紀半ばからは白豪主義が取られていた。
映画の設定年代(1940年代)は、その人種差別政策があった時代で、
先住民だけでなく、先住民に理解を示すものも差別されていたとの設定。

ドローバーは、劇中でも説明があるが、牛追い、牛を運ぶカウボーイのこと。

レディ・サラ・アシュレイ。
レディの呼称は、貴族であることを示す。
劇中、ダーウィン市の幹部一家が出迎えに出たり、お付きの者がいたり。
また、乗馬も「良家の子女の嗜みですわ」のレベルを超えて貴族一家の素養の一つのようだ。

***

2時間45分もかかったとは思えなかったが、前後篇2部作を一気に見た感じだった。
一方、エピソードが多い割には端折っている部分もあり、
展開を新聞ニュースで済ませてしまうのは違和感があった。

高潔で魅力ある未亡人が、粗野な男性に惹かれて新しい人生を歩む。
ものすごくおおざっぱにいえば、ありきたりの設定であり、ありきたりの展開ではあるが、
地元有力者や太平洋戦争を絡めてドラマチックに仕立て上げている。

フレッチャーとカーニーがちょっと中途半端だった。

 

 

 カフーを待ちわびて  

原作は、第1回「日本ラブストーリー大賞」受賞作。
当初から映画化権付きの賞だったらしい。

玉山徹二、マイコ、勝地涼、尚玄、ほんこん、宮川大輔、高岡早紀、白石美保。

***

沖縄県、与那喜島。
小さい雑貨屋を経営する友寄明青(これで「あきお」とは読めんだろ、玉山徹二)
隣家のユタのおばあミツ(瀬名波孝子)、愛犬カフーとのんびり、ゆったりと暮らしていた。
明青は、小さいころのやけどで左手に障害があることもあってか、30半ばになっていまだに独身だ。

ある日、見知らぬ幸(さち、マイコ)から手紙が届く。
手紙には「絵馬を見ました、あの言葉が本当なら私をお嫁さんにしてください。」とあった。

何カ月か前、島にわき起こったリゾート開発話の参考にと行った遠久島で、仲間に冷やかされて書いた絵馬、
「嫁に来ないか、幸せにします。与那喜島 友寄明青」を見たと言うのだ。

リゾート開発は、島出身の照屋俊一(尚玄)の会社の提案だ。
観光資源もなく、農業も漁業も先細り、病院もない島の現状を憂いていると言う。

島の住民の大半が賛成する中、明青と幼馴染の新垣渡(勝地涼)など数人が反対している。

やがて、絵馬を持って秋青に会いに来たその女性、幸は、清楚で垢抜けた美人だった。
家事をこなし、店を手伝い、明青の髪を切り、怪訝だった明青もだんだんと心を開いていく。
幸が気まぐれで明青を弄んでいるのではないかと心配する渡、さっさとものにしろと煽るおばあ。

そんな中、俊一が反対派を説得できないでいることに、開発会社の上司高木(沢村一樹)が乗り込んでくる。
高木は反対派を一本釣りし、落としていく。

高木は、明青を陥落させるため、女をあてがうと言う。
幸が高木の送りこんだ女だと思った明青は、結婚したい人がいると言って幸を追い出す。

しかし、それは全くの勘違いだった。
幸の残した手紙に書かれていた真相。
かつて駆け落ちをした明青の母は幸の父と再婚し、父の死後も連れ子の幸を女手一つで育てたのだ。
その母も死に不倫の末に捨てられた幸は自暴自棄になって訪れた神社で、偶然明青の絵馬を見たと言う。

幸を追う明青。
神社には幸の姿はなく、幸の書いた絵馬が残っていた。
失意で帰郷しようとする明青。
その電車で、何と幸と再会する。

物語はハッピーエンドとなって、終わりを告げる。

エンドロール後に、その後の島の様子が描かれる。

リゾート開発は、俊一が一転反対派に回ったことから、まだ収束しておらず、高木も島にとどまっていた。
そして、明青と元気になったおばあ、うちでは幸がその帰りを待っていた。

