2008/5-8 鑑賞
ホーム 映画の感想 最新鑑賞映画 最新DVD/BD 全米ベスト10 劇場/映画館 試写会当選 映画SP-extra 第89回アカデミー賞 第37回ラジー賞 2017年に見たい映画 第74回GG賞

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この期間に鑑賞した映画の本数  
5月:6(6)本、6月:8(7)本、7月:6(4)本、8月:9(7)本、計:29(24)本 、邦画9本。 カッコ内は試写会
今年の累計  
1−4月期:19(12)本、5−8月期:29(24)本、9−12月期:( )本、年計:48(36)本  
   
 アイアンマン  

アメコミの実写化。

ロバート・ダウニーJr、グウィネス・パルトロー、テレンス・ハワード。

**

冒頭はアフガニスタンの平原を走る装甲車。
中には軍需産業の社長、トニー・スターク(ロバート・ダウニーJr)と米兵。
にこやかに談笑していると突然テロ組織の攻撃を受け、米兵は全滅、トニー・スタークは胸に重傷を負う。

トニー・スタークはアメリカの武器製造会社、スターク工業の社長。
父の会社を継ぎ、天才的頭脳で多くの武器を発明、その日も新兵器「ジェリコ」のデモを行っていた。

しかし、爆破で心臓近くに爆弾の破片を残し、電磁石を胸部に埋め込んで命をつなぐ。
彼を助けたのは同じく捕虜となっているインセン。
テロ組織「テン・リングス」は、スタークに「ジェリコ」の製造を命じる。
完成後の解放を約束にスタークは承知するが(もちろん嘘)アーク・リアクターを電磁石と入れ替え、
ジェリコの材料でアーマーを作って敵を撃破、脱出する。

アメリカに戻ったスタークは、アフガンで自社の兵器がテロ組織に渡っているのを見て、
兵器が平和の維持どころか混沌の拡散につながっているとして、兵器製造の中止を宣言する。

スタークは、アーク・リアクターとアーマーを改良して、新型のアーマーを開発する。

しかし、アフガンでテロ組織によって販売を中止したはずのジェリコが使用されたと聞き、
いてもたってもいられず、テロ組織をアーマーで攻撃するのだった。

***

なかなかおもしろかったし、迫力満点。
ただ空中静止姿勢はちょっと滑稽。

スターク社長の有能な美人秘書に、グウィネス・パルトロウ。
親友の空軍中佐にテレンス・ハワード。
スターク工業の副社長にジェフ・ブリッジス。
良く知らないが、「サーフズ・アップ」のビッグGの声をやった人。

ロバート・ダウニーJrは、ベン・スティラーの新作「Tropic Thunder」で、
カークと言う黒人兵を演じている。

エンドクレジットの最後に、「Avengers」のヒントが出てくるが、「Avengers」はずっと先で、
次の映画化が「Avengers」と言うわけではないようだ。

  

 

 アルビン、歌うシマリス3兄弟  

アメリカでは2007年12月に封切られ、2億ドルを突破したスーパーヒット映画。
吹き替え版にて鑑賞。

***

森に住む、シマリスの3兄弟は冬の準備中だったが、すみかのモミの木がツリーとして切られ、
ジェット・レコード社のロビーに据え付けられる。

一方、デーブ・セビル(ジェイソン・リー)は売れない作曲家、
ジェット・レコード社からの依頼の曲もケチョンケチョン。
失意で帰る途中、ツリーから逃げ出したシマリス3兄弟を家に連れ帰ってしまう。

その後いろいろあって、デーブはシマリスがアルビン、サイモン、セオドアの3兄弟で
人間の言葉を喋るどころか、歌もうまいことに気づき、自分の曲を歌わせることに。

しかし、レコード会社社長のイアン(デビッド・クロス)には信じてもらえず、
シマリスのいたずらでCMのプレゼンにも失敗して、首になる。
おまけに元彼のクレア(キャメロン・リチャードソン)とよりを戻すのにも失敗、落胆の極みに。

何とかしようとシマリス3兄弟はイアン社長宅へ行き、歌を聞かせる。
社長は大喜びで3兄弟と契約、歌も大ヒットして、3兄弟は一躍有名に、デーブも売れっ子になるが、
金儲けに目がない社長は、3兄弟を酷使するのだった。

***

完全に子供向け。
大したひねりもなく、TVのホームドラマのように物語は観客の予想通りに展開するが、
子供の笑いのツボをうまく押さえてあり、毒もなく安心して見せられる。

デビッド・クロスは「カンフーパンダ」のマスター鶴の声。
シマリスの声は早回しで、アルビンの声はジャスティン・ロング(「ダイハード4.0」でさえないハッカー)

全体にセピアっぽい感じがしたのはわざとか、映写機の「くせ」か。

  

 

 あぁ、結婚生活  

クリス・クーパー、ピアーズ・ブロスナン、パトリシア・クラークソン、レイチェル・マクアダムス。

**

オープニング・タイトルは、1950〜1960年代を彷彿とさせる。
それもそのはず、物語の舞台は1949年。

リチャード(ピアーズ・ブロスナン)が親友のハリー(クリス・クーパー)を語る形で物語が進行する。

ハリーは妻パット(パトリシア・クラークソン)と幸せな結婚生活をしているように見えた。
そんなハリーがある日、リチャードに妻と別れたいと告白、愛人ケイ(レイチェル・マクアダムス)を紹介する。

ケイは戦争未亡人、ハリーは、妻に嘘をついてケイとの逢瀬を重ねていた。
だったらさっさと離婚すればいいようなものだが、
ハリーは離婚でパットに精神的ダメージを与えることが耐えられない。

そんなある日、ケイとの密会の後に車に乗せた男の話から、
パットを苦しませないためには毒殺するしかないと思うようになる。

一方、リチャードはケイの美貌に魅せられ、ハリーに嫉妬し、何とかケイをものにできないかと画策する。
ケイがリハリーの別荘の近くに住んでいるので、別荘に行くとの口実でケイに会いに行くようになる。

ある日の夜、ハリーの別荘に行ったところ、
何とパットと近所のジョン・オブライエン(デビッド・ウェナム)の浮気を目撃してしまった。

二人は愛し合っており、パットはハリーと別れたいが、ハリーが離婚で自暴自棄になることを恐れていた。

ケイをものにしたいリチャードは離婚に反対する。

ハリーはそんなパットとリチャードの会話も知らず、着々と毒殺の準備を進める。

そして、いよいよ、毒殺を仕掛けたその後で、ケイからとんでもない話を聞かされるのだった。

**

主要な登場人物が限られ、その相関も簡単なのでとても分かりやすい。
もっとシリアスサスペンスかと思っていたが、軽いコメディタッチの映画だった。

もう少しハラハラさせる展開でもよかったが、まああんなところでしょう。

笑いどころも多いが、馬鹿笑いではなく、クスクスとか、せいぜいアハハハぐらい。

結局は、自分が思うほど人は自分のことを大事に思っていないということか。
人は自分を買いかぶりすぎている?

  

 

  三本木農業高校、馬術部  

実話ベースの小説の映画化。

実在する青森県立三本木農業高校。
馬術部も実在するし、高校馬術部としてはかなりの実力を持っているようだ。

主人公であるタカラコスモスも実在するし、実際にタカラコスモスも映画に出演している。

松形弘樹、柳場敏郎、黒谷友香、原日出子、吹越満ほか。

**

三本木農業高校、馬術部。
2年生の香苗(長淵文音)の担当は牝馬のタカラコスモス。
競技馬としては優秀だったが、病気で左目に視力障害を持っているせいか、
気性が荒く、なかなか懐こうとしない。

馬術部は顧問の古賀(柳場敏郎)、3年の帆乃夏(西原亜希)、同じ2年の陽子(森田彩華)、
1年の高橋(小林裕吉)、それに2年生でエースの賢治(奥村知史)。

毎年1年生は数名入部するが、練習のきつさからほとんどが辞めてしまう。

ある日、タカラコスモスを散歩に出し、連れて帰る途中、
香苗はタカラコスモスの左目がほとんど見えないことに気づく。

それからは馬に対する接し方も変わってくる香苗だったが、
タカラコスモスを種付けに出した時は、正直ほっとする。

また、3年が引退(退部)した後の練習で、新キャプテンとなった賢治が無理をして、
エース馬を転倒骨折させ、薬殺処分となり、自身もやる気をなくして退部する。

しかし、タカラコスモスの出産を契機に、賢治は再び馬術部に戻り、
全員が一丸となって部を盛りたてていく。

3年となった香苗は、タカラコスモスの子別れ(仔馬を獣医畜産大に預ける)などの経験を経て、
最後の馬術大会にタカラコスモスに乗って出たいと言いだすのだった。

***

多少の誇張はあっても、話の展開にウソはないだろうし、感動的な展開も本当でしょう。
馬の出産も(代役馬とはいえ)本当だし、子別れの際に親馬仔馬が鳴き叫ぶのも本当のようです。

映画中では、2年ほどの出来事ですが、撮影はほぼ1年かけて行われ、
キャストが実際に馬の世話をし、馬術のシーンもスタントなしで行われたそうです。

その意味ではスタッフ、キャストとも大変な努力をして、感動的な作品を撮ろうとしたことは認めます。

が、

なにせ全体にトロイ。セリフもまどろっこしいし、タメがいちいち長すぎる。

全体に一本調子でメリハリがない。
あれだけ引っ張っておいて、クライマックスは最後まで見せないという中途半端さも不満が残る。

ここは泣くところですよ、とみえみえなのが嫌だし、お父さんもステレオタイプすぎる。

途中に挟まれるショートエピソードもそれっきりで、たいしたフォローがないのに、
台詞に入ってしまっているからカットもできない。

2時間を切ったの(1時間57分)は評価しますが、もう少し編集に工夫すればもっと良かった。

最後にキャッチコピーでは、盲目の馬とあるので、完全に目が見えないのかと思った。
実際には左目がほとんど失明で、右目は見えたようだ。
片方が見えるとしても、競技馬にとっては致命的なのはわかるが、「隻眼」と呼ぶべきではないのか。

