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今年の累計:12(1)[3] 本 ( )は試写会
[ ]は邦画
1−3月期:12(1)[3]本 、4−6月期:0(0)[0]本、7−9月期:0(0)[0]本、10−12月期:0(0)[0]本  
1月:3(0)[1]本、2月:5(1)[2]本、3月:4(0)[0]本  
−−−−−−−−−−−−*−−−−−−−−−−−−  
   
   
 パッセンジャー 

クリス・プラット、ジェニファー・ローレンス、マイケル・シーン、ローレンス・フィッシュバーン

恒星間飛行が普通になっている未来。
宇宙船アバロン号は5000人の乗客を乗せて120年間の航行中だった。

乗員乗客はすべて冬眠状態でカプセルの中に入っており、宇宙船の運航はすべて自動で行われていた。
地球を出発して30年が経ったころ、アバロン号は微惑星群に遭遇する。

自動でシールド(バリヤー)の能力を上げ、微惑星を破壊していくが、中に大きなものがあり、
バリヤーで破壊しきれず砕け散った一部がアバロン号を直撃する。

そのせいで、アバロン号の制御システムに異常が生じ、5000人の冬眠ポッドの一つが覚醒モードに入ってしまう。
目覚めたのは、技術者のジム・プレストン(クリス・プラット)
システムはあと4カ月で到着すると告げるが、ジム以外に誰も目覚めていない。

船内を歩き回るとバーカウンターがあり、バーテンダーロボットのアーサー(マイケル・シーン)がいた。
ジムは何とか再冬眠ができないか調べるができず、またクルーを起こそうにもクルーキャビンには入れない。
気を紛らわし、ゲームに興じたり、自分のよりも高級なグレードの部屋をこじ開けたりして孤独を楽しもうとするが、
一向に気は晴れない。
そうこうするうち、1年が経ち、ジムは冬眠中の一人の美女に惹かれるようになった。
ジムは冬眠ポッドのマニュアルを見て強制的に冬眠から覚醒させられることに気づき、
あろうことか、その美女を強制的に起こそうと考えるようになる。

アーサーに問うでもなく語るでもなく、自問自答するジムだったが、遂には美女のポッドを強制覚醒させてしまう。

美女はオーロラ・レーン(ジェニファー・ローレンス)、作家でゴールド・クラスの乗員だった。
強制覚醒させたことは伏せ、宇宙船の中でたった二人の時間を過ごしていく。

アバロン号はその後時々システムの不調をきたし、回転が止まって重力を喪失したり、電源が落ちたりしていた。
中央制御盤には、システムの不具合が表示されていたが、当然ながら見るものも対応するものもいない。

ジムとオーロラは恋に落ち、ジムは船内の貴金属のワイヤーを使って指輪を作り、プロポーズしようと考える。
しかし、バーで飲んでいる途中、指輪を取りにジムが離席した時、
アーサーはオーロラにジムが悩んだ末にオーロラを起こしたとばらしてしまう。

怒りまくるオーロラ。
一気に険悪な仲になり、ジムの寝込みを襲って殴り殺そうとするが果たせず、離れて暮らす。

ジムはオーロラの機嫌を取ろうと、コンコースに木を植えた。
暫くすると、乗務員のチーフ、ガス(ローレンス・フィッシュバーン)が目覚める。
ジムとオーロラが目覚めていたことに驚いたガスはトラブルの原因を調査する。

ガスの権限は強く、船内のどこにでも入れ、何にでもアクセスできる。
そして調べていくうちにジムがオーロラを強制的に起こしたことにも気づく。

しかし、冬眠ポッドのトラブルのせいでガスの体はいたるところに障害が生じており、
原因追及半ばで絶命してしまう。

再び、二人きりになったジムとオーロラ。
宇宙船の不具合はますますひどくなり、一刻の猶予もなくなってきた。
そうこうするうち、反応炉(リアクター、核融合炉?)の排熱がうまくいかず、反応炉が暴走していることがわかる。
排熱ベントが故障して開かず、ジムが外から開けることになった。

意を決してベントに通じるダクトに入るジム。
手動でベントを開けることはできたが、手を放すとまた閉じてしまう。
結局、シールド代わりに持ってきたドアでカバーしながら外のベントを開け、オーロラが中のベントを開けた。

激しい排熱にさらされながら耐えたジムだったが、遂には失神し宇宙に投げ出される。
排熱は成功し、システムは正常に戻った。
しかし飛ばされたジムの宇宙服には小さい穴が開き、少しずつ空気が漏れてしまう。

オーロラが救助に行き、何とかジムを確保し連れ帰ることに成功。
医療ポッドに入れたものの死亡を宣告される。
オーロラはガスの権限を利用して医療ポッドに蘇生措置を命令、奇跡的にジムは蘇生する。

こうして二人の仲はよりが戻る。
暫く後、ジムは医療ポッドを使えば再冬眠ができることに気づく。
しかし、ポッドは一つだけで冬眠できるのは一人だけ。
オーロラに冬眠するよう迫るジムだった。

88年後。
あと4カ月で目的地に到着する時点となり、クルーが目覚める。
ノリス船長(アンディ・ガルシア)がコンコースに入ると、そこはかつてジムが植えた木が大木となり、
草に覆われて鳥や家畜が行きかう場所となっていた。

**

まあ、ラブ・ストーリーですな。
「宇宙版タイタニック」という謳い文句もあるようだが、微塵も感じなかった。
あるとすれば、セレブ女性と庶民男性の組み合わせで沈みゆく船に同乗していた、ぐらいか。
序盤も展開も結末も違っているし、後でタイタニック云々を聞いて、どこが・・・という気がした。

水がああなるのかどうかはわからないが、なったらなったでちょっと怖い。
重力が宇宙船の回転で作られているのは、序盤にエレベータ移動の際に無重力になったことでもわかる。

ラストにアンディ・ガルシアが出てきたのはちょっとびっくり。
30年冬眠していてもひげは伸びないが、さすがに120年だとひげ面になるのだろうか。

木や草は良いとして、鶏はどこにいたのか。

冷静に考えるとシステム的には欠陥だらけで、到底、恒星間移動に耐えうる仕組みとは思えない。
例えばクルー全員が冬眠状態なのは不自然でたとえ全自動システムであっても監視するための人は必要だし、
ましてや、ああ簡単に故障するようでは無人は心許ない。
人間が120年間も対応できないのその通りだが、例えば1年交代で、最低限の人員を起こし、
1年で再冬眠させればよい。
仮に1%の人員で対応可能だとすれば、各クルーは1.2年寿命を使うだけで済む。
不足人員はアンドロイドを使えばいい。
その意味でもアンドロイドがバーテンダー(それも一人だけ)というのは解せない。

冬眠ポッドのスペースはいかにももったいないし、非効率なので、重層にすべきだし、
再冬眠の仕組みがないのもおかしい。
劇中では医療ポッドで再冬眠できるとあったが、なぜ冬眠ポッドに移せないのか。
そもそも冬眠ポッドには冬眠維持機能しかなく、搭乗時には冬眠状態の乗員を冬眠ポッドへ移したわけで、
冬眠状態にしたオーロラを冬眠ポッドに戻し、自らは医療ポッドに残ればよい。

船外活動もアクラクションというかアクティビティの一環としての船外活動と、
点検、補修などのための船外活動では移動範囲もやれることも変わってくるはずだが、適当だった。

宇宙服の数、レストランやバーの数、出てくるのは二人だからいいようなものの、
5000人が4カ月過ごすのに耐えうる規模か。
席数が間に合うのは食堂くらいじゃないの。ただ、それも5000人が一斉に食事となると無理がある。
食事も娯楽もシフト制になるんだろうか。

*

全自動で故障しないし、フェイルセーフになっている、とは到底思えなかった。
フェイルセーフは故障しないわけではなく、故障したり、間違った操作をしてもシステムは
安全サイドに作動するというもので、故障や操作ミスがあることが前提。
フェイルセーフの意味をはき違えているんじゃないか。

船体に穴が開いて空気が漏れていた1カ所は修復できたようだが、船内に貫通した跡が何カ所もあった。
残りはどうしたのか。ただ、穴が開いただけで不具合には至らなかったのか。

ハリウッド映画の全自動システムは悉くが中央集中のシステムでメインコントロールが暴走したり、
異常をきたしたりして危機に陥る。
それを修復、あるいは停止させることで危機が回避される展開が多い。

実際には自律分散と連携協調を組み合わせたシステムである必要があり、中央集中型ではフェイルセーフはおろか、
自己修復もままならないと思う。
お掃除ロボットすら中央システムの制御というのでは、困ってしまう。

アバロン号は非常に高速(光速の半分程度)で航行しているため、地球からのサポートはできない。
高性能の故障耐性を有している必要はもちろんだが、自己完結できる修復システムが必要。
数人乗りの宇宙船じゃないんだから、なんかあったらリブートでは済まない。

要するに絶対の自信は技術的に裏打ちされたものではなく、手抜かりのシステムを過信しているだけ。

とはいえ、この種の映画(SFで宇宙物)は大好物なので私自身の評価は高い。

 

 

                    

  ラ・ラ・ランド 

ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、JKシモンズ

渋滞のハイウェイ。
カーラジオからいろいろな音楽が流れ、ドライバーも曲を口ずさむ。
突然、一人の女性が車から降りて歌い踊り、つられて多くの人々がハイウェイに降りて踊りだす。

やがて、人々は車に戻り、車は動き出す。
一人の女性(エマ・ストーン)は、セリフの練習に夢中で前の車が動いたのに気づかない。
後ろの車がクラクションを鳴らし続け、やがて左車線に出て追い越していくが、ドライバーの男(ライアン・ゴズリング)は、
女性に指を立てて怒りを示す。

女性はハリウッドスタジオのカフェで働く、ミア・ドーラン。
カフェに有名女優が来るとあこがれのまなざしで見てしまう。
携帯がオーディションの時間だと知らせると、店長には病院へ行くと言って店を出ようとし、
客とぶつかってコーヒーを浴びてしまう。

ミアは上着を着てコーヒーの跡を隠し、オーディションには間に合うが、セリフもそこそこに
「ご苦労さん」と言って帰らされてしまう。

ハイウェイでミアをにらみつけた男は、セバスチャン・"セブ”・ワイルダー。
かつての人気ジャズバーの前に来ては感傷に浸っている。

アパートに戻ると、姉が来ていた。
いい加減ジャズの店なんかあきらめろと説教される。

ミアは同じく女優を目指す若い女性3人と一緒に住んでいる。
ミアの部屋にはイングリッド・バーグマンの巨大なポスターが貼られている。

ある日、映画関係者の集まるパーティがあり、みんなで行こうと誘われる。
あまり乗り気のしなかったミアだが、結局はパーティに行く。

ただ、そこは男女の付き合いはあっても、映画の仕事が来るようなところではなかった。
帰ろうとすると、ミアの車は駐車違反でレッカーされてしまっていた。
しかたなく、歩いて坂を下り、トボトボとアパートに戻る。

その頃、セバスチャンはレストランでピアノを弾いていた。
レストランのオーナー(JKシモンズ)は、セブにジャズは絶対に弾くな、自分の選んだ曲だけ弾け、と念を押す。
その曲とはジングルベルなど、定番のクリスマス曲だ。

何曲かをいやいや引いた後、セブはジャズのバラードを弾く。

ちょうど店の外を通りかかったミアは曲に惹かれて店に入り、セブのピアノに聞き入る。

しかし、オーナーはセブを呼び、首を告げる。
憮然として立ち去るセブ。
ミアが、ピアノが聞こえて・・・と言おうとするもけんもほろろに店を出てしまう。

ミアはまたパーティに出ていた。
脚本家だという男性に捕まってうんざりし、バンドのところへ行くと、キーボードはあのセブがやっていた。
怪訝そうなセブ。バンドリーダーの呼びかけにミアは軽い曲 ”I RAN” をリクエストする。

セブは曲が終わるとミアに近づき、リクエストに文句をつける。
ミアがまた脚本家に捉まって、長話を聞かされていると、セブが車のキーを探していた。
ミアは咄嗟に知り合いのふりをして、自分のキーも取って、と言ってその場から逃げる。

二人は、ミアのプリウスを探しながら(プリウスがとても多い)坂の上まで来る。
そこでロサンゼルスの街並みを見下ろしながら、歌い、踊る。

ミアとセブは別れ、それぞれ家に帰る。

ミアのオーディションはその後もうまくいかず、カフェには無理筋の客も来るし、
店長には次のオーディションの日に出勤を指示される始末。
店にセブが訪ねてきて、仕事終わりに一緒に店を出る。

二人でスタジオ内を歩き、ミアは女優を目指す理由や生い立ちを語る。
いい役がないというミアに対し、気に入った役がなければ、自分で脚本を書けばいい、とセブは語る。

ミアがジャズは嫌いといったので、セブはミアをジャズバーに連れて行った。
ミアはセブが好きなスタンダードジャズに魅せられていく。
そこへ、オーディションの1次に通ったとの連絡が入る。
セブはオーディションのために「理由なき反抗」を見るべきだと言い、映画を見る約束をする。