***

「カフー」は、愛犬のラブラドールの名前でもあるが、「果報」「幸福」の意。
淡々と進むストーリー展開だが、終盤の急展開し、エンディングへつながっていく。

とはいえ、中盤までもだらだらとした感じは全くない。
映像と音声をうまく絡ませて進行させ、「見せる」シーンでも間延びを感じなかった。

エンドロールでは劇中のショットが多用されていた。
それを観ている時は「おさらいは良い、その先は?」と思ったものだ。
しかし、エンドロール後の「その後の物語」が、かなり長く流れ、バランスは取れていた。
そして唐突に終わる。
エンディングは原作と変えてあると言う事だ。
エンドロールの後は監督、脚本家のオリジナルなのだろう。

***

ロケ地は、沖縄。
明るく、透き通った海はとてもきれいだが、実はプランクトンが少ない。
プランクトンの多い海は、もっと色が濃く緑がかっている。

 

 

 007 慰めの報酬  

前作「007 カジノロワイヤル」から2年。
設定は前作の続きで、あのラストシーンの数時間あとから始まる。

ボンドにダニエル・クレイグ、いわゆるボンド・ガールはオルガ・キュリレンコ、
敵役マチュー・アマルリック、その他Mのジュディ・デンチ、前作にも出たマチスは、ジァンカルロ・ジアニーニ。

***

冒頭いきなりのカーチェイス・シーン。
片側1車線の湖沿いの道をボンドの車が逃げる。
追う車からマシンガンの嵐。何とか追撃を振り切って、イタリア、シエナのMI6の隠れ家につく。

車のトランクには、前作でボンドが足を撃ったMr.ホワイト(ジェスパー・クリステンセン)が詰められていた。
M(ジュディ・デンチ)とともにMr.ホワイトを尋問するボンド。
その最中、突然護衛の一人、ミッチェルがMを撃って逃走。
追うボンド、逃げるミッチェル、またしてもヤマカシ風の逃走劇の末、ボンドはミッチェルを射殺するが、
ホワイトはそのすきに逃げてしまう。

前作でボンドを裏切り切れなかったヴェスパーの誘拐された彼の死体が上がったが、
DNAからはヴェスパーの持っている彼の形見とは別人だったことも分かる。
(最後のほうで謎解きがある)

ミッチェルの部屋の捜索から、スレート(ニール・ジャクソン)との関連を探るべく、ハイチへ飛ぶボンド。
しかし、スレートも格闘の上殺してしまう。
スレートになり済ましアタッシュケースを受け取り外に出たところで、カミーユ(オルガ・キュリレンコ)と会う。
ボンドのケースにはカミーユに渡す資料ではなく、カミーユの殺害指令が入っていた。

カミーユを追ったボンドはグリーン(マチュー・アマルリック)の存在を知る。
グリーンは、何の変哲もないボリビアの砂漠と引き換えに、メドラーノ将軍(ホアキン・カシオ)に加担する。

さらに探ろうとするボンドの暴走に業を煮やしたMは、ボンドの動きを封じにかかる。
仕方なくボンドはマチス(ジァンカルロ・ジアニーニ)の手を借りて、ボリビア、ラパスに飛ぶ。

ボンドはグリーンのパーティに潜入し、カミーユとも再会。
しかし、友人のはずの警察組織はマチスを殺し、ボンドを犯人にしようとする。

ボンドは逃れるが、グリーンと取引したCIAをも敵に回すことになる。
ボンドは前作でも出たCIAのエージェントの裏の協力を得て、砂漠の中のアジト(ホテル)に潜入。

カミーユは、メドラーノ将軍を親の仇として追っていた。
ボンドは、ホテルを爆破して逃れ、グリーンを砂漠に置き去りにして去る。

しかし、それで話は終わらなかった。

***

展開が急で、カメラワークも激しく、世界各地を飛び回り、
同じ人物とあちこちで交錯するので、大変目まぐるしい。

予告の転落してロープに絡まるシーンはかなり早い段階で登場する。

際立った新兵器は出てこない、ソニー・エリクソンの携帯カメラが大活躍する。
テーブルと壁のディスプレイが連動(ひとつの大きいディスプレイのように作動)するが、夢物語ではない。
近い将来実現することでしょう。