  

 

  レス・ポールの伝説   


レス・ポール。

1940年から50年代に一世を風靡し、数々のヒット曲を生み出した伝説のギタリスト。

超有名なエレキギター「ギブソン・レス・ポール」の生みの親で、
多重録音、8トラックテレコなど多くの発明を行い、数々のヒット曲を生み出し、
スーパー・テクニックの持ち主で、90歳を超えた今なお現役のギタリストである。
(追記、2009年8月13日没、享年94歳)

綴りは Les Paul だが、Les はフランス語ではなく、本名の Lester から来ている。
なお、蛇足だが、les をフランス語だと思っていたのは私です。

**

いきなり、どこかのライブハウス(ニューヨークの「イリジウム」というジャズクラブ)で、
ギターを抱えてステージ中央に陣取るレス・ポールの姿。

彼に呼ばれて、観客の中からキース・リチャーズが出てくる。
「呼ばれるなんて思ってなかった。」
「ステージ衣装着てるじゃないか。」
軽いジャブの応酬で、セッションが始まる。

本人の語りと昔の映像も使って、レス・ポールの歩みをドキュメントとして展開。
演奏シーンも交え、また数々の大物ミュージシャンがレス・ポールへの思い入れを綴る。

**

良いんだけど、万人受けする映画ではなく、マニアックの極みと言った感じだ。
上映館のある渋谷まで見に来れる人は、都内在住在勤か、近県の人だけだろう。

とするともっと多くの人に見てもらう方法は、DVDか、ペイ・パー・ビュー。

  

 

  ダークナイト  


バットマン(ブルース・ウェイン)にクリスチャン・ベール、執事のアルフレッドにマイケル・ケイン、
ゴードン警部(本部長)にゲーリー・オールドマンは、「ビギンズ」と同じ。

レイチェルは、ケイティ・ホームズからマギー・ギレンホールに交代。
検事ハービー・デントにアーロン・エッカート、ジョーカーはご存じ、ヒース・レジャー。

**

ストーリーは結構煩雑で大勢の人物が出てくるので、時系列を追って記述することは難しい。

冒頭のジョーカー登場のシーンだけを綴っておく。

ピエロのマスクをつけた5人の男が銀行に乗り込んでいく。
男たちは銀行強盗。
金庫を破り金をごっそりと盗むが、それぞれの役割が終わると無情にも仲間に撃ち殺される。
逃走用のスクールバスが銀行に突っ込んでくるが、
6人目のピエロのドライバーは、強盗だった一人に撃ち殺される。
銀行の支配人は果敢にも犯人に立ち向かうが返り討ちにあい、催涙弾(?)をくわえさせられてしまう。
生き残った強盗犯が、ピエロのマスクを取ると、その下もピエロ(ジョーカー)のメーキャップだった。

異常、狂気、常軌を逸したとしか言いようのないジョーカーの言動。
人々を恐怖に陥れ、バットマンを挑発し、誰しもが悪行を働かないと助からないように仕向ける。

捕まっても、いたぶられるのを楽しんでいるかのようだ。
行き当たりばったりにでたらめをしているようで、すべてが計算ずく。

ホワイトナイト(白騎士)と呼ばれる熱血検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)ですら、
ジョーカーの策略に悪の世界に堕ちていくのだった。

**

予告のあのバイクがああして登場するとは思わなかった。
実際に乗れるらしい。

多くの悪役が出てくるのだが、何と言ってもジョーカーにとどめをさす。
原作では捕まっても捕まっても、脱走してまた悪事を働く、バットマンの最大最悪の宿敵だ。
本作でも最後は捕まってしまうが、ヒース・レジャーが亡くなってしまって次回作以降どうするのか。

なお、ハービー・デントは後の「トゥー・フェイス」であるが、
それ以外にもまだまだ主要な敵役のキャラが出ていない。

しかし、あまり敵キャラ総出演にこだわると、旧シリーズの「フォーエバー」や「Mr.フリーズの逆襲」など、
お笑い路線に落ち込んでしまうことも危惧される。

今作は、ビギンズと同じクリストファー・ノーランの脚本監督によるものだが(脚本は他の人物も参加)
次回作以降、どうなるかは気になるところである。

  

 

 イントゥ・ザ・ワイルド   

ショーン・ペン脚本・監督、エミール・ハーシュ、ウィリアム・ハート、ビンス・ボーン。

**

クリス(クリストファー・マッキャンドレス、エミール・ハーシュ)は、大学を卒業すると間もなく、
学資預金のほとんどを寄付し、下宿を引き払って放浪の旅に出てしまう。

両親(ウィリアム・ハート、マルシア・ゲイ・ハーデン)はクリスの計略にはまって、
何カ月もクリスがいなくなったのに気がつかなかった。

その間、クリスは必ずしも一直線でアラスカに向かったわけではないが、
時々バイトをしながらアラスカを目指していた。

働くのは金に執着があるからではなく、日々の食べ物とアラスカで暮らす物資を買うため。
ジプシーの夫婦、オランダ人カップル、農場主、皮細工職人、などとのふれあいそして別れ。

クリスは2年の放浪の末、ついにアラスカの荒野に着く。
そして、小川を越えた丘の上の放置されたバスを見つける。
そこは無人だったが、人が住めるように改造してあった。

ここでまさに、ワイルドな生活をするクリスだったが、何週間かして手持ちの食料も尽き、
野生動物もなかなか手に入らず、そろそろ引き上げようかとしたところ、
小川は雪解け水で濁流となって越えられず、完全に閉じ込められてしまった。

クリスは植物図鑑を頼りに食用草で飢えをしのぐ。

やせ細っていくクリス。
しかし、あるとき、猛烈な腹痛と吐き気に襲われる。
本を頼りに野生種のジャガイモだと思って食べた草の根は、実はよく似た毒草だった。
瞬く間に体力を消耗するクリス。

そしてついに最後の時を迎える。
彼の遺した言葉は「Happiness is only real if shared」
果たして孤独な死は、この旅は彼にとって何だったんだろう。

**

実話を元に作られている。
最後に本物のクリストファー・マッキャンドレスがそのバスの前で撮った写真が出てくるが悲しい。

ジプシーの奥さん(キャスリーン・キーナー)はどこかで見たと思ったら
「シモーヌ」でアル・パチーノの奥さんのプロデューサー。
若い歌手の女の子(クリステン・スチュアート)も見たと思ったら「ジャンパー」に出てたらしい。
母親役の、マルシア・ゲイ・ハーデンは、年は違うがミシェル・モナハンに似てなくもない。
ビンス・ボーン、見違えた、太った?

  

 

  おくりびと   

本木雅弘、広末涼子、山崎努、余貴美子、杉本哲太、吉行和子、笹野高史

**

冒頭は、地吹雪の中、車で移動する本木雅弘と山崎努。
本木雅弘の語りで話が始まる。

2人は納棺師、この日も死者に死に装束を着せ、死に化粧をする。
山崎努の「やってみるか」の声に本木雅弘が「納棺の儀」を執り行う。

話は何カ月か遡る。
オーケストラのチェロ奏者だった小林大悟(本木雅弘)は突然の解散で失職し、山形の田舎に帰ることに。

大切なチェロも売り払い、妻でウェブデザイナーの美香(広末涼子)とともに、空き家だった実家で暮らす。

とりあえずの職探し「旅のお手伝い」とのうたい文句にNKエージェンシーを訪ねるが、
そこは納棺(NK)業、「安らかな旅立ちのお手伝い」がうたい文句だった。

採用にはなるものの、美香には冠婚葬祭業と言葉を濁し、納棺師のアシスタントになる。

孤独死で腐乱状態にある死体の処理をしたり、「納棺の儀」のモデルをしたり、
とても耐えられないような経験もするが、
佐々木社長(山崎努)の仕事ぶりを見るにつけ、納棺師に入れ込んでいく。

しかし、妻は大悟の気持ちを理解せず、実家に帰ってしまう。
一人ぼっちになっても、大悟は納棺師の仕事を辞めようとはしない。

死者の尊厳を守り、遺族にも安らぎを与え、死出の旅路を演出する納棺師。

人の死で食っている、もっとましな仕事をしろなどと罵る人々も、
葬儀で納棺師の仕事に接して、感謝するのだった。

そんな日、美香が帰ってくる。
妊娠し、生まれてくる子供のためにも、仕事を変えてくれと言う。

そこへかかってくる電話、銭湯を切り盛りしている幼馴染の友達の母(吉行和子)が死んだのだ。
その所作を見て、美香も大悟の本心を理解する。

そして、ある日、漁村からの電話。
生き別れになっていた父(根岸徹)が死んだとの知らせ。
最初は拒んでいた大悟も現地に飛び、粛々と納棺の儀を執り行う。

**

真面目に「死」と向き合った良作。

さまざまな死があり、さまざまな別れがある。
「死」を必定のものとして受け止め、別れを演出する。

もちろん笑いもあるのだが、受け狙いでなく、好感が持てる。

本木雅弘の演技は秀逸、山崎努との掛け合いもとてもいい。
一生懸命のシーン、茫然となるシーン、表情と動きがとても自然で見入ってしまう。

NKエージェンシーの事務員に余貴美子、同級生の母で銭湯をやっている吉行和子、息子に杉本哲太、
その銭湯の常連の笹野高史、最後にセリフはないが峰岸徹が重要な役で出演。