約束の日、ミアのボーイフレンドから連絡が入る。
そう、その日はミアのボーイフレンドの兄のペアとのダブルデートの約束だった。
ミアはボーイフレンドと出かけるが食事の最中もセブのことが気になって仕方がない。

映画館で待っていたセブはあきらめて一人で館に入る。
ミアはついに席を立って映画館に走る。
既に上映中。ミアはスクリーンの前に立ってセブを探す。
そして二人は一緒に映画を見る。

グリフィス天文台のシーンが映り、二人がいい感じになった時、フィルムが焼き付いて上映は中断する。
二人は実際のグリフィス天文台に行き、プラネタリウムの部屋でダンスを踊る。

映画を見た甲斐もなく、ミアはあっさりオーディションに落ちる。

ミアは相変わらずオーディションに落ち続け、セブの勧めもあって脚本を書き続ける。
ルームメイトは芝居に出して、と頼むが、ミアは一人芝居だからと断る。

セブはピアノの仕事が入るが給料は安い。
学生時代の友人、キース(ジョン・レジェンド)がバンドに入れと誘ってくる。
週給は千ドルでアルバムやグッズの歩合も入る、というが、方向性の違いから断ってしまう。

ミアはアパートを出てセブと同居していた。
ミアの母から電話が入り、セブのことを疑っていることがわかる。
店を出すことが夢でなく、現実になるようにとセブはキースのバンドに入ることを決意する。

ミアは脚本を書きあげ、上演の準備をしていた。
ミアはセブのバンドのコンサートに行く。
その音楽はスタンダードジャズとは程遠い、現代風のものだった。
観客は狂喜していたが、ミアは違和感を感じるだけだった。

セブはバンドのツアーに行くことを打ち明け、ミアに一緒に行ってくれるよう頼むが、
ミアは芝居があるからと言って断る。

セブはバンドのツアーで長い間留守をするが、突然帰ってきてミアを驚かせる。
いつ帰ってくるの、また一緒に住めるようになるのはいつ、と聞くミア。
レコーディングをして、またツアーに出る、2年はかかるかも、というセブ。
二人は口論を始め、セブは落ちぶれた自分を上から見ていたいからだとミアを罵り、
ミアは家を出てしまう。

ミアの一人芝居の日。
当然見に行くつもりのセブだが、バンドの写真撮影の予定が入っていた。

舞台の幕開け。
客席には、元ルームメイトの3人の他、パラパラと何人かがいるだけ。
そこにセブの姿はない。

芝居は滞りなく終わり、舞台裏に戻るミア。
出ていく客が、ひどい芝居だった、と話すのが聞こえ、ミアは打ちひしがれる。

写真撮影が終わって、急いで来たセブ。
ミアが楽屋口から出てくるところと遭遇する。
謝るセブに、劇場の使用料も払えない、もうだめだ、と言ってミアは実家に帰ってしまう。

実家に帰ったミアを両親は歓迎するが気は晴れない。

一人、家でベッドに横たわるセブ。
ミア宛の電話が入る。もうミアはいない、と返すセブ。電話の主はミアに伝言を残す。

車を飛ばしてミアの家の近くまで来たセブは思いっきりクラクションを鳴らす。
家の番地は知らないが、ミアが家は図書館の前と言っていたのを覚えていたのだ。

ミアの芝居を観て感激した関係者からオーディションに来るように連絡が入ったという。
嫌がるミアを説得し、翌朝迎えに来る約束をしたセブ。

翌朝、少し遅れたミアを乗せてセブはスタジオに行く。
オーディション。
キャスティング・ディレクターは、今回はキャスティングありきだと告げる。
「リハーサル4カ月、撮影4カ月。脚本はやりながら作る、場所はパリ。」
ミアはオーディションで叔母の話を歌い上げる、自分が女優になりたかった理由だ。

セブとミアはグリフィス天文台に行く。
結果は2、3日後だというが、セブはミアにパリ行きを勧める。

そして、5年後。
あのスタジオのカフェに悠然と入ってきたのはミア。
冒頭のシーンの再現で今度はミアが羨望の対象だ。

家に帰ると、夫が迎える。
しかし、それはセブではなく、デビッド(トム・エバレット・スコット)で、幼い娘もいる。
ある日、デビッドとミアは娘をベビーシッターに任せてミアの主演映画を見に出かける。

しかし、高速道路ではすごい渋滞に巻き込まれ、ミアは映画を止めて食事に行こうと言い、高速を降りる。
食事の帰り、車を止めていた近くのバーからジャズの演奏が聞こえる。

店の階段を降りると、そこにはセブズのロゴマーク。
かつてミアがセブに見せてスケッチ通りのマークだった。

店ではジャズの演奏。傍らに立つのは、まぎれもなくセブ。
何も知らないデビットと一緒に席に着くミア。
気づいたセブはメンバーを紹介すると、ピアノに向かい、ソロで懐かしの曲を弾く。
それは、ミアがふらりと入ったあのバーで聞いた曲だった。
あの時、ミアの声掛けにセブが応えていたら、二人の仲はもっとうまくいって、
ミアの一人芝居は大盛況だったし、セブもツアーでパリに行ったし、
二人は結婚して男の子が生まれて、映画を見に行くのを止めてバーにふらりと立ち寄っていたかも。

しかし、ミアはセブではなく、デビッドとここにいる。

曲の終わりにデビッドに促されて後ろ髪をひかれつつ席を立つミア。
振り返ると、セブが何も言わずに微笑み、ミアも微笑み返して店を出る。

**

久しぶりに映画らしい映画というか、ちょっと古臭くもあるが、セブの好むジャズのようなオーソドックスな映画を見た。
ラストの5年後への展開がやや唐突な感じもあるが、全体してきれいにまとまっている。

人生そんなにうまくいくもんじゃないけど、そんなに捨てたもんでもない。
誰しも成功する可能性はあるし、あきらめなければ運は巡ってくる(かも)。

本作の主題ではないので割愛はやむなしとしてもあの5年の間に何があったのかは知りたい。

100%ではないけど、リアリティのあるハッピーエンドと言っていいのかもしれない。

超絶技巧ではないが、あの程度ならタップもダンスも歌もできるのはすごい。

ピアノは特訓したらしいが、それでもすごい。

市内観光映画っぽくなっていて、絶景ポイントやら観光スポットが多く出てくる。
穏やかに展開し、じっくり見せるシーンが多い。
その割に意味を深く考える必要もなく、音楽のはさみ方もうまいので、まったく違和感なく見れる。
ショットの多くがロングテイクで撮られており、目まぐるしいカット割りがないのも好印象。

ラララ、ラッラララ。ラララ、ラッラララ、シティ・オブ・スターズ・・が耳について離れない。

ピアノソロも良いし、サウンドトラック買うかな。

 

 

                   

 クリミナル 2人の記憶を持つ男 

ケビン・コスナー、ゲイリー・オールドマン、トミー・リー・ジョーンズ、ガル・ガドット、ライアン・レイノルズ。

CIAロンドン支局のエージェントのビル・ポープ(ライアン・レイノルズ)は、
カバンに何かを詰めて誰かに会うべくどこかへ行く。
どうやら誰かに尾行されているようで、それを撒くためにいろいろと画策しつつ行動する。

CIAに連絡し、タクシーで指定された場所に向かうが、敵のハビエル・ハイムダール(ジョルディ・モリャ)は
ビルのスマホをハッキングし、行き先を改ざんして、自分たちのいる場所に誘導する。
そして、タクシーの運転手を殺害してビルを拉致する。

CIAのチーフ、ウェルズ(ゲイリー・オールドマン)は救出チームを指定の場所に送るが、
ビルがいるはずはなく、救出は空振りとなる。

ビルは拷問され、接触しようとしていた「ダッチマン」の居場所を執拗に聞かれるが
頑として答えず、遂には殺害されてしまう。CIAのチームが現場に到着したときにはすでにビルは死亡していた。

CIAは軍のコントロールシステムにウォームホールを仕込み、外部からハッキングして操作するプログラムを
開発した通称ダッチマンの抹殺とプログラムの奪取を画策していたが、ダッチマンとの接触に成功したビルは、
身の安全と金の力でダッチマンを懐柔し、ダッチマンの確保に向かっている途中だった。
件のかばんは、ダッチマンに渡す金が入っていたが、ビルはそれを移動の途中でどこかに隠していた。

ウェルズは直ちに「記憶移植」の研究をしているフランクス博士(トミー・リー・ジョーンズ)を訪ね、
ビルの記憶を誰かに移植するよう強制する。

移植の相手は死刑囚で人間性が欠落しているジェリコ・スチュアート(ケビン・コスナー)。
前頭葉に障害を受けており、感情が未発達な点が移植に適しているという。
協力すれば刑務所から出す約束で、ビルの記憶のジェリコへの移植が試みられる。

一応処理は成功したかに見えたが、ウェルズの執拗な質問攻めにジェリコはビルの記憶を再生できず、
ウェルズからは失敗を宣言される。

ウェルズは直ちにジェリコをお払い箱にし、部下に移送を命じるが、悪にかけてはずば抜けた才能のジェリコは、
移送中にドライバーを襲撃して衝突事故を起こさせ、随行員も死なせる。
さらに衝突事故の相手を車に押し込んで火をつけ、自身の死亡を偽装して逃げる。

途中で只飯を食い、車を奪って逃げようとしたジェリコだが、突然ビルの記憶がフラッシュバックし混乱する。

そして記憶の断片に引き寄せられるようにビルの家に侵入し、美人妻のジル(ガル・ガドット)を拘束するが、
幼い娘、エマの顔を見て複雑な感情がわく。
ジルは拘束されつつもCIAに非常連絡をするが、問い合わせの電話に出たジェリコは、
声を聴いて相手の名前を呼び、ジルが間違えたと言って電話を切り貴金属を盗んで去る。

貴金属は買い取り屋で換金するが、エマのブラシだけはなぜか取り返す。
時々ビルの記憶が頭をよぎるとともに頭痛に襲われたジェリコは、フランクス博士のもとを訪れ、対処法を聞く。

ビルが持っていたカバンの中身は大量の現金で、図書館の本棚の奥に隠したことを断片的に思い出したジェリコは、
市立図書館に行くが記憶の本の位置にかばんはなかった。

ジェリコはウェルズに捕まり、カバンの中身はやるからダッチマンとプログラムを探すよう指示され、それを受ける。

テロリストのハイムダールもダッチマンのプログラムを狙っており、エルサにジェリコを襲わせる。
ジェリコは難を逃れるが撃たれて負傷。
ジェリコは再びビルの家に行き、今度は正面からパスコードを入れてドアのロックを解除し、地下室に入って治療する。
気づいたジルが問い詰めると、ジェリコはビルが頭の中にいると言って細かいことや、ビルのしぐさをして見せる。
エマはジェリコを全く警戒せず、ジルもその日はジェリコを泊める。

ダッチマンはビルとのコンタクトに失敗したことからロシアとの接触を試み、ソフトの実演をして見せると連絡する。
懐疑的なロシアは、ダッチマンの行動を待つ。
ダッチマンは約束の時間にダッチマンはアメリカのミサイル潜水艦からミサイルを発射させ、さらには自爆させた。

翌日、ジェリコは図書館がジルの働いているロンドン大の図書館だと気づき、非公開の書庫に行き、ついにカバンを見つける。
ジェリコはダッチマンの居場所に気づき、ダッチマンに会い、金をやるからプログラムをよこせという。

エルサがその場所に乱入してジェリコを撃ち、プログラムを手に入れてダッチマンを殺す。
しかし、ジェリコはエルサを背後から倒し、プログラム(USB)を奪い返す。

一方、ハイムダールはジェリコとビルの関係に気づき、ジルとエマを誘拐する。
ジェリコは、ジルとエマを助けるため、ハイムダールのいる飛行場に急行し、なんだかんだあって、
二人は助けるもののUSBはハイムダールの手に移り、ハイムダールは離陸してしまう。

ハイムダールは早速プログラムを起動し、近くの基地からミサイルをジェリコらのいる飛行場めがけて発射する。
現場に着いたウェルズは散々ジェリコを非難するが、実はプログラムは最初の攻撃ターゲットを命令者にするよう、
書き換えられており、ハイムダールの機はミサイルを受けて爆死する。

ジェリコは解放され、約束通りビルの記憶にあった海岸に赴く。
ジルとエマがジェリコのもとに駆け付け、和解を果たす。

ウェルズはジェリコのエージェントとしての才能に言及して映画は終わる。

**

ケビン・コスナーが「悪」。
善悪の判断が怪しい人物だが、ライアン・レイノルズの記憶と技量を引き継いでおり、
無意識にフランス語を喋ったり、科学的知識を持っていたりする点は、ちょっぴり「ボーン・アイデンティティー」