敵がホワイト、グリーンとくれば次は何色か。
以前もそうだったのか定かではないが、ネーミングはかなりお遊びが入る。
例えば、ボリビアの領事館職員女性の名前はストロベリー・フィールズだ。

ラスト近く、
M「Is he alive?」
JB「Yea」
と言うシーンがあるが、字幕では「いいえ」になっていた。
そのあと、Mが「珍しいわね」と言うので、一瞬 ??? となったが、
最初のセリフが字幕で「片付けたの?」あるいは「始末したの?」か「やったの?」
になっていたらしいから、矛盾はない。

戸田奈津子らしい言い回しですが、短文のとき(英語が聞き取れた時)にこちらは混乱する。

 

 

 フェイクシティ ある男のルール  

フェイクシティ ある男のルール   
キアヌ・リーブス、フォレスト・ウィテカー、クリス・エバンス、ナオミ・ハリス、
セドリック・ジ・エンターテイナー、ザ・ゲーム。

***

LAPD(ロサンゼルス市警)のトム・ラドロー刑事(キアヌ・リーブス)は、
銃を車のトランクに仕込み、ウォッカの小瓶をあおりながら、韓国人街に向かう。

韓国人マフィアに年代物のマシンガンを売りつけるふりをして自らの車を奪わせ、アジトを突き止める。
乗り込んだラドローは、有無を言わせず犯人を次々と射殺し、
誘拐されていた韓国人姉妹を救出する。

そんなラドローの行動を元同僚のワシントン(テリー・クルーズ)は罵倒するが、
上司のワンダー(フォレスト・ウィテカー)は、ラドローを褒め正当防衛であったかのように取り繕う。

ラドローの過剰な取締り方法を内部監査局のビッグス(ヒュー・ローリー)は疑い、
ビッグスの接近をワシントンの「チクリ」だと思ったラドローは、ワシントンを殴ってやろうと近づくが、
2人が入ったコンビニに2人組の武装強盗が押し入り、ワシントンは射殺されてしまう。
その際、ラドローの反撃の一発がワシントンに当たる。

監視カメラにはラドローとワシントンの小競り合いが写っていた。
このままではラドローが3人目の共犯として疑われるため、偽装工作をする。

強盗犯を調べていくうち、ワシントンが不正に関わっていた証拠が出てきて、
ラドローは悩むが、事件の捜査官の一人、ディスカント
(愛称ディスコ、クリス・エバンス)とともに犯人逮捕への動きを進める。

やがて遺留品から、強盗の身元が割れ、ラドローとディスコはそいつらを追い詰めていくが、
見つけた二人組は死体となって土に埋まっていた。

ワシントンの殺害はコンビニ強盗が偶然起こしたものではなく、あらかじめ計画されたものだった。
誰かが二人に罪を着せてワシントンを殺害したのだ。

果たしてその真相は。

***

黒幕が早い段階でみえみえになるかどうかは別として、そこへたどり着くまでのスリリングな展開。
撃たれてぐちゃぐちゃになるところもリアルに表現。

警察内部にも汚職警官がいて、だんだんと誰が味方で誰が敵かわからなくなってくる。
キアヌ・リーブスの役回りは、ゴミ浚い、どぶ掃除、なんだけど、
結局、味方が敵で敵が味方で、双方に利用されてしまう悲しいやつ。

キアヌ・リーブスが犯人を探るうちに黒人のヤクの売人(ラッパーのザ・ゲーム)、
元締め(セドリック・ジ・エンターテイナー)が出てきます。
セドリックは、「マダガスカル」「同2」のキツネザルのモーリスの声。

最後に、
副題はまったくもって意味不明。

 

 

 ワルキューレ  

ワルキューレは、ドイツ語のWalküre(üは、uウムラウト)のカナ表記。
本来ドイツ語のWは英語のVの発音なので、ヴァルキューレに近い。
英語表記ではValkyrie(ヴァルキリー)。