実際に身内が死んだ人であれば、この納棺師的な仕事があることは知っていようが、
遺族の目の前で「納棺の儀」を執り行う地方はどのくらいあるのだろうか。

当初、原作者との行き違いがあったそうだが、
チェロ、納棺の練習に力を注ぎ、実際の納棺の儀にも立ち会ったという本木雅弘の熱意が光る。

第32回日本アカデミー賞作品賞等10部門を受賞、
第81回アカデミー賞外国語映画賞受賞作品(2009/2発表)ほか多くのタイトルを取っている。

  

 

 崖の上のポニョ   

宮崎駿脚本・監督、スタジオ・ジブリ作品。
声、山口智子、土井洋輝、奈良柚莉愛、所ジョージ、長嶋一茂、奈良岡朋子、吉行和子

**

不思議な潜水艇に住むフジモト(所ジョージ)、多くの魚の中から、一匹の人魚の子が逃げ出す。
人魚の子は、クラゲに乗って港近くまでやってきて、ガラス瓶に頭を突っ込んで身動きできなくなる。

崖の上の一軒家に住む宗介(土井洋輝)は、人魚を見つけガラス瓶から出し、
金魚だと思って飼うことにする。
宗介の母リサ(山口智子)は宗介の保育園の隣の老人ホームで働いていた。
宗介は「金魚」を「ポニョ」と名づけ、保育園に持っていくが、トラブルを起こして海岸へ。
ところが、そこへフジモトが「ポニョ」を探しにやってきて、波を利用してポニョをさらう。

ポニョは実は「ブリュンヒルデ」というフジモトのこどもで、魔法の力を持っていた。
宗介が好きになったポニョは、宗介の血をなめてしまったことから、魔法の力が強くなり、
半魚人、そして人へと変化して、再び宗介のもとへ逃げだしていく。

ところが、逃げる時に破った潜水艇の防護膜から海水が入り込み、
フジモトが貯めていた聖水のようなものがあふれ出し、
海は膨れ、荒れ狂い、魚類たちが大繁殖して、港町を飲み込んでしまう。

荒れた海の上を宗介のもとへ向かうポニョ。
このあと、ポニョは宗介は、そして街はどうなってしまうのか。

**

うーん。
手書きはきれいなんですが、CGでは確かにこの味は出ないでしょうが、それだけです。

少なくとも、全編をもう一度見たいとは思わなかった。

無線や船、古代魚などの無駄に詳しい部分はファンタジー性を損なっている気がします。

ストーリーは単純で、深読みすればできないこともありませんが、
子供には深読みはできないでしょうし、大して重いとは思えませんでした。

長嶋一茂の声にはいろいろ批判があるようですが、すべてカットしても大して変わらない気もします。

多くの子供たちが来ていましたが、子どもたちの歓声は聞こえず、みんないい子で見ていました。
(あまりいい現象とは思えません、それだけのめり込めなかったんだと思います。)

  

 

 パコと魔法の絵本   

役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ、阿部サダヲ、加瀬亮、劇団ひとり、山内圭哉、
小池栄子、國村隼、上川達也。

**

物語は阿部サダヲ扮する老人が、加瀬亮扮する若者の屋敷を訪ねてくるところから始まる。
阿部サダヲは、仏壇にある役所広司扮するジジイの遺影に手を合わせることもなく、1冊の絵本を手にする。
そして、このぼろぼろの絵本にまつわる物語を語り始めるのだった。

あれは何年前のことだったか、とある病院での出来事。

そこには、芝居好きの医者、浅野(上川達也)の元、
タマ子(土屋アンナ)と雅美(小池栄子)という、一見とんでもない看護婦。

患者もみんなから嫌われているわがままなクソジジイ大貫(役所広司)、
元有名子役でヤク中の室町(妻夫木聡)、傷だらけのヤクザ龍門寺(山内圭哉)、
消防車に轢かれた消防士滝田(劇団ひとり)、ジュディ・オング好きのおかま木之元(國村隼)、
よく判らない変装オタク堀米(阿部サダヲ)、そして絵本を読んでばかりいるパコ(アヤカ・ウィルソン)。

大貫は立身出世伝の人、体調を崩して入院してはいるが引退する気はさらさらなく、
毎日のように訪ねてくる甥の浩一(加瀬亮、二役)とその妻の雅美をも邪険にしている。

ある日、大貫はいつものいじわる心から、パコの絵本を読んでやる。
翌日、パコは大貫を知らないと言い、大貫の落としたライターを見せる。
ライターを盗まれたと思い、怒った大貫はパコを殴るが、実はパコは記憶ができない少女だった。

あれは7歳の誕生日、パコは両親とドライブに出て事故に遭い、車ごと水に落ち両親は死亡、
パコも九死に一生を得たものの障害を受けて記憶が1日しか持たないのだった。

次の日、大貫は再びパコに会う。
障害のあるパコを殴った罪悪感からそのほほを触る。
「おじちゃん、私に触ったことあるよね。」パコはそれを覚えていた、
但し、殴られたのではなく触られたとして。

かわいそうなパコに何かしてやれることはないか。
毎日記憶が消えていくパコに、大貫は毎日絵本を読んで聞かせることにした。
そしてある日、ついに思い立ってパコのために病院のみんなで芝居をしようと言いだしたのだ。

ほとんどが反対する中、最後の夏をパコのために、パコの記憶の中に生きていたいと熱弁する大貫。
かくして一世一代の芝居がはじまった。

楽しい夏の夜も過ぎ去り、命の尽きる時がやってきた。
実は、観客の多くがいじわる爺の死を予感していたが、来年の夏を迎えられないのはパコだったのだ。
幸せに包まれてパコはこの世を去っていった。

**

後藤ひろひと原作の舞台「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」の映画化。
非常に舞台的な演出と、舞台では絶対できない演出(CGなども含め)を織り交ぜて、
強烈な色彩とむちゃくちゃなメイクで、ある意味「スピードレーサー」が脳裏に浮かんだ。

役所広司もすごいが、小池栄子と妻夫木聡は知ってないと本人かどうかの識別が不可能なくらい。

このほか、木村カエラも出るし、彦摩呂がちらっと出てたり、とにかくやりたい放題の映画。
最初の20分くらいはどうなることかと心配したけど、パコが出てきてからは物語も落ち着いて展開し、
笑いあり、涙あり、楽しい映画でした。

  

 

 

 カンフー・ダンク   

ジェイ・チョウ(周杰倫)、チェン・ボーリン(陳柏霖)、バロン・チェン(陳楚河)、シャーリン・チョイ(蔡卓妍)

その他、香港映画でよく見る方々が出演。

**

捨て子でカンフー学校に預けられたファン・シージエ(周杰倫)。
めきめきと腕を上げ、学校一の使い手になるが、罰で寮を一時追い出される。

公園で抜群のコントロールを見染めたリー(エリック・ツァン=曾志偉)に金もうけをしようと持ちかけられ、
賭けダーツでボロ勝ちし、バーの用心棒をコテンパンにのしてしまう。

それがばれて、学校を退学になり、リーのお膳立てで親を探す天才バスケット少年の触れ込みで、第一大学に編入。

チームワークを重んじる先輩と技術を鼻にかける天才プレーヤーの軋轢があって、
ついにチームワークで優勝!なんて、ハリウッド的展開はなく、
シュート力は抜群ながら、バスケの基本を知らないシージエが、
過去に負い目を持つキャプテン、ディン・ウェイ(陳柏霖)と、人気者の実力者シャオ・ラン(陳楚河)とも、
すぐに協力し、チームを勝利に導いていく。

チームのマネジャーでキャプテンの妹のリリー(蔡卓妍)にもちょっかいを出しながら。

大学選手権でチームは順当に勝ち進み、ついに決勝は昨年と同じ組合せ、相手は「火球隊」と言う乱暴者集団。
背後には、ビーと言うやくざがついている。

第一大学は序盤から劣勢、火球隊の見えないところでの反則技にケガ人続出。
もうだめか、と思われた瞬間、会場が停電、試合は中止、後日再試合となる。

実は、第一大学に賭けていたビーのライバルのバーのオーナーのやくざが停電を仕組んだのだ。
とはいえ、けが人だらけの中で、果たして再試合はどうなるだろうか。

そして両親を探すと言うリーとシージエの思惑はうまくいくのか。

**

ストーリーはいまいちだけど、面白いかった。

笑うところはいっぱいありましたが、これも吹き替えの効果でしょうか、せりふで十分笑えます。

周杰倫、もっと小さいと思ってたし、「王妃の紋章」のときは、全くかっこいいと思えなかったけどな。
今回は若々しいし、結構大柄に見えた。ちょっと髪型は変だけど。
もっとも、かっこいいと言えば、陳柏霖、陳楚河のほうが上か。
またも主題歌を歌っている。歌はうまい。

  

 

 インクレディブル・ハルク   

アメコミ「超人ハルク」の映画化。2003年の「ハルク」の続編と言うよりは、リメイク。

エドワード・ノートン、リブ・タイラー、ウィリアム・ハート。

***

ブルース・バナー(エドワード・ノートン)は、自分が被験体として実験の最中に異常な放射能を受けて、
異常体質となって暴れ、実験室は壊れ、恋人のベティ・ロス(リブ・タイラー)は重傷、
ロス将軍(ウィリアム・ハート)からも疎まれ、どこかに姿を消す。

しばらくして後、身分を隠して南米、リオの清涼飲料水工場で働いていたバナーは、
ちょっとしたけがでできた自分の血液の混じった清涼飲料水がアメリカに輸出され、
飲んだ男性が死亡、ロス将軍がバナーの身元を見つけるきっかけとなってしまう。