ゲイリー・オールドマンの役回りはあまりにも無能で、いわばぼんくら。
ミスしまくりで二の矢、三の矢も用意せず、あれじゃ国家の安全は守れない。

「記憶の移植」、他人の記憶を再生することで謎を解き明かしていく。
死者(本作)あるいは死にゆく者(「セルフレス」)の記憶を移植したものの、
本人と移植元の記憶がごっちゃになるという展開は、それほど奇抜なアイデアではない。
奇しくも「セルフレス」では、ライアン・レイノルズが移植先になっている。

どうしようもない悪も、根っからの悪ではなく、障害や育ちなどが原因であり、
矯正できるというか、成長できる、というのがテーマなのか。

ガル・ガドットは「ワンダー・ウーマン」元ミス・イスラエルで軍隊の経験もある。
ジョン・ハムと共演した「Mr.&Mrs.スパイ」では、主演のアイラ・フィッシャーとスタイルと美貌の差を見せつける。

話は変わるが「ワンダー・ウーマン」(8月公開予定)も楽しみ。

原題は、副題なしの「CRIMINAL」だが、「クリミナル」だけでは
類似邦題の映画がいくつかあるため、副題を付けたと思われる。

 

 

                  

 

 アサシン・クリード  

マイケル・ファスベンダー、マリオン・コティヤール、ブレンダン・グリーソン。

冒頭は、15世紀のテンプル騎士団とアサシン教団の争い。
アサシン教団のアギラールは先頭を切ってテンプル騎士団と戦っていた。

時は進んで1986年、幼いカラム・リンチは母が父に首を斬られて死んでいる現場に遭遇、
外から暴漢が乗り込んできて、父はカラムに逃げろと叫び、カラムは難を逃れる。

それから30年後、カラム・リンチ(マイケル・ファスベンダー)は死刑執行を待っていた。
死刑台の上で強がりを言ったものの、筋弛緩剤を注射されると涙を流す。

しかし、目が覚めた時、そこは天国でも地獄でもなくベッドに横たわっていたカラムに、
女医らしきソフィア・リッキン(マリオン・コティヤール)は協力を依頼する。

状況が呑み込めないまま、アムニスという機械に拘束され、脳を活性化されて、アギラールの意識と同期させられ、
テンプル騎士団が狙っている「エデンの果実」を探すよう指示される。

カラムはエデンの果実のありかを探るが、同期がずれて意識が現代に引き戻される。
休ませないと危ないというソフィアに対し、ソフィアの父のアラン・リッキン(ジェレミー・アイアンズ)は、
カラムを早くアムニスに戻すよう指示、結局カラムは再びアムニスにつながれ、アギラールとしての意識で行動する。

エデンの果実はテンプル騎士団が人類を操るために探していたものだった。

意識が戻ったカラムは、とらわれている父のジョセフ(ブレンダン・グリーソン)に引き合わされ、
母がテンプル騎士団の謀略を阻止するためジョセフに殺させたことを知り、自らエデンの果実を見つけ破壊すると誓う。

カラムはまたもアムニスでアギラールの意識と同期し、イスラム王がエデンの果実を持っていることを知るが、
イスラム王の息子がテンプル騎士団に捕まっており、助けるためにエデンの果実をテンプル騎士団に渡してしまう。

アギラールはエデンの果実を奪い取り、逃げて川に飛び込むがその衝撃でアムニスは壊れる。

しかし、カラムの意識はアギラールと同期し続け、その周囲も幻となって表れ、他の人にも見えるようになる。
アギラールは川でコロンブスにエデンの果実を託し、コロンブスはそれを自分の墓までもっていくと約束する。

一方、カラムがとらわれていた研究所では、この機をとらえた他のアサシンたちが暴動を起こす。
アランとソフィアは研究所を脱出し、コロンブスの墓所に行ってエデンの果実を手に入れる。

テンプル騎士団の会合で、アランはエデンの果実を手に入れたと発表し、世界征服できるというが、
カラムほかのアサシン軍団が現れて乱闘となり、エデンの果実を奪ってアランを殺す。

カラムは、屋根の上から家々を見下ろし、アサシン教団の一員として生きていくことを誓う。

**

もうストーリや細かい展開は覚えていない。

テンプル騎士団とアサシン教団の対立構図についての説明は一切なく、
ゲームの「アサシン・クリード」の世界観を事前に知っていないと理解が難しい。

映像は面白く、パルクールもどこまでがCGでどこまでが本当かわからないが見ごたえがある。
マイケル・ファスベンダーの今までとは違う一面を見た感じ。

脳に刺激を与えて、意識を同期し、過去の記憶を疑似体験というかVR体験する。
仕組みは違うが、イメージ的にはマトリックス。

ただ、やはり世界観になじめるかどうかが肝。
同名ゲームソフトと展開は違うようだが、ゲームソフトファンには楽しめるだろう。

 

 

                 

   

 ナイスガイズ  

ラッセル・クロウ、ライアン・ゴズリング、アングーリー・ライス、マーガレット・クアリー、キム・ベイジンガー。

1979年のロサンゼルス。
大気は汚れ、風紀は乱れ、子供はませ、ドラッグが蔓延している。

崖下の一軒家に車が突っ込んできて、ポルノ女優のが事故死する。

ホランド・マーチ(ライアン・ゴズリング)はちょっと抜けた私立探偵。
被疑者宅に忍び込もうとしてガラスを夜ついでに手を大きく切り、救急車で運ばれるような輩。

今の仕事は、ポルノ女優の老叔母、グレン(ロイス・スミス)から頼まれてミスティ・マウンティンを探すこと。
ただ、ミスティ・マウンティンは車でがけから転落し、崖下の家に突っ込んで死んでしまっている。
マーチの姪御さんは死んでいるという言葉にも耳を貸さない。
大叔母は、事故の2日後にはっきりと姪のミスティ・マウンティンを見たというのだ。

一方、ジャクソン・ヒーリー(ラッセル・クロウ)はNY出身の示談屋というよりは新手のトラブル処理。
依頼を受けてろくでなしをぶん殴るなどが主なやり方。

アメリア(マーガレット・クアリー)に彼女をつけ狙う2人を止めさせるよう依頼される。
そのうちの一人は、なんとホランド・マーチだ。

ヒーリーは、マーチの家(豪邸)を訪れ、マーチに一発食らわせた後、左腕を追って帰る途中。
マーチの娘のホリー(アングーリー・ライス)とすれ違い、マーチがシングルファーザーだとわかる。

ヒーリーが家に戻ると、2人の男が待ち伏せしていてヒーリーを殴り、アメリアの居場所を言えと責める。
一人は仕掛けがあるという鞄を開けてブルーインクを顔に浴び、逆上するが、
かえってヒーリーを怒らせ、ヒーリーが逆襲、二人は逃げる。
二人は今後も出てくるが名前がないので、「蒼顔」(ボー・ナップ)と「年上」(キース・デビッド)としておく。

ヒーリーがマーチに会いに行き、グレンの依頼でミスティ・マウンティン探しをしていてアメリアに到達したことを知る。
ヒーリーはマーチを雇ってアメリア探しを手伝わせる。

アメリアが主催する大気汚染反対ダイイング・デモで、アメリアの彼氏が最近死んだことがわかる。
アメリアの居場所を知るという男に案内させると、彼氏の家で焼け跡だった。

アメリアが彼氏と映画を作っていたことがわかり、その監督の家でパーティが行われていることが分かる。
ヒーリーとマーチはパーティ会場に乗り込んでアメリアを探す。

マーチが相変わらずのグダグダぶりでベランダから転落。
落ちた先で銃を探していて死体を見つけるが、その男こそ監督だった。

一方のヒーリーは家を捜索し、アメリアの書いたメモを見つけ、さらに家で襲ってきた二人組と遭遇する。
ヒーリーは「年上」を殴り倒してマーチを見つけ、死体を隠そうとして失敗して逃げる。

パーティ会場には黙ってついてきたホリーもいて、アメリアを探しているというと、「蒼顔」の車に乗せられそうになる。
すぐそばにアメリアもいて、ホリーは「蒼顔」を出し抜いてアメリアと逃げる。

マーチが気付いて人の車で後を追うが、「蒼顔」はホリーとアメリアを脅しているうちに車に跳ねられ、
アメリアは逃げてしまう。

「蒼顔」は瀕死の中で「ジョン・ボーイ」がアメリアともどもお前らを殺す、という。
ヒーリーはホリーに救急車を呼ぶよう指示し、そのすきに「蒼顔」を絞め殺す。
マーチが現場に着き、ホリーは無事だったが、警察が到着。
タリー(ヤヤ・ダコスタ)という官僚がヒーリーとマーチを上司のところに連れていく。

上司は司法省の役人で、アメリアの母、ジュディス・カットナー(キム・ベイジンガー)。
排ガス規制の法改正を計画しているところだが、自分が自動車業界と結託していると誤解した
アメリアが反抗している、一方の自動車業界は法案つぶしのためにアメリアを誘拐して
自分に圧力をかけようとしているので、アメリアを探し出し、守ってほしいというのだ。

アメリアの残したメモから居場所を推定。ここでもマーチのグタグタは発揮されるが、
結局はアメリアの居場所を突き止める。

しかし、ホテルの最上階で大勢のボディガードに囲まれているという。
また、バーテンダーの止めるのも聞かず乗り込んだ男がいると聞き、ジョン・ボーイだと思った
ヒーリーとマーチが最上階に行くとボディガードが次々と殺されており、二人はそそくさと逃げる。

警察から隠れているとアメリアが車の上に飛び降りてきて失神。
労せずしてアメリアを確保し、マーチの家に連れていく。

アメリアはすべてが母親の陰謀で裏で自動車業界と結託して自分を殺そうとしている、
警察もメディアも司法省の言いなりだ、と持論をまくしたてる。

とにかく、アメリアが確保できたと安心していると、タリーから電話があり、
ジュディスから20万ドルの現金を秘密裏に運ぶよう依頼があり、それをマーチに頼むというのだ。

マーチは喜んでタリーからアタッシュケースを受け取り、ヒーリーと指定の場所に向かう。
途中、居眠り運転して車止めのタンクに激突、ケースが壊れて偽の金が宙に舞う。

その頃、ホリーが呼んだ医者が家に到着するが、その男こそジョン・ボーイ(マット・ボマー)だった。
抵抗するホリーを蹴散らしてアメリアを殺そうとする。
マーチとヒーリーが必死に家に戻り、ジョン・ボーイと対決になる。
激しい銃撃戦。
パトカーのサイレンが聞こえ、ジョン・ボーイは逃げる。
しかし、騒ぎの間にマーチの家を抜け出したアメリアはあろうことか逃げてきたジョン・ボーイに助けを求め、
あっさりと射殺されてしまう。

どうやらアメリアの言うことが正しく、ジュディスが黒幕らしい。
アメリアは自動車ショーで自分たちのポルノフィルムを流し、ジュディスに注目を集めさせる計画だった。

グレン女史は、事故後にフィルムを確認したアメリアが投影した映像を見て、姪が生きていると思い込んだ。
謎が解けたヒーリーとマーチは、その日オープニングの自動車ショーの会場に乗り込んでいく。

二人は映写室に入り、フィルムを探しているとタリーが入ってきて二人を脅す。
ホリーもつかまって万事休すかと思った時、タリーが滑って転んで形勢逆転。
フィルムの場所は映写技師が知っていると思い探すが、一足遅く、ジョン・ボーイが映写技師を瀕死状態にしていた。
しかし、フィルムはすでに映写機に装てんされており、自動で映写が開始される。

ジョン・ボーイは手りゅう弾で会場を混乱に陥れて、映写機を撃つ。
マーチは映写室に入ってフィルムを確保するも「年上」と格闘になり、部屋から落ちて「年上」は墜落死。
マーチはプールに落ちて助かる。

ヒーリーはジョン・ボーイを追い詰めて首を絞めようとするが、ホリーが静止してジョン・ボーイは命拾いする。
ジュディスは実の娘のアメリアとその仲間を殺害指示した件で逮捕されるが、
ヒーリーとマーチは事件の真相を口外しない条件で無罪放免となる。

自動車業界とジュディスとの贈収賄は証拠不十分で不起訴になる。
マーチは探偵事務所をヒーリーとの共同経営にすることにし、ヒーリーも賛同して映画は終わる。

**

小ネタ満載。
そこまではいいだろ、みたいな仕草もいっぱい。
ラッセル・クロウが老眼で近くがよく見えないシーン(何度もあって最後には老眼鏡も)とか、
キム・ベイジンガーが小切手に「TEN THOU」と書きかけたのに、
ライアン・ゴズリングが「5000ドル」と言ったものだから、小切手を破り捨てるとか。

トイレのシーンは面白いけど、そこまでは面白くない。
死体を投げ落としてテーブルに落ちるのも面白いけど、そこまでは・・・
などと、全般に面白いんだけど、そこまでは、という感じ。

二人の性格もそこまでキャラが立ってなくて、バディ・ムービーとしてやや吹っ切れていない感がある。
まさか、続編ないよね。

ラッセル・クロウの体形は役作りか地か。

ホリー役のアングーリー・ライスは本作では13歳の役だが、実年齢は15か16。
(2001/1/1生まれなので、21世紀少女)