映画のタイトルは、ワーグナーの歌曲に由来する、有事の際のベルリン制圧計画の呼称。

***

トム・クルーズ、ケネス・ブラナー、ビル・ナイ、トム・ウィルキンソン
トーマス・クレッチマン、テレンス・スタンプ、ケビン・マクナリー。

***

1943年4月、ドイツ軍アフリカ戦線。
シュタウフェンベルグ大佐(トム・クルーズ)は、連合軍の攻撃を受け負傷。
右手首から先、左手指2本、左目を失う。

これより少し先、1943年2月、東部戦線の軍司令部を訪れたヒットラーに対し、
トレスコウ少将(ケネス・ブラナー)の謀った暗殺計画(航空機爆破)は失敗に終わる。
トレスコウ少将を含むヒットラーを暗殺しようとする一群には、
ベック元陸軍参謀総長(テレンス・スタンプ)、
ベルリン予備軍司令部参謀長オルブリヒト少将(ビル・ナイ)、
政治家のゲルデラー(ケビン・マクナリー)らがいた。

シュタウフェンベルグは治療の後、ベルリンに戻り、予備軍参謀長としてオルブリヒトの配下となる。
ここで、既知のベックらとともに暗殺計画に加わる。

シュタウフェンベルグは、オルブリヒトの策定したベルリン鎮圧計画「ワルキューレ作戦」を改定し、
(ヒトラー暗殺後の)有事のベルリン制圧計画をヒトラーに承認させる。

7月初旬、シュタウフェンベルグは、司令部「オオカミの巣」での作戦会議に爆弾を持ち込むが、
ヒムラー不在を理由に煮え切らない政治家の判断遅れで作戦は不発に終わる。
怒るシュタウフェンベルグは政治家を排し、軍人だけで計画を進める。

そしていよいよ、7月20日。
シュタウフェンベルグは再度「オオカミの巣」での作戦会議に爆弾を持ち込み、
(化学反応による)時限装置をオン、会議に臨む。

しかし予想外の事態が起こる。
その日暑かったため、会議が窓の多い建屋で行われたのだ。

予定通り呼び出しの電話でその場を去るシュタウフェンベルグ。
会議では、彼の置き去りにしたカバンが倒れたため、別の将校が手前に置き直した。

果たして、爆発は起こり、それを確認して逃げるシュタウフェンベルグ。

渋るオルブリヒト少将のせいで初動は遅れ、ベルリン制圧は一向に始まらない。

果たして、反ヒトラーの動きは成功するのだろうか。

***

数あるヒットラー暗殺計画の最後にして最大の事件。
ドイツではかなり有名な事件で、Wikiにも詳しく書かれている。

事実を淡々と描いており、暗殺の成否はみんな知っているわけだが、
それに至る経緯、そのあとの経過などが史実に基づいて克明に描かれる。

***

もう一人の重要人物として予備軍大隊長オットー・レーマー少佐をトーマス・クレッチマンが演じている。
(「キング・コング」の船長、「戦場のピアニスト」のドイツ軍将校)

当初、シュタウフェンベルグ大佐にキャスティングされていたが、レーマー少佐に変わったとされる。
なお、レーマー大佐を「脇役」と書いてあるサイトもあるが、この事件のキーパーソンの一人である。

ケビン・マクナリーは「パイレーツ・オブ・カリビアン」のもみあげ船員、
そしてビル・ナイは同作品では、タコ顔のデイビー・ジョーンズだ。

 

 

 シャッフル  

サンドラ・ブロック、ジュリアン・マクマホン。

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冒頭は幸せなリンダ(サンドラ・ブロック)とジム(ジュリアン・マクマホン)が、郊外の瀟洒な家に着くところ。
ジムがサプライズ・プレゼントとしてこの家を買ったのだ。

場面は変わってその何年か後、寝起きの悪いリンダ、起こしに来た2人の娘に急かされて学校へ送っていく。
ジムは水曜から出張に出かけている。木曜の朝だった。

ジョギング、ガラス戸にシールを張ったり、掃除、洗濯、などの家事をこなすリンダ。
電話にはジムから「子供たちの前で言ったことは本心だよ。」との留守録があったが、リンダには意味不明だった。
そこへ警官がやってきて「旦那さんが昨日、交通事故で即死した」と告げる。

