SPACE BATTLESHIP ヤマト
木村拓哉、黒木メイサ、柳葉敏郎、高島礼子、山崎努、西田敏行、緒形直人、マイコ
*徳川彦左衛門機関長(西田敏行)
地球防衛軍宇宙艦隊とガミラス宇宙艦隊の戦い。
地球防衛軍の攻撃は簡単に防御され、なすすべがない。
一旦は覚悟を決めた艦隊司令官沖田十三(山崎努)だったが、ゆきかぜ艦長の古代守(堤真一)の進言により、
ゆきかぜを盾にして撤退に成功する。
西暦2199年。
ガミラスは地球に対し無数の遊星爆弾を投下、多くの人類が死に絶えた。
そして、それから5年、地表は放射能で汚染され、生き残った人々は地下深くに移り住んでいた。
地下で暮らす人類の中には、地表に出てレアメタルを採取、軍に提供するものもいた。
退職した古代進もその一人であった。
ある日、古代進は地表に出て防護服に身を包んで採掘中、宇宙より落下してきた飛行物体の爆風で吹き飛ばされ、
防護服が破損、致死量の放射能の中に晒されてしまった。
地球防衛軍は古代進とこの飛行物体を回収した。
艦内医の佐渡先生(高島礼子)の診断で間もなく死ぬと言われた古代進は死んでおらず、
沖田館長が兄を見殺しにしたことを罵るが、隊員の森雪(黒木メイサ)らに諌められる。
また物体は通信カプセルで、波動エンジンの設計図とイスカンダルの位置を示す情報があった。
通信カプセルの情報では、イスカンダルに放射能除去装置がありこれを地球に提供すると言うのだ。
地球防衛軍司令長官、藤堂平九郎(橋爪功)は、沖田の進言を受けて、ヤマトを要人脱出用ではなく、
イスカンダルへの派遣用戦艦に改修し隊員を募ることとなった。
古代進は隊員に応募、過去の経歴をもとに戦闘班班長として復職する。
昔のパイロット仲間は古代進の復職を喜ぶが、森雪は反感を隠さなかった。
ヤマト改修作業は順調に進み、いよいよ発進。
直後にガミラスの攻撃を受けるが、ぎりぎりまで敵を引き寄せ、波動砲により破壊する。
ヤマトは地球大気圏外に進み、木星近辺までのワープテストにも成功。
イスカンダルへの旅路は順調に思えた。
途中ガミラスの攻撃を撃破しながら進むが、沖田艦長が倒れる。
佐渡先生の診断では余命は短く、沖田艦長は古代進を艦長代理に任命し、ある秘密を暴露する。
太陽系外へのワープ直後、またもやガミラスの攻撃を受け、第3艦橋に爆弾をつけられてしまう。
古代は乗員の残る第3艦橋を切り離すため森雪にミサイル攻撃を命令。
古代は忌み嫌っていた沖田と同じ乗員を切り捨てた行動に自責の念に駆られるが、
その裏では、ミサイル攻撃をした森雪の動揺に乗じて、これをものにしてしまう。
イスカンダルの直近への最後のワープ。
しかし、待っていたものはガミラス軍だった。
波動砲の砲口がガミラスの兵器で塞がれてしまい、波動砲が使えないヤマトは咄嗟のワープで回避するが、
ワープ先はイスカンダルの反対側で、そこは遊星爆弾で汚染された地球のような表面を見せていた。
ガミラスの罠の可能性も残る中、古代はイスカンダルへの着陸を決意、
通信カプセルに示された星内部の座標へと向かう途中ガミラスの攻撃を受け多くの仲間を失うが、
古代進、森雪、真田志郎(柳葉敏郎)、斎藤始(池内博之)の4人は座標の地点に到着。
そこで、ガミラスとイスカンダルは同じものの表裏であることがわかり、
イスカンダルは放射能除去機能を森雪の体内に仕組む。
4人はガミラスのコア・エネルギー装置を発見、真田と斎藤がこれを爆破して破壊。
古代と森雪は爆破をぎりぎり逃れてイスカンダル脱出に成功する。
こうして地球への帰途に付き、地球の近くまでワープして戻ることに成功。
これで地球の放射能除去ができると安心した矢先、生き残りのガミラス艦に遭遇。
地球への攻撃態勢に移るガミラス艦に対し、なんだかんだあって、古代は自爆を決意、
森雪他生き残りの隊員36名を退避させ、自身はガミラス艦に突っ込むと同時に波動砲を発射、
敵もろとも自爆してしまった。
何年かのち、放射能が除去され、緑が戻った地球には森雪とその幼い息子の姿があった。
めでたし、めでたし。
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このほか機関長徳川彦左衛門に西田敏行、操縦班長島大介に緒形直人、航海班長相原にマイコ、
基本的な設定は従来の「宇宙戦艦ヤマト」に準じているが、ガミラスとイスカンダルの関係や、
コスモ・クリーナーDなどについては新解釈になっている。
もともとの設定がどうだったかわからないが、呼称や指揮命令系統など全般に軍隊組織らしくない。
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宇宙戦隊ものではなく、人間ドラマに重点を置いたらしい。
ところどころ仲間同士の感情、特に別れを惜しむ仲間同士の葛藤が描かれているが、
敵が攻撃態勢に入ろうと言うときに、そんなことしとる場合か、と言うのが率直な感想。
また森雪の動揺に乗じて、押し倒すなど上官としてもってのほかです。
ラストの森雪(黒木メイサ)には、お前はキーラ・ナイトレイか、と突っ込んでしまいました。
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SFの世界に出てくる物質、機械、現象が、仮に物理的に実現不可能なことであっても、
ある程度納得できる設定、説明であれば受け入れることができるが、
基本的な部分でおかしいと違和感を禁じ得ない。
例えばあれだけ艦内が静かなのに、どうして遠景のヤマトが爆音、轟音に包まれて進行するのか。
宇宙では音は伝わりません。
艦内の重力の加わり方も不自然。
重力の発生メカニズムがどうなっているのかはよくわからないが、艦の横旋回でああはならんでしょう。
今回はアニメ版でよく見られる爆発の煙たなびくシーンは見られなかったが、
真空中での爆破があのように広がっていくのかは大いに疑問。
また今から200年近い未来なのに、認識票が第2次大戦時と同じようなものだったり、
認識番号をテンキーで入力するのはどういうことか。
ベッドが自動で起き上がるタイプでないのも変だし、「ストレッチャー」は変じゃないか。
などなど、変なところで小物が古臭い。
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帰還時に地球防衛軍司令長官との会話で確かに「地球から42万キロ」と言ってましたよね。
地球からわずか42万キロであんなに小さいはずがない。
地球−月間の距離は平均38万キロ(36〜40万キロ)ですから、
42万キロからだと、月の5,6倍の大きさに見えるはずです。
あれが地球から見た火星くらいの大きさだったとすると、4億2千万キロでもおかしくはない。
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今回の映画に限ったことではないんですが、本来であれば通信のタイムラグが生じる。
それはまあ敢えて省略してあるとしても、遠距離通信をタイムラグなしで行うには
どういう原理を設定しているんだろう。
例えば今書いた4億2千万キロだと通信に片道20分以上かかるんですよね。
普通に会話するには電波(光含む)以外の超空間通信技術が必要になります。
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