「スパイダーマン ホーム・カミング」では新聞社の秘書、ベティ・ブラントを演じる。
コミックでは、ピーター・パーカーの彼女は、ベティ・ブラント、グエン・ステーシー、メリー・ジェーンの順だが、
映画ではどうなるか。(ちなみに過去作5本では彼女になっていない)

 

 

                 

  

  マグニフィセント・セブン  

デンゼル・ワシントン、クリス・プラット、イ・ビョンホン、イーサン・ホーク、ヘイリー・ベネット。

1879年、アメリカ西部の新興の小さい町、ローグクリーク。
近くの金鉱から馬車が到着。物々しい警戒で銀行に金を運ぶ。

町は金鉱の持ち主、ボーグ(ピーター・サースガード)とその仲間に牛耳られていた。
町の人々は、ボーグとその仲間に対する反発と対策を教会の集会で語っていた。
そこにボーグが乗り込んできて、土地を安く買ってやるから町を出ろ、という。

そして、反発する住民の何人かを射殺し、教会に火をつけて、3週間後に戻るからその時までに決めておけ、
と言って去っていく。

旦那を無下に殺されたエマ・カレン(ヘイリー・ベネット)は、使用人の男と全財産を持って
ボーグに対抗できる人物探しに出かける。

ある町に一人の黒人の男(デンゼル・ワシントン)がやってきた。
みんなが訝しげに見る中、男は馬をつないで酒場に入る。
男はバーテンダーに話しかけ「パウダー・ダン」について聞く。
酒場の客は銃に手をかけるが、一人の男(クリス・プラット)がみんなを制止する。
バーテンダーは酒を出すふりをして隠してある銃に手をかけるが、男に射殺される。

保安官がやってくると、男は手を挙げて外に出、自分はサム・チザムと言い、7州の刑執行人であり、
バーテンダーは賞金首だと告げ、手配書を見せる。
そして、賞金の半分は未亡人に、半分は後で取りに来ると言って去る。

エマの使用人はチザムを追いかけ、町を救ってくれるよう頼むが、あっさり断られる。
エマが再びチザムを追い、事情を説明。
チザムはバーソロミュー・ボーグの悪事と聞いて態度を変える。
ただし、一人では無理なので、仲間集めをするという。

最初の男は酒場で、みんなを制した男、ジョシュ・ファラデー(クリス・プラット)
借金の形に取られていた馬を買い戻すことで仲間に引き入れた。

チザムらは新たな仲間を探す。

別の町で賭け早撃ち勝負をしている二人組に出会う。
一人はグッドナイト・ロビショー(イーサン・ホーク)南軍のスナイパー上がりでチザムの旧知。
もう一人はナイフの使い手の東洋人、ビリー・ロックス(イ・ビョンホン)。
チザムに賛同して仲間に入る。

次に山小屋でジャック・ホーン(ビンセント・ドノフリオ)のライフルを売ろうとする二人組に遭遇。
二人は追ってきたジャック・ホーンに返り討ちにされ、ジャック・ホーンも仲間に入る。

6人目は、お尋ね者メキシコ人、バスケス(マニュエル・ガルシア・ルルフオ)。
チザムは賞金首を見逃すことを条件に仲間に引き入れる。

6人+2人でローズ・クリークに戻る途中で野営していると、シカを狩った直後のインディアンに出会う。
別の道を行けと部族から追い出されたレッド・ハーベスト(マーティン・センズメイアー)は、
部族語を話すチザムに共感し同行することになった。

チザムとファラデーがローズ・クリークに到着すると、保安官と大勢の保安官助手に囲まれる。
屋根の上にもボーグの手下が。
しかし、レッド・ハーベストがそれを倒し、銃撃戦となって保安官以外の助手や手下は全滅。
保安官はボーグに状況を伝えるために解放される。
エマの呼びかけで町の住民は安心する。

チザムはボーグが戻るまで1週間(片道3日×2+仲間集め1日)と読み、町のみんなと協力して迎え撃つことに。
ロビショーやファラデーは住民に射撃訓練するが全くダメ。
ファラデーはボーグの手下を逃がしたロビショーの腕前に不信を抱き、見本を見せるよう依頼し、
ロビショーは案山子相手に抜群の腕前を見せる。

チザムらは、ボーグがいない金鉱に向かい、ボーグの手下を全員射殺。
無理やり働かされていた労働者を解放するとともに、多くの爆薬を手に入れる。
町の周辺に塹壕を掘り、小屋に爆薬を仕掛け、教会の鐘楼に狙撃場所を作り、準備は進んでいく。

ボーグに状況を伝えた保安官は射殺され、怒ったボーグは仲間を引き連れてローズクリークに向かう。
予想では明日にもボーグの軍勢が到達する夜。
チザムらは酒で英気を養うが、ロビショーはもう人は撃てない、と言って一人町を抜け出す。

偵察に出ていたレッド・ハーベストがボーグの軍勢を見つけて街に戻ってくる。
チザムらは塹壕にも人を配置、いよいよ対決の時が迫る。
ついに、ボーグの軍勢が一斉に町に突進。

仕掛けた爆薬が炸裂。塹壕から顔を出しての一斉射撃。
小屋に仕掛けた爆薬、そして射撃。
ボーグの仲間は次々と倒れていく。

ボーグの手下の中には町に突入するものもいたが、荷車などで行く手を塞ぎ攻撃を仕掛ける。

住民にも被害が出始める。
ジャック・ホーンはボーグの手下のインディアンの弓に倒れる。
さらに、エマにも襲い掛かるが、レッド・ハーベストが格闘の末に倒す。

ボーグは劣勢と見るや、ガトリング・ガンを出してくる。
ロビショーが意を決して町に戻り、ガトリング・ガンの存在を知らせ、多くの人間が退避する。

ガトリング・ガンの威力はすさまじく、2度の攻撃によってビリーとロビショーはやられる。
ファラデーも被弾するがガトリング・ガンを倒すとして単独で突入するが、
何発も弾を食らって倒れ、絶命・・・したかに見せて、ダイナマイトでガトリング・ガンを破壊。

町に侵入したボーグはチザムと対峙するものの撃たれ、教会内部に逃げる。

そこで、チザムはかつて自分の母と姉妹がボーグに惨殺されていたことを語る。
ボーグはチザムを思い出すが、首を絞められ、隠していた短銃を取り出し、チザムを撃とうとした。
その時、教会の入り口からエマがボーグを撃ち殺した。

戦いが終わり、死んだ4人は町で手厚く葬られることになった。
チザム、バスケス、レッド・ハーベストは何体かの遺体を乗せて馬で町を出る。

墓の様子と、素晴らしい(magnificent)人たちだった、とのエマのナレーションで映画は終わる。

**

1954年の「七人の侍」を原案にした1960年の「荒野の7人」をリメイクした作品。
「七人の侍」については黒澤プロと東宝、それに「荒野の7人」の製作会社の権利を
継承したとするMGMの間で日米訴訟合戦の末、1993年に和解したらしい。

そのせい(和解内容によるもの)かどうかは知らないが、本作は「七人の侍」の黒澤明など3人を原作脚本とし、
「荒野の7人」の脚本家は入っていない。

なお、「荒野の7人」は3人の脚本家によるが、クレジットされているのは1人だけで、
後の2人はクレジットを辞退したらしい。

ただし、舞台はもちろんだが、時代背景や人物設定などは「7人の侍」より「荒野の7人」に近いと感じる。
原案、旧作と違い、色恋沙汰一切なし。
ラストで町に残る者がないところは「七人の侍」に近いかもしれない。

西部劇は久しぶりな気がする。
昨年は「ヘイトフル・エイト」と「レヴェナント」、一昨年は「ジャンゴ」といわゆる活劇タイプではない。

これも時代なのか、爆薬を多く使い大勢が爆死するのは、演出的にはともかく、ちょっといただけない。
ガトリングガンがあるなら最初から使えよ、とか、保安官を逃がしてわざわざボーグが来るのを早くすんなよ、とか
いろいろ突っ込みたいところはあるが、全体から見れば些細なことではあるし、演出上も何とも言えない。

旧作、原案とも町村を襲うのは、収穫の強奪であり、住民の排除/町の乗っ取りではない点は大きく違う。
また、主人公が結局は私怨に駆られて旧知の友人らを巻き込んで復讐を果たすのが主眼であればちょっと違う気がする。

エマ・カレンのヘイリー・ベネットは「ガール・オン・ザ・トレイン」では被害者のメーガン。
「イコライザー」ではクロエ・モレッツの友人で結局殺されるマンディ。

チザムがバーテンダーに耳元でささやくセリフは「Bring them in 」
直訳すれば「彼らを連れてこい」または「それらを持ってこい」だが、前後のセリフとつじつまが合わない。
慣用句的な使い方があるのかもしれない。

 

 

                 

 

 サバイバルファミリー   

小日向文世、深津絵里、泉澤祐希、葵わかな、宅麻伸、渡辺えり、柄本明、大地康夫。

東京のマンション住まい、鈴木家は夫はサラリーマンの義之(小日向文世)、専業主婦の妻、光恵(深津絵里)、
大学生の息子、賢司(泉澤祐希)高校生の娘、結衣(葵わかな)の4人暮らし。

九州に光恵の実家があり、父、佐々木重臣(柄本明)から野菜や魚が送られてくるが、
子供たちは魚嫌いで、誰も丸ごとの魚が捌けない。

どっぷりと都会生活にはまっていて、スマホやパソコンが生活や仕事に欠かせない、そんな毎日。

ある朝、義之(以下、面倒臭いので「夫」と書く)が目を覚ますと時計が止まっている。
焦って、リビングに行くと停電らしく、冷蔵庫も止まり、昨日の魚は腐っていた。

結衣(以下、「娘」)のスマホも賢司(以下、「息子」)のスマホも動かず、
TVもつかず、水も出ない。

息子は自転車で大学へ、娘は徒歩で高校へ。
夫は電車の駅に向かうが案の定、電車も止まっており、結局2駅歩いて会社に向かう。
会社も停電。
エントランスのドアも開かず、ガラスを割って中に入るが、パソコンも電話も使えず仕事にならない。
同僚の高橋(宅麻伸)が、今日は仕事にならないので帰宅するように、と伝える。

光恵(以下、「妻」)はスーパーで買い物をするが、レジはそろばん、カードも使えない(当然ATMも)
家ではカセットコンロとロウソクで凌ぐ。

翌日も電気は回復しない。
電池を使う電気製品もダメで、情報が一切入らないから、原因はおろか、いつ回復するのか全く分からない。

そうこうするうちに、街をあきらめて出ていく人たち。
鈴木家も家を出て西に向かうことにした。

噂によれば、大阪は電気が来ているらしいので、羽田から飛行機に乗るつもりだ。

自転車3台に4人が分乗。
水や食料の値段がべらぼうに上がっているが、妻の機転でかなり確保できた。

途中、いくつかのエピソードを交えながら、東海道を西に進む。

そしてようやく羽田に着くも飛行機も当然動いておらず、人々はパニック状態。

がっくりしたものの、とりあえず大阪を目指す。

バカ高いラブホに泊まり、酒や水と交換で何とか4台目の自転車を確保、
米、なども確保して進むが、途中で確保した日本地図は粗すぎて役立たず、
妻の機転で高速を使って西に向かうことに。

高速は大勢の人であふれていた。
間を縫って西に向かう。
海老名SAでは水や食料を求める人と出会うが、金は役に立たないので物々交換。

高速を降りた一家、ペットボトルの水は尽き、川の水に手を出した夫。

暴風と豪雨の中、避難した際に置いた自転車が倒れ、食料は吹っ飛び、自転車はパンク。
そして、夫は水が当たって下痢。

翌日はホームセンターで接着剤やキャットフード、水(バッテリー補充液)を確保してさらに進む。

途中、この災難をアウトドアを楽しむかのような斎藤家に出会う。
父(時任三郎)と母(藤原紀香)に二人の息子(大野拓郎、志尊淳)。
キャンプ用品を持ち、干物の作り方、水の確保法や食べられる雑草についても教えてくれた。

斎藤家と別れて大阪に向かう鈴木家の面々。
ついに大阪に着くが、そこも停電、人々は逃げ出しており無人状態。

一家は大げんかとなるが、どうしようもなく鹿児島を目指すことになった。
ようやく岡山辺りまで来たがついに食も力もつき、道路際にへたり込む。
その時、一匹の豚を発見。
死に物狂いで追いかけ、ついに夫が豚を仕留めるが、豚の持ち主、田中(大地康夫)に咎められる。
しかし、田中は一家を自宅に招き、残りの豚を探す約束を取り付けて4人に食事と風呂と寝床を与える。
息子夫婦用にと取ってあったパジャマや服を借り、仕留めた豚の解体と残りの豚の回収を手伝う。

豚肉は塩蔵ののち、燻製ということで、4人は田中の家にしばらく逗留する。
田中はずっと居ても良い、というが、4人は肉や食料、水をもらって鹿児島を目指す。

途中あるはずの端がなく、筏を組んで川を渡ることにした。
妻と娘を先に渡し、自転車を積んでもう一度渡る途中、筏が崩れ、雨で増水した川に流される。
息子は助かったものの、夫は自転車とともに川に流された。