あまりのショックで何も手がつかないリンダ。
娘たちを迎えに行き、パパが死んだ、と告げる。

ところが、翌日起きると、ジムは死んだどころかコーヒーを飲みながらTVを観ていた。
事態が飲み込めないリンダは、ジムに会社に行かないよう言うが、
「月曜は朝の会議があるから無理、子供たちは君が送って行って」と言い残して出かける。

不思議な気持ちにとらわれながらも、いつものようにジョギング、掃除、洗濯とこなすリンダ。
物干し中に転倒し、カラスの死骸に触れる。
慌てて手を洗うと、洗面台には精神安定剤の空箱。
そこに書かれたDR.ロスに話を聞こうとするが、電話帳はその部分が破られていた。

翌日、目が覚めると鏡には布がかけられている。
階下での人の声に行ってみると、母、友人、みんなが葬式の服装。
ジムは死んでいないというリンダになだめる母。

裏庭で遊ぶ娘、ブリジットの顔は傷だらけで何針も縫った跡が。
取り乱すリンダに妹のミーガンは「きれいだよ、お姫様みたい」というのだった。

葬儀に向かう家族、「本当にパパは死んだの」と聞くミーガン。
不審に思うリンダは、棺桶を開け、ぐちゃぐちゃになったジムの遺体を見る。

葬儀では、列席者を蔭から見る見知らぬ女性がいた。
リンダが問い詰めると「昨日お話しした通りです」と言って逃げるように去る。

翌日、目が覚めると、シャワーの音。
またもジムが生きていて出勤の支度をしていたのだった。

混乱するリンダ。
やがて、事象が時系列でなく、シャッフルされてやってきていることに気づく。
木曜の次が月曜、その次が土曜、といった具合だ。
自分の記憶をもとに時間を並べ直してみるリンダ。

記憶にない日を経験しながら、ついに事故のあった水曜日がやってくる。

その日、ジムは出張だと言って出かけるが、実は不倫旅行の予定だった。
リンダのひたむきな姿に不倫はあきらめて、断りの電話、そしてリンダへの留守録。

すべてを悟ったリンダは、ジムの後を追う。
そしてジムに電話して彼を引きとめるが、そこは事故の起こった道標のすぐ近くだった。
ジムは、Uターンして戻ろうとするが、焦ってエンスト。
そこへ、大型タンクローリーが迫ってきた。

果たして、ジムは、リンダは。

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物事がもし時系列に進んだとすれば、大したひねりもない夫婦の軋轢を描いたドラマ。
それが未経験の過去の前に未来がやってくることによって、複雑な謎解きサスペンスとなっている。

実は、冒頭のシーンと途中の展開で大きい矛盾があるが(過去に起こったはずのことが消えている)
それも気づかせないほど、観客の頭の中をかき混ぜる。

ストーリー展開は「デジャブ」を思い起こす。
また、教訓があるとすれば「浮気は死を以て贖うべし」と言うところか。

 

 

 20世紀少年 −第 2章− 最後の希望   

<第1章>終わりの始まり」の続編。
第1章では20世紀の終わりの日、つまり2000年12月31日に起こった「血の大みそか」に至る経緯が描かれた。
第2章はそれから15年が過ぎた世界を描く。

前作では幼女だった遠藤カンナは高校生になり平愛梨に変更。
その他のオッチョ(豊川悦司)ユキジ(常盤貴子)ヨシツネ(香川照之)マルオ(石塚英彦)モンちゃん(宇梶剛士)
それにヤマネ(小日向文世)神様(中村嘉葎雄)万丈目(石橋蓮司)ヤマさん(光石研)など、
主要キャストはそのまま。
子ども時代の各キャラも含め、ケンヂ(唐沢寿明)キリコ(黒木瞳)は回想シーンなどで登場。

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さて、少し、第1章のおさらいをしておく。
第1章では、ケンヂ達が子供のころに書いた「よげんの書」通りの事件が起き、
ついに2000年12月31日、「血の大みそか」の惨劇が起こる。