バナーを麻酔で眠らせて確保するための部隊がリオに急行。
バナーは危機一髪で逃げるが、逃走するうちに脈拍が上がり、ついに200に到達。
その瞬間、バナーの体は変貌し、巨大な緑の怪物、ハルクと化すのだった。

麻酔銃は勿論、弾丸さえもはじき返す硬い皮膚。
膨大なパワーで、部隊を撃破したハルク、生き残ったブロンスキー(ティム・ロス)は、
ロス将軍に詰め寄り、自らの肉体をハルクの血清で強化するのだった。

バナーは自身の変質、変貌、変化を直すため、ひそかに生物学者のブルー(仮名)と連絡していた。
そのためのデータを手に入れるため、バナーはアメリカに舞い戻る。

ベティとも再会を果たすが、彼女には新しい恋人がいた。
そして、バナーの行動はほどなくロス将軍にも知られてしまう。

はたして、ハルクへの変身は直すことができるのだろうか。
ハルクと同じ力を手に入れようとするブロンスキーは、そしてバナーの運命は、

***

全体にストーリーよりはアクション重視。
まさしく超人パワーであらゆる武器に立ち向かい、車を引きちぎって、鉄のグローブにしたりする。

バナーが怒りを抑える術を習うインストラクターにグレーシー柔術のヒクソン・グレーシーが出ている。

心拍数が上がるとハルク化するので、走ったり、怒ったりも制御する必要があるが、
Hも禁止行為の一つになっているので、ラブシーンはほぼなし。

ハルクのパワーで超人兵士を作ろうとしていたロス将軍は、プロジェクトの中止で失意の中にいた。
その時、人間ではなく機械ですよ、みたいなことを言ってロス将軍に近づく男こそ、
後のアイアンマン、トニー・スターク(ロバート・ダウニーJr)である。

  

 

 スピードレーサー  

***

ウォシャウスキー兄弟が「マッハGoGoGo」を(そのままではないにしても)驚異の映像技術で実写化。
そのあまりのぶっ飛びぶりに興行成績もぶっ飛んだ。

***

スピード・レーサーは主人公の名前、スピードが名でレーサーが姓、演じるはエミール・ハーシュ。
おやじ(ジョン・グッドマン)おふくろ(スーザン・サランドン)
彼女であるトリクシィはクリスティーナ・リッチ。
スピードの弟スプライトルにポーリー・リット。
チンパンジーのチムチムは、ウィリーとケンジーの2匹が演じている。

***

子供の頃のスピード(ニコラス・エリア)は、自動車レースで頭が一杯。
レーサーの兄レックス(スコット・ポーター)の車に乗せてもらう日々。

しかし、ある日レックスは家を出て、ヒール・レーサーとなり、挙句、山岳ラリーで事故死してしまう。

大きくなったスピードはサーキットレースで優勝し、自動車メーカーのロイヤルトンがスポンサー契約を申し出る。
しかし、スポンサーを持たずファミリーとしてレースをするためにこれを断る。

ロイヤルトンは、どうせレースは全部八百長だ、とうそぶき、スピードをつぶそうとする。
実際、トゴカーン・モータースのレーサー、テジョー(Rain)は八百長をやらされていた。

テジョーは八百長組織から抜けるため、警察に協力してロイヤルトンの悪事を暴くことになった。
しかし、その条件は、レーサーX(マシュー・フォックス)とスピードが、
レックスが死んだ山岳ラリーに出場してテジョーを勝たせることだった。

ロイヤルトンの一味もスピードをつぶそうと汚い手を仕掛けてくる。
果たしてレースの行方は、そしてロイヤルトンの悪事は暴かれるのか。

***

このあともまだ展開があって、2時間15分、目まぐるしくカラフルなシーンが繰り広げられる。
レースシーンは「マッハGoGoGo」のメカが再現されるし、その動きは「ミニ四駆」。
忍者も出てくるし、何じゃ、もあるし、日本語が飛び交う。

ロイヤルトンの工場は「東京」なのかな。
ともかく、そのぶっ飛びぶりを楽しめば面白いし、笑えるシーンがたくさんある。
子供に受けること間違いなし!大人も面白い!

なのに、入りはこの惨状。どういうこと?

  

 

  スターシップ・トゥルーパーズ3   

***

第1作(1997年、日本公開は1998年)から11年。
第2作(2003年、日本公開は2004年)の続きではなく、第1作の続編。

キャスパー・バン・ディーン、スティーブン・ホーガン、ボリス・コドジョー、ジョリーン・ブラロック。

**

連邦軍とバグ(昆虫型宇宙人)の戦いは、第1作からずっと続いていてもう11年になる。

連邦政府は軍隊への入隊を勧める宣伝放送を流している。
一方で平和主義、反戦運動、宗教活動などは厳しい制限を受け、反政府分子と見なされれば、絞首刑に処される。

さて、植民惑星の一つ、ロク・サンでも激しい戦闘が続いていた。
軍司令官は、ジョニー・リコ大佐(キャスパー・バン・ディーン)

そこへ、アノーキ総司令官(セリフでは、Sky Marshal = 空軍元帥、スティーブン・ホーガン)が視察にやってくる。
同行したデックス・ハウザー将軍(ボリス・コドジョー、肩書はGeneral)は、リコ大佐と同期。
総司令の宇宙船艦長ローラ・ベック(ジョリーン・ブラロック)は、ハウザーの恋人で、リコ大佐の戦友。

主要な登場人物が揃ったところで、トラブルが巻き起こる。

バグが高電圧バリアを破って基地に侵入、連合軍は劣勢を強いられる。
アノーキ総司令はローラの船で退避するが、合わせて6名がバグの住む惑星OM−1に不時着する。

連合軍はロク・サンの戦いに敗れ、リコ大佐はハウザー将軍に反抗したため、反逆罪で逮捕される。

一方で、OM−1からの救助信号は無視される。
エノロ・フィド提督(アマンダ・ドノホー、Admiral)は、アノーキ総司令を死んだことにして後釜を狙っていたのだ。

ハウザー将軍は、リコ大佐を助け、わずか7人で総司令救出に向かわせる。

ローラは6名をリードしてOM−1からの脱出を目論みながらも、総司令の行動に違和感を覚える。

果たして、ローラと総司令らは、バグの攻撃を回避して無事に脱出できるだろうか。
そしてこの戦いの結末は、、、、。

***

アメリカ映画としては、滅多にない、日本公開が全米公開より早い映画。
(ヨーロッパ製映画では、しばしばある)

「スターシップ・トゥルーパーズ2」は全米公開はされなかったらしい。
低予算でコンセプトこそ「スターシップ・トゥルーパーズ」と同じだが、ストーリーの関連はないようだ。

従って、この映画が「スターシップ・トゥルーパーズ」のストーリー上の続編になる。
第1作で出た頭脳バグ(Brain Bug)も出る。

何度も挿入される連邦政府の宣伝放送は軍隊万歳ではなく、明らかに皮肉をこめているし、
全体に軍隊そのものをバカにしている空気が感じられる。

  

 

 インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国  

***

インディ・ジョーンズ最新作。
前作から19年、すでにかなりの年となったハリソン・フォードだが、新たな冒険に挑む。

もし、前作を復習するのであれば、第1作「レイダース/失われたアーク」をお勧めする。

**

1957年、ネバダ州の軍施設。
アメリカ軍を装った一団が襲撃、まんまと侵入に成功する。
指揮官は、イリーナ・スパルコ大佐(ケイト・ブランシェット)。
目的はインディ・ジョーンズ(ハリソン・フォード)を利用して「ある物」を運び出すことだった。

スパルコ大佐は「そのある物」を持ち去り、インディも危うく難を逃れるが、KGBのスパイを疑われる。

当時は「赤狩り」まっただ中、大学を追われたインディは、
ハーレーに乗った少年マット(シャイア・ラブーフ)に出会い、
マリオン・レーベンウッド(カレン・アレン)とハロルド・オックスレイ(ジョン・ハート)が
自分を呼んでいることを知る。

インディはハロルドからの暗号メモを解いて、ナスカへ向かう。

その後も息をつかせない展開が続く、、、。

***

マリオン・レーベンウッド(カレン・アレン)は「レイダース/失われたアーク」に出ていたマリオンと同一人物。
21年(失われたアークの設定は1936年)の時を経て、インディとマリオンは、、、。

インディの父、ヘンリー(ショーン・コネリー)とマーカス・ブロディ(デンホルム・エリオット)は、死んだことに。
(デンホルム・エリオットは実際に1992年に死去)

インディアナ・ジョーンズが、ヘンリー・ジョーンズJrであることは、3「最後の聖戦」で明かされるが、
今作でもヘンリーに関する秘密が開かされる。

「5」があるのか、ないのか、インディアナ、つまりヘンリーは、ハリソン・フォードがやるのか。
すべては、ジョージ・ルーカスとスチーブン・スピルバーグの胸の内?