雨が上がり、川岸を捜索するが見つかったのは夫の部分かつらだけ。
がっかりして3人は西を目指す。
線路を見つけて、それに沿って歩くと、小型犬がついてきた。
何気に肉片をやると、今度は数匹の中型犬が襲ってきて、肉は取られ、妻は足を骨折。
絶体絶命化と思った時、線路の向こうから蒸気機関車が。
3人は機関車に拾われ、妻の脚の手当てもしてもらい、西に向かう。

その頃、夫は川岸を打ち上げられて助かっていた。
よろよろと進み、トラクターの陰で休む。
遠くに蒸気機関車が見えるが、疲れ果てて声も出ない。
その時、持っていたことに気づいて、発煙筒をつけたら、機関車から妻が煙に気づく。
こうして4人が揃って機関車に乗り鹿児島まで一気に進むことができた。

停電から100余日、ついに父、佐々木の実家までたどり着いた。
そこは、電気がなくてもなんとか暮らしていけたので、野菜の栽培や漁を手伝いながら過ごすことができた。

そうして、2年半が過ぎたある日。
夫は朝、何かの物音に気付く。
音はどこかの家の箱の中に入れられていた目覚まし時計だった。
街灯の明かりがつき、防災放送のチャイムが鳴る。
そう、電気が戻ったのだ。

そうして町は元の戻り、鈴木家も東京に戻った。
何もかもが元通り・・・ではなく、
息子も娘もジャンクフードはやめて弁当派になり、夫は電車ではなく自転車通勤になった。
妻は魚を捌くのもうまくなり、一家全員が魚好きになっていた。

そして、あの高速で出会った斎藤家にフィルムカメラで撮ってもらったスナップが送られてきて、
一家は感慨にふけるのだった。

**

2年半にも及ぶ停電の原因は結局よくわからなかったことになっている。
TVでは太陽フレアのせいかも、みたいなことを言ってたが、確かに太陽フレア直撃で、
大規模停電は起こりうるし、電磁パルスが発生して電子機器がダメになる可能性も高い。

もしそうなったら、単なる停電ではすまず、送電線や変圧器も死亡し、復旧には膨大な時間がかかる。
それに、ダメになった電子機器は電気が復活しても復活はしない。

ただ、機器は無事で電池がダメになる理由は分からない。

車両はバッテリー(電池)がダメにならなかったとしても電子制御がダメになるので
エンジンは停止し走行中でも、徐々にスピードが落ちて停止するだろう。
ただ、パワーアシストされているブレーキがどこまで効くのかはよくわからない。

電車や自動車はそれでいいとして、問題は飛行機。
エンジン停止、フライバイワイヤーのコントロールも効かず、墜落必至。
船も同様だろうが、潜水艦は助かるかもね。
同様に地下深くは大丈夫かもしれない。
もっとも大江戸線のホームで停電になったらそれはそれでパニックだ。

今気づいたが、太陽フレアで大停電になるとしたら、地球の太陽側=昼側じゃないのか。
放射線や太陽風が回り込むとしても、夜側のほうが被害が少ないかもしれない。

もっと心配なのは原発。
全電源喪失で冷却ができず、メルトダウンを起こすのは経験済み。
突発的に全国で全電源喪失したらそれこそ大惨事だ。

仮に、太陽フレアを観測し、大規模停電が確実に予想されたとしたら、光学的観測から粒子の到達までは
数日の余裕があるので、全原発の緊急停止は間に合うだろうが、燃料棒を冷却し続けるのはたぶんダメでしょう。

ともかく、何らかの原因でデジタルなものがダメになり、アナログ人間が活躍する、というのは
「ハッピー・フライト」や「サマーウォーズ」でも取られた帰結だが、ここまでダメになると
どうなるかは想像できない。

なにより、情報が一切取れないのがきつい。
「宇宙戦争」(2005)もそうだったけど、情報が取れないと、勘で行動するしかないから。

 

 

                 

 ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち 

エバ・グリーン、エイサ・バターフィールド、テレンス・スタンプ、サミュエル・L・ジャクソン、ジュディ・ディンチ

ジェイク(エイサ・バターフィールド)は、友達の少ない少年だった。
スーパーでバイトしているとクラスメイトがやってきていたずらして去っていく。

ある日、エイプ爺さんの様子がおかしいというので、スーパーの先輩シェリーの車で様子を見に行くことに。
車中から電話を掛けるとエイプ(テレンス・スタンプ)は、危ないから来るな、という。

認知症だから、わけのわからないことを言っていると思い、ともかく家に向かう。
途中、道の真ん中を歩く人を引きそうになるが、何とかよけて家に着くと、電気は消えていて中が荒らされている。

裏庭のフェンスが壊され、その奥にエイプが倒れていた。
エイブの眼はくりぬかれていて瀕死状態。

エイブはジェイクにもっと早くすべてを教えておくべきだった。
島に行きペレグリン・ファルコンに会え、1943年9月3日に行け。
ペレグリンがすべてを教えてくれる、と言って絶命する。

その時、駆け付けたシェリーの背後にとてつもなく大きい手足の長い怪物のようなものが見えた。
ジェイクが「後ろ」と叫び、シェリーが数発撃つが、それはいなくなっていた。

エイブの死がジェイクに幻覚を見せたと思った両親は精神医のゴラン先生(アリソン・ジャネイ)に相談に行く。
ジェイクは幼いころにエイブが話してくれた奇妙なこどもたちのことなどを話すが、両親は相手にしない。

エイブの葬儀の日、集まった親戚の一人が、エイブからだと言って包みをジェイクに渡す。
中身は一冊の本。そして、2年前に投函されたミス・ペレグリンからのはがき。

ゴラン先生の勧めもあってジェイクは父フランク(クリス・オ’ダウド)とともに、ケインホルム島に向かう。
船に連れ添うように飛ぶ1羽のハヤブサ(=ペレグレン、ファルコン)。
ジェイクはあれがミス・ペレグリンかもと言って挨拶し、父に嫌がられる。

島のホテルは一軒だけ。
どうしてもペレグリンの館が気になるジェイクは島の青年らに案内されて館に向かう。
しかし、それは無残にも荒れ果てていた。
ホテルに戻ると、屋敷は1943年9月3日にナチの空爆に遭い焼失、住民もすべて死んだという。

翌日、ジェイクは朝早く再び屋敷に向かう。
中も荒れ放題だったが、誰かに名を呼ばれ、焦って逃げると10人ほどの子供たちが待っていた。
彼らは、エイブ爺さんの話に出てきたとおりの人たちだった。

「ミス・ペレグリンが呼んでいる」というので、洞窟に連れ込まれるが怖くなったジェイクは焦ってホテルに逃げ帰る。
寂れていたホテルのロビーは大人であふれ、2階に上がろうとするジェイクは呼び止められる。
そして、アメリカのスパイだと言われて捕まりそうになるが、突然皿が舞い、人々が驚くうちにジェイクは連れ出され、
女の子がホテルに火をつけて、馬車に乗せられて館に向かう。

爆撃を受けたはずの館はきれいで、ミス・ペレグリン(エバ・グリーン)が出迎えてくれた。
時刻を常に気にしているミス・ペレグリン。エイブが死んだことも言い当てるなど勘も鋭い。

ここは、1943年9月3日を繰り返している「ループ」の世界。
エイブはここに住んでいたが、軍隊に入るため館を出て行ったのだという。
ミス・ペレグリンは時間を操る能力を持つ「インブリン」で子供たちを守るため、ループを作っているのだそう。

夕食、記憶を投射するホレースによる上映、そして24時間の巻き戻し。

ジェイクはエイブがペレグリンにあてた手紙を見つけ、いったん洞窟を抜けて現代に戻る。
心配した父が探しに来ていたが、途中で羊がたくさん知んている場面に出くわす。
お前のせいかと言われるが、羊を殺す理由もないし、殺すこともできないと答える。

翌朝、ジェイクは父に連れられて鳥の撮影に向かう。
海岸で高級カメラを持ち鳥の画集を出す予定の鳥類学者(ルパート・エバレット)に出会う。
カメラの性能の差にがっくりした父は撮影を止めてホテルで酒を飲んで寝てしまう。

エイブの手紙を見ると、ミス・ペレグリンのループが狙われているので、
ミス・アボセットに新しいループ作ってもらえという内容だった。
ジェイクはホテルを抜け出して館に向かう。

ミス・ペレグリンに手紙の話をすると私的なものだと言って取り合わない。
事情を聴きたくてもみんな口が堅い。
死んだものを操るイーノック(フィンレイ・マクミラン)は、ジェイクにビクターという少年の死体を見せる。
ビクターの眼もまたくりぬかれていた。

驚くビクターに空気より軽いエマ(エラ・パーネル)が、秘密を見せると言って海に連れていく。
ボートから飛び込んだエマ。
ジェイクがびっくりして追うと、海底に沈んだ船の船室。
空気を操るエマが水をすべて追い出して、隠していた写真を見せる。

その中にエイブの家に行く途中で見た白い眼の男(サミュエル・L・ジャクソン)がいた。
男は子供たちを襲う悪人の一味のボスでバロンと呼ばれているとのこと。

ジェイクは自分は普通の人間だというと、エマはそもそも特殊能力の人でないとループに入れないという。
エマはジェイクを海岸の見える丘に連れていく。
隠れてみていると、そこには人型のマークとボウガンを持つミス・ペレグリンがいた。
そして、ミス・ペレグリンが時刻を気にしていると、のっぺらぼうの手足の長い怪物が崖をよじ登ってきた。
思わず「危ない」と叫ぶジェイクをエマが制し、ミス・ペレグリンは時刻通りボウガンを放ち、怪物は死ぬ。

怪物はジェイクにしか見えていなかった。
つまり、ジェイクには怪物を見る能力があったのだ。

ミス・ペレグリンは館に戻ってジェイクに事の子細を語る。
かつて超能力者の一群がインブリンの能力を使って永遠の命を得る実験をした。
しかし、その副作用はすさまじく、のっぺらぼうの怪物、ホロガスト、ホローとなってしまった。

ホローはやがて人間に戻る方法を見つけ出した。
それは超能力を持つ人間の眼玉を食べること。
そして一定以上を食べるとホローに戻らずに人の姿になることができる。

だから、インブリンはホローからの攻撃を防ぐためにループを作ってそこに閉じこもっているのだ。
しかし、ここケインホルム島のループは焦って作ったため、不完全だという。

前日にけがをした鳥の姿だったミス・アボセット(ジュディ・ディンチ)が2016年1月にイギリスの
ブラックプールに作ったループが襲われて、子供たちが死んだという。
ミス・アボセットはミス・ペレグリンにそれを伝えるためにきていたのだ。

エマはジェイクにループを出て普通の時間を生きるよう言い、自分たちは1943年にとどまるという。
ジェイクはいったんループから出て父に会う。
途中で海岸の崖から、車いすの男が落ちて死んだらしい場面に会う。
男の死体は目がくりぬかれていた。
ジェイクは危険を教えようとループの入り口に走る。
父と鳥類学者が追い、父はばてる。
ループの中まで追いかけてきた鳥類学者。実は精神科医のゴラン先生で、その正体はバロンだった。

バロンは手をナイフにしてジェイクを人質に館に行く。
そして、ジェイクを解放する代わりにミス・ペレグリンを隼にして連れ去る。

しかし、館はホローに襲われ、ミス・アボセットは死ぬ。
ホローの見えるジェイクの誘導で子供たちは全員逃げ、ナチの爆撃を受けてホローも死ぬが、館は焼失する。
ループは元の時刻に戻らず、子供たちは取り残された。

ミス・アボセットの作った2016年1月のループはブラックプールタワーの地下にあるので、
エマの力で沈没船を浮き上がらせ、オリーブ(ローレン・マククロスティ)の力で窯に火を入れ、船は進む。

ブラックプール・タワーのアトラクションの地下のループではバロンら何人かのワイト(人間に戻ったホロー)と
数体のホローがいた。

バロンらは口論しながらインブリンが揃うのを待って実験を開始する予定だ。
ジェイクらはワイトに攻撃を仕掛け、ホローと戦う。
ホローをループの外、2016年におびき出した子供たちはイーノックの能力で沈没船の死体を甦らせたりして
ホローを次々と倒していく。

ループの中では、クレアや双子の能力でワイトを倒していく。

そして、ジェイクはインプリンの囚われた鳥かごを壊そうともがいているとバロンが入ってくる。
エマやオリーブ、イーノックがジェイクのいる場所に入るとそこには自分が本物だというジェイクが二人。

戸惑う子供たちに、ジェイクはすぐにわかると言い、バロンが化けたジェイクはホローが見えないので、
あっさりホローに目をくりぬかれて死ぬ。
ジェイクはすぐさまボウガンを受け取ったホローを射殺す。

こうしてミス・ペレグリンらインブリンは助けられ、みんなは1943年に戻ることになった。
ジェイクはエイブ爺さんが殺される少し前の2016年1月にいるので、エイブはまだ死んでいない。