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2015年。
「血の大みそか」から人々を救ったともだちと友民党はますます勢力を拡大。
しかし、街には失業者があふれ、治安は悪化していた。
カンナは女子高生となり、新宿の中華料理屋でバイトする日々。
タイマフィアと中国マフィアの抗争を止めたカンナは、両マフィアから警護を受ける身となる。

中国人マフィアの一人が残した「友達は神となり、人類を滅ぼす計画」の言葉、
そしてその虐殺にともだちランドと警察官の関与を知ることとなったカンナは、
同級生の小泉響子とともだちランドの研修に参加する。

そこで、ボーナス・ステージと呼ぶバーチャル・ワールドに入り込んだカンナと小泉は、
ともだちの正体に迫るのだった。

一方、オッチョは漫画家(森山未来)とともに、海ほたる刑務所から脱出。
ユキジとともにカンナの保護にあたる。

モンちゃんが手に入れた「しんよげんの書」には、

 と書かれていた。

果たして、暗殺事件は起こるのだろうか、その被害者は、犯人は、そしてその結末は、、、、。

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第1章では登場しなかった、サダキヨ(ユースケ)が登場する。
フクベエ(佐々木蔵之介)ケロヨン(宮迫博之)ドンキー(生瀬勝久=第1章で死亡)は、
少なくとも表面上は出ません。

その他、前田健、小池栄子、六平直政、田中要次、西村雅彦、西村和彦、小松政夫、研ナオコなど、
また、徳光和夫、羽鳥慎一、小倉淳、山寺宏一も出演してました。

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第3章へ続く。
エンドロールの後に、前作と同様、第3章の予告編がついている。
また、エンド・ロールにも第3章へのヒントとなるセリフが隠されている。

第3章では、新たに武蔵と高橋幸宏が出るらしい。
今回、回想以外で活躍のなかったキリコ、ケロヨン、フクベエ、ケンヂも出るはずです。

 

 

 ワールド・オブ・ライズ  

レオナルド・ディカプリオ、ラッセル・クロウ。

中東を中心としたテロ組織に対し、常に危ない橋を渡る現地の工作員フェリス(レオナルド・ディカプリオ)、
現場には滅多に顔を出さないが、傲慢で強引なCIAの上司ホフマン(ラッセル・クロウ)
やり手だがCIAは信用していない、ヨルダン情報局のハニ・サラーム(マーク・ストロング)

テロ組織の中心人物を追い詰めるための情報戦を描く。

物語が中東、ヨーロッパ、アメリカを移動しながら展開するので、上映順に記憶するのが甚だ困難だった。
順序の入り繰りについてはご容赦ください。

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アムステルダム(だっけ?)、繁華街で車に仕掛けられた爆弾が爆発、観光客を含め大勢の死傷者が出る。
ロンドン、爆弾犯のアジト。特殊部隊が突入直後、犯人たちは自爆、警察に多数の死傷者。
テロリストの首謀者は、アリ・サリーム(アロン・アブトゥブール)。

イラン(イラク?)で、テロ集団からの離脱を目論む男から情報を得て、
アジトを調査中に敵に攻撃され、部下を失い、自身は重傷を負ったフェリス。
帰国を願い出るが、ホフマンはヨルダン行きを命じる。
ヨルダンにはアリ・サリームに通じる隠れ家があるのだ。

フェリスはホフマンの命令を無視して、ヨルダン情報局のハニ・サラームに情報を提供し、協力を取り付ける。
しかし、度重なるホフマンの裏工作で、作戦は失敗、ついには一味の逃亡を許す。

ヨルダンを追われたフェリスは、アリ・サラームに近づく新たな作戦を思いつく。
しかし、それは敵に近づく確率を高めるとともに、自身のリスクをも高め、
味方であるべきホフマンとハニ・サラームからの加護も受けられなくなる危険性を秘めていた。

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中東におけるCIAの暗躍と思惑の異なる者たちの情報戦。
ある意味、「シリアナ」を彷彿とさせた。

ディカプリオの演技はなかなかのもの。
飄々として人の命を屁とも思わないラッセル・クロウと、
冷徹であるべきなのに情にもろいレオナルド・ディカプリオの対比もなかなか良かった。

原題は「Body of Lies」 

 

 

 

 

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