***

ここで出てくる「クリスタルスカル」は伝説のオーパーツたる水晶どくろと整合性を取っている部分もあるが、
実際に見つかっている「クリスタルスカル」とは一線を画す。

むしろ「エリア51」「ロズウェル事件」と言ったほうがぴったりくるか。

  

 

 近距離恋愛  

***

原題は「Made of Honor」(直訳すれば、名誉でできている)だが、
もちろん「Maid of Honor」(メイド・オブ・オナー)のもじり。
メイド・オブ・オナー、プライドメイドになじみが薄いとはいえ、この邦題はなんともはや。

パトリック・デンプシー、ミシェル・モナハン。

**

1998年、ある大学の寮祭。

ビル・クリントンのマスクをかぶった男(パトリック・デンプシー)が、女子学生の部屋に忍び込む。
(このとき「モニカ、モニカ」と呼んでいるが、それが、モニカ・ルインスキーを指すことは自明)

ベッドで寝ていたのは、件のモニカではなく、ルームメイトのハンナ(ミシェル・モナハン)で、
男(トーマス、「トム」)を撃退したことから、逆に二人は親友になる。

10年後、トムは何をやっている人物かははっきりしない。
言動から見ると、たぶんかなりの金持ちで、毎日女性を引っ掛けるのに余念がない。
と言っても、トムからナンパしまくりではなく、色目を使うとすぐに女性から言いよってこられるような毎日。

一方のハンナはメトロポリタン美術館の絵画修復師で、二人はあっけらかんに何でも話し合う中になっている。

ある日、ハンナは美術館の仕事でスコットランドに6週間の出張に出ることになり、
トムはハンナのいない間もせっせとナンパに励むが、どうにも満たされない。

電話も通じなかったり行き違いが多く、トムの中でハンナの存在が日に日に大きくなり、
ついには、ハンナとの同棲を考えるようになる。

やがて、ハンナは帰国するが、なんと婚約者コリン(ケビン・マクウッド、本当にスコットランド人)を連れ帰り、
トムに彼を紹介しただけでなく、結婚式で「メイド・オブ・オナー」になってくれと頼んだのだ。

彼のほかのブライド・メイドは、トムの友達でもあるステファニー(ホイットニー・カミングス)、
「ヘアスプレー」のトレーシー(ニッキー・ブロンスキー)みたいなヒラリー(エミリー・ネルソン)、
ハンナの妹でトムに遊ばれてけんか別れしたメリッサ(バジー・フィリップス)

コリンの弱点を探ろうとするトムだが、スポーツ万能、「なに」はでかいし、
スコッチウィスキー会社の御曹司で、公爵で、女遊びをするでもなく、非の打ちどころがない。

結婚式はスコットランドで行われるが、ハンナはそのままスコットランドに住むと言う。
果たして、トムは胸の内をハンナに打ち明けることはできるのだろうか。

***

観終わった直後は、普通のラブコメ。
まずまずかなと思いました。

イギリス(スコットランド)とアメリカの風習や文化の違いをうまく表現してますしね。

しかし改めて、トムと言う人物を考えてみると実はとんでもない男です。

学生時代には毎年新入女子学生の半分を「食っちゃう」とか、
大学卒業して10年にもなるのに、毎日のように女をとっかえひっかえ、
町でも女を引っ掛けることしか考えていないような男。

そして、それを自慢げにハンナに報告するんですよ。

挙句、ハンナの妹まで食っちゃって振っちゃうんですから大した玉です。
ハンナの家のメイドにも手を出して、ハンナのばあちゃんから「あのスケベ男ね」なんて言われちゃってるし。

トムの親父も6回も7回も結婚して、結婚前契約で週何回セックスするとか決めたりしてるし、
トムより若い嫁さんをもらおうてんだから、よくよくスケベ一家です。

行ってみれば根っからのスケベで、女をセックス相手としか見てないんですよ。
その場では良いこと言っても、すぐまた股間がうずいてどっかへ行っちゃうこと間違いなし。

良いのは遊んで暮らしてもちっとも困らない金持ちだ、くらいかな。
そんな人を愛せますかね。

ハンナもハンナですね。
絵画修復士のキャリアを捨ててスコットランドに住む決意までしたのに、
文化の違いもあって嫌になっているところへ、トムに言い寄られて、あっさり元の鞘に、です。

(注)メイド・オブ・オナー(Maid of Honor、名誉の侍女、女官)

 アメリカの結婚式では(いろいろ由来があるようだが)花嫁の介添え人=プライドメイド=Bridesmaid を、
 花嫁の親友(達)が務める。 その筆頭がメイド・オブ・オナー。
 字幕でも「筆頭花嫁介添人」としているところが何箇所かあった。
 介添えをするだけでなく、この映画のようにいろいろと式を切り盛りする役目らしい。
 大抵は花嫁の一番の親友の女性がやる。
 そればっかやってて、ついぞ自分の結婚に縁がない、
 と言うのが「幸せになるための27のドレス(27 Dresses)」

  

 

 カンフー・パンダ  

***

ドリームワークスの3Dアニメ。

声優は、ジャック・ブラック、ダスティン・ホフマン、アンジェリーナ・ジョリー、
ジャッキー・チェン、ルーシー・リューなどビッグ・ネームがずらり。

**

山深い「平和の谷」、ウーグウェイ老亀仙人(ほんとの亀、声:ランドール・ダック・キム)が、
竜の戦士(ドラゴン・ウォーリア)を指名する大会が開かれた。

誰もがシーフー老師(アライグマ?、声:ダスティン・ホフマン)の弟子でカンフーの達人たち、
マスター5(原語では「Furious Five」=荒くれ5人組、モーレツ・ファイブ)、
すなわち、マスター・タイガー(メスなので、タイグレス、声:アンジェリーナ・ジョリー)、
マスター・モンキー(声:ジャッキー・チェン)、マスター・ヘビ(蛇、実はマムシ、声:ルーシー・リュー)、
マスター・カマキリ(声:セス・ローガン)、マスター・ツル(鶴、声:デビッド・クロス)の5人(匹?)
の中から、選ばれると思っていた。

大会を一目見ようと巨体を引きずるように階段を上ってきたラーメン屋のポー(パンダ、声:ジャック・ブラック)は、
その瞬間、会場に飛び込んで、ウーグウェイの指名を受けてしまう。

大食いで(料理はうまい)しまりのないパンダに「竜の戦士」などなれっこないと引き気味のシーフー老子。

かつて老師の弟子で、暴れて追放になったタイ・ラン(豹?、声:イアン・マクシェーン)が監獄を破った。
巻物を手に入れて竜の戦士になるため、復讐しに谷へ戻ってくると言う。

シーフー老師もウーグウェイ仙人の指名は覆せず、タイ・ランに立ち向かうべくポーを鍛えることになる。

果たして、ポーは期待に応えてカンフーの達人になれるだろうか、
伝説の巻物によって無敵の力を手に入れられるのか、
そして、タイ・ランとの対決の行方は?

***

冒頭は2Dの粗いシーンが続き、あれ?と思わせるが、夢落ちだった。

亀仙人のセリフはなかなか深い。

最も気に入ったセリフを一つだけ紹介してこう。

「Yesterday is history, tomorrow is a mystery, but today is a gift. That is why it is called the present.」

  

 

 庭から昇った ロケット雲  

***

ビリー・ボブ・ソーントン、バージニア・マドセン、マックス・シエリオット

原題は、「The Astronaut Farmer」ファーマーは農夫だが、主人公の名前でもある。
アストロノートはもちろん宇宙飛行士。

**

チャールズ・ファーマーは、かつて空軍で宇宙飛行士を目指していたが、
父の死をきっかけに退役してのどかな田舎町で牧場を経営しながら、
納屋で有人ロケットを作っている。

彼が作ろうとしているのは、マーキュリーと呼ばれたアメリカ最初の有人ロケットのシリーズ。

ご承知のように、マーキュリーは大陸間弾道弾の核弾頭の代わりに一人乗りの宇宙船をつけたようなもので、
宇宙服も銀色ではあるが、今のものとは違い、ジェット戦闘機のパイロットのようだ。

彼を支えるのは、妻のオーディ(バージニア・マドセン)、息子のシェパード(マックス・シエリオット)、
そして幼い2人の娘、スタンリー(ジャスパー・ポリッシュ)とサンシャイン(ローガン・ポリッシュ、ほんとの姉妹)

みんながお互いに知っているような田舎町で、彼はちょっと変わっているとは思われているものの、
普通に受け入れられ、普通に暮らしている。

いよいよロケットも完成間近で、ファーマーはロケット燃料を大量に買い入れることにした。

しかし、そのための資金がない、銀行からは追加融資どころか、借入金の返済を求められる始末。
借入金返済期日までに何とかロケットを飛ばそうと考え、
子供たちや、義父も巻き込んで、ロケット完成を急ぐファーマーだったが、
FBI、NSA(国家安全保障局)などが乗り込んできて、ロケット発射を阻止しようとする。

ファーマーは、FAA(連邦航空局)にも申請しており、違法ではないと引き下がらない。

マスコミも大挙してやってきて、軍もFBIも強硬手段には出られないが、マスコミの扱いは冷ややかだ。

そんな中、借金返済期日が迫っていることを知ったオーディは怒り狂い、
ファーマーは決断を急ぐのだが、それは果たして吉と出るか凶と出るか、またその結末は。

**

もう少し違う映画を想像していましたが、まともな映画でした。
テーマは家族愛でしょうか、夢をあきらめないと言うことでしょうか。

息子のマックス・シエリオットは「ジャンパー」でヘイデン・クリステンセンの子ども時代、
「キャプテン・ウルフ」の長男。

  

 

 ザ・マジックアワー  

***

三谷幸喜監督最新作。

ありそうでないヨーロッパ調の小さな街を舞台に繰り広げられるヤクザの抗争と、
それに巻き込まれた映画人たちのコメディ。

こんなところに、こんな人が、と言うキャスティングと、小ネタでも笑わせてくれる。

**

街角のホテル(ミナトホテル)の玄関前。
1台のシトロエンが停まり、中から強面の男たちが降りてくる。

ホテルの2階では、下着姿の女(役名:高千穂マリ、深津絵里)がたたずむ。
下着姿の男(役名:備後登、妻夫木聡)は、ドアをたたく音に驚いて窓から飛び降りる。

男のひとり黒川(寺島進)は、備後に銃をぶっぱなす。
あっさり捕まった備後とマリはボス(役名:天塩幸之助、西田敏行)にコンクリ詰めにされそうになる。

備後は、咄嗟にさっき聞いた名前を使って「デラ富樫がいればなあ」とつぶやく。
デラ富樫とは、天塩の敵対グループ、江洞(香川照之)に雇われた「幻の暗殺者」だった。

口から出まかせで言い逃れた備後は5日以内にデラ富樫を連れてくる約束をするが、
全く当てがなく、クラブのバーテンダー(伊吹吾郎)、従業員(綾瀬はるか)の言葉をヒントに、
売れない俳優、村田大樹(佐藤浩市)とそのマネージャー(小日向文世)をだまして、
映画「さすらいのデラ富樫」をでっち上げ、ボスをごまかし、逃げおおせようと考えた。