ジェイクが事情を話すと、エイブは各国の紙幣と地図を渡し、エマのいる世界に行けという。
ジェイクは世界各地に散らばったループを伝って時代をさかのぼり、
1年がかりでついにエマが1943年に戻った日に追いついた。
そして、あの沈没船に乗り込んでエマと感激の再会を果たすのだった。

**

当初、ティム・バートン監督だということを忘れていて、オープニングのロゴで思い出した。
タイムワープものにはどうしてもタイムパラドックスがつきものだが、
ループとそれがつながっている世界の日時の関係がやや不透明というか理解できない。
最後に、2016年から1943年に戻るところが、鑑賞中はそんなものかと思うが、
エマもジェイクもなぜそうできるのか、なぜ再会できるのかは理解できない。

それはそういうものだとして納得すれば、破綻なく、ちりばめられた布石もよく回収されている。

後から思ったことだが、ひょっとしてジェイクはエイブなのではないか、と。
時空を超えた恋の成就、「ある日どこかで」のような展開があったとしても(あっちは悲恋ですが)
よかったかもしれない(本編とは全く関係ないですが)

地名がどこかよくわからず、近いのか遠いのかもよくわからなかった。

個人的にぱっと見区別のつかない俳優がいる。

ジェイソン・サディキスとエド・ヘルムズ。
別々の映画の時はもちろんだが、「なんちゃって家族」の時は当初一人二役かと思っていた。

クリストフ・バルツとティム・ロス。
「ヘイトフル・エイト」は、タランティーノでもあるし、クリストフ・バルツだと思っていた。

カルメン・イジョゴとアンジェラ・バセット。
「ファンタスティック・ビースト」では「エンド・オブ・キングダム」で死んだアンジェラ・バセットだと思っていた。

そして、本作のエイサ・バターフィールドとコーディ・スミット・マクフィー。
エイサ・バターフィールドは「縞模様のパジャマの少年」「ヒューゴ」
「エンダーのゲーム」「ミス・ペレグリン」など。

コーディ・スミット・マクフィーは「ザ・ロード」「モールス」
「猿の惑星:新世紀」「X-MEN:アポカリプス」など
(アポカリプスではナイトクローラーで素顔は見えず)

小さいころから出ているし、今でも区別がつかない。

 

 

                  

 愚行録    

妻夫木聡、満島ひかり、小出恵介、松本若菜、臼田あさ美。

**

冒頭は雨の中の路線バス。
後部のほうに座っていた青年(妻夫木聡)に立っていた男性が声をかけ、
老女に席を譲るよう指示する。

青年はおとなしく席を譲るが、脚が悪いらしく、バス内で転び、降りた後も左足を引きずって歩く。
席を譲るよう言った男性はバツが悪そうにしていた。

しかし、それは青年の無言の嫌がらせで、実は脚は悪くなかった。

とある雑誌社。
11か月前に発生した一家3人の惨殺事件。
事件発覚後1年を機に改めて特集を組みたいという記者、田中武志(妻夫木聡)。
副編らしき上司にはぼろくそに言われるものの、編集長が田中の意欲に押され取材を許可する。

田中には、幼児虐待(育児放棄)で逮捕された妹、光子(満島ひかり)がいた。
橘弁護士(濱田マリ)を伴って面会に来た田中は、面会後、精神鑑定をするつもりだと聞かされる。

武志と光子の両親は離婚。
父は二人が幼少のころから虐待を繰り返していたが、武志が高校の時に逆襲に逢って離婚して去り、
母も二人を捨てて再婚。
光子はシングルマザーで子の育て方もよくわからないまま、育児放棄状態となっていた。

田中は、被害者の田向浩樹(小出恵介)の元同僚の渡辺(眞島秀和)から取材を始める。
なぜあんな良い奴が殺されなければならない、と語る渡辺。
しかし、話を聞くうちに、同期入社の女性社員を二人で話を合わせて騙し、もてあそんだことがわかる。

新興住宅街に建つ田向家の周りには空き地が目立った。
たまたま歩いていた近所の人によれば、事件後引っ越していった人が多いという。

田中は、被害者の一人の田向夫人、旧姓夏原友季恵(松本若菜)の大学の同級生だった宮村淳子(臼田あさ美)を取材する。
夏原や宮村が通っていた名門大学は、高校からエスカレーター式に進学した内部生と入試を経て大学に入った外部生の
カーストが出来上がっていた。
そんな中で夏原は最初に内部生格に「昇格」した外部生で美人で人当たりがよかった。

今はカフェを営む宮村だが、大学では外部生として、内部生に一段下に見られていた。
宮村は夏原に憧れていたと言ったが、宮村の元カレの尾形孝之(中村倫也)は、宮村は夏原を嫌っていたと言い、
その原因は自分が宮村から夏原に乗り換えたからだと語った。
そして、尾形が宮村に付き合うのを止めようと言った時、宮村はパーティに興じる同級生の別荘に乗り込み、
夏原をビンタし、仕返しされる事態を招いていたことも分かった。

田中の特集記事は運悪く、芸能人の熱愛スキャンダルに押され、トップ記事から陥落した。
なおも第2弾の記事を書くべく仕事を進める田中に雑誌を読んだ読者からの電話が入った。
「記事は間違いが多い、私は田向さんを殺した人を知っている。」

田中は、電話の主、田向の後輩で元カノ、稲村恵美(市川由衣)に会う。
稲村は田向がよく言えば上昇志向、悪く言えば人を利用して伸し上がろうとする人物だったと言い、
自分も田向の就活に利用された一人だという。
そして、別の女性同窓生も利用してその父の会社に就職しようと画策していたと言い、
結局はコネなしで別の会社に就職したらしい。

稲村は田向を恨んでいた人は一杯いることを示唆しただけで、結局具体的な犯人は示さなかった。

妹の光子の弁護士橘は、田中から複雑な家庭環境を聞き、精神鑑定とともに母の証言も必要だと考えていた。
橘と面談していた田中に宮村から「夏原に人生を狂わされた人がいる」と電話が入る。

田中が宮村に会うと、宮村はそれを田中光子という同級生だと語る。
光子が田中の妹だと思いもつかない宮村は、彼女は夏原と同じ外部生だったが、美人だったため、
夏原が内部生との付き合いに引きずり込み、良いようにもてあそんでいたと語る。

光子は内部生と区別なく扱われていると考えていたが、育ちの違いから遊びに利用されていただけだった。
宮村は私が光子なら夏原を殺しに行ったかも、と語る。
田中は、お茶を入れに立った宮村の頭を花瓶で殴打、何度も殴り殺してしまう。
そして取材で手に入れていた尾形のたばこの吸い殻を宮村のカフェに残し現場を去る。

光子は精神鑑定を受けていた。
淡々と語るその内容は、大学卒業後、たまたま街で幸せそうな夏原とその娘を見かけたが、
ガン無視されてその違い、つまり、自分は宮原の立場に這い上がれない、とを知って後を追い、
幸せそうな家庭と、帰宅する田向の姿を見て逆上、裏口から入って台所の包丁を使って田向を刺し、
2階で怯え、娘をかばう友季恵を娘もろとも串刺しにして殺したというものだった。

席を外していた精神鑑定医が戻り、入院していた光子の子供が死んだことを伝える。

その頃、橘弁護士は再婚している光子と武志の母を訪ね、実父の虐待について聞くが、
母は橘の勘違いだという。

光子はおかしくなったまま、秘密が好き、と語るのみだった。

**

細かな真実は劇中では表されず、観客に委ねられる。
ただ、セリフとして明確に語られないだけで、大体は分かる。

アクションはなく、せりふ劇。重苦しい雰囲気の中で物語が進行する。

全く接点のなかったはずの人々の過去を紐解いていくと、その関係性が明らかになっていく。
本当に悪かったのは誰なのか、何なのか、

たいていの人は賢明な判断ではなく、馬鹿な行動をとっている。
人を蔑み、貶め、そして、その愚の骨頂は他人の命を奪うこと。
ただ、どちらかが一方的に悪いのではなく、みんなの愚行の果て。
愚行の帰結するところ、だれも幸せにはならない結末を迎える。

重いのはしょうがないけど、カメラワークも重い。
軽くしろ、とは言わないけど、もう少しテンポよく作ってくれたほうが、見るほうの気が滅入らなくて済む。

 

 

                

  ドクター・ストレンジ  

ベネディクト・カンバーバッチ、レイチェル・マクアダムス、キウェテル・イジョホー、ティルダ・スウィントン。

**

冒頭はネパールの寺院の蔵書庫。
(ミッツ・マケルソンをはじめとする)何人かの暴漢が、書庫の管理者を倒し、ページを破り奪う。

フードの人物が現れると、暴漢は空間をリープして別の場所に移動する。
フードの人物は暴漢を追い、ビルを曲げたり、上下を入れ替えたりして何人かを倒すが、
首領他数名は、空間を捻じ曲げて他空間に逃げ去る。

**

ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は、優れた技量を持つ外科医。
他の医者が投げ出すような患者も見捨てはしないが、腕を鼻にかけていつも上から目線。

今日も脳死と判断された患者の延髄近くにとどまっている弾丸の金属による影響で死んだように見えるだけとして
自分が手術をし、見事弾丸を取り出し、一命を救うことに成功した。

同僚のクリスティン・パーマー(レイチェル・マクアダムス)とも仲がいいんだか悪いんだか高飛車な態度。

高級スポーツカーを運転してパーティ会場に向かう途中、病院から電話。
難易度の低い患者の対応は断り、気になった患者の画像を送ってもらい、運転しながら確認。
その瞬間、対向車と接触。
ドクター・ストレンジの車はコントロールを失ってガードレールを突き破り、崖下に転落してしまった。

*

ストレンジが目覚めたときはベッドの上。
両手にはびっしりとボルトと固定具。
激しく動揺するストレンジには、慰めるクリスティンの言葉もむなしく聞こえる。

やがて傷は治るが、繊細な腕の動きは戻らないどころか、手が震えてまともに物が握れない。

治療を重ね、リハビリを行うが一向に良くならず、周りに当たり散らし、クリスティーンもストレンジを見限る。

そんな中、脊椎を損傷し医師からも復旧不可能と言われながら、復活を果たしたパンクボーンという男がいるとの話が聞こえてくる。
ストレンジは、パンクボーンに会い、上から目線ながらも懇願し「カマー・タージへ行け」と言われる。

ネパール、カトマンズ。
誰に聞いてもカマー・タージの場所すらわからない。
そんな中で、ストレンジの腕時計を狙う暴漢が登場。
ストレンジは対抗しようとするがのされ、腕時計を奪われる。
そこに男が現れ、暴漢一味をあっという間に倒し、ストレンジの腕時計を取り返す。

男(=モルド、キウェテル・イジョホー)は、カマー・タージを知っていると言って、ストレンジをぼろビルに連れていく。

そこには、アンシエント・ワン(ティルダ・スウィントン)と呼ばれる剃髪の指導者がいて、
パンクボーンのように治せというストレンジをアンシエント・ワンは、パンクボーンは自分で治したと言い、
オカルトだというストレンジを突き放して異空間へ飛ばす。
ストレンジは反省しながらも詰め寄るが、アンシエント・ワンはストレンジを追い出してしまう。

無一文で寒空に放り出されたストレンジは、再びビル内に入れてくれるよう懇願。
アンシエント・ワンはストレンジに冒頭の一味のカエシリウス(ミッツ・マケルソン)に通じるものを感じたという。

モルドはストレンジを許すよう進言し、ストレンジはカマー・タージに入ることを許される。
魔術(気功?)の修得は「研究と実践練習」と言われ、ストレンジは他の修行者とともに鍛錬を続ける。
また、蔵書庫で守り番のウォン(ベネディクト・ウォン)の指示も受けながら、魔法の書を読破していく。

修行鍛錬では「気」で光る棒や鞭やリングを創出し、武器として使い、空間を移動する。
アンシエント・ワンは、他の修行者よりも「気」の弱いストレンジをエベレストの山中に連れていき放置。
ストレンジは必死でリングを生み出し、空間に穴をあけてカマー・タージに戻ることができた。

ストレンジは鍛錬を続けるとともに読むのを禁じられた蔵書までをも読破していき、ついに冒頭で破られた書を読み始める。
そして「アガモットの眼」と呼ばれる道具を手に、時間を巻き戻し、破られたページを復元していく。

ウォンとモルドはストレンジの行動を止め、宇宙の摂理にもとる上にタイムループに閉じ込められると激しく叱責した。

物理攻撃から世界を守るのはアベンジャーズ。
ドーマムゥと呼ばれる悪の帝王の精神攻撃から世界を守るのが自分たちの役目で、世界には3つの砦、サンクタムが
ニューヨーク、ロンドン、香港にあり、それらが破壊されるとドーマムゥがこの世界を支配してしまうという。

その頃、魔法の書の力を利用して自分たちをパワーアップしたカエシリウスらがロンドン・サンクタムに侵入。
ストレンジはロンドンへワープするが、サンクタムの管理人は殺され、ストレンジは追いつめられる。
敵をワープ窓から他の地域へ飛ばしたりして凌いでいると、飾られていた赤いマントがストレンジを助けてくれる。

マントはストレンジをかばうだけでなく、使う道具を指示したりしてカエシリウスの拘束に成功するが、
カエシリウスは、みんなはアンシエント・ワンに騙されているという。
カエシリウスによれば、ドーマムゥは人類を時間から開放する、アンシエント・ワンもドーマムゥの魔力を利用して
永遠の命を得ているのだという。
ストレンジはカエシリウスの話を聞いているうちに敵の一人に刺されて重傷を負う。

ストレンジはとっさにニューヨークにワープし、クリスティーンの病院に瀕死状態で現れる。
ストレンジは、クリスティーンに手術を依頼して失神、幽体離脱して手術に助言する。
そこに敵も幽体離脱して現れ、ストレンジの幽体と戦いになるが、撃退する。

手術もうまくいき、ストレンジはロンドンに戻るが、敵とはいえ人を殺したことに苛まれる。
アンシエント・ワンとモルドがロンドン・サンクタムに現れ、ストレンジを称賛する。
ストレンジはカエシリウスの話が本当か聞くがアンシエント・ワンは答えない。

ストレンジとモルドが口論しているとカエシリウスが現れて攻撃を仕掛けてくる。
ストレンジはとっさに結界を張り、虚構世界で戦うがこれが失敗。
魔力で上のカエシリウスに押されまくる。

アンシエント・ワンが加勢し、戦いは互角となるが、ついにアンシエント・ワンは突き落とされてビルから転落する。
瀕死の重傷となったアンシエント・ワンをストレンジは再び病院へワープ移動するが、時すでに遅し、手の施しようがない。

優待離脱したアンシエント・ワンは、ストレンジの幽体に未来を救うためだったが、
自分がドーマムゥの力を利用していたのは事実で、後は頼む、と言って絶命する。

その頃、香港サンクタムはカエシリウスらに襲われており、ストレンジはカマー・タージに戻りモルドを誘って香港に飛ぶ。
香港サンクタムはすでにカエシリウスによって陥落、街も破壊されていた。

ストレンジは、「アガモットの眼」を使って時間の巻き戻しを始め、街を修復していく。
カエシリウスらはそれを阻止しようとストレンジらと対峙する。

ドーマムゥの侵入を止められないと見たストレンジは、暗黒次元との穴に自ら飛び込んでドーマムゥと対峙する。

あっさり殺されてしまうストレンジだが、その前に時間の巻き戻しが起こるようにしており、
何度殺しても、どうやって殺しても、ドーマムゥの前に現れるストレンジ。
延々と同じことが繰り返されていく。

ついにドーマムゥは音を上げ、ストレンジの取引に応じる。
こうしてドーマムゥは地球侵略をあきらめ、カエシリウスらを暗黒次元に吸い込んで去る。

ストレンジは、時間の巻き戻しで、街を完全に修復させるが、モルドはそれを禁断の魔術だとして受け入れず、
カマー・タージを去っていく。

**

ドクター・ストレンジはソー(クリス・ヘムズワース)と対面し、父のオーディンを探しているというソーを助け、
一緒に探そうと申し出る。

一方その頃、モルドはストレンジをカマー・タージに導いたパンクボーンのもとを訪れ、彼の体から「気」を抜いて、
パンクボーンを再び半身不随にして去っていくのだった。

続く・・・

**

続く・・んだけど、既視感満載。

確かに、映像はすごい。
ガラス様の壁をすり抜けていくところ、文字通り縦横無尽の戦い、追走。

それでも、すごいだけで新鮮味には欠ける。
ビルがぐにょーんは「インセプション」そのものだし、マントが云々は「ハリポタ」をイメージさせる。

暗黒次元の魔物とか、オズの魔法使いじゃないんだから。
凄さがいまいちというか、よくある感じ。
どれもこれも似たような映画になってしまったなぁってところでしょうか。

アンシエント・ワンは「マスター・ストレンジ」と呼んでいたが、ドクター・ストレンジの誕生秘話で、
アベンジャーズとのすみ分け等も説明されていたけど、風呂敷広げすぎで、いろんな世界をつなげすぎ。

ただ、映像を楽しむなら3Dのほうが良かったかも。

 

 

                

 ザ・コンサルタント  

ベン・アフレック、アナ・ケンドリック、JKシモンズ、ジョン・バーンサル。

**

20年ほど前。

ある発達障害児童を預かる施設。
2人の男の子を連れて訪れた夫妻に施設長は子供はおかしいのではなく、個性的なだけ、と告げる。
連れられてきていた兄弟の一人は、すごいスピードでジグソウパズルを組み立てていく。
もう一人はただ見ているだけ。
最後の1ピースが見つからず、いらついて暴れる兄。
その部屋にいた少女がそれを見つけて渡し、パズルは完成する。

施設長は子供を預けるよう進言するが、父親は施設に入れず、自分が強く育てる、と言う。

映画の展開上はずっと後に回想シーンとして挟まれるが、
施設訪問の後、しばらくして母親が子供を残して家を出てしまったこと、
ジャカルタで格闘家に徹底的にしごかれていたこと、
父にいじめっ子に仕返しするようきつく言われ、実際そうしたことなどが明かされる。

20年後。あるビルで射殺事件が起こった。
一人の男が銃を構えながらビルに入ると、あちこちにヘッドショット遺体が転がり、
階段を上っていくと「じじいを殺したのは俺じゃない」と言う言葉と射撃音が聞こえる。

場面は変わって、とある田舎町。
小さいショッピング・モールの一角にある会計事務所。

顧客は税金が払えなくて困っているという農家夫婦。
会計士のクリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)は、夫人のお手製だというネックレスに目をつけ、
ネックレス作成の在宅ビジネスでリビングをオフィス、買い出しのトラックを社用車等として節税を指南。
夫婦は喜んで帰っていく。
お礼に、農場でウルフの趣味だという射撃の場所を提供。
ウルフは対物ライフル(バレットM82A1)で1.5kmほど先のメロンを見事撃ち抜いてみせる。

財務省犯罪捜査部長のレイモンド・“レイ”・キング(JKシモンズ)は、
分析官のメアリーべス・メディナ(シンシア・アダイ・ロビンソン)を呼び、
捜査官になるよう勧めるが、メディナは同意しない。
キングは、メディナが経歴を詐称して財務省に入ったことを知っているが才能があると持ち上げ、
逮捕されたくなければ、ある男の正体を調べるよう指示する。
それは世界のマフィア、麻薬取引、武器商人などのトラブルを処理する会計士で、多くの偽名を使い、
素性がよくわからない人物だった。

メディナは渡された写真から男を割り出していく。
メディナは男の使う偽名がいずれも著名な数学者であることを知る。
時間的にはずっと後になるが、男は何年か前にニューヨークの路上で2人を瞬殺し、
ビルに入ってさらに7人を射殺した男だとわかる。

また、録音された音声をクリーンアップし、わずかに残る童謡らしきものをあぶりだす。
鑑識に調べさせ、白人アメリカ人で自閉症の疑いがあるとわかる。

メディナは数学者の名前に類似する高給取りの若い会計士をしらみつぶしに調べるが誰も該当しない。
しかし、ついにメディナは男が年収7万5千ドルでイリノイに事務所を構えるクリスチャン・ウルフだと突き止める。

男はショッピングモールの各店舗の共同経営者となっていて合計では160万ドルもの高給を得ており、
かつ、毎年100万ドルを診療施設に寄付していた。(その施設に問題はなかった)

メディナは結果をキングに報告し、二人はイリノイ州に飛ぶ。

さて、話は戻って、とある駐車場で株価操作で儲けていた金融マンが謎の男(ブラクストン、この時点では名前不明、ジョン・バーンサル)に
株価操作を止めるよう脅され、しこたま殴られる。

ピックアップトラックを運転するクリスチャン・ウルフの携帯に謎の女性から非通知の連絡が入る。
家電や義肢を製造する「リビング・ロボティクス社」で不正会計の内部告発があり、監査してほしいとのこと。

ウルフが行くと社長のラマー・ブラックバーン(ジョン・リスゴー)は、知人の紹介でウルフを知ったという。
社長の妹で副社長のリタ・ブラックバーン(ジーン・スマート)と社長の30年来の友人でCFO(財務担当役員)の
フランシス・シルバーバーグ(ジェフリー・タンバー)が監査に対応。
ウルフはフランシスがCFOになった15年前からの資料を要求して帰る。

翌日、会議室には不正を内部告発した会計係のデイナ・カニングス(アナ・ケンドリック)が眠りこけていた。
デイナは徹夜で15年分の資料をそろえた、社長からなんでも協力するよう言われているというが、
ウルフは助けは要らないと言って一人で仕事を始める。

昼休み、一人でサンドイッチを食べていたダイナの近くにウルフが来る。
ダイナはウルフに語り掛ける。
ウルフは「ポーカーをする犬」の話題で初めて笑顔を見せる。

ウルフは資料を徹底的に調べ数字を洗い出して書き上げていく。
翌朝、ダイナが出社すると、ウルフは嬉しそうに結果を教える。
それによれば過去不正が繰り返され、累計6100万ドルに上る資金が流出しているとわかったのだ。

ウルフは部屋に来た社長にそれを知らせ、さらに調査を進める。

その夜、CFOのフランシスの家にブラクストンとその部下2人がやってくる。
ブラクストンは家族を生かしたいなら、インシュリンを過剰投与しろと脅す。

翌日、ウルフが社に出向くと、数字が消され、まだ終わっていないというウルフに対して、
社長がフランシスが死んだので調査は終わりという。
作業が中途半端に終わったため、ウルフは相当いらつき、いつもの作業もうまくいかない。

翌日、ウルフが農場にライフルの訓練に出向くと、ブラクストンの部下2人が来ており、
銃で脅しながらウルフを呼ばせる。

しかし、ウルフにばれて射殺された。
もう一人は夫妻を人質に車で逃げようとしたが、ウルフに逆襲され、殺される前に
ウルフとデイナを殺すよう指示されていると吐く。

ウルフは例の携帯の女と連絡を取り、デイナを助けに行くことにしたが、
デイナは非通知の電話に出ず、携帯の女からの警告は届かない。

デイナがアパートに帰ると、見知らぬ男が廊下を固め、宅配を装った男2人がデイナを襲う。
デイナが抵抗している間にウルフが到着し、廊下の男を瞬殺、偽宅配も瞬殺して、デイナとともに逃げる。

ウルフが武器などを隠しているレンタル倉庫のトレーラーハウスにデイナを連れて行く。
ウルフが必要なものをそろえている間に、デイナはルノアールやポロックの原画を見、
さらに多額の紙幣や大量の武器を見てびっくりする。
ウルフは絵は本物で報酬の代わりに依頼人から貰ったと語る。

2人はホテルに退避する。
デイナは自身の過去などを話し、ウルフは少し共感する。
その夜、ウルフはなぜ二人が狙われたのか、副社長のリタに確認しようとを出かけるが、
リタの家から出てきたブラクストンに撃たれそうになる。
案の定、リタは射殺されていた。

ウルフは黒幕を社長のラマーと断定し仕返しを決意し、デイナにメモを残してホテルを去る。

さて、シカゴ近郊に飛んだキングとメディナはウルフの家を捜査、
家が監視カメラでカバーされ、タンスの中に銃が隠されているのを発見。
また、遠隔操作のできる重機関銃が隠されていた。

ここでキングはニューヨークでの射殺事件について語る。
ウルフは、軍の高官であった父とともに前妻の葬儀に出た。
何かの理由で参列者と揉めて、警官がウルフをかばう父を射殺、ウルフは逮捕、投獄される。
ウルフは監獄でトニー一家の会計を担っていた老人に会計の仕組みや犯罪組織の手口をみっちり仕込まれる。

その老人が警察に寝返り、キングが対応した。
しかし、老人は保護プログラムが適用されず仮釈放になり、トニー一家にいたぶられて死亡した。
ニューヨークでの射殺事件はウルフの仕返しだったのだ。
犯行時、現場に乗り込んだキングはウルフに背後から狙われるが、何度かのやり取りののち解放される。
そして、退任を申請し、いよいよ退庁しようとするとき、女性の声で犯罪密告の電話が入り、
功績を上げることができた。
その後もたびたび犯罪を知らせる電話が入り、そのおかげで部長にまで出世できたというのだ。

メディナはキングのやってきたことに疑問を持つが、キングはメディナが後を引き継ぐよう依頼する。
そこに電話がかかり、メディナが出ると例の女性の声でキングにテーブルから足を下すよう言えと言い、
リビング・ロボティクス社の不正経理の犯人は社長だと告げる。

さて、ラマー社長宅ではブラクストン以下が、屋敷を固めていた。
多くのカメラで屋敷をカバーしていたが、ウルフは遠隔から狙撃し、屋根から屋敷内に侵入し、
ブラクストンの部下を次々と倒していく。