果たして、備後の作戦はうまくいくのだろうか。

**

劇中劇、撮影シーンなどで、中井喜一、天海祐希、唐沢寿明、鈴木京香、谷原章介、寺脇博文、堀部圭亮などが出演。
このほか戸田恵子、香取慎吾、近藤芳正、浅野和之、甲本雅裕らも出演。

おもしろかった。
特に演技だと信じている村田(佐藤浩市)のオーバー・アクションと
リアルヤクザの黒川(寺島進)らのずれた会話/行動が面白い。

ただ一点だけ難を言わせてもらえば、このところの邦画はそういう傾向が強いのだが、

長い。

最後は、あれはあれで、成功しているとは思うが、
デラ富樫をマクガフィン化した結末があってもよかったかも。

  

 

 ホット・ファズ −俺たちスーパー・ポリスメン!−  

***

タイトルは「俺たちニュースキャスター」「俺たちフィギュアスケーター」「俺たちダンクシューター」
と同じノリだが、ウィル・フェレルとは関係ない。

本家イギリスでは2007/2公開。
日本公開があふやぶまれたが、公開署名運動がおこり、そのおかげで公開が決まった。

キャッチコピーは、究極のおバカ映画だが、そんなおバカな映画ではない。

「FUZZ」は警官の俗語

**

「ショーン・オブ・ザ・デッド」のショーン役で脚本家のサイモン・ペグと、
同じく脚本家で監督のエドガー・ライトの組み合わせ。

サイモン・ペグとコンビを組むのは、これまた「ショーン・オブ・ザ・デッド」のニック・フロスト、
彼は、「
ペネロピ」では本物のマックス・カンピオン。

ニック・フロストの父で、サンドフォード警察署長役のジム・ブロードベントは
ナルニア国物語 第一章」の疎開先のカーク教授、「80デイズ」のカルビン卿を演じている。

スーパーの店長、サイモン・スキナーを演じるのは4代目ジェームス・ボンドのティモシー・ダルトン。

ロンドン市警の幹部を演じるマーチン・フリーマンは「銀河ヒッチハイクガイド」の主人公、アーサー・デント。

その上司を演じるビル・ナイは、「パイレーツ・オブ・カリビアン2」「同3」のディビー・ジョーンズで、
アンダーワールド」「同2」のヴィクター。

サンドフォード警察署でいやな同僚を演じる、パディ・コンシダインは、
ボーン・アルティメイタム」でトレッド・ストーンを追うジャーナリスト、サイモン・ロス。

何を言っているかよく分からない武器を山ほど持っている農夫のデビッド・ブラッドリーは、
「ハリー・ポッター」シリーズの寮監、アーガス・フィルチ。
秘密の部屋」「アズカバンの囚人」「炎のゴブレット」「不死鳥の騎士団

などなど、主役、準主役級、あるいはキーパーソンとなる役をこなす俳優がわんさか出ている。

**

物語は、ロンドン市警の有能な警察官ニコラス・エンジェル(サイモン・ペグ)が、
あまりにも有能すぎて疎まれて、田舎の警察署に転属になるところから始まる。

のどかなはずの田舎町、サンドフォードでは、パブに若者が入り浸り、
酒を飲んだ青年が車で帰ろうとしたりして、堅物のニコラスを激怒させる。

しかし、驚いたことに飲酒運転で逮捕したはずの男、ダニー(ニック・フロスト)は、
サンドフォード警察署長(ジム・ブロードベンド)の息子だった。

事件なんかないさ、とのんびりした署員を尻目に、違反摘発に余念のないニコラス。
そんなある日、殺人事件と思しき事件が起こる。
しかし、単なる事故と笑い飛ばす署員との間でもめ、
その後も死亡「事故」は続き、ニコラスと署員との溝は深まる。

果たして真相は、、、、。

**

コメディだが、終始大笑いと言うわけでもなく適度にシリアス。
死亡「事故」のシーンはちょっとグロい。
お子ちゃまにはどぎついかもしれない。

テンポの切り替えがとても面白いし、最後は怪獣映画に対するオマージュシーンも登場する。

  

 

 花はどこへいった  

ベトナム戦争当時、大量にまかれた枯葉剤のその後を追ったドキュメンタリー。

2008年6月14日(土)〜7月4日(金)岩波ホールにて3週間限定特別上映/全国順次公開
配給:シグロ
オフィシャルサイト:http://www.cine.co.jp/hana-doko/


(C) 2007 SAKATA Masako

***

タイトルの「花はどこへいった」は、ご承知の方もあろうがPPMの反戦歌。
(パーツ・パー・ミリオンではなく、ピーター、ポール&マリー)
この歌はエンディングに使われている。
オープニングは、ジョーン・バエズの歌声だった。

ベトナム戦争当時、大量にまかれた枯葉剤のその後を追ったドキュメンタリー。

枯葉剤のことは知らなくても「ベトちゃんドクちゃん」は知っている人も多いでしょう。
彼らも枯葉剤の影響によると言われています。

**

監督の坂田雅子さんは、夫で元ベトナム戦争従軍兵で
フォト・ジャーナリストのグレッグ・デイビスを肝臓がんで亡くした。

彼女は友人からその原因が枯葉剤に含まれていたダイオキシンではないかと教えられ、
ベトナムでのダイオキシン、枯葉剤の影響を追うことにした。

ベトナム戦争では、米軍はベトコンの掃討の一環として、1960年代に大量の枯葉剤を空中散布した。

中でも最も大量に使用されたものが「Agent Orange」である。
ベトナム兵、アメリカ兵、ベトナム市民たちは、Agent Orange を大量に浴びた。

1970年代に入って、奇形を伴う障害児が多く生まれ始める。
遺伝?伝染病? 原因不明の多くの症状がたどる道筋をこれらの障害児、その親たちも辿る。
やがて、枯葉剤、特に大量に使われたエージェント・オレンジに含まれる
ダイオキシンがこれらの障害の原因だとされるが、
貧困と介護苦に苦しむ障害児とその家族は未だに救済されない。

1990年代に入っても四肢の変形や奇形、目がない(見えないでなく、ない)、
結合双生児などの外観だけでなく、機能障害を含む多くの障害児が生まれている。

枯葉剤を直接浴びた世代ではなく、その孫にまで障害が引き継がれている。
ダイオキシンは脂溶性で分解されにくく、母乳などを通じて子に伝わっていく。

そして、ベトナムの地にはまだ大量のダイオキシンが含まれたままなのだ。

**

貧困にあえぎながらも、障害を現実として受け入れ、おそらくはその術を知らないため、
誰を訴えるでもなく、誰を罵るでも恨むでもない人々。
映画では被害者が枯葉剤の製造会社を訴えたが、却下されたとのテロップが流れた。

いまだにアメリカ政府は枯葉剤と障害の因果関係を認めていない。

原爆、枯葉剤、クラスター爆弾、戦争が終わった後も、延々と被害がつづく。
形は変わっても、次々と被害の拡散に余念がないとしか思えない国家。

是非、アメリカ人にも見てほしい。

  

 

 ミラクル7号  

チャウ・シンチーのビンボーSFコメディ。

**

ティー(チャウ・シンチー)はかみさんに先立たれ、建設現場で働く。
学のない自分の轍は踏ませまいと息子のディッキー(シュー・チャオ)を名門私立小学校に通わせている。

しかし、2人は食べるのに精いっぱいで必要なものはゴミ捨て場から拾ってくるような超ビンボー。
蓄えもなく、解体途中のようなアパートに住んでいる。

ある日、ディッキーは、嫌味な金持ち同級生が自慢するロボット犬、ミラクル1号(長江1号)が欲しくなり、
父にねだるが当然買ってくれるはずもない。

その夜、新しい運動靴を拾いにゴミ捨て場に行ったティーは、
緑のでっかいスーパーボールのようなものを拾ってくる。

ディッキーは、それで遊ぶうち、スイッチを入れてしまったらしく、
ボールはライオンのような犬のような、ロボット犬(?)に変身する。

ドラえもんの道具を持ったスーパーロボットと勝手に思い込んだディッキーは、
そのロボット犬にミラクル7号(長江7号)と名づけ、勝手なお願いをする。

少なくともミラクルを起こす道具を出すわけではないミラクル7号に、
愛想を尽かしたディッキーは、冷たく当たってしまう。

しかし、ミラクル7号はとてつもないパワーを秘めていた。

**

笑いあり、涙あり、ちょっと無理あり。
結末は冒頭の布石に通じるちょっと違うものを想像していた。

ミラクル7号がかわいい。

残念なことに中国語が全く分からないので、字幕を追うしかなく、
どこまで本当にそう言っているのか分からない。

  

 

 

 Juno/ジュノ  

エレン・ペイジがその演技を大絶賛され、アカデミー主演女優賞最年少ノミネートとなり、
数々の新人賞も取ったし、MTVアワードも取った作品。

***

ジュノ(エレン・ペイジ)は、16歳、ちょっと変わった女子高生。
何につけても斜に構えてる。
それがちょっと冴えないボーイフレンド、ポーリー・プリーカー(マイケル・セラ)とセックスして妊娠してしまう。