しかし、ブラクストンの部下もかなり手強く、ウルフは負傷してかなりのダメージを受ける。
ウルフが気持ちを落ち着かせようと、例の童謡を口ずさんだその瞬間、
ブラクストンはそれが実の兄のクリスチャン・ウルフだと気づき、部下を倒してウルフに殴りかかる。

殴り合いの末、二人は和解し、不審に思ったラマーがウルフを罵ると、ウルフはラマーを射殺する。
ウルフはまた連絡すると言ってブラクストンを残して去る。

こうして不正会計事件は多くの死者を出しながらも解決、財務省の記者会見では
メディナが事件解決は永年の内定調査の結果であり、チームの成果であると強調する。

デイナがレンタル倉庫に行ったときそこはすでに空、
ウルフはトレーラーハウスを引いてどこかへ向かっていた。
後日、デイナに宅配で「ポーカーをする犬」が届く。
絵の端に不自然な塗り残しを見つけたデイナがキャンバスをはがすと下から「ポロック」の原画が現れた。
それはあのトレーラーハウスに飾ってあったものだった。

ウルフが多額の寄付をしているという障害者施設に新たに学習障害だという男の子を連れた夫妻が来た。
男の子はうろうろしてハンディの有る女性の部屋に入ってしまう。
夫妻は驚くが、施設長は女性は自分の娘で心配はない、娘のために施設を作ったと言う。

女性は強力なパワーを持つ部屋のパソコンを操作し、
音声合成でチャットしようと男の子に語り、男の子の目は輝く。
その音声合成の声は例の電話の声だった。

**

兄弟がどのような形で再会するか=伏線が回収されるか、は序盤からかなり気になった。
いくつかの想定が考えられ、映画の結末もその一つだったが、うまくまとまったというところか。

弟ももう今までの仕事は続けられないだろうし、不仲も氷解したわけだから
最後に一緒に並んで車に乗っていてもよかったかな、と言う気はした。

人にはいろいろな性格、性質、特質があり、何が優れているかの見極めは難しい。
一般的な常識を欠くと思えても、それは特定の見方からの判断であり、
別の観点からは極めて優れた能力を持っているかもしれない。
場合によってはサイコパスと呼ばれたり、パラノーマンと呼ばれる。

消えたり燃えたりワープしたりのスーパーナチュラルではなく、
通常の人間の持つ能力が極めて(異常なほど)優れているパラノーマン。

毎度、配給元のミスリードはいただけない。
今回も「職業、会計コンサルタント、本業、腕利きの殺し屋」は全くのミスリード。

「殺し屋」と言うからには会計を担いながら、反対勢力を排除する役割も担っているのかと思っていた。

「殺し屋」とは金銭によって殺しを請け負う非合法な職業人だと思うが、
主人公が殺しを行うのは、金銭による依頼ではなく義憤、復讐などの私的理由。
「凄腕の殺し屋」などではなく、単に戦闘スキルが異常に高いだけ。

元々が殺し屋では、ジョン・ウィックやアーサー・ビショップらが該当するが、
ウルフは軍人上がりのジャック・リーチャー、ジェイソン・ボーン、アーロン・クロス等と同様。
イメージやきっかけは異なるが、ジョン・ランボーも軍人上がり。

「ポーカーをする犬」はカシアス・マーセラス・クーリッジによって描かれた16枚の油絵のシリーズで、
映画の中に出てきたのはそのうちの「A Friend in Need」である。

ポロックは、アクション・ペインティングとして知られるジャクソン・ポロック。
ググると例えばこういう絵がヒットする。劇中の作品はもっと赤と黒が特徴的でよく分からなかった。

ウルフが使っていた狙撃銃は対物ライフル(Anti-Material Rifle)と呼ばれるもので、バレット社製のM82A1と思われる。
M82A3(陸軍ではM107と呼称)はM82A1を改良したもので形状は酷似しているようだ。(M107A1は別物)

 

 

                 

 本能寺ホテル   

堤真一、綾瀬はるか、風間杜夫、濱田岳、田口浩正、平山浩行、近藤正臣、高島政宏

冒頭は、明智光秀に急襲され燃え落ちる本能寺。
「本能寺の変」には謎が多い、とナレーション(中井貴一)が説明する。

現在の京都。
倉本繭子(綾瀬はるか)が待ち合わせしていた恋人の吉岡恭一(平山浩行)から、仕事が忙しく、
先にホテルに向かうようにとの連絡が入る。

繭子は予約してあったホテルに入るが、支配人(宇梶剛士)に予約は来月、本日は満室、と断られる。

繭子は仕方なく街を歩いて別のホテルを探し、たまたま見つけた古びた本能寺ホテルには
運よく空き室があった。

繭子はロビーにあった大型の古いオルゴールのねじを巻くが、支配人(風間杜夫)に壊れていると言われる。
繭子が途中で買った金平糖をかじりながらエレベーターに乗ると、ロビーの壊れたはずのオルゴールが鳴り始めた。

エレベーターが6階に着き、扉が開くとそこは見知らぬ寺(本能寺、この時点では不明)の廊下。
慌てて戻ろうとするも扉の向こうは、寺の廊下のまま。

たまたまそこにいた若い侍(=森蘭丸、この時点では名前不明。キャストは濱田岳)に見つかり、疑いを受けるが、
蘭丸が胃が痛いというので胃腸薬をあげて、安心させる。

蘭丸は繭子を帰そうとするが、大塚(田口浩正)に見つかり、茶会の客人の異国人と言い逃れる。
繭子は仕方なく茶会の列に着くと、ほどなくして御館様(=織田信長、堤真一)が登場する。

参列者は次々と献上物を披露し、島井宗室は見せるだけの約束の「楢柴肩衝(ならしばかたつき)」を披露するが、
信長は宗室を脅して楢柴肩衝を献上させる。

繭子は、それが許せず、信長から茶壷を奪い取って宗室に返そうとする。
突然の事に信長は怒り、繭子を斬ろうとする。
繭子は驚いて逃げ、寺を走り回って小部屋に隠れる。

信長が部屋に蹴り入ろうとしたその時、現在の京都では客が本能寺ホテルに入り、フロントのベルを鳴らした。
瞬間、繭子はホテルのエレベーターにワープし、難を逃れた。

信長は繭子がいなくなったことにびっくりしながらも繭子が落とした京都観光のパンフを拾い、懐に入れる。

繭子は恭一と約束の料亭「よし岡」で食事をしていると、主人の征次郎(近藤正臣)が挨拶に来る。
実は征次郎は恭一の父。「よし岡」は吉岡恭一の実家だった。

恭一が急な電話で離席した後、征次郎は自身の金婚式と恭一/繭子の婚約発表が同時にできることを喜び、
来年4月の結婚式も楽しみにしていると語るが、いずれも繭子には初耳だった。

繭子は3月に会社が倒産。ハローワークに教員で就職を探しているが、これと言ってやりたいことがなく、
そんな中でプロポーズされ、なんとなく割り切れないままOKしていたのだった。

ホテルに戻った繭子は支配人を連れてエレベーターに乗るが、6階はただの6階だった。
支配人と1階に戻り、一人で金平糖をかじりながらエレベーターで6階に戻ろうとすると、
またオルゴールが動き始め、繭子は再び本能寺にワープした。

繭子は、現代に戻ろうとしたができず、大塚に見つかり捕まってしまう。
信長の前に連れていかれた繭子は金平糖を差し出そうとして止められる。
この時、若い侍が森蘭丸だとやっとわかる。
信長は天下統一目前で民は幸せだというが、繭子は家臣の侍は誰も笑っていないので幸せではないと言い張る。

信長は繭子を部屋に監禁するよう指示する。
繭子はここが天正10年(1582年)6月1日の本能寺であると知り、
本能寺の変の前日であることに気づいて信長に教えようと部屋を飛び出す。

おりしも現代の本能寺ホテルには団体客が訪れてフロントのベルを鳴らしたので、
繭子は現代に戻り、裸足のままエレベーターを降りて走り出していた。

繭子と恭一は恭一の友人と鴨川べりのカフェに行った。
ここがパーティ会場になると聞かされるが、繭子にはそれも初耳だった。

一人でホテルに戻り、また金平糖をかじりながらエレベーターに乗ると、オルゴールが動き出し、
繭子は本能寺にワープ、信長と鉢合わせした。

信長は繭子に着物を買ってやり、繭子を連れて街を歩く。
繭子は天下を統一して戦乱を終わらせ、平和な世の中にするとい宇信長に共感する。
子供たちが遊んでいた振り振り毬杖(ぶりぶりぎっちょう)の道具を買って帰り、侍たちは振り振り毬杖に興じる。
誘われた信長は振り振り毬杖で見事な腕を見せ、子供の頃よくやったと言ってのける。

その夜、意を決した繭子は信長に「本能寺の変」のことを告げようと考えるが、
信長は繭子に対し「未来から来たのであろう」と言い、繭子をびっくりさせる。

繭子は歴史が変わるかもしれないと心配しながら、明智光秀の謀反により織田信長と蘭丸は自害すると告げる。
織田信長は分かったとだけ答える。

その時、恭一が繭子を連れにきてベルを鳴らし、繭子は現在にワープする。
着物から洋服に着替え、繭子は恭一と征次郎の金婚式に出席した。

征次郎の妻はおらず、パネルが飾られていた。
妻は昨年がんで亡くなっていたが、パーティは予定通り行われていた。
あいさつで征次郎は料亭よし岡を辞めると言い出す。
妻が死ぬ前に好きなことをしてほしいと言い残したので、原点に戻って大衆食堂を開くというのだ。

その頃、秀吉加勢の理由で出兵した明智光秀(高島政宏)は、途中で「敵は本能寺にあり」として、軍勢を転進させる。

白装束に身を固めた信長は「明智謀反により自害、天下統一を託す」としたため、蘭丸に秀吉に届けるよう指示する。
また、楢柴肩衝を盗もうとしたとして捕まった宗室を許し、茶壷を持って行かせる。

明智光秀が本能寺に到着し、乱入して火を放ち、信長の家臣を斬り進むが、なかなか信長の居室には届かない。

その頃、本能寺ホテルの7階のバーで金婚式の二次会が開かれていた。
繭子は信長が逃げたかどうかが気になり、本能寺に戻ろうとする。
支配人を問い詰めるが、タイムワープ方法は分からない。

繭子は金平糖に秘密があると思い、金平糖をかじりながらエレベーターに乗るが、ワープできない。
焦る繭子。
支配人が何を感じたかオルゴールのねじを巻くと鳴りはじめ、繭子は火に包まれた本能寺にワープした。
繭子は信長に逃げるよう進言するが、信長は繭子のおとしていったパンフほとりだし、平和な世がくればそれでよい、
天下統一するのは誰でもいい、と言い残して蘭丸と部屋にこもり、繭子を帰す。

とはいえ、帰り方がわからない繭子は燃え盛る火の手から逃げられない。
本能寺ホテルでたまたまフロントを掃除していた支配人がベルを落としてベルが鳴り、繭子は現在に戻ることができた。

7階のバーに行くと既に恭一以外の人はおらず、恭一は繭子の気持ちを知らな過ぎたとして婚約解消を申し出る。

翌日、支配人に金平糖を渡してチェックアウトした繭子。
ハローワークに電話して、社会科のうち歴史を教えたいと申し出るのだった。

本能寺ホテルでは、オルゴールを鳴らし、金平糖をかじりながらエレベーターで6階に向かった支配人が、
ドアの先に何かを見て驚愕したところで映画は終わる。

**

万城目学の降板騒動などのネガティブ情報は一切知らずに見たものの、
キャストや映画の雰囲気から「プリンセストヨトミ」に似たものを感じたのは私だけではあるまい。
実際、監督鈴木雅之、脚本相沢友子は「プリンセストヨトミ」と同じ。

鈴木監督はもともとフジテレビの演出家で映画監督とテレビドラマのディレクターを続けている。
「ラッツ&スター」の鈴木雅之とは全くの別人。
相沢友子は元々歌手で、脚本家に転身後ブレイクしたそうだ。

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京都の観光名所巡りにもなっているが、あまりにも有名なところは出てこない。
ホテル本能寺が実在するが、和風屋根の外観でロビーも広く、本能寺ホテルとは全く別物。

あぶり餅や振り振り毬杖(ぶりぶりぎっちょう)は本当に平安時代からあったらしい。
金平糖の「緑寿庵清水」は実店舗でロケしたらしい。

宗室と楢柴肩衝のエピソードは「タイムスクープハンター」の映画版「安土城 最後の1日」につながる。
タイムスクープハンターでも業火の中、宗室(宗叱)が楢柴肩衝を持ち出して逃げる。

タイムワープの理屈が不明なのは良いとして、タイミングよく時系列にワープできるのも良いとして、
時代考証や日本語の違いなども良いとして、冒頭の伏線というか謎の提起が回収されていない。

せっかく過去に行ったのだから何かが現代までつながっていることで歴史を変えないまでも
夢落ちではなかったというか、繭子が過去に行った痕跡が欲しかった。

 

 

                

 

 

 

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