ブリーカーに告白(暗い感じでなく「どうしてくれんのさ」みたいな感じで)、きみの望むようにと言われ、
一旦は中絶しようとするが、結局やめて産むことにする。

父マック(J.K.シモンズ)継母ブレン(アリソン・ジャニー)は、妊娠に驚くが怒りもせず、
養子に出したいと言う娘の判断を受け入れる。

相手は高級住宅街に住むブレンダ(ジェニファー・ガーナー)とマーク(ジェイソン・ベイトマン)。
キャリア・ウーマンとCMソングの作曲家。
理想的に見えた夫婦に子供を託すことにしたジュノは、マークの家を頻繁に訪れるようになる。

やがて季節が過ぎ、ジュノの出産まであと2か月となったある日、予想もしなかった事態が起こる。

果たしてジュノとその子の運命は、、、。

***

こういったテーマの場合、じめじめしがちな日本と違って、軽いわけではないがドロドロではない。
国民性ですかね。

おじさんにはもちろん、大人の女性向けの映画ではありませんし、恋に恋する女性向けでもない。

たぶんターゲットはジュノと同じ年ごろ。
ハイティーンになるかならないかと言ったとこかな。
設定もそうですが、映画の作り自体がそうなってます。

彼女らの年代にとっては深刻で真面目な映画なのかもしれません。

でも、結局、最後は「There is nowhere like home」

***

おやじのJ.K.シモンズは「スパイダーマン」の編集長。
労働者階級の代表と言った設定です。

ジェニファー・ガーナーの異常なまでに子供をほしがる演技が見事。
見ていて、芸能レポーターが結婚する芸能人に向かって軽々しく吐く言葉、
「お子さんは何人欲しいですか?」を思い出して、
あれで傷つく女性がどれほどいるんだろう、なんて思ってしまいました。

  

 

 クライマーズ・ハイ  

堤真一、堺雅人、尾野真千子、高嶋政宏、山崎努、遠藤憲一、田口トモロヲ。

***

2005年夏、新聞記者の悠木は、土合駅を降り、
親友と果たせなかった約束の谷川岳に彼の息子と登るために移動する。

時はさかのぼって、1985年、群馬県、北関東新聞。

編集局の悠木(堤真一)は、親友の山友達、販売局の安西(高嶋政宏)と谷川岳に登る約束をしていた。

その前日、8月12日、仕事終わりに近い頃、悠木はリュックを背に職場を離れようとしていた。

その時、突然日航機が消息を絶ったというニュースが飛び込んでくる。
乗客乗員合わせて524名に上る大事故の様相に、編集局はざわめきたつ。

駅で待ち合わせるはずの安西が気にかかりながらも、
悠木は社長白川(山崎努)の特命で、この記事の全権デスクとなる。

反発する局次長(蛍雪次朗)と部長(遠藤憲一)は悠木のお手並み拝見と言ったところ。
事故現場がなかなか特定できない中、県警に張り付いていた佐山(堺雅人)は
神沢(遠藤賢一)と山に入ることを進言、「登ろう会」の協力を待たずに現場に向かう。

翌日応援を送る時「登ろう会」のメンバーから、安西が出発前に倒れたと聞く悠木。
安西は過労でクモ膜下出血、一命は取り留めたものの植物状態となっていた。

佐山と神沢は、事故現場の惨状に触れ、決死の思いで現場雑感を電話連絡する。
しかし、時すでに遅し、その日延長されなかった締め切り時刻には届かなかった。

締め切りが延長できないことは悠木に知らされていなかった。
局次長と部長のやっかみだと怒り狂う悠木、
自分たちの記事が掲載されなかったことで怒る佐山と神沢。
必死で書き直した佐山の現場雑感は、自衛隊嫌いの社長の一言でボツにされる。

一方、事故原因を探るため、恩師のつてを使って事故調に探りを入れる玉木(尾野真千子)、
悠木は玉木に佐山を付けて確証を取りに行かせる。

悠木は、前日部長と大喧嘩したことで気が晴れたのか、スクープを抜くために部長を巻き込む。

そして、圧力隔壁が最大の有力原因にほぼ間違いないとまでは掴むが、
締め切り時間と確証との狭間で、悠木が下した判断は、そしてその判断が招く結果は、、、

***

なにより、原作者が元社会部新聞記者で、この事故現場にも足を踏み入れている人物である。

新聞社の中の記述、事件現場、事故対策本部、等々、
およそ当事者、あるいは新聞関係者でなければ書けないであろう現実味があふれている。

新聞のタイムリミットをうまく緊迫感として盛り上げている。

みんなが同じ方向を向いて甘っちょろい感度がした「春よこい」と違い、
妬み、嫉み、嫌がらせ、感情のぶつかり合い、そしてどうにもならない焦燥感、
ある時は敵対し、ある時は怒鳴りあい、
ある時は結託して進めていく現実の世界を描いている。

***

2時間20分と長い映画ながら、ダレは感じなかった。

ただし、冒頭の川遊びと空港のシーンは冗長。
土合のシーンからでよかったかもしれない、どうせ回想で使っているんだし。

それに方言のせいなのか、川の流れの音のせいなのか、
ここのシーンではせりふが全く理解できなかった。

途中もセリフが理解できないシーンが多々あり、困った。
耳が悪くなったのか、録音のせいか、会場のせいかは不明。
 

  

 

 フールズ・ゴールド カリブ海に沈んだ恋の宝石  

マシュー・マコノヒー、ケイト・ハドソン、ドナルド・サザーランド。

***

トレジャー・ハンターのベンジャミン・フィネガン(=フィン、マシュー・マコノヒー)は、
相棒のアルフォンスと1715年に沈んだとされるスペインの財宝を探していた。

しかし、船を沈めてしまい、探査のために地元のボス、ビッグ・バニーから借りた6万ドルを返せなくなり、
海に沈められそうになる。

一方、フィンの妻で学者肌のテス(ケイト・ハドソン)は、フィンと一緒に宝探しをしていたが、
いつもテキトーでいい加減なフィンに愛想を尽かし、離婚を決意、
今はナイジェル・ハニーカット(ドナルド・サザーランド)の豪華ヨットで働いている。

危うく難を逃れたフィンは離婚で一文無しになり、ハニーカットに取り入って宝探しを続けようとする。

ハニーカットは、テスとフィンの過去の文献からの推論に興味を持ち、
能天気な娘のジェマの気を引くためにも、宝探しに協力することにする。

急いで目的の場所にいくが、そこには同じトレジャー・ハンターのモー(レイ・ウィンストーン)が来ていた。

フィンは、沈船の残骸は見つけたものの宝には程遠い。
ビッグ・バニーにも脅され、宝探しを急ぐしかない。

探していたところには宝はないと考えたテスとフィンは、新たな手掛かりを求めて、島を探すのだった。

果たして、ヒントは見つかるか、そしてその謎解きは、そして果たして宝は見つかるのだろうか。

***

非常にざっくり言うと「海洋版ナショナル・トレジャー」
ヒントが出てそれを解くと、また次のヒントが出て、徐々に核心に近づいていく。

もう少し、シリアスな映画と思っていましたが、アクション・アドベンチャー・コメディ。

  

 

 ナルニア国物語 第2章カスピアン王子の角笛  

C.S.ルイス原作の「ナルニア国物語」全7巻の第2章。

前作「第1章 ライオンと魔女」からこっちの世界では1年後、ナルニア国では1300年後の物語。

主役の4人は同じ、アスランの声、リーアム・ニーソン、白い魔女、ティルダ・スウィントン。

カスピアン王子(カスピアン10世)には、ペン・バーンズ。

***

テルマール王国では、カスピアン9世の亡きあと、空位が続いていた。

カスピアン王子の叔父であるラミースに男児が生まれると、ラミースは王位を狙って、
カスピアン王子を殺害しようとする。

ラミースの悪だくみを知ったコルネリウス博士は、王子を森へ逃がす。
王子は森の中で追手とナルニア国の小人に挟まれ、博士から託された角笛を吹く。

舞台は変わって戦時下(?)のロンドン、もう疎開から帰ったのだろうか、
ペヘンシー4兄弟は、地下鉄の駅にいた。

電車が入ってくるとともに周りが一変して、4人はナルニア国の海岸にワープする。

でっかい岩のある桂浜の様な海岸で、4人は崖の上に廃墟を発見する。
そこはかつての宮殿だったところ、攻撃を受けて破壊されたのだ。

4人は様子を探るうち、追手に捕まった小人のトランプキン(ピーター・ディンクレージ)を助け、
王だった彼らが去った後の数百年にナルニア国が荒廃してしまったことを知る。

一方のカスピアン王子は、森の民に助けられ、ナルニアの復活を約束しテルマール王国と戦うことを決意する。
それに賛同したナルニアの民と協力して戦うことになった。

そして、ペペンシー4兄弟と遭遇し、かつての王、女王である4兄弟とともにテルマールに立ち向かうのだった。

しかし、話はそううまくいかず、紆余曲折があって、
やはり絶対的な存在であるアスランの登場なくしては、うまくいかない。

どうするカスピアン、どうするピーター、どうするスーザン、そしてエドマンド、ルーシー、、、、、

***

前作では、大人になるまでナルニア国にいながら、森で迷って元の世界に戻り、年齢も戻ってしまう4兄弟。

物語上は1年だが、実際には2年経っているので、下の2人はずいぶんと感じが変わった。
特にルーシーは(以前よりは)可愛くなった。

次回作は、2010年の公開が予定されているが、それ以降は興行成績次第と言うことらしい。

ちなみに原作の邦題とその年代は次の通り。
「ライオンと魔女」 ナルニア歴 1000年
「カスピアン王子のつのぶえ」 ナルニア歴 2303年
「朝びらき丸 東の海へ」 ナルニア歴 2306年
「銀のいす」 ナルニア歴 2356年
「馬と少年」 ナルニア歴 1014年
「魔術師のおい」 ナルニア歴 1年
「さいごの戦い」 ナルニア歴 2555年

  

 

  ぐるりのこと  

リリー・フランキー、木村多江、江本明、倍賞美津子、寺島進、寺田農、八嶋智人、木村祐一、温水洋一、斎藤洋介。
このほかにも有名どころがたくさんちょい役で出ているので書ききれません。

***

1993年から2001年にわたる、リリ・フランキーと木村多江夫妻とその周辺のヒューマンドラマ。

「ぐるり」とは周りの意味。

佐藤カナオ(リリー・フランキー)は日本画家を目指していたが、挫折し、ミスターミニッツ系の店でバイト中。
客の女性にちょっかいを出すような軽い男。

佐藤翔子(木村多江)は洋画家志向で出版社の編集でバリバリ働き、何事にもきっちりとした性格。

ある日、カナオは先輩(木村祐一)に、自分の代わりに法廷画家にならないかと誘われる。

その日は、「する日」だったのに、飲んで遅くなり、翔子とカナオはけんかになるといった日常が描かれる。

翔子には、不倫して女と逃げ行方知れずの父と、変な「つぼ」に凝る一人暮らしの母(倍賞美津子)がいる。

不動産屋の兄、勝利(寺島進)と勝ち気なその妻、雅子(安藤玉恵)はバブルで景気がいい。

カナオは東京地裁で法廷画家として働くことになったが、
会社の記者(八嶋智人)先輩記者(江本明)先輩の法廷画家(寺田農、斎藤洋介)らに、
いたぶられながらも何とか仕事に慣れようとする。

1年後、何とか仕事に慣れてきて、絵画教室もやるようになったカナオ。

一方の翔子は、子供を(死産で)失い、「いまどきの」新人に振り回され、だんだんとイライラが募っていく。
2人目も子供も中絶して、どんどん内にこもっていく翔子。
ついには仕事も辞めて、うつ状態に陥る。

カナオは裁判長や検事、弁護士、そして異常な事件=従って人々の関心の高い
=法廷画家の活躍する裁判での被告たちの言動にさらされて、
いっぱしの法廷画家となっていく。

バブルはとうにはじけ、不動産屋も悪戦苦闘、勝利、雅子は、母のところに転がりこんでうだつが上がらない。

そしてあることをきっかけに翔子は立ち直っていく。

最後の20分、展開は急で、終盤に母によって明かされる事実は、
それまでの価値観をひっくり返されるが、これもまたありなん。

***

多くの面で普通ああいう会話はしないだろうと思いながらも、演出はリアリティ重視。
法廷で演じられる事件も、実事件を題材にしていて被告像と合わせて現実味を持たせている。
多くの言動が違和感なく、現実にありえる、あるいは経験したことのあるシーンで構成され、
転ぶシーンとか、嫁(安藤玉恵)と姑(倍賞美津子)の良い争いなどは秀逸。

ただし、いい悪いは別にして、展開も現実容認型であり、現実や社会に対する批判、提言などはみられない。

普通の人間って結局振り回されるだけ、自分自身が変わっていかないと何も変わらないと言うことなのか。

***

リリー・フランキーは、「おでんくん」「東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜」の作者、

この映画では原作ではなく(原作、脚本は監督の橋口亮輔)役者として登場している。

カメラ位置を固定して1カットを長くとる撮影の仕方が特徴的。
1カットのセリフがかなり長い、聞きづらいとか見づらいことはないけど、
それがまた現実感を醸し出しているのかもしれない。

最後に、あの天井絵は好きになれない。

  

 

 春よこい  

時任三郎、工藤夕貴、西島英俊、犬塚弘、宇崎竜童、小清水一輝。

***

昭和55年、佐賀県唐津市呼子町、のどかな漁師町。
そこに暮らす尾崎一家に突然不幸が訪れる。
一家の大黒柱、修治(時任三郎)が借金取りともみ合ううちに殺してしまい、船で逃げる。

それから4年、人々は殺人事件を忘れかけていた。
芳枝(工藤夕貴)は家計を支え、ツヨシ(小清水一輝)は、いじめられながらも健気に生きていた。

ツヨシの担任、洋子(吹石一恵)は新聞記者の兄、利夫(西島英俊)にツヨシを心配していることを告げる。

俊夫は、ツヨシが父の指名手配写真が交番に貼られるのを待っていたことを知り、記事にする。
記事は話題になり、ツヨシは傷つき、芳枝は首、釣り船の紹介も受けられなくなる。

そんなころ、佐賀で日雇いをしながらその暮していた修治はひょんなことから看護婦の聡美(高橋ひとみ)と出会う。
ツヨシと修治を会わせようと画策する聡美、記事の反響で自分自身が傷ついた利夫もそれに絡んでくる。

利夫の動きを怪しいと睨んだ定年間近の刑事、安藤(宇崎竜童)は、そこから修治への手掛かりを探ろうとする。

果たして、この不幸な一家に春はやってくるのでしょうか。

***

結論、何もかも中途半端。

だれが物語の中心なのかはっきりしないし、それぞれの葛藤もよくも見えない。
工藤夕貴の苦悩を中心に描くことが主眼だとしても、雨の日にくだ巻くだけじゃね。

子供もよく描ききれてない。
犬塚弘は無駄と言うか勿体ない使い方の気がしたな。

先生ももったいないと言うか中途半端だし、利夫と洋子の関係も(兄妹だけど)中途半端。
刑事も笑わせどころっぽいところはあったけど、全く笑えなかった。
詰めも甘いしね、40年の年季はだてじゃない、とは思えなかった。

最も気になったのは新聞記者。
自分の記事で蒔いた種をどうして自分で刈らないのか、最後の穴は自分で埋めるとほざいたではないか。
ジャーナリストの穴の埋め方は、実際に親子を引き合わせたり、自首を勧めることではなく、
その物語を記事にすることではないのか。

結局人々の心根が交錯することもなく、ぶつかり合うこともなく淡々と進んでいく。

これなら、2時間ドラマで良いんじゃないの。

演出は細かいけど、それ以外の部分に凝るべきところがあるでしょって感じでした。

  

 

 マンデラの名もなき看守   

ネルソン・マンデラが収監されていた27年間の大半をほぼ専属の看守として過ごした
ジェームス・グレゴリー自身の手により、1995年に出版された「Goodbye Bafana」の映画化。

***

アパルトヘイト(人種隔離政策)が当然のように行われていた頃の南アフリカ。
アパルトヘイトは表向きは、民族自立により各民族の独立を目指す政策であるとされていたが、
その実は白人の権利を維持するための差別政策である。

わずか4百万人ほどの白人が、2千数100万人の黒人を差別し、基本的人権を与えないなどの差別を行っていた。

ANC(アフリカ民族会議)の副議長、ネルソン・マンデラは、1962年に逮捕され、1964年終身刑となり、
ケープタウンの北北東15キロほどの海上にあるロベン島の刑務所に収監される。

1968年、刑務所の看守としてロベン島に配属されたジェームズ・グレゴリー軍曹(ジョセフ・ファインズ)一家。

ネルソン・マンデラ(デニス・ヘイスバート)を共産主義テロリストと信じて疑わないジェームズ・グレゴリーだったが、
マンデラの話すコサ語(コーサ語)が分かるためマンデラ担当となる。

会話や手紙の内容を情報機関に密告するジェームス。
自身の密告の直後、マンデラの側近や妻や息子が逮捕されたり事故死したりする。

マンデラの行動には反発しながらも、彼との会話から、
当時禁制品だったANCの宣言した「自由憲章」(Freedom Charter)を読むことになり、
また、白人による黒人に対する暴行などを目にして、疑問が募るようになる。

ある時、ジェームズはマンデラに便宜を図ったことがばれ、刑務所長が首になり、
自分や家族が「黒びいき」として周囲から疎外される。

辞職覚悟の申し出により、ケープタウンの刑務所に移ることになるが、
数年後、今度はマンデラとその側近4名がケープタウン郊外のポルスモア刑務所に移送され、
ジェームズ・グレゴリーもそこに移ることになる。

国際社会からの非難により徐々に南アフリカ政府のマンデラに対する扱いもマシなものとなっていくが、
1989年、新大統領デ・クラークのアパルトヘイト廃止へ向けた動きによって、ついに、1990/2/11、釈放される。

ここまで、20年以上もマンデラとともに生きたと言っても過言ではないジェームズ・グレゴリーは、
やっと少尉に昇進、その後、2003年に癌により死亡した。

***

淡々と事実を描いた作品。

ジェームズ・グレゴリーは、幼少のころ近くに住む黒人の子供と遊び、コサ語を覚え、棒術に興じた。

引っ越しで別れる際、その少年からもらった(たぶん兎の)尾のお守りを、大人になるまで大事に持っていて、
本来、黒人差別を是としないが、テロリストは憎むという性格だったらしい。

妻、グロリア(ダイアン・クルーガー)はアパルトヘイト政策の(教育宣伝)に晒され、
端から黒人差別を是としていたが、長い年月の間に偏見をなくしていく。

***

ネルソン・マンデラはご承知の通り、南アフリカ最初の黒人大統領であり、ノーベル平和賞受賞者でもある。

釈放されて後、政治的にも活躍するわけだが、この映画はその華々しい時代ではなく、
30年近くも収監、幽閉された不遇の時代を描く。

物語はジェームズ・グレゴリーの目を通したマンデラを描くと言うよりはグレゴリー自身を描いている。
その点で邦題は、原題「Good bye Bafana」と大きくかけ離れてはいるものの、ずれてはいない。

物語は深いですが、映画の出来としては絶賛するほどのものではなかったです。

  

 

   

 

